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2016年2月17日 (水)

そこまで嫌われている田舎暮らしの強要は実現するか否か

先日から元プロ野球の人気選手の薬物使用問題が世間を大きく賑わせているところですが、こちらとんだところでも薬物問題が発覚し話題になっていました。

医師不足の島に赴任した「親切な先生」のはずが…病院長の覚醒剤所持にショック(2016年2月15日読売新聞)

マンションで覚醒剤を所持していたとして、広島県警は12日、呉市広末広、公立下蒲刈(しもかまがり)病院院長、原田薫雄(くんゆう)容疑者(52)を覚醒剤取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕した。「知人から預かったもので覚醒剤とは思わなかった」と容疑を否認しているという。
 発表では、原田容疑者は12日午前5時55分頃、広島市中区上幟町にあるマンションで、小さなプラスチック袋入り覚醒剤を所持していた疑い。警察庁に匿名の情報提供があり、県警が捜索して覚醒剤を見つけたという。同病院を設置する呉市によると、原田容疑者は2011年9月に院長に就任した。

 ◇「信じられない」 島民らショック

 原田容疑者は、医師不足に悩む下蒲刈島に、呉市の依頼を受けて赴任し、高齢化が著しく進む過疎地の医療を支えてきた。お年寄りら患者への対応も親切だったといい、市や病院の関係者、島民らに驚きや戸惑いが広がった。
(略)
 市立の同病院は、下蒲刈や上蒲刈など4島の中核的な医療機関に位置づけられるが、2011年に前院長が定年退職後、後任が約5か月不在に。広島大医学部の関係者らを通じて就任を依頼したのが、広大出身の原田容疑者だった。
 同病院では脳神経外科とリハビリテーション科で、脳卒中の後遺症や認知症を患う高齢者らを毎日診察していた。逮捕を受けて受付窓口には「都合により、原田院長の診療を休診させていただきます」との案内文が掲示された。

 4島の高齢化率は6割近くに達し、同病院の武林信二・病院事業課長は「専門性の高い脳神経外科やリハビリの医師を確保でき、ありがたかった。お年寄りらに親切に接し、上司としても信頼していた。逮捕は信じられない」とショックを受けた様子。
 診察に訪れた下蒲刈町内の無職女性(83)は「優しい先生で、逮捕されるなんてびっくりした。間違いならいいのに」と残念がった。

ちなみに離島の院長に赴任しているのに何故広島市内にマンションがあるのかと言えば、この下蒲刈島はすでに立派な橋で本土と直結されていると言う理由があるからだろうと思うのですが、それにしても市街地からはかなり離れた辺鄙な僻地であることには間違いが無いのだし、だからこそ医師不足に悩んでいたと言うことでもあるのでしょうね。
この種の事件は発覚するまでの捜査が非常に慎重に行われるものなのだそうで、今さら「知人から預かった」云々と言い訳をしても通用しないだろうとは思うのですが、果たしてこうした僻地勤務と覚醒剤所持との間にどのような関係があったのだろうかと、世間では余計な興味をかき立てられているようです。
原田容疑者に限った話ではなく僻地勤務と言えば一般的にはあまり歓迎されないものがあって、逆に多くの人がそこに暮らすことを望まないからこそ僻地であるとも言えますが、必ずしも僻地とまではいわずとも田舎暮らしとはどれほど世間から嫌われているのかと言うことを示す、こんな記事が出ていました。

「徳島に行きたくない」片道切符の省庁地方移転に役人がダダ(2016年2月11日ニュースポストセブン)

 安倍政権が突如、地方創生の目玉に打ち出した「中央省庁の地方移転」で霞が関の役人たちに“パニック”が起きている。政府は中央省庁と独立行政法人の34機関を移転候補にあげ、その中でも有力なのが消費者庁の徳島、文化庁の京都への全面移転だ。

 まず、消費者庁の誘致に熱心な徳島県は同庁のオフィスとしてヨットハーバーに面して建つ県庁舎の9階と10階を提供、徳島市街から車で40分ほどの神山町にサテライトオフィスを試験移転することも検討されている。現地を視察した河野太郎・消費者行政担当相は「十分可能性がある提案だ」と大乗り気だ。
「神山町にはIT企業が進出して職住接近のライフワークバランスを実践しています。過疎地域ですが、コンビニくらいはあります」(徳島県地方創生推進課)
 一方、文化庁の移転は馳浩・文部科学相が後押し。山田啓二・京都府知事に「京都移転を前提に議論したい」と約束しており、「両庁の移転はすでに安倍首相の内諾を得ている」(官邸筋)といわれる。

 これにひっくり返ったのが役人たちだ。とりわけ消費者庁は現在、首相官邸を眼下に望む東京・赤坂の超高層ビルにオフィスを構えるが、全面移転となると約500人の職員の多くが徳島行きとなりかねない。内閣府の中堅職員が語る。
「消費者庁の職員たちは深刻ですよ。全面移転が現実になれば、2~3年の地方赴任とは違って、『これからは一生徳島で暮らせ』ということです。文化庁の移転先の京都のような大都市ならまだしも、いきなり徳島なんて寝耳に水でしょう。私だって片道キップで徳島に行けという辞令が出たら公務員を辞めるかも知れない」

