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2015年12月19日 (土)

お隣の国には司法の独立もないのかと笑えない事情

先日お隣韓国で大統領のゴシップを扱った新聞記事を巡る裁判の判決があったことが報じられたところで、この裁判自体もジャーナリズムとの絡みで世界的にも注目されているのですが、その判決を巡る一連の経緯が思わぬ注目を集めているようです。

<産経前支局長>「無罪は予想できなかった」会見で本音(2015年12月17日毎日新聞)

 【ソウル大貫智子】大方の予想を覆し、判決は無罪だった。外国メディアによる韓国国家元首に対する名誉毀損(きそん)罪の成否を問う産経新聞の前ソウル支局長をめぐる事件。ソウル中央地裁は17日、加藤達也前支局長(49)はコラムで書いた内容は虚偽と認識しており、韓国国民として同意しがたいと再三強調しつつ、公人に対する言論の自由を広く認めた。

 「無罪」。3時間にわたる判決文読み上げの最後に主文が言い渡されると、日韓両国のメディアで傍聴席が満席だった法廷は、驚きで一瞬時間が止まったように固まった
(略)
 判決前、日韓メディアや専門家の多くは、執行猶予付きの有罪判決や、刑の宣告自体を猶予し、2年間無犯罪ならば宣告もなくなる「宣告猶予」を予想していた。李裁判長は今年3月、前支局長が書いたコラムの内容は事実でなかったと認定。10月の被告人質問では前支局長の答弁にいらだちを見せる場面もあったからだ。

 判決言い渡しに先立ち、裁判長が韓国外務省から提出されたという「日韓関係改善の流れを鑑み、日本側の意向に配慮してほしい」という異例の要請文を読み上げた際も、新しい証拠が提出された場合は裁判冒頭で読み上げられるため、予想は変わらなかった。
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 最初の質問で、無罪を予想したかと聞かれ、前支局長は「予想できなかった。無罪は最も可能性が小さいと弁護士からもいわれていた」と本音を語った。また、外務省の要請文について事前に知らされていたことも明らかにした。
(略)

「日韓50年を勘案」 韓国外務省当局者(2015年12月17日産経新聞)

 【ソウル=名村隆寛】ソウル中央地裁が産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に無罪判決を出したことについて、韓国外務省当局者は17日、「日本の政界や各界から韓日関係の障害になっているとの意見があった」と背景を指摘した。

 当局者は「韓日関係が少しずつ関係改善に向かうなか、18日が日韓国交基本条約(国交正常化)の批准から50年になることを勘案し、日本側の要請を真摯に受け止め、その立場を韓国法務省に伝えた」と述べ、無罪判決の背景に、日本側の要請や、韓国政府の日韓関係悪化への懸念があったことを示唆した。

もちろん様々な観点からも有罪になるより無罪でよかったと言う意見が大勢なのですが、ここで注目すべきなのは行政側の人間である外務省当局者が両国関係を勘案し法務省に口を出した、そして裁判所の方でも口を出された結果の判決であると言うことを公言していると言うことで、これでは韓国国内が報道の不自由に加えて三権不分立と言う非常に望ましくない状況にあることを自ら立証したようなものですよね。
判決を言い渡す前に読み上げられた長い長い判決文の内容を見る限りでは「これで無罪?」と思えるほど厳しい内容が並んでいたと言い、現地で聞いていた人たちもまさか無罪になるとは思わず驚いたと言いますから、わざわざ外務省からの異例の要請文を読み上げたと言う裁判長の心境いかばかりかと同条を禁じ得ないものがあります。
こうした話を聞けば韓国の司法はどうなっているんだと言いたくなるのももっともなんですが、もちろん世界中どこの国でも司法制度にはそれぞれの問題を抱えているもので、先日日本で出たこちらの判決もよく見て見るとおかしなところがありそうですよね。

女性裁判官は全員が「違憲」意見 夫婦同姓の合憲判決(2015年12月16日朝日新聞)

 「夫婦は同姓」「女性は離婚して6カ月間は再婚禁止」とする民法の規定は、憲法に違反しないか。明治時代から100年以上続く二つの規定について最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)が16日の判決で、初の憲法判断を示した。いずれも国への賠償請求は退けたが、夫婦同姓については「合憲」と判断。再婚禁止規定については100日を超える期間の部分を「違憲」とした。最高裁による違憲判断は戦後10例目。法務省は再婚禁止期間を100日とするよう全国の自治体に通知し、即日実施。民法改正の作業も進める。

 夫婦同姓を定めた民法750条の規定については、東京都内の事実婚の夫婦ら5人が2011年に提訴。国会が法改正を長年放置したため精神的苦痛を受けたとして、計600万円の損害賠償を求めていた。

 判決は、夫婦同姓の制度について「社会に定着しており、家族の姓を一つに定めることには合理性がある」と指摘。どちらの姓を選ぶかは当事者に委ねられており、性差別には当たらないと判断した。

 現実には妻が改姓することが多く、アイデンティティーの喪失感を抱くなどの不利益が特に近年増していることを認める一方、旧姓の通称使用が広まることで「一定程度は緩和できる」と指摘。夫婦同姓が、憲法の定める「個人の尊厳」や「男女の平等」に照らし、合理性を欠くとは認められないと結論づけた。

