« 今日のぐり:「セルフうどん さざなみ 藤田店」 | トップページ | 決して失敗を犯さないたった一つの方法 »

2015年12月24日 (木)

診療報酬は増えたのか減ったのか

ご存知の通り診療報酬改定作業がほぼ決まったと報じられているのですが、その報じられ方を見ると結局増えたのか、減ったのかさえもよく判らないですよね。

診察料など0.49%引き上げへ 診療報酬改定(2015年12月19日朝日新聞)

 診察料や薬代の公定価格の診療報酬について、政府・与党は18日、来年度の見直しで診察料などの本体部分を0・49%引き上げることを決めた。前回の2014年度改定時の0・1%に比べ、大きく上積みする。薬代の薬価は減額し、全体の改定率はマイナス0・84%ほどで調整。社会保障費の伸びを抑制しつつ、医師ら医療従事者の人件費となる本体を増やすことで医療業界に配慮する。

 診療報酬は2年ごとに見直される。改定率がプラスなら医療機関の収入が増えるとともに、財源となる公費や保険料、原則1~3割の患者の窓口負担も増える。マイナスなら逆にいずれも減る。1%分で国費は年間約1110億円、窓口負担は年間約540億円の増減となる。

 来年度の改定では、医療機関の経営に直結する本体部分について医療業界に加え厚生労働族議員や厚労省がプラスを強く主張。当初は前回並みの小幅なプラス改定で調整していたが、最終的に上積みすることで財務省と折り合った。上積みする分の財源は、処方する湿布薬の枚数を制限するなど診療報酬にかかわらない医療の給付を絞り込むことで捻出。さらに、18日に閣議決定された今年度補正予算案に、来年度予算で想定していた社会保障の施策の多くが前倒しで盛り込まれたことで確保した。

 一方、薬代は9月時点での実勢価格が公定価格を下回っており、その差額分をほぼそのまま薬価に反映。改定率はマイナス1・33%ほどで調整している。その分、薬は安くなる。

 全体の改定率がマイナスになるのは08年度以来8年ぶり。前回はプラス0・1%だったが、消費増税対応分として1・36%を上乗せしたため、実質的に2回連続の引き下げとなる。本体は08年度からプラス改定が続く。本体が増額される分、診察料も上がる

診療報酬0.84%マイナス=診察料は0.49%増-財務・厚労両省(2015年12月21日時事通信)

 財務省と厚生労働省は21日、閣僚折衝を行い、2016年度予算編成の焦点となっていた診療報酬改定について、全体で0.84%引き下げることを決めた全体のマイナス改定は8年ぶりだが、前回の14年度改定も、消費税増税に伴う補填(ほてん)分を除くとマイナスで、実質的には2回連続の引き下げ。内訳は、医師の診察料などに当たる「本体」が0.49%のプラス、医薬品などの「薬価」が1.33%のマイナスとなる。
 ただ、年間販売額が大きい医薬品の価格を下げる「市場拡大再算定制度」の影響を加えると、全体のマイナス幅は1.03%になる。この場合、医療費は国費ベースで約1000億円削減できる見込みだ。
 厚労省は16年度、市場拡大再算定制度で、年間販売額1000億円超の医薬品の価格を最大5割下げる新たなルールを導入し、安価な後発医薬品についても価格を引き下げる。中小企業の従業員らが加入する健康保険組合「協会けんぽ」への国の補助金減額、医師が処方する湿布の枚数制限なども進め、社会保障費のさらなる圧縮を目指す。(2015/12/21-20:19)

