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2016年1月23日 (土)

全国各地でバス事故相次ぐ

このところバス事故が全国各地で相次いで報じられ「バスとはこんなにも危険な乗り物だったか?」と認識を新たにしている方も多いと思いますが、先日の悲劇的な大事故の被害者親族がこんなコメントを出して話題になっています。

スキーバス転落 小室さん通夜、1200人涙の別れ 母「人生急ぎすぎた」(2016年1月17日産経新聞)

 「1分、2分を惜しんで予定を入れる子だった。親から見ても『なぜそんなに』と心配になるくらい急いで生きていた。21年間の人生を急ぎすぎてしまったのかな」-。長野県軽井沢町のスキーバス転落事故で犠牲となった早稲田大学4年、小室結さん(21)の通夜が16日夜、川崎市内で営まれ、多くの人が早すぎる死を悼んだ。母親(52)は瞳を潤ませつつ、まな娘の人生を気丈に振り返った。

 午後7時からの通夜には、約1200人の親族や友人らが参列した。別れを惜しむ人の列は一時、会場から数百メートル先まで続いた。
(略)
 バス会社に対しては「怒りで後ろ向きになるより、前向きでいたい。ただ、学生が親への配慮から格安のツアーを選ぶのは自然なこと。その自覚を持って格安でも満足できる旅行を提供してほしい。娘たちの死を無駄にしてほしくない」と気丈な口ぶりで語った。
(略)

お亡くなりになられた方々には謹んでお悔やみを申し上げますが、各方面から指摘されている通りこれだけ前途ある若者達の命が一挙に失われると言うのは何とも申し上げることのできない事故ですよね。
お母様からはいちいちごもっともと言うしかないコメントで、特に「怒りで後ろ向きになるより前向きでいたい」と言うひと言には全く頭が下がるしかありませんが、確かにこのご時世に親に援助をしてもらって進学している学生にとってはバスツアー料金にお金をかけられる余裕もないはずであって、「親への配慮から格安のツアーを選ぶのは自然なこと」ですよね。
そうした事情を前提にすれば「格安でも満足できる旅行を」とはまさしくその通りですし、贅沢である必要は全くありませんが安全面では高級ツアーにも劣っていて欲しくはないと考えるのは誰しも同じだと思うのですが、今回のバス事故の解析が進むにつれてどうやらバス業界の構造的問題が背景にありそうだと次第に明らかになってきています。

【軽井沢バス転落事故】夜行バス格安運行の限界(2016年1月19日東スポ)

 長野県軽井沢町で発生したバス転落事故で、バス運行会社「イーエスピー」(東京)が、ツアーを企画した旅行会社「キースツアー」(同)から国の定める基準料金を大きく下回る値段で運行を受注したことが明らかになった。なくならない大型バス事故に業界関係者からは「夜間のツアーバス運行自体をなくす以外に再発防止策はない」という声も上がる。

 15日未明に起こった事故は、スキー・スノーボードツアー中の大学生12人と65歳の運転手、待機中の57歳の運転手計14人の死者を出した。
 今回の事故で、イーエスピー社は国の料金基準の下限約27万円を下回る約19万円でキース社から運行を受注したことを明らかに。キース社からバスの手配を依頼された「トラベルスタンドジャパン」(東京)も、キース社から基準を下回る運賃を提案されたと説明した。
 イーエスピー社の運行に関してはすでに、バスの運行指示書にルート記載がなかったり、乗車前に運転手の健康状態を確認する点呼を怠るといった不備が明らかになっている。事故時にハンドルを握っていた運転手は先月契約社員になったばかりで大型バスの運転経験も少なかった

 全盛期に比べ半分以下になったともされるスキー・スノーボード人口の減少や、貸し切りバスに対する2000年の規制緩和などにより、少ないパイを奪い合う競争が激化。今回の事故もコスト削減を重視するあまり、安全管理がおろそかになったとも考えられる。
 ある旅行業界関係者は「たとえば、バスの設備によってもバス会社の受注金額は異なる。規模的に体力がある会社だからこそ安く受注できるところもあるし、単純な『安かろう悪かろう』の問題ではない」と前置きしたうえでこう指摘する。
「すでに、今回も大きく報じられているが、観光バス業界、特に夜行バスの運転手はどこも人手不足。スキーツアーの場合は夜中に大型バスで雪道を走るので、精神的にも肉体的にも負担が大きい。同じ時間働くなら、タクシー運転手のほうが稼ぎも良い」