 ただ、この判決が「選択的夫婦別姓が合理性がない、と判断したのではない」とも述べ、「この種の制度のあり方は国会で論じ、判断するものだ」と国会での議論を求めた。

 結婚や家族の法制度を定めるにあたって、国会の裁量が及ぶ範囲にも言及。憲法で直接保障された権利とまでは言えない「人格的利益」や「実質的な平等」を実現していくあり方は、「その時々の社会的条件や国民生活の状況などとの関係から決めるべきで、伝統や社会状況を踏まえ、夫婦や親子関係を見据えた総合的な判断が必要だ」などと提言した。

 15人の裁判官のうち、10人の多数意見。5人が「違憲」とする反対意見を述べた。3人の女性裁判官は全員が「違憲」とした

「判決の瞬間、涙が溢れた。本当に悲しい」夫婦別姓禁止「合憲」受けて原告が怒り(2015年12月16日弁護士ドットコム)

夫婦で別々の姓を名乗ることを認めない民法の規定は、憲法が保障する「婚姻の自由」を侵害しているなどとして、5人の男女が国に損害賠償を求めていた裁判で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)が12月16日、夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことを受け、原告団は参議院議員会館で会見を開いた。団長の塚本協子さんは、「判決を聞いた瞬間に涙が溢れた。本当に悲しく、辛いです。塚本協子で生きることも死ぬこともできなくなった」と悔しさをにじませた。
(略)
弁護団長の榊原富士子弁護士は「とてもとても残念。力が及ばなかった。落胆するだけでなく怒りも感じている」「最高裁の裁判官には、女性が3人しかいない。この構造こそが、性差別の問題を扱う裁判のときに、こうした結果に招いてしまうということを実感した」と判決を批判した。

一方で、今回の判決で、合憲と判断した裁判官が10人、違憲と判断したのが5人だったことについて、「今回の少数意見は、将来の多数意見になるはず」と希望を述べた。

判決自体は玉虫色と言うのでしょうか、両論併記的過ぎて何ともすっきりしない部分もある気がするのですが、社会的にはこの別姓問題に関して年々理解も進んでいるのだそうですから、いずれ様々な課題が解消されていくに従い順次認められていくようになるのではないかと言う予想をしています。
制度的な是非はおくとして、女性裁判官全員が違憲判断をしたと言うのは実体験に基づいて色々と思うところもあったのだろうなと感じる話ですし、原告側が「裁判官に女性が少なかったのが敗因」と述べたと言うのもまあそうなんだろうなと思うところなんですが、よくよく考えてみるとこれもおかしな話ではありますよね。
いやしくも最高裁の裁判と言うものは自分の実体験に照らし合わせてどうこうと言うものではなく、憲法の文言に従って妥当かどうかが厳密に判断されるべきものであって、裁判官の年齢や性別、各種思想信条と言った個人的事情によって裁判の行方が左右されると言うのはおかしな話だと思うのですが、しかし実際問題として裁判の行方に裁判官個人の考え方が濃厚に反映されていると言うのも実感するところです。
以前に医療訴訟が頻発していた頃には、期待通りの判決を出してくれる可能性が高い裁判官が当たるまで何度も訴えと取り下げを繰り返すと言うテクニックを実践している方々もいたそうですが、医療訴訟に限らず各方面で伝説的な迷?判決を連発した某裁判官の事績などを見ると、こうした偏りがあって日本の裁判制度も果たして大丈夫なのか?と疑問に感じざるを得ません。

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コメント

名字のこだわりについては理解できるのですが、将来夫婦別姓が認められるのであれば、両親の離婚などで本人の承諾なく名字を変更されてしまう子供に対しても、もう少し何らかの配慮を期待したいです。

投稿: クマ | 2015年12月19日 (土) 07時47分

>  夫婦別姓を認めない民法の規定が違憲かどうかを巡る訴訟で、最高裁大法廷は16日に判決を下す。東京地裁への提訴(2011年2月)から4年10カ月。若い頃から家父長制度に疑問を抱き、原告団に加わった富山市の元高校教員、塚本協子さん(80)は「どうしても『塚本協子』の名前で死にたい。別姓を認めてほしい」と、判決の日を待っている。【青山郁子】

> 塚本さんは生後2カ月で父親が死亡。シングルマザーとなった母親は、塚本さんと姉の姉妹を抱え、義理の両親ら家族11人の塚本家で暮らした。母が夜遅くに仕事から帰っても食事が用意されていないなど、子供心に「嫁や女の惨めさ」を知った。姉は間もなく病死し、塚本さんが家を継ぐことになった。

> しかし、1960年に結婚した相手は長男。嫁取りでも婿取りでもない「持ち合い所帯に」と約束したはずが、義父の独断で「嫁取り」にされた。反発した塚本さんは以来13年間、事実婚を貫いた。その間、3人の子供を出産した時は、婚外子にしたくないと、婚姻届と離婚届を繰り返し提出した。

> 38歳で3人目を出産後、勤務先の校長が夫の「小島」姓を名乗るよう強制。あまりのストレスで生理が止まるほど体に変調を来したという。

へ~さぞや大変な人生を歩まれてきたんだろうな~

投稿: | 2015年12月19日 (土) 08時06分

ところで養子縁組をする場合は、姓は同じにしなくてもいいんだろうか?

投稿: | 2015年12月21日 (月) 10時05分

基本的には戸籍に籍を入れ姓も変わりますが、変わらない方法もあるやには聞いた気がします。

投稿: 管理人nobu | 2015年12月21日 (月) 15時49分

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