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2016年1月 5日 (火)

産むと言う行為の多様性が拡大中

いわゆる少子化対策としてそもそも結婚の機会がないと言うことに焦点が当てられつつありますが、その一方で必ずしも子供が欲しくないわけでもない、むしろ欲しいと考えているのに恵まれない方々がいて、生殖医療にどれだけのリソースを投じるべきかと言うこともしばしば議論されますよね。
一方で同性婚などを始め性的マイノリティーの権利拡充が進められる中で、それが少子化に対してはマイナスに作用するのではないかと言う意見を述べる人もあるように性の多様化と言うことも今後の課題ですが、先日はさらにその先に進んで出産の多様化と言うことを考えさせるこんな記事が出ていました。

精子買い、産むだけ婚を求める女性増…夫不要でただの精子バンク扱い?(2015年12月17日ビジネスジャーナル)

(略)
夫は要らない。子どもだけが欲しい」――こんな声を、もう何人から聞いただろう。

 たとえば、フリーランスでデザイナーをしているキョウコ(37歳)のケース。2つ年下の後輩と5年以上も半同棲中。いつまで待っても彼のほうから「結婚」を言いだす気配はない。時々、わざとテーブルに結婚情報誌「ゼクシィ」(リクルート)を置いて“結婚プレッシャー”をかけてきたが、彼は見て見ぬフリをする。そこで半年前、キョウコは思い切ってこう言った。
もうあなたに結婚は期待しない。子づくりだけ協力してくれればいいから」
 そう、彼女は経済的にもある程度、安定していたがゆえに「子どもと2人で生きていく」と決意したのだ。初めは「え?」と戸惑った彼。だが、「今後一切、養育費などは請求しません」とキョウコが一筆書いたこともあり、「それならば」と素直に協力した
(略)
「もともと、結婚に憧れはなかった。でも子どもだけは欲しかった。今はとっても幸せ。でもこれで、仕事からは一生逃げられないですね(笑)」

 一方、実家の老舗和菓子店を継いだフタバ(28歳)は、小学生の息子を見ながら、こう振り返る。
「結果的に、パパ(夫)は精子バンクみたいな存在だったのかな」
 フタバは大学3年生の時に妊娠した。相手は、当時付き合っていた1歳上の先輩で、今の夫だ。その時すでに中堅のメーカーに内定していた彼だが、フタバは長女のため、いつか実家の店を継がねばならないと知り、「だったら僕も、君を手伝って和菓子店で働く」と決意。婿入りする意思を固めたという。
 ところが、彼はフタバの親とそりが合わず、店の接客も満足にできなかった。出産の際には、破水したのを見てただ取り乱すばかりだった。挙句の果てに、彼女の両親や親戚一同は、こんなことまで言い始めた。
跡取りができたんだし、もう婿はいらないね」
 驚くのは、フタバ自身もそう思い始めていることだ。なぜ私は、尊敬できない男性と、何年も生活を共にしてきたのだろう。時々、こんなふうにも考えるという。
「どうせ精子バンクみたいな存在なら、もっと優秀な精子を探すべきだった!」

精子を買って自分で妊娠

「精子バンク」――。欧米では未婚女性の利用がすでに合法化されている国もあり、医療機関だけでなく精子提供者個人も国に登録義務があるなど、一定の法整備が始まっている。そして、まだ合法化されていない日本でも、現実には「海外だけの話」や「他人事」では済まされなくなってきたようだ。
 その驚くべき実態を報道したのが、2014年2月27日の『クローズアップ現代』(NHK総合)だ。
 番組によると、日本でもインターネット上で精子の提供を持ちかける個人サイトが、すでに40余り(当時)。もちろん違法だし、多くが匿名、身元不明で、倫理上の課題や感染症のリスクもある。それでも「精子買い」を希望する女性が少なくないという。
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 なぜ一部の女性たちは、ここまでやってしまうのか?
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 実は今回、拙著『恋愛しない若者たち』を上梓するうえで行った定量調査でも、「産むだけ婚」を肯定的に見る女性が予想外に多いことがわかった。具体的には、「男性に子づくりだけ協力してもらう、または精子バンクを利用する『産むだけ婚』をどう思うか」と聞いた。
 これに対し、「アリ。実践してみたい」とまで言い切った独身女性はわずか5%だが、「自分は実践しないが、アリだと思う」なども含む肯定派は、なんと約5割に上ったのだ。
 肯定派の中には、「旧態依然とした日本の制度や概念」に疑問を抱く女性たちも大勢いる。
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 今回の調査や取材で見えてきたのは、今の若い女性たちが、せっかく「子どもが欲しい」と願っても、なかなか「この人」と思う男性や、望むような結婚スタイルに出逢えない現状だ。
 その結果、「もう子どもだけいればいい」と歪んだ割り切りをしてしまう女性たちも、決してゼロではないということだ。
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 本来、恋愛や結婚、出産は「ハッピー」なことのはず。でも、今の若者たちは、能天気に「恋愛しちゃおう」とか「結婚、出産すれば、万事オッケー」とは考えない。それだけ、古い結婚観が抱える矛盾や、その先のリスクに気づいているからだ。だが、制度や概念を改めることぐらいは、大人たちにもできるはずだ。

