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2015年12月 4日 (金)

柔整大規模不正請求問題続報

先日は多数の人間が関係した大規模な柔整の不正請求が発覚し大騒ぎになったところですが、その続報が出ていたので紹介してみましょう。

聴取患者の9割虚偽施術 架空や水増しで不正受給か(2015年11月30日共同通信)

 暴力団組長らが療養費を不正受給したとされる事件で、請求に使われた健康保険証の名義人から警視庁が事情を聴いたところ、うち約9割は実際に施術を受けておらず、架空や水増し請求とみられることが27日、警視庁組織犯罪対策4課への取材で分かった。同課は、初めから不正受給目的で接骨院を設立したとみて調べている。

 組対4課によると、指定暴力団住吉会系組長三戸慶太郎(みと・けいたろう)容疑者(50)=詐欺容疑で逮捕=が実質的に経営していた「杉並すこやか接骨院」は、2011年6月に開業を届け出て13年10月に閉鎖するまでに、約350人を施術したとして計約2700万円の療養費を受給していた。

 警視庁はこのうち約220人から事情聴取。その結果、実際に施術を受けたのは約1割で、少なくとも約1800万円は不正受給の疑いがある。

 ともに逮捕された早川和男(はやかわ・かずお)容疑者(38)らが、患者役から集めた保険証のコピーを使うなどして虚偽の申請書を作り、自治体などに請求していたという。不正請求の総額は、ほかの接骨院や歯科医院なども含め1億円超に上るとみられる。


「タダで診療」 協力者に芸能関係者も 療養費不正請求(2015年11月26日朝日新聞)

 暴力団員らが総額1億円以上の療養費と診療報酬を不正請求したとされる事件の構図が、警視庁への取材でわかってきた。健康保険が適用されない自由診療をタダですると持ちかけて1千人近くまで協力者を増やし、得られた患者情報でうその請求を繰り返す――。協力者には芸能関係者らも含まれていた。

 警視庁は今月、東京都杉並区の接骨院を摘発、指定暴力団住吉会系組長(50)や会社役員(38)ら16人を詐欺容疑で逮捕した。指南役とみられる会社役員は、弁護人に「グループでは自分が始めた手口」と説明し、こう漏らしたという。「どんどん広がり自分の知らない人にまで拡散した

 大手芸能事務所に所属する30代のお笑い芸人の男性も、「患者役」の一人だった。捜査関係者によると、この男性はアルバイト先の客に「モニター登録すれば無料でマッサージが受けられる」と誘われて接骨院に通うようになったという。

 ある女性は「美容注射が無料で受けられる」と聞き、都内の美容外科医院を訪れた。院長は、テレビのバラエティー番組に出演していた女性医師が務めていた。都心繁華街で飲食店紹介業をしていた30代男性は、「国の助成金を使って歯のホワイトニングを受けないか」と言って客の女性らに千葉県内の歯科医院を紹介した。

 いずれも暴力団員らのグループの関与が疑われ、警視庁が詐欺容疑で捜査している。
記事にもあるように大部分が実際の受診事実がない架空請求なのですが、一方で数少ない実患者にとっては実は患者にも施設側にも共にメリットがあるいわばwin-winの関係になっていることに留意いただきたいと思います。
いわゆる反社会的団体が大々的に関与しているだけにマスコミ諸社の食いつきはいいようで、これを機にかねて言われてきた柔整問題に関して切り込む記事も散見されるようですが、久しく以前から同じ保険診療扱いで行われているにも関わらず、医科と比べて非常に審査が甘いのではないかと指摘されていた中で、言ってみれば起こるべくして起こった事件とも言えそうです。
最近になってようやく各地でこの柔整レセプトの審査を厳しくすべきだと言う声も出ているようですが、興味深いのはお金を出す側であるはずの国や自治体がこの問題に関しては何故か及び腰の姿勢であるように見えることで、今回の事件などはまさに審査の甘い国保を狙い撃ちにしていたと当事者が語っているのですから、本来であれば騙された自治体の側が一番大騒ぎしていなければおかしいのではないかと言う気がします。
この点に関しては単純にそこまで審査の手数が足りないと言う当事者の意見以外にも、昔からこの問題をどうこうしようとすると決まって政治家が介入してきて云々と言う話も漏れ聞こえてくるのですが、限られた診療報酬をいわば奪い合う形になっている競合業界の医療側からの改善要求は日増しに強くなってきているようです。

柔整問題、「大きな制度改革を提案すべき」2015年度日本臨床整形外科学会シンポジム(2015年11月30日医療維新)

