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2015年12月22日 (火)

生活保護不正受給対策、各地で模索が続く

大阪と言えば伝統的に生活保護に手厚いことで知られていて、何でも西日本各地の自治体の窓口では「うちよりもこっちに行った方がいいよ」と生保受給希望者にそっと大阪行きの片道切符を渡しているとかいないとかの噂も聞くのですが、その大阪は門真市では全国平均3倍の受給率を誇る生保対策に苦慮していると言います。

不正受給〝負の連鎖〟絶つすべあるか 生活保護率全国平均3倍の大阪・門真市 もはや「性善説」は破綻した(2015年12月10日産経新聞)

 生活保護の受給率が全国平均の3倍という大阪府門真市で、不正受給事件や疑惑が相次いで発覚した。10月に逮捕された夫婦のケースでは、市が支給を止めたわずか2日後に再度の申告を受け付け、被害額が計約1600万円にまで膨んでいた。別の男性が受給者に設けられた特例措置を悪用し、通院で利用したタクシーの領収書を偽造して交通費約300万円を不正に受け取っていた疑いも浮上した。事前のチェック機能が働かず、事後対応を余儀なくされる「負の連鎖」。人員不足という構造的な問題も横たわるが、果たして打開策はあるのか。

打ち切り2日後に再支給

 「生活保護を受給している男が、車やバイクを所有している。仕事もしていて収入がある
 平成25年11月、匿名の情報が門真市に寄せられた。生活保護を受給している世帯は原則、車の所有が認められておらず、他人名義であっても車を運転することはできない。
 名指しされた男(33)は「持病のため働くことができない」として生活保護を申請し、22年8月から支給を受けていた。市が調べたところ、男の妻(39)が車の運転を繰り返していたことが判明。文書で再三指導したが従わなかったため、市は26年3月、保護を打ち切った

 ところが、打ち切りからわずか2日後、男は「子供が3人いるが貯金がほとんどなく、生活ができない」として、再び生活保護を申請してきた。男に職があり、収入も得ているとの情報を得ていたはずの市だったが、「(情報に)確証が得られなかった」(担当者)として、車の使用を止めるよう改めて指導したうえで再支給を決定した。
 果たして約4カ月後の同7月、男が大阪府内の葬儀関連会社に勤務していながら収入を申告していなかったことが調査で判明する。たまらず市は支給を再度打ち切り、警察に相談した。
 実のところ、男には受給開始当初から勤務実態があり、不正受給の総額は計約1600万円に達していた。大阪府警門真署は今年10月、男と妻を詐欺容疑で逮捕したが、情報提供から実に2年近くが経過していた。
(略)
 人口約12万5千人の門真市は、今年10月現在で6322人もの生活保護受給者を抱えている。市民の20人に1人が受給している計算で、人口に占める割合は同8月現在、府内で大阪市(5・4%)に次いで高い5・05%。全国平均(1・7%)の約3倍だ。
 市によると、高度経済成長期の昭和40年代、市内に低家賃の文化住宅などが多く整備され、定住人口が急増。京阪電車や幹線道路など交通の便が良かったことも手伝って低所得者層が流入、「結果的に生活保護受給者が増えた」という。
 一方、同市に配属されたCWは40人(11月末現在)で、1人当たりが担当する世帯数は約110世帯。社会福祉法が標準と定める定数(1人あたり80世帯)を大幅に上回っているが、「予算は限られており、採用人数を増やすことは容易ではない」(同市)のが現状だ。
(略)
 生活保護制度に詳しい関西国際大の道中隆教授(社会保障論)は「膨大な業務を抱える現場の職員には、不正を見抜く余裕がない」としたうえで、「CWの業務の一部を民間委託して負担を軽減することが必要だ」と話す。
 「生活保護受給者に働き口を斡旋(あっせん)する就労支援業務をNPO法人に依頼するなどCWの負担を軽くしたうえで、CWによる受給世帯への家庭訪問をさらに強化して生活実態をきちんと把握するようにすれば、不正受給を見抜ける可能性は高まる」と提案する。
 ただ、タクシー代の不正請求のようなケースについては「遠方の病院に通っている受給者がそもそもその病院までタクシーで行く妥当性があるかを、自治体の担当者が厳しくチェックしていくしかない」とし、自ずと限界も浮かぶ。