こうしたケースは今のところさほどに多いものではないのでしょうが、少子化対策と言う考え方からすれば結婚制度などのしがらみによって妊娠、出産を断念されるよりはよほどに良い話なのだろうし、シングルマザーの多い諸外国などを考えると日本でも夫婦関係以外での出産ももっと増えていいはずだと言う意見もあるでしょうが、保守的な家族関係の考え方からすると何とも奇妙な行動に見えるのも事実でしょうね。
もちろん世代による考え方の違いと言うこともあるのでしょうが、恐らく昔からこうした考え方の人は社会の中に一定数いて、それがネットやSNSを通じて相互に連絡し感覚を共有できるようになり局所的には多数派のようにも振る舞えるようになったこと、そして何より技術的にも様々な状況に対応可能な手段が整ってきたことも大きいのではないかと言う気がします。
一例として近ごろ海外では子宮移植と言う話も出ていて、2014年には史上初めて子宮移植を受けての出産例が報告されていましたけれども、こうなりますと生物学的に女性であることが産む性としての必須条件ではなくなる理屈ですし、さらに今話題のクローン技術なども応用すれば誰であれ一人で子供を産めるように技術的にはなってきたと言うことでしょう。
技術的進歩が人間の考え方も変えていくと言うことは別に出産に限ったことではなく、例えば携帯、スマホを持つことが当たり前になったこの20年ほどで一般の人々の行動パターンも劇的に変化しているのですが、先日出ていたこちらの記事もなかなか興味深いものであるように思えます。

「デザイナーベビー」に徐々に近づく生殖医療(2015年12月31日CNN)

(CNN) 「男性で非常に長身。肩幅は広く、すらっとした体形。完全な左右対称の顔には灰青色の目がきらめき、笑うと少しいたずらっぽい表情に」――。ロマンス小説の描写ではない。インターネット上で精子を購入しようとすると、実際にこんな説明が見つかる。
現在はマウスを数クリックしてクレジットカードを使うだけで、特定のタイプの赤ちゃんの精子や卵子を注文することができる。遺伝子技術が進歩するなか、生まれてくる子どもの種類を選ぶ方法がさらに増える見込みだが、問題となるのは、我々が実際にそれを選ぼうとするかどうかだ。

