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2015年12月 9日 (水)

医療支出抑制の切り札登場?

来年度の診療報酬改定に関する議論が進んでいて、とりわけ今回は財務省筋を中心に診療報酬減額、国庫支出削減と言う強い圧力がかかっているようなのですが、そんな中でいよいよ切り札として踏み込んできたか?と思わせるのがこちらのニュースです。

高額療養費制度など見直しへ 歳出抑制案(2015年12月7日NHK)

政府の経済財政諮問会議の下に設置された有識者会議は、財政再建に向けて歳出を抑制するための実行計画の案を取りまとめ、医療費の自己負担に上限を設けている高額療養費制度を、来年末までに見直すことを盛り込みました。
政府は、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化する目標の達成に向けて経済財政諮問会議の下に有識者会議を設置して、今後5年間の歳出を抑制するための実行計画の検討を進めていて、このほど有識者会議がその案を取りまとめました。
それによりますと、最も歳出規模が大きい社会保障費を巡って、医療費の自己負担に上限を設けている高額療養費制度を来年末までに、現在、自己負担が原則1割になっている75歳以上の高齢者の医療費の窓口負担を3年後までに、それぞれ見直すことを目標に掲げています。
また、医療費の削減に向けて自