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2016年2月15日 (月)

2016年の度診療報酬改定方針決まる

先日以来話題になっているのが2016年度の診療報酬改定ですが、まずは各方面の報道から引用してみましょう。

「かかりつけ薬剤師」を導入…診療報酬改定答申(2016年02月10日読売新聞)

 厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)は10日午前、2016年度の診療報酬改定を決定し、塩崎厚労相に答申した。

 多種類の薬を飲む高齢患者らの服薬状況を一元的に管理する「かかりつけ薬剤師」の仕組みを新たに設けるなど、調剤の評価を大きく見直したのが特徴。質の高い在宅医療を推進する診療所や、退院支援に積極的に取り組む医療機関に手厚く配分する。新たな診療報酬は原則4月から適用される。

 「かかりつけ薬剤師」は、患者から同意を得た薬剤師が、市販薬も含めて患者の服薬状況を把握し、24時間体制で相談に応じる。必要に応じて患者宅を訪問して残薬の整理もする。薬局勤務3年以上などの条件はあるが、1回の処方ごとに通常の指導料より高い700円が算定できる。

 特定の病院や診療所の処方箋を扱う大手調剤薬局チェーンの「門前薬局」への調剤基本料は引き下げる

診療報酬、かかりつけ重視 医療費抑制へ「入院より在宅」 4月改定答申(2016年2月11日朝日新聞)

 4月から医療機関に支払う治療や薬ごとの値段が10日、決まった。医療費を抑えるため、入院患者の早期退院を促して在宅での療養を誘導する内容となっている。かかりつけの医師や薬剤師の報酬は手厚くなる。将来を見据え、高齢者が必要な医療や介護を受けられる態勢づくりを目指す。

 診察料や薬代などの公定価格である診療報酬は2年ごとに見直され、中央社会保険医療協議会(中医協)=厚生労働相の諮問機関=が10日、2016年度の改定を答申した。政府は昨年末、14年度改定より全体で0・84%引き下げると決定。中医協は、この範囲内で個別の値段を設定した。
 今回の改定では、大病院が重症患者の治療に専念できるよう診療所との役割分担を明確にしたうえで、かかりつけ医の普及を促す仕掛けをちりばめた。
(略)
 団塊の世代がすべて75歳に達する25年には、全人口に占める75歳以上の割合が今の12%から18%になる。このままでは医療を受けられないお年寄りが続出しかねないため、厚労省は患者の早期退院を促し、在宅で療養してもらうよう地域で連携して患者を支える医療体制を描く。実現へのカギを握るのが、かかりつけ医の普及だ。
 今回の改定では、認知症で高血圧症などの疾患がある人を診察するかかりつけ医への「認知症地域包括診療料」(1万5150円)を新設。在宅専門の診療所の設立も新たに認めた。
(略)
 服薬状況を継続して一元的に把握するかかりつけ薬剤師には、服薬指導の報酬として700円が新たに支払われる。多重投与や残薬というムダを省く狙いだ。
(略)
 近接する特定の病院の処方箋(せん)を95%超扱う「門前薬局」への報酬は減らす。東京都港区の大手薬局チェーン店は基準にひっかかりそうだ。そこで先月から、患者からファクスで処方箋を受けて来店前に薬を用意するサービスを知らせる案内を置いてもらえるようほかの近隣病院に営業に回る。
 また、後発医薬品(ジェネリック)の普及を促すため、新たに保険適用する際の価格を原則として先発薬の6割から5割に下げる。(小泉浩樹)