米ワシントンでは12月1日から3日にかけて、米英や中国の科学者らが集まり、ゲノム編集についての歴史的な国際会議が開催された。議長を務めたカリフォルニア工科大学のデービッド・ボルティモア教授が開会の辞で述べたところによれば、「人間の遺伝的な特質を改変するためのゲノム編集を、我々がいつ利用するのか」をめぐって議論が交わされた。
生殖医療技術は数世代にわたり、時には世論を追い越す形で前進してきた。不妊などに悩む多く親がテクノロジーに目を向ける現在、より健康な赤ちゃんを生み出すだけでなく、突出した特徴を持つ「デザイナーベビー」を作るのに科学を利用するのか、大きな問題となっている。
(略)
3人の「親」の遺伝物質を組み合わせることにより、失明やてんかんを引き起こすDNA変異を取り除く技術もある。米国では禁止されているが、2月に英国で認可が下りた。異常のある卵子のミトコンドリアに代わり、健康なドナーのミトコンドリアを移植するもので、米国でも似たような技術が試行されている。ただ、米食品医薬品局(FDA)は、長期的な影響をめぐり疑念が生じたのを受け、これをいったん中止にした。
この技術に関しては、子どもの健康面にとどまらず、目や髪の色、知能などを選別する遺伝子改変技術につながりかねないとして、懸念を示す倫理学者もいる。デザイナーベビーについての著書がある米ダートマス大学のロナルド・グリーン教授は、この技術が今世紀の終わりまでには確実に手が届くようになるだろうとの見通しを示す。
世論調査によれば、米国人の大半は、遺伝性疾患の除去からさらに踏み込んだ技術に警戒感を持っている。だがグリーン氏は、技術のおかげで子どもが有利になるようであれば、こうした姿勢が変化する可能性もあると指摘。「iPhone(アイフォーン)が欲しくなるなんて最初は誰も思いつかなかった。だが、スティーブ・ジョブズがiPhoneを生み出すと、みなが持つようになった」と述べる。
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だが、米カンザス大学のアラン・ハンソン教授(社会人類学)は、技術が進化してもデザイナーベビーの質を競い合うような事態にはならないと予測。体外授精により子どもをもうけた女性ら数百人にインタビューしたが、大半の女性は「健康な子どもを欲しがる傾向にあり、それ以外の点では、自分に似た技能水準や知能を持つ子どもを欲しがる」という。
ハンソン氏によれば、女性はたいてい、結婚相手になったかもしれないタイプの男性ドナーの精子を選ぶという。「子どもの遺伝的な性質の向上が可能になると、人々はそれに飛びつき、妊娠をめぐる『軍備競争』が勃発するとの多くの予想がある。だが、私の研究ではそうした事態は見られず、その傾向が変わるとも思えない」と話す。
スペンサー氏も同意見だ。社会的に許容されていない行為に及ぶ一部の業者が出てくるのは避けられないが、それ以外のクリニックは信頼でき、専門的な指針を順守するだろうとの見方を示す。

何が正解だったかは事後になってみなければ判らないとしか言いようがないのですが、歴史を振り返ってみますと技術的に可能なもので社会的にも需要があるものはいずれ必ず実際に用いられるようになるように思えますので、どの程度一般化するかは別にしていずれこうした技術も現在の積極的安楽死などと同様、段階を踏んで社会の中に拡がっていくのかなと言う気はします。
こと生殖と言うことが絡むと自分以外の人生にも関わってくる問題だけに、誰の考え方に基づいて話を進めていくべきなのかと言うことも非常に難しいところで、技術的に完璧なデザイナーベビーが可能になり親が理想的と思える子供を産んだとしても、将来その子から「誰がこんな風に産んでくれって頼んだ!」と言われてしまう可能性は当然否定出来ないわけです。
また従来であればここはパパに似ている、あそこはママにそっくりと言うことである意味納得出来ていた欠点も多々あったはずですが、望ましい方向への改変が可能になれば何故それを行わないのかと考えるのが人間の自然な習性で、早い話がメイクをすれば美人顔になれるのにすっぴんで通している女性がほとんどいないと言うことからしても、案外普及し始めれば広汎に拡がるのかも知れませんね。

子供の誕生は夫婦のみならず周囲にとっても一大事であって、メイクの話で言えば何故それを行うかと言えば社会が女性により美人であることを求めているからだと言う声もあるように、ちょっとした一手間で子供の数々の欠点が矯正出来るのであれば祖父母や親戚から「なぜ治してあげないの?」と言う圧力が相当にかかってくるだろうとは想像できます。
この点では前述のように家族関係のしがらみから離れた親子関係と言うものが多少なりとも有利に働く可能性もありますが、最終的には将来一方の当事者である子供がどのように受け止めるかと言う点は未知数であるし、そもそも何が望ましい形質かと言う価値観自体も時代時代によって変わってくるもので、何十年か後にもデザイナーベビーがモテモテのままでいられるかどうかは誰にも判りませんよね。
恐らく真っ先に導入される可能性があるのは将来的に重大な疾患のリスクが高いと言ったケースではないかと思うのですが、何であれデザインすると言うことが当たり前に行われるようになればその範囲に対する心理的ハードルも下がってくるはずですし、規制が強化されればされたで世界のどこかの国に子供のデザインのために出かけて行くと言う事にもなるのでしょうか。

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コメント

性欲って種の存続に重要なんじゃないかって気がしてきた

投稿: | 2016年1月 5日 (火) 08時16分

ピープルズ・リベレーション・アクチング・ネイション・オブ・テクノロジーの設立も近くなってきたのですね!

