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2016年6月

2016年6月30日 (木)

医療における費用対効果、意外にも?導入を求める声高まる

先日6月25日に日医の会長選があったそうですが、その直後の臨時代議員会でこんなやりとりがあったそうです。

高額医薬品の薬価、「中医協の判断機能、飛躍的に強化」第128回日医代議員会、中川副会長(2016年6月27日医療維新)

 6月26日の第138回日本医師会臨時代議員会で、副会長の中川俊男氏は、年間売上が1000億円を超すような高額医薬品の医療保険財政への影響を懸念、中央社会保険医療協議会の判断機能を飛躍的に強化し、薬事承認から薬価基準収載までの期間や、効能追加した医薬品の薬価の在り方など、薬価基準収載ルールの見直しをするよう、厚生労働省に働きかけていく方針を表明した。併せて適正使用ガイドラインなどを整備し、「高い専門性を持った医師が適切な処方をすることが不可欠」と述べ、医薬品を使用する医師の側への対応も求められるとした。
 さらに中川副会長は、高額医薬品はひとくくりにはできず、重篤な疾患の治癒を目指す薬、延命効果を期待する薬、生活習慣病治療薬などに分けられるとし、薬の種類や目的によって今後の対応方針を検討する必要性も強調した。

 高額医薬品について代表質問したのは、岡山県代議員の石川紘氏。石川氏は、中川氏が4月13日の中央社会保険医療協議会で、(1)薬事承認においても医療経済的な視点からの審査を導入すべき、(2)事実上の薬事承認=保険収載となっている構図を見直すべき――の2点を問題提起したことなどに触れ、「医は仁術なり」から「医は高額医薬品なり」の風潮にシフトしつつあるとの懸念から、日医の対応を質した(『高額新薬「適応拡大なら期中改定も」、日医・中川副会長』を参照)。
 関連質問が相次いだほか、個人質問でも「持続可能な国民皆保険を安定的に維持するための対策は待ったなし」(埼玉県代議員の廣澤信作氏)と提起されるなど、高額医薬品の問題は、臨時代議員会の中でも関心の高いテーマだった。
 「薬価を下げるのか、薬の適応を絞るのか、あるいは保険の適用外とするのか」と選択肢を挙げて尋ねたのが、 関連質問した栃木県代議員の小沼一郎氏。
 中川副会長は、以下のように回答した。「薬価を下げることはもちろん、医薬品によっては適応も絞るべきだと考えているが、医薬品を保険外にすることは考えていない。保険財政を揺るがす可能性は十分にあるが、保険財政を立て直す手段はまだまだある。公費を増やし、保険料率を公平化するなどの手段で兆円単位の財源が確保できる。これらをやり尽くしても財政がもたないという時に、初めて保険外という可能性がある。まだ打つ手がある段階で、日医としては薬を保険外にすることは全く考えていない」。
(略)
 さらに中川副会長は、医薬品のイノベーションを評価しつつ、費用対効果評価等も取り入れ、医療保険財政の持続性を担保できる合理的なルールを作って行く必要があるとした。
 高額医薬品をひとくくりにするのではなく、薬の種類や目的によって分類すべきとの考えも示した。例えば、ソバルディ錠やハーボニー配合錠など、重篤な疾患の治癒を目指す薬については、従来の治療による生涯医療費との比較を含めて議論すべきとし、オプジーボのように延命効果を期待する薬は、終末期医療のあり方も含め国民とともに丁寧な議論を行うことが必要だとした。また高コレステロール血症治療薬「レパーサ」のような生活習慣病治療薬は、従来の医薬品では対応できない範囲に限定すべきといった議論を詳細に尽くすべきと主張。
 高額医薬品をめぐっては、「保険財政的に混合診療も議論の俎上に上がるかもしれない」とも指摘。しかし、「有効性・安全性が認められた医薬品が、必要な患者に保険診療として提供されることを最大限に求めて続けていかなければいけない」と強調し、混合診療を拡大するような方向に議論を誘導すべきではないとした。
(略)
 京都府代議員の安達秀樹氏は、高額医薬品は非常に大きな問題であることから、「費用対効果評価の議論を中医協の一分科会としてやってくのは限界ではないか。もう少し大きな国家的組織として対応していくべきではないか」と提案。
 中川副会長は、「今すぐできることから着手したいと考えている」と回答。薬事承認の際に、市場規模や医療経済性の議論は全くなく、薬についての評価だけで薬事承認する仕組みをすぐ見直すことを要求しているとし、「それは本来のやり方ではないかもしれないが、そこまで追い詰められている。レパーサ(エボロクマブ)が、家族性高コレステロール血症以外にも認められたのは、薬事承認の時点で経済性の議論がなかったからではないか」と問題視した。

医療財政上の逼迫度が増している中で薬価だけは天井知らずで値上がりしていく状況にあるわけですから、いずれ薬剤費高騰によって他のどんな節約手段を用いても医療費増大による財政破綻が避けられないと言う可能性もありそうですが、医療財政と言う観点からすると末尾の薬事承認の制度上の問題に関する指摘はなかなか重要だと思いますね。
特に高価だが既存薬よりも有効性が高いと言う新薬をどう使うべきかと言う点は非常に議論が求められるところで、もともと医師の中には従来の院内処方時代からの習慣か製薬メーカーとの関係性からなのか、とりあえず新薬が出れば処方しないではいられないタイプの方々が一定数いらっしゃるようで、従来薬で何ら不都合がないにも関わらず高い新薬に切り替えていくと言うケースがまま見られます。
今回注目すべきなのは慢性疾患の治療薬も対象に挙げられていること、そして単に単価が高いと言うのではなく年間売り上げに基づく規制に言及していることですが、この点で高血圧治療なども安いACEIでは駄目で高いARBでなければいけないのか、等々とコスパ検証を始めると思わぬパンドラの箱を空けかねません。
そもそも費用対効果と言われても同じ効果効能の類薬の中での比較はともかく、人の命の延命効果をどの程度の金銭で評価すべきなのか、いわゆる健康寿命延長効果についてはどうなのか等々難しい課題もありますが、逆にお金をかけて最先端の医療をしなければ健康を維持改善出来ないのかと言えば、必ずしもそうでもなさそうだと言う実例もあるようです。

破綻10年夕張市、医療縮小の先にあった「果実」(2016年6月23日日経ビジネス)

 赤字が続く日本の国家財政。その最大の原因は、少子高齢化に伴って年々増え続ける社会保障費だ。中でも我々の生活に直接的に影響するのが医療。国民医療費は年間40兆円を超える
 安倍晋三首相は、社会保障目的税である消費税の税率10%引き上げを先送りすることを決めた。景気動向とのバランスを考えた苦渋の判断だが、財政健全化が遠のいたことは間違いない。国家財政が危機に直面する時、医療サービスに何が起きるのだろうか
 その時の姿を知る、手がかりがある。10年前の2007年に事実上、財政破綻して医療体制の大幅な縮小を迫られた夕張市だ。2009年から2013年まで4年間、同市で医療の現場を支えた夕張市立診療所前所長の森田洋之氏(南日本ヘルスリサーチラボ代表)に話を聞いた。

 2007年、市内唯一の総合病院だった夕張市立総合病院(171床)は19床に縮小。夕張市立診療所となった。市内には救急病院がなくなり、人工透析もできなくなった。CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)もない。2006年に38.7分だった救急車の病院到着時間は、2010年は67.2分へとほぼ倍増した。
 それが、破綻後の夕張市の状況だ。医療体制が万全でなくなったという事実が、住民の日常生活において大きな不安やストレスを与えたのは間違いない。
 だが、データからは、別の側面が浮かび上がる。「人口や年齢などの違いを排除して計算するSMR(標準化死亡比)はほぼ横ばい。死因として増えたのは、老衰だった」(森田氏)。それでいて2001~2006年に年間81万1000円だった高齢者一人当たりの診療費は、2007~2012年には76万9000円に減ったという。

医療体制が大幅に縮小し、診療費も減った。それでも、健康面での被害は確認できない。なぜ、このようなことが起きたのだろうか。
 夕張市では、定期的に医師や看護師が患者宅に赴く「訪問診療」や「訪問看護」が増えた。森田氏は「医師と患者が普段から接触を持つことで、健康状態や価値観を理解して適切な治療を選択できるようになった。それが結果的に医療費削減につながった」と振り返る。
(略)
 一回当たり4万円以上の費用がかかるとされる、救急車の出動も破綻前の半分になった。患者が普段往診に来る医師にまず連絡し、必要と判断すれば医師の方が自宅に出向くようになったからだ。
 重要なことは、住民の健康意識そのものが高まったこと。医療体制が万全でなければ、住民が常に「いざ」という時の場合を意識したり、そもそも病気にならないように気をつけたりするのが自然だ。普段、健康に気をつかわず生活し、病気になったら病院へ行けば良いという「医療機関への健康丸投げをやめた」(森田氏)わけだ。

 市民と医療関係者の努力で健康被害を抑制し、医療費も減らせた夕張市。日本の医療体制の、非効率的な部分をあぶり出すヒントが含まれている。
 夕張市の場合は周辺自治体が破綻しておらず、急性期治療については札幌市など近隣市の病院に頼ることができた。もしも、何の準備も無しに国家の財政そのものが危機に陥って全国で医療体制の縮小を迫られることになれば、過酷な現実が待ち受けるだろう。それを座して待ち、子どもや孫の世代にツケを支払ってもらおうというのは、不作為の罪と言わざるをえない。
 医療制度のムダをなくし、国の財政規律が緩まぬよう厳しくチェックすべきなのは当然だ。だが、我々にも自分を律し、医療機関への「健康丸投げ」をやめるという意識改革が求められている。

お金がないならないで案外健康とは努力で何とかなる部分もあると単純に言い切ってしまえるものかと言えば今後長期的にどうなのかと言う検証は必要ですし、人の生涯においてどこにどれだけお金を使うと言う使途自体が他地域と異なってくるようなら興味深いことだと思いますけれども、注目したいのは医療供給体制の変化が医療需要の変化を呼び、結果として医療費も安くすんだと言うことでしょうか。
終末期の高齢者などは特にそうした傾向がありますが、身近にすぐに駆け込める救急病院があればとりあえず何かあれば気軽に救急車を呼んでしまうものですが、それがなくなれば場合によっては往診を受けながら在宅看取りを希望する場合もあるでしょうし、普段からそうした考え方を念頭に近所のかかりつけとの連携を図っておこうと言う意識も出てくるのでしょう。
もちろん夕張のケースは近隣に必要とあれば駆け込める後背地があればこそですが、医療にコストパフォーマンスと言う指標を持ち込むとなると今まで当たり前に行われてきたやり方とかなり異なったものが最適解として導き出されてくる可能性があって、その場合コスパが悪いから多少のパフォーマンスの絶対値低下は甘受すべきなのかどうか、いずれどこかで議論になる可能性は高そうですね。

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2016年6月29日 (水)

近い将来骨髄バンクが危ない?

骨髄バンクと言えば血液疾患などにおいてどうしても必要になる場合があるもので、国民の間でも名前はよく知られていると思いますが、その骨髄バンクが何やらうまくいっていないと言うニュースが出ていました。

<骨髄バンク>待機中に1655人死亡 待機日数短縮へ(2016年6月26日毎日新聞)

 公益財団法人「日本骨髄バンク」(東京都)に登録して造血幹細胞移植を待つ白血病などの難病患者のうち、昨年末までの5年間で1655人が移植を受けられず、待機中に死亡していたことが、同バンクへの取材で分かった。他に病状の悪化で286人が登録を取り消したことも判明。手続きなどで登録から移植までに時間がかかることが一因とみて、同バンクは待機日数短縮の検討を始めた。【須田桃子】

 正常な血液を作れない白血病などの患者が血縁関係のない他人から移植を受けるには、バンク登録の必要がある。同バンクによると、2010年からの5年間に新たに登録した患者は1万1042人。このうち、死亡や病状悪化に加え、血縁者からの移植や他の治療法である臍帯血(さいたいけつ)移植、化学療法への変更などで計3648人がバンクによる移植を受けず、翌年末までに登録を取り消した。待機日数が長いため治療方法を変えた人もいるという。

 待機日数は2003年に約175日(全登録患者の中央値)で、手続き改善の試みにもかかわらず、15年にも147日と約5カ月かかった。このため、移植を待つ医療現場からも短縮を求める声があったという。造血幹細胞を提供するドナーの登録者は約46万人おり、患者の約96%には移植に適したドナー登録者が見つかるが、ドナー側の仕事の都合や健康状態、家族の同意、転居先不明などから、移植に至るのは約5割にとどまるという。

 このため、同バンクは、家族や第三者立ち会いの下で従来は別の日にしていたドナーの最終同意書作成の手続きを、骨髄採取のための健診直前に行うことで、患者の待機日数をさらに1カ月弱短縮する対策を検討している。ドナーにとっても通う回数が減り、負担軽減が見込まれる。

 同バンクの担当者は「患者にベストのタイミングで移植してもらうため、手続きの簡略化を検討中だ。年内にも試行的に始めたい」と話している。

この骨髄バンクと言うもの、近年その知名度はそれなりに高まっているものの情報拡散の時代にあって必ずしも楽しい体験ではなかっただとか、こうと知っていれば登録しなかったと言う当事者のコメントもかなり広まっているようで、何となく献血の延長程度のつもりで登録していたドナーがいざと言う時に態度を翻すと言うこともままあるそうですね。
もちろんドナーになる事自体にも相応のリスクはあるのですから十分な説明と同意が必要になることは分かるのですが、今の時代に移植まで何ヶ月もかかると言うのもいささかどうよ?と言うもので、特に検査や説明で何度も通わされるのでは現役世代はやっていられないことでしょう。
いずれにしても技術的な進歩によって骨髄移植の必要性がなくなるまではこうしたものがなければ困ると言うものですし、当然ながら医療現場やレシピエント側にとっては移植までの期間は少しでも短縮したいと言う声が上がってくるのも理解できるところで、単純な事務的作業を見直すことで何とかなるものであれば何とかして欲しいと言うところでしょう。
ただ実際には骨髄バンクの抱える問題は非常に炊きに渡っているようで、このままですと構造的な問題によっていずれは破綻もあり得るのではないかとも思える記事が先日出ていたことを紹介してみましょう。

骨髄バンク、破綻の危機 財政難・ドナー減・高齢化(2016年6月19日産経新聞)

 白血病の患者らを救う目的で設置され、今年設立25年を迎える「日本骨髄バンク」が、資金難でぎりぎりの運営を余儀なくされている。平成26年度に約1億円の赤字を計上、27年度も連続赤字が予想されたが、年度末に大口寄付があり土壇場で何とか黒字になった。赤字が続けばドナー確保のための啓発活動も難しくなり、移植を待つ患者にも影響が及ぶ。斎藤英彦理事長は「安定した財政基盤に変えていかなければ、今後も財政難に見舞われることになる」と危機感をあらわにしている。(道丸摩耶)

 骨髄バンクは、血液をつくる造血幹細胞に異常が起きる白血病などの病気の患者に移植するため、健康な造血幹細胞を持つ人が「ドナー」として白血球の型を登録しておくもので、3年に設立された。移植には型の全部または一部が一致することが条件で、一致する型を探すには多くのドナーの登録が必要だ。現在のドナー登録者は約46万人で、今年4月末までに1万9397例の移植が行われた。ここ数年は年1300件ほどの移植が行われている。

 ただ、バンクは慢性的な財政難に苦しんでいる。バンクの収入の7割は、国の補助金と移植を受けた患者の医療保険から。残る3割は患者からの負担金や寄付金でまかなうが、景気や社会情勢に左右され、寄付金が少ないと赤字になってしまう。

 例えば26年度は補助金と医療保険による公的収入が計10・5億円あったが、患者負担金と寄付金は計4・7億円にとどまり、その他の収入も合わせた経常収益は15・4億円。支出はドナーを探す調整費やバンクの普及活動などで16・4億円となり、約1億円の赤字となった。

 医療保険は移植した患者に対して支払われるため、ドナーの調整に時間がかかった場合も金額は一定。また、ドナーが途中で断念するなどして移植に至らなかった場合は支払われない。移植件数が少なくなれば、医療保険の収入も減る

 さらに、バンクの新規登録者は26、27年度に2年連続で3万人を切るなど減少傾向。ドナーになれるのは18~54歳だが、55歳になったり健康に変化があったりして登録から外れる人が増加しており、27年度には初めて2万人を超えた。登録者のうちもっとも多い年齢は17年12月末時点は33歳だったが、27年12月末時点は42歳になり、高齢化も進んでいる。赤字が続いたからといって啓発費を削ると、ドナーが減り、バンクの存続が危うくなる。

 バンクの啓発や患者支援を行う全国骨髄バンク推進連絡協議会の大谷貴子顧問は「バンク存続のため企業などから広く寄付を募るとともに、大学や運転免許試験場で若い世代にドナー登録を呼びかけていきたい」と話している。

そもそもこうした公益性が高い事業が寄付金頼りで運営されていると言うのもどうなのかですが、純粋に医療において使用される事業であり、まずほとんどが皆保険制度に基づいて行われているのであれば、運営に支障を来すと言うのは保険からの支払いが少な過ぎるのではないかとも思えるところです。
ただ財政上の問題はともかくとして、ドナー登録が年々減少していることも問題で、創設からかれこれ20数年を経て早いうちに登録した方々は年齢的にドナー登録から外れてくる時期となるでしょうし、若年人口が年々減少している時代に若い人間にどれだけ新規登録を期待出来るのかです。
ちなみに日本の骨髄バンクも海外の骨髄バンクと相互に連携していて、場合によっては海外のドナーとコーディネートされると言うこともあるそうですが、仮に今後国内での需要に対して過少な供給しかなされないのであれば海外からの提供への依存が増してくるのかどうかで、日本の場合骨髄移植件数が非常に多い割に国内ドナー登録はかなり少ないと言う構造的な特徴もあるわけです。
臓器移植においても同様の需要と供給のミスマッチがあり、特に近年では日本など一部諸国から多額のお金を使って海外に臓器を買いに行くような行動が国際的批判を浴び、WHOからも海外渡航による臓器移植は自粛せよと言う勧告が出るなど規制も強まっていますが、骨髄においても同じようなことにならないのかと心配していく必要があるのでしょうか。

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2016年6月28日 (火)

国は医師余りの心配をしているそうですが

先日こういう記事が出ていたのですが、さてこれをどう解釈するのかです。

勤務医4割が「有給休暇はほとんど取れていない」と回答 – なぜ?(2016年6月22日マイナビニュース)

メドピアはこのほど、医師の「有給休暇取得」に関するアンケートの結果を発表した。調査は5月25日~31日、同社が運営する医師専用コミュニティサイト「MedPeer」の会員医師を対象に行われ、3,370名の有効回答を得た。「有給休暇はどのくらい取得できていますか?」と質問したところ、断トツで「ほとんど取れていない(39.6%)」が最多回答となった。

取得できない理由について尋ねたところ、「学会参加のための休みが有給として消化されるぐらいです。個人としての休みは年に1,2日です」(50代/放射線科/男性)、「人がいないので。そして、お産はいつくるか分からないので」(30代/産婦人科/女性)、「上司を含め、周りの医師が有給を取らず、取れないでいる。強制的に有給を取得させる制度が必要だと思う」(30代/消化器外科/男性)といったコメントが寄せられ、多くの勤務医が「多忙」「人手不足」「取りづらい」といった環境にあることがうかがえた。

次いで多かったのは「2~3割程度は取れている(16.5%)」や「1割程度は取れている(14.4%)」で、合わせて約3割を占めた。特に、「学会と夏休みに使っている」という声が多かったほか、「子供の病気やイベント」「当直明け」「半日や数時間ずつ」取っているという医師も見受けられた。

一方、「5割以上取得している」勤務医からは、「勤務先が変わって取りやすくなった」「夏休みを有給扱いにして消化している」「権利なので取るようにしている」という声が多く挙がったほか、「ほぼ100%取得し、部下にも強く推奨している」「連携体制がうまくいっておりほとんど消化している」など、全有給を取得できている人もいた。

「ブラック病院」「過労死しないか心配」――勤務医の4割が「有休をほとんど取れていない」と回答(2016年6月21日キャリコネニュース)

子どもの「将来の夢」や、女性の「結婚したい職業」をランキングした際に必ずといっていいほど入ってくる医者だが、命を扱う職業だけあり、その実態は過酷なようだ。医師専用コミュニティサイト「MedPeer」が勤務医3370人を対象に行った調査によると、39.6%の医師が有給休暇を「ほとんど取れていない」と回答したという。

「22年間有休を取ったことがない」という医師も

「ほとんど取れない」と回答した医師からは、「仕事が忙しい」「人がいない」といった声が理由としてあげられていた。

    「何やかんや制約あり、長期はだめ、変わりはどうするか…。取れないように仕組んでいる。ブラック病院」(60代 一般外科 男性)
    「仕事が忙しく、なかなか有休はとれません。もっととれる体制になればと思います。同僚ともども、過労死しないか心配です」(40代 小児科 女性)
    「医者になって22年、いわゆる有休はとったことがありません。ちなみに病欠も0です。夏休みのみ数回。働きすぎですかね」(40代 消化器内科 男性)

次いで多かった回答は「2~3割程度は取れている」(16.5%)、「1割程度は取れている」(14.4%)だった。しかし、その有休も学会に出席するために使われたり、当直明けに身体を休めるために使われているようだ。また、夏休みが別に設けられておらず、有休を使用して休むというケースも多い。

    「学会参加と夏休みを有休として取っています。しかしこれが正しい有休の取り方なのかわかりません」(30代 総合診療 男性)
    「ちょこちょこ、半日や時間休をとっている。当直明けは有休処理して帰っています。こんなことで消費するしか…」(40代 呼吸器内科 男性)
    「子どもの用事や病気などでとります。計画的に旅行などで取ったりということはまずありません」(40代 小児科 女性)

政府は2020年までに有休取得率を70%にする目標を掲げているが、現在医師で7割以上取れているという人は10.6%とおよそ1割にとどまっている。日本の医療水準は高いことで知られているが、その水準を維持するには医師にもしっかり休みを取ってもらうことが必要ではないだろうか。

参考までに平成25年のデータでは企業が提示した有給日数の平均が18日、労働者が取得した有給日数の平均が9日(取得率48%)だそうで、病院・医療機関の取得率が31%と言いますからすでに平均よりも低めですが、当然ながらここには交替勤務制の看護・介護スタッフなども含まれての数字ですから、医師に限って言えばこれより高いとはちょっと思えない数字です。
今日日ブラックな企業には事欠かない時代ですから、有給何それ食べられるの?と言う意見もあるのでしょうが、合計すると7割前後の医師がほとんど有給を消化しておらず、数字の上では消化しているとしても学会出張など名目的な取得も多いと言う状況にあると言う現状をどう考えるかですね。
ちなみに名目的と言えば多くの常勤医は名目的には自己裁量で労働をしていると言うことになっているのだそうで、要するに自分の労働量は自分で管理していると言う建前なのだそうですが、もちろん雇われ店長の見なし裁量労働制と同様に実質的には自由裁量の余地などほとんどないと言う場合の方が多数派なのではないかと思います。
一方で自ら好んで夜間休日変わりなく激務に従事している(かのように見える)先生方もいらっしゃるのは事実で、こうした先生方を中心に「医師に労働基本法の厳格な適用はよろしくない」などとよく判らない見解が出てくることもあるようなのですが、興味深いのはこうした結果に対する世間の反応の方ですよね。

もちろん自分の命を預けることになるかも知れない職業なのですから、少なくとも自分の診察や手術などをする前には十分な休養を取っておいて欲しいと考える国民が大多数なのだろうし、表向きは医師に休みなど不要と職業差別的言動を弄するわけにもいかないでしょうから「しっかり休みを取ってもらうことが必要」としか言いようが無いのでしょうが、しかしそう単純なものでもないところもあるようです。
先日は激務のためついに体を壊してしまった若手医師の記事が出ていましたが、毎月100時間超の超過勤務が半年以上続きとうとう心臓死してしまった医師などブラックとしか言いようが無い実態に同情する気持ちもある一方で、「医師の過労死や長時間労働の報道熱は低く、医療ミスとは対照的」「医者はカネをたくさん稼いでるんだから。低賃金で酷使されてるブラック企業の末端労働者とは、ちょっと違う」と考える風潮もあるようです。
激務の基幹病院で日夜奴隷労働に勤しんでいる先生方の中にも、外来で患者から「先生は週二回だけ働けばいいから楽ですよね(実際は外来枠が週二回と言うだけ)」などと嫌みめいたことを言われたり、日曜祝日に突然病棟に来襲した遠い親戚から「医者が休むとは何だ!すぐに顔を出して説明しろ!」などと暴言を吐かれた方もいらっしゃるかと思いますが、当然こうした悪条件が重なれば逃散していく先生方も出るでしょう。
労働環境や客層など様々な職場環境を総合的に判断して勤務先を自主的に選んでいく先生方が次第に増えてきているのもそうした事情があるからだと思いますが、医師が相次いで逃げ出していくような病院でスタッフの士気が高いはずもありませんから、医師らスタッフが疲れ切った顔で働いている病院は患者にとってもあまり居心地の良い場所ではない可能性の方が高いのでしょうね。

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2016年6月27日 (月)

意外な?結果となったイギリス国民投票が露わにしたもの

先日のイギリスにおける国民投票では事前の予想に反してEU離脱派が多数を占めたと言い、すでに全世界的にその影響が報じられるほど大きな波紋を呼んでいますが、現地においては投票を通じて別な問題が浮き彫りになってきているようです。

【EU離脱】高齢者に怒り、悲痛な声をあげる若者たち なぜ?(2016年6月25日BuzzFeed Japan)

6月23日(現地時間)の国民投票でEU離脱派が残留派を上回ったイギリス。そこで若者たちが悲痛な声を上げている。
「今日、私のような若者は、分断と孤立という不安な未来を突きつけられました」
ガーディアンの動画に登場する女性の言葉だ。
次々に声をあげる。
16、17歳の声は聞いてもらえなかった。私たち自身より90歳の人の方が、私たちの残りの人生を決める力が強いなんて
なぜ、僕の将来は、二度と戻らないノスタルジーばかり追い求めて、実際に受け取っている福祉手当がわからないような世代に決められなきゃいけないんだ
(略)
離脱派の勝利は複数の要因が指摘されている。英国民たちの移民への反感、主権を取り戻すという高揚感、EUに税金が吸い取られるという不公平感、英国外のEUの官僚によって政策が決められる剥奪感。それらが絡み合った。
だが、一定層の若者はすでに自由に移動ができ、進学先や仕事が選べるメリットを感じていた。
あるミレニアル世代(1980~2000年生まれ)の英国人女性のワシントン・ポストへの寄稿が端的に言い表している。「USBの使い方もわからないような世代によって混沌がもたらされた」。要旨はこうだ。
「戦後のベビーブーム世代の判断ミスによって金融危機が引き起こされ、若者に大きく影響する緊縮策がとられ、そして今度はEUを離れろと。しかも、もたらされる結果をほとんど見ることなく生涯を終えるのに」
「多くの若者は、英国籍をもつご老人たちより、スペインやオランダの若者との方が多くの共通点を持つ。職場やSNSでの経験から、国境を超えると信じてきた未来は奪われてしまった
「次のベビーブーム世代が決めなきゃいけない大きな決断は、私たちの世代が沈み始めたイギリスという船を見捨てて旅立ったときに、どうやって年金を払うかってことになるんじゃないの」

若者は残留を希望

若者の大勢は残留派だった。YouGovの調査によると、18~24歳の75%は残留に投票した。年齢が上がるほど、残留派は減る
4月の時点の調査ではこんな見事な相関が。残留派と離脱派の割合を示したグラフで、赤なら残留が多く、青なら離脱が多いことがわかる。分岐点は43歳。
(略)
こうした若者たちの不満の背景には、比較的恵まれた戦後のベビーブーム世代への反発もある。若者の犠牲のうえに高齢者が得をするというシルバーデモクラシーだ。
フィナンシャル・タイムズが過去50年間の80万世帯所得を分析した記事によると、過去35年にわたって年金受給者の所得が上がり、平均的な20代の所得は、全人口の50%を下回ってきた
インフレや失業問題にもかかわらず1960~70年代には、20~25歳の平均的な所得は全体の人口の60%より上だった。だが2012~13年、それは37%に落ち込んだ。
その要因は高齢者だ。かつて全人口の75%より低かった65-70歳の所得は、いまやトップ40%に上昇している。

Twitter祭り

Twitterは若者たちの怒りであふれた。
「私たちが何したって言うのよ。ご老人たち、未来をめちゃくちゃにしてくれて、ありがとう
「【昨日】お年寄り? 大切に思ってるよ。僕たちのために戦争を戦ってくれた。ナチスから救ってくれた。【今日】お年寄り? 大っ嫌いだね。血まみれのファシストめ
(略)
ベビーブーム世代はこんな反論をした。
「若者たちへ。1975年に16歳だった私の未来を決めたのも高齢者だった。少なくとも我々は君たちの時代のために正しい選択をしたんだよ」
世界の株式市場から2兆ドル(約200兆円)の価値が消えた金曜日。正しい選択だったのかは、まだわからない。

