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2016年3月22日 (火)

今どき血液が酸性だアルカリ性だと言う話にびっくり

詐欺紛い商法などはどこから詐欺なのか判りにくいことがままあるものですが、特に近年いわゆる健康食品の類などは公的なルールも変更されますます判りにくくなっていて、機能性表示食品などは国への届け出制で一見すると国によるお墨付きを受けているように見えて、その実効果については何ら保証されたものではないと言う、よく判らないことになっています。
ただこうした認可を受けた、公に届け出たと言うもの以外でも俗称としての健康食品なる言葉は勝手に使えるのだそうで、効果が無いだけであればまだしも健康被害まで受けるとなると何が健康食品なのかと言う話ですが、先日出ていたこちらのニュースなどは主に売り文句にあった効果の面で問題視されたと言うことのようです。

マルチ大手に業務停止命令=「がんに効く」と虚偽説明-消費者庁(2016年3月9日時事ドットコム)

 「がんに効く」などと虚偽の説明をし、マルチ商法(連鎖販売取引)の会員登録を迫ったなどとして、消費者庁は9日、特定商取引法違反(不実告知など)で、健康食品販売「ナチュラリープラス」(東京都港区)に対し、10日から9カ月間の新規勧誘などの業務停止を命じた。

 消費者庁などによると、同社は清涼飲料水「IZUMIO(イズミオ)」と健康食品「スーパー・ルテイン」を主力に、年間約200億円を売り上げるマルチ業界大手。2014年12月~15年12月、「動脈硬化が治る」「がんにも効く」と虚偽の説明をするなどして新規会員を勧誘していた。
 同庁は15年4月、同社本社などを立ち入り検査。同社は新規勧誘を一時自粛したが、再開後も違反を繰り返したという。
 同庁は、命令と併せ、購入者に病気治療や予防効果がないことを通知し、結果を報告するよう指示した。

 ナチュラリープラスの話 処分を厳粛に受け止め、業務改善を徹底する。

この種の「癌に効く」系の健康食費やサプリメントもこれだけ多数が乱立している以上それなりに需要があるのでしょうが、世界中で巨大製薬会社が新規抗癌剤開発にしのぎを削っている中で、根拠も怪しげならきちんとした審査も受けていないものに効果があるとはちょっと思えないんですが、ただこういうものは鰯の頭も信心からと言う言葉もあるように捉え方一つです。
末期癌患者などが自分はもう駄目だと思い込んでしまうと見る見る衰えていき、本来ならもっと長く生きられたはずなのにと言う最後を迎えることもあると思えば、自分はまだまだ元気だと信じている人が心なしか病気の進行も遅く見えたりすることもあって、免疫力は心理状態に左右される等の説明をされることもありますが個人個人で病気の進行具合や自覚症状は全く差が大きいものですよね。
病気や症状も日によって当然調子の上がり下がりはありますから、こうした健康食品でプラセボ的効果であれ何であれ効いたと本人が納得してしまえば、その後の経過がどうあれ一気に信者化してしまうことはままあることですし、そうであるからこそ怪しげな健康法に引っかかって多額の資産をむしり取られていく患者さんもいらっしゃると言うことなのでしょうが、やはり詐欺紛いのしろものに大金をとなると他人事であっても気分はよくないものです。
ただ日本の場合国民皆保険制度で正当な医療行為が安上がりですむだけに、単純にお金儲けが目当ての方々であればある意味対処はしやすいかと思うのですが、時には一体何が目的なのかよく判らないがトンデモっぽいと言う方々もいらっしゃるようで、先日ちょっと懐かしささえ覚えるこんな記事が出ていました。

ガンが消える?酸性かアルカリか 体のバランスをチェック!(2016年3月19日大紀元)

  誰もが「ガン」という病気を聞くと、治せない難病というイメージを持っているだろう。しかし、ガン細胞は酸性の身体にしか生存しないことが科学的に証明されており、体内を弱アルカリ性に保つことができれば、ガン細胞はなくなると言われている。弱アルカリ性体質にするには、私たちの生活習慣を見直すことで簡単に変えられる

 新潟医科大学の柳沢文正助教授が100人の癌患者に対して行った血液検査によると、100人の癌患者全員の血液が酸性だった。
 元大阪府立医大の片瀬淡教授が提唱した世界的に有名な「片瀬学説」も、「人間の健康は血液中の酸とアルカリの釣りあいによって左右される」と主張する。つまり、血液は常に弱アルカリ性であることが正しく、酸性に傾けば、様々な慢性病を引き起こすと言う学説だ。
(略)
 研究の結果、ガン細胞は酸性の身体にしか形成されず、弱アルカリ性の身体には形成されないことが分かっている。もし、体内にガン細胞が発症しても、身体のPh値を弱アルカリ性に変えることが出来れば、ガン細胞はなくなるということになる。

 該当項目が多かった方は、ガン予防のために、生活習慣を見直してみてはいかが?