 言うまでもなく、生活保護の原資は国民の税金だ。「不遇な存在である受給者が領収書を偽造するわけがない」。こうした甘い発想はもう通用しない時代になっているといえる。
 少なくとも、「性善説」に基づく行政の対応を根本から見直さなけれぱ、これからも全国各地で血税をドブに捨てる愚が繰り返されてしまう。

ちなみに他に共通用語として普及した概念が乏しいのでしばしば意図的にも誤用されますが、性善説と言う言葉は本来的には「人間は産まれた時から悪ではないが放っておけば悪に染まりやすいので、継続的な教育や矯正が必要である」と言う考え方で、この辺り中国生まれだけに日本的な善悪の観念論と言うよりもあくまで実社会における応用に主眼を置いた考え方と思いますね。
それはともかく、生保受給者の不正受給問題に関してはそれをチェックし取り締まることによるコストと、厳しいチェックによって削減される給付金の額との兼ね合いが常に問題となるところですが、一部自治体で行われているように審査を厳しくする一方で現に困窮している場合には当座の食料品を現物支給すると言う方針に変えたところ一人当たりの支出も安くすみ、不正受給も大きく減らすことが出来たと言うケースもあるようです。
かぎを掛けることで泥棒を完全に防げるものではないが、泥棒も余計な手間をかけたくないのでかぎのかかっていない家から優先的に狙うと言った話と同様で、不正受給者にしても役所が言いなりに金を出してくれるから受給を求めると考えると、食料品を持ち帰って現金化して…と余計な手間暇がかかるようなら他所に行こうかと言う気になるのでしょうかね。
その意味では門真市などは長年さぞや生保受給者に優しい対応をしてきたのだろうと思うのですが、全国的に見れば近年生保受給者に対しても悪いことは悪いと厳しい対応を取る自治体が増えてきているようで、先日はこんな記事が話題になっていました。

パチンコ店で生活保護受給者調査、支給停止も 別府市(2015年12月16日朝日新聞)

 大分県別府市が、パチンコ店などに生活保護受給者がいないか調べて回っていたことがわかった。10月に調べた際は、発見した受給者25人のうち数人が調査中に複数回パチンコ店にいたとして、支給額の大半を1カ月間、停止していた。厚生労働省は「調査は適切ではない」としている。

 市が15日の市議会で明らかにした。調査の根拠について、市は支出の節約に努めることなどを求めた生活保護法と説明。担当者は「他の納税者から苦情は多く、法の趣旨に反する人がいれば厳しく指導せざるを得ない」とする。受給開始に際し、遊技場に行くのは慎むとする誓約書を取っていることも理由に挙げた。

 市によると、10月の計5日間に、市職員35人が同市内の13のパチンコ店と市営別府競輪場を巡回。受給者25人を見つけて市役所に一人ずつ呼び出し、行かないように注意。調査した5日間で再び見つけた受給者については、支給額の大半を1カ月分取りやめた。

「生活保護者が朝からパチンコはよくない」 別府市の「巡回」「支給停止」にネットで称賛相次ぐ(2015年12月17日J-CASTニュース)

 大分県別府市がパチンコ店など市内の遊技施設に「生活保護受給者」がいないか巡回調査し、見つけた受給者の支給額を減額していた。ネット上では「どんどんやれ」「当然ですな」と称賛の声が巻き起こっている
 今から2年前にも、生活保護費の不正受給やギャンブルへの使用を禁止した「小野市福祉給付制度適正化条例」が兵庫県小野市で施行されたことで、多くの賛辞が寄せられた。

