« 肉親の安全を守る方法論とは | トップページ | それをやったら体を壊さない方がおかしいと言う行動を続ける理由 »

2016年2月26日 (金)

同性婚の権利が次第に拡張されつつある現状と問題点

先日見ていて面白いなと思ったのがこちらの記事なのですが、皆さんはどう感じられたでしょうか。

<パナソニック>同性婚、社内規定で容認 4月から(2016年2月18日毎日新聞)

 パナソニックは社内ルールを変更し、4月から同性カップルを結婚に相当する関係と認める方針を固めた。社員の行動指針も見直し、「LGBT」(性的少数者)を差別しない姿勢を明確化する。社内から要望があったほか、同社が国際オリンピック委員会(IOC)の最高位スポンサーで、五輪憲章が「性的指向による差別禁止」を掲げていることも後押しした。国内の企業では先進的な取り組みで、他企業に広がる可能性がある。

 現在、具体的な見直し作業を進めており、就業規則上の「結婚」や「配偶者」の定義変更や、同性パートナーを持つ社員を慶弔休暇など福利厚生の対象とすることを検討している。国内外のグループ企業の社員約25万人を対象にした行動指針には「性的指向や性別の認識で差別しない」との表記を加える方針だ。昨夏、社員から「同性婚を考えている」との申し出を受け、社内ルールの見直しに着手した。

 他企業もLGBTへの対応を進めている。日本IBMは、同性パートナーがいると申告した社員に結婚祝い金や転勤旅費を支給。レナウンは、自治体の証明書を提出した社員に結婚休暇の取得などを認めている

 LGBTの問題に詳しい東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授(社会生態学)は「他の多くの日本企業への波及効果が期待できる」と評価する。

記事タイトルを一読して真っ先に感じたのが「パナソニックでは結婚と言う個人的なことについても会社からの許可が必要なのか?」と言う点だったのですが、もちろん会社に黙って事実婚状態だった方々も今まで少なからずいるのでしょうが、今後は制度上も同性婚を一般的な配偶者関係と同列に扱うと言う意味なのでしょう。
個人レベルであればともかく、企業として今の時代積極的に「同性婚など断固として認めない!」と言う会社もそう多くはないのでしょうが、恐らく大多数の職場ではそうしたものの扱いについて検討する必要性など感じておらず、結果として制度上の格差が放置されたままになっているのではないかと言う気がします。
現実的にどの程度の数の同性婚が存在するものなのかですし、職場でカミングアウトすることに躊躇する人も未だ少なくないのでしょうが、少なくとも制度的に認めると言うことは会社としての姿勢を示すことでもあり、働き手にとっては少なくとも悪い話ではないように思いますね。
昨今では同性カップルと言うものに対してこのように社会的支援をもっとしていこうと言う動きが目立っていますが、もともと日本では歴史的にも特に同性愛に対する禁忌が乏しかったと言う文化的背景もあってか同性愛そのものへの否定論はさほど目立たず、同性愛者として一向に異性に興味を示す気配がなく周囲をやきもきさせたと言う徳川三代将軍家光のように、その方面で名を残している有名人も少なからずですよね。
一方でアメリカなどでは未だに同性愛の是非そのものが何かと大きな議論になっているように伝統的、宗教的、文化的背景による考え方の差異はかなりありそうなんですが、最近こうした同性愛に対する公的支援の動きに対してこんな発言が話題になっていたことを紹介してみましょう。

「同性愛は個人的趣味」 支援を疑問視する杉並区議の発言に批判(2016年2月21日Buzzfeed)

東京都杉並区の小林ゆみ区議が「同性愛は個人的趣味」「自治体が時間と予算を使う必要があるのか」などと議会で発言した。これに対し、当事者たちから「趣味の話ではない」などと反発が出ている。【古田大輔】
小林議員の発言は2月15日の杉並区議会で出た(8分20秒から)。定例議会で区への質問に立った小林議員は「性的マイノリティについて質問をします」と述べて、次のように発言した(抜粋、全文は記事末尾)。