いやいやいや、癌患者全員の血液が酸性だったりすればもっと病棟が大騒ぎになっているぞと突っ込みたくなる臨床家の先生方も少なからずだと思いますが、この血液のいわゆる酸性、アルカリ性云々の話も昔から細々と続いている話で、むしろ今の時代にもまだ民間信仰以外で生き残っていたのかと少なからず新鮮な印象も受けました。
ちなみに記事中にある柳沢文正先生と言えば大正時代の生まれで第二次大戦中には新潟医大教授に就任した方で、片瀬淡先生の方は明治時代の方で大正の頃に大阪府立医大教授を務めたような方ですから、抗生物質も胃カメラもなかったようなはるか大昔の方々が唱えた、当時ですら全く顧みられることのなかった学説が100年近くたってもまだ掘り起こされていると言うのもすごいことですよね。
思うにこうした古代の珍説奇説が未だに繰り返し再登場する背景には、生活習慣を変えることで癌を防ぐことが出来ると言うそのお手軽さにもあるのだと思いますし、記事にもあるような「血液を酸性にする生活」と言うものはまさしく今の時代にあっても避けるべき生活習慣とされているものですから、「じゃあ夜更かしして暴飲暴食しても癌にはならないんですね?」と言われればにわかには否定し難いと言う厄介な面もあるのでしょう。

先日はある種の肺癌に非常によく効く新薬が登場し効果が期待されているものの、その治療費は実に年額3500万円も及ぶと言う話が出ていて、確かに治療適応がありそうな患者さん達が全員こんな高い新薬を使うとなるとそれだけで医療費を目に見えて押し上げかねないと言うものですし、他の癌においても毎年のように高価な新薬が続々と登場しているのが現実です。
それらに比べれば幾ら効果に比べればボッタクリだとは言え、健康食品の類などは経済的に見ればたかが知れている上に公的財政支出を一切必要としないと言う側面もあって、例えば風邪薬やシップ薬など軽微な医薬品は健康保険の対象から外すべきだと言う議論だとか、イギリスの公的保険でレメディーなる砂糖玉の使用が認められていると言うのも結局は財政的な理由ですよね。
その意味で商品としての流通や質的内容をあまり厳しく規制することも実は痛し痒しの側面があるのではないかとも思っているのですが、明らかに間違った情報を流布している方々が定期的に現れて一見何かしらのエヴィデンスを与えているように受け止められているのは問題で、むしろコントロールすべきなのはこうした誤情報の方ではないのかなと言う気もしています。

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コメント

血液型性格診断もすっかり定着してますね。
受け入れられやすいものって理由があるんでしょうか?

投稿: ぽん太 | 2016年3月22日 (火) 08時01分

レメディーなどもしかり(風邪をひいたら砂糖玉を舐めて大人しくしておく)ですが、信じた結果出る問題の重大性の有無が一つの基準になりそうには思います。

投稿: 管理人nobu | 2016年3月22日 (火) 12時59分

人は何かにすがらないと生きられない、ということなのでしょう。
現実は厳しすぎるので、1万年前も今も奇跡の力に頼らないと不安でたまらないのだと思います。

現代の現実は、科学技術(医学)に頼っても命には限界があるし、平等・人権・平和などのたまわってみても、災害などで無慈悲に幸せな人生が終わってしまうことでしょうか。
人間は理性的な生物ではなく、アンビバレントな心を持っているので...

投稿: おちゃ | 2016年3月22日 (火) 17時03分

確かに寅子一派は似非科学としか言いようが有りませんが
じゃあ医学は、科学という神に仕える宗教じゃないのか!
と 言われれば…

投稿: | 2016年3月22日 (火) 19時22分

学閥ってほぼ宗教

投稿: | 2016年3月22日 (火) 23時19分

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