離脱という判断の是非と言うことに関しては部外者である我々が軽々に論ずるべきものではないと思うのですが、面白いことにこの問題に関して見事なまでに世代間の意見の断絶がある、そして今回高齢者の意見が通ったことにより若者たちにとっては「恵まれた老人達の馬鹿げた考えで自分達の未来は大変な被害を被ることになった」ように感じられているということですね。
この世代間の断絶、あるいは利害関係の対立と言うことに関しては日本においても社会保障など各方面で見られるようになった現象ですが、幸いにも?日本ではこうまでこの問題に直面する機会がなかったとも言える一方で、近づく参議院選挙などにおいても社会保障をどうするか、その財源を誰が負担すべきかと言う議論はまさしくこの種の問題を示しているとも言えるわけです。
もちろんそうした諸々の状況を踏まえ、総合的に判断した結果としてこうした結果が出てきたと言うことであればまだしも救われそうなものですが、どうも今回の国民投票ではそうではなかったらしいと言うことがその悲劇性あるいは喜劇性を浮き立たせているようですね。

今度は「Regrexit」、EU離脱を「後悔」(2016年6月26日CNN)

ロンドン(CNN) 欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票で離脱派が勝利した英国で、離脱に票を投じた有権者から、結果を受けて思い直したとの声も上がっている。Britain(英国)とExit(退出)を組み合わせた造語「Brexit」に続いて、ツイッターにはRegret(後悔)とExitを合わせた「Regrexit」というハッシュタグが登場した。

中部マンチェスターの有権者、アダムさんは英BBCとのインタビューで「私の票にあまり意味はないと思っていた。どうせ残留だろうと予想していたから」「キャメロン首相の辞任表明には、正直言って仰天した」と不安をあらわにした。

離脱に票を入れたマンディさんという女性も24日、夕刊紙ロンドン・イブニング・スタンダードに「今朝になって現実を知り、後悔し始めている。もう一度投票するチャンスがあれば意見を変えるのに」と語った。

イングランド南西部のコーンウォール州は国民投票で離脱を支持したが、これまでEUから受け取っていた補助金が途絶えては困るとの懸念が浮上し、英政府に「保護」を求めている。同州には10年以上前から、EUから年平均6000万ポンド(約84億円)が交付されていた。州議会は政府に、これと同等の額の保証を求める構えだ。

再投票を求めるインターネット上の請願には25日午後の時点で200万人を超える署名が集まり、議会での審議に必要とされる10万人の署名を上回った。28日に下院の特別委員会が取り上げる見通しだという。

すでに連合王国内ではアイルランドやスコットランドなどにおいて独立の声が高まっている他、残留派が多数を占めたロンドンを独立させEUに残留させようなどと言うびっくりな声が多くの賛同を集めているようで、今後の成り行き次第では本当に国家の分断と言う事態にも陥りかねませんし、そうではなくとも表面化した世代間対立が今後の社会保障財源配分などに大きな影響を与えていく可能性があります。
それにしても「私の票にあまり意味はないと思っていた。どうせ残留だろうと予想していたから」とはあまりに率直すぎる言葉ですけれども、歴史が動くと言うことは案外こうした何でもない思い込みやその場のノリと勢いが一定程度収束した結果なのかも知れずで、非常に興味深い現象ではあったと思います。
確かに事前予想では残留派が多数を占めると予測されていたと言いますからこうした言葉が出てくることも判らないではありませんが、そうした事情もあってか再投票を求める署名が殺到していると言うことも理解は出来る一方で、EU諸国側では各国首脳が「英国民が今回出した結論をなるべく速やかに実現」するようにとの共同声明を早速発表するなど、かなり手厳しい反応が出ているようです。
ちなみに開票結果が報じられてからイギリス国内における検索語句では「EU離脱が意味することは?」が激増、そして2位が「EUとは?」であり3位は「EUの加盟国は?」だったと言いますから、ワシントンポストが「イギリス人は何に投票したのか本当は分かっていなかったのかも知れない」と皮肉りたくなるのも判る気がします。

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2016年6月26日 (日)

今日のぐり:「すし遊館 新倉敷店」

今年はやたらと深刻なクマの被害が報じられていますが、今や人里においても安全ではなくなったと言うニュースがこちらです。

自宅前でクマに遭遇 83歳女性 頭にけが 岩手(2016年6月23日NHK)

23日午後、岩手県雫石町で83歳の女性が自宅の前でクマに遭遇しました。クマは、身を守ろうとしゃがんだ女性を乗り越えて逃げ、女性が頭に軽いけがをしました。

23日午後5時ごろ、岩手県雫石町沼返の山下ミヨさん(83)が、自宅前で花壇の手入れをしていたところ、クマが現れました。山下さんが身を守ろうとしゃがんだところ、クマは頭の上を乗り越えてそのまま逃げたということです。山下さんは、その際、クマの爪にひっかかれたとみられ、頭に1週間程度の軽いけがをしました。
現場はJR小岩井駅から西側におよそ1キロ離れた住宅地です。
山下さんは「物音がしたので前を向いたらクマがいました。驚いてしゃがみ込んだら、クマが頭の上を通り過ぎて逃げていきました」と話していました。
岩手県内では、クマの目撃件数がことし4月から今月19日までに1068件と、この5年間の同じ時期と比べて最も多くなっていて、県は23日、ツキノワグマの出没警報を発表し、警戒を呼びかけています。

しかし何故クマに遭遇してしゃがみ込むのかも謎ですが、しゃがみ込んだお婆さんの頭の上を通り過ぎていくクマの姿も想像しにくいものがありますね。
今日は絶体絶命のピンチを切り抜けたミヨさんを激励する意味で、世界中から本当にあった怖い話を紹介してみましょう。

「殺人カバ」の恐怖、おびえるセネガルの川漁師たち(2016年6月24日AFP)

【AFP=時事】両脚に重傷を負い、病院のベッドに横たわるセネガルの漁師アリ・フォールさん(25)は、地元の川で網を引いていたときにカバに殺されかけた瞬間を振り返る。「友人の漁師と一緒に仕掛けておいた網を引き揚げに行ったとき、カバに船をひっくり返された。友人は逃げたが、私は左脚、それから右脚をかまれた」とショックを受けた様子で語った。
 セネガルの首都ダカール(Dakar)の東方500キロに位置するグルンボ(Gouloumbou)にあるガンビア(Gambia)川の支流流域やフォールさんの村では、しばしば漁師たちが血を流してきた。村の役人によると、この10年間で漁師25人がカバにかみ殺され、大勢が負傷したという。

 グルンボ村の村長は、かつて村人とカバは比較的穏やかに共存していたと語り「昔は川でカバたちと一緒に遊んだものだ。彼らは人に危害を加えなかった」という。そんな状況が一変したと語るのは漁師のアブドゥラエ・サールさんだ。「奴らは昼夜を問わずに襲ってくる邪悪なモンスターだ。奴らのせいで漁にならない」と語る。
 サールさんと友人のムサ・ボカル・ゲイェさんは長きにわたって漁をなりわいとしてきたチュバロ(Thiouballo)族だが、この日も伝統的な木のボートで川に出ることはかなわなかった。「もう3週間も漁に出ていない。おかげで市場にはもう魚がない」と述べた。

 カバは沼辺や川辺に生息する草食動物で、大きい個体の体重は1500キロにもなる。日光から肌を守るために長時間を水中で過ごす。野生生物の専門家によると、カバは恐ろしいほど力がある上に怒りやすく、アフリカでは毎年、他のどの動物よりも多くの人を殺している。

ちなみに野生動物ランキングにおいてカバ最強説は根強いものがありますが、それでも巨大なカバに襲われて無事生還出来たのですから運が良かったとも言えそうです。
古来暴君の行動としてしばしば記録されてきたあの蛮行を、よもや現代社会においてやってしまったと言うのがこちらの怖いニュースです。

妊婦から胎児を取り出した女に禁錮100年の実刑、米コロラド州(2016年5月1日AFP)

【5月1日 AFP】米コロラド(Colorado)州ボルダー(Boulder)の裁判所は4月29日、初対面の妊婦の腹部を包丁で切って胎児を取り出した女に、殺人未遂と違法に妊娠を終わらせた罪で禁錮100年の実刑判決を言い渡した。マリア・バーケンコッター(Maria Berkenkotter)判事は、事件の残虐性を反映した判決だと説明した。

 ディネル・レーン(Dynel Lane)被告(36)は昨年3月、案内広告投稿サイト「クレイグスリスト(Craigslist)」にマタニティーウエアを売りますとの広告を出し、同州デンバー(Denver)の北の位置するロングモント(Longmont)の自宅に当時26歳で妊娠8か月だったミシェル・ウィルキンス(Michelle Wilkins)さんを誘い込み、犯行に及んだ。被告は、ウィルキンスさんを殴ったり首を絞めたり、刃物でけがをさせたりしたとして、今年2月に有罪評決を受けていた。殺人罪での訴追は、胎児が母体の外で生存していたことが検視で裏付けられなかったため、検察が見送った。
 レーン被告は夫のデビッド・リドリー(David Ridley)氏に、子どもができたとうそをついていた。法廷では、被告が妊婦を装った自身の写真をネットに投稿したり、インターネットから入手した他人の超音波検査画像をリドリー氏に送信したりしていたことが明らかにされた。ただ、報道によると、リドリー氏は次第に疑いを深め、被告に産婦人科で診察を受けるよう強く求めたという。

 地元紙タイムズ・コール(Times-Call)は検察側の陳述として、ウィルキンスさんがベビー服を見ようとレーン被告の自宅地下室に下りていった際、被告がウィルキンスさんの頭部を殴り、首を絞めた上で、腹部を切り胎児を取り出したと伝えた。ウィルキンスさんは意識を失って倒れ、レーン被告は子どもを流産したと主張し、リドリー氏と一緒に胎児を病院に連れていった。リドリー氏は被告とその娘2人と同居していた。
 ウィルキンスさんはその後意識を取り戻し、警察に電話で通報した。病院に到着した際には瀕死(ひんし)の状態だったが、手術で一命を取り留めた。

 レーン被告は犯行について深く反省する様子を見せず、法廷での陳述も拒否した。ただ、被告側弁護士は、2002年に息子が水におぼれて死亡したことで被告が深刻な打撃を受けていたと主張した。息子の死は水難事故によるものとされている。
 今回の事件で検察側がレーン被告を殺人罪に問えなかったことを踏まえ、コロラド州の共和党は胎児を死なせた場合にも殺人罪での訴追を可能にする法案を提出したものの、民主党の賛同を得られなかった。米国の他の38州ではこうした事例に殺人罪が適用されている。

法律的な問題も提起していると言うことなのですが、それにしてもとんでもないことをしでかしたものですよね。
昨今世界的に物騒なニュースには事欠きませんが、物騒な連中から身を守るにも物騒な話になってしまうと言うニュースです。

南アフリカの「襲撃犯を火だるまにする」あまりに過激なカージャック対策(2016年6月8日BUZZAP!)

治安の悪さで知られる南アフリカ共和国。そこでのカージャック対策はまさに戦闘行為でした。詳細は以下から。

世界一治安が悪い都市として名前を知られる南アフリカ共和国のヨハネスブルグ。強盗や殺人と共にカージャックも日常茶飯事となっています。そんな日々を生き延びるため、防衛に留まらない超攻撃的なカージャック対策システムが誕生していました。
自動車を運転中にカージャック犯に襲撃された際、取り付けられたフットスイッチを押し込むと吹き出しノズルに1万4千ボルトの電流が流れ、そこから高速で液体ガスが噴出します。そして噴出した液体ガスは電流に触れて発火し、襲いかかった襲撃犯を火だるまにし、無力化するという仕組み。

驚くべきことに南アフリカ共和国ではこの防衛手段は合法ということ。なお、火炎は自動車の両サイドから噴出するため、挟み撃ちにされても対応可能。ただし前後からの攻撃には対応できないため、急発進や急ブレーキ、ハンドル操作で振り落とした後に横付けし、火炎を浴びせかけるといった手順が必要になりそうです。
ここまで来ると最早マッド・マックスか北斗の拳の世界ですが、そうした治安の極めて悪い地域が存在していることも事実。ここまで危険な場所は紛争国以外では滅多にありませんが、世界のどこにいたとしても安全は只ではないということは頭に入れておいた方が良さそうです。

その状況は元記事の画像を参照頂ければと思いますが、仮に日本でこれをやった場合周囲の被害も半端ないことになりそうですね。
おそロシアと言われるように我々の想像のはるか斜め上を逝くあの国で、またもとんでもない事件が発生したそうです。

事故通報をいたずら扱いか=ロシア(2016年6月22日時事通信)

 【モスクワ時事】ロシアの独立系メディアは21日、北西部カレリア共和国の湖で18日にボート3隻が沈没し、子供ら14人が死亡した事故で、乗っていた少年が携帯電話で救助を求めたにもかかわらず、非常事態省がいたずら電話と見なした可能性があると伝えた。

 非常事態省が救助を開始したのは事故から約20時間後。助かった子供が教師に語ったところでは、沈没しそうになった時、最年少の少年の携帯電話が非常事態省につながった。少年は「沈没する。助けて」と叫んだが、「いたずら電話はやめよ」と言われ、切られたという。少年は水死した。 

ロシアでは以前にもクマ絡みで身も凍るような恐ろしい事件がありましたが、よほどにこの種のいたずら電話が多いとでも言うのでしょうか。
最後に取り上げますのはお隣中国からの話題ですが、これはかなりシャレにならない恐さです。

滴る血で書いた“愛してる” 重すぎる女、警察に通報される 中国(2016年6月5日テックインサイト)

自分で指先をカットし、ボタボタと滴り落ちる血をもって玄関に描かれた“あなたを愛してる”の文字。そんなことをする女性に恐怖すら感じた男性は、迷うことなく警察に通報したのであった。
揺るぐことのない忠誠心や誓いなどを示すために古くから用いられてきた“血書”。愛する異性の気を引くために、そこまでする女性が現代においてもいるとは驚くばかり。あまりにも“重い女”の話題を中国のメディア『騰訊(Tencent)』が伝えた。

四川省の綿陽市で先月31日、若い女性が愛する男性宅の玄関前で自分の左手人差し指をカットし、指先から流れ出る血を床にこすりつけて“私の~~、あなたを愛しているわ”としたためた。こんな女性と交際したところでロクなことになるまい。恐怖を覚えた男性はすぐに通報し、警察官がやっと女性の手からナイフを取り上げることに成功した。
男性への一途な思いを血書に託したその女性はまだ19歳。警察から厳重注意を受けると、「感情を抑えられなかった。今後は自重します」などと誓ったという。

何やら猟奇性と言うのでしょうか、まさか現実世界でこんなイタい行為に走る人間がいるものなのかですが、それはやられた側もひきますよね。
ちなみにここまでぶっ飛んだ境地を開拓してしまった女性が自重してどのようなレベルになるのかが注目されますが、単に普通のイタい女性になってしまっても困るところです。

今日のぐり:「すし遊館 新倉敷店」

倉敷市西部の新倉敷駅近傍に位置するこちらのお店、付近に競合店が少ないせいか以前は満席待ちだったものが、前回訪店した際には空席があって驚いたものでした。
今回再訪してみましたがやはり客足は落ちているのか、8割程度の席が埋まるくらいの客の入りだったのですが、まあ味さえ変わらなければ待たなくていい方が楽ですよね。

当日のおすすめから適当に頼んでみたのですが、しまあじは食感も味もなかなかですし、えんがわも回転寿司らしからぬちゃんと味がある縁側でした。
金目鯛は生ではなく炙ってあるのですが、正直このバーナーによる炙りと言う作業は妙な匂いがつく気がして別なやり方がないものかと思うのですけれどもね。
江戸前っぽいものでは煮はまぐりは味が濃いだけにたっぷりのワサビがいいアクセントですが、逆に漬けまぐろは赤味を使ってるのはいいんですがあまり印象に残らない味でした。
こちらの系列でよく食べるのが辛味噌茄子ですが、やはりこれは揚げたてがいいと言うより揚げたてしかよくないと言うべきでしょうか、必ずその都度オーダーを通す方がよさそうです。
締めに単品の鮭入り卵焼きなるものを頼んで見たのですが、鮭フレークを使った和風オムレツとでも言うのでしょうか、この日はちょっと焼き過ぎな気がしましたがお総菜にも使えそうな一品ですね。

店内をみますと店員もちょっと減ったようですが、お客も減っているので何とか回る程度ではあって、しかしこれだけ客の入りに変化があるとは何かあったのでしょうかね。
食べて見ますとそう味が悪くなったとも思わないんですが、少し離れた倉敷市街にまで足を伸ばせば百円系回転寿司も増えているので、価格優先の顧客はそちらに流れているのかも知れませんね。

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2016年6月25日 (土)

インド料理屋が増えたのには理由があった

ネタのような本当の話と言うことなのでしょうか、先日こんな記事が話題になっていました。

「皆さん助けて下さい」 インドカレー店の悲痛な呼びかけに心配の声 給与支払われずこのままではホームレスに(2016年6月16日ねとらば)

 賃金も2年払われていません。皆さん助けて下さい――。

 そんな張り紙を掲載するレストラン「シャンティ(shanti)」に、「本当だったらひどい」「事実なら大問題」と心配の声が寄せられています。

 「シャンティ」は東京都豊島区内に5店舗を構えるインド料理レストランで、インド人など14、5人が働いています。支援を求める張り紙は各店舗の入口や店内など至るところに掲載されており、下部には比較的日本語が分かる従業員の連絡先も。
 本店(豊島区駒込)で働くジョシさんに話を伺ったところ、同店の従業員は日本語に不慣れな人が多いため、日本人の協力を得て張り紙を書いたとのこと。ジョシさんによると、2015年3月ごろから給与支払いが遅れるようになり、金額も半分に。さらに2016年1月からは完全にもらえなくなってしまったそうです(張り紙には「賃金も2年払われていません」とありますが、正確には約1年3カ月)。
 2016年5月末に労働基準監督署に行き、従業員全体で6200万円を超える未払いの給与があることが判明。社長と支払う方法について話し合ったものの、「本当に払ってくれるのか信用できない」というのが正直な意見のようです。現在は店の売り上げを会社に渡しておらず、社長側からは6月17日までに店舗から退去することを求める通告書が出されています

 現在、一部の従業員は住む部屋もなく、店で寝泊まりしている状態。以前は従業員13人でマンションの一室を借りて暮らしていましたが、2016年2月末ごろ、マンションが火災にあい、住む部屋だけでなく、私物もほとんどなくなってしまいました。ちなみに当時住んでいた部屋は会社の所有物で、家賃は1人あたり5~6万円ずつ毎月の給料から天引きされていた形。部屋の中は2段ベッドを5個ほど置くと、あとは歩くスペースくらいしか残らなかったそうです。
 もしも通告書通りこのまま店舗を閉鎖した場合、金銭面、ビザなどを考慮すると日本でホームレスになるしかないそう。お金がないため電車にも乗れず、当然故郷に帰ることもできません。また、従業員全員が仕事を見つけ、新しい生活をスタートするには最低でも300万~500万円が必要だといいます。
 日本の言葉や制度が分からず、誰を頼ればよいのかも検討がつかないとのこと。「日本人の社長のもとなら、異国の地でこのようなトラブルに遭うことなく、安心して働けると思っていた」とジョシさんは話しました。
(略)

色々と突っ込みどころも多い記事とは言え、もし事実であれば給料未払いと言うのは困った話ですけれども、見ていますとかなり劣悪な環境で働かせていると言う点、そしてどうも経営者側は必ずしも店の運営で儲けようとしていないように見える点に留意頂ければと思います。
ちなみに近年全国的にインドカレーをうたうお店が倍々ペースで増えているのだそうで、そう言えば身近でも見かける機会が多くなりましたけれども、実際にそこで働いているのはネパールやスリランカなど近隣諸国の人達がほとんどなのだそうで、何故インド料理を名乗るのかと言えば日本ではそうしないと売れないからなのだそうです。
とは言え実際にはこうしたお店のうちあまりお客が入っていないものも少なからずあるように見え、その割にはいつまでもお店が続いていると言うことに不思議な気がするのですが、どうもこうした店舗の幾つかはお店の外にもうけ口があると言う仕組みであるようで、こちらの記事を紹介してみましょう。

「日本で働ける」と被害者から詐取、日本人名乗る男ら逮捕(2016年6月18日産経ニュース)

 ネパール警察は17日、昨年4月のネパール大地震の被災者に「日本で働ける」と持ち掛けて計約113万ネパールルピー(約110万円)をだまし取った詐欺の疑いで男2人を逮捕した。うち1人は日本人を名乗っているが、身分証明書などを所持しておらず、事実かどうか不明。残り1人はネパール人。ヒマラヤン・タイムズ紙などが伝えた。

 男らはコンサルティング会社幹部を名乗り、中部ゴルカ県などのネパール地震の被災者12人に日本での就労あっせんを提案、前金を預かったまま逃亡した疑いが持たれている。PTI通信によると、男らは被災者に「月に20万~30万ルピー稼げる」と声を掛けていたという。

 ネパールでは近年、日本での就労が人気になっており、首都カトマンズなどでは多数のブローカーが仕事をあっせんしているとされる。


ネパールで就労持ちかけ詐欺容疑 日本人名乗る男ら逮捕(2016年6月18日朝日新聞)

 ネパールの警察当局は17日、昨年4月のネパール地震の被災者ら12人に「日本で働ける」と声をかけ、計約110万ルピー(約110万円)をだまし取った疑いで、カトマンズ市内で2人の男を逮捕した。うち1人は「日本人のモリカワ・ヒロシ(55)」と名乗っているが、パスポートなど身分を示す書類を持っておらず、在ネパール日本大使館も事実関係の確認を進めている。

 地元紙ヒマラヤン・タイムズなどによると、男たちはコンサルタント業者を名乗り、昨年の地震で大きな被害を受けた中部ゴルカなどで日本で働くことを持ちかけ、保険金などの名目で現金をだまし取った疑い。

 経済の低迷が続くネパールでは日本での就労希望者が増えており、あっせん業者も増えている。(ニューデリー=貫洞欣寛)

要するに現地でスカウトと称して実際には金を巻き上げるだけの詐欺同然の話が行われていると言うことなのですが、日本に送り込んだ後は野となれ山となれで店の経営がうまくいくかどうかはどうでもいいと言うのも、スカウトの段階で相応の金を巻き上げているからだと考えれば理解出来る話ですし、むしろ店側としては劣悪な労働環境でさっさと追い出して次の犠牲者を呼び込みたいのでしょう。
制度的にもこうした行為を後押しする要素があって、全く料理などしたことがなくてもプロの料理人ですと申告すればビザ取得も楽になるそうですし、さらに法人経営の店舗がインド式の焼き釜を導入すると1台につき4人分まで就労ビザも発給されるのだそうで、引き受け手となる国内の店舗経営者にはブローカーから一定金額も支払われるので、金だけ受け取って入国後直ちに解雇すると言う話もあるそうです。
特に記事にもあるように特にネパールの方々は先年の地震被災者が多く、一攫千金を夢見てこうした怪しい話に引っかかってしまうようですが、以前には東アジアでも現地の暴力組織が絡んだ日本への密航ビジネスが話題となったことがあって、ああしたものも現地で大金をかすめとって日本に送り込む、あるいは借金漬けにしてただ働きさせるなど似た構図にも思えますね。
もちろん日本に来てごく普通に真っ当な料理屋をやって繁盛している方々も数多くいらっしゃるわけですので、なんでもかんでも犯罪行為絡みと言うわけではないのは当然ですが、現地ブローカーと国内での引き受け手が協働して外国人を食い物にしているとすれば下手をすれば国際問題ですし、ブラック企業対策としても放置するわけにはいかない問題でしょう。

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2016年6月24日 (金)

権利を認めると言うことは基本的にはいいことなのでしょうが

人工知能の発達はめざましいものがありますが、その結果極めて人間らしいとも言えるこんな危惧が語られています。

徒党を組む〝野良ロボット〟が参政権要求、振り込め詐欺、人間に反乱…AIのリスク総務省研究所が報告(2016年6月20日産経ニュース)

 ロボットが参政権付与を要求し、民主主義のリスクに-。総務省情報通信政策研究所は20日、人工知能(AI)を用いたネットワークシステムの社会・経済への影響、課題などを検討する会議の報告書をまとめた。

 AIで動くロボットに起こり得るリスクについて、ハッキングや制御不能のほか、ロボットがAIにより自らの意志を持って動き出し、人間との関係が変わっていく可能性にも言及。リスクを管理するため、「人間に反乱するおそれのある人工知能の開発の事前の制限」の必要性も指摘した。

 同研究所のAIネットワーク化検討会議(座長・須藤修東大大学院教授)の報告書は、想定できる複数のシナリオを検討することで迅速な対処が可能になるとして、20項目の具体的なリスクを列挙。「民主主義と統治機構に関するリスク」として、人間に投棄された「野良ロボット」が、権利付与を求めるケースを想定。起こる確率は「低」としたが、被害の規模は「大」に定めた。発生時期は最も遠い将来を示す「進展段階4」。野良ロボットが生じないように登録制を検討すべきだとした。

 指摘されたリスクではこのほか、親しみのある見た目の人型ロボットが、振り込め詐欺などの犯罪に悪用されるケースも挙げた。

SFなどではすでに古典的とも言えるテーマではありますが、犯罪行為などに利用されるリスクもさることながら、ここで注目していただきたいのは「民主主義と統治機構に関するリスク」なるもので、ロボット自身が人権とも言える何らかに権利を求めるリスクがあると言う指摘です。
これに対する対策として人間の保護を外れた野良ロボットを生じさせないようにすると言う提言がなされていますが、しかし人間の所有下にあってもロボット自身が自分の権利が保護されていないと認識し要求する可能性を考えると、この対策は全く不完全であるとしか言い様がありませんよね。
話がロボットと言うとあまりに現実離れしすぎている、議論に値しないと考える方は例えば動物について同様な問題を考えてみると判りやすいかと思いますが、今現在でも鯨類などを巡って大きな騒動がたびたび発生している中で、ヒンズー教徒が牛の権利を尊重せよと主張し始めたなら民主主義的には人類多数派の意見として容易には無視しかねる理屈です。
さらに現実的かつ極めて判断の難しい問題としてこういう話も出ているのですが、さてこのテーマに対して皆さんはどのような答えを持ち合わせているでしょうか。

「子どもの権利」拡大認めず 日本会議から広がる運動(2016年6月18日朝日新聞)

 「自分で稼いで食べているわけでもない子供に下手に『権利』なんて覚えさせちゃ駄目よ! ろくな大人にならないわ
 日本会議政策委員の百地章・日本大学教授が監修した冊子「女子の集まる憲法おしゃべりカフェ」には、47歳の主婦が、こんなふうに叫ぶ場面がある。
 大人の従者とみて導くか。独立した権利の主体とみるか――。二つの「こども」観の対立が各地で起こっている。

 東京都日野市の元市議の渡辺眞(ただし)氏は2006年ごろ、日本会議の地方議員ネットワークで呼びかけ、自発的に「子供権利条例に反対する全国地方議員の会」を結成。地方議員50人以上が加わり、情報交換した。
 渡辺氏が危機感をもったきっかけは、「子どもの権利」で著名な大学教授が、同市に講演に来たことだった。「子供にも当然権利があると思うが、子供権利条例がいう『ありのままの権利』や『意見を尊重される権利』などは、子供の未熟な欲望を拡大してしまう」と感じた。

■「自然発生的」な反対運動

 激しい反対運動で、権利条例が11年に頓挫した広島市。運動の中心になったのは、「『広島市子ども条例』制定に反対し子供を守る教師と保護者の会」だ。日本会議広島を連絡先の一つとしているが、PTA連合会のOB会や教員団体など20団体以上が名を連ね、署名活動などをした。この会の代表は、元全国高校PTA連合会長で、一般財団法人「日本教育再生機構」理事の女性だ。
 日本教育再生機構の理事長八木秀次氏は当時、「危ない!『子どもの権利条例』」と題した冊子やDVDを作成。反対運動の参考資料になった。だが、憲法24条の改正なども訴え、日本会議の主張と近い八木氏も、「日本会議の役員ではなく、講演や原稿の執筆を依頼している」(日本会議)だけだという。
 広島市では、権利条例を推進する集会に参加して危機感をもった数人が、喫茶店などで集まったのを機に、議員への働きかけを始め、反対する会の結成につながった。会の代表だった元全国高校PTA連合会長の女性はこう振り返る。「日本会議が中心になったわけでもない。様々な立場の人たちが、自然発生的に集まってきた」
(略)
 13年6月、文部科学省と文化庁は、「子供」と「子ども」が混在していた公文書の表記を、「子供」にするよう周知徹底した。
 この前月、日本会議国会議員懇談会副会長の下村博文・前文科相に、「子ども」を「子供」か「こども」に統一するよう求める要望書が手渡された。朝日新聞が情報公開請求で入手した要望書には、漢字と仮名の交ぜ書きは「国語破壊」「文化破壊」につながる――とある。
 要望書を出した団体名や個人名は非開示だった。
 文化庁国語課によると、申し入れ後、ルールを調べるように下村氏から指示があり、「子供」が原則だとして周知したという。下村氏は取材に応じなかった。

