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2016年4月 2日 (土)

いろいろな発言ができなくなりつつある空気

春と言えばテレビ番組の改編期でもありますが、とある放送業界人がこの春限りで番組を降板するにあたって先日こんな発言があったと記事が出ていました。

「発言できなくなりつつある空気」 古舘さん、報ステ最後の出演(2016年4月1日東京新聞)

 テレビ朝日の「報道ステーション」で、十二年間メーンキャスターを務めた古舘伊知郎(ふるたちいちろう)さん(61)が三十一日、最後の出演を迎えた。番組の最後に「プレッシャーや圧力がかかって辞めさせられるということは一切ないが、この頃は開けっぴろげにいろいろな発言ができなくなりつつある空気を感じている」などと語った。

 約八分間語り続けた古舘さんは「つるんつるんの無難な言葉で固めた番組などちっとも面白くない。情熱を持ってつくれば多少は偏る。それを程よいバランスに仕上げ直せばいいという信念を持っている」と持論を展開した。

 後任の富川悠太(とみかわゆうた)アナウンサーに「言うべきことは言う。激しい発言がきっかけで議論になって、いい方向に向くという事柄もあるはずだ」などとエールも送っていた。

 古舘さんは久米宏さん(71)がキャスターを務めた「ニュースステーション」の後を継ぎ、二〇〇四年四月の番組スタート時から出演。鋭いコメントは番組の名物で、東京電力福島第一原発事故後は、原発再稼働に疑問を投げかけた。

 昨年三月には元官僚のコメンテーターが、この番組で、自身の降板をめぐり「政権からの圧力があった」と訴えることもあった。

古舘伊知郎氏と言えばかつてはプロレス中継の名調子で知られた人物ですが、今回の8分間に及ぶ退任のコメントはネット上でも相当大きな反響を呼んでいたようで、後輩への激励など内容的にも見るべきところが多かったと評価する声が多いようです。
ただやはり古館氏と言えば気になるのが過去に何度か勃発したいわゆる圧力騒動で、今回も言葉の上では圧力なるものの存在を否定しているとは言え、やはり何かしらの圧力の存在を感じているところはあったのでしょうか、「この頃は開けっぴろげにいろいろな発言ができなくなりつつある空気を感じている」と言う言葉に反応したくなりますよね。
最近言論の抑圧と言う問題と絡めて注目されていることとしていわゆるヘイトスピーチなるものの存在があり、ネットと実社会とを問わず特定のグループに所属する相手に対する攻撃は差別そのものだと言う批判があり、こうした動きに対してカウンターと呼ばれる行動も盛んになってきていることは周知の通りです。
最近は与党などからもヘイトスピーチ規制法案なるものが出ているようですが、これ自体極めて差別的で問題のある内容だと批判する声も少なくないと言い、そもそも言論の自由をどう考えるのかと言う原理原則論に関しても全く決着がつきそうにない状況なのですが、同じ問題が海外でも頻発している中でどこの国でも決定的な答えは出ていないようです。

ネット上の表現の自由どこまで フランスが揺れた「Twitter裁判」(2016年4月1日yahooニュース)

ネット空間では、匿名で何を言ってもよいのか――。
ソーシャルメディアの普及によって、誰もが簡単に発信できる時代がやってきた。多様な言論や表現が生まれた一方で、悪辣な書き込みが誰かの人権を傷つける場合もある。歴史的に「表現の自由」の問題に敏感なフランスでは、大きな議論を巻き起こしたツイッターをめぐる裁判を契機に、ネット上のヘイトスピーチ規制に向けての動きが活発化している。自由を守るべきか、規制を設けるべきか。ネット時代の「表現の自由」のあり方を考える。(Yahoo!ニュース編集部)

発端は2012年10月、フランスのTwitterに書き込まれた差別発言だった。
良いユダヤ人は、死んだユダヤ人
強制収容所の写真が添付されていた。書き込みは次々にリツイートされ、関連のツイートも含めてフランスのネット上を駆けめぐった。

