« 生保受給者が向精神薬大量取得し転売 | トップページ | 今度は若者の性道徳離れ? »

2015年12月11日 (金)

お粗末な偽医者騒動から危惧する医療紛争の芽

先日自称祈祷師に言われて両親がインシュリン注射を中断した結果、7歳の子供が亡くなると言う痛ましい事件がありましたが、こうした似非医療行為あるいは代替医療と呼ばれるものは昔から各方面で盛んに行われているし、今もその愛好者が絶えないと言うのは信者の方々にとっては何かしらメリットがあるからとも言えますよね。
かつて世間を騒がせたホメオパスによる一連の健康被害などは世界的に拡がっている代替医療の代表格ですが、何故こうしたものが蔓延しているのかと言えば一見何かしら科学的な裏付けがあるように見せているからだと言うことは以前にも紹介した通りなんですが、逆に言えばそのソースロンダリング等の常套手段を暴いてしまえば彼らの論拠も崩れる理屈です。
そう考えますと実は「信じる者は救われる」式の最も原始的な拝み屋、祈祷師の類こそ対処が難しい部分もあって、例えば神はいるか否かと言ったシンプルな問いかけにさえ未だに誰も万人に了承され得る答えを打ち出せないでいるわけですが、ともかくも先日この種の拝み屋の類がまた一人逮捕されたと言うニュースが出ていました。

自称「医師」詐欺容疑で再逮捕(2015年12月7日NHK)

医師の免許がないのに、「赤外光線を当てれば腫瘍が治る」などと言って、患者にうその治療をして治療費をだまし取ったとして、高松市の女が詐欺の疑いで逮捕された事件で、女が、ほかにも2人に同じような行為をして治療費をだまし取ったとして詐欺の疑いで警察に再逮捕されました。女は容疑を否認しているということです。

再逮捕されたのは高松市塩江町に住む自称医師、藤原朝子容疑者(75)です。この事件は藤原容疑者が、ことし2月、医師の免許がないのに40代の女性患者に「赤外光線を当てれば腫瘍が治る」などと言ってうその治療をして治療費39万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで先月、警察に逮捕されたものです。

その後の調べで、藤原容疑者はことし9月から10月にかけて兵庫県の70代後半の夫婦に「ジストニアですね。1週間で治ります」とか「腎臓がフワフワしています。赤外光線を当てたら治ります」などといって、あわせて90回近くにわたりうその治療を繰り返し、44万5000円をだまし取っていたとして警察は7日、詐欺の疑いで再逮捕しました。

調べに対し藤原容疑者は「うそは言っていない。患者は完治して帰りました」などと容疑を否認しているいうことです。

警察は県外などから問い合わせがあることからほかにも被害者がいるのではないかとみて捜査を続けています。

ネットに「ゴッドハンド」…見た夫婦にうそ診療(2015年12月08日読売新聞)

医師をかたって、治療費名目で金をだまし取ったとされる詐欺事件で、香川県警生活環境課と高松南署は7日、高松市塩江町の女の被告(75)(起訴)を別の詐欺容疑で再逮捕した。

「うそは言っていない。完治して帰った」と容疑を否認している。

発表では、被告は今年9、10月、医師免許がないのに、兵庫県内の70歳代の夫婦に「(筋肉が収縮、硬直する)ジストニアですね。1週間で治ります」などと、赤外光線照射とするでたらめな診療行為やマッサージを計89回繰り返し、44万5000円を詐取した疑い。

県警が押収した被告のメモから、2人の被害が発覚。夫はジストニアで悩んでおり、「ゴッドハンドを持ち、どんな病でも治す」というインターネットの書き込みを見て通院。同行した妻も「腎臓が豆腐のようにフワフワしている。赤外光線をあてたら治ります」とだまされ、一緒に通っていたという。県警は、通院者は少なくとも40人以上にのぼるとみている。