 「子供」は「供」の語例として常用漢字表に載っているが、国語課は「『子供』の『供』には従者の意味があるという教育評論家の説が広がり、『子ども』が使われるようになっていたのではないか」という。
 3月には、日本会議国会議員懇談会の衆院議員が、国会で教科書の中の交ぜ書きについて質問し、子どもの「ども」の根拠について尋ねていた。
 一連の動きについて日本会議は、「まったく関与していない」としている。
 日本会議の考え方に近い人たちが緩やかに連携し、各地で多様な運動を広げている。

こうした運動をどう考えるかは人それぞれでしょうし敢えて詳しくは突っ込まずにはおきたいところなんですが、しかし子供に成人と同じ権利を認めると何かと厄介な問題が少なからず発生するだろうことは、しつけなど身近な様々なケースを少し思い浮かべるだけでも容易に判断できますよね。
これについては子供は弱者であり保護される権利を持つ一方で、その自由意志は一定程度制約されているとも言えますが、背景となっているのは子供は自ら正しい結論を導き出すほどの成熟した判断力を持っておらず、本人判断を前提に成人と同じだけの権利を与えるとかえって本人の不利益になると言うことなのだろうと思います。
他方では先日アメリカで不治の病に冒された5歳児に最後の時を病院に行くか自宅に留まるかを訊ねた結果、自らの意志で自宅での最後を選んだと言うニュースが出ていて、大抵の五歳児は病院で針を刺されるよりは天国に行きたがるんじゃないかと言う突っ込みはさておくとしても、周囲の大人達は子供であっても自ら判断する能力があるのだと感銘を受けていると言いますね。
子供は大人の従属物で何らの人権も存在しないと言うのも行きすぎだし、大人と同じ権利を無条件で認めるのも問題ありですが、我々の身近にも権利と義務とのミスマッチが原因で大変なことになってしまう方々も少なからず存在することを考えると、この問題も権利と義務とはバランス良くセットで考えておくべきなのかなと言う気もしてきます。

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2016年6月23日 (木)

効果と高価で有名な肝炎治療薬の転売が報じられた件

先日報じられて以来、起こるべくして起こった問題として話題になっているのがこちらのニュースですが、ルール上は同じような不正行為でもお爺ちゃんお婆ちゃんが余計にもらってきた湿布薬を近所に配って回ったと言った話とは、いささかコスト面でのスケールが異なるようです。

生活保護制度悪用、C型肝炎薬を詐取…3人逮捕(2016年06月21日読売新聞)

 医療費が無料になる生活保護制度を悪用し、C型肝炎の新薬「ソバルディ」約80錠(約500万円相当)をだまし取ったとして、警視庁は21日、神奈川県藤沢市の会社役員(42)ら男女3人を詐欺容疑で逮捕した。

 同庁は、会社役員らが高価なソバルディに目を付け、無料で入手した薬を転売して利益を得ていたとみて解明を進める。

 捜査関係者によると、他に逮捕されたのは、東京都町田市の生活保護受給者の男(48)と、男と同居する無職の女(38)。

 3人は今年1~3月、生活保護受給者の男がC型肝炎の治療のために1日1錠を服用すると偽り、相模原市の病院から3回にわたってソバルディ計約80錠をだまし取った疑い。男は実際にC型肝炎だったが、薬は自分で飲まずに会社役員に渡し、報酬として現金などを受け取ったという。

肝炎治療薬520万円相当を横流し 詐欺容疑で3人逮捕(2016年6月21日朝日新聞)

 病院から処方されたC型肝炎の治療薬(1錠約6万円)を横流ししたとして、警視庁が21日、男女3人を詐欺容疑で逮捕したことが捜査関係者への取材でわかった。生活保護受給者は医療費負担がないことを悪用して入手し、不正に転売していたとみて調べている。

 逮捕されたのは、東京都町田市に住む無職の男(48)と30代の女、神奈川県藤沢市に住む40代の男の計3人。相模原市内の病院で今年、服薬する目的がないのに、医師から3回にわたり、C型肝炎治療薬「ソバルディ」84錠(約520万円相当)の処方を受け、だまし取った疑いがある。

 C型肝炎の患者だった無職の男は、生活保護受給者であることから、無料でソバルディの処方を受けていた。男は今年3月に覚醒剤取締法違反容疑で逮捕、起訴され、調べに「ソバルディを転売した」などと話しているという。警視庁は、ほかに逮捕した男女がこの男から薬を買い、さらに転売していたとみている。

 ソバルディは昨年3月、国が新たに承認したC型肝炎治療薬。厚生労働省によると、1日1錠を84日間服用する。それまで主流だったインターフェロンなどの注射薬と比べて副作用も少なく、短い治療期間でより高い効果が期待できるという。厚労省は、2015年時点で年間1万9千人の患者が使用すると見込んでいた。

この種のDAAと呼ばれる肝炎治療用の抗ウイルス薬に関しては最近一般の方々の間でも大いに話題になっていて、各地の病院で治療希望の患者が続々といらっしゃっていると聞きますが、従来の注射薬と違い内服で楽な上に副作用がほとんどない、しかも治療効果はほぼ100%と言う夢のような薬だとされる一方で、一式数百万円と言うその治療費の高さから適応をどう考えるべきか迷われている先生方も多いかと思います。
いずれにしてもこうした生保受給者の医薬品横流し、転売自体は以前から問題視されていて、一般的には向精神薬や睡眠薬など入手には処方箋が必要であり、かつ利用することですぐに効果が実感しやすいものが転売されているようで、確かに需要を考えた場合にはこうしたものの方が売りさばきやすいのは納得出来る話ですよね。
その意味で今回転売した先ではどう使っていたのかと言う疑問も残るのですが、基本的にこの種の肝炎治療薬については医療費助成で自己負担は月々1~2万円程度で受けられるようになっていますから、保険診療を受けている一般的な市民であれば闇で入手するメリットに乏しい気がするのですが、一方で真っ当な診療も受けられない方々が症状もない肝炎治療薬に大金を払うものなのかどうかです。
この辺りは転売の元締めが存在しているらしいと言うことですから、例えば海外に持っていって売れば相応に需要もあり高くも売れる可能性もあるでしょうし、今の時代ですから海外向け通販サイトやネットオークションで売りさばけばほとんどコストも掛からず丸儲け出来る可能性もありそうですよね。

こうした転売が何故発覚するのかと言うと多くの場合は複数治療期間にかかり重複処方を受けているような場合が多いようで、肝炎治療薬に関して言えば基本的に一人が一生に一回しか使わない薬で事情が違うと思うのですが、ほぼ100%の治療効果が期待出来ると言うこともあって、現場の臨床医の先生方に言わせると検査値が全く改善しないだとかきちんと受診しない等々ですぐにバレるものなのだと言います。
服薬をきちんと完遂させると言う目的では結核治療の世界ではDOTS(直接服薬確認治療)と言う方法が世界的に広く行われていて、医療従事者の目の前で服薬させることで確実な治療を行い成果を挙げていますが、生保の医療費を支払う側である役所などにこうした方法を取るようにしてはどうかと申し出てもあまりいい顔をしないのだそうですね。
その理由として毎日医療機関に受診させることでかえって公費負担が増えてしまうだとか、きちんと受診していなければ指導をする等々の余計な手間が増えてしまうことから、役所や担当職員的にはメリットが乏しいと言う判断もあるのかも知れませんが、一式何百万と言うお金が公費で使われていくのですから適応の検討も含めて、もう少し厳密な対応が図られるべきだと感じる納税者の方々も多いのではないでしょうか。
医学的な面で見るとこうした行為が行われる可能性があるのだと言うことも念頭に診療に当たる必要があると言う教訓が得られると思いますが、生保受給者などは役所に相談すればいいとして一般患者で全く治療効果がなく転売が疑われると言う場合誰に届け出るべきなのかで、いきなり警察がハードルが高いとなればまずは保険者に連絡してみるのがいいのかも知れませんね。

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2016年6月22日 (水)

毎度毎度の麻生氏発言に意外な援護射撃

先日は麻生財務相がまた暴言を吐いた!と進歩的な方々が取り上げていたのですが、世間ではこの件に関して妙な方向で反応が出ているようです。

麻生氏「90歳で老後心配、いつまで生きてるつもりだ」(2016年6月18日朝日新聞)

 自民党の麻生太郎副総理兼財務相が17日、北海道小樽市での講演で「90歳になって老後が心配とか、わけの分かんないこと言っている人がこないだテレビに出てた。オイいつまで生きてるつもりだよと思いながら見てました」と語った。麻生氏自身も75歳だが、高齢者への配慮に欠けた発言として批判が出ている。

    麻生氏の発言詳細

 麻生氏はこの日、参院選の立候補予定者の応援などで北海道を訪問。小樽市の党支部会合で経済政策について語り、「1700兆円を超える個人金融資産があるのに消費が伸びていない」などと指摘する中で「90歳の老後」に言及した。自らの祖母が91歳まで元気だったと紹介し、「カネは一切息子や孫が払うものと思って、使いたい放題使ってましたけど、ばあさんになったら、ああいう具合にやれるんだなと思いながら眺めてました」とも語った。貯蓄より消費が重要として「さらにためてどうするんです? 金は使って回さないとどうにもならない」とも述べた。

 麻生氏の発言に対し、民進党の岡田克也代表は大分県由布市で「国は年金や医療、介護制度で、高齢者の不安に応えなければならない。私は非常に怒っている」と批判した。共産党の志位和夫委員長は東京都内で「人間の尊厳をどう考えているのか。血も涙もない」と述べた。

ちなみに冒頭に取り上げた記事と同じ朝日新聞が麻生氏発言の全体を掲載していて、これを読むと自虐を込めた笑い話的に消費の重要性を語った内容で会場は大受けだったそうですが、当の朝日の方でもどう取り上げるべきか迷ったのか何が言いたいのかよく判らない記事になっていますね。
高齢者が一番金を持っていると言うのは各種統計にもはっきり出ている単なる事実で、そのお金をどうやって社会に回していくかと言うことは以前からの課題として言われてきたことですが、「それは高齢者が生活に不安があるからだ。だからもっと高齢者にお金を支給しよう」では際限のない社会保障費の増大を招くだけですから、既存のシステムとは異なる方法でのアプローチが必要になるのは当然です。
そうした観点から今回の件で面白いなと思ったのは民進党代表である岡田氏が冒頭のようなコメントをしている一方で、同じ民進党内で蓮舫氏が主張の内容に理解を示していると言うことで、高齢者相手には適当に甘いことばかり言っていれば票を入れてくれるとばかりにいたずらに聖域化していられる時代ではないと言うことでしょうね。

麻生氏「いつまで生きるつもりなのか」発言  民進・蓮舫氏から意外な「援護」が(2016年6月18日J-CASTニュース)

麻生太郎副総理兼財務相が2016年6月17日、北海道小樽市で開かれた自民党の集会で、「90になって老後が心配とか、わけのわからないことを言っている人がテレビに出ていたけど、いつまで生きているつもりだよと思いながら見ていた」と発言し、複数のメディアが報じた。
(略)
しかし、一方では
    「これ早く死ねという含意じゃなくて、90歳が『老後』という言葉を使ったことに対して、90歳が老後じゃないなら人生何年なんだというツッコミに過ぎないんじゃないの。」
    「因みに最近麻生さんは毎度講演の度にこの話をするんだけど、遂に自分自身が後期高齢者になっちまったと言う所までセットで会場を大草原にする。」
    「麻生さん間違ってないでしょ。貯金してないでお金使わなきゃ。お金持ってるのは高齢者ばかりなんだから。この人の言い方が悪いのは昔から。ニュースにするほどじゃない。」
と、理解を示す意見も少なくない

蓮舫氏「言葉は乱暴だが、趣旨は共鳴」

そうしたなか、参院選を前に自民党との対決姿勢を強める最大野党、民進党代表代行の蓮舫氏の18日のツイッターが目を引いた。蓮舫氏は、日経電子版の記事を引用して、「(麻生氏の)言葉は乱暴」だと前置きしながらも、
    「(『いつまで生きるつもり』を)見出しにする報道はいかがか
と指摘。そのうえで、
    「1700兆円もの個人金融資産の多くを保有する高齢者に『消費』に使ってもらいたいという趣旨は共鳴。問題は、どうして『使わない』のか。消費税増税先送りでも社会保障の充実は先送りすべきではない。」
と投稿。麻生氏の問題提起を正面から受け止めないメディアの取り上げ方を蓮舫氏が批判したようにも読め、麻生氏にとっては一面的な切り取り方をするメディアに対する意外な援護になった形だ。

先日朝日新聞に介護保険法改正で自己負担が増えた結果高齢者をサポートする子ども世代の負担が増えていると言う記事が載っていて、自治体窓口に相談しても財源がないのだから仕方が無い、施設を対処し自宅介護するしかないと言われた云々とずいぶんな話が出ていますが、こうして仕事を辞め自宅介護を開始した結果親子揃って貧困生活に突入し共倒れと言うケースは少なくないようです。
現状で高齢者の社会保障コストは現役世代が負担することになっていますが、これについては何故金が無く支出も多く必要で貧乏な若い世代ばかりが苦労しなければならないのかと言う反発も次第に強まっていて、少なくとも富裕層や現役並み所得のある高齢者に対しては応分の負担を求めてもいいだろうと言う点まではコンセンサスが出来ているように感じます。
1700兆円の個人金融資産のうち6割は3000万人の高齢者が持っていると言いますから、高齢者自身の持つ資産を高齢者のために使うなら一人当たり平均3000万以上になり十分高齢者だけで自給自足出来る計算ですが、こうした再分配を嫌って子どもや孫に生前贈与をしますと言うのであればそれはそれで社会にお金が回るのですから悪くない話です。
麻生氏発言を批判するとなれば高齢者は今以上に貯蓄に励むべきだと言うことになってしまいますが、「社会保障の充実は先送り」せず「高齢者の不安に応え」るためにも手つかずの高齢者資産に着目し活用を図るべきだと、民進党あたりが次回選挙の公約として掲げてみてくれれば面白いと思いますね。

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2016年6月21日 (火)

この場合は嘘も方便とは言いがたい

またやりきれない事件が起きたものですが、こちらの記事から紹介してみましょう。

自称祈祷師、殺人罪で起訴=糖尿病治療させず男児死亡―宇都宮地検(2016年6月17日時事通信)

 糖尿病の男児に不可欠なインスリンを投与させず死亡させたとして自称祈祷(きとう)師の男が逮捕された事件で、宇都宮地検は17日、殺人罪で近藤弘治容疑者(61)を起訴した。

 認否は明らかにしていない。

 近藤容疑者は逮捕当時「自分にはどんな病気も治せる力がある」などと主張。地検は約半年間鑑定留置し、責任能力を調べていた

 起訴状によると、近藤容疑者は昨年4月、男児の両親がインスリンを投与しなくても治療できると信じていることに乗じ、死亡する恐れがあると知りながら投与させずに放置、男児を糖尿病による衰弱で死亡させたとされる。

 栃木県警によると、男児の母親が、知人の近藤容疑者に病状を相談。近藤容疑者は「腹の中に死に神がいるからインスリンでは治療できない」などと言い、代わりに体を触ったり、呪文を唱えたりしていたという。 

しかし馬鹿げたことをやって重大な結果になれば罪を裁かれるのは当然だと思いますが、あまりに壮大に馬鹿げていると責任能力なしとして罪を問われないと言うのも何か釈然としない話ですが、言っていることはまさしく祈祷師と言う感じで、子どもの年を考えればまだ若い親でしょうに今どきこんな台詞に引っかかる人もいるんだなと逆に新鮮さを感じますね。
この種の事故が起きるたびに親の責任はどうなるのかと言う声も上がるのですが、病気の子を抱えて不安に感じている親の心理に巧妙につけ込めるからこそこの種の手合いが商売として成り立つのであるし、食っていける程度には顧客がついていたと言うことでしょうから、大多数の場合これでも十分何とかなっていたとも言えます。
大事な治療の最中に横からこうした連中が介入してきた場合の担当医の苦労も察して余るものがありますが、別にそれは怪しい祈祷師の類ではなくても同じ医療従事者であっても同じことで、先日はこんな記事が出ていたことを取り上げてみましょう。

渡辺謙さんの“早期胃がん治療”は必要だったのか?<がんと診断されても信じるな>/近藤誠(2016年5月29日幻冬舎plus)

 芸能人が胃がんで闘病したことがよく話題になります。最近では俳優の渡辺謙さんに人間ドックで早期胃がんが見つかり、内視鏡による治療をうけました。
 渡辺謙さんが胃袋を残せたことは幸運です。でも、早期胃がんを発見して治療することは、ほんとうに役に立つのでしょうか? 
 今回は、僕のセカンドオピニオン外来を訪ねてこられたWさん(55歳、男性)との相談内容を紹介します。

 「こんにちは、近藤です。会社で指定された人間ドックの内視鏡検査で胃に異常が見つかり、組織をとって顕微鏡で調べたら、“早期のがん”だといわれたのですね」
 「はい。内視鏡治療で有名な病院を紹介され、治療日も決まっています」
 「内視鏡の写真では、胃の上部に直径2センチほどの少し盛りあがった病変があります。おそらく粘膜にとどまる早期胃がんで、内視鏡による粘膜の切除は可能でしょう」
 「切除したほうがいいんですか?」
 「今日は質問にお答えするので、治療をうけるかどうかは、おうちに帰ってから決めてください
 「わかりました。では内視鏡による切除で、副作用が生じる可能性はどのくらいですか?」
 「胃壁に穴があいたり、出血したりすると、開腹手術になることもあります。そういう事故が生じる率は手術者によって異なりますが、医者や病院には、成績をよく見せかけたいという気持ちがあるので、彼ら自身がいう実績やら数値はうのみにしないほうがいい。どうも5~10%程度はあるようです」
 「担当医は、内視鏡治療の名手だと聞いているんですが……」
 「手術の上手な人だと事故率が低いことは確かで、1%未満かもしれません。ただ、その人が治療してくれる保証がない。名人がいる病院は修行中の若手医師もたくさんいます
 「そういえば診察中、若手医師がふたりほど立ち合っていました」
 「痛まないように麻酔で眠らされたら、だれが施術したかわかりませんからね。そうでなくても、いよいよ治療だというときに若手医師から『はじめまして〇〇です。今日の治療は私が担当します』と切りだされたら、治療台から飛びおりて逃げ帰るわけにもいかず、いやいや同意してしまうのが患者心理です。
 名人に確実に切除してもらえるのは、渡辺謙さんのような重要人物だけです」
 「やっぱり、そうなんでしょうね……」

いやまあ、この種の方々の呪文…もとい、患者心理を巧みに誘導する話術なるものがどのようなものかよく判る貴重な記事だと思いますけれども、大まじめでこういうことを書いている近藤誠なる人物は転移癌を放置しても10年生きられると言うどこか我々とは異なる世界の住人だそうですから、いちいち突っ込んだら負けなのかも知れません。
どこの病院も忙しいご時世にこうしてゲートキーパーとして治療希望患者を裁いてくれる人がいてもいいじゃないかと言う妙に前向きな?意見も時に拝見するのですが、それでも真面目にこうした言葉を信用してその通りにやっていた方々がいずれは大変なことになっても近藤氏が面倒を見てくれるわけでもありませんから、人生の一大事を相談するような場合は相手も選ばなければ駄目だろうと言うことですよね。
こうした方々に恐らく共通する話術として相手の不安に巧みにつけ込み増幅させていくと言うことがあるように感じましたが、これらは本来であれば正しい医療情報が身について入れば相手にもされないはずのことですから、嘘がまことであるかのように流通出来てしまう世の中にも問題があるとも言えます。
一方で好き放題なことをやって罪のない人々の健康に重大な被害を与えても何ら罪に問われないのはおかしいのではないかと誰しも考えるところですが、相談されて意見を言うだけであれば特別の資格も必要なく言い値で料金も取れる理屈で、こうした方々が野放しにされている現状をなんとかするためにはルールの方でも対応が必要になるのかも知れませんね。

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2016年6月20日 (月)

身体的拘束は悪いことだと言います

先日こういう記事が出ていたのをご存知でしょうか。

知的障害者3人の個室に鍵、20年拘束も 鳥取の施設(2016年6月13日朝日新聞)

 鳥取県は15日、鳥取市鹿野町の障害者支援施設「県立鹿野かちみ園」で、知的障害のある40~60代の女性入所者3人が入所時から3~20年間にわたり、個室にいる間は扉に鍵を掛けられ、外に出られないようにされていたと発表した。同園は指定管理者の県厚生事業団が運営。県は鳥取市と共同で立ち入り調査し、虐待と判断した。

 県障がい福祉課によると、3人のうち60代女性は他の入所者の個室に入って掲示物を止めるためのマグネットなど小物類を食べてしまう癖があるといい、施錠期間は約20年。他の2人は40代で、暴力を加えたり受けたりするとして、それぞれ約7年と約3年にわたり施錠されていたという。

 食事や訓練作業などで支援員とともに個室の外にいる時間はあり、鍵を掛けられていた時間は最近で1日6時間半~14時間だった。いずれも家族の同意は得ていたという。5月10日、仕事で同園に出入りする人から県に「虐待ではないか」と通報があり、発覚した。

 国の基準では、障害者の身体拘束をするのは他に手段がない「緊急やむを得ない場合」で、一時的でなければならないという。小林真司・障がい福祉課長は「職員に虐待という認識がなかった」とする一方、「小物類を食べてしまうなど問題があるなら分析し、必要な支援をしなければならないが、それをせず、漫然と施錠を続けていた」としている。

 県と市が調査に入った5月19日以降、同園は施錠をとりやめ、日中は少なくとも職員2人が見守るようにしているという。

まあしかしこれらの方々それぞれに複数の職員が拘束されるわけですから、当然ながら他に目が行き届かない部分が多くでてくるのだと思いますが、時にこうした職員の偏在が新たな事故を誘発したり、保護者や家族との軋轢を生んだりと言うこともあるそうですね。
いわゆる拘束と言う行為に関しては近年規制が厳しくなってきていることもありますが、こうした行為はもちろん一般論として本人の意に沿わない拘束や虐待にも相当する可能性があるものの、ではそれに対してどういう対案があるのかと言う点について未だにはっきりした答えが出ていません。
もちろん漫然と習慣的にそうした行為を続けていくことは避けたいと言えば言えるのですが、突発的にいつどうした行動に出るか判らない人に対して対策を講じないでもいいと言うことにもならずで、結局は家族と相談しながら現場の責任で何とか折り合いをつけていく以外に仕方がないと言う場合も多いのでしょうね。
そうした点でこれまた厄介な問題が発生したと思えるのが、上記の記事が出たつい数日後にこんな記事が出てきたと言うことですが、程度の差こそあれ人の集まりである以上類似のトラブルはどこの施設でも起こっていることだろうと思います。

精神科病院で入院患者を殺害 容疑で入院中の男を逮捕(2016年6月17日産経新聞)

 17日午前0時半ごろ、和歌山市内の精神科病院から「患者が他の患者を殺した」と和歌山県警和歌山西署へ通報があった。警察官が駆けつけると、院内で入院中の男性患者(70)が頭から血を流して倒れており、死亡が確認された。同署は、殺人容疑で別室に入院していた男(69)を緊急逮捕した。容疑を認めているという。同署は動機などについて調べている。

 逮捕容疑は、同日午前0時~0時半ごろ、男性患者の部屋へ行き、頭部を木製の将棋盤で数回殴り、両手で首を絞めて殺害したとしている。

 病院によると、2人は昨年5~8月に同室だったが、トラブルが重なり、男性患者の申し出で別室に移動していた。

この事件の場合は以前からトラブルが重なっていたこと、そして被害者となった同室者も何かしら感じるところがあったのか加害者と距離を置こうとしていたようですが、そうではあっても重大な事件が発生してしまったと言うことで、下手をすると施設側が管理責任なりを問われることになる可能性もありそうです。
ただ問題が続いていたとは言っても拘束を行うだとか個室に隔離すると言ったことは前述の通り現状では許されない行為ですし、仮に裁判になって予見可能性を云々され罪に問われるなりするのであればどのような対策を講じるのが正解だったのかと言うことも示してもらわないことには何ともしがたいところでしょうね。
こうした場合どうしてもと言うことになればご家族に常時付き添ってもらうと言うことがありでしょうが、今の時代そもそも家族がいない、あるいは縁を切られていると言う患者も少なくないわけですから、なかなかそうした対策が取れるケースばかりではありませんし、そもそも家族で対応できないから施設に入っているケースも多いはずです。
施設で責任をもって預かれるような状態のいい方々しか引き受けないと言うのが根本的な対策になってしまえば家族はたまったものではないでしょうが、家族との間に了解があっても他から告発され裁かれると言うのであれば今まで以上に慎重な対応が必要になりそうですよね。

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2016年6月19日 (日)

今日のぐり:「山陽自動車道三木SA上りフードコート」

先日こういう記事が出ていたのですが、皆さんはどう感じられたでしょうか。

正直しんどい!子どもに付き合わされた辛い&意味不明な遊びたち(2016年5月6日ねたりか)

子どもにとっては楽しい遊びでも、大人から見れば「なにそれ?」というものもありますね。まったく楽しくない遊びに延々と付き合わされると、いいかげんにして!と叫びたくなります。今回は、100人のママたちに「面白さがまったく分からない、しんどい遊び」を聞いてみました!
(略)
エンドレス!?「ひたすら○○する遊び」

・「ペットショップの前で、ただひたすら子犬の動きを真似すること。ほかのお客さんの目もあって恥ずかしかった。」
・「4歳次男がいつもしたがる遊び。ジャンケンで何を出すか耳打ちされて、永遠に次男の言う通りに出して負け続けるジャンケン。お兄ちゃんに負けてばかりなので、私相手に勝ち続けて大喜びだが、こっちはめんどくさいし疲れる」
・「何を聞かれても『ちくわ』と答えなくてはいけない遊びをさせられた。謎すぎ」
・「延々と首を振り続けるという意味の分からない遊び。こどもは笑いながらやっていて、『ママもやって!』と言ってきた」

ジャンケンならまだしも、「ちくわ」と答え続けたり首を振り続けたり、もはやまったく意味が分からない行動を延々と繰り返すのは、苦行でしかありません(笑)。早く子どもの気が済むのを祈るばかりです。
子どもは遊びの天才。子ども同士で楽しく遊んでいてくれればいいけれど、大人も巻き込まれるとちょっとした悲劇が始まることも。しんどいながらもちゃんと付き合うステキなママたち、いつかきっといい思い出になる、はず!?

