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2016年5月 6日 (金)

神戸・三宮の暴走事故も意識障害の結果だった可能性が浮上

先日は神戸市の中心部にある三宮駅前で乗用車の暴走事故が発生したと話題になっていましたが、どうも運転手であった男性の身体的不調が原因で発生したものなのではないかと言われ始めているようです。

「車が女性2人をボンネットに乗せて走っていった」「運転手はろれつ回らず」目撃者証言(2016年5月3日産経新聞)

 3日午前、神戸市中央区加納町のJR三ノ宮駅北側の交差点で起きた暴走事故。

 目撃した市内に住む20代の男性会社員は「信号待ちをしていたらドーンという大きな音がし、その方向を見ると、車が女性2人をボンネットに乗せて疾走していた。かなりのスピードが出ていて、2人はボンネットから振り落とされて車輪に巻き込まれた。通行人から悲鳴が上がり、現場は騒然となった」と振り返った。

 また、別の会社員男性(24)は「運転手に声をかけたが普通に話すことができず、ろれつが回っていなかった。目の焦点も合っていなかった。ひどい事故だった」と話した。
(略)

三ノ宮暴走 過去に「事故2回、頭手術も」(2016年5月4日日本テレビ)

 3日午前11時すぎ、神戸市中央区のJR三ノ宮駅の北側で、「車が歩道に突っ込んだ」と110番通報があった。警察などによると、乗用車が暴走して次々と歩行者をはね、歩行者5人と車に乗っていた2人の合わせて7人がけがをした。このうち、歩行者の51歳の父親と44歳の母親、14歳の娘の3人が重傷。
(略)
 警察は、車を運転していた神戸市の無職・澤井国一容疑者(63)を過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕した。澤井容疑者は警察に対して、「交通事故を起こして逮捕されましたが、その時の状況はよく覚えていません」と話したという。
 また、澤井容疑者をよく知る人の話では、過去にも交通事故を起こしたことがあるという。

 澤井容疑者を知る人「交通事故を2回起こして、頭の手術もして。手が震えると言っていたから」
 警察によると、澤井容疑者が事故当時、酒や薬物を使用していたなどの情報はないということで、今後、事故の経緯について詳しく事情を聴く方針。

数年前にも事故?後遺症で手の震えも 逮捕の沢井容疑者(2016年5月3日産経新聞)

 神戸市中央区のJR三ノ宮駅北側の交差点で車が暴走した事故で、自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で現行犯逮捕された沢井国一容疑者(63)=神戸市中央区=は、同市内の高層マンションに居住している。住人によると、過去に複数回の自動車事故を起こし、その後遺症があったといい、「もう車には乗っていないと思っていた」との声も聞かれた。
(略)
 一方、複数の住民によると、沢井容疑者は数年前に自動車事故を起こしたことがあるという。女性会社員によると、沢井容疑者は「事故の後遺症で頭の手術をしなくてはならない」と話していたといい、「手術後、声がどもり気味になり、手が震えたり顔が揺れたりと後遺症が出ていたようだ。もう車には乗っていないと思っていたのに」と驚いた様子だった。

 近年も別の事故を起こして足のリハビリをしていたとの情報もあり、つえをつくなどしてゆっくりと歩く姿が目撃されていた。

神戸市車暴走 運転していた男の弟、運転をしないよう忠告(2016年5月4日FNN)

3日、兵庫・神戸市で車が暴走し、歩行者5人が重軽傷を負った事故で、車を運転していた男の弟がFNNの取材に応じ、運転をしないよう、忠告していたことを明らかにした。
(略)
沢井容疑者の弟は、沢井容疑者が、2015年8月ごろに事故を起こし、足の骨を折ったことから、車を運転しないよう、忠告していたという。
沢井容疑者の弟は「被害に遭われた方に対して、ご迷惑をおかけした。去年の事故から、わたしは『車を運転するのはやめてほしい』と言っていた。(沢井容疑者に病気は?)ありません」と話した。
一方で、捜査関係者によると、沢井容疑者には持病があるとの情報もあり、警察は、事故のくわしい原因を慎重に調べている。 (関西テレビ)

怪我を負われた方々の無事を祈りたいところですが、事故の状況も通常ではない暴走状態だったようで、目撃者の証言として事故当時本人の意識もはっきりしていない様子であったこと、そして周囲の人間の証言として以前にも何度か交通事故を繰り返していて、運転はしないように忠告もされている状態であったと言うことから、何かしらの基礎疾患が背景にあったのかも知れません。
一方で運転手と同乗していたご子息も障害持ちであったと言う情報もあり、男手一つで面倒を見ていたと言いますから移動等でどうしても車が必要であったと言った状況もあったのかも知れずで、この辺りは都市部での事故とは言え地方におけるそれと同様、移動手段としての自動車の必要性をどの程度に考えるべきかと言うことが問われているように考えます。
とは言え一連の事件の経過を見ていますと近年盛んに報道されるようになったてんかん等の有病者による意識障害が原因の事故と非常に共通する要素がありそうで、この種の運転に支障を来しかねない意識障害の免許保持や罰則について法制度上も厳しくなってきていることを考えますと、「事故を繰り返しているのに何故免許を持たせている?」と言う疑問の声も理解は出来るところでしょうか。