フランスでは、特定の民族、国民などに対して差別表現を用いることは、「人種差別禁止法」で厳しく禁じられている。このツイートは違法行為だと考えたユダヤ人学生協会(UEJF)は、ツイッター社に「アカウント削除と発信者の連絡先提出」を求めた。
だが、ツイッター社の対応にUEJF会長(当時)ジョナタン・アユン氏は驚いたという。「“ユダヤ人についてポジティブなメッセージをたくさん送ればいいんじゃない?”という回答がきたのです」。

ツイッターが本社を置くアメリカでは、いかなる表現であっても発言の自由は保護されるべきであり、異なる意見を持つ者は反論すればいいという考え方が根付いているとされる。ツイッター社は「われわれはプロバイダーであり、仲裁者ではない。個人どうしの喧嘩には関与しない」という立場を表明し(2012年10月22日、ルモンド紙)、アカウントの削除も発信者の公表も拒否した。
そこでUEJFは、ツイッター社を提訴する。差別ツイートがフランスの司法の場で裁かれる最初のケースだった。争点は、ネット空間の匿名発言にも「人種差別禁止法」は適用されるのか否か。まさに、ネットにおける表現の自由のあり方が問われる裁判となった。

「ネット空間では、匿名で何を言ってもよいのか?」
フランスのメディアはこの裁判をトップニュースで扱い、連日経過を報道した。政治家からネットユーザーまでさまざまな議論が飛び交った。
13年1月、フランスの裁判所はツイッター社にアカウント所有者の身元を明かすよう命じるが、ツイッター社はこれを拒否して控訴。だが控訴は棄却され、同年7月、ツイッター社が問題のハッシュタグを作った人物のデータを司法省に提出することで決着した。フランス史上初めて、ネットでの匿名発言に人種差別禁止法が適用された事例となった。
ジョナタン・アユン氏は主張する。「インターネットはみんなが表現できる自由な場として存在し続けるべきだ。しかし、表現の自由を守るためにも規制をつくらなければいけない」。
(略)
一方で、アメリカはいかなる表現も法的に規制しない立場を貫く。これは「表現の自由こそが20世紀半ばに起きた公民権運動を支え、推進した歴史があるためだ」と各国における表現の自由について研究してきた阪口正二郎教授(一橋大学)は指摘する。フランスにもアメリカにもそれぞれの歴史があり、表現の自由の問題が議論されてきた。「日本でも独自に議論していくべきだ」と言う。
(略)

民族的文化的歴史的な背景によって答えも違うのだろうし、はっきりした正解もない問題なのかも知れませんが、一つの注目すべき事実として先日ウィスコンシン大のグループが行った調査で「政府監視下にあると認識した状態の人々は、自らの意見が少数派である場合に「自己検閲」をかけて意見を隠す傾向にある」と言う結果が示されたと言います。
常識的に考えても権力によって常時監視されており、いつどんな発言が処罰を受けるかも知れないとなれば誰しも萎縮的になるのは当然で、某独裁国家で外国人記者が国民にコメントを取ったところ誰も彼も判で押したようなありきたりのことしか言わなかった、実は記者の側には取材を監視する政府の人間が常時張り付いていたと言ったエピソードもあるそうです。
日本史上最大の立身出世を果たした大人物でありながら、権力を掌握した後の横暴残虐な振る舞いから戦国のラスボスの異名もあるのが豊臣秀吉で、その秀吉の狂乱ぶりを示す逸話として俗に聚楽第落書き事件と言うものがありますが、自由なことも言えない社会の不気味さを端的に示す逸話として現代にこそ記憶に留めるべきではないかと思いますね。

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コメント

古舘はプロレスだけやってりゃよかったんだよ

投稿: | 2016年4月 2日 (土) 09時28分

オヤジもヘイトやられたらしい
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160401/dms1604011140007-n1.htm

投稿: | 2016年4月 3日 (日) 16時46分

有田芳生@aritayoshifu 2014年9月9日
自民党ベテラン議員が「米軍にヤンキーゴーホームと叫ぶのもヘイトスピーチ」と
ある会議で発言した。「ヘイトスピーチ」を規制するプロジェクトチームに関係
している議員だから、驚き、しかしこれが現実だと思うしかなかった。国会議員が
「アサッテ君」の息子である小学生と同程度の認識とは情けない。
http://twitter.com/aritayoshifu/status/509503227381813248

投稿: | 2016年4月 7日 (木) 21時33分

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