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2016年5月20日 (金)

労働に対する対価への不当感が高まっている時代

国民の中でも特に若年世代のワープア化が言われる中で、先日以来とある出来事が大きな話題となっているようです。

「30歳で年収500万しかないの!?」 バブルを経験した親の発言に現役世代が激怒!(2016年5月15日キャリコネ)

人間らしく生活するにはお金を稼ぐことが必要になる。そのために、みんな日々ヒィヒィ言いながら仕事をしているんだけど、現在は不景気なので、稼ごうにもなかなか上手くいかない人も多いだろう。
30年ほど前、日本は好景気に浮かれていた。テレビでは「24時間戦えますか」なんていう今思えば異様なCMが流行ったけど、それは頑張れば頑張った分見返りがあった時代だったこともある。(文:松本ミゾレ)
ひるがえって現在。賃金はせいぜいスズメの涙。将来のための貯蓄もできない。バブルを経験した人と、今の若い世代では仕事や報酬に関する感覚が違うのも当然ではある。

親に甲斐性なしと責められ、スレ主怒りの仕送りストップ!

2ちゃんねるに、先日「親『30で年収500万しかないの!?』」というスレッドが立った。

    「頭来たので、仕送りやめた 着信拒否した 今の住所は親戚誰も知らない 職場にかけても俺まで辿り着かない

実の親からの言葉であっても、いやむしろ一番の理解者であってほしい親からの言葉だったからこそ許せなかったのだろう。対応は極端だけど、それぐらいしたくなる気は分かる。32年間専業主婦の「世間知らず」だという母親に言われたのも腹がたったようだ。
30歳と言えば、既に結婚して自分の家庭を持っていてもおかしくないし、当然年収500万では色々と切り詰めて生活する必要がある。独身だとしても、親に仕送りをしているとなると、自由に使える額は少ない。それなのに年収について文句を言われては、さすがに心も折れる
そもそも、今の30代の平均的な年収はいくらなのだろうか。国税庁の「民間給与実態統計調査」(2014年度)を見てみると、30代前半の男性の平均年収は、446万円。30代後半では502万円となっている。

バブル期の感覚でアレコレ言われたら堪ったものではない!

ちなみに、同調査によると1997年の30代前半の平均年収は513万円、後半で589万円となっている。この20年でも若い世代の所得が落ちていることが分かる。そんな状況下でスレ主のように500万円稼ぐというのはかなり健闘しているだろう。
今回紹介したスレッドには「(仕送りをストップするなんて)幼稚な思考」という反対意見も見られるが「まあ頑張ってるほうだよな」と同情する意見も結構目立っていた
(略)
人間、心の余裕は大抵お金の余裕に起因している。お金があれば大抵のことにも動じない。人間はそういう生き物だ。親への仕送りをストップするほど怒るということは、それだけ彼が日々切迫したお財布事情を抱えていたということだろう。そんな状況でもこれまでしっかり仕送りをしていたという事実に、親も気付いてくれることを祈るばかりである。

自分が30歳だった頃に年収500万いっていたかと思い出して見るとかなり微妙といいますか、多分そこまで稼いでいなかったのではないかと思うのですが、まあしかし現在進行形で仕送りを受けている身でこんなことを言う親も親だろうと考えると、一見極端な行動には見えても心情には十分理解出来ると言う声が多いのも納得ではありますよね。
ただ専業主婦一直線の母親にしてみればサンプル数1の父親の年収経過くらいしか参考となる数字がないのですから、それと比較して多い少ないと言うことを判断するしかないのも仕方ないのかも知れませんけれども、ともかくもバブル世代と比較されたのでは現代の現役世代も立つ瀬が無いと言うものですし、親としてもこの一件からきちんとした教訓を得て欲しいものです。
現代では低所得が当たり前になり誰しもギリギリの生活を続けている中で、いわゆるブラック企業問題などにも代表されるようにきちんとした労働の対価を支払わないようなケースは即座に死活問題にもなりかねないだけに批判の声も根強いですが、一方で少しばかり気になる話としてこんな記事も出ていたことを紹介してみましょう。

専業主婦の仕事は「0円」というマイナビ調査「男の意識」 「ハウスキーパーただ?」と女性反発(2016年5月16日J-CASTニュース)

   専業主婦の評価をめぐるアンケートの結果が波紋を広げている。専業主婦(主夫)の妥当な年収について聞いたところ、女性では「200万円」という回答が最も多かったのに対して、男性で最も多かった回答は「0円」だった。
   過去に家事を金銭に換算しようという試算は複数存在するが、男女の意識の差とともに、男性の側に専業主婦の労働価値をいまだに「タダ」と見ている人が多いことに、当の主婦から強い反発も起きている。