 日本臨床整形外科学会のシンポジム「保険者側からみた療養費制度の問題点」が11月29日に東京都内で開催された。基調講演では、前参院議員で日本医師会総合政策研究機構客員研究員の梅村聡氏が「受領委任払い制度は、大きな制度改正の中に位置付けることが重要」、九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻教授の馬場園明氏が「撤廃には保険者が勇気を持って立ち向かうべき」と訴えた。

 医師で、民主党政権下で厚生労働大臣政務官を務めた梅村氏は「受領委任払い制度を巡る政治・行政の動き」と題して講演。自身の体験を交えて、柔道整復師に特例的に認められている受領委任払い制度(施術料金のうち、患者負担分は患者請求、残りの保険負担分については、柔整師が患者に代わって保険者に請求できる制度)について、「改善を求めても、役人は『糠に釘、暖簾に腕押し』。大多数の政治家も巻き込まれたくないと言うのが本音のところ」と説明した。
(略)
 その上で、「受領委任払い制度の廃止を主張しても良いが、メーンにするのは逆効果で、すぐにできる解決策を提供して味方にしてしまうことが大切」と訴えた。厚生労働省が国家資格である柔整師の合格者数 や医師の医籍に当たるような資格管理をしていないことを問題視(医師、薬剤師、看護師などは厚労省が管理しているが、柔道整復師は厚労省の委託により「公益財団法人 柔道整復研修試験財団」が管理)。受領委任払い制度を「届け出」から「許認可」にしたり、斡旋紹介料の規制をしたりするなどの管理の厳格化を提案した。
(略)
 会場からの発言者の一人は「毎年同じ議論がされ、前に進んでいない。既得権は役人、政治家では壊すことができない。大きい制度改正をぶつけることが大切」と賛成した。また、「まともな医療を守る権利」と位置付けて、国民に訴えていくことが必要では、という意見も寄せられた。
(略)
 梅村氏の講演に先立ち、馬場園氏は「日本の公的医療保険制度の問題点」と題した基調講演で、国民皆保険制度の成り立ちと現状を解説。急速に進む高齢化や非正規社員の増加といった雇用形態の変化などを背景とした制度の見直し状況を説明し、「日本の社会保障財政は危機的な状況であり、優先すべき医療行為と自費で対応すべきものを峻別する時代に入っている」と主張した。

 柔道整復師に特例的に認められた受領委任払い制度も、「ほとんどが初診時に白紙の療養費申請書にサインをするようになっており、不正やごまかしが起こりやすい」と指摘。「適切な医療行為であるかの判断がなされておらず、撤廃が望ましい」と訴えた。
(略)

ちなみに国民医療費の中に占める柔整の割合はおおむね1%程度と言いますが、これがどの程度の数字なのかと言うとおおむね病院ではない一般診療所での入院医療費と同程度、訪問看護の4倍くらいだと言いますから多いのか少ないのか、医療費支出の中で少なくとも大金を投入されている領域ではないのは確かですよね。
そして興味深いのは年々医療費が増え続けている中でこのところ柔整への支出は減少傾向を続けていて、毎年多くの新規参入者が流入してくる市場においてひとり当たりの取り分は年々低くなっていっているそうで、確かに流行っているところもあるにせよあっと言う間に廃業する施設も結構見かける気はしますけれども、国や自治体なども次第に審査等も厳しくしてきていることの反映と捉えることも出来るかも知れません。
医科にとって柔整問題と言えば一つにはいい加減な医療(類似)行為をしていると言う単純な不信感と、そして医科があれだけ厳しく査定され診療報酬も削られる中で柔整だけ底抜けのザルとは何だと言うやっかみとが入り交じったものだと思いますが、こうした問題はやはり公平性と言うものも非常に重要であるだけに、せめて審査くらいは少なくとも医科並みにと言う主張にはそれなりに妥当性があるようには思いますがどうでしょうね。

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コメント

でもこれって柔整師だけじゃなくて歯科医も一枚かんでたんでしょ?
知り合いの歯科医師には業界では有名な話だったが、バックにヤクザがいるからなかなか検挙できなかったって聞いたわ。

投稿: | 2015年12月 4日 (金) 08時25分

過当競争でそのうち淘汰されそうですが。>柔整
でもズルする人ばっかり生き残りそうでイヤだなあ。

投稿: ぽん太 | 2015年12月 4日 (金) 08時41分

財務省にとっては絞り甲斐のある濡れ雑巾の存在は嬉しいのだと思いますが、この場合絞ることで結果的に反社会的勢力の介入も減らせる効果はあるかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2015年12月 4日 (金) 11時13分

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