投稿: | 2016年1月 5日 (火) 09時53分

次世代再生産と言うことに必然的に関連づけられてきた結婚や性交渉など様々な事柄から解放された結果、進歩的な方々も含めてもはや何が何やらと言う混沌に至りつつある印象です。

投稿: 管理人nobu | 2016年1月 5日 (火) 10時23分

ついにおいどんの長年の夢であるところの一生ょぅι゛ょなペット人間の実現か胸熱ロシアン炉タイプキボンヌwwwwwwwwww

と、まあ悪質な冗談は置いといて、実のところなんで人間の品種改良って今まで行われなかったんですかね需要は絶対あったと思うんですけど…。いやナチスはやってたかやろうとしてたんだっけか?むしろオレが知らないだけで、ナチス以外にもこれまで何度も試みられてたのかな上手くいかなかっただけで…。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2016年1月 5日 (火) 10時49分

品種改良して産まれたモノが自分に従うならいいですが
逆に自分が相対的に劣等品種になるのは微妙でしょうね

投稿: | 2016年1月 5日 (火) 11時30分

人間の品種改良って、遙か昔から行われていますよ。
時の権力者が美女を集めるとか、農家が体格のいい健康な嫁を選ぶとか、
見た目よりも性格が良くて賢い嫁を選ぶとかね。

投稿: | 2016年1月 5日 (火) 11時48分

>品種改良して産まれたモノが自分に従うならいいですが逆に自分が相対的に劣等品種になるのは微妙でしょうね

そこはまあ幼い時から洗脳するとか、従順な性格のを選別繁殖するとか、やりようはあると思うんですよ。
ちなみに養殖のキツネは、「毛皮獲る時楽なように」従順な奴を代々交配した結果、犬みたいにベタ馴れする品種が出来上がってるそうです。<ヒドイ話だなあ…。

と、ここまで書いて気づいたんですが、フツーに人民から優良なのを公募選抜した方が遥かに手っ取り早いですねw。

>時の権力者が美女を集めるとか、農家が体格のいい健康な嫁を選ぶとか、 見た目よりも性格が良くて賢い嫁を選ぶとかね。

あ、私は絶対王政下とか独裁国家で、優秀な国民とか兵士とか奴隷とか用の優良品種人間を男女共に選別繁殖、ってのを想定してまして、そっちは失念しちょりましたw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2016年1月 5日 (火) 11時57分

>時の権力者が美女を集めるとか

佐竹義宣…

投稿: | 2016年1月 5日 (火) 12時00分

シンガポールで高学歴の人間の出産奨励とかあったような
日本の少子化対策は、地方在住低学歴低所得層がターゲットだそうだから、人種劣化政策になるのかな

投稿: | 2016年1月 5日 (火) 13時09分

どろっぽ先生に一票
>フツーに人民から優良なのを公募選抜した方が遥かに手っ取り早い
 全くその通りなのですが、現在、公募選別のシステムの評価基準が行き当たりばったりの迷走中なうえ、将来に向けて多様性を確保(多産)する余裕もなくなり、特殊化し過ぎた種(日本人種w)の存続は賭け。
 ホモサピそのものは変種を作りだして生き延びるんでないの?

投稿: | 2016年1月 5日 (火) 14時12分

>地方在住低学歴低所得層がターゲット

下手に都会に群がってくるやつらより、人間的にはずっとマトモなのが多そうだが・・・。

投稿: | 2016年1月 6日 (水) 09時01分

>品種改良して産まれたモノが自分に従うならいいですが

これにガンダムが加わると、自然に戦争って流れにw

投稿: | 2016年1月 6日 (水) 10時54分

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