« そこまで嫌われている田舎暮らしの強要は実現するか否か | トップページ | 働かないで暮らすと言う選択肢の社会的位置づけ »

2016年2月18日 (木)

社会的に賛否両論な体育会系の現状

先日妙に話題になっていたのがこちらの記事ですが、確かにこれは意見が分かれそうな記事ですよね。

「運動部未経験の男は使い物にならない」で議論勃発 ネット民からは「スポーツは単なる遊び」と反発の声も(2016年2月13日キャリコネ)

就職では依然として強いと言われている「体育会系」の人材。体力があり、上下関係に厳しいといった点が歓迎されているようだが、そうした中、ネットに「運動部未経験の男は使い物にならない」という投稿が寄せられ、議論が起きている。

2月5日、ある男性ユーザーがツイッターにこんな投稿をツイートした。

    「俺の観測範囲では運動部に所属していた時期が全然無いような男はかなりの確率で使い物にならないから、俺が選んでいいなら全くやってなかった奴は他によほど良いところでもない限りは採用しないかなぁ」

「男なら普通やること」をやらずに育った奴を仲間に入れたいか

運動部で何が育まれるのは「わからない」としながらも、とにかく運動部に全く入ってこなかった、というのが問題なのだという。

    「エリートでもないのに運動部にも所属してなかった奴はマジでヤバいよな」
    「男なら普通やることをやらずに育って、しかも他に取り柄もない奴をあえて仲間に入れたいかってことなんだよな」

と辛辣な言葉を投稿している。一般的な成人男性なら、中高時代に運動部に所属して仲間と一緒に汗を流す経験をするのが普通らしい。

こうした一連の投稿が数百件リツイートされ、議論が勃発した。普段、体育会系に批判的なネット民だが、意外と賛同する声も多い。先輩との付き合い方を学ぶので、

    「運動部にある程度在籍してる人間はとりあえず、人並みのコミュ力は身についてる

という指摘もある。この観点からすると、個人プレーが主体の陸上や水泳などは運動部としては微妙なのだそうだ。
また、前出のツイート同様、運動部に所属するという当たり前の経験を通って来なかったこと自体がもうダメ、という意見もある。「人生の、各ステージで、その年齢に応じた『適切』なことをやってきているか」ということが重要なのだという。ただ、なぜ運動部が「適切」なのかは依然不明だ。

「集団行動大事なら、FF14の上位プレイヤーを採用すりゃいい」

この意見には当然のことながら、反発の声も少なくない。団体行動の基本ならば、吹奏楽部などの文化部でも学べる。もはや部活である必要も全くなく、

    「そんなに集団行動大事なら、FF14の上位プレイヤーを採用すりゃいいんですよ」

という声も出ていた。この人物は、スポーツをやたら神聖なものとして捉える風潮に憤っており、「スポーツなんて単なる遊びであって、まあ求道的人格形成的な要素もあるけどそれはバンドも漫才もゲームもみんな一緒。スポーツだけが特別じゃない」とも投稿していた。

職種による」という意見も当然だろう。営業なら体育会系が欲しいが、開発職なら体力だけでは務まらず、オタク気質の人の方が向いている可能性も高い。人材は適材適所で使うべきであって、全員が運動部経験者である必要もない。
そもそも、「運動部未経験だから○○」といった一面だけを見て人を決めつける論調がよろしくない、という指摘もある。単に非体育会系に「自分とウマの合わないヤツが多い」ことを、

    「『相手の能力が低いせいだ』『俺が普通で俺が正しい』などと一方的差別や自己正当化で論じているのが問題」

というわけだ。中には、「今日の『こんなことを堂々言う人が会社にいなくてよかった』案件」と突き放し気味に見る人もいた。

いわゆるブラック企業などにとって体育会系と呼ばれる体質が非常に使い勝手がよさそうなのは確かですし、そこに価値観を求める職場環境ってどうよ?と反発したくなる気持ちも判ると言うことなのですが、まあこの件に関してはどのような職場なのか、どのような立場なのかと言うことで一概には言えないとしか言い様がない話だと思います。
ちなみに体育会系優位の価値観とは別に日本だけの話でも何でも無く、特に若年男性層におけるマッチョ信仰が顕著なアメリカなどにおいてはハイスクールのヒーローと言えばフットボールチームのエースと相場は決まっているものですが、アメリカの場合こうした場においても日本ほど上下関係には厳しくないようで、軍隊にでも入らない限りその辺りのしきたりを学ぶ機会が無いまま成人する人も少なからずいるとも聞きます。
一方で上下関係であれば別に体育会的経験が無くても幾らでも学べるものであるし、実際コミュ力や上意下達などは文化系でも幾らでも身につけている方々もいらっしゃるわけで、単純な身体的頑健性以外の面で体育会系優位と言う部分は実はそれほど多くはないとも言え、むしろ何らかの部活動経験の有無などを指標にした方が意味がありそうには思いますけれどもね。
ともかくもこのように体育会系と言うものは現代日本では賛否両論で熱く語られていると言うのは、それだけ部活など体育会的経験のない人も多くなっていると言うことなのでしょうが、最近学生の部活動と言うものを巡ってこんな問題も起こっていると言います。