いやまあ、色々と傍目には理解困難な行動であっても当事者にとっては大変楽しいものだと言うことはままあることですが、それにしても何故にちくわなのか…好きなものに囲まれていたいと言った心理でしょうかね?
今日は日々子供達との付き合いに疲れているママさんを激励し応援する意味で、世界中からそれは判る、同情の余地あると感じられるニュースの数々を紹介してみましょう。

男侵入でコンロ消さず逃げ出す 重過失失火容疑、富士の住人逮捕(2016年6月13日静岡新聞)

     富士市で10日に住宅や借家など4棟を全焼、倉庫1棟を半焼した火災は、出火元の借家に暮らす住人が夕食を調理中、知人の男に家に押し入られ、近所に助けを求めて逃げた間に発生したことが分かった。富士署は、台所の火を消さずに逃げた住人に火災の責任があるとして12日、重過失失火の疑いで、同市宇東川西町、派遣社員(46)を逮捕した。
     逮捕容疑は10日午後7時ごろ、自宅の借家で油が入った鍋をガスコンロで加熱したままその場を離れ、火災を発生させた疑い。
     同署は11日、容疑者宅に無断で侵入したとして、住居侵入の疑いで知人の男(40)も逮捕している。容疑者は出火直前にこの男と口論になったといい、同署の調べに「近所の家に助けを求めて逃げ出す際、コンロの火を消し忘れた」と話しているという。実況見分の結果、この供述通りに容疑者宅の台所付近が最も激しく燃えていたことから、同署は過失による失火と断定して逮捕した。
     捜査関係者は「容疑者に同情する部分はあるだろうが、周囲の家も全焼させてしまっている。重大な火災を招いた責任を問わないわけにはいかない」としている。

細かい事情はさっぱり判らないのですが、しかしそうは言ってもいざ逃げ出すにあたってコンロの火を消していくと言うのもなかなか無理な話で、それは何とも間が悪かったとしかいいようが無いですね。
町の中には時折こうしたものが存在すると言うこと自体が謎めいているとも言われていますが、それが重大な結果を招いたと言う哀しいニュースです。

トイレだと思ってドアを開けたら『断崖絶壁』(2016年6月14日ソウル経済)

    酒に酔った女性が歌房(ノレバン=カラオケBOX)でトイレを探していて、非常脱出用の防火扉を開いて1階に落ちて重傷を負った。防火扉を開けば断崖絶壁だったのだが、普段からドアはロックされておらず、『転落注意』の案内文があるだけで、何の安全装置も無かった。この歌房では、昨年も同じような事故が起きている。

    14日の午前0時頃、釜山市(プサンシ)東区(トング)の某2階にある歌練習場で、イ某さん(22歳・女)が防火扉を開いて足を踏みはずし、3.8m下の1階地面に落ちた。彼女は頭と腕などを骨折して、病院に運ばれて治療を受けている。
    彼女が転落した場所は、火災発生時に避難する非常通路。しかし、ここは1階に繋がる折り畳み式のはしご以外は何も無い断崖絶壁だった。転落を防止する手すりもなかった。防火扉の前には『関係者以外立ち入り禁止』、『転落注意』、『火災時はしごで脱出してください』という案内文があるだけだった。
    イさんはこの日、友人と一緒に酒を飲んだ後、歌房に来てトイレを探していて事故に遭った。酒に酔ったイさんは、防火扉の外が断崖絶壁だとは思わず1階に落ちたと見られると警察は伝えた。

    この歌某では昨年の9月にも、客がこの防火扉を開いて1階に転落する事故が起きたが、その後も事故予防策は取られていなかった。
    事故の危険が高かったが消防法上、この非常避難通路を閉ざせば2,000万ウォン相当の罰金を支払う事になっていて、歌房の事業主は普段から放火扉を開けていた事が分かった。また、この歌某の非常脱出用のはしごが他の建物のように壁に付着する固定用ではなく、折り畳み形態で設置されていたのは、下の階が車が出入りする駐車場の出入り口だった事が分かった。
    警察はこの非常脱出口が消防法など、関連法上の安全基準を守っていたのかを確認して、問題があれば事業主を立件する予定である。

この種の一見何の役にも立っていない扉などをトマソンと言うそうですが、一体何故?と思わされるようなものが世の中数多くあるもので、時にこうした被害も出ると言うのは困ったものですよね。
日本でも高速道路上の無断駐停車による事故が時折報じられますが、こちら中国ではその理由が我々の想像の斜め上を逝っているようです。

高速道路に停めたトラック運転席でチャーハン作りに励む父!「子どもがお腹空いたと騒ぐから」―中国(2016年6月6日レコードチャイナ)

2016年6月5日、揚子晩報によると、中国の高速道路で同日正午過ぎ、子ども連れの夫婦が路肩に車を停めて昼食の準備をするという光景が目撃された。この報道に中国のネットユーザーが反応を示している。

浙江省杭州市の交通警察がパトロール中に発見したのは車道にはみ出した1台の大型トラック。ハザードランプは灯していたが後方に三角表示板はなく、事故かと考えた警官が後方から運転席に駆け寄ったところ、そこで目にしたのは4、5歳の男児を抱えながら電磁調理器でチャーハンを作っている中年男性だった。男性は問い詰める警官に対し、「子どもがお腹がすいたと騒ぐから仕方がなかった」「妻は道路下の水路に野菜を洗いに行っている」と説明。車内での自炊は節約のためだという。警官はその後、トラックを移動させて夫婦に厳重注意をし、違反点数6点と200元(約3300円)の罰金処分を言い渡した。

この問題に対し、中国のネットネットユーザーからは「サービスエリアに停車してご飯を作れば良かったのに」「民度の低い人間に民度を説明するのは難しい」「サービスエリアでは商品の値段が高いからこういう問題が起きる」「車内にお菓子を用意しておくという考えは浮かばなかったのだろうか」「高速道路で最も危険なのは道路上で車を停める行為。トラックなら後続車がぶつかっても無事かもしれないが、ぶつかった側は悲惨だ」など非難のコメントが数多く寄せられた。

昔から泣く子と地頭には勝てないと言う言葉があるくらいですし、ここまで手を尽くしてくれるのはきっと子どもにとってはいい親だったんでしょうね…
中国と言えばとりあえず生きものと見れば持ち帰って食べてしまうような印象がありますが、こちらそれなりに同情すべき事情があったようです。

「殺生を戒めるため」放たれた900匹のヘビ 村民が叩き殺す(2016年6月12日グノシー)

仏教の善行のひとつに捕らえた生き物を逃がしてやる「放生」と呼ばれる宗教儀式がある。中国で信心深いある女性がヘビ900匹を野外に放ったところ、とんでもない事態になってしまったようだ。『shanghaiist.com』が伝えている。

先月30日、中国四川省南西のある山に南京市出身の女性が900匹ものヘビを放った。女性は信心深い仏教徒で“捕まえた生き物を自然にかえすことで殺生を戒め、生き物に感謝する”という儀式「放生」を執り行ったという。

しかしこの山は都江堰市郊外にある村のそばで、放たれたヘビの一部が村に侵入。突然現れたヘビの大群に驚いた村民はパニック状態となり、木棒などを使ってヘビを叩き殺した。この村に暮らすレイさんという男性は「1時間ごとに家の周りにヘビがいないか確認する日々が続きました。先週はよく眠れませんでしたよ」と明かす。

ヘビを放った女性は放生の様子を「微博(ウェイボー/Weibo)」にアップしていたものの警察が介入する事態となり、アカウントを閉鎖せざるを得なくなった。成都市野生動物保護センターの職員は、村民が捕獲したヘビの写真を見て「この中に毒蛇がいることを確認しています」と語り、女性の行動を強く非難した。また山林管理の専門家は「こういった行動が生態系に何らかの影響を及ぼすのは確実です。女性はきちんと罰せられるべき」と憤る。

村民を危険にさらした行為について、Weiboユーザーの大半は批判的な意見を述べている。なかには「山ではなくて自分の寝室にでも放ったら良かったんじゃないか」といった辛口のコメントもあったようだ。

これは大きなお世話と言うしかない行為で村人の対応ももっともだと思いますが、ちなみに無事捕獲されたヘビがその後どうなったかはニュースでは伝えられていないようです。
最後に取り上げますのは何ともやり切れないとも言えるニュースなのですが、まずはこちらの記事から御覧いただきましょう。

仕事を全自動化して6年間も働かず年収1000万円を得ていたプログラマーが最終的にクビに(2016年6月14日GigaZiNE)

プログラマーは自分の仕事を減らすために便利なツールやソフトを作成することができることから、怠け者で愚かな人間ほど優秀と言われることがあるほどです。自作ツールを活用すれば単調で反復的な仕事の生産性を上げられるわけですが、なんと全ての仕事を全自動化して6年間にわたって給与を得ていたプログラマーが、最終的にクビになってしまったというredditの投稿をInteresting Engineeringが取り上げています。

RedditユーザーのFiletOfFish1066は、自らが職場で解雇された経緯をredditに投稿しました。FiletOfFish1066はアメリカ・カリフォルニア州のベイエリアに籍を置く有名IT企業で6年間働いていましたが、業務時間のほとんど全てをゲーム「League of Legends」や、ジムでの運動、redditサーフィンなどに費やしていたにもかかわらず、毎年9万5000ドル(約1000万円)の年収を得ていたとのこと。

FiletOfFish1066は就職して最初の8カ月で、自らが担当するプログラミングのタスクを全自動化し、ただ座っているだけで仕事が終わる環境を構築。FiletOfFish1066は週に40時間をオフィスで過ごしましたが、6年間で実際に働いた時間は50時間ほどに過ぎないとのこと。一方で、就職の際に受けたプログラミングテストの結果が非常に良好だったこと、職場に話しかけてくる仲の良い同僚がいなかったことなどから、FiletOfFish1066が実は何もしていなかったことに誰も気付かなかったそうです。

最終的にその業務スタイルが発覚したためか、FiletOfFish1066は上司から解雇を言い渡されたとのこと。さらにFiletOfFish1066は自分が完全にコードの書き方を忘れていることに気づき、困惑したと話しています。FiletOfFish1066は6年間のキャリアの中で、転職に有利なスキルなどを身につけていなかったことから、全ての業務をコンピューターに任せていたことを後悔したそうです。一方で、FiletOfFish1066は実家住まいで毎日の夕食は母親の料理を食べ、昼食は安いフィッシュサンドイッチで済ませていたため、6年間で20万ドル(約2100万円)を貯金しており、経済的なストレスはないとのこと。

現在FiletOfFish1066は、League of Legendsとビールの中毒に陥っていることを告白しており、人生を取り戻すべく2つの中毒から抜け出す努力をしているとのこと。ランニングに出かけたり、データ構築やアルゴリズムに関する本を読んで勉強したりしながら、プログラマーとしての再就職先を探しているそうです。FiletOfFish1066は「私は全てを忘れてしまいましたが、やる気を取り戻しました。自分はひどい怠け者でしたが、開発者としての自分が好きなのです」と話しています。FiletOfFish1066はredditの投稿を削除してしまったため、その後の進展は不明ですが、新たな職場でも業務を自動化していないのか気になるところです。

いやしかし結局解雇されてしまったわけですが、自分の仕事をこうまで自動化するスキルは称讚されこそすれ非難される余地はないと思うのですけれどもね。
この場合あたら有能なプログラマーの能力を使いこなせずスポイルしてしまった会社側にも問題があるかと思うのですが、しかし安楽な環境とは人間をかくも変えるものなのでしょうか。

今日のぐり:「山陽自動車道三木SA上りフードコート」

近ごろでは高速道路のSAがずいぶんと立派なものになっていますが、こちら山陽道三木SAと言えば西日本でも屈指の規模を誇る立派なものなんだそうです。
当然ながら様々な飲食店が揃っているのですが、この日はセルフサービスの飲食スペース、いわゆるスナックコーナーを利用してみました。

数あるご当地メニューの中から選択したのが加古川名物「かつめし」なのですが、飯の上にカツを載せてソースをかけると言う、広い意味でのソースカツ丼の仲間に入るものだと思います。
ただ岡山県のラーメン屋を中心に昔からデミカツ丼と言うものが定着しているだけに、見た目に丼と皿と言う違いこそあれ似ている部分が気になりますよね。
ちなみに由来としては両者に特に関係はないそうで、かつめしの方は伝統的にとんかつではなく牛カツを使う、そして皿に盛ったものを箸で食べると言うのが一般的であるそうです。
そのカツはなかなかサクサクでいけますし、また下に敷いてある茹でキャベツの塩加減が妙にいい感じなんですが、デミカツ丼ではどちらかと言えば余計なものに感じがちなキャベツがいいアクセントです。
ソースの方はデミカツ丼がラーメンスープがベースで独特の風味がある場合が多いのに対して、こちらの場合ごく普通の洋食風な仕立てで癖がない分好みは分かれなさそうですね。
盛り付けなど細かな点に違いはあれど、これだけよく似た料理が別個に育ってくると言うのは面白い話ですが、しかしやはり見た目にカツカレー然としたこれを箸で食べると言うのは何ともミスマッチな気がします。

こちらのSAでは他にも色々と近隣のご当地メニューなども取りそろえてあるようで、それぞれ一度は試して見たいものですが、こうした場所は県外客にとっては地元料理デビュー体験になる場合も多いはずです。
それだけに市中の味と比べてどの程度の再現性があるのかも気になるところですが、こちらのSAは比較的味のレベルは高いと言う評価が多いようですのでこれも味の下見にはなるのでしょうかね。

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2016年6月18日 (土)

ピースボートではなかったと言うサクラさんの話

先日の東京都知事の電撃辞任で後任が誰かと話題になっているところですが、その裏でこんなニュースが話題になっています。

「次期都知事は誰がいい?」と街頭インタビューされた女性がTBSとテレ朝に立て続けに出演し波紋(2016年6月16日ロケットニュース24)

2016年6月15日、それまで続投の意向を表明していた舛添要一東京都知事が、突然の辞意を表明した。猪瀬前知事に続く金銭絡みの途中退場となったが、都民の関心は早くも次期都知事に向けられている。
そんな中、6月15日放送のTBS系列『Nスタ』と、テレビ朝日系列『スーパーJチャンネル』に出演していた「街頭インタビューを受けた女性」が、同一人物ではないかとネット上を中心に話題となっているのだ。

・同じ女性が2つの番組に登場?

話題となっているのは、東京は新橋のSL広場前と思われる場所でインタビューを受けている女性。どちらの番組でも「次の都知事は誰がいいですか?」との質問に、「蓮舫さん」と答えている
髪型や顔立ち、さらには服装まで同じように見えることから、ネット上では「テレビ局があらかじめ女性を準備していたのでは?」と話題になっているのだ。

・「やらせ」なのかは現時点で不明

ただし、新橋のSL広場といえば街頭インタビューのメッカである。たまたま女性が通りがかかり、偶然にも両番組が同じ女性に話を聞いた可能性も高いだろう。ネット上では「やらせ」の声も挙がっているが、現段階でそう断じることは出来ない。
(略)

本当に同一人物かどうかはネット上で取り上げられている画像などから判断いただきたいところなんですが、この話題に関しては会社が違う番組であるにも関わらず同一人物を登場させて同じ答えを語らせていると言う点から、到底偶然取材した結果だとは思えないと言う声が出るのは当然ですよね。
一方でこの人物が実はピースボートのスタッフではないのかと言う声も上がっていて、先日の熊本地震においてTBSの番組取材で避難所の方々とトラブルになった際に、まさにテレビスタッフが現地ボランティアだとしてマイクを向けようとしていた人物と同一人物だと言う意見も広まっているようです。
通常こうしたケースではネットなどによる検証に対して当のマスコミがどう反応するのかと言う点が注目されるところで、多くの場合黙殺されるだとか否定されて終わりと言うのがパターンなのですが、今回に関しては前者の疑問はともかく後者の疑問については有名団体所属のスタッフと言うこともあって、その団体の側から疑惑を報じた産経に対して抗議が入っているようですが、これに対する産経の反応が早いことも話題になっています。

ピースボート災害ボランティアセンターが産経ニュース記事に抗議 「女性スタッフは熊本で活動中で街頭インタビューに応じるわけない」(2016年6月16日産経ニュース)

 一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンターは17日、産経ニュースが報じた記事「TBS番組『街の声』の20代女性が被災地リポートしたピースボートスタッフに酷似していた?!」に対して抗議文を寄せた。
 ピースボート災害ボランティアセンターによると、被災地リポートした女性スタッフは、5月から現在に至るまで熊本で災害ボランティア活動をしており、6月15日の報道当日に東京で街頭インタビューに応じられるわけがないとしている。
 抗議文は以下の通り。

   6月15日付 産経ニュースの記事について

 一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンターは、2016年6月16日18時55分に「産経ニュース」で報じた『TBS番組「街の声」の20代女性が被災地リポートしたピースボートスタッフに酷似していた?!「さくらじゃないか」との声続出』の記事に関して、記事内の写真の女性が当団体スタッフでないことをご報告するとともに、当団体に一切の確認もない報道姿勢に対して、強く抗議いたします。
 今回の記事は、6月15日にテレビ朝日のニュース番組「スーパーJチャンネル」、TBSのニュース番組「Nスタ」が東京JR新橋駅前で、舛添都知事の辞任に関する街頭インタビューに応じた女性が同一人物、かつ以前4月21日に熊本地震に関して報じたTBS「Nスタ」のインタビューに応じた当団体スタッフとも酷似しているとの内容です。4月21日に熊本で「Nスタ」のインタビューを受けた当該女性スタッフは、現地災害救援活動のため6月15日の報道当日を含め5月、6月中は熊本に駐在しており、そもそも東京での街頭インタビューに応じられるわけがありません。
 また、当該スタッフと街頭インタビューの女性が同一人物かどうかは、当団体に確認を取れば明らかになることにもかかわらず、当団体には事前に一切の連絡もなく、単なる憶測で書かれたものと思われます。大手マスメディアとしての自覚がないばかりか、悪意さえ感じる内容です。
 当団体は、いまも厳しい被災状況の熊本において、1日も早い復旧・復興に向けた災害救援活動を続けている最中です。当該女性スタッフも現地派遣職員として、被災された熊本の皆様のために尽力するなかで、このような本人とは無関係な記事をきっかけにインターネット上でのいわれのない誹謗中傷を受け、現地活動に支障をきたすばかりか、本人の身の危険を感じる書き込みさえ行われています。
 当団体としても、このたびの記事に対して、記事を書いた記者および御社編集部に対して強く抗議するとともに、即刻の謝罪と訂正記事の掲載を求めます。また、本件に関して、本日中に文書による御社からのご回答を求めます。
 一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター代表理事 山本隆


ピースボート災害ボランティアセンターへの回答書(2016年6月17日産経ニュース)

 一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンターの山本隆代表理事の抗議を受け、産経新聞社は以下の回答書を送付した。

回答書
平成28年6月17日

 6月16日に産経ニュースで報じた「TBS番組『街の声』の20代女性がピースボートスタッフに酷似していた?! 『さくらじゃないか』との声続出」の記事に関して、貴団体の抗議に回答いたします。
 当該記事は6月16日にインターネット上で話題になっていた事象を記事化したものです。ご指摘通り、記事化する際、TBSおよびテレビ朝日に取材するだけでなく、貴団体にも取材すべきだったにもかかわらず、これを怠っておりました
 貴団体およびスタッフに多大なご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。
 取り急ぎ、当該記事は産経ニュースおよび関連サイトから削除しました。代わって貴団体の抗議文を掲載しております。この回答文も全文を産経ニュースに掲載いたします。

今回の件についてはピースボートのスタッフであるかどうかはともかく、二社の異なる番組に登場したよく似た人物が単なる他人のそら似なのかどうか何ら発表も反応もないのですが、しかしさすがに天下のピースボートからの抗議にはこうまで素早く対応されるものなのだなと改めて感じ入る一方で、結局二つの番組が同じ人物にたまたま揃ってインタビューしたのかどうかは謎のままです。
この種のサクラ疑惑に関しては過去にも繰り返し報じられ、中の人からも欲しいコメントを確実に得るための必要悪である云々の弁解も聞こえてくるのですが、そもそも街頭インタビューでお約束のコメントばかり得る必要があるのかどうかですし、恣意的な番組作りのためにサクラを活用しているとなれば少なくともノンフィクションだとはとても言えない話です。
一方で諸外国でも同様の話は幾らでもあって、中には常習的にテレビ画面に登場することで有名になった一般人?の方などもいらっしゃると言いますから、洋の東西を問わずマスコミとはそういうものなのだと考えておくべきなのかも知れませんが、各社がどんな方々を選んで登場させるのかと言う点から各社なりの主張をうかがい知ることが出来ると言うのも便利な世の中だと考えるべきなのでしょうか。

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2016年6月17日 (金)

当事者曰く圧力などと言うものはなかった

毎日新聞と言えば朝日新聞を並んで日本を代表する良心的な報道機関として知られていますが、その中の人から先日こういう記事が出ていました。

岸井成格氏「報道番組のジャーナリズム精神は失われつつある」(2016年6月14日NEWSポストセブン)

 私たちが日頃、見ているニュース番組の周辺が何かと騒がしい。「圧力」「電波停止」「キャスター降板」…そんな言葉がこのところ、“ニュース”として報じられている。参議院選挙を直前に控えた今、私たちが知るべき情報は本当に伝えられているのだろうか。『NEWS23』(TBS系)のアンカーだった毎日新聞特別編集委員の岸井成格さんが、ニュース番組について語る。

 事実を伝えるだけなら、人工知能にだってできること。事実があり、その裏側にはこういう意味があるという“解説”までできなければニュース番組ではありません。

 古今東西、権力は必ず腐敗し、時に暴走してきました。特にその権力が、多数決で圧倒的な力をもっていると暴走しやすくなります。これにストップをかけるのがメディア、とりわけジャーナリズムです。本来、報道は、政府による権力の暴走を止める役割も持っているのです。決して政府の広報局ではありません。
 安保法案についても、単に政府の発表を放送するだけなら、良い法律のように見えてしまう。でも、その裏には危険な思惑があることをしっかり解説して問題を投げかける責任が、ニュース番組にはあります
 その点で、日本のニュース番組のジャーナリズム精神は失われつつあります。政府や権力に甘く見られ、圧力をかければ屈すると思われてしまっているのです。別に権力に反抗したからといって、番組を止められるわけではありません
 テレビ局のトップ、そして現場で番組作りに携わる人にはどんどん声を上げてほしいと思いますね。報道機関の使命を再認識してほしいです。

そもそも日本に本当の意味でのジャーナリズムは存在しない、あるのは単なる扇情だけであるとは時に言われることで、最近では東京都知事のスキャンダルに絡んだ報道などもこうした点から批判する声もありますが、バッシングに参加しない者が今度はバッシングの対象になると言ういじめの論理にも似たものが背景にあるのではとも言われていて、例えば震災などの際に自粛を強要する風潮などと同様日本社会全体の問題であるとの指摘もあります。
それはともかく、事実を伝えないと言う点でマスコミ各社が世間的批判を大いに受けるようになった時代、人工知能にだってできることを何故やらないのかと言う疑問はあるところですが、岸井氏の主張したいところには報道には事実以外にマスコミ各社による何かしらの思想なり目的なりを盛り込まなければならないと言うことでしょうかね。
そうした点で先日岸井氏好みの話だろうと思われるニュースが出ていたのですが、これなどは世間一般ではいささかどうよ?と思われるような話である一方で、マスコミ的にはこれくらい当然であると言う声も少なくないようです。

古館氏「政治的圧力」演出していた!(2016年6月9日Japan In-depth)

朝日新聞が5月31日朝刊に掲載したテレビ朝日の前キャスター、古舘伊知郎氏とのインタビュー記事は衝撃的な内容だった。
古舘氏は朝日新聞がキャンペーンとして伝える、「テレビ局に政府・自民党の政治的圧力がかけられている」という趣旨の主張を完全に否定しただけではなく、自分自身が画面上でその政治的圧力があるかのような演出をしていたと認めたからだ。圧力がないのに圧力があるかのようにみせかけていた、と、当の本人が告白したのだ。

この報道は「キャスター敗北の12年」「インタビュー」という見出しの長文の記事だった。内容は朝日新聞の佐藤美鈴記者と古舘伊知郎氏との一問一答がほぼすべてである。
古舘氏はいうまでもなくテレビ朝日系のニュース番組「報道ステーション」のキャスターを12年間、務め、今年3月末に降板した著名人である。
このインタビューでは佐藤記者が「政治的圧力があったのだろう」という推測を何度も何度も執拗にぶつけ、誘導尋問を試みる。だが古舘氏はそんな圧力はまったくなかったと、否定を繰り返す。そして圧巻は以下のやりとりだった。

佐藤記者「それでも、なんらかの圧力があったのではと受け止められた
古舘氏「画面上、圧力があったかのようなニュアンスを醸し出す間合いを、僕がつくった感はある」

以上の古舘氏の言葉で「圧力があったかのような」というのは、明らかに圧力は実際にはなかったのに、あったかのようにする、という意味である。その後の「ニュアンス」とは普通の意味では「見えない何かを感じるさま」という意味だろう。「醸し出す」とは「作り出す」ことである。
つまり政治的圧力がないのに、あったかのように視聴者に感じさせる虚偽の印象を作り出していた、ということになる。なんともショッキングな告白である。
この古舘氏の告白こそ朝日新聞などがこのところ続けている「政府のテレビ局への政治的圧力」キャンペーンの真実だといえよう。つまりは政治的圧力があるかのようなニュアンスがキャスターにより意図的に醸し出されていたというわけなのだ。
参考までにこの同じインタビューで古舘氏が語った他の言葉も紹介しておこう。要するに朝日新聞の推進する「政治的圧力」キャンペーンの全面否定なのである。

佐藤記者「政治からの圧力は本当になかったのですか」
古舘氏「僕に直接、政権が圧力をかけてくるとか、どこかから矢が飛んでくることはまったくなかった。圧力に屈して辞めていくということでは決してない
佐藤記者「この春、NHK『クローズアップ現代』の国谷裕子さん、『NEWS23』の岸井さんも相次ぎキャスターを降りました」
古舘氏「岸井さんも国谷さんも、会ったことはありません。同時多発に辞めたのは不思議ですね。通底する何かがあるんですか? むしろ朝日新聞にお聞きしたい」

いやはやなんとも信じがたいような真実の発覚だといえよう。

この古館氏の発言については以前にも当「ぐり研」で取り上げたことがありますが、今読み返してみても古館氏自身は「プレッシャーや圧力がかかって辞めさせられるということは一切ない」と断言しており、また同番組のコメンテーターが降板した際に圧力が云々と主張した際にも強い口調でそれを否定するなど、一貫して圧力なるものの存在を否定してきたにも関わらず、何故かマスコミ各社では圧力圧力と騒ぎ立ててきた経緯があります。
元記事である「キャスター敗北の12年」の方はネット上に出ていますから興味のあるお方は参照いただきたいと思いますが、まあしかし前述の岸井氏にしても「別に権力に反抗したからといって、番組を止められるわけではありません」と断言しているくらいで、中の人にとっても圧力云々などはフィクションであると言うことが常識であった、それを知った上で「問題を投げかけ」るためにやっていたことと言う理解でよいのでしょうか。
しかし良心的な報道各社にとってはいわば二階に上げられてからハシゴを外されたような心境なのかも知れませんが、過去の各種報道に見られるように「いや、このコメント自体も古館氏に対する圧力の結果なのだ」とむしろ憶測を強化する方向に利用される可能性すらあって、今後朝日を始め各社がこの圧力問題なるものをどう扱っていくつもりなのかに注目したいですね。

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2016年6月16日 (木)

ネット上での症例提示に処分

個人情報流出に関して非常に敏感な時代で、先日は著名人が本人の了承もなく進行癌であるとスクープされた件などが話題になっていましたが、なかなかに微妙に思える事件が報じられていましたので紹介してみましょう。

患者の診療画像、医師が無断でネットに投稿(2016年06月15日読売新聞)

 青森市勝田の青森市民病院で、医師が患者に無断で患者の診療画像などを動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿し、昨年5月に市から訓告の処分を受けていたことがわかった。

 14日の市議会一般質問で、市議の質問に答える形で市側が認めた。

 質問した共産党の村川みどり市議や市民病院などによると、昨年1月、動画サイトを見た患者の家族から「うちの家族の患部の画像ではないか」などと病院に問い合わせがあり、事実確認をした結果、同病院の医師による投稿だと発覚した。医師は投稿を認め、「学術的な研究のため、より見やすい環境にしたかった」などと話したという。

 画像は、患者個人が特定できるものではないが、患者の了承を取っておらず、すでに医師が患者に謝罪したという。同病院の安保明彦事務局長は「再発防止に努めたい」と話した。

患者の診療動画ネット上に公開 医師訓告処分(2016年6月15日河北新報)

 患者の診療に関する動画や写真を無断でインターネット上に公開したとして、青森市が青森市民病院勤務の医師を訓告処分にしていたことが14日、分かった。同日の市議会一般質問で取り上げられた。

 同病院などによると、医師は診療情報に関わる画像などを、患者に許可なく動画投稿サイト「ユーチューブ」に送った。医師は「学術的な目的だった」と話しており、個人が特定できるものではなかった。患者の家族から昨年1月19日、相談があって判明。市は昨年5月22日に処分した。

 医師は他にも複数の患者の動画を数件公開していたという。動画は既に削除されている。市は「懲戒処分に当たらないので公表しなかった」と説明。同病院は再発防止のため、個人情報保護に関する運用方針を定めたという。

ネットの発達で医学教育もネット上で行われると言うことが当たり前になってきていて、有料や学会など登録制でやっているところももちろんあるのですが、一方で当該記事のように公共の場とも言える動画共有サイトにあげられている場合も少なくなく、特に個人レベルでやっている場合にはほとんどがこうしたケースではないかと思います。
もちろん個人名や患者番号など個人情報を含んだまま公表すると言うことはあってはならないことですし、今回の記事もその辺りはごく一般的な対応をしているようで、こうした個人情報を消去した症例の画像などは通常は患者に了承を得なくても
学術目的で使用することは普通に行われることですが、学会発表などではなく一般の動画共有サイトであると言う点で微妙にグレーゾーンですよね。
そもそも患者がこうした医療画像から自分のものだと判るものだろうか?と言う点ですが、記事の書き方ですと診察光景なりだったのでしょうか、他にも患者なり家族なりが医療関係者であった場合には珍しい症例だと認識し記憶している場合もあるでしょうし、例えば再建術などで体表の写真を掲載したような場合であれば素人であっても気づくことはあるのかも知れませんが、いずれにしても同様の事態が今後も起こる可能性はありそうです。
ちなみに記事にもある通り青森市民病院の現在の個人情報保護のルールはこちらのようなのですが、さてこれを見ると今回のケースに関して今後は事前に情報取得の了解を得る、そして利用に関しては今後も個人が特定出来なければ問題なしと言うことになるのでしょうか?

今回の件に関しては当局などもあまり厳しい処罰などはしていないと言うのは、特に診断や手技的なものについてはこの種の画像や動画を用いた症例の共有が医学教育として非常に有用であること、また個人情報を消去した画像まで強力に規制すると非常に厄介な問題を引き起こしかねない等の判断もあったのでしょう、まずは妥当な対応であったのかとは思いますが、それでもこうして全国ニュースで取り上げられ削除に追い込まれているわけです。
せっかく進歩したネット環境が身近なものになっているのですから、今さら医学教育をこれなしで行うと言うことも現実的ではありませんが、例えば登録制会員サイトのような形式で一般人の目には触れないような形にすべきなのかと言えば、外国の施設などからアップされているようなケースもあるわけですから全てをそうするのも難しいでしょうね。
となると患者には判りにくい形でなるべく画像の提示方法などを工夫すると言うことが当面の対策になるのでしょうが、形成外科などは体表写真も載せたくなることが多いのでしょうし、一人一人やり方が違う以上見れば自分だと判る理屈で、正直この問題に関してはあまり公的なルールなどと突き詰めずほどほどに有耶無耶になっていただくのが一番面倒がなさそうなのですが、今後各地の施設で何らかの通達なり出てくるでしょうか。

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2016年6月15日 (水)

保険証一枚で医療に不安のなかった時代が終焉?

