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2016年2月24日 (水)

世の中何の役にも立たないものの方がむしろ多数派なので

役に立たないものなど消えてしまえと言うのは強迫観念の類だと言う指摘もあるようなのですが、普段からやたらにエヴィデンスエヴィデンスと念仏のように唱えている医者と言う人種にとっては何の役に立たないと言うことがよほど気になる部分もあるのでしょうか、先日形成外科・美容外科医の山下理絵氏がこんな記事を書いていました。

コラーゲン配合の飲料は効果なし?(2016年1月29日毎日新聞)

(略)
 美容医療では、シリコンなどを混ぜたヒアルロン酸注射による被害がよく見られます。安価で肌に吸収されないものがよいものと思っていたら大間違い! 「一度注入したら消えません」という売り文句は危険です。長時間分解されない異物が体内に存在すると慢性炎症の原因となり、「異物性肉芽腫」という固まりが皮膚の中にできてしまいます。これは手術で取り除かなくてはなりません。多くの医師は安全性の高いヒアルロン酸を使用していますが、粗悪な製品もありますので事前に確かめるのが賢明です。また、注入する製品も大切ですが、技術はそれ以上に重要。ただ注射をすればよいのではなく、適切な深さに適切な量を入れることが重要かつ長持ちの秘訣(ひけつ)です。

コラーゲン、食べても飲んでも増えません。

 ヒアルロン酸同様、肌の潤いを保ち、ハリを与えているのがコラーゲン。高級食材、フカヒレを食べながら、「コラーゲンがたくさん入っているから、明日はお肌プリプリになります」と出演者が話すテレビ番組を見たことがあると思います。また、コラーゲンドリンクを飲むと、コラーゲンが増えシワがなくなると思い、毎日飲んでいる人も多いのではないでしょうか。しかし、飲んだコラーゲンが、どのような経路で皮膚に届き、どうやって増えるのかは誰も答えられません。そうです。食べても、飲んでも、皮膚のコラーゲンが増えることなどありえないからです。コラーゲンを摂取すると、消化の過程で数種のアミノ酸に分解されて体内に吸収されます。これらは血液の流れに乗って体内をめぐり、アミノ酸が不足している部位で使用されてしまいます。ですから、一端アミノ酸になったものが、皮膚のコラーゲン作りに使用される保証はゼロに等しいのです。
(略)
 コラーゲンは、アンチエイジングを効能とする化粧品には昔からよく配合されていました。現在でもコラーゲン配合の化粧品は高価です。しかし、塗っても皮膚の真皮のコラーゲンは増えません。ただし、コラーゲン、ヒアルロン酸、セラミドなどが入っている化粧品は、保湿効果には優れているので、乾燥防止には有効です。特に目の周りの小じわの多くは乾燥が原因で起こります。真皮のコラーゲンやヒアルロン酸を増やすには、直接注射で注入する方法が一番です。最近では、30代後半からシワができ始めるころにこれらを注入して増やす、シワ予防のための治療もはやっています。シワも完全にできてからでは手遅れ。早期治療が大切です。
(略)

まあスープなどにコラーゲンが多めに入っていますとトロトロ効果で麺や具材にもよく絡み保温にも有効なようですから、栄養学的あるいは美容的見地からはともかく味覚的な意味合いはあるのかなとも思うのですが、関節痛などに効能があるかのように言われているグルコサミンなども経口摂取でまず効果は期待出来ないと言い、この同類と考えてよさそうですよね。
良くしたものでちゃんとしたメーカーのCMなどを見ると「コラーゲンはお肌の張りを保つ重要な成分」「お肌のコラーゲンは年齢とともに減少する」「ところで本商品にはその大事なコラーゲンがこんなに!」式の疑似三段論法で、実はコラーゲンを経口摂取すれば肌の張りがよくなるとは言っていないようですけれども、一般的には誤解を招きかねない表現で高いものを売りつけるのはあまり感心される商売のやり方でないとは思います。
それでも代価として法外な金額を要求するだとか、身体的に有害性があると言うことでなければまだしもプラセボ的効果も込みで許容される余地はあって、先日は昨今話題の水素水が何ら有効性がないと言う大人げない告発的記事なども出ていましたけれども、テレビでの「バナナは○○によい」発言で店頭からバナナが消えるレベルの話と受け止めておけばそう目くじらを立てずともよかろうと言えるかも知れません。
逆に言えば明らかに詐欺的意図で無価値なものを高く売りつけるだとか、有害性のあるものを健康にいいなどと称して摂取させると言うことであればこれは問題で、先日話題になっていたのがこちらのニュースですけれども、仮にこれが全く別件で発生した出来事だったとしても全く無関係な話とは受け取られないだろうとは、今までの売り込み方に伴う当然の反動として予想されるところですよね。

