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2016年5月26日 (木)

医療現場からあの道具が消える日

最近地味に広報が行われていますが、近い将来医療現場でありふれていたあの道具が消えてなくなりそうだと言うことです。

水銀血圧計・水銀体温計が使えなくなる日 「水銀に関する水俣条約」により2020年以降は処分難渋の予測(2016年5月17日日経メディカル)

 水銀血圧計、水銀体温計――。多くの医療機関が保有する水銀含有製品の処分費用があと数年で高騰すると予想されている。そのような中、水銀含有製品の低コストでの回収事業が、都道府県医師会を中心に今年度から本格化する。
 2020年以降、水銀を使った機器の製造、輸出入が原則禁止される。これは、2013年に採択された「水銀に関する水俣条約」によるもので、同条約は、地球規模の水銀汚染の防止を目指し、水銀の供給、使用、排出、廃棄など各段階で総合的な対策に取り組むことを求めている。

 とはいえ、いまだに多くの医療機関が水銀血圧計や水銀体温計を保有している現状がある。
(略)
 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部は、今年3月、都道府県医師会を事業実施単位とし、郡市区医師会などを回収単位として実施することなどを示した「医療機関に退蔵されている水銀血圧計等回収マニュアル」を公開。環境省による同マニュアルに沿って、全国の都道府県医師会が主体となり、地区ごとに回収事業を進めることになっている。「医療機関の大小を問わず、診療所から大学病院まで幅広い医療機関からの回収を受け入れたい」と日医の担当者は話す。
 現時点では、主に海外で水銀を使用した製品がいまだに製造されている。そのため、廃棄物に含まれる水銀の多くは回収された後に有価物として輸出されることが多い。しかし、水俣条約の発効とともに水銀含有製品の製造、輸出入が禁止されると、回収した水銀の需要がなくなるため、処理コストが高騰すると考えられている。また、個々の医療機関が個別に産業廃棄物として処分しようとすると、少量での収集運搬・処分となり、現時点でも処理コストは割高となっている。日医の担当者によると、医療機関が個別に処分する場合、水銀血圧計は1台当たり数万円のコストが掛かるという。
 これを、集中的かつ効率的に回収できれば、処理コストを抑えることができる。医師会による回収では、血圧計1台当たり2000円程度の処理費用で回収できるという。環境省も日医も、回収事業は1~2年という短期間で完了させたい考えだ。日医は、基本的に会員を対象に回収事業を進める計画だが、非会員であっても都道府県医師会単位で受け入れを検討するとしている。
(略)
 日医のアンケート調査では、回答した診療所が保有していた血圧計の38%を水銀血圧計が占めており(図1)、うち76%が使用されていた。一方、体温計に関しては、診療所が保有している体温計の31%を水銀体温計が占めていたが(図2)、使用されていたのは34%のみで、6割強は使用されていなかった。
 このように現在も多くの医療現場で水銀血圧計が使用されていることから、条約発効による現場の混乱が懸念される。そのため日本高血圧学会は、学術委員会の下に「水銀に関する水俣条約と水銀血圧計についてのワーキング」グループを設け、昨年6月、「水銀血圧計の使用と水銀血圧計に代わる血圧計について」と題した報告書を発表。
 水銀血圧計の使用について、「通常の取扱いでは、ほとんど環境負荷なく高精度な血圧測定が可能であり、現在使用している水銀血圧計について、直ちに廃棄・交換を行う必要はない」としつつも、定期的なメンテナンスを行うことを推奨。今後、新たに水銀血圧計を導入しないことを推奨した。
 加えて、水銀血圧計の代替として、「医用(医療機関で測定するため)の上腕式電子血圧計」を推奨。大阪大学老年・総合内科学教授の楽木宏実氏は、「将来的に精度検定に関する情報公開が望まれるが、医用とされる血圧計について基本的に日常診療上は問題なく使える」と語る。加えて、「個人的には、近い将来、水銀血圧計の廃棄に困るかもしれないので、できることなら今、廃棄した方がいいと思う」とも言う。
 同報告書によると、現在、日本高血圧学会のガイドライン(JSH 2014)は、水銀血圧計を用いた聴診法による血圧測定を推奨しているが、条約発効に合わせて、ガイドラインの改訂を検討する予定だ。

ちなみに先日5月14日は「温度計の日」だったそうで、1724年にドイツの物理学者ファーレンハイトがはじめて水銀温度計を作った(華氏温度計)そうですからざっと300年近い歴史があることになりますけれども、我が国で一般に用いられているのはスウェーデン人のセルシウスが1942年に考按した摂氏温度計で、水の凝固点から沸点を百等分したことからセンチグレード(百分度)とも言います。
さすがに利便性の点からも今の時代に水銀式体温計を利用している施設はそうはないだろうと思うのですが、一方で水銀式血圧計は電子式と違って測定が早いことや不整脈に強いことなどアナログならではの強みがあることから、現在使用されている血圧計に関しては廃棄を推奨すると言うわけではなく、新たに水銀血圧計を導入しないことで徐々に電子式に置き換えていくと言う考えであるようです。
救急の現場で電子式血圧計が何度もうなりを上げるだけで一向に血圧を表示せずイライラした経験のある先生も多いかと思いますが、電子式は電子式で持続的な血圧測定が黙っていても可能であると言ったメリットもありますから、今後測定能力が改善されていけばいずれはあらゆる局面で水銀式を上回る安定した測定が出来るようになるのかも知れませんね。

今回見ていて思ったことに診療所の4割で水銀式血圧計が保有されており、しかもその3/4が実際に使用されていると言うことですから、診療所のおよそ3割が水銀式血圧計で血圧測定を行っていると言う計算になりますが、この点に関しては単純に安価である言う経済的な側面も少なからずあるのかも知れません。
血圧計などは診療所でも一台きりと言うことは少なく、全国で見れば相当な数が代替されていくことになると思うのですが、国としてもこれら水銀製品の回収を進めるにあたって処理技術の開発を進める計画なのだそうで、その背景には今まで輸出されていた回収水銀を今後は国内で処理しなければならなくなると言う理由があります。
また記事にもあるガイドライン改定に関連して、学会では医用の上腕測定式の電子血圧計を推奨するとしていますが、医療機器業界としてもこうした需要を見込んで聴診法にも対応するなど機材の改良を進める計画であるそうで、どんな患者でもベテラン看護師並みのスピードで血圧を測定してくれる機材なども近々登場してくるのでしょうかね。

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コメント

水銀の体温計ってまだあったんかw

投稿: | 2016年5月26日 (木) 07時29分

体温計は耳に当てて測定するタイプがもっと普及するかと思っていたのですが、高いせいかあまり見かけないですね。

投稿: 管理人nobu | 2016年5月26日 (木) 11時20分

 うまく鼓膜にフォーカスしないと測れません。患者がなれて受け入れてくれることも必要。値段もまだそこそこ高いですし。
 大人の入院患者は眠っていても従来型を枕頭台に置ておけば、自分で測っておいてくれたりしますからスループットもけっこう高い。 

投稿: | 2016年5月26日 (木) 14時32分

>回収水銀を今後は国内で処理しなければならなくなると言う理由
 またぞろ便乗ビジネスを立ち上げないだれかさんがw。
一昔前、染色用の(劣化)ウランまでがみがみ言って調べ上げて回収したましたよねぇ。一方で桁違いに大量のPuやらUやら放射性廃棄物がありますよね。水銀も、もんじゅといっしょに処理してくれ。
 

投稿: | 2016年5月26日 (木) 14時40分

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