海の向こうのアメリカにおいて、こんなテレビ番組が大きな話題となっていたことをご存知でしょうか。

米有名TV司会者、番組内で1500万ドル/6000人分の医療債務を購入し借金を帳消し(2016年6月7日ビジネスニュースライン)

米有名ニュース番組「Last Week Tonight」の司会者を務めるJohn Oliver(ジョン・オリバー)氏が日曜日に放送された番組内で、個人債務が企業間で売買いされている事実を明らかにするために、実際に1500万ドル/6000人分の医療債務を購入し借金の返済義務を帳消したことが大きな話題を集めている。

ジョン・オリバー氏は番組内で、個人が病院で診療を受けた際に多額の医療費が発生していることの問題を改めて浮き彫りにするために、番組の制作費を利用して、実際に、1500万ドル/6000人分の医療債務を60万ドルで購入することを行った。

その上で、彼が番組内で購入した医療債務の債務者に対して、返済を求めないことを表明すると同時に、個人債務である限り、債務者は利子を付けて全額返済しなければならない義務が生じるのにも関わらず、それらの債権が企業間で実際の債務総額の25分の1という破格値で取引されている債権市場の嘘っぱちで欺瞞に満ちた世界を実際に他社から債権を購入することで実証して見せた。

個人の医療債務が企業間でまるで商品のように取引されることにより、多額の医療費を支払えなくなった個人は、当人には一切、非がないのにも関わらず、その債権をバルク購入したまったく知らない企業から訴訟を起こされ、多額の借金返済を迫られるという事態が発生。これらの状況は、近年、米国内で大きな社会問題化している。

米国の場合、住宅ローンに関しては、借主責任限定型のノンリコース方式を採用しているため、住宅ローンが支払い不能に陥ったら、担保が設定されている住宅そのものを手放せば少なくとも借金からは解放される。対して、現在、米国内で社会問題となっている医療債権や学費ローンなどの場合、そもそも担保設定がされていないため、借金から逃れることは非常に難しく、借金の返済が滞った場合、未払いの利子が膨らむことによって返済額がどんどんど膨らみ、返済が更に難しくなるといった問題を抱えている。

ジョン・オリバー氏はこれまでもこうしたマスコミがあまり取り上げない社会の嘘を番組内で指摘することで大きな人気を集めてきたが、今回の6000人分の医療債務を購入して借金を帳消しにしてみせるという行為は、TV番組の枠組みを大きく超えるものとして注目を集めている。

全く関係ないことですが不肖管理人もよく見る「Pimp my ride」と言う番組がありますけれども、日本ではまず見かけないこの種のプレゼント的な行為をアメリカ人は割合に好きなのでしょうかね。
アメリカ人の個人破産の最大の理由が医療費支払いであることはすでに広く知られたところですけれども、当然ながら支払い不能に陥った債務を各病院が多数抱え込み焦げ付かせていることにもなるわけで、そもそも債権回収業の委託は日本の病院においても一時話題になったくらいですから、アメリカでは当たり前に行われていることなのでしょう。
そのことの是非はひとまずここでは議論するところではありませんが、こうしたケースが頻発する理由の一つとしてアメリカにおける医療費の高さが問題視されていますが、国民皆保険ではないアメリカではこうした回収不能となる分も見込んで医療費に相応の上乗せをせざるを得ず、その結果ますます未払いが増加すると言う悪循環になっている部分もあるようです。
日本の場合も一部の公立病院などを中心に未払い金問題が話題になってきたケースがあり、取り立てが甘い病院だと言う噂が広まった結果ますます踏み倒し前提の患者が集中すると言う悪循環に陥りやすい側面もあって、各地の医療機関では未収金問題に頭を悩ませているところだと言えますが、他方で患者サイドから見るとこういう話もあるようです。

医療費負担「非常に重い」と感じる患者が増加(2016年6月8日日経メディカル)

 小児期に1型糖尿病を発症した患者は成人後、どのような生活を送っているのか――。全国38施設を通じて行われた患者に対する調査の結果、就業率や既婚者の割合は一般人口と差がなかったが、糖尿病関連医療費を「非常に重い負担に感じる」患者がほぼ半数を占め、約20年前に行われた同様な調査の2倍近くに達していることが分かった。第59回日本糖尿病学会年次学術集会(5月19~21日、京都)で、横浜市立みなと赤十字病院(横浜市中区)小児科の菊池信行氏らが報告した。

 わが国では、1型糖尿病患者に対する医療費の公的助成は19歳までで、20歳以降は通常の保険診療に切り替わる。このため、小児期発症1型糖尿病患者が20歳に達すると、経済的に大きな負担を強いられることになる。しかし、その生活実態はほとんど明らかにされていない。
 そこで菊池氏らは、厚生労働科学研究費補助「1型糖尿病の疫学と生活実態に関する調査研究」の一部として、「20歳以上に達した小児期発症1型糖尿病患者の治療状況、合併症、生活の実態等に関するアンケート調査」(T1D Study)を行った。
(略)
 T1D Studyの患者は一般人口に比べ、大学卒業者の割合が30歳代男性で低かったが、20歳代男性や女性では差がなかった。就業者の割合は各年齢層の男女とも一般人口とほとんど差がなかったが、正規職員・従業員の割合は男性、特に40歳代、50歳代で一般人口より低かった。既婚者の割合は、1997年調査では一般人口を下回っていたが、T1D Studyでは一般人口と差がなかった。
 一方、糖尿病関連の医療費については、「非常に重い負担に感じる」患者が47.1%に上り、1997年調査における26.5%の2倍近くに達していた。また、28%の患者は「医療費が高いため血糖管理が不十分になっている」とし、実際に「血糖測定回数を減らす」「受診回数を減らす」「インスリンを減量する」「インスリンポンプ療法ができない」などと回答していた。
 1日の注射回数を聞いたところ、98%が3回以上(インスリンポンプによるCSII含む)であり、CSIIも23.1%に上っていた。だが、合併症予防の目標とされるHbA1c 7.0%未満を達成している患者の割合は3分の1にとどまった。「糖尿病があることによって有意義な人生を送れないと感じているか」との問いへの回答は、「少しはそうだ」と「全くそうだ」を合わせると80%近くを占めていた。
(略)

20年前と言えばバブル直後の頃で、まだ今ほどデフレだワープアだと言うことを言っていなかった時代でもありますが、現代の若年世代と言えばともすれば働いていても食っていくだけで精一杯の低賃金にあえいでいる方々が多く、そこからさらに毎月の固定出費として医療費を支出していくことは苦しいのは確かでしょうね。
糖尿病に限らず慢性骨髄性白血病筋萎縮性側索硬化症など、生きている限り固定出費がかかる慢性疾患を抱えた人達の多くが医療費の重さを実感していると訴えていて、特に今後各種新薬が登場し薬剤費支払いも高くなってくると何の病気であれ大変だと思いますが、国としては生活習慣病など慢性疾患をきちんと管理することで将来の医療費を抑制すると言う建前であるのに、それ以前に国民の懐が先に破綻しそうな勢いです。
日本ではまだ医療費が原因の自己破産などはさほど多くはありませんが、一方で生活が困難だから医療費を切り詰める、治療が必要でも通院しないと言う人は確実に増えていると各種調査でも言われていて、要するに破産しないのは医療費支出を自己規制しているからだとも言えますが、そうは言っても大病にでもなれば病院に行かないわけにはいかず、パートタイマーなどにとっては入院の瞬間から生活費も稼げない以上大問題ですよね。
そう考えると少なくとも大部分の医療費は保険で支払ってくれる国民皆保険制度がどれほど素晴らしいものかが判りますが、一方で今後は自己負担の引き上げで皆保険だけでは医療費がまかなえないと言う予想もあると言いますから、医療側から見てもそれなりに危機感を抱くべき状況ではありそうですよね。

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2016年6月14日 (火)

新専門医制度導入がとうとう延期に

かねて色々と言われていたあの問題について、どうやら先送りが決まったらしいと言うニュースが出ていました。

新専門医制度、2017年度の全面実施見送りへ(2016年6月9日医療維新)

 日本専門医機構は6月9日、2017年度からの新専門医制度は、同機構認定ではなく、学会認定で行う方針を固めた。新専門医制度は当初、日本専門医機構がイニシアティブを取り、第三者の立場で認定する仕組みを予定していたが、見送られる見通し。これは同日開催された同機構の専門研修プログラム研修施設評価・認定部門委員会/基本領域研修委員会の合同委員会で議論した結果だ。近く開催される同機構の理事会で、正式に決定する予定。

 新専門医制度をめぐっては、日本医師会と四病院団体協議会が懸念を表明、それを受け、塩崎恭久厚労相が談話を出すなど、2017年度からの実施か否かで揺れていた(『「学会専門医の維持を」、日医・四病協緊急会見』、『塩崎厚労相、新専門医制度への「懸念」理解』を参照)。合同委員会と同じく9日に開催された厚生労働省の社会保障審議会医療部会でも、新専門医制度を議論したが、「延期」などの決定はせず、同機構と学会の検討に委ねるとされた。

 2017年度からの専門医養成をいかなる形で行うか、その検討のボールは基本診療領域の各学会に投げられたことになる。ただし、新たに基本診療領域に加わる予定の総合診療専門医については、「日本専門医機構が養成を行う」(同機構理事長の池田康夫氏)。

 各学会は、新しい専門研修プログラムを用いるか、従来通りの方針で専門医養成を行うか、日本専門医機構が準備している専攻医登録システムを利用するか否かなどの判断を迫られる。学会によって、態度が異なり、従来通りの方法でやる学会もあれば、同機構と協同しながら新専門医制度の「試行」と言えるような実施を予定している学会もある
(略)
 地域医療への影響が排除できるかという問題も残る。新専門医制度については、都市部、あるいは大学病院をはじめとする大病院に専攻医が集中する懸念が呈せられ、専攻医の募集定員に上限を設けることも検討された。しかし、専門研修プログラム研修施設評価・認定部門委員会の委員長を務める四宮謙一氏によると、「学会に委ねる形になるので、定員調整する権限は我々にはない」という。副理事長の小西郁生氏も、「ある程度のところまで調整してきたので、後は学会に任せることでいいのではないか」とコメント。
(略)
 2017年度からの専門医養成の在り方は、各学会に委ねられたわけだが、池田理事長は、「各学会が真摯に専門研修プログラムを作ってきた。これからの若い医師をどのように育てるのか、学会が果たす役割は大きい。学会独自で見識に則って運営してもらいたい」と述べ、機構が専攻医登録システムを構築中で、6月中には完成予定であることから、「機構はプラットフォームを用意しているので、できれば利用してほしい」と求めた。

  合同委員会では、各基幹病院は、専門医取得を目指す医師向けの見学会や説明会を開催したくても、できない状況にあるとし、「学会に委ねるのであれば、こうしたことは全て解禁してもらいたい」と求める声も上がった。小西副理事長は、例えば7月1日など、各学会に任せるのではなく、専門研修プログラムの公表の解禁時期くらいは合わせてもいいのではないかと答えた。

この専門医問題、これまでにも各方面から先送りを求める声が多数出ていたわけですが、実際に先送りとなってみると各学会ではすでに準備も進めていたことだしと迷惑顔の様子もあって、まあしかし何かを変えるにしても変えないにしてもこういう問題はそうすんなりとは行かないのは当然ではあるのでしょうね。
そもそも現行の専門医制度と言うものの位置づけもはっきりせずで、専門医を取ったから出来る医療の範囲が拡がるだとか、診療報酬に色がつくと言うわけでもなく、今までであれば純粋に名誉的称号と言うのでしょうか、医師個人の向学心は満足されるにしてもそれによって具体的なメリットがあるわけではなかったと言えます。
それでも専門医を大勢揃えれば認定施設として認められ、その結果専門医資格を求める若手医師が集まりやすいと言った副次的効果はあったと言えますが、いざ裁判になれば専門医資格を持っている方が厳しく責任を追及されることになるのではないか等々の懸念もあって、資格としての位置づけは個人個人の判断に委ねられていたとも言えますよね。

新しい専門医制度がそもそも何故導入されるようになったのかですが、一つには学会毎にバラバラだった認定基準を統一して質的な担保を行うと言う名目があり、それによって国民にも専門医制度の何たるかが理解され患者の受診先探しも容易になると言うことなんですが、しかしそれが医師個人にとってどんなメリットがあるのかと言うことがさっぱり判らないのは相変わらずです。
そして新たな専門医資格は取得はもちろん維持するのも大変だと言い、実質的には基幹病院で日常的に専門的な診療を行わない限りは取得も維持も出来ないと言いますから、要するに公的な資格と言う餌によって医師を管理するのには非常に有効な道具となる制度設計であり、当然ながら厚労省も医師配置や病院再編などに利用する気満々ではあるのでしょう。
当然ながらこうした新専門医制度の波に乗れない市中の中小病院や開業医にとっては下手をすれば死活問題にもなりかねない話なんですが、いずれ新専門医制度が稼働した段階でこれらの施設から医師の大量移動なども起こってくるのかどうか、今のところ専門医取得に対する診療報酬上の優遇なりがないところを見ると案外当面のところは何ら変化がないのかも知れませんね。

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2016年6月13日 (月)

個人の医療情報がある日突然全国に無断公開される事案が発生

先日以来各方面で報じられている件に関して、恐らく報じている側にとってはやや意外な方向で話題になっているようです。

海老蔵、麻央がん会見で「追っかけて来ないで」 報道けん制にネットも「そうだ、そうだ」の声(2016年6月9日J-CASTニュース)

   フリーアナウンサーの妻・小林麻央さん(33)の「進行性がん」報道を受け、歌舞伎俳優の市川海老蔵さん(38)が会見を開いた。会場には報道陣200人が集結。ムービーカメラ30台、スチールカメラ40台が海老蔵さんをとらえ、フラッシュを一身に浴びせた
   その中で海老蔵さんが語ったのは、麻央さんの病状や子供たちの様子、そして「静かに見守ってほしい」というマスコミに対する要望だった。

   2016年6月9日付のスポーツ報知の報道を受け、同日朝には自宅周辺に報道陣が駆けつけた。朝7時前、長女の麗禾(れいか)ちゃんと長男の勸玄(かんげん)くんとともに帰宅したが、無言で自宅へ。かわりに事務所関係者が対応した。
   その後、ブログに「できれば家の周りは近所の方々のご迷惑になるので帰って頂きたいです」とつづり、数時間後には「出来る限り子供達の生活を日常化する為」として15時から会見を開くことを公表した。

   会場となった都内のホテルには約200人の報道陣が集まった。約30分の会見で、海老蔵さんは記者からの質問に一つ一つ丁寧に答え、約1年8か月前に麻央さんに乳がんが見つかったことを明らかにした。病状は「比較的、深刻」とのことで、現在は手術に向けて抗がん剤治療を続けているという。
   プライベートな内容であるにもかかわらず、しつこい質問に感情的になることもなく、言葉を選びながら真摯に話す姿は印象的だった。同時に、発言の端々にメディアへの不信感もにじんだ

   「今朝、自宅の中から勸玄くんの元気な笑い声が聞こえた」という記者には、
    「おかげさまで皆さまのことで、我が家は蜂の巣をつついたかのような状況でございまして。色々な人が出入りする中、幼稚園にも行けなかったんですけど。子供たちは便乗して盛り上がるっていうね。まあ、無垢なものですから、朝からお客さんがいっぱい来て楽しい時間となったのではないでしょうか」
皮肉を込めつつ、ユーモアを交えて回答した。

   「家族でやりたいこと」を聞かれた際には、
    「僕ずっと休み取らずに仕事してきたんですけど、今年は休みを取ろうと思いまして。(麻央さんの)体調次第でどっか行こうかなと思うんで、皆さん絶対追っかけて来ないで
と、笑顔を浮かべながらけん制し、報道陣からは笑いが起きた

   今日まで病気が公にならなかったことを、海老蔵さんは「奇跡」と表現する。マスコミに隠すことに相当な神経を使ってきたようで、「できればこのように(公に)ならずに、元気になるまで我々家族が辛抱して支えきりたかった」としつつ、「もう隠さないでいいということにホッとする部分がある」とも語った。
   海老蔵さんはさらに、
    「やはり病気ですし、子供たちも小さいですし、やらなくちゃいけないことはたくさんあります。麻央が元気になっていく状況、子供たちが元気に幼稚園に通っている姿は僕もご報告できるので、なるべく見守っていただきたいなっていうのが本音です」
と語り、最後の挨拶の中でも
    「先ほど言ったことと重複しますが、なるべく静かに見守っていただきたいというのが我々家族の願いです」
(略)

松本人志「芸能界辞めたくなる」海老蔵&麻央報道(2016年6月12日日刊スポーツ)

 ダウンタウンの松本人志(52)が、乳がん闘病中であることがわかった小林麻央(33)の夫で歌舞伎俳優の市川海老蔵(38)の対応を称賛した。

 海老蔵は9日に会見を開き、麻央が約1年8カ月前から乳がん闘病中であることを公表した。また、麻央や家族への影響を鑑み、報道陣に取材を自粛するよう呼びかける場面もあった。

 松本は12日放送のフジテレビ系「ワイドナショー」で、海老蔵の会見を振り返り「この人、ヤンチャなイメージがあるんですけど、こういう時はちゃんとしてはる」とその対応を称賛。そして会見前に麻央の病気が報じられたことについて「絶対バレないようにしてたはずやと思うんです。どっかからバレて、バラす奴がいるんですよね」と情報が漏れ、その結果報道陣が自宅に詰め掛ける事態になったことについて「(海老蔵は)大人の対応してますね。僕ならこんな時に家に来やがったらエアガンで撃ちまくってやりますけどね」と冗談めかしつつも、報道のあり方に苦言を呈した

 そして「これはスキャンダルじゃないねん。生き死にの問題やから」と、行き過ぎた取材について「芸能界におって『嫌やな』って辞めたくなる瞬間ですよ」と自身も不快感を抱いていることを明かした。

その後の連日の報道ぶりを見れば海老蔵氏始め関係者一同の願いがマスコミ諸社によってどう扱われたかはお判りかと思いますが、他方では真央さんの実姉に当たる小林麻耶さんについてこのところ様々な変調が報じられていて、各方面で散々にバッシング的な報道が続いていましたが、この数日前から全く手のひらを返したような(苦笑)絶讚報道ばかりが続いていることも非常に印象深いですね。
ちなみに俗に言うところの電波芸者の代表格とも言える松本氏にこうまで言わせるのですからマスコミの精励ぶりも相当なものだったのかと思いますが、その松本氏自身も現在以前の番組中での小林麻耶さんに対する言動でプチ炎上中だと言い、今の時代とかく日頃から言動には注意をしておかないと後々まで発掘されどうなるかと言うことですよね。
いずれにしても今回の記者会見を開いたことは不本意だったにせよ、海老蔵氏がずいぶんと男を上げたと言うのは各方面の一致するところのようですが、記事を見る限りでは非常に和やかで和気藹々と言う感じにも見えるこの会見、経緯や文脈を見る限りでもいやそこは笑うところではないであろうと常識的には思うのですが、会見する側と報じる側の温度差を強く印象づけられた方々も少なからずいらっしゃるようです。

ちなみに一連の報道の口火を切ったのがこちら「小林麻央、進行性がんで極秘入院 半年以上姿見せず…海老蔵懸命サポート」と言うスポーツ報知の記事であったと報じられていますが、「歌舞伎俳優・市川海老蔵(38)の妻でフリーアナウンサーの小林麻央(33)が進行性のがんを患い、極秘入院していることが8日、分かった。」なる一文で始まるこの記事、当然ながら公開に当たって当事者から一切の了解を得ていないようです。
同記事を受けて海老蔵氏宅に殺到したマスコミ各社も含め、彼らが医療個人情報と言うものをどのように考え取り扱おうとしているかがよく理解出来る話なのですが、当然ながら子どもにも伏せていたと言う病状がどこから流出したのかと言う点も今のところ明らかになっていませんし、明らかになればなったで非常に大きな問題をはらむとも言えます。
かつて元首相の病状が記されたカルテ情報が流出した事件もあり、「たまたま情報を入手したので」ホームページ上に掲載したと言う都内の青木達典弁護士は「私人ではないのだから、病状は国民に明らかにしなければならない」と主張したと言いますが、興味深いことに同弁護士は翌年「非弁提携 名義貸し」なる名目で所属する弁護士会から退会命令を受けていて、さてそれでは弁護士会的にこのこの行為についての判断はどうなのかですよね。
もちろん今回の報道が出たことで仮に内部からの情報流出があったと立証されれば当該医療関係者は法律上明らかに違反している以上過去の事例同様に処罰を受けなければなりませんが、一方で世紀のすっぱ抜きを演じたスポーツ報知の記者氏が今年の一大スクープとして何らかの顕彰を受けるなりすることにでもなれば、今以上に世間の感じている報道への違和感を顕在化させる効果がありそうで、期待したいところでしょうか。

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2016年6月12日 (日)

今日のぐり:「喜怒哀楽」

先日何とも残念と言うしかないニュースが飛び込んできました。

30万人がカンニング=教育相、泣き崩れる-アルジェリア(2016年6月8日時事ドットコム)

 【アルジェAFP=時事】アルジェリアで大学入学の条件となる高校卒業試験をめぐり、問題を漏えいした疑いで当局者ら数十人が逮捕された。警察が7日、公表した。捜査は各地に及び、カンニングと判断された学生30万人以上が再試験を受ける必要がある。先週報告を受けたベンゲブリ国民教育相は人目もはばからず泣き崩れたという。

 国営アルジェリア通信(APS)によると、警察は「インターネット交流サイト(SNS)に試験問題を掲載した」とされる容疑者の特定を進めてきた。教員や試験センター長も逮捕された。

 試験は先週行われ、受験者の総数は約80万人だった。疑惑の7科目について再試験を19日に行うとベンゲブリ氏は述べている。

近年はネットやSNSの普及もあって世界的にカンニングの事例が報じられていますが、まあしかし総責任者の立場としては泣きたくもなる話ではあるのでしょうね。
今日は失意のベンゲブリ氏を励ます意味も込めて、世界中からまだまだこんなにと言うちょっと残念な人達の話題を紹介してみましょう。

かつらで女装、首から下は全裸でコンビニに… 逮捕の中年男「ありのままの姿に開放感」(2016年6月9日産経新聞)

 コンビニエンスストアに全裸で訪れたなどとして、京都府警は9日、公然わいせつの疑いで、京都市山科区の清掃業の男(51)を逮捕した。府警によると、「間違いありません」と容疑を認め、「人間のありのままの姿である全裸の方が開放感がある」など供述している。

 逮捕容疑は、4月26日午前3時半ごろ、京都市山科区のコンビニに全裸で訪れるなど、不特定多数の人の目に触れるような場所で公然とわいせつな行為をしたとしている。

 府警によると、男は長髪のカツラをかぶり、顔に化粧をするなど女装して、全裸でコンビニに入店。入り口付近から店内を眺めた後、逃走したという。

 当時、客はおらず、店員も犯行は目撃していなかったが、入店のアラームが鳴ったことを不審に思って防犯カメラを確認したところ、発覚した。

 男は以前から2週間に1度程度、女装して同店を訪れていたといい、店員らの間でも噂になっていたという。府警によると、男は、「高校卒業以来、女装して全裸で歩いている」とも供述している。

ありのままでいることも時と場所によると言うことなのでしょうが、しかし50男が高校卒業以来ずっとこうであったとは、周囲も関わり合いを恐れて放置と言うパターンでしょうか。
こちら報じている記事は極めてシンプルなものですが、その状況を想像するとさぞやと言う類のニュースです。

ヒツジ1000頭が脱走、羊飼い居眠りで スペイン(2016年6月9日AFP)

【6月9日 AFP】スペイン北部ウエスカ(Huesca)の町の中に7日、約1000頭のヒツジの大群が現れ、警察が寄せ集めて先導するという一幕があった。羊飼いが居眠りをしている間に、囲いから逃げ出してきたという。地元警察が8日、明らかにした。

その状況が想像の範囲外にあると言う方は素直に元記事の動画を参照いただければと考えますが、1000頭ハンパねえと言うものですね。
数年前からこういう行為が流行っていたのだそうですが、乗り遅れた上にそれはちょっとどうなのだと言う結果になった残念な人の話題です。

【!?】電動ドリルを使ってトウモロコシ早食い→失敗して髪の毛を絡め取られた結果…(2016年5月31日マジカル)

電動ドリルを使ってトウモロコシを早食いしてそれを、YouTubeにアップする動画に挑戦した中国の女性ですが、失敗して思わぬ悲劇に見舞われてしまう動画が話題になっています。

上の映像みたいに、電動ドリルに突き刺したトウモロコシを早食いしていく動画が数年前に話題になりました!
それにしても、予想以上に口中に入っているけど、トウモロコシの粒はほとんど外に吹っ飛んでるんですよねwww
ブームは終わったかに見えたがこの動画が話題で、中国でブームに!