初再診料は据え置き、2016年度改定を答申 大病院の外来定額負担は「5000円以上」(2016年2月10日医療維新)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は2月10日、2016年度診療報酬改定を答申した(資料は、厚生労働省のホームページ)。
 今改定は、診療報酬本体は0.49%、医科では0.56%のプラス改定だが、全体では2回連続のマイナス改定(『「2回連続のマイナス」、2016年度改定率決定』を参照)。厳しい財源の中で行われた改定では、初診料と再診料、一般病床の入院基本料などの基本的な点数は総じて据え置かれた。全体的な底上げは行わず、重点施策分野を手厚く評価したのが特徴と言える。対象となったのは、身体疾患を伴う認知症や精神疾患の患者の受け入れ、夜間や休日の救急医療、看取り・重症患者に対応する在宅医療、機能分化を進めるための退院支援などのほか、手術などの医療技術だ。
(略)
 今改定の最大のポイントは、2025年の医療提供体制に向けて、地域包括ケアシステムの構築を推進するとともに、医療機能の分化、強化を進めていく点だ。これは前回、前々回改定からの継続課題であり、次回の2018年度の介護報酬との同時改定でも重要な論点となる。

 入院医療においては、7対1をはじめとする一般病棟入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、療養病棟入院基本料のいずれも施設基準を見直し、「患者の病態に合った患者の受け入れ体制」の構築を目指すとともに、退院支援に関する評価を充実する。その受け皿となる在宅医療については、各種点数において、看取りの実績や重症患者の受け入れを評価するとともに、「同一日・同一建物」の訪問診療の評価体系を見直す。在宅医療を専門に行う診療所の開設を認めることも注目点だ。

 外来医療については、2015年9月の健康保険法改正を踏まえ、「紹介状なし」の特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院の外来を制限するため、定額負担の徴収を義務化。その一方で、かかりつけ医機能を評価し、2014年度診療報酬改定で新設された地域包括診療料・加算の要件を緩和するほか、認知症、小児医療についても同様に、かかりつけ医機能を評価する点数を設定する。「かかりつけ」は今改定のキーワードであり、歯科医と薬剤師についても、かかりつけ機能を評価する。

 調剤報酬の改定も注目点であり、今改定で最も影響を受けるのが薬局だ。医薬分業に対しては、これまで基本的には追い風が吹いていたが、患者本位の分業の確立へと舵を切った。薬などの「対物」業務から、患者への服薬指導など「対人」業務を評価するのが、その基本的な考え方。今回はその第一弾の改定であり、この方針は今後も続く見通しだ。かかりつけ薬剤師・薬局を評価する一方、門前薬局については従来以上に厳しい締め付けを行う

各方面のコメントを見る限りでは日医にとってはまずまずである一方支払い側には相応の不満が残る、そして薬剤師の立場ではかなり残念な「独り負け」の構図とも言われているようですが、当然ながら現場で診療に従事する医師の立場もそれぞれであり、日医の立場と相反すると言うことも全く珍しくはありませんから、個々の職場においてどうなのかと言う点は今後の評価を待たなければならないでしょう。
病院に関しては急性期を担う大病院は外来診療から入院診療へ特化するよう誘導されているように見え、その分を地元かかりつけ医が担うと言う形を目指しているようですが、この急性期の定義が今までよりも厳密に算定されるようになった結果、名ばかりの救急を掲げた中小の市中病院についてはかなり厳しいものとなっているようです。
急性期の入院診療に当たる大病院と外来診療にあたる町医者と二分化していく方向だとも言えますが、実際には急性期を脱してもなかなか退院出来ない不安定な患者を市中の中小病院が引き受けてきたと言う経緯もありますから、この辺りの病院が続々と廃業に追い込まれるようになれば大病院も逆紹介先に困るでしょう。
そしてかかりつけ医推進と言えば聞こえはいいですけれども、市中開業医が肺炎の老人を自前で診るかと言えばまずそんなことはないわけで、下手をすれば何でもかんでも大病院に搬送され今まで以上に救急医療の崩壊が進みかねないリスクもあるわけです。

