« リスクがあることが判っている行為をどう受け入れさせるべきか | トップページ | 今日のぐり:「博多ラーメン琥家(こや)倉敷店」 »

2016年4月28日 (木)

最強の保険はすでに手中に

社会の木鐸たる朝日新聞は時々興味深い意見を掲載することでもしばしば話題になりますけれども、先日出ていたこちらの記事も様々な反応を呼んでいるようです。

(声)大病院は安直に紹介状求めるな(2016年4月25日朝日新聞)

 医師 谷本哲也(東京都 43)

 診療所などで働いているが、大病院への紹介状の作成依頼が増えつつある。4月に導入された定額負担が影響しているようだ。
 紹介状なしで大病院を受診した患者は初診時で5千円以上、再診時で2500円以上がかかる仕組み。安易な大病院受診を抑える狙いがある。

 ところが、うちの診療所では初診の患者さんから、元々かかっている大病院への紹介状を依頼され、戸惑うことがある。大病院側から、診療所の紹介状持参を指示されたり、勧められたりするらしい。大病院で診療科が異なるため連携できない場合や、定額負担をせずにすむよう大病院が配慮する場合もあるという。
 患者の詳しい情報を持つ大病院に宛てて、治療歴や検査データが分からない初対面の患者の紹介状を、診療所側が書くのは妙な話だ。大病院は特定の病気に特化した縦割り診療が主流とはいえ、内部で連携したほうが効率的ではないか。

 紹介状作成も医療費のうちだ。患者さんに手間もかける。安直に紹介状を求める風潮は見直してほしい

大病院勤務医の側としては、開業医から名刺の片隅に「何卒よろしく」とだけ書かれた紹介状?持参の患者に押しかけられ難渋すると言う話も聞きますが、開業医の側ではこれも紹介状のコスト負担をさせたくないと言う思いやりもあるのだそうで、その結果病院窓口で高い初診料を取られるのではかえって損な時代になったとも言えます。
谷本先生は診療所グループの雇われ勤務医なのだそうで、そうであれば紹介状を何枚書こうが給料が増えることもないでしょうから余計な手間をかけさせるなと言う気持ちは非常によく判るのですが、一般的には開業医の先生であれば経営者目線でもう少し別な見解をお持ちではないかと言う意見もあるようですし、一手間かけてお安くなると言うことは医療費も削減されると言うことですから、まあ難しい問題ではありますよね。
ただ初診は高いお金がかかるから紹介状だけ書いてくれと言う患者が増えているのは確かで、それもこれもお国による政策的誘導が悪いと言うことなのでしょうが、いちいち開業医に逆戻りするのも面倒だから受診を取りやめる人が増えれば受診抑制としては意味があることでしょうが、記事を見るとどうも安くなるからと機械的に紹介状持参をと勧めているようにも見て取れるのですが、そうであれば制度の趣旨的にどうなんでしょうか。
いずれにせよ安直に紹介状を求める風潮は見直すべきと言う結論部分には賛成ですが、患者に面倒臭いことや負担になることを強いるのが目的の制度であると言う大前提に立って見ると余計な配慮などせずさっさと金を払わせろという、朝日的にどうなのよ?な意見とも読み取れる内容になってしまいそうですね。
さて、いざと言う時に頼りにするべきなのが保険と言うもので、今回の震災でも今後保険支払いを巡って様々な議論が起こってきそうなんですが、先日見かけたこちらの記事なども保険と言うものの意味合いから考えてみると微妙な結論になってしまいそうです。

医療保険 生涯で7回入院したら元が取れるという計算も(2016年4月24日NEWSポストセブン)

「50代は保険を見直す最後のチャンスと捉えたい」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さん。50代以降、保険料が高くなることに加え、健康面で保険の新規加入が難しくなるという。さらに、保険に加入した20代、30代の頃とは家族構成など環境が大きく変わっている人も多いのがその理由だ。

 医療保険の検討には、1か月の医療費が一定以上を超えると、超過分が払い戻される高額療養費制度が使えることを念頭に置いて見直したい。例えば、年収600万円の55才で1か月の医療費が50万円の場合、月の自己負担額の上限は約8万円になる。
「医療保険で備えたいのは自己負担分です。医療費に加え、個室料金や食事代の一部などがそれにあたります」
 生命保険文化センターの調べでは、入院時の自己負担額は平均で23万円。家計から捻出できそうであれば、医療保険には入らないという選択肢もある。「備え」には保険と貯蓄の2つがある。これらのバランスが大事だ。