中国のYoutuberの男性が電動ドリルを使って、とうもろこしをわずか10秒で早食いするという荒業を今年になって披露しました!
それにしても、さっきのもまだコーンある程度口の中に入ったけど、これはもうコーンを歯で削り取ってるだけのような…..。
この動画に影響を受けた一人の中国人女性が同じチャレンジをするが…….。
(略)

何がどうなったのかはこれまた元記事の動画を参照頂ければと思いますが、しかしこれは悲劇と言うべきか喜劇と言うべきか微妙なところです。
何がどうなっているのかは判りませんが、ともかくもその結果が残念なことであるのだけは判るのがこちらのニュースです。

どうしてこうなった!?洗濯機から頭が抜けなくなった男性―中国(2016年5月31日レコードチャイナ)

2016年5月30日、チャイナフォトプレスによると、29日午後2時40分ごろ、福建省福清市である男子の頭部が洗濯機にはまってしまう騒動があった。

男性は当時、洋服を洗濯しようと2層式の洗濯機の電源を入れたが動かず。異物でも挟まっているのかと思い、乾燥機部分に頭を差し込んで中を確認しようとしたところ、抜けなくなってしまったという。男性は通報を受けて駆け付けた福清市音西消防隊の隊員によって無事、救出された。

中国では先日にも、2層式洗濯機の乾燥機に2歳半の男児がはまり込んで出られなくなるという騒動が起きている。(翻訳・編集/北田)

これも画像を参照いただきたいのですが、しかし百歩譲って洗濯機に頭がはまることまでは認めるにしても、この角度はおかしくないですかね?
これも中国からまたしてもはまってしまったと言うニュースなのですが、しかしこの国はどうなっているんでしょうか。

またまた“はまった”中国の子ども!排水管に頭がすっぽり―浙江省(2016年6月9日レコードチャイナ)

2016年6月7日午後4時ごろ、浙江省温州市楽清市で4〜5歳の男の子の頭部がプラスチック製の排水管にはまり、抜けなくなってしまうという事故があった。

男の子は両親が経営する店で遊んでいたが、両親が接客している間に、近くにあったL字型の排水管に頭を突っ込んだまま抜けなくなってしまった。頭はかなりきつくはまり込んでいて、男の子は話をすることもできずに弱々しい泣き声を上げるだけだった。

両親が気付いたのはそれから30分後。通報を受けた警官がすぐに駆け付けたが、男の子は話をすることも泣くこともできない状態だった。警官は男の子を消防署に連れて行き、消防隊員が工具を使って排水管を破壊。男の子は無事に救出された。(翻訳・編集/北田)

これまた画像を見れば何故?と疑問符しか浮かばないのですが、何でも中国ではこの種のハマリ事故は珍しくないのだそうで、何か民族的文化的背景でもあるのでしょうか。
最後に取り上げますのも同じく中国からの話題なのですが、これまた残念としかいいようがない話ですね。

ニシキゴイ盗んだ“残念すぎる”男、「買い手が付かず、鍋にして食べた」―中国(2016年6月10日レコードチャイナ)

2016年6月9日、金羊網によると、ひともうけしようと養殖場から高額の輸入ニシキゴイを盗み出した男が、あまりに高価すぎて数週間たっても売却先が見つからず、結局自分で食べてしまうという出来事が中国で起きた。

5月、養殖場の関係者から派出所に「輸入したニシキゴイ2匹が見当たらない」と通報があった。長さは80センチほどで重さは12、13キロほど。「銀鱗」、「大正」というどちらも珍しい品種で、市場価格はそれぞれ3万元(約49万円)に上る。

捜査を進めた結果、警察は1人の男の身柄を確保し、携帯電話にあった盗まれたニシキゴイの画像や取り引きに関するSNS上の記録などを押収した。男は会社を解雇されており、養殖場に侵入してニシキゴイを盗んだと供述。インターネットを通じて売却を試みたという。

男は1匹3000元(約4万9000円)の値で買い手を探したが、高額なため思うように行かず、その間、ニシキゴイはどんどん弱っていった。男の腹も減っていく。結局、食料品店で「火鍋」の調味料を買い、ニシキゴイを煮て食べるという結論に至った。

ニシキゴイの味を知る人は少ないが、食用に向いた魚ではない。危険を冒してまで盗み出した高額のニシキゴイだったが徒労に終わってしまったと、記事は伝えている。

記事にもありますように錦鯉は食用の鯉ほどうまくはないとも聞くのですが、火鍋と言う料理は相当に香辛料が強烈だそうですから気にならないのでしょうか。
しかし計画性がない行動と言うしかないのですが、せっかくの鯉を食べられてしまった所有者の無念いかばかりかです。

今日のぐり:「喜怒哀楽」

岡山市街地の一画、やや奥まった住宅地の中にあるこちらのお店、なかなか立派な店構えの大店なのですが、どうしてどうして繁盛されているようですよね。
聞くところでは寿司メインの和食のお店だと言いますが、ランチなどはかなりお得に食べられるそうで、決して敷居が高いと言う感じでもなさそうです。

同行者と一緒に色々と頼んで見たのですが、メインとなるのがおまかせの握りで、寿司がメインと言うだけに見た目も綺麗だしネタも悪くないんですが、ただこのシャリの具合はちょっと好みではないかなと感じました。
見るからに狙ったメニューとして名物的な存在なのが太巻きだそうですが、見た目に反して?食べて見るとこれが意外に真っ当な味なんですが、とにかくこれくらいの大きさになると物理的に食べにくいですね。
せんりょうなすの揚げ出しは汁の味がもう少し物足りなくてナスの味にちょっと負けてる気がしましたが、タケノコ木の芽和えは良い味ですし、こちらの赤出汁が結構うまいなと思いました。
全体的にはリーズナブルな価格帯の割にちゃんとしたものが食べられるお店と言う印象で、予約が必須だと言うのも判る気がしますね。

割烹然としたお店の見た目は立派なものですし、接遇面も特に目立つ印象はないもののそれなりにしっかりしたものですから、ちょっとしたオフィシャルな用途にも利用出来そうです。
ただ広い駐車場もたいてい満車になるほど混雑が続いているようですから予約はもちろんですが、ゆっくり過ごしたい時には時間帯などにも工夫が要りそうですね。

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2016年6月11日 (土)

ブラック企業対策に国の対応はどこまで有効か

何事も初めてと言うことはあるものですが、先日こんな初めてのニュースが出ていたことに対して様々な反響があったようです。

厚生労働省がブラック企業名を初公表へ 最長で月に約197時間、複数の事業場で違法な長時間労働(2016年5月19日ねとらば)

 厚生労働省千葉労働局は、違法な長時間労働を複数の事業場で行っていたとして、棚卸し業務代行サービスなどを行う千葉市の会社”エイジス”に是正指導を行ったと発表した。厚生労働省が行政指導の段階で企業名を公表するのは初めてだという。

 発表によると、同社は4つの事業場にいる63人に1カ月当たり100時間を超える時間外・休日労働が認められ、最長の時間外・休日労働時間は約197時間だった。

 同社はこれに関し、サイト上に「本日の報道に関するお知らせ」を掲載。「是正指導を受けました内容については真摯に受け止めております」とし、社長をトップとするプロジェクトチームを発足。外部専門家による助言を受けながら労働時間管理の徹底、業務量平準化への取り組み、業務効率化の推進などに重点を置いた取り組みを開始したとしている。

しかしこうした件で労基署等から勧告が入っても、上層部が「指導が入ったので改善するように」と言うだけでスタッフ増員など何ら対策を取らず、そのくせ「もっと業績の向上を」などと言う職場では労働時間隠しなどますますブラック化が進行しそうなんですが、国内某業界などもそうした慣行は日常的に行われているようですから困ったものですよね。
今の時代ですからさぞやネット上にも悪評が広まっているのかと思って試みにこの社名を検索してみたのですが、面白いことに報道が出る直前の5月中旬から急激な株価の上昇が続いていると言うニュースが出ていて、何しろ3月期営業利益が前々期比54%増で過去最高と見込んでいた従来の予想をさらに上回っていたと言い、評判を聞いても一応相応の残業代は支払われていたと言います。
同社が無報酬長時間労働を強いる本物のブラック企業より先に公表されたことに違和感を感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、厚労省が定めたブラック企業の社名公表のルールとして「社会的影響力の大きい企業」であることが条件とされ、具体的には「複数の都道府県に事業所を所有」しており「中小企業に該当しない」ことが挙げられていますから、その実効性に疑問符がつくのも仕方が無い気がします。
ただ世間的にはブラック企業問題が非常に大きな問題となっている中でさすがに国としても対策の必要性は感じているはずで、昨年末にはハローワークではブラック企業の求人を出させないなど各種対策も発表されていましたが、それを受けて先日はこんな記事が出ていました。

条件違う求人、3900件=賃金や就業時間―厚労省(2016年6月8日時事通信)

 厚生労働省は8日、2015年度中にハローワークに出された求人票のうち、賃金や就業時間などに関する記載内容が実際の労働条件と違っていたケースが前年度比9.9%減の計3926件あったと発表した。

 前年度からは減少したが、同省職業安定局は「求人票を受理する際に対面で条件を点検するなどの取り組みを徹底していく」としている。

 15年度の求職者からの求人票の記載内容に関する苦情や相談件数の合計は、10.7%減の1万937件。実際の労働条件との相違以外では、求人企業やハローワークの説明不足、求職者の誤解などが主な原因だった。

 厚労省は、労働条件の内容を偽って求人する企業への罰則導入の是非について、秋にも本格的な議論を始める見通し。 

これから罰則を検討しようと言うのですから何とものんびりした話にも聞こえるのですが、もちろんやらないよりはやった方がいいとして、問題はどのような対策を講じれば実効性あるものになるのかですよね。
一部では「ハローワークはブラック企業の温床」と言う声も上がっていて、確かに求職者が殺到するような優良企業であればハローワークで募集をかけると言うことは想像しにくいので当然なのかも知れませんが、そう言えば某業界なども近年求人数が増えていると言いますから、何かしら求人件数と業務内容との間には相関でもあるのでしょうか。
ブラック企業の定義を巡っても様々な議論があって、専門職やいわゆる知的エリートになると労基法厳守の職場環境はむしろ不満が高まると言う声もあり、一律に数字で規制することは避けるべきではないかと言う意見もあるようなのですが、職場内で一部の人間は好きで過剰な労働をしていたとしても全員がそうとは限らず、皆がやっていることだからと義務的に超過勤務を強いるのはやはり問題があるでしょう。
単に労働時間だけを規制しても密度の濃い激務を強いられるだけではないかと言う意見もありますし、基本年俸制に近い某業界などでは天井知らずの労働が行われている実態もありますが、きちんと労働に応じた報酬が支払われるならば雇用者側としても労働時間短縮に向けて努力する意味が出てくるのですから、まずはただ働きを強いることに対する対策を考えていくことが必要なのかも知れませんね。

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2016年6月10日 (金)

社会保障の根本的な改革、海外では真面目に議論される

何かよく判らないうちに消費税増税の延期が決まっていたようですが、その結果を受けた流れとしてこういう話も出ているようです。

自民、参院選後絞り込み 増税延期に伴う社会保障項目(2016年6月8日朝日新聞)

 自民党の稲田朋美政調会長は7日の党全国幹事長会議で、消費税率引き上げの再延期に伴う社会保障の充実政策の絞り込みについて、参院選後に判断する意向を示した。安倍晋三首相はすでに「全てを行うことはできない」と明言しているが、どのメニューが実際に削られるかは当面示されないことになる。

 充実政策は、消費税率10%への引き上げで見込まれる増収分のうち、1・3兆円を主に低所得者向けにあてる計画だった。会議の出席者によると、稲田氏は「社会保障の1・3兆円分が消費増税延期でなくなるが、年末にかけていろいろ改革をして財源を捻出したい」と説明したという。

 党幹部の一人は「財源の裏付けがないまま、参院選前に充実策が実施できるかどうかの判断はできない」と語り、税収見通しが分かる年末の予算編成時に判断する意向を示した。参院選への影響を回避する思惑もあるようだ。

 充実政策の一つには、低年金の高齢者や障害者約700万人への給付金がある。高齢者が最大で月5千円を受け取れ、予算は約5600億円。無年金者対策としては、約300億円をかけ、年金の受給資格を得るのに必要な加入期間を25年から10年に短縮する。(岡村夏樹、生田大介)

当てにしていた財源が幻となってしまった以上は給付拡大も先送りになるのは当然と言えば当然なのですが、しかし国家財政が破綻するから支出を抑制して税金を引き上げると言う話だったように記憶するのですが、ここでまた最大の固定出費である社会保障費を増額してどうするつもりなのか?と言う疑問も出てくる話ですね。
社会保証制度の抜本的改革が必要になることは単純に歳出抑制のみならず、長年の間に発生した歪みの是正と言う点でも重要ですが、昨今出てくるニュースを読む限りではその場しのぎの集票対策的なバラマキ的な話ばかりで、漫然と固定支出の増大傾向が続いているように見えるのは困ったものです。
この点で以前から言われている一つの根本的改革案として全ての社会保証制度を一元化するベーシックインカムと言う制度があり、つい先日スイスではこの導入の是非を巡って国民投票まで行われたと言うように海外ではかなり真剣に検討もされているようで、スイスでは8割の反対票が出たと言うこの制度に関して、こんな調査結果もあるそうです。

EUでベーシックインカム導入の可否を問う初の世論調査、64%が導入に賛成・反対は24%(2016年6月1日ビジネスニュースライン)

EUでベーシックインカム導入の可否を問う初の本格的な世論調査が行われ、この調査結果により、域内では、ベーシックインカム導入賛成派が64%で、反対の24%を抑えている状況となっていることが判った。

この調査は、EUの支援を受けて、Neo Polis、Future of Work、Daliaの3社が域内全域の今年の4月に、14~65歳の住民、合計1万名に対して聞き取り調査を行うことで実施されたものとなる。
調査の対象国は28国、言語は21言語にも及ぶ、このベーシックインカムに関わる世論調査としては初めて実施された本格的なものともなった。

ベーシックインカムの基本的知識については、完全に理解していると答えた人が28%、部分的に理解していると答えた人が35%、聞いたことがあるが良くは知らないと答えた人が25%、まったく知らないと答えた人が17%となった。
また、国別の支持率では、1位が71%でスペイン、2位が69%でイタリア、3位が63%でドイツ、4位が63%でポーランド、5位がイギリス、6位がフランスとなり、大規模な経済国を中心に賛成派が多数を示していることが判った。

ベーシックインカムは貧富の差に関わりなく成人の全員に一定の所得援助を行うという新しい形の社会福祉制度となる。欧州を中心に既存の社会福祉制度に変わる新制度として試験導入が行う動きが続いている

もちろん実際の政策に反映されない意識調査で、スイスのようにいざ導入の是非を問うような局面になればもう少し慎重な判断がなされるのでしょうが、しかし過半数がその導入に賛成している一方で反対はわずか1/4に留まったと言うのはなかなか意外性のある結果ではないでしょうか。
昨年末にフィンランドで月額11万円のベーシックインカムが導入されると言う「誤報」が流れた経緯は以前にも紹介しましたが、この際にも世論調査では7割が賛成の意志を示していたと言い、税などの負担の大きさや給付額を幾らにするか等々の問題はあるにせよ、各種社会保障の入り乱れた手続きの煩雑さやそれに要する事務コストを考えると案外シンプルでいいものなのかも知れません。
ただ日本では先日人間らしい生活を営むには25歳で22万円必要だと言う試算結果も公表されたそうで、これに対して各方面から異論も多々あるようですけれども、一億人に年収270万円を保障するとなるととても今の税収で補えるものではなさそうですから、現実的な給付水準を考えると生保のように何もせずにそれだけで食べていくのはなかなか難しいのかも知れません。
昨今は生活にお金をかけないと言うこともちょっとしたブームであるようで、かつてのバブル時代などからすると信じられないようなロハスな生活を送っている人もいらっしゃいますから、現金支給としてはもっと少ない水準でもいいのかも知れませんが、年金事務所や福祉事務所などの仕事がなくなっても単純に大勢の失業者も出る道理ですから、実際の導入にはかなり大変な作業が必要にもなりそうですね。

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2016年6月 9日 (木)

個人でやったら危ないおじさんですが

これまたいい歳をして一体何をやっているんだと言う話なんですが、先日こんな記事が出ていました。

68歳男、女子中学生に鎌を突きつける 「うるさかったので脅した」 容疑で逮捕 京都(2016年6月4日産経新聞)

 女子中学生に鎌を突きつけて脅したとして、京都府警向日町署は4日、暴力行為法違反(脅迫)の疑いで、京都府長岡京市の自称パートの男(68)を逮捕した。同署によると、「うるさかったので脅した」と容疑を認めている。

 逮捕容疑は、4日午後6時10分ごろ、京都府長岡京市の犬川河川敷で、同市の中学2年の女子生徒3人に、「うるさい」などと草刈り鎌をつきつけたとしている。女子生徒らにけがはなかった。

 同署によると、男は自宅にいた際、自宅前の河川敷を歩いて帰宅途中の女子生徒らの話し声に腹を立て、物置から草刈り鎌を出してきたという。女子生徒らは家に慌てて帰り、それぞれ両親に相談、犯行が発覚した。

色々と言い分はあるのかも知れませんが、いずれにしてもやっていることは犯罪行為であることは間違いないわけですし、社会常識的にもそれはどうよ?と言わざるを得ない行為ではあるのですが、しかし昨今ではこの種のちょっと変わった方々のニュースにはすっかり事欠かなくなった印象があります。
その背景に何かしら社会的な変化なり様々な要因も存在するのでしょうが、ここではこうした行為は反社会的行為であると言う認識が通用していると言う点にも注目したいところで、実際に女子生徒の声がうるさかったとしてもその対処法は駄目だろうと言うことですよね。
とはいえ、個人レベルで反社会的行為に出てくるようなタイプはむしろ御しやすい方だとも言えるもので、世の中にはもう少しうまいやり方でやっている方々が増えてきているようだと感じさせるニュースが相次いで報じられています。

「学生通行禁止」東北福祉大周辺に看板(2016年6月5日河北新報)

 学生、通るべからず-。仙台市青葉区の東北福祉大国見キャンパス周辺に「学生通行禁止」と書かれた看板が複数置かれ、学生たちが困惑している。看板は一部地域住民が2009年、学生の通行による住環境の悪化を懸念して設けた。過去に訴訟に発展し、一度は和解したが、住民側の不信感は根強く、円満解決を望む大学側との溝は埋まりそうにない。(報道部・氏家清志)

 看板はJR仙山線東北福祉大前駅から国見キャンパスへ続く道路沿いに複数ある。立て看板が置かれた幅約4メートルの直線道路=図=の地目は、私道と、誰でも通れるあぜ道などの法定外公共物が混在している。民家の外壁などにも「学生さん!ここは私道であり、生活道路。公道を利用しよう」などと通行禁止を訴える看板が4枚ある。
 事の発端は9年前にさかのぼる。07年3月、同大が福祉大前駅の開業に合わせ、駅前にステーションキャンパスを整備。学生と地域住民の利便性を図るため、その敷地内に大学への近道となる通路を設けた
 開業以降、多くの学生が同駅と約300メートル離れた国見キャンパスを結ぶこの通路を最短ルートとして利用。両キャンパス間の行き来もあり、多い日で1日約3000人の学生が通った。

 08年4月、最短ルート沿いや周辺の住民9人が「学生の騒ぎ声がうるさい」などとして、私道の通行禁止を求める仮処分を仙台地裁に申請した。翌月、和解が成立。(1)講義のある日は最短ルートの入り口に大学職員を配置し、学生を市道に誘導する(2)住民の生活を妨げないよう学生を指導する-などを申し合わせた。
 和解を受け、大学側は講義の間に職員を周囲に配置し、最短ルートを使う学生に迂回(うかい)するよう指示。指導が実り、学生の通行数は激減した。
 だが09年9月、一部住民が「騒音はある程度改善したが、まだ安心できない」などと学生通行禁止の立て看板を設置。その後、学生の通行に反対する住民宅にも看板が貼られたという。

 大学側は今年2月に住民と協議。最短ルートの西側に新たなルートを示した上で看板の撤去を求めたが、理解を得られなかった
 榎本等総務部次長は「看板を見た学生は地域から排除された気持ちになってショックを受けている」と指摘。「市道を使うだけでは混雑して学生が道路にはみ出す危険がある。安全上の配慮から、駅から二つ以上のルートが望ましい」と理解を求める。
 看板を設置した男性(60)は「以前は道路が学生で埋め尽くされ、車が通行できないほどだった。閑静な住宅街を守る上で看板の抑止効果は大きい」と話し、外す考えはないという。

犬散歩もボール遊びもダメ…公園に増える禁止看板(2016年6月4日神戸新聞)

 「近所の公園に犬を連れて入ったら、すごく怒られて」。本紙夕刊「イイミミ」に、声を震わせた女性から電話があった。神戸市内のこの公園には、飼い犬の立ち入りを禁じる看板があったらしい。そういえば、街の公園に「ボール遊び禁止」「ハトのエサやりやめて」などの看板が多く並ぶようになった。あれもダメ、これもダメ-では窮屈な気もするが、公園に何が起きているのだろうか。(藤村有希子)

 電話をくれた神戸市内の女性(61)によると、自宅近くの公園にリードでつないだ飼い犬を連れて入ると、園内にいた高齢男性に「出て行け!」と繰り返し怒鳴られたという。
 この公園には「犬の連れ込み禁止」という看板はあったが、「犬のフンは持ち帰って」と犬が入ることを前提とした看板もあった。犬禁止看板は周辺住民に「おかしい」という声もあり、文言はその後に消されたが、「怖くてもうあの公園には行けない」と女性。そして「公園は誰のためのものなんでしょうか」と漏らした。
 神戸、阪神間の公園を少し巡ってみたが、やはり禁止事項が目に付いた。「硬いボール遊び禁止」「ハトやネコへのエサやりはやめましょう」…。注意書きが10項目ほど並ぶ公園も珍しくない。

 神戸市公園部管理課によると、同市内には小規模な公園「街区公園」が約1300カ所ある。その使用については都市公園法や条例が定めているが、禁止事項を事細かには規定していない。県内のほかの市町もおおむね事情は同じだ。
 看板設置の経緯について、同課の担当者は「住民らから苦情や要望を受け、放置できないと判断すれば、注意事項を設けて看板で周知するケースが多い」。住民らでつくる公園管理会などと協議し、内容を詰めることもある。こうした看板は着実に増えてきたと感じるという。

 背景には何があるのか。まちづくりに詳しい千葉大大学院園芸学研究科の木下勇教授(61)は1993年の都市公園法施行令改正をその一つに挙げる。社会の高齢化を理由に、従来の「児童公園」が「街区公園」となり、公園が「子どものもの」から「自分を含む全ての世代のもの」と意識されるようになった-とする。
 加えて、住民同士の付き合いが減り「他者の行動を許せず、消費者感覚で行政へ文句を言い権利を主張する時代になった」と指摘。「行政はクレームに対応せずにはいられず、必然的に禁止看板が増えている」と続けた。
 主婦(36)=神戸市兵庫区=が子連れでよく行く近くの公園には、「硬いボール遊び」などの禁止事項が並ぶ看板がある。子どもはドッジボールなどをして遊ぶといい、「行政が禁止までしてしまう前に、当事者で解決できれば。子どもが伸び伸びと遊べる公園であってほしいですね」と話す。
(略)

時々あることですが、野球場のある界隈では高校野球シーズンになると「うるさい!試合を中止しろ!」とクレームが入るのだそうで、もちろん今のところそれで試合が中止になったと言う話も聞かないのですけれども、とりあえずクレームを入れておいて通ったら儲けもの、的な感覚が広く蔓延していると言うことなのでしょうか。
近ごろたびたび話題になる保育園騒音問題などをみてもクレームを入れる側にも相応の理由もあるのは理解出来ますが、さてクレームのどこまでに対応しどれだけ禁止事項を増やしていくべきなのかと考えると悩ましいところですし、そもそも社会的少数派の意見ばかりを優先して多数派が掣肘されると言うのも民主主義社会としてどうなのかと言う気がしないでもありません。
公園でのボール遊び禁止を求めて住民に署名を集めると言うのも何か違う気がしますが、こうした公共の場でのことは特定個人の意見ばかりに左右されるのではなく、ある程度地域内でのコンセンサスに基づいて話を進めていくべきなのかと思うのですが、その舞台ともなる町内会などの類も参加しない方々が増えているとも聞きますから、なかなか意見のまとめ上げも難しいのでしょうかね。
しかしこの種の○○禁止の看板が増えてくれば、逆に○○出来ないのはおかしいと言うクレームも出てきてもおかしくはなさそうなんですが、とりあえずクレームが出れば禁止しておくと言う方が対応としては簡単ではあるはずですね。

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2016年6月 8日 (水)

遺伝子検査、すでに普及期に突入か

遺伝子情報が病気の発症に大きく関係しているだろうことは誰しも理解出来る話で、そうなると現在国などが進めているように病気の予防を積極的に行い医療費を削減すると言う方針に従えば、国が音頭を取ってどんどん遺伝子的なリスクを解析し対策すべきだと言うことになるかと思うのですが、世の中どう単純な話でもないらしいと言うことでこんな記事が出ていました。

遺伝子検査に認定制度 個人情報保護などチェック(2016年5月31日NHK)

遺伝子の情報を病気の予防などに役立てようという「遺伝子検査ビジネス」が広がるなか、関係企業で作る団体が個人情報の保護や利用者への十分な説明などをチェックする認定制度をスタートさせました。

唾液や髪の毛などを採取して得た遺伝子の情報から、病気のなりやすさなどを調べ予防に役立てる「遺伝子検査ビジネス」が、このところ広がっていますが、利用者との間でトラブルにつながるケースも出ています。
このため、関係企業で作る「個人遺伝情報取扱協議会」では、医学や倫理の専門家など第三者が、個人情報の保護や利用者への十分な説明や、適正な検査を行っているかなど、およそ230の項目をチェックする認定制度をスタートさせました。
この制度は、経済産業省が事業者向けに策定したガイドラインに沿って策定したものだということで、協議会では基準を満たした企業を独自に認定することを通じ、サービスの質を確保し、利用の拡大につなげたいとしています。
「遺伝子検査ビジネス」を巡っては、遺伝子解析の質やカウンセリングの体制がきちんと確保できているかといった課題も指摘されていて、現在、厚生労働省で規制の必要性について議論が行われています

遺伝子検査ビジネスに懸念 日本医師会「何の規制もない」(2016年6月2日東京新聞)

 唾液などを郵送するだけで病気のかかりやすさが判定される「遺伝子検査ビジネス」について、日本医師会の生命倫理懇談会は1日までに、医学的根拠が不十分なまま「何の規制もなく販売されている」と、日本の規制の遅れを批判する見解をまとめた。

 見解は、病気のかかりやすさには多くの遺伝子が関係するため、現状の遺伝子検査ビジネスは臨床的に妥当かどうか問題があると指摘した。「欧米では妥当性と有用性の問題が大きいために販売されなくなっている」としている。

 日本でビジネスが拡大を続ける大きな理由として、規制や監督を担う官庁が厚生労働省と経済産業省に分かれているためと分析する。

日医の見解はともかくとして、当然ながら遺伝子情報の取り扱いやその解釈には慎重を期する必要があることは言うまでもありませんが、そもそも厚労省内でも規制について現在進行形で議論が行われている段階だと言いますから、社会の進歩に国によるルール作りが全く追いついていない状況だと言えるでしょうか。
厄介なのは従来であればこうした検査の類は医療機関での検体採取と言うステップが求められていたため、医療機関側に制約を課しておけばコントロールが容易であったものが、現在では唾液や髪の毛など医療の素人でも容易に入手出来る検体で十分だと言うことですから、個人と企業との契約に基づく関係をそもそもどこまで規制すべきなのかと言うことになってきます。
社会的にみれば例えば現行の入社時健診などと同じように、企業が入社時チェックとしてこの種の遺伝子検査を取り入れないと言う保障もどこにもないわけですし、その結果なども含めて総合的に判断した結果入社をお断りすると言うことも起こり得る話ですから、少なくとも本人以外の第三者による遺伝情報利用に関しては早急に公的規制なりルール作りなりが必要そうには思いますが、一方の当事者の側からはこんな声も出ているようです。

顧客の遺伝情報で「医学に革命」 米「23andMe」社、アン・ウォジツキー最高経営責任者に聞く(2016年6月2日毎日新聞)

 消費者向けの遺伝子検査ビジネスが注目を集めている。健康作りに役立つと期待を集める一方、個人情報の保護や遺伝子差別の防止など課題は多く、政府の検討会は法規制の必要性について今夏中に結論を出す方針だ。このビジネスの草分けで、京都市で開かれた国際人類遺伝学会で講演するため来日した米企業「23andMe」のアン・ウォジツキー最高経営責任者(42)に、遺伝子検査の未来と課題を聞いた。

 「顧客の遺伝情報を活用することで、新薬の開発や病気予防に革命的変化を起こすことができる。その主役は消費者なのです」。ウォジツキー氏は取材に自信に満ちた表情で語った。キーワードに挙げたのが「ビッグデータ」だ。
 遺伝子の異常を探り、その人に合った病気の予防や治療を目指す遺伝子検査。中でも消費者向けのサービスは、唾液などから遺伝子を分析し、病気のリスクや太りやすさなどの体質を調べる。日本医学会は「科学的根拠が確立されていない」と指摘するが、国内でも新規参入が相次ぐ。今春には大手生保が遺伝情報を保険サービスに活用する検討に入り波紋を広げた。

 創業10周年を迎えた「23andMe」は、顧客がインターネットで検査キットを注文する手軽さや破格の料金設定を打ち出し、現在主流となったビジネスモデルを確立。2008年に米タイム誌の年間最優秀発明に選ばれた。だが、米食品医薬品局(FDA)から2年半前、「安全性基準を満たしていない」と指摘され、販売は制限されている。
 一方、同社が新たに力を入れるのが、顧客のデータベースを活用した医学研究だ。遺伝情報に加え、生活習慣、視力や病歴なども匿名のデータ化し、大学や製薬企業と共同研究する。120万人の顧客のうち8割が参加に同意し、難病治療など約200の研究に取り組んでいるという。

 「究極の個人情報」とも言われる遺伝情報を本来の目的外に使うことには懸念もあるが、ウォジツキー氏は「むしろ消費者は、自らのデータを使った医学の発展に貢献したがっている。私たちは人々が遺伝情報から利益を得る手助けをしたい」と強調する。
 こうした動きの背景として遺伝情報の集約が進まず、医学研究の支障になっている現状は国際人類遺伝学会でも議論になった。研究者からは「大学や研究機関はデータを持っていても論文など自分の成果を優先してシェア(共有)しない」との声も出た。遺伝情報のビッグデータ化にどう対応するか。日本でも議論が求められそうだ。【千葉紀和】

しかし一企業だけですでに120万人の顧客がいると言うのですからその普及の勢いも想像出来ると言うものですが、ちなみにこのアン・ウォジツキー氏、数年前にはFacebook創始者のザッカーバーグ氏などと共に生命科学ブレイクスルー賞を立ち上げたりでそれなりに影響力もありそうな人物ですから、業界のトレンドとしてこういう方向に話が進んでいると解釈していいのでしょうかね。
日本ではさすがにまだここまでの大規模な利用には至っていないところでしょうが、コストや利便性など様々なハードルがクリアされていけばあっと言う間に広まりそうな技術でもあって、特にこの種のデータと言うものは幾らでも使い道があるのは当然ですから、個人情報の紐付けを外したビッグデータとしてあちらこちらで応用されて成果が出ていくのだろうし、そうした期待される成果の大きさが検査普及を正当化する根拠にもなりそうです。
つい先日の6月2日付けサイエンス誌には今年中にも人間など各種生物のゲノム一式をゼロから合成しようと言う野心的なプロジェクトが立ち上げられそうだと言う記事が出たと言い、当然ながら遺伝子の全てを好き勝手にデザイン出来るのであればあらゆる遺伝的疾患リスクを排除した理想的な人間が作り出せるのかと言う期待感と同時に、人間がそんなことをするのは神の領域を侵すことだと言う反発も根強いようです。
人間丸ごと遺伝子から合成していくと言うのはさすがに現時点でどうなのかですが、例えば実験室内で使いやすい人為的に合成された人間の細胞なども需要はあるのでしょうし、さらには組織や器官のレベルで合成出来るのであれば移植医療等で幾らでも利用価値はありそうなのですが、さてそうなりますと一体どこからが人間なのかと言う議論が再び湧き起こってくることにもなるのでしょうか。

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2016年6月 7日 (火)