今回非常に目についたのが薬局に対してかなり厳しい改定となっていると言う点で、特にいわゆる門前薬局などは相当に経営にも影響しそうなマイナス改定だと思うのですが、この点に関しては以前に日医理事が「母屋ではおかゆをすすっているのに、離れではすき焼きを食べている」などと言い放ったように、このところ医療費削減が言われる中で薬局側が一人勝ちしてきたと言う批判があったのは事実です。
そもそも門前薬局なるものが増えた理由として医薬分業で医と薬との切り離しを強行した結果、患者にとっては何ら利便性もないのに病院の敷地外の薬局に行って薬をもらわなければならなくなったわけですが、最近では病院敷地内に薬局を戻してもいいなどと先祖返りのようなことを言い出しているあたり、さすがに国としても形ばかりが先行した医薬分業の弊害は理解しつつあるようですよね。
もともと医薬分業のメリットとして複数医療機関をかけ持ちしている患者の内服を総合的に管理する役割なども帰隊されていたと言え、その意味でかかりつけ薬局推進とは正しい方向性にある話ですが、現状で地域内の医と薬とがスムーズな連携をしていると言えば全くそんなことはなく、特にいわゆる門前以外では電話での要領を得ない問い合わせに双方いらいらを募らせると言う局面も少なくないでしょう。
検査や投薬などの無駄を省き医療費を節約する意味でも、将来的には地域内での医療情報に関しては一元的、統合的なデータベースなりを構築して各施設間で共有出来ればと思いますが、特にマイナンバー導入で個人情報管理が今まで以上に注目されている中で、医療の内部でも反対する声は少なからずあるようですよね。
いずれにしても医薬分業を推進し薬剤師側に権限を大きく委譲するほど、必ず医師の処方権など裁量問題とバッティングするはずで、「そんなに勝手なことを言うなら後はそっちの薬局でみてやって」などとへそを曲げる先生が続出しないことを願いたいところです。

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コメント

この国の医療が少子高齢化でどうなるのか
正直診察報酬が上がる可能性は高く無いので
今後どうなるのか気になりますね

投稿: 名無し | 2016年2月15日 (月) 08時08分

社会保障の充実って言えば当選できるからそう訴えるってことでしょ。
でもいつまでも支出増やす政策ばかりじゃどっかで破綻するしかない。
次の選挙ではどんな公約が並ぶのか知りたいです。

投稿: ぽん太 | 2016年2月15日 (月) 08時11分

現状維持でも高齢者が増えるのに現役世代は減るので
2050年あたりだと消費税50%とか必要になるみたいですね。
鈴木亘氏や原田泰氏の著作によりますが
もっとも到底そんなのは無理なのでその前に破綻でしょう
厚労省とかメチャクチャ各方面から叩かれそう

投稿: 名無し | 2016年2月15日 (月) 08時36分

オプジーボの制限しないと、2020年に破綻しそう。でも、生保は受け放題、中位の収入者の高額療養上限を引き上げて逆差別進行になりそうな悪寒。

投稿: おちゃ | 2016年2月15日 (月) 09時57分

日本の場合入院医療偏重の背景として入院が安いと言うことがあって、米国並みと言わずとも何らかの抑制が働く仕組みが必要ではないかと言う気がします。

投稿: 管理人nobu | 2016年2月15日 (月) 10時51分

国債の大半が国内消費されていて、経常黒字だから輸入でも外国の顔色を無視できる。
そういう最後のチャンスがあるうちに、国債の日銀引き受けを全面解禁して好きなだけ政府支出増やせば良いんですよ。
とうぜんインフレになるけど、増税するか「インフレ税」にするかの違いだけで結果は同じです。インフレ税なら増税より反発が小さいし増税額が自動調整されるのもメリットです。

投稿: | 2016年2月15日 (月) 11時21分

>最後のチャンスがあるうちに、国債の日銀引き受けを全面解禁して好きなだけ政府支出増やせば良い
 全くその通り。
ゼロ金利という「今更良心の呵責の吐露」なポーズをことさら見せなくても、そうなりますから。金が金を稼ぐ時代は終わりつつあるってことで。
 大戦おこして焦土を作り、そこを新たなフロンティアとして成長戦略のルネッサンスを画策するものも散見されますがね。 

投稿: | 2016年2月16日 (火) 09時09分

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