桐山秀樹さんの急死で波紋 「糖質制限ダイエット」専門家はリスク指摘(2016年2月16日zakzak)

 ご飯やパンなど炭水化物を控える「糖質制限ダイエット」の第一人者として知られたノンフィクション作家、桐山秀樹氏が今月6日、心不全のため61歳で急死したことで波紋が広がっている。桐山氏の関係者は死因と糖質制限との関係を否定しているが、専門家からは、極端な糖質制限を長期に行うリスクを指摘する声も上がっている。

 糖質制限とは、ご飯やパン、麺類、ジャガイモなど炭水化物(糖質)の多い食品を食べない糖尿病患者のための食事療法。糖質だけを控えれば肉や魚は制限なく食べてもよく、カロリー計算のいらない手軽さから糖尿病患者だけでなく、ダイエットをしたい人にも人気となっている。
 桐山氏は糖質制限食の実践者として、中高年向けのダイエット本を多数出版。夕刊フジでもその効果について「医者いらずで糖尿病を克服し、メタボからも脱出できた」などと語っていた。

 一方、糖質制限食をめぐっては、日本糖尿病学会が「総エネルギー摂取量を制限せずに炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、長期的な食事療法として安全性などの重要な点についてこれを担保するエビデンス(科学的根拠)が不足している」などと指摘。「現時点では勧められない」とする提言を公表している。
 これに対し、桐山氏は2013年4月の夕刊フジへの寄稿で反論した。糖尿病治療にはこれまで、カロリー制限食と薬物療法が用いられてきたものの、糖尿病腎症で透析などに陥る患者が後を絶たないなどと主張。「なぜ、肥満解消を含め効果の出ている糖質制限のみを否定するのか」「私は断固支持し実践し続ける」と結んでいた。

 糖質制限食の効果を宣伝してきた“生き証人”の突然の訃報は、衝撃を持って迎えられている。
 桐山氏の公私にわたるパートナーで文芸評論家の吉村祐美氏によると、桐山氏は今月5日朝に仕事場がある神戸市のマンションを出発。6日朝に東京都内のホテルの室内で発見されたという。死因は心不全。吉村氏は夕刊フジの取材に、糖質制限と死因との因果関係について「関係ないと聞いている」と否定した。

 こうした中、専門家からは糖質制限が及ぼすリスクを指摘する声も上がる。
 山野医療専門学校副校長で医学博士の中原英臣氏は「脳の活動を維持する栄養素となっているのがブドウ糖で、私たちは砂糖などを通じて摂取している。それを取らないということが『体にいい』とはいえない。さらに、長期的に摂取しないともなれば、個人差はあっても、体にいろいろな影響が出ても不思議はない」と話す。「健康的にやせるには、バランスの取れた食事をし、運動でカロリーを消費するということが基本だ」と中原氏は強調している。