部活顧問「ブラック過ぎ」 教員ら、改善求めネット署名(2016年2月13日朝日新聞)

 中学、高校の部活動を巡り、顧問を務める教員の多忙さ、休日返上の練習などの問題を改善しようと、若手教員らがネットで署名を集める活動を始めた。第一弾のテーマは「教員に部活顧問をするかどうかの選択権を」。既に1万8千人以上が署名した。一方、文部科学省も対策を進めつつある。

 署名を呼びかけたのは関東、中部、九州の30~36歳の公立中教員ら6人。ツイッターなどで部活の問題を発信していて知り合った。この問題を社会に訴えようと、昨年末に署名集めを開始。同一人物が何度も署名できないよう、署名する際には電子メールを登録する仕組みだ。

 署名の呼びかけ文では「部活がブラック過ぎて倒れそう。顧問をする、しないの選択権を下さい!」と訴えた。来月上旬までに、馳浩・文科相ら宛てに提出し、教育委員会に指導してほしいと求める予定だ。

 部活は国語などの教科と違い、正規のカリキュラムに位置づけられていない。あくまで生徒の自主的、自発的活動とされている。

 だが、2001年の文科省の調査によると、中学校では、教員全員が顧問になることを原則とする学校が66%を占めていた。「全員顧問制」と呼ぶ地域もある。06年の調査では、中学の教諭の9割以上が部活指導を担っていた

ちなみに医学部医学科の学生など各大学にそんなに多くありませんが、医学科学生しか参加できない体育大会が国体に次ぐ規模を誇る巨大運動大会であると言われるほどにかつては運動部所属率が高かったものが、近年では年々下がってきて部活動に支障を来している大学も少なからずあるようですよね。
それはともかく、本来的には部活動においては管理や責任面を担当する顧問と、技術的な側面を指導するコーチ(指導者)と二つの役割が存在しているはずで、特に後者の業務は学生につきっきりで場合によっては休日にも指導しなければならないとなれば心身共に疲労するのも当然なのですから、本来これらは別々な人間が担当してしかるべきものなのだと思います。
ところが多くの学校でこの指導者役を顧問である教員のいわばボランティアに依存している結果、正規の授業活動などに加えて部活動に放課後も休日も付き合わされるのでは教員の体がもたないのも当然だろうと思うのですが、記事を見ていて興味深いのは熱心な先生が熱心に学生を指導していると言うだけではなく、他に人がいないからと無理矢理押しつけられている顧問も少なからずだと言う点ですよね。

「教員全員が顧問になることを原則とする学校が66%」と言う数字にもちょっと驚くのですが、顧問をやったところで給料が増えたり代休が出たりと言うこともほとんどないのだそうで、本来よほど好きでもなければ勘弁してくれよと感じるのが当然だろうと思うのですが、進歩的な考え方の方々が多いはずの日教組がこの現状を放置しているのもどうなのかです。
ちなみに一説には日教組の方々が部活顧問禁止などと言い出さないのは、それが任意で行われていることであるからと言う建前であるからだそうですが、実際には記事にもあるように強制であることが事実上明らかであるようですから、日教組の方々にとっても教員とは顧問くらい何かやっていて当たり前だと言う考え方なのだと思います。
ただ顧問をしているからとその領域に必ずしも精通していると言うわけでもなく、むしろ素人や経験の浅い人間が聞きかじりで指導していることも大きな問題で、特に運動部などではこれが事故や怪我につながったりと重大な結果を招くことも少なくないのですから、国としては学校で行うことであれば教員資格などと同様に指導者資格に関しても何らかのルール作りは検討すべきではないかと思いますね。
この点で一時学校内での重大事故率の高さが話題になった柔道などは近年かなり厳しい指導者資格を設定してきていますが、その結果指導する人材が不足して部活動が成り立たなくなるだとか、競技実績はあっても指導者資質的にどうよ?と言う人まで動員せざるを得なくなっているのだそうで、体育会系と言うものも真面目に考えるとなかなか難題が山積しているのが現状だと言えそうです。

|

« そこまで嫌われている田舎暮らしの強要は実現するか否か | トップページ | 働かないで暮らすと言う選択肢の社会的位置づけ »

心と体」カテゴリの記事

コメント

柔道やラグビーとかは指導者がちゃんとしてないと事故多発しそう

投稿: 名無し | 2016年2月18日 (木) 07時41分

いよいよ組み体操も禁止令が出てますね。

投稿: ぽん太 | 2016年2月18日 (木) 07時51分

インターハイ、国体レベルの体育会系大卒を採用したことがありますが、中学レベルの漢字が読めない、計算が出来ない、パソコンも使えないという状態で、正直困りました。

肉体的精神的にタフなので、仕事が出来なくても気合いで乗り切ってました。(何を?