高齢者をどこでどう看取るべきか

最近は終活と言う言葉もあるように人生の最後にどう始末をつけるかと言うことが話題になる時代で、それはそれで後々の面倒がなくなっていい傾向なのだとは思うのですが、その一方でこういう少しばかりもの悲しい現実も差し迫ってきているようです。

「看取り難民」将来47万人・・・ 人生の最期は(2016年5月23日TBSニュース)

 深刻な高齢化の中、人生最期の時を誰にも看取ってもらえない“看取り難民”の急増が問題となっています。将来的には47万人にものぼるというこうした事態に、“看取り士”という新たな資格が誕生しています。
(略)
 深刻化する超高齢化社会で、病院や介護施設は既に満杯状態。しかし、自宅で最期を迎えようにも、1人暮らしのお年寄りも多く、孤独死となってしまうおそれがあります。2025年にはこうした看取り難民が47万人にもなるという試算があり、にわかに看取り士が注目されているのです。
(略)
 看取り士の資格を持つ西本さんは、最期の時を迎えるよりも前から本人と家族との関係を深める終活支援をしています。その一つがこのエンディングノートです。
 「どうせ死ぬなら延命しない」(佐藤けさこさん)
 「延命処置はしない。これだね」(けさこさんの娘 山本美紀子さん)
 いざ最期の時を迎えても家族が戸惑うことがないよう、事前の話し合いの仲立ちをしています。
 「西本さんが来てくださるようになってから、具体的に終活っていうか、自分の最期をどうするか話せるようになった。何となくスムーズにはいっていけたかな」(けさこさんの娘 山本美紀子さん)

 看取り士の仕事に加え、幅広い範囲で役割をこなし、自らを看取りヘルパーと名乗る西本さんは、実は20代で起業した葬儀会社の社長でもあります。
 「亡くなる前まで顔も見たことがない方の依頼で我々がいって、なかなか信用してもらえなかった。亡くなる前の接点をもつことに注力しなければいけない」(看取りヘルパー 西本淳弥さん)
 葬儀会社であるからこその利点を生かし、自分らしい葬儀のあり方や相続の相談まで応じることで、より深い信頼関係を築き、充実した看取りの時を迎えることができるといいます。
 「終活の部分まで安心して話を聞いてもらえるという部分は他にない試み。実際相談して安心できたという声もかなりきいている」(看取りヘルパー 西本淳弥さん)
 超高齢化により看取り難民の増大が予想される日本。看取り士の活躍で事態の打開につながるのでしょうか。

看取り士と言う資格があるとは失礼ながら始めて聞いたのですが、これは公的資格ではなく一般社団法人「日本看取り士会」が独自に認定しているものだそうで、22.2万円の受講料を払い同会主催の4泊5日の合宿に参加すれば誰でも取得出来、同会経由での依頼に応じて看取り士として派遣される資格が得られるのだそうで、話を聞く限りではなかなかに微妙な感じもする資格ですよね。
実際にはこれで食べていけるほどの社会的認知度もないようで、看護師や介護職が資格を取得した上で本業の合間にやっていると言うのが実情なのだそうですが、それはさておきこの看取り問題、高齢化もさることながら少子化を通り越して未婚者がこれだけ増えてくると、将来的に高齢者の多くが誰も親族が存在しないまま孤独に亡くなっていくことになると懸念されているようです。
もちろんその場合の後始末をどうつけるか等々様々な問題点の存在もさることながら、これだけ身内もいない老人が増えてくれば当然国が推進しようとする病院、施設から自宅へと言う流れも実現可能性が危ぶまれると言うことにもなりかねませんが、その制度的後押しとして以前から言われながら延び延びになってきたあの問題に関して先日こんな記事が出ていました。

療養病床、廃止か?延期か?いまだ意見対立(2016年6月1日医療維新)

 厚生労働省の社会保障審議会に「療養病床の在り方等に関する特別部会」が設置され、6月1日に第1回会議を開催した。部会長には、学習院大学経済学部教授の遠藤久夫氏、部会長代理には、自治医科大学学長の永井良三氏がそれぞれ選任された。介護療養病床と医療療養病床(看護人員配置が25対1のもの)は、2017年度末で設置期限を迎えるため、今後、特別部会を月1回程度開催し、今年末までに今後の対応方針について結論を得る。
 第1回会議では、主に医療を提供する立場から、設置期限を延長すべきという意見が相次いだ一方、「医療法の立法趣旨から考えれば廃止を前提に議論すべき」との意見も出るなど、根本的な部分で対立した。
(略)
 第1回会議は、フリーディスカッションの形で展開された。医療提供側からは、設置期限の再延長を求める声、さらには予定通り療養病床を廃止する場合でも、「新たな類型」に転換できるよう経過措置を求める声が上がった。
 日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、「現行制度の再延長を第一選択肢として検討すべき。なぜだめなのか、いまだに不明確。これは解決済みの話ではなく、この点を明らかにして説明して議論すべき」と求めた。「新たな類型」に転換する場合でも、2018年2月に診療報酬と介護報酬が明らかになってから経営者は判断するため、十分な経過措置を設けるよう求めた。
(略)
 これに対し、保険財政を負担する立場から、日経連常務理事の阿部泰久氏が、「厚労省の検討会自体が、療養病床の廃止を前提に議論していた。新たな選択肢をどうするかについて議論を進めるべき。最初から設置期限の延長という議論はない」と発言。
 今後の医療提供体制を踏まえ、慶應義塾大学経済学部教授の土居丈朗氏は、「まず設置期限を延長するかどうかを議論するのではなく、高齢社会の中で、どのように療養病床を変えられるかを議論すべき。新類型について、どこまでリアリティを持たせることが可能かが重要。ゆくゆくは診療報酬と介護報酬でどう位置付けるかが課題となる」と述べ、「設置期限の延長」の議論をするのは、「思考停止」と反論。
 法的な側面から発言したのが、東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦氏。介護療養病床の設置期限は2011年度末だったものの、転換が進まないことから延期された。介護保険法の立法趣旨から言えば、2017年度末での廃止が前提であり、現場の混乱を避けるための経過措置はあり得るものの、「再延期を前提に議論するのは、法律の枠組みから考えておかしい」と述べ、土居氏の意見を支持した。

 病床機能分化の議論とも連動

 「療養病床の在り方等に関する検討会」の「新たな類型」についての意見も出た。「医療内包型」(案1)は長期療養に対応した「施設」、「医療外付型」(案2)は、病院・診療所と「居住スペース」という類型だ。「医療内包型」はさらに、医療の必要性が高い人の受け入れを想定する「案1-1」と、容体は比較的安定した人を受け入れる「案1-2」に分かれる。
 慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏は、「地域包括ケアの構築に向けて、住まいと医療の組み合わせという類型を作る意義は大きい」と述べ、療養病床からの転換以外にも、「新たな類型」を作ることができるようにし、地域包括ケアに生かすべきとした。低所得者対策を考える場合、「居住コスト」が支払えるかどうかが問題になるが、「住まい」という機能を切り離して明示することにより、低所得者対策も容易になるとの考えを示した。
(略)
 土居氏は、「施設基準を設定する場合、全国一律になるが、“地域”という視点とどのようにバランスを取っていくかが重要」とコメント。地域によって、介護保険の施設、在宅サービスの整備状況は違うため、療養病床の「新たな類型」が担うべき役割も異なることが想定される。土居氏は、地域医療構想と病床機能報告制度にも言及、20対1の医療療養病床に、「新たな類型」の施設を併設するなど、「複数の病床機能を持つ病院、あるいは施設があっていい」と述べた。この発言に続いたのが日医の鈴木氏で、療養病床の在り方は、病床機能分化の進め方にも関係する問題であり、急性期病院が一部を「新たな類型」にすることは、機能分化に反するとし、議論が必要だとした。

従来の急性期から療養を経て施設へと言う高齢者医療の流れが、今後病床機能分化の進展と共にどう変わっていくのか微妙なところなのですが、いずれにしても施設に入所出来るまで無期限に療養病床に入っていると言うことも今後は次第に難しくなっていくのでしょうし、そもそも療養病床自体が減っていき廃止されるのだとすれば最終的に患者はどうしたらいいのかです。
国としても何月何日を期して全国一斉に療養病床は廃止しますと言うわけにもいかないでしょうから、政策的に誘導して次第に施設の転換を図っていくことになるのでしょうが、この場合注意すべきなのはしばしば用いられるように報酬を安く切り下げることで儲けが出ないようにして転換を誘導すると言う手法を使うと、患者側からすれば入院コストが安上がりになるだけ余計に入院希望者が増える懸念もあると言うことです。
自然消滅の形で療養病床の患者を追い出すためには、療養病床の入院コストを引き上げ患者や家族が早くここから出たいと思わせるようにすればいいはずですが、そうなりますと今度は一部施設側から収益性の高い療養病床で最後の最後まで儲けてやろうと言う動きが出るかも知れずで、なかなか難しいところですよね。

そもそも論として医療と介護を切り離した段階で、その中間に位置する療養病床と言うものが非常に便利な存在になってしまったとも言えるのですが、介護施設からいったん追い出されれば再入所が容易ではないと言う状況が続いている限り、療養病床を廃止すれば行き場のない患者がいつまでも急性期に留まることにもなりかねませんから、病院としてはいかに患者家族を説得して追い出…もとい、転出していただくかが重要になりそうですね。
こうした状況の落としどころとして記事にもあるように「新たな類型」なるものが登場してきたと言うことだとして、患者側からすれば看板を掛け替えただけじゃないかと言われかねない気もしますけれども、この場合診療も受けられる居住スペースと言う考え方になれば当然生活コストは全額自己負担して当然ですから、医療介護保険からの持ち出しはずいぶんと安上がりになる理屈ではあるのでしょう。
ただこうしたいずれの類型にしても高齢者が自主的にどこへと選べるわけではなさそうですので、地域内での公平性なども考えながら患者を最も妥当な施設に誘導する仕分け作業が大変そうですけれども、下手をすると身寄りもなく自己判断能力も失われた高齢者ほど同意が得られないからと良い施設に入れ、意に反した施設に贈られるのは「説得」される余地のある家族のいる高齢者ばかりと言うことにならないかと言う気もします。

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2016年6月 6日 (月)

今や社会的迷惑とも目される喫煙者、カレー店からも駆逐される

先日厚労省からこういう話が出ていましたが、これを多いとみるか少ないとみるか意見は分かれそうですけれども、喫煙者にとってはますますやりにくくなりそうな話ですよね。

受動喫煙が原因の死者数、年間1万5,000人 厚労省調査(2016年5月30日FNN)

受動喫煙の影響で死亡する人が、年間1万5,000人と推計されることがわかった。

厚生労働省の研究班の調査によると、非喫煙者で、家族や職場の同僚が喫煙している場合、受動喫煙が原因で死亡する人は、年間1万5,000人と推計されるという。
前回、2010年の調査では、6800人と推定されていたが、今回の調査で、倍増したことになる。

これまで、受動喫煙は、肺がんや心筋梗塞などに因果関係があるとされていたが、前回調査以降、脳卒中やSIDS(乳幼児突然死症候群)にも因果関係があるとされたため、大幅に増えたという。
厚労省は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、受動喫煙対策を強化する方針。

年々喫煙者は肩身の狭い思いをしているのだそうですが、世界的に見るとまだ高い方だとは言え日本人の喫煙率も年々低下する一方で、昭和の中期には9割近かった男性の喫煙率も今や3割程度だと言いますから、喫煙者の横暴を嘆く時代から今や社会的少数派としてどう権利を確保していくかを考えざるを得ない時代だとも言えそうです。
ただ諸外国では喫煙に関して日本よりもよほど厳しい態度で対応している国も少なからずあって、外国人訪日客が増えてきますとこの辺りのギャップが問題になってくる可能性もありますが、個人の自由だと言っても少なくとも健康被害については自分だけに留まらず他人の健康にも責任があることになりますから、分煙の徹底などで対応していくしかないのでしょうか。
この点で真っ先に対応が求められるのが匂いが直接影響する飲食店ではないかと思いますが、少なくとも食べている最中にタバコの煙は勘弁して欲しいと言うのは当然としても、隣の人のタバコの残り香などはどれくらい気になるのか人によって様々ですけれども、先日こんな豪快な対応をしているお店があると話題になっていたニュースを紹介してみましょう。

非喫煙者でも「タバコのニオイがする人、お断り」 カレー店の入店規制は厳し過ぎるのか?(2016年5月28日にこにこニュース)

5月26日の「白熱ライブ ビビット」(TBS系)で取り上げられたのは、東京・中央区にあるカレー店「京橋屋カレー」。お店の入口には、こんな貼り紙がある。

    「喫煙者・非喫煙者に関係なく、タバコのニオイがする方は入店できません

なかなか強気なこの貼り紙。分煙や完全禁煙にする飲食店が多い中、店外での喫煙もNGというから驚きだ。禁煙の張り紙を見て、外で一服してきた場合の再入店もできない。再入店した場合は連帯責任として、同行者全員が迷惑料3000円を支払うルールもある。(文:みゆくらけん)
入店禁止は非喫煙者にも及び、パチンコ店などタバコの煙が充満する環境にいただけでNG。タバコから発生した粒子(タールのミスト)が髪や衣服に付着するからだ。このような決まりを作った店長は「批判は覚悟の上」とした上で、真意をこう話す。

    「お客様にできるだけカレーのスパイスの香り以外のニオイを感じさせたくない。カレーを提供すること自体がお店のウリならば、それをちゃんと届けるのもお店の仕事」

自身の鼻判断で、多い時は月に30人は断っている店長。断られた客の中には納得がいかず、怒鳴ったり、嫌がらせをしたりする人もいる。なお入店NGはタバコ臭だけでなく、香水などの強い臭いにも適用される。
怒鳴られるのを覚悟で月30人もお客を帰さなければならないなんて、それだけでもう大概なストレスだが、それでも信念を曲げず「タバコ臭NG!」を貫くのは立派か? それともやり過ぎか?
スタジオの国分太一は「良い」とコメント。「味に自信がないとできないこと。タバコのニオイがする人はすべて禁止ということは、その時点でお客さん減ってるじゃないですか? そこで勝負したいとなると、プロだなと思う」と擁護した。
一方、フリーアナウンサーの雪野智世は「こうやって出すことが宣伝になる。作戦にも思えるんだけど、違う?」と少し斜に構えた。確かに隣に座る千原ジュニアは、VTRを見て「今もう行きたいですもんね」と興味津々だ。
真矢ミキは「女性って、すっごい髪の毛に(ニオイが)付くんですよ」と本来は分煙でも気になるとしながらも、このお店に対しては「厳しいかなぁ」とコメント。
唯一の喫煙者である教育評論家の水谷修は「いいと思う。店の営業権は彼にあるんだから。僕ももしここでカレーを食べるなら、1週間はタバコ吸わないで綺麗にシャワー浴びて行きます」と話していた。さらに水谷は、飲食店での「ニオイ」にまつわるこんなエピソードを披露した。

    「僕の行きつけの寿司屋は香水禁止。(その理由は)某野球監督の奥さんなんですけど、野村佐知代さん。佐知代さんの隣で食べるとヒラメからタイから、みんな佐知代さんの香水の味(になってしまうから)」
(略)

ネット上では喫煙者からの移り香による冤罪を懸念する声は相応にあるものの、基本的に「お店の方針としてそういうことならそれでいいのでは」と言う反応のようですが、それで経営が成り立つと言うことであれば店の方針として容認されるのだろうし、実際にノーネクタイノージャケットはお断りなど様々な自主規制を行っている店舗は他に幾らでもあるわけですから、匂いだけは駄目だと言うのも筋が通らない話です。
もちろん時々話題になったような車椅子お断りだとか盲導犬お断りと言ったように、本人には如何ともしがたい理由で拒否されると言うことであれば承伏しがたいところもあるのでしょうが、この場合本人の努力で何とでもなることなのですから、お店の方針としてそう言うものだと考えるしかないのでしょうか。
ただ飲酒に対して飲酒検問があるようにこの場合タバコを吸ったかどうかを検査なりで調べると言うのではなく、あくまでも店長の嗅覚と言う客観性に乏しい基準で行う点は面倒で、どれくらい禁煙すれば入店可能になるのか等々の客観的指標がないわけですから、確かに遠くから出かけて行って断られたお客は不満もあるのでしょうね。
こうした場合に備えて例えばテイクアウトが出来ると言うことであればまだしも不満が少なくなるのかも知れませんし、あるいは喫煙者向けに店外のオープンスペースなりを用意すると言う方法もあるのかも知れませんが、しかしこうしたお店に事情を知らない外国人が訪れて断られたと言った場合、話がうまく通じず盛大に炎上しかねないような気もします。

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2016年6月 5日 (日)

今日のぐり:「阿も珍(あもちん)神辺店」

現地では日常の一光景なのだそうですが、我々日本人の目線で見ると何とも不思議なものを感じさせる光景が話題になっていました。

巨大なワニがゴルフ場をお散歩、ジュラシック・パークのような光景に反響。(2016年6月1日ナリナリドットコム)

週末にゴルフを楽しんでいたはずが、「ジュラシック・パークに来てしまったのか?」と思うような光景を収めた動画が話題を呼んでいる。

米フロリダでゴルフを楽しんでいたヘルムズさんは、グリーンに巨大なワニがいることに気がついた。3番ホールには湖があり、そこに棲息しているワニが散歩を楽しんでいるのだという。

全長4.5メートルとも5メートル弱とも報道されている巨大なワニは、このゴルフ場の主のようなものらしく、あまりにしょっちゅう散歩しているため、競技者もスタッフも全く驚かないとのこと。

ネットでは「そこはジュラシック・パークでは」「池ポチャしても怖くて入れないね」「U.M.A レイク・プラシッドという映画を思い出したよ」「これは偽物じゃないのか」「自然はすごいなあ」といったコメントが寄せられている。

その状況は元記事の動画を参照頂ければ一目瞭然なのですが、何やら作り物感と言うのでしょうか、ちょっと現実離れした光景に思えてならないのは自分だけでしょうか。
本日は巨大なゴルフ場の主に敬意を表して、世界中から思わず目を疑うような違和感のある光景を伝えるニュースを紹介してみましょう。

まさに「招かれざる客」…民家の玄関前に居座る“ピューマ”に閑静な住宅街が騒然(2016年5月23日IRORIO)

招かれざる客とはまさにこのことだろう。
玄関先をのぞくと、1匹の大きな動物が居座っているとなれば誰だって驚くに違いない。

FOX13が伝えるところによると、米ユタ州 ヒーバー・シティに住むキャシー・インマンさんは、先週自宅の窓から外をのぞいたとき、「玄関先にいるのはどこの犬?」と思ったそうだ。
窓をたたいてみるとそれは振り向き、その正体を知りキャシーさんはビックリ仰天。犬などではなく“ピューマ”だったのだ。

ここから一家は大騒ぎ。何度も窓の外をのぞいては猛獣の姿を確認したり、しかるべき場所に連絡したり、誰かが訪ねて来て遭遇しやしないかとヤキモキしたに違いない。
噂を聞きつけた近所の子どもたちが、「ピューマを見せて」と裏口からやって来たため接客にも追われたそう。

一方、騒動は家の中だけではおさまらなかった。近所の人もピューマの存在に気付きフェイスブックに投稿。
隣近所から野次馬が集まり、あたりは騒然となったようだ。

気の毒なのはピューマだ。のんびり昼寝と決めこんでいただろうに、この騒ぎではとても眠ってなどいられなかっただろう。
やがて到着した動物管理局員に麻酔銃を撃たれ撃沈。
翌日には無事、野に放たれたという。

この街に住み始めて30年になるキャシーさんだが、こんなに身近にピューマが現れたのは今回が初めてだという。

画像を見ると確かに遠目には大きなイヌ?と思っても不思議ではないのかも知れませんが、しかし大きなイヌだったとしてもこんなものに居座られたのではうっかり出入りも出来ないですね。
こうしてお互いに何もなくすめばよいことなんですが、時にはこういう思いがけない被害もあり得ると言うびっくりニュースを紹介してみましょう。

トイレ排水口から巨大ニシキヘビ タイ男性、性器かまれ失神(2016年5月26日ニュースクリップ)

【タイ】テレビ報道によると、25日午前7時ごろ、タイ東部チャチュンサオ県バンパコン郡の民家で、住人のタイ人男性アタポンさん(38、仮名)がトイレで用を足していた際に、排水口から出てきた全長約3・5メートルのニシキヘビに男性器をかまれ、大けがを負った。

 事故が起きたのはしゃがみ込むタイプのトイレ。アタポンさんはかまれると悲鳴を上げ、妻にロープを持ってくるよう叫んだ。妻が持ってきたロープをヘビの頭をかけ、トイレのドアノブに結びつけたが、その場で出血多量のため失神。病院に搬送された。

 ニシキヘビはトイレの排水口に胴体がはまり動きがとれない状態で、通報を受け駆けつけた救急ボランティア団体の職員が血まみれのトイレを取り外して排水口部分をかなづちで壊し、救出、捕獲した。近く人気のない場所で自然に返す予定。

本人は必死だったのでしょうがどのような対処法なんだ?と言う気もするところなんですが、ヘビの方でもこの状況にはさぞ困惑していたことでしょう。
昨今では強い女性と言うものも増えているそうですが、こちら対応した医師も思わず目を疑っただろうニュースです。

米女性、腕にかみついたサメごと病院へ フロリダ州(2016年05月16日AFP)

【5月16日 AFP】米南東部フロリダ(Florida)州で15日、サメに腕をかまれた女性が、サメごと病院へ緊急搬送された。

 消防関係者が現地紙に語ったところによると、同州ボカラトン(Boca Raton)の浜辺で、海水浴をしていた女性(23)の右腕に体長61センチ程度のコモリザメ(ナースシャーク)がかみついた。サメはその場で海水浴客に殺されたが、サメの死がいを板で支えながら、女性は担架に載せられて車で病院へ緊急搬送された。

 海難救助隊の隊長は地方紙サン・センチネル(Sun-Sentinel)に対し「こんな出来事は見たことがないし、聞いたこともない」と語った。フロリダ州の大西洋岸でよくみられるコモリザメは、最大で体長3メートル程度まで成長するが通常は攻撃性が低く、ロブスターやイカ、ウニなどを餌とし人間を食べることはない。

それは確かに見たことも聞いたこともないケースだったろうと思うのですが、しかしどうでもいいことですがずいぶんと口の肥えたサメなんでしょうね。
あって欲しくない光景でありながら時に起こる事態でもあるそうなのですが、それに対して強力な反撃が発生したと言うのがこちらのニュースです。

バスに痴漢現る、下半身丸出しの男を女性客らが殴る蹴るのめった打ち―トルコ(2016年5月7日レコードチャイナ)

6日、電車やバスでは痴漢が出没することがあり、卑劣な行為に泣き寝入りする人もいるが、トルコで先日起きた痴漢事件では乗客の女性らが協力し痴漢犯を退治した。

2016年5月6日、電車やバスでは痴漢が出没することがあり、卑劣な行為に泣き寝入りする人もいるが、トルコで先日起きた痴漢事件では乗客の女性らが協力し痴漢犯を退治した。

先月28日、満員のバス内で男が1人の女性客に向かって下半身を露出する痴漢行為を行った。これに怒った女性客は男にビンタをお見舞いし、事情を知った周りの女性客らも次々に参戦し、男に殴る蹴るの猛攻を加えた。さらに、バスの運転手は機転を利かせバスを近くの警察署まで運転し、通報を受け待っていた警官が男の身柄を拘束した。同事件にネットからは、「よくやった!」「これが女性の力だ!」「(痛い目に遭った)男は2度と同じことをしないだろう」との声が寄せられている。

これまた女は強しと言うことの一例なのかとも思いますが、しかし同じ事はしないかも知れませんが別な趣味に目覚めてしまうと言う可能性もあるのでしょうかね。
人里離れた山中と言えば何かと不便なことだろうと思うのですが、こちらそんな場所に似つかわしくないサービスがあったと言います。

米ピザハット、キリマンジャロ山頂に配達 4日がかり(2016年5月12日CNN)

ニューヨーク(CNNMoney) 米宅配ピザ大手のピザハットがこのほど、タンザニアにあるアフリカ最高峰キリマンジャロ(標高5895メートル)の頂上にピザを届け、ギネス・ワールド・レコーズ公認の史上最も高いところへのピザ配達の記録となった。

配達は5月5日に始まり、頂上に届いたのは8日だった。
ピザハット幹部によれば、配達されたのはペパロニ・ピザ(チーズ増量)で、途中まで飛行機とオートバイを利用したほか、プロの登山ガイドが特別製のリュックに入れてリレーしたという。

ピザハット・アフリカのゼネラル・マネジャー、ランダル・ブラックフォード氏らによれば、この配達は世界で100カ国目となるタンザニアへの進出を祝って行われた。
中心都市ダルエスサラームの新店舗で作られたピザはキリマンジャロ国際空港まで空路で運ばれ、そこからキリマンジャロ国立公園の登山口までバイクで運ばれた。その先は、保温機能とピザを水平に保つ機能のついた特製のリュックに入れられ、5人の登山ガイドが標高約4800メートルにあるベースキャンプまで運搬した。
ベースキャンプではブラックフォード氏らピザハット社員3人が合流。3人はベースキャンプまで5日かけてたどり着いたという。
ガイドたちと社員は深夜から頂上へのアタックを開始。その様子はギネス記録申請のためにビデオ録画された。ブラックフォード氏は、「みんなでピザを担いで頂上まで急いだ。夜を徹して登山した後のピザは例えようもないほどおいしかった」と語った。

当初はふもとからずっと人力で運ぶ予定ではなかったらしい。ブラックフォード氏によれば、「最初はヘリコプターでベースキャンプに運び、そこから先だけ運べばいいと思っていた」。
だがベースキャンプ付近は空気が薄く、着陸する場所もないためヘリの利用はできなかった。次にドローンを使うという手を思いついたものの、標高が高いことや頂上付近では風が非常に強いことなどから断念。そこで自分たちで運び上げるしかないことに思い至ったという。
ピザハットは2001年に国際宇宙ステーションにピザを届けたこともある。

ちなみに届いたピザが冷めていたのではないかといささか気になるのですが、この場合配送遅延で返金などは期待出来るのでしょうかね。
最後に取り上げますのはこちらのニュースですが、そもそもそれが何かと言うことが理解出来ない方も多いのでは亡いでしょうか

米軍、核兵器運用に今も8インチフロッピー使用(2016年05月26日AFP)

【5月26日 AFP】米軍の核兵器運用部門が、いまだに1970年代に開発された8インチのフロッピーディスクを使用していることが、米政府監査院(GAO)が25日に発表した報告書で明らかになった。

 報告書は、米政府機関の多くで既に時代遅れとなった「レガシーシステム」が使用されており、早急な新システムの導入が必要だと指摘している。

 米国防総省では、大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機、空中給油・支援機などの核戦力の運用機能を調整する指揮統制系統で、1976年発売のコンピューター「IBMシリーズ/1(IBM Series/1)」や8インチフロッピーディスクが用いられているという。

 国防総省報道官のバレリー・ヘンダーソン(Valerie Henderson)中佐はAFPの取材に対し、旧式システムを使っている理由を「簡単に言えば現在も機能しているため」と説明したうえで、「老朽化が懸念されていることから、2017年末までにフロッピードライブをSDメモリーリーダーに置き換える予定だ」と付け加えた。

 GAOの報告書では、国防総省は2020年末までにシステム交換を完了させる計画だとしている。報告書はまた、連邦政府がコンピューターシステムの「開発、最新化、機能強化」よりも「運用と整備」に多大な経費を投入していると指摘。例として、昨年には612億ドル(約6兆7000億円)が運用・整備に投じられたのに対し、その他の分野には192億ドル(約2兆1000億円)しか投じられなかったことを挙げている。

8インチFDと言えばその昔に一度だけ実物を見た記憶がありますが、今の時代そもそもFDと言うメディア自体知らないと言う人の方が多いのではないでしょうかね?
先日のオバマ大統領の広島訪問でも核兵器の発射ボタン持参だったとも報じられていますが、しかし核の運用にこんな古いシステムも組み込まれているとは驚きです。

今日のぐり:「阿も珍(あもちん)神辺店」

備後地区界隈で展開されているのがこちらのグループですが、元々は古来景勝地として有名な鞆の浦界隈の珍味屋だったそうですね。
そのせいか現在も各店舗店頭はちょっとしたお土産屋状態になっていますが、海鮮料理を中心に手軽に楽しめるお食事処だそうです。

この日は無難に日替り定食を頼んでみましたが、メインのおかずである赤魚の煮付けはお総菜っぽい甘辛濃いめの味で、飯にも合うしなかなかうまいですね。
刺身はサーモンとブリが一切れずつとちょっとさみしいのですが天ぷらはボリュームがあって、油キレは少し悪いんですが大根の天ぷらが面白かったのと、天つゆに合わせるのが鬼おろしなのが目につきました。
小鉢類もどれも綺麗にこしらえてあって、特に元が珍味屋だけにでしょうかイカの塩辛が妙に美味で、これでご飯はおかわり自由と言いますからがっつり需要にも対応出来そうですね。

