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2016年2月23日 (火)

貧困対策とはお金を出せば終わりと言うものではなく

このところ生活保護受給者の増加が非常に大きく取り上げられるようになっていて、各地で受給者のギャンブル制限策が試みられるなどかなり積極的な対応が為されていますが、「太陽光発電の一戸建てに車3台、ローンに加え生命保険料月額7万円で困窮したから生保受給希望」など、ギャンブルに限らず生活面で明らかに問題があるだろうと言うケースも報じられていて、こうした報道が出ること自体時代の変化と言えますよね。
当然ながらあまりに悪質なケースに関しては支給の停止や保護費の回収と言った措置も執られていますが、例えば生保天国と名高い大阪界隈では不倫相手との出会いの場としてマンション契約するために受給していたなど斜め上なケースもある一方、返還を拒否しても罰則がないなどの理由で回収を断念した保護費が28億円に登るなど、これも決して順調とは言えないようです。
基本的に生活に困窮し緊急性があるから受給申請をすると言うのが建前である以上、窓口で対応や審査に当たる担当者の不足と言う問題を抜きにしても一定程度不適切な支給が発生するのは避けられないとは思うのですが、こうした問題の解決策としても意味があることとして最近各地でこんな貧困対策の試みが行われつつあるようです。

【東京】貧困家庭 食で助けたい フードバンク、行政介さず直接支援へ(2016年2月7日東京新聞)

 貧困を見過ごせず、自ら行動を始めた狛江市の主婦、田中妙幸(たえこ)さん(62)が立ち上げた「フードバンクを考える会」が七日、NPO法人の設立総会を開く。今後、貧困家庭に直接支援するなど活動の幅を広げる方針という。

 フードバンクは、個人や企業から寄贈を受けた食料を、生活が苦しい家庭などに届ける活動。昨年十一月に全国組織「全国フードバンク推進協議会」が設立され、注目されている。
 田中さんも「困っている人を放っておけない」と、昨夏、フードバンクを考える会を作った。市の機関に相談に訪れた生活困窮者が求めれば、行政から連絡を受けて食材を届ける仕組みを確立。これまで二十四世帯に四十回近く、お米や缶詰、レトルト食品などを届けてきた。
 だが、活動を通して、多額の借金を抱えている場合など、公的機関との接触を避けたり、助けを求められなかったりする貧困家庭の人々にも出会った。田中さんは「本当に困っている家庭にこそフードバンクを知ってもらい、利用してほしい」と話す。

 NPO法人の申請には設立総会の開催が必要とされ、申請から数カ月後に都の認証が得られる見込み。法人化後は、さまざまな市民団体などと協力して、行政を介さずに直接連絡を受ける相談体制を確立する方針。資金管理を強化し、より広く活動できる団体を目指す。
 夫の究(きわむ)さん(64)の協力も得ながら支援の輪を広げたいという。田中さん夫婦は「社会で支え合い、貧困を解決したい」と話し、気持ちを新たにしていた。 (木原育子)

子どもの貧困 堺市が食事無償提供する食堂を来年度設置へ(2016年2月10日毎日新聞)

 堺市は、経済的な事情で食事が十分に取れない子どもたちに食事を無償提供する「子ども食堂」を来年度から設置するため、新年度当初予算案に500万円を計上した。民間団体から委託先を公募して夏にもスタートさせ、月1回以上開設する。市によると、民間団体による取り組みは全国で広がっているが、自治体が予算を組んで実施するのは珍しいという。
 首都圏の33の子ども食堂運営団体が加盟する「こども食堂ネットワーク」(東京都)の事務局は「自治体が子ども食堂を開設する例は聞いたことがない」と話している。

 2012年の国民生活基礎調査によると、17歳以下の貧困率は16・3%で、子どもの貧困や孤食は全国的に問題になっている。
 堺市は子ども食堂を平日の夕方に地域会館などで開き、中高生までの子どもには無償で提供、大人には実費の約300円を払ってもらうことを検討している。学生ボランティアらと連携し、食事だけでなく宿題などの学習支援も視野に入れている。

 初年度は孤食や貧困の実態を探り、再来年度以降は市が運営費の全額を負担するのか、民間団体の活動費の一部に補助を出すのかなど実施方法を検討する。
 堺市子ども企画課は「食を切り口にして、子どもの貧困問題の解決に向けた取り組みに生かしたい」と話している。【椋田佳代】

特に堺市の試みなどは公的に行われていることもあって非常に期待すべきことで、将来的には子供だけではなく大人に対しても段階的に拡充されていくことが期待されるところですが、貧困世帯に対して金銭による支給を行う場合いわゆる不正受給の問題を抜きにしても、パチンコや飲酒であっと言う間に散在してしまったり月々の家計管理を適正に出来ないと言うことが言われています。
以前にホームレスの1/3は知的障害者であったと言う調査結果もあり、そもそも適正な生活設計が出来ないから生保受給者に転落してしまうのだと言う声もありますが、病気と考えるにせよ不適切な生活習慣と考えるにしろ周囲の適切な支援の対象となるべきだし、その意味では生保はそもそも現金支給ではなく現物支給であるべきだと言う声が次第に高まっているところです。
つい先日フランスでは売れ残った食料品を貧しい人に寄付することを義務づける法律が満場一致で成立したそうですが、日本でも「今日食べるものもないんです!」と言う生活困窮者には当座食料を支給する制度を開始したところ対応が早いと感謝されるばかりでなく、不正受給の抑制などで生保関連のコストも抑えられたと言う実例があり、もっと活用できそうな話ですよね。
最近では生保受給者増加のみならず保護費増大の源流対策としてかかりつけ病院・薬局を持つことやジェネリック義務化、さらには日常の食事や運動など予防医療にまで踏み込んだ保護費抑制も行われ始めていますが、受給者の大多数を占める善良な生保受給者からは感謝されコスト削減にもつながり、医療機関にとっても不要不急の受診が減らせると言う一石が何鳥にもなる方法論としてさらに広まって欲しいものです。

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コメント

だからって金出さないことの言い訳にはならない

投稿: | 2016年2月23日 (火) 07時53分

どうして不正受給の返還拒否が罰則ないとなるのか?
はっきり言って詐欺なんだから、そっちを適用出来るはずですよね?
結局は行政にやる気がないだけのような気が・・・・・。

投稿: | 2016年2月23日 (火) 08時44分

罰金を科しても払ってくれなきゃ、裁判費用の分だけかえって損だし
懲役や禁固を科しても、その間の生活費は丸抱えの上、警備等余計な出費が増えるし。

税金関係の法令を援用して財産の差し押さえを模索したほうがまだ実効性がありそうな。

投稿: JSJ | 2016年2月23日 (火) 09時15分

ナマポ対策をいい加減にやってきたツケですよ
まずは自治体レベルで条例制定して徹底的に厳しくやるべき
ナマポをぬるま湯漬けにするからいけない

投稿: | 2016年2月23日 (火) 09時29分

生保の問題はアフリカなど途上国支援の問題と少し似ている側面があって、欧州の現状を見ても日本の行政が特別不手際なわけでもないのかなと思っています。

投稿: 管理人nobu | 2016年2月23日 (火) 11時00分

処方薬の薬価部分はすべて自費負担にして、困窮者向けドラッグバンクを作ってはどうだろう。有効期限まじかで在庫処分になるものを回す。

投稿: | 2016年2月23日 (火) 14時00分

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