投稿: | 2016年2月18日 (木) 09時55分

「徴兵制で義務的兵役体験は良かった」という連中と思考回路が重なって見えるよ。
 使いみちのない人材でもたたき直す!だけでなく使えるところで使う、という社会の「受け皿的役割込み」だから、これまで受け入れられていた(やくざも)。
 それで人間が壊れても仕方がない、という線を踏み超えるかどうかが、別れみちなんだろうね。

投稿: | 2016年2月18日 (木) 10時01分

 オリンピック金メダリストまでたどり着けば、実質芸人でも社会的に注目て「売れる」(これは本当だが)、という文科省的宣伝に盛んに使われていますなぁ。商業価値が出なかったトップ以外は棄民ですが。

投稿: | 2016年2月18日 (木) 10時09分

一般的には礼儀作法に厳しいとされる古武道系でも全く教育がなっていない場合もありますので、体力等物理的な面以外では体育会系と言うくくりが必ずしも妥当ではない気がします。
長幼の序列等儒教的な?階層関係をトレーニングされている状態を何と呼ぶべきなのかですが。

投稿: 管理人nobu | 2016年2月18日 (木) 11時23分

オリンピックで金メダルを取るような選手は独自にコーチ雇ってたりします。
フィギュアスケートはお金が掛かることで有名で、トップ選手はコーチに年数百万円以上払っています。
実はゴルフやテニスだってコーチ代は同様に高額。

部活動はそれだけのコストを教師に押し付けているわけ。

投稿: | 2016年2月18日 (木) 12時46分

>部活動はそれだけのコストを教師に押し付けているわけ。
 確かに、オリンピック強化選手枠という名のナショナルプロに潜り込むまでのコストも誰かが、負担している。
 潜り込めなきゃまず確実に金メダルはムリなので、JOCとスポーツ庁は利権化してしまってますなぁ。
 リトルリーグもなんかのファームみたいになってるし。

 文系でも数年前に九州のどこぞの書道部が書の甲子園とかで。商売や宣伝に教員を動員するのはやめていただきたいものです。 

投稿: | 2016年2月18日 (木) 17時58分

逆に部活専門の教員ってどうよ?

投稿: | 2016年2月18日 (木) 18時51分

中学高校公務員教員の割高な給料に触れないのはお約束?
真面目に運動部顧問をやれば、割りに合わないかもしれないけど、適当に文化部やっていれば、お得。学休期の働き方も含めて、矛盾だらけなんですが。

投稿: 麻酔フリーター | 2016年2月19日 (金) 10時51分

新卒採用で運動会、ノリのよさ重視 靴販売ザカモアがユニーク企画
福井新聞ONLINE 2月24日(水)8時37分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160224-00010001-fukui-l18

 靴インターネット販売のザカモア(本社福井県坂井市丸岡町一本田中、西村拓朗社長)が3月1日の
会社説明会解禁に合わせ、ユニークな採用活動を展開する。
会社説明会で運動会を開催し、スタッフと就活生がともに汗を流しながら交流を図る。
リラックスした雰囲気で、チームワーク重視など同社が掲げる価値観に合う学生を発掘し、人材確保につなげる。

 経団連が2年連続で就活日程を変更し、2017年3月卒業予定者の選考活動開始は、
16年卒に比べて2カ月早まり6月となる。新卒者の採用は都市部を中心に増加傾向にあるが、
同社は地方の中小・零細企業にとって学生の採用は、ますます厳しくなるとみている。
西村社長は「新卒採用活動の規模は大手に負けるけれど、面白いことをやって差別化はできる」と考え、運動会を企画した。

 坂井市の坂井体育館で3月21日に開く運動会は、17年・18年卒業見込みの学生を対象に募集する。
午後1時から同5時までで、玉入れやドッジボールをはじめ、本業の「靴」を絡めた種目も企画中だ。
運動会に引き続き、1時間の会社説明会を行う。

 「若者が力を合わせ、思い切り楽しめるイベントにしたい」と西村社長。
「体育会系のノリがある人材を求めている。チームワークを大切にし、夢のある会社だと感じてもらえるような運動会にしたい」と意気込む。

 同社はワークライフバランスを重視しており、昨年から決算が黒字なら働く時間を5分ずつ短縮する福利厚生制度を導入。
節電対策や社内美化など社員の業務改善案に対して「いいね!スタンプ」を付与し、
一定数たまると5千円の手当を支給するなど独自の社内制度を打ち出している。

投稿: | 2016年2月26日 (金) 06時05分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/63223442

この記事へのトラックバック一覧です: 社会的に賛否両論な体育会系の現状:

« そこまで嫌われている田舎暮らしの強要は実現するか否か | トップページ | 働かないで暮らすと言う選択肢の社会的位置づけ »