レズ・ゲイ・バイは性的指向であるのに対し、トランスジェンダーは性的自認であり、医師の認定が必要である明らかな障害であると言えます。トランスジェンダーの方は法律的に保護する必要があり、世間的な目からの誤解を解かねばなりませんので、彼らの人権のために区が啓蒙活動をするのは問題ないと考えます」
「そもそも地方自治体が現段階で、性的指向、すなわち個人的趣味の分野にまで多くの時間と予算を費やすのは、本当に必要なのでしょうか」

小林区議は、このようにトランスジェンダーと同性愛者を区別し、行政による後者への支援を疑問視した。
区議会後にアップした自身のブログでは、こうも書いている。

「レズ、ゲイ、バイは性的指向(好み)、トランスジェンダーは性的自認(障害)であるという大きな性質の違いがあるため、私はそれらを一括りにすること自体に疑問を抱かざるを得ません」

これに対し、同性愛の当事者らからは批判の声が上がった。
ゲイであることを公表して活動している豊島区の石川大我区議は「性的指向はほぼ生得的なもので、個人的趣味ではない。誤り。性的指向は選び取れるとの誤解はほんとうに多い」とツイート。
レズビアンの立場から発信している村田悠のブログも小林区議の発言を取り上げた。

「正式な場所だからこそ差別的なニュアンスも持つ”レズ”ではなくて”レズビアン”と呼んでほしい」「同性愛、バイセクシャルは趣味でないってところだけでも認識してほしいです。そんなほいほいやめられないから、頑張っていきやすい道を探してるんですし」

同性愛や両性愛は、異性愛と同じく「性的指向」の一つ。同じ読み方をする「性的嗜好」が性に関する好みや趣味的な意味を持つのと異なり、「性的指向」は生まれついてのものとされる。
異性愛の男性が女性を、女性が男性を愛するように、同性愛の男性は男性を、女性は女性を自然と愛するようになる。趣味や好みを意味する「嗜好」ではなく、初めからその方向に向かっていることを示す「指向」という文字が使われる所以だ。
国連人権理事会は2011年6月、「人権、性的指向および性同一性」に関する決議で、性的指向と性同一 性障害を理由にしたすべての暴力や差別行為の対策に取り組む姿勢を明確にした。この決議には日本も賛成している。
(略)

地方自治体と言うものは住民への密接なサービスを提供するために存在しているものであって、住民からの要求が一定数あることであれば趣味だろうが障害だろうが区別なく対策を講じる意味はあるだろうとは思うのですが、その意味では小林区議が例えば同性愛者は区内にさして多くないと言うデータを示した上で、その対策にこの支出額ではコスパが悪いと問題提起をしたと言うことであれば説得力が出たかも知れませんね。
ただこれはこれで確かに一理あると感じた部分として、例えば近年では小児性愛と言うものは世界的に大変厳しい規制の対象になっていますが、同性愛の権利が保護されるべきなら小児性愛も同様ではないのか、何故それに限って保護どころか社会的規制の対象になるのかと言う議論も成り立つと言うことですよね。
公的な回答としては子供は自らの主体的な意志決定能力が無いからと言ったあたりがその理由になると思うのですが、それなら同様に意志決定能力の無い動物愛は禁じられるべきなのかと言われるとさて、全国各地で人気を博している猫カフェを動物虐待であるとして規制すべきと言う意見も確かに一部ではあるようですよね。

実際的に同性愛であれ何であれそれ自体の性質を云々することはあまり建設的ではなく、当事者間で合意し周囲に迷惑もかけないことであれば好きにしたらいいのだろうと思うのですが、積極的にその法的地位を確保することの意味合いとしてお金をかけて対策を進めるだけの理由があるのかどうかです。
当人の代理人として誰かが必要だと言う局面は医療などでも少なくなく、この場合友人や異性同性のパートナーも含めて社会的責任を共有する共同体的関係であると確認できれば十分で、異性間の婚姻関係に限定する意味はないのではないかと思うのですが、社会保障や相続、各種サービス提供などを始め家族や配偶者と言う法的つながりを前提にしているものが割合に多いと言うことも問題なのかも知れませんね。
婚姻関係が何故社会的に重要視されるかと言えば、同棲や事実婚と違って婚姻は法的に認められた関係であり、一度結んでしまえばなかなか解消できないと言う点にもあることを考えると、同姓カップルにおいても婚姻相当の簡単には解消されない担保が得られるのかどうかも今後の課題になりそうです。

|

« 肉親の安全を守る方法論とは | トップページ | それをやったら体を壊さない方がおかしいと言う行動を続ける理由 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