男性の12%強が「ゼロ」と回答

   アンケート調査を行ったのは、ニュースサイト「マイナビウーマン」。16年4月に25歳~35歳の働く男女を対象にウェブサイト上で調査を行い、女性201件、男性203件の有効回答を得たという。結果は5月13日に記事として掲載された。それによると、
    「専業主婦(主夫)の年収はいくらぐらいが妥当だと思いますか?
という問いに対して、女性の回答で最も多かったのが「200万円」(9.5%)。「100万円」(8.0%)、「300万円」(8.0%)が続いた。これに対して男性で最も多かったのが「0円」(12.9%)で、「100万円」(10.0%)、「200万円」(9.5%)が続いた。

   記事によると、「0円」と回答した男性の一人は、アンケートで
    「労働を評価するべきというのなら、外で稼いで家政婦を雇うべきである」
などと主張したというが、家事の価値を金額に換算するというアンケートの趣旨とは、相当距離があるように見える。「0円」と答えた男性で、ほかに理由を紹介されている人はいない。

   この「マイナビウーマン」の記事が掲載された「ニコニコニュース」には1000件以上のコメントが寄せられ、
    「0円...ベビーシッター兼ハウスキーパーが0円で雇えればいいのにね?」
    「主婦は丸一日何もしなくて良い休みの日ってのは無いし、子供がいたら大変だよ。0円はさすがに下に見すぎじゃないかな」
といった主婦とみられる人たちからの反発が上がる一方、
    「たしかに家事労働は無価値ではないが女一人にかかる維持費(飯代、宿泊代、他税金など)を考えれば0かマイナス
など、「0円」に賛同する男性とみられる声も上がった。

さすがにゼロ回答と言うことはどうなのかで、夫にしても日々不当な低賃金で過度にこき使われている苦労を実体験でしているのですから、自分がされているから人にも同じように扱ってやろうと言うのも問題で、やはり金額の多寡に議論の余地はあるにせよ専業主婦も相応の見返りを期待出来る労働者であると言う認識は必要だろうと思いますね。
ただこの場合そもそも設問に対する解釈に差があるような印象で、専業主婦の生活費も含めて稼いでいる旦那方にしてみればすでに食費や住居光熱費、被服費などはすでに支払っているわけですから、それ以上に給料まで取られるなどとんでもないと言う感覚なのではないかとも思うのですが、妥当な年収と言う質問の仕方が少し誤解を招く結果となっているのではないかなとも感じました。
とは言え、女性の側から見れば「男は専業主婦の労働に対価など支払う価値がないと思っている!」と受け取られかねない結果であることもまた事実でしょうが、専業主婦と言っても様々な名目で妻の消費している分もそれなりの金額にはなっているでしょうから、より感覚的な質問として絶対的な金額よりも例えば世帯年収の何割を専業主婦が消費すべきかと言った質問でもおもしろかったかも知れません。
家庭内で主婦の皆さんが果たしている役割も様々で、一概に金額だけで比較するのも難しいと思いますが、夫が仕事から帰って一人で家事全部もこなすと言うのではない限りは妻にもそれなりのリスペクトは必要なのだろうし、そうした感覚が全くなければ家庭内の雰囲気も不必要に悪くなってしまいそうですけれどもね。

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コメント

みんな貧乏が悪いんや

投稿: | 2016年5月20日 (金) 07時57分

GDP統計上は、ゼロ円です。外で働いて、その金で家政婦を雇えば、GDPは増えます。それが幸せかどうかは、別の話です。設問そのものが愚かです。

投稿: 麻酔フリーター | 2016年5月20日 (金) 09時29分

麻酔フリーター先生のご指摘は本質的です。

 国税庁や金融機関が把握できない価値(源泉は人の活動時間)はGDPに反映されない、そういう部分が多かったから日本の労働生産性は低い(OECDの30位あたり)。 
 金だけで価値を量って「もっと働き方を工夫して労働生産性を上げろ、それが(世の景気をよくして)幸せになる道だ」と説く輩がいますが、金に換えて動かせば、税や金利(カードの年会費、手数料も)や賭場(株式やらFX)の寺銭で持って行かれてタックスイーターを肥やす機会が増す。そこが狙いなわけで。
 集めた税金を糞虫に食わさずに保育士さんやベビーシッターの給与をまともにすることに使うのは正しいことでしょうけれど、一億総「括約」の根本的な意味もお忘れなく。 

投稿: | 2016年5月20日 (金) 11時07分

最近は児童保育領域でなかなか興味深い話が多く注目しています。

投稿: 管理人nobu | 2016年5月20日 (金) 13時19分

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