この法的な規制強化と言うことに関連して、2年前に大阪御堂筋で発生した暴走事故に関して危険運転致傷に問われた運転手が、過去に何度も低血糖発作で救急搬送された既往がありながら免許更新時にも申告せず、意識障害に陥る危険性は予見出来なかったとして無罪を主張していることが先日報じられ話題になっていました。
もちろん法廷戦術としてそう主張せよと言う弁護士の助言を得た上での行動なのでしょうし、こうした場合予見できないと無罪を主張することと危険性を認めた上で何かしらの弁解を行っていくこととどちらが有利なのか一概には言えないのでしょうが、世間の受ける印象からすると当事者がこれだけの予兆がありながら何ら危険性を認識できないと言うのであれば、公的規制をさらに強化しなければ仕方ないと考えるのも仕方ないでしょうね。
数年前にてんかん患者による交通事故が相次いで運転免許の取得、更新条件の厳格化が議論されていた際に、てんかん学会が免許取得条件の緩和を主張して世間から注目されたことがありましたが、もちろん社会的に規制を強化するほど地下に潜在する患者も増える危惧はありますが、やはり世間からはてんかん患者の病態を如何にコントロールするかと言った面での対案が専門家には望まれていたのではないかと思います。
てんかんにしろ糖尿病にしろ意識障害を来す疾患は数多くあって決して稀なものではなく、有病者の全てが運転禁止と言うのももちろんあり得ない話ですが、本来であれば大多数の人は問題なく社会生活を送れていたはずなのに余計な規制強化で不便な世の中にならないよう、当事者としての意識の持ち方も世間から注目されていると言う認識は持っておかなければならないのでしょうね。

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コメント

どこかで治療歴があったら医師が責任問われるのかなあ

投稿: | 2016年5月 6日 (金) 08時41分

目撃者だの知人・親族だのの話だけであれこれ詮索してみても詮ないことかと。

投稿: JSJ | 2016年5月 6日 (金) 09時00分

この種の事故で気になる点として、自分の担当患者が何かしら事故を起こしそれが加療中の疾患と関連が否定出来ないような場合、警察による依頼なくして担当医には情報提供義務があるのかどうかです。

投稿: 管理人nobu | 2016年5月 6日 (金) 12時43分

医師に情報提供義務はありませんが、情報提供をしても守秘義務違反にはなりません。
その前に、本人に運転禁止を説得した、家族にも説得を依頼した、という条件が必要です。

情報提供義務があるのは、感染症関連と外表面にキズのあるご遺体の場合(医師法21条)ですね。

今回は、頭部の手術もした、向精神薬を服用(うつ)とのことですので、睡眠薬なら運転禁止を説明したとのカルテ記載があるかどうか、抗うつ薬なら痙攣閾値の低下について配慮していたかどうかが、医師に向けられる争点になるでしょうね。


参考:届出ても守秘義務違反にならない病態
○統合失調症 自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能 力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く。
○てんかん 発作が再発するおそれがないもの、発作が再発しても意識障害及び運動障害が もたらされないもの並びに発作が睡眠中に限り再発するものを除く。
○再発性の失神 脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であって、発作が再発す るおそれがあるものをいう。
○無自覚性の低血糖症 人為的に血糖を調節することができるものを除く。
○そううつ病 そう病及びうつ病を含み、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又 は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないも のを除く。
○重度の眠気の症状を呈する睡眠障害 ○このほか、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれ
かに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気

投稿: おちゃ | 2016年5月 6日 (金) 18時15分

でもじっさいのとこ届け出てる先生ってどれくらいいるものなんだろう?
失神既往のあるてんかんや低血糖なら一般内科でも珍しくないけど

投稿: | 2016年5月 6日 (金) 22時19分

 神戸・三宮で車が暴走し歩行者5人が重軽傷を負った事故で、自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で現行犯逮捕された沢井国一容疑者(63)の尿を簡易鑑定した結果、向精神薬の反応が検出されていたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。
沢井容疑者は兵庫県警の調べに、持病を「鬱病」と説明。
県警は沢井容疑者が向精神薬を服用したことで意識障害に陥った可能性もあるとみて慎重に調べている。

 事故直後の沢井容疑者の様子について、同乗の次男(22)が「呼びかけたが、反応がなかった」という趣旨の説明をしていることも判明。沢井容疑者は「人をはねたことは覚えていない」と供述しており、県警は今後本格的な鑑定を実施し、服用していた薬の種類の確認を進める。

 捜査関係者によると、沢井容疑者は昨年8月と10月に同県尼崎市と神戸市で人身事故を起こし、昨年12月に30日間、運転免許を停止された。
今年4月に免許を更新する一方、調べに「鬱病で通院している」とも説明。
今回の事故当時も次男の呼びかけに返答できなかったとみられることから、県警は持病との関連について慎重に捜査している。

 県警は5日、同容疑で沢井容疑者を送検。同市中央区の自宅を家宅捜索し、病院の診察券や薬などを押収した。

http://www.sankei.com/west/news/160506/wst1605060048-n1.html
2016.5.6 14:30

投稿: | 2016年5月 7日 (土) 13時39分

>でもじっさいのとこ届け出てる先生ってどれくらいいるものなんだろう?

届出をしたことはありません。
1例だけ届出をした方がいいと思ったケースはありましたが、前医が転勤のため私に回ってきた患者さんで、
患者さんの方も思うところがあったのか「前医の所に行く」と言って紹介状をもって行ってしまいました。

投稿: クマ | 2016年5月 8日 (日) 15時37分

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