しかし75にしてネットにゴッドハンド云々の宣伝を打っていたとすると相当ハイカラなご老人と言う気もしますが、その先進性をもう少し有意義な方向に向けていればよかったのに…でしょうかね。
ニュースを読む限りではこれは引っかかる方も相当にアレなのではないか…と思ってしまうほどのものなのですが、当然ながら報道として取り上げる段階で最もエキセントリックな言動だけを取捨択一あるいは切り貼りしているはずですから、立て板に水と畳み掛けられてしまうと案外こうした結論にも納得してしまうものなのかも知れません。
もちろん詐欺はいけないし、治りもしない似非医療行為で大金をせしめるなどもってのほかであるのは言うまでもないことですが、しかし89回の通院?で44万5000円と言えば一回当たり5000円と言う計算ですから何とも微妙な価格設定で、家族一同健康になる怪しげな壺に50万と言われれば躊躇する方々でも、一回5000円ならずるずるとはまってしまうことはあるのでしょうかね。
ただ記事を見ていて改めて気になったこととして、医療の場合も結果が思わしくないことは日常的に発生するわけですが、その場合時として「金返せ!」と言われたり診療費の支払いを拒否されたりすると言うこともあって、結果の出なかった患者の側から見るとこの種の拝み屋祈祷師と実は大差ないのではないか?とも思ってしまいますね。

法的に言いますと医療と言うものは準委任契約と言う扱いになっていて、これは家を建てた場合のように出来上がったものが依頼した通りになっていることを確認して引き渡しを受けお金を払うと言うものではなく、個々の医療行為そのものに対して結果の如何を問わずお金を払うと言う扱いになっています。
各種サービス業などでも同様な形態のものは少なくありませんが、しばしばこうした商売では結果次第である程度返金をしたりと言ったことも行われているようで、医療のように全く見積もりも事前の合意もないまま好き放題やられて、そのコストを言い値で支払うと言うことは確かにあまり多くはないようには思いますね。
その背景には出来高制だとか全国一律の診療報酬設定、あるいは混合診療の禁止など様々な制度的理由があるわけですが、改めて考えてみるとかなり売り手優位の商売だなと思えるところですから、全例に事前の費用見積もりなどは無理でも何をやるだとか、その見込みはどうなんだと言ったいわゆるインフォームドコンセント的な作業が重要視されるのも、当然と言えば当然の話です。
何故医療だけがこんな適当なやり方で長年やってこれたかと言えば、やはり患者の窓口負担が非常に低く抑えられてきたと言う制度的な理由が最も大きいと思うのですが、まさしくその窓口負担を一気に増やすような制度改革が議論されている昨今の流れを見る限り、今後は病院支払い窓口でのトラブルが急増する可能性もあるかも知れませんね。

|

« 生保受給者が向精神薬大量取得し転売 | トップページ | 今度は若者の性道徳離れ? »

心と体」カテゴリの記事

コメント

拝み屋以下のダメ医者っているよねw

投稿: | 2015年12月11日 (金) 08時08分

医師免許がないと分かっているのに、自称医師って書くマスコミって・・・・・。

投稿: | 2015年12月11日 (金) 08時53分

医師免許がないから、「自称」じゃん
医師免許があったら、「自称」はおかしいだろ
「医師免許がないとわかっているのに」って、意味不明?

投稿: | 2015年12月11日 (金) 09時11分

自称「神」

投稿: | 2015年12月11日 (金) 09時48分

歴史的あるいは社会的に祈祷師=医者と言う場合もありますので、現代日本での資格としては詐称ですが呼称としては「先生」と同様だと言う考え方もあるかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2015年12月11日 (金) 14時06分

「自称」というのはマスゴミが裏取りしてない場合につけるってテレビで言ってましたよ

投稿: ふぉれすと | 2015年12月16日 (水) 11時08分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/62838445

この記事へのトラックバック一覧です: お粗末な偽医者騒動から危惧する医療紛争の芽:

« 生保受給者が向精神薬大量取得し転売 | トップページ | 今度は若者の性道徳離れ? »