 07年大阪・吹田のスキーバス事故、12年関越自動車道高速バス事故など、夜行ツアーバスの事故がここ10年相次いで起きている。以降、夜行運転の走行距離が400キロを超える場合は交代の運転士を配備することが義務付けられた。だが、現場のドライバーの過酷な実態はなんら変化がないという。
「零細会社の夜行ツアーバスなどは深夜から朝まで運転した運転手2人が、その日の午後に別の客を乗せて帰ってくることも当たり前。仕事前や仮眠時になかなか寝付けなくても、もちろん酒も飲めない。復路出発前、どちらか1人に体調不良が見つかったとしても、簡単に代わりの人間を調達できない。多少なりともドライバーが無理をしなければ成り立たない」(前同)
 こうした状況の改善は簡単にはいかないようだ。
「日給が上がるからといって、体力の弱った運転手がより安全運転に努められるものでもない。結局、十分に余裕のある勤務シフトを組めないバス会社は、深夜の運転自体を禁止するしか、事故を減らす方法はない。今の基準をさらに厳しくすれば、多くの会社が倒産するだろう」(前同)
 イーエスピー社は17日、高橋美作社長(57)が大型バス事業からの撤退を表明した。
 今後も、夜行ツアーバスの利用時は様々なリスクを念頭に入れる必要がありそうだ。

大型車両を運転するトラック、バス業界はどこも多かれ少なかれ運賃過当競争や運転手不足と言った共通する問題を抱えていて、運転手の高齢化も進み将来展望も全く開けてこないと言う状況だと言いますが、そもそも過当競争によって安売りをする結果給料が下がり人材が集まらず、それが更なる労働環境悪化を招くと言う悪循環になっているようですよね。
そもそも資格として要求される二種免許自体年々受検者数が減少しており、しかも一回の受験で合格する確率は1割程度しかないと言う狭き門であるそうで、しばしば言われていることが免許制度改正で18歳からすぐ大型車両を運転することが出来なくなった結果、それなら他業種に就職しようと考える高卒求職者が増え若手ドライバーの供給が先細りになったと言います。
今回の事故はたまたま新規参入会社が起こしたものでありずさんな管理態勢も問題視されていて、国は審査を厳しくし違反行為には厳罰を科すと言う方向での規制強化で再発防止を図ろうとしているようですが、こうした構造的背景があるとすれば規制強化が果たして安全性向上に結びつくのかどうか、それ以前に適正な安全のためのコストを運賃に転嫁出来ない状況なども問題がありそうに思いますね。
日本人は水と安全はただだと思っているとは昔から言われることですが、安全にコストがかかるのが当然であれば格安なのに安全性を全く犠牲にしていないのはおかしいと考えておくべきですし、身近な例で言えば安い軽自動車と高級外車がぶつかればどちらが安全か誰しも感覚的に理解出来るでしょうに、安さの裏にある現実に目を背けていてはまたいつか同様の悲惨な事故が起こるかも知れないと言う気がします。

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コメント

松山市から兵庫県宝塚市に向かうツアーバスが兵庫県淡路市の神戸淡路鳴門自動車道で蛇行運転した問題で、
運行会社の「アトラストラベルサービス」(愛媛県東温市)は22日、男性運転手(70)が「症候性てんかん」と診断されたと明らかにした。
当時、発作が起きていたかどうかは不明としている。

同社によると、愛媛県内の病院で磁気共鳴画像装置(MRI)による検査を受け、病名が分かった。
これまで自覚症状はなく、年2回の健康診断でも異常はなかった。
健康診断にMRI検査は含まれていなかったという。
てんかんは薬で発作を抑えることができ、適切な治療を受けていれば運転に支障はない。

共同通信 2016年1月22日 21時17分
http://this.kiji.is/63241096093827072?c=39546741839462401

投稿: | 2016年1月23日 (土) 07時53分

>日給が上がるからといって、体力の弱った運転手がより安全運転に努められるものでもない。

金かけてもだめってことですねわかります

投稿: | 2016年1月23日 (土) 10時16分

 まず、 就職希望者の底辺をひろげて、紛れ込んできた適格者を拾い上げる、そのために金をかける という方法では もう日本人からは適格者が確保できない業種があるってこと。人材輸入しますか?

 大型免許の18禁も(短絡的)暴走族対策だったのでは? 安全な社会を維持するためには、金の使い方だけでなくもっと頭をつかう必要があった。次をどう育てるか、です。

 脳血管障害やAMIでコロリと往けない医療が普及すれば、症候性てんかんは増え続けるに決まってる。バスの運転手はSASとDMの掃きだめという記事が某医療系SNSの投稿記事にあったな。これも医療に掛かるコストと考えるべきかも。
 

投稿: | 2016年1月23日 (土) 11時31分

>大型免許の18禁も(短絡的)暴走族対策だったのでは?

それは二輪・・・。

投稿: | 2016年1月25日 (月) 09時06分

すんません。パトレイバーのノリで書いてしまいました。

投稿: | 2016年1月25日 (月) 10時17分

いずれにせよ若年者は未熟で事故の恐れがあると言った話であったかと思うのですが、現状で若者世代の車離れ傾向を見る限り事故率は中高年世代の方が高そうにも思えます。

投稿: 管理人nobu | 2016年1月25日 (月) 10時58分

解決策は自動運転でしょ。
最初は高速道路onlyしか無理だろうけど、それでも相当に違うよ。

投稿: | 2016年1月25日 (月) 19時31分

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