 地方移転を敬遠するもう一つの理由は、給料が大幅に下がることだ。国家公務員の給与制度では、物価調整の名目で勤務地に応じて7段階の「地域手当」が支給される。霞が関など東京23区内は最高の「1級地」で、基本給や扶養手当などの合計額に20%の地域手当が加算されている。
 それに対して徳島市は「7級地」で地域手当は3%。霞が関から徳島勤務になれば17%分の手当がカット、年収約1400万円のベテラン課長なら200万円近くダウンする計算だ。
「省庁移転で地方勤務になった場合でも、子どもたちは東京の学校にそのまま通わせるという人がほとんどだ。給料が2割も下がったら生活できない。地方創生の政治パフォーマンスの犠牲にされてはたまらない」(経産省の中堅官僚)
 目下、霞が関はスクラムを組んで、地方への差別意識丸出しの移転反対運動を展開中なのだ。

住めば都と言うくらいで一生徳島もそこまで悪くないかも知れませんが、ただ徳島の場合全国各地からの交通の便が必ずしもよろしくない部分がありますから、同じ田舎への移転と言うことでも例えば北海道や沖縄などの方が他地方の人間にとっては便利がいいのかも知れませんね。
ともかくこの省庁地方移転計画なるもの、どれほど実現性があるのかと未だはっきりしないところがありますけれども、先日はNHK放送センターも地方に移転させるべきだと言った話も出ているようで、別に移転すればしたでそれなりに機能するものは少なからずあるものなのかも知れませんし、独立行政法人などはどんどん田舎送りにして中央への影響力を減らすべきだと言う考え方も出来るでしょう。
ただおもしろいなと思ったのが当の省庁の中の人はともかく、日弁連がこの消費者庁徳島移転に強硬に反対していると言う点で、「消費者行政が大きく後退するおそれがある」などと言って他省庁と切り離すことに反対すると言う立場のようで、正直ためにする議論のように見えてあまり説得力があるようにも見えませんが、厚労省がどこかに移転すると言った話になれば日医あたりが何と言い出すかですよね。

また記事を見ていて興味深いのが公務員の給料が大都市ほど高くなると言う話で、一般企業でも同様の制度をとっているところがあるようですが、物価格差を是正すると言う合理性はあるにせよ、医師給与などは医師の多い都心部で安く少ない田舎で高くなると言うことを考えると、ある意味自由競争の原理に反しているシステムのようにも見えますよね。
もちろん役人などは自由競争も何もなく命じられた土地で勤務するしかないと言うことなのですが、それならそれで田舎暮らしも黙って命じられたとおりやればいいだろうと言う反論も成立する話で、案外こうした省庁移転が何かと昨今言われることの多い公務員と言うもののあり方に一石を投じるある種の選別システムとしても機能することもあるのかも知れません。
しかし医師などは前述のように経済的な面からの僻地誘導が行われているにも関わらず必ずしも十分な補正が達成されていないと目されていて、一部では熱心に医師強制配置論なども叫ばれていますけれども、中央省庁の移転に当事者からこれだけ反対意見が続出しているとなると、厚労省などは間違っても医師強制配置論などには与するわけにはいかない道理と言えそうですかね。

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コメント

河野大臣のパフォーマンスで移転のメリットは無いですね。
国会対応とか面倒なだけ
第一田中角栄以降、地方へ移転するようしてきましたが結局成功しなかった
地方創生自体が票取りの為のパフォーマンスです

投稿: 名無し | 2016年2月17日 (水) 07時46分

徳島も中心街じゃなくてさらに過疎地域ですか。
陳情に出かけるのも簡単じゃなくなりますね。
苦情対応の部門なら引っ越しのメリットがあるのかな?

投稿: ぽん太 | 2016年2月17日 (水) 07時47分

筑波学園都市をおもいだした。いきたくなかった。結局行かなかった。

投稿: | 2016年2月17日 (水) 09時59分

公務員の給料を2割も下げられるなら、経費節減のため、ぜひ移転すべきではw

投稿: | 2016年2月17日 (水) 10時40分

相手側用にも通信インフラを整備するコストを考えると、過度の地方移転はむしろ割高になる可能性もあるかも知れませんが、一部を関西や中京地区への移転は可能かも知れないですね。

投稿: 管理人nobu | 2016年2月17日 (水) 11時34分

辞めてもっと条件いい再就職先があるならさっさと辞めたらいいんじゃない

投稿: | 2016年2月17日 (水) 20時43分

神山って…12番札所焼山寺への道中ですな
お遍路最大の難所エリアじゃないですか、
歩いてびっくりのメチャ僻地でしたよ。

投稿: | 2016年2月18日 (木) 08時35分

東京一極集中がなぜ進むかといえば
一極集中は効率が良いからに他なりません

コンピューターだって分散処理は単一処理よりオーバーヘッドが大きい
分散処理が始まるのは、単一処理ではハードウェア的に不可能になってから。

東京に一極集中し過ぎてもう物理的に無理だから、とならないと分散は始まらないでしょう。
とっくに無理になってるじゃないか!という意見には実はまだ充分な賛同が得られていません。

投稿: | 2016年2月18日 (木) 12時39分

不動産価格などに限界を感じない訳じゃありませんが、実体経済がそれで機能している訳ですから東京一極集中はまだ大丈夫なのでしょう。

もっとも、現在の商業形態を見ていると、東京以外の地域では人口密度的に成り立たなくなってきている感もあり、ある意味東京が普通でそれ以外が人の少なさで異常な状態に、と言えない訳でもない。
地方は自ら衰退を選んでいるのではないかと。

投稿: | 2016年2月18日 (木) 16時33分

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