 ちなみに、高額医療費制度の対象は、医療保険の適用範囲に限るので、先進医療も自己負担になるが、実際に受ける人はかなり少ない。先進医療のためだけに医療保険に入るのは保険料の負担が重い
「その分を貯蓄に回してもいいと思います。決して必ず入らなくてはいけないものではありません。例えば、41才男性で、月々の保険料4000円の医療保険に入っていたとします。
 保障内容は、60才まで1日あたり5000円の入院費が支払われ、さらに手術1回で10万円の給付金を得られるとします。
 19年間で合計約91万円の保険料が必要です。1週間入院して手術を受けた場合、13万5000円が給付金。支払総額をこの金額で割ると、6.74。つまり、一生涯で7回繰り返したら、元が取れるという計算です。これを安心と思うか、もったいないと思うかは人それぞれです。家族でよく話し合って医療保険を見直しましょう」

日本では最強の保険とも言われる国民皆保険制度があって、営利が目的の民間保険会社にはこれ以上の制度は作れないとも言いますが、医療に限らず保険で元を取ろうと言うのがそもそもの間違いで、何かあったときに負担しきれない出費に対してリスクを分散すると言うのが保険本来の趣旨であるはすです。
その意味で言えば高額療養費で自己負担の上限が抑えられている以上一時的な出費に対応出来るよう貯蓄に回すのか、保険をかけておくのかは各個人の選択次第ですが、生涯7回入院しなければ元が取れないと言われると医療保険に入るのも躊躇するところですが、この辺りは高額な自己負担が発生する先進医療などを希望するかどうかなど個別の事情に合わせて検討すべきかと思いますね。
入院コストと言えば寝たきり高齢者などが退院も出来ず延々と療養病床に入院していると言うケースもありますが、多くの場合医療入院の方が介護で施設に入所するよりも安上がりになるのが日本と言う国の特徴で、それはそれで患者がいつまでも病院に居座る理由だと批判されるものではあるものの、支払いは入院○ヶ月までと制約のあるタイプの保険ではこうした場合には対応できないことになります。
そう考えると貯蓄しておくと言っても人間の性質でついつい使ってしまいがちなものでもありますから、保険料を払うかわりに確実にお金が出る個人年金保険でもかけておくのが一番潰しが効くのかも知れませんが、どうしても支払いが出来ないと言うことになっても多くの医療機関は支払いには非常に寛容ですし各種支援の制度もありますから、日本で健康保険証を持っている限りはまず大きな不安はなく医療を受けられるはずですけれどもね。

|

« リスクがあることが判っている行為をどう受け入れさせるべきか | トップページ | 今日のぐり:「博多ラーメン琥家(こや)倉敷店」 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

がん保険っている?

投稿: | 2016年4月28日 (木) 08時04分

>、いちいち開業医に逆戻りするのも面倒だから受診を取りやめる人が増えれば受診抑制としては意味がある
 医療費削減効果については相当の働き手になるのではないかと思います。

>患者に面倒臭いことや負担になることを強いるのが目的の制度であると言う大前提に立って見ると、余計な配慮などせずさっさと金を払わせろ
 経済的に苦しい人、フィジカルに動きにくい人から順に自主的に受診抑制をかけさせる有効な手段で、医療費削減効果は大きいでしょう。
 アカヒ的なものを維持できないことをさっさと国民に突き付ければよいのです。苦しくなれば簡単に棄民するような国民性に直面させればよいのです。

投稿: | 2016年4月28日 (木) 10時21分

TPPで日本が狙われる最大の市場は「最強の保険」の解体民営化。年30兆。

投稿: | 2016年4月28日 (木) 10時36分

>がん保険っている?
むかしはいらなかったけど、抗がん剤が高額化して、高額医療費の月負担の最大上限が25万に上がってるから、通院がん保険程度じゃまかなえないくらいになってきていますよね。通院充実保証なら、入っていても損はないと思うような今日、この頃。

月25万の医療費なん払えませんけど...額面収入の30%が上限額って、厳しすぎる。可処分にしたら50%超えちゃうよ...。こっちが払った税金で養われている生保は負担0円なのに。

投稿: おちゃ | 2016年4月28日 (木) 10時52分

保険に関しては予想外に必要な出費が発生する可能性があり、それが支払えないで困る事態が予想されるならかけておくと言うのが大原則だと思います。

投稿: 管理人nobu | 2016年4月28日 (木) 14時42分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/63541147

この記事へのトラックバック一覧です: 最強の保険はすでに手中に:

« リスクがあることが判っている行為をどう受け入れさせるべきか | トップページ | 今日のぐり:「博多ラーメン琥家(こや)倉敷店」 »