>そんなほいほいやめられないから、頑張っていきやすい道を探してるんですし

バイセクシャルの場合は両性そろってないとダメなんですかね?
パートナー一人で満足できるんだったら異性の相手一人キープしとけばいいような。

投稿: ぽん太 | 2016年2月26日 (金) 08時36分

今の先進的?な自治体とか企業の流れからいけば、普通に婚姻をしており
さらに別に同性婚(法的には無効なので重婚ではない)として認めて貰えば
企業から結婚祝い金は貰えるし、休暇も貰えるし、やりたい放題が可能ですね。

婚姻と同等の扱いは問題だらけだから、これまで認められなかったのだけど、
そういった問題は解決せずに、権利だけ拡大?
余計に差別が広がるような気がする。

投稿: | 2016年2月26日 (金) 09時32分

一応結婚すると扶養手当や社会保険の手続きが必要になりますからね。
会社側とすれば、公的にそれらがなされれば規定通りに対応せざるを得ませんし。

って、まだ自治体的には同性婚の婚姻届けは受理されてないんだっけ?
同性婚に対する法改正が先に必要なのかな?

投稿: | 2016年2月26日 (金) 09時54分

>普通に婚姻をしておりさらに別に同性婚(法的には無効なので重婚ではない)として認めて貰えば企業から結婚祝い金は貰えるし、休暇も貰えるし、やりたい放題が可能

これって離婚再婚を繰り返す人の場合はどうなんでしょ?
祝い金も休暇ももらい放題なんでしょうか?
人より福利厚生をもらいやがって的な妬みが言われると、結婚時の福利厚生は一生に一度だけ・・なんてことになるのかな

投稿: | 2016年2月26日 (金) 10時32分

この場合に限らず権利拡張の時期にはいわゆる逆差別的な問題は必ず出てくるものなので、当分は賛否両論が続く都思います。
ただ今現在例えば普通選挙制度に反対する人はまずいないだろうと思われますので、何事も年月が経過し当たり前のものとして慣れてくれば多少の不平不満は気にならないのだと思いますね。

投稿: 管理人nobu | 2016年2月26日 (金) 13時14分

スウェーデン自由党の青年団が、あまりにも“自由”すぎる目的を合法化するために活動を始めて話題を呼んでいる。
彼らは屍姦と近親相姦を合法化しようというのだ。

英紙デイリー・メールによると、青少年委員長であるセシリア・ヨーンソン女史は「普通でないことと嫌悪感は、その種の性的行為が不法であることを意味しない」と主張。
その結果、15歳以上の兄弟姉妹で双方の同意がある場合の性行為と、死ぬ前に作られた同意書がある場合の屍姦を合法にするべきだという投票が、先週末の年次総会で行われたという。

しかしこうした運動はすぐさま母体である自由党の大人たちによって手厳しく批判されることに。
元議員のカール・ハミルトン氏は「バカ。自分たちの提唱する自由が人に笑われていることに気がつかなければならない。
カバとでもセックスするようになるぞ」とコメント。
自由党の広報も彼らをサポートしないことを表明した。

ネットでは「何でもあり、という考え方は文明社会の癌だ」「これは始まりにすぎない」「スウェーデンは大きな実験場なんだよ」「ひょっとしたら10年後には許可されているかもしれないな」と様々な意見が寄せられているようだ。

http://www.narinari.com/Nd/20160236344.html

投稿: | 2016年2月27日 (土) 20時46分

LGBTを性的少数者と訳していますが、微妙に意味が違う言葉ではないかと思います。
あと、ネクロフィリアって性的少数者に含まれるのでしょうかね?

投稿: クマ | 2016年2月28日 (日) 08時20分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/63259779

この記事へのトラックバック一覧です: 同性婚の権利が次第に拡張されつつある現状と問題点:

« 肉親の安全を守る方法論とは | トップページ | それをやったら体を壊さない方がおかしいと言う行動を続ける理由 »