糖質制限食の功罪に関してはとりあえず現状ではエヴィデンス不足と言うしかないと思うのですが、記事にもあるように「肉や魚は制限なく食べてもよく、カロリー計算のいらない手軽さ」から食事制限がうまくいかないタイプの方々に対しては一定程度有効な可能性もあって、少なくとも短期的な利用に関してはもう少し検討していく価値がありそうには感じられます。
ただやはり特定栄養素を極端に制限すると言うことの長期的な悪影響がどうなるのかで、特に知られているように脳などは基本ブドウ糖しか利用出来ないと言う点で影響があるのではないかと言う懸念はもっともですし、糖質さえ制限すればいいのだと肉や揚げ物ばかり食べていた結果脳卒中になってしまったと言うケースもあるようです。
そもそも糖質制限なるものに飛びつく人と言うのがどんなタイプなのかと言えば、恐らく健康的で理想的な食生活をしていると言う人は限りなくゼロで、食事制限などおよそ厳密には守られそうにない方々が「これなら出来るかも」と飛びついているのだろうと考えると、仮に血糖値を上げないと言う点には一定程度の効果があったとしても、全身的総合的な健康増進に結びつくかどうかは疑問の余地が大いにあるはずです。
要するに糖質制限をするにしてもどの程度の摂取量が最良最適なのかと言う検討はいるのだろうし、その他の食事に関しても何でも好きなだけではなくやはり一定のバランスと言うものがあるだろうと言うことなんですが、この種の流行りものの常として「糖質以外食べ放題」などとキャッチーなコピーばかりが先走ってしまい、余計なトラブル頻発で問題視され消えてしまうのでは真面目な推進派の方々にとっても不本意でしょうね。

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コメント

【2月23日 AFP】じゃがいもだけを1年間食べ続けるという食事プランを実践中のオーストラリア人男性が23日、一風変わった食事制限にもかかわらず、体調は良好で、驚くほど食事を楽しんでいると語った。

 アンドリュー・テイラー(Andrew Taylor)さん(35)は、本人が言うところの「食に対する執着」を断ち切るため、12か月間じゃがいもだけを食べることを熟考の末決意した。

 アルコールやたばこの中毒者らは、依存対象物をきっぱり断つことができるかもしれないが、食べ物に関してはそれは不可能だとして、テイラーさんはできるだけ味気ない方法での食事制限を決意した。

「次に大事なことは、私の健康を維持してくれる方法を見つけることだった」と、テイラーさんはAFPに語った。じゃがいもに加えて、マンゴーやバナナ、スイカも考えたという。

 じゃがいも以外の選択肢も認めると決めた後、テイラーさんは今、ゆでたりすりつぶしたり、パンケーキにしたり、時にはニンニクや塩で味を付けたりして、毎日好きなだけじゃがいもを食べている。

 専業主夫であるテイラーさんは「いかなる脂質も取らない。バターなし、肉なし、乳製品なし...オイルもなしだ」と話し、54日目を迎えた中、うまく対処していると付け加えた。

 テイラーさんは自身の経験を記録して、フェイスブック(Facebook)に投稿しており、すでに6000件以上の「いいね」が寄せられている。減量が最終目標ではないものの、これまでに体重が17キロ減ったのだという。

 テイラーさんは「病気になったり、死んでしまったりするんじゃないかと皆は思っていたよ」と冗談を飛ばし、「もし病気になったら、何か別のものを食べればいいだけだしね」と話した。(c)AFP

http://www.afpbb.com/articles/-/3077985

投稿: | 2016年2月24日 (水) 07時22分

>じゃがいもだけを1年間食べ続ける

ニンニクも食べている件について…

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2016年2月24日 (水) 09時41分

牛や馬だって草だけで生きてるんだもの人間だって大丈夫さ

投稿: | 2016年2月24日 (水) 10時29分

医学博士の中原英臣氏「脳の活動を維持する栄養素となっているのがブドウ糖で、私たちは砂糖などを通じて摂取している。それを取らないということが『体にいい』とはいえない。」
脳はブドウ糖しか利用できないという言説もコラーゲンはお肌にいいと同程度の嘘ですね。

投稿: | 2016年2月24日 (水) 11時16分

本日はブドウ糖欠乏が中枢神経系に与える影響について、実際に経験しているところです。

投稿: 管理人nobu | 2016年2月24日 (水) 14時33分

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