ちなみに「年間販売額が大きい医薬品の価格を下げる「市場拡大再算定制度」」とは「年間販売額が1000億円を超え1500億円以下、かつ予想販売額の1.5倍以上の場合(最大25%の引き下げ)、②年間販売額が1500億円を超え、かつ予想販売額の1.3倍以上の場合(最大50%の引下げ)」が該当するそうで、例の1錠8万円で話題になった肝炎治療薬の大幅な価格引き下げなどもこれに当てはまるそうです。
画期的な新薬などが登場すると薬価も高くなりがちで、またどっと新規処方が増えることからこうした制度に該当する医薬品と言えば処方する側にとっては待ち望まれたものだとも言え、また利用する患者にとっても値段が安くなるのはありがたいと言うものなのですが、一方で製薬会社の立場からすると巨額の開発費を投じて新薬を出しても元が取れなくなり開発意欲が低下すると言うことになりますよね。
いずれにしても今回の診療報酬改定では薬価を中心に大きく引き下げる一方で、本体部分に関しては相対的に優遇していると言え、日医会長などが本体部分の0.49%引き上げを評して「ぎりぎり合格点」を出したと言いますが、いわゆる厚労族議員ならずとも物価上昇や賃金上昇を国主導で進めている中で医療だけ何故冷遇されなければならないのかと言う主張は根強くあったと言います。
財政再建と言い各方面で大なたを振るいながら次年度予算案は史上最大の巨額なものになっているなどと言う意味不明な話も出ているとは言え、やはり今回の診療報酬改定は財務省主導で行われたことは否めませんが、それに対する評価がまちまちであることは各メディアが報じるニュースにおいてもプラス改訂なのかマイナス改定なのかと言うことすら統一されていないことからも明らかですよね。

そもそも以前からの計算方法であれば今回は「1.03%のマイナス」とされるべきところを、市場拡大再算定制度活用による200億円の圧縮を何故か薬価部分から切り離したことで見かけ上1%以下に圧縮しているとも言いますから、一昔前であればまた医療費削減政策推進だ、医療崩壊の再来だと騒がれてもよさそうなものなのですが、今回そうした方面での危惧は実のところさほどに聞こえてきません。
この理由として医療現場もこうした診療報酬マイナス改定に対する対応が進んできたこと、そして赤字垂れ流しの病院がどんどん淘汰され足腰が強い病院が生き残って着ていること、そして現場の医師の感覚としてもコスト意識が定着し経営感覚を伴った診療を心がける医師も増えてきたことなど、様々な要因があるのだろうとは思います。
長年続いた国民皆保険制度で安い医療を誰にでも平等に提供すると言うことが当たり前の世界で育ってきた日本の医師達は、医療はお金で左右されてはならないと言うタテマエ論を疑うことなく信じ込んできたようなところがありますが、今後お金にならない医療には敢えて手を出さないと言う感覚が根付いてくるようですと医療のあり方も変わってくるかも知れませんよね。
同じような治療効果で医療費が何倍も違うとなれば安い方から使ってみると言った、患者にとっても別に不利益にならない部分もまだ少なからずあるとは思うのですが、医師がお金のことを気にするようになると今までのように患者に利益になることだから多少赤字でも頑張ってみようかと言う医療現場の自己犠牲的精神は、今後次第に消え去っていく運命にあるのかと言う気もします。

|

« 今日のぐり:「セルフうどん さざなみ 藤田店」 | トップページ | 決して失敗を犯さないたった一つの方法 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

報酬に見あった働きをしとけば無問題

投稿: | 2015年12月24日 (木) 07時27分

売り上げもっとがんばれって指令が出そう。
こういうとき出来高制だと不必要な医療が増えますかね。
いずれは全部まるめになるのかな?

投稿: ぽん太 | 2015年12月24日 (木) 07時57分

以前ほどの危機感がないように見えるのは、現場の対策が進んだと言うことなのかと思っています。

投稿: 管理人nobu | 2015年12月24日 (木) 12時38分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/62924365

この記事へのトラックバック一覧です: 診療報酬は増えたのか減ったのか:

« 今日のぐり:「セルフうどん さざなみ 藤田店」 | トップページ | 決して失敗を犯さないたった一つの方法 »