■「市民感覚からすると、受け入れられないでしょう」

 別府市の調査は、2015年10月の計5日間、市職員35人が市内にある13のパチンコ店と市営別府競輪場を巡回。見つけた生活保護受給者25人を一人ずつ市役所に呼び出して注意し、次の巡回で再び見つけた場合は1か月分支給額を大幅に減らした。
 市によると、こうした調査は少なくとも25年前から年1回のペースで実施されていた。巡回する時間帯は10時頃から16時頃まで。3回以上見つけた受給者については、2か月にわたって支給額を減らした。
 これまで大きな問題は起きておらず、「パチンコ店からも苦情は来ていない」という。ただ、その調査内容自体は12月15日の市議会で初めて外部に明かされ、16日付け朝日新聞電子版に報じられた
 調査を始めた理由について市の担当者は、「別府市は他都市に比べて生活保護の受給率が高く、遊興施設も多いです。市民感覚からすると、受給者が昼間からパチンコ店に入り浸る様子は受け入れられるものではないでしょう」と話す。
 実際、受給者が遊技施設に出入りする様子を見た市民から頻繁に苦情、抗議が寄せられていたようで、「(苦情が)来ない日はないくらいでした。今でも週に2~3回は受けています」と明かした。そのためか、朝日新聞の報道後に寄せられたメールのほとんどが市の取り組みを「励ます」ものだったという。
(略)
 ただ一方で、「受給者への人権侵害になるのでは」との指摘も上がっているのも事実。報道によると、厚生労働省は「調査は適切でない」との見解を示している。
 前出の別府市担当者にこの点をぶつけると、「人権には十分配慮していると考えています。受給者がパチンコを一切してはいけない、と言っているのではなく、『朝や昼間からパチンコ店に入り浸るのは良くない』というだけです。職員の巡回しない夜間については、あえて勧めませんが、(受給者が)気晴らしで行くことを厳しく咎めません。もちろん受給者にも楽しみが必要だと認識しています。ただ、出来れば地域活動やボランティアなどギャンブルとは違う部分で発揮して頂きたいとは思っていますが」との答えが返ってきた。
(略)

二年前の小野市のケースもネット上で圧倒的多数からの支持を得ていたことに反して進歩的な方々からはずいぶんと評判が悪かったようですし、今回の大分市の事例も何十年も前から行われてきたことを今さら朝日新聞が取り上げると言うのもどうかなのですが、今回の朝日の報道によってかえって市の対応に対して励ましの声が殺到していると言います。
何が適正な受給なのかと言うこともまた議論の余地が大きくあるところなのですが、生保受給者がこれだけ増加し毎年過去最高を記録更新している中で、自治体の予算はそれに応じて増えてくれるわけではないのですから年々財政的には厳しくなってきているはずであり、下手をすると良心的な支援者の方々が忌み嫌う受給拒否だ、門前払いだと言うことが発生しかねない状況になってきているわけです。
それに対して健康でも文化的でもないことに保護費を浪費しているのであればその部分は不要不急と考えカットする、そして浮いたお金をより必要性が高い人々のために使うと言うのはごく健全な発想だと思いますが、今回の場合受給開始時にきちんと誓約書も取っている上での対応ですから社会契約上も特別問題あるようにはなさそうです。
むしろ興味深いのは長年に渡り保護費支給を一ヶ月、場合によっては二ヶ月停止すると言う対応を続けても特に受給者側に問題はなかったらしいと言うことで、受給者の普段の家計支出の内容がどのようなことになっているのかと多くの方々が気にされていたようですが、この辺りの実態調査こそより良い生活保護システム構築のためにも求められるところなのかも知れませんね。

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コメント

不良ナマポは登録して永久支給停止しないと

投稿: | 2015年12月22日 (火) 08時03分

「保護」下にある人は、自由権の一部を失ってしかるべきだと思います。

投稿: JSJ | 2015年12月22日 (火) 11時03分

昔は生活保護を受けるときにはタンスの中まで調べられたそうですけどね。
最近は調べてはいけないことにでもなっているのでしょうか?

投稿: クマ | 2015年12月22日 (火) 13時30分

心身に特に問題ない生保受給者に対して自治体が何らかの業務を委託するなりのやり方で就労支援する道もありそうに思います。

投稿: 管理人nobu | 2015年12月22日 (火) 13時36分

心身に問題がない生保受給者・・・
そういう場合になぜ生保が受けられているのかなあ?

介護とか幼児を抱えて働けないとか?
その場合は自治体が業務を委託するのも難しそうですが。

投稿: | 2015年12月22日 (火) 14時40分

生保受給資格に心身の健康状態は特に関係なかったかと

投稿: | 2015年12月22日 (火) 19時06分

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