日替わり定食としては見た目も豪華でコスパも悪くないですし、味もボリュームも普段の飯としては必要十分ですが、強いて言えば食材的に地元瀬戸内のイメージが薄いのが惜しいですね。
接遇面は居酒屋ではなく料理屋的で全般的に落ち着いたものですが、ただ個人差が大きいのかいわゆる人間力の問題なのか、これはスタッフ教育以前の問題かなと感じる局面は幾らか感じられました。

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2016年6月 4日 (土)

裁判員に対する声かけ事案が発生

古典的名作映画の一つとして知られる「十二人の怒れる男(12 Angry Men)」はご存知の通りアメリカの陪審員制度を描いた作品で、陪審員制度と言うものが存在しなかった日本ではその実際のありようを学ぶ教材的にも使われていたと聞きますが、日本においても裁判員制度が導入された結果全国各地でその経験者も増えてきているのが現状ですよね。
そうした状況においては当然ながら裁判の公平性をどう担保するかと言うことは陪審員個人個人の資質にも大きく影響されるはずですが、それに対して非常に大きな悪影響を与えかねない事件があったと報じられ話題になっています。

工藤会系公判、裁判員に「よろしく」 被告知人?声かけ(2016年5月30日朝日新聞)

 福岡地裁小倉支部で開かれていた殺人未遂事件の裁判員裁判で、被告の指定暴力団工藤会系組幹部(40)の知人とみられる男が5月中旬、複数の裁判員に閉廷後、「よろしく」などと声をかけていたことが関係者らへの取材で分かった。同支部は予定していた判決期日を取り消した。評議に影響を与える恐れがあると判断した模様だ。
 裁判員法は、裁判員や補充裁判員の職務に関し、依頼をしたり面会や電話などで威迫したりする行為に、2年以下の懲役または20万円以下の罰金に処すとの罰則を設けているが、これまでに適用された例はないとみられる。

 被告の男は、昨年1月に知人男性を日本刀で刺し、殺害しようとしたとして、11月に起訴された。
 福岡地裁小倉支部は今年4月28日、補充裁判員2人を含む計8人を裁判員に選任。5月10日に初公判があり、被告は刺したことは認めたが殺意を否認。12日に検察側が懲役8年を求刑して結審し、判決は16日に言い渡される予定だった。
 関係者によると、知人とみられる男は北九州市小倉北区の同支部付近で、審理を終えて退出した複数の裁判員に、「よろしく」という趣旨の言葉をかけたという。裁判員から報告を受けて同支部が把握したとみられる。同支部は13日、判決期日を取り消す決定をした。同支部の川崎道治・庶務第1課長は取材に「判決期日を取り消したのは事実だが、理由は明らかにできない」とコメントした。

 工藤会は2012年12月、全国で唯一の特定危険指定暴力団に指定された。裁判員法は、裁判員やその親族らに危害が加えられる恐れがある場合は、裁判官だけで審理できると定めている。これまで同会系組員らの刑事裁判をめぐっては、裁判所が「裁判員らの生命や財産に危害を加えるおそれがある」などとして、裁判員裁判から除外される例が福岡地裁と同地裁小倉支部で計5件あった。今回の事件では「組織性が薄い」として、除外対象にしていなかった。

裁判員への威圧か 工藤会の知人声掛け 揺らぐ制度の根幹 庁舎外での保護なし(2016年5月30日西日本新聞)

 裁判員制度がスタートして7年。福岡地裁小倉支部で、裁判員への圧力ともとれる「声掛け」により、判決期日が取り消される事態が初めて起きた。識者は「審理の公平性と裁判員の身の安全という点において、裁判員制度の根幹にかかわる問題だ」と指摘する。制度導入当初から、こうした懸念はあった。同様の事態をどう防ぐのか。裁判所をはじめ法曹関係者は重い課題を突き付けられた。

 「裁判所内では外部との接触はなく、非常に守られている感じがした」。九州北部の裁判員経験者は、当時の対応を振り返る。
 裁判員は法廷で、被告や傍聴者からも姿を見られるが、庁舎内では裁判官や職員が付き添い、氏名が明かされることもない。しかし、審理を終えて裁判所を出れば特別な保護はない。今回は、その隙を突かれた可能性が高い。

 裁判員制度に詳しい笹倉香奈甲南大教授(刑事訴訟法)は「市民参加の陪審員制度がある米国では、陪審員に裁判期間中をホテルで過ごしてもらい、隔離するケースもある」と指摘。裁判を事件の発生地ではなく全く別の地域で開くこともあるという。
 笹倉教授は「裁判員に著しく予断を与える行為を防ぐ必要がある。審理の公平性からも対策が不可欠だ」と強調する。
(略)
 期日取り消しを受け、今後の裁判は(1)そのまま判決を言い渡す(2)裁判員を選任し直し、一から審理を行う(3)裁判員を除外した審理にする-などの対応が考えられる。
 裁判員制度では、約6万8千人(3月末時点)が裁判員と補充裁判員を経験。最高裁の調査に経験者の約6割が「非常によい経験」と答えている。裁判員経験者は「制度を市民に身近なものとして根付かせるためにも、裁判員の保護について考え直してほしい」と話した。

まあしかしこうしたことはあっておかしくない話でもありそうですから、逆に今まで起こって来なかったことがむしろ不思議でもあるのですが、あるいは法廷外では起こっていたものが今回たまたま表沙汰になっただけであると言う可能性もあるのでしょうか、いずれにしても単なる一市民たる裁判員としてはこれでは不安に駆られるのももっともですよね。
記事にもあるように裁判員法によれば裁判員に請託したり威迫したりと言う行為は当然ながら禁じられていて、違反した場合は2年以下の懲役または20万円以下の罰金に処すとされていますが、当然ながら暴力団員が本気でそれを行おうとするならこの程度の罰則何するものぞと言うことにはなるでしょう。
ただ今回の場合記事によれば少なくとも表向きの文言としては日常のあいさつ程度の内容であったとも言え、これで威迫(脅迫)として認定されるものなのかどうかは何とも言いがたいですが、請託(特別の計らいを頼むこと)には該当すると言う意見もあって、まずは相手の特定と適切な対処が必要になるかと思います。
そもそも被告やその関係者が裁判員と接触すること自体がどうなのかですが、現行の法律では法廷の外で裁判員を保護するものは何もないと言うことですから、その気になれば様々な手段を用いて脅迫なり買収なりも出来ることは出来るのだろうし、当の裁判員が口外しない限りは恐らくそうしたことは表沙汰にはならないのでしょう。

ただ今の時代ですとこうした個人レベルの対応よりもマスコミやネット世論による有形無形の圧力の方がよほど大きな影響を与える可能性もありそうで、例えば連日マスコミが「被告は極悪非道の大悪人だ。法による裁きを期待する」などと連呼していれば裁判員が影響を受けないはずがないと思いますし、ネットなどはいわゆる工作員によってネット世論が形成されることもあるのですから何とでもやりたい放題ですよね。
陪審員制度先進国であるアメリカなどでは著名人の犯罪では無罪判決が出る確率が高いなどと言う説もあるのだそうで、その理由には様々なものがあるのでしょうが、もともと裁判員制度導入の動機としてあまりにも国民感情から乖離した司法判断が続いたことも理由の一つだったと言えますから、本当に世論がそれを望んでいるのであれば裁判員が意見を左右されるのもやむなしなのかも知れません。
ただ社会的圧力を感じて裁判員が自分の思想信条に反した判断を強いられると言うことがあるならそれは問題でしょうから、当座外野からの干渉を少しでも排除するためにも裁判員の匿名性保持についてもう少し配慮していくことが必要なのかなとは思いますね。

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2016年6月 3日 (金)

銃社会アメリカで最近最も大きな話題になったかも知れない射殺事件

妙な事が妙な騒ぎに発展すると言うことはよくあることですが、先日発生したこちらの事件がただいま絶讚炎上中だと言います。

3歳児を救うため…絶滅危惧種のゴリラ射殺で大議論 両親に責任?園側の過失? 米オハイオ州(2016年6月1日産経新聞)

 【ニューヨーク=上塚真由】米中西部オハイオ州の動物園が、ゴリラの獣舎に入り込んだ3歳の男児を救うためゴリラ1頭を射殺したことをめぐり、全米で賛否両論が巻き起こっている。射殺されたのは絶滅危惧種のゴリラで、インターネット上では、園側や男児の両親の責任を求める声が殺到。事態を受け、地元の司法当局は5月31日、両親らの刑事責任の有無について捜査を始めたと明らかにした。

 射殺されたのは、17歳の雄のニシローランドゴリラ「ハランベ」で体重は約180キロ。米メディアによると、男児は28日、家族と同州シンシナティの動物園を訪れ、柵をくぐるなどして獣舎に入り込んだ。ハランベが水を張った堀の中で男児を引きずり回すなどしたことから係員は約10分後、ハランベを射殺。男児はけがを負ったが、命に別条はなかった。

 園側は、麻酔銃は効果が出るまでに時間がかかり、射殺は苦渋の選択だったと説明。安全対策にも問題はなかったと主張している。

 これに対し、動物愛護団体は「ニシローランドゴリラは温和な性格で挑発しない限り攻撃しない」と対応を批判。子供から目を離したとして両親の刑事責任を求めるネット上の署名活動には31日夜までに約40万人の賛同が集まっている。

 米大統領選の候補指名が確定したトランプ氏は「射殺以外に選択肢はなかっただろう」と動物園側に理解を示した。

米動物園のゴリラ射殺に批判相次ぐ 4歳児が飼育エリアに転落(2016年5月30日BBC)

米オハイオ州の動物園でゴリラ「ハランビ」(17歳、オス)が28日に射殺されたことを受けて、ソーシャルメディアで批判の声が上がっている。飼育エリアに転落した4歳の男児の安全確保が射殺の理由だが、ゴリラは男の子に危害を加えようとはしていかなったと多くの人が指摘。一部はハッシュタグ「#JusticeForHarambe」を使って、非難のコメントを寄せている。
動物園は、体重が180キロあるハランビが男の子をつかみ、引きずったことから、男児に「命の危険がある」と判断し、射殺を決めたと説明している。
一部では、責任は子どもに対する監督を怠った両親にあると批判している。

ツイッターのユーザー「StrayanRepublic」さんは、「ハランビは殺そうとして引きずったのではない、叫ぶ観光客から守ろうとしたんだ」とツイートした。
「Kenz」さんは、「親の不注意で絶滅危惧種の動物が殺されなくてはいけなかったのはとても悲しい」とツイートした。
「Andrue」さんは「なんで動物園は即効性の麻酔を使わなかったんだ。あのライオン2頭に続いて今度はハランビだ」とツイート。
(略)
動物園のセイン・メイナード氏は、「(関係者にとって)難しい選択だったが、正しい選択だった。男の子の命が救われたのだから。非常に悪い結果になっていたかもしれなかった」と語った。
メイナード氏は、麻酔銃では効果が現れるのに時間がかかり過ぎたと説明した。同氏は、男の子はゴリラに襲われてはいなかったものの、「確実に危険があった」と述べた。
さらに、「絶滅危惧種のゴリラが死ぬという悲劇的な事故に、我々全員が非常にショックを受けている。動物園にとっても、世界中のゴリラにとっても大きな損失だ」と語った。
(略)

風の噂で聞くところではゴリラが射殺されたのは銃を持っていなかったからだと全米ライフル協会が言ったとか言わないとかですが、いきなりこんな騒ぎに巻き込まれた上に射殺されてしまったゴリラが確かに気の毒である一方で、ひとまず子どもに大きな怪我がなかったと言うことで胸をなで下ろした方も多いのではないかと思います。
日本ではこうした場合そもそも銃で射殺すると言う選択肢がまず考えられない状況で、握力800kgとも言うゴリラが逃げた場合に備えて何とものどかな訓練をしているものだと話題になったりもしますけれども、アメリカの場合様々な選択肢が予め用意されている中で、こうした場合に最善最良と思われる方法を躊躇なく行うと言う判断も求められているのだろうと思います。
何が正しい、間違っていると後付けで理由を見つけてくることは誰にでも出来るとしても、決断すべき時に躊躇せず決断し実行に移したことに対して批判されると言うのもどうなのかと思うのですが、現状では記事にもあるように各方面から非難の声が多数上がっていて、むしろそれによって事件が話題になっていると言うことですよね。

興味深いこととして「子どもに危害を加える様子はなかった、ゴリラを射殺する必要などなかった」と主張する方々がよく引用している動画があって、これを見る限りではむしろゴリラは子どもを見守っているようにも見えますから何故?と言う疑問が湧くのも当然ですし、事実こうした動画を見て「何故殺した!」と怒り心頭と言う方々も少なからずなのですが、元動画は連続的に撮影されているはずなのに何故か途中で動画がカットされていることが判りますでしょうか。
他方で一連の経緯を不連続に撮影した元動画とも言えるものもあって、これを見ると何故皆が大騒ぎしているのかが判るかと思うのですけれども、周囲が大騒ぎしたことでゴリラがかえって興奮し危険な状況になってしまったのだと言う批判も確かにその通りなのでしょうが、こうした際に一般観客が全部が全部冷静に対応できるかと言えばまあ無理ですから、転落時の観客対策と言うことも今後改善すべき余地はあるのかも知れませんね。
ちなみに一部動物保護団体がすでに農務省に告発状を提出しているとも言い、一方で地元警察が刑事訴追の有無を調べることになったと報じられ話題になっていますけれども、警察が調べようとしているのは両親の行動が妥当なものであったかどうかだけだと言い、動物園側に関しては一切調べる予定はないそうです。

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2016年6月 2日 (木)

新しい肺炎ガイドラインに無治療の選択肢が登場?

何をするにもガイドライン第一と言う時代で、ガイドラインに外れたことをするからにはそれ相応の理由がなければ後日突っ込まれる覚悟をしなければなりませんが、国民の多くが経験する一般的な疾患である肺炎のガイドライン改定作業において注目すべき内容が含まれそうだと報じられています。

高齢者肺炎を「治療しない」選択肢に踏み込む(2016年5月31日日経メディカル)

 日本呼吸器学会の成人肺炎診療ガイドラインの改訂、統合作業が進んでいる。肺炎診療のガイドラインは、これまで成人市中肺炎(CAP:community acquired pneumonia)、成人院内肺炎(HAP:hospital acquired pneumonia)、そして医療・介護関連肺炎(NHCAP:nursing and healthcare associated pneumonia)と、患者の居場所や患者背景に応じて分類した3つの肺炎診療ガイドラインが作られてきたが、今改訂では3つのガイドラインをまとめて1つのガイドラインを作成する。今年夏頃にパブリックコメントを求め、秋頃には発行する予定だ。
 ガイドライン作成委員長である河野茂氏(長崎大学理事・副学長)は、「パブコメで批判を受ける可能性もあるが、多くの医療機関で対応に苦慮している肺炎について、一歩、踏み込んだ内容を提示したいと考えた」と新ガイドラインのポイントを語る。

 肺炎の診療ガイドラインは、健康な人が罹患する肺炎であるCAPが2000年、入院して48時間以降に罹患する肺炎であるHAPが2002年に作成された。2005年、2008年の改訂を経て、それぞれで重症度分類に応じた治療内容を推奨してきた。
 その後、CAPとHAPの狭間にいる、介護施設入所者や入退院を繰り返す患者、透析などで頻回に通院治療を受ける患者に発症する、耐性菌を原因菌とする肺炎としてHCAP(healthcare associated pneumonia)という概念が米国から発信された。折しも、国内でも同様の背景を持つ患者で、耐性菌性肺炎に加えて誤嚥性肺炎を中心とした肺炎が問題化しており、日本流にアレンジしたNHCAPという概念を確立し、日本呼吸器学会が診療ガイドラインを2011年に作成している(表1参照)。
(略)
 今回のガイドラインで最大の特徴となるのが、HAP/NHCAPだった場合に、患者の状態が「終末期あるいは老衰」かどうかを評価する点だ(図2赤枠部)。フローチャートで終末期や老衰という判断基準を盛り込むのは、今回のガイドラインが初めてとなる。
 そして、「終末期あるいは老衰」と判断された場合、「個人の意思尊重、QOL優先」という考え方に基づいて治療を考えることを推奨する。さらに、終末期や老衰の状態でなくても、次は高齢者に特徴的な誤嚥性肺炎のリスクを評価することになっている。耐性菌リスクの有無、重症度判定はその後というアルゴリズムだ。原因菌や重症度評価よりも先に患者背景を考慮することを推奨する形となっている。
 2011年のNHCAP診療ガイドラインでも、治療方針を考える際、まず患者背景を考慮することの重要性が示されていたが、新ガイドラインでは「さらに一歩踏み込んだ表現」(河野氏)とした。

 患者背景を最初に評価するアルゴリズムになったのは、「寝たきりやサルコペニアがある高齢肺炎患者の場合、適切な抗菌薬治療が必ずしも生命予後を改善するとは限らないからだ」と、ガイドライン作成委員の1人である大分大学理事・副学長で呼吸器・感染症内科学講座教授の門田淳一氏は言う。こうした患者では、抗菌薬治療を行うと一時的に改善する場合もあるが、誤嚥などをきっかけに繰り返し肺炎に罹患し、再入院しやすい。入院するたびに抗菌薬治療を行っていれば耐性菌も出現しやすくなる。短期的な改善は得られるが、「30日後から1年後といった生命予後に影響する因子としては、抗菌薬治療よりも低アルブミン血症などの栄養状態や寝たきりといった宿主因子の影響の方が大きい」と門田氏は指摘する。
 さらに、米国からの報告ではあるが、高度認知症がある施設入所者で肺炎を発症した患者を対象とした観察研究では、抗菌薬治療を行わない群は治療を行った群に比べて生命予後は低下していた。しかし、90日以内に死亡しなかった患者群でQOLを評価した結果、抗菌薬治療を行わなかった患者のQOLが最も高く、積極的な治療を行うほど有意にQOLが低下していくことが示された(Givens, et al. Arch Intern med. 170(13);1102-7:2010)。「我々の研究でも、NHCAPにおける耐性菌リスクがある群において、広域抗菌薬と狭域抗菌薬を比べた場合、広域抗菌薬の方が30日後の予後が悪い傾向にあった。積極的な治療がむしろ患者の状態やQOLを低下させるという面もある」(門田氏)。

終末期あるいは老衰の肺炎患者にはどんな治療を提供する?

 終末期の肺炎患者に対し、個人や家族の意思尊重やQOL優先を考えるというコンセプトを打ち出すとして、それぞれの現場では具体的にどうすれば良いのだろうか。
 河野氏は、「治療が患者にメリットをもたらさない、あるいはむしろ害になるというならば、差し控えるという選択肢を常に想定するように考えを変えていくこと」と指摘する。門田氏も、「欧米では、誤嚥性肺炎は肺炎ではなく、加齢の結果だという考えもあり、リビングウィルに『抗菌薬治療を受けない』という選択肢を加えているところもある」と紹介する。
(略)
 2007年に厚生労働省は、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」(2015年に改訂)を作成し、終末期の医療の提供のあり方に方向性を示している。さらに2014年には日本老年医学会も、人工的水分・栄養補給の導入を中心としているものの、「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン」を発表。「本人の予後を見通して、全体として延命がQOL保持と両立しない場合には、医学的介入は延命ではなくQOLを優先する」(同ガイドラインより)など、終末期の医療提供のあり方をまとめている。
 「こうした先行するガイドラインを参考・引用していくことになるだろう。肺炎による一時的な苦痛を除去するための抗菌薬投与などは主治医や個人・家族の意思を尊重した上で推奨することになるだろうが、抗菌薬投与が30日、90日、1年後の予後を必ずしも改善するわけではないといった但し書きも加えていくことになるのではないか」と門田氏はいう。
 終末期や老衰に定まった定義がない現時点では、どんな状態の患者に「個人の意思尊重、QOL優先」に基づいた医療を提供するかをガイドラインで明示することは難しい。ただし河野氏は、「一歩踏み込んでいかないと、患者や家族のためにならないし、医療現場も疲弊する。難しいテーマではあるが、ガイドラインに一定の記述を盛り込んでいくことで、基準の確立に向けた診療経験のデータが蓄積していくことを期待している」と語る。
 肺炎は高齢者の死亡原因の第3位で、寝たきりやサルコペニアに伴う誤嚥性肺炎を中心とした高齢者肺炎はさらに増えていくと考えられ、家族や医療現場への負担もさらに増すことが懸念されている。肺炎診療ガイドラインが一歩踏み込んだ方針を示すことで、より具体的な終末期医療のあり方を模索する手がかりになると言えそうだ。

医師個人や患者・家族によって色々と考え方もあるのだろうし、実際に両者の阿吽の呼吸で終末期医療として敢えて何もしないと言う選択肢もあり得るのでしょうが、やはり標準的な医療とはこういうものだとガイドラインで示されている以上はそれに従わないことに一定の緊張は伴うものですし、場合によっては患者や家族からは大いに感謝されても社会的に批判を受け、司法の場で責任を追及されることもあり得るでしょう。
その意味ではガイドラインに何がどう書かれているかと言うことは非常に重要であって、何しろ司法の場においてはこうしたガイドラインを重視する傾向が非常に強いわけですから、例え医学的には妥当な内容であったとしても実臨床のあり方と適合せず、現場の選択肢を狭めるような内容であっては歓迎されないと言うこともあるでしょうね。
この点で日本人の死因の第3位、高齢者に関して言えば第1位を占めるほど一般的な病気である肺炎ガイドラインの責任は非常に重大であって、これこれの肺炎に対してはこうしなさいと明示されているほどそうせざるを得なくなるだろうし、場合によっては本人や家族の意に反した濃厚医療の原因ともなりかねないと言うことです。

ただここでどの程度まで踏み込んで書くべきかも悩ましいところで、超高齢者に対しては積極的医療を行わないと言う流れがデフォルトになってもらっては困ると言う意見も当然あるはずですが、もちろん本人、家族の意に反して積極的治療を行わないと言うことはあり得ない話だとは思います。
一方でこうした場合家族もなかなか決められず「先生にお任せします」となりがちなケースでもありますが、その場合にガイドラインではこれこれの記載がありますと言うひと言でもかなり意志決定の役には立ちそうですが、こうした記載自体が患者や家族の自由意志を歪め一定方向に誘導するものであると言う反論は出てくるかも知れませんね。
とは言えガイドラインと言うものはあくまでも医療現場のために書かれたものであって、現場臨床医の行動指針になるにせよそこに医療費がどうだとか言った医療経済的背景はあまり含まれなかったものですが、今後は社会的要請もあってガイドラインと言えどコストパフォーマンス等にも配慮をした内容に改訂されるべきだと言う考えもあって、今後各種ガイドラインが改定されていく中でどの程度変質していくものか興味深く見守りたいところです。

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2016年6月 1日 (水)

AI導入は医療現場にとっての悪夢か福音か

将棋界のラスボスとも言うべき羽生三冠がいよいよAIと対戦する!?と話題になっていましたが、もともと以前からAIの台頭を予知していた人物でもあることが広く知られていて、以前にAIによって将棋が完全解明されてしまったらどうするのか?と問われ「そのときは桂馬が横に飛ぶとかルールを少しだけ変えればいいんです」と笑っていたと言います。
これを史上唯一の7冠を達成した人物ならではの余裕とみるべきかどうかですが、ごく平凡な一般市民にとってはこのところロボットやAIの台頭がSFの世界から現実的な話題になってきていて、マスコミなども「人間の仕事が奪われる!テクノ失業時代だ!」と盛んに危機感を煽っていますよね。
某大手ファーストフードチェーンも時給がこれ以上引き上げられるならロボットを導入すると言っているそうですが、これも必ずしも批判されるだけの話ではなく、実際に同チェーンでも調理場での仕事の押し付け合いでスタッフ同士が喧嘩するような状況があるようですから、考えようによっては機械の発達で女工哀史のような世界が消えていったように労働者の待遇改善のチャンスであるのかも知れません。
その点で人材が集まらない、激務であると言った職場にこそロボットやAIの必要性が高そうだとも言えると思いますが、先日医師を対象とした調査でこんな結果が出ていたと報じられていました。

「AI診療20年以内に」医師調査で7割回答(2016年5月28日共同通信)

 医療現場での人工知能(AI)活用の可能性について、医師専用の情報交換サイトを運営する「メドピア」(東京)が医師約3700人を対象にアンケートした結果、約7割が「20年以内に診療を担う時代が来る」と答えたことが28日、分かった。

 自由記述としては「数値化やマニュアル化できる部分は早いうちに機械化できる」「専門性が必要な『希少疾患』では人工知能の方が正診率が高い」との指摘がある一方、「インフォームドコンセント(説明と同意)や治療法の選択に関する話し合いは、やはり人と人のコミュニケーションが必要」との意見も出された。


人工知能での診療「20年以内に」7割 医師調査(2016年5月28日日本経済新聞)

医療現場での人工知能(AI)活用の可能性について、医師専用の情報交換サイトを運営する「メドピア」(東京)が医師約3700人を対象にアンケートしたところ、約7割が「20年以内に診療を担う時代が来る」と答えたことが28日、分かった。

数値データの解析や難病の診断に有効との声がある一方、「医師と患者のコミュニケーションは将来も不可欠」との意見もあった。人工知能は近年急速に進化し、農業や製造業などさまざまな分野での本格導入に向けた研究も進められている。

アンケートはサイト上で5月上旬に実施。人工知能が診療に参画する時代が来るかどうかに関し、その時期の見通しも含めて聞いた。
その結果、「10年超20年以内」が33%で最も多く、次いで「5年超10年以内」が23%、「5年以内」13%。20年以内を合計すると69%に上る。「20年超50年以内」は16%、「50年超100年以内」は6%で、「来ない」は10%だった。

肯定的な自由記述としては「数値化やマニュアル化できる部分は早いうちに機械化できる」「専門性が必要な『希少疾患』では人工知能の方が正診率が高い」との指摘があった。
一方で「インフォームドコンセント(説明と同意)や治療法の選択に関する話し合いは、やはり人と人のコミュニケーションが必要」「人工知能が間違いを起こした際の責任の所在など、法的・倫理的問題のクリアに時間がかかる」と慎重な意見も出された。

心電図の機械判定などはかなりの精度になっていますし、モニター類など様々な領域ですでに機械化が進んできているとも言えますから、いずれ診療の中でもっと本格的なAIの活用が為されていくことは既定の事実だとしても、先日アメリカで医療用麻酔ロボットが現場医師の反対で市場から駆逐されたと報じられたように、純粋な技術的制約のみが医療現場導入へのハードルとも言い切れないものがあります。
機械が有効な領域ももちろん多数あるのでしょうが、近い将来技術的にそれが可能になることと実際に現場で導入されるかどうかは必ずしもイコールではないと言うのは、一つには医師は常識的に医療とは必ずしも正しいものではないと言うことを知っていると言うこともあるのではないかと思いますね。
半世紀ほど前に名医とうたわれた東大の沖中重雄教授が退官講義で自分の誤診率は14%だったと公表し、医療従事者と世間とを逆の意味で驚かせたと言う伝説があるように、基本的に医療には一定程度のエラーなりミスなりは必ず発生すると言う前提に立つとき、そのエラーを許容出来るかどうかにおいて相手が機械であった場合に人間の許容範囲はかなり狭いものになるだろうと言う想像が働きませんでしょうか。
一例を挙げれば窓枠の隅についと指先を走らせて「あら幸子さん、こんなところに埃が」などと言えばそれは姑の狭量の方が問われる話ですが、ロボット掃除機が部屋の隅の埃をうまく吸い取れないともなれば通販サイトの評価では「使えない」「不良品」などと散々な悪評であっと言う間に満ちてしまうだろうことは想像に難くありませんよね。

機械と人間に得意不得意があるのが当然ですが、人間側がこれをどう受け止めるかと言うことが導入に当たっての一番のハードルで、特に日本の医療現場のようにコスト的な面の優先度が相対的に低い職場環境においては、ある意味でかくあるべしと言う理想主義的な部分も多分に残っているとも言えるでしょうが、では未来永劫医療職は安泰なのかです。
先日朝日新聞系列のサイトで「なぜ看護師人気が止まらないのか?」と言う記事が出ていて、全体的な内容としてはもちろん朝日らしく突っ込みどころ満載でどこから突っ込むべきか迷う類のものなのですが、興味深いことに理由の第一に挙げられているのが「AIに負けない」「人間にしかできない仕事」だと言うのは興味深いことだと思います。
もちろん実際にはペットロボットによる患者の癒やし効果だとか、ロボットによる肉体的負荷の軽減など看護師業務にも関わる領域で様々な話も進んでいるのですが、やはり正確性や効率以外の部分で提供できるものがあると言うのが人間の強みであるし、人間でなくてもいい部分を機械に任せることで多忙さが軽減されれば、より人間向きの業務に特化することで人に優しい医療を提供するチャンスとなる可能性もありますね。
これを患者サイドから見れば人間相手なら遠慮するようなことが機械相手になら気楽に出来ると言う側面はあって、飲食店などでも直接口で注文するよりタブレットでオーダーする方が気楽で良いと言う意見も増えているそうですが、その点からすると病院は苦手でなるべくかかりたくないと言うタイプの人にとっては案外機械の方が利用しやすいと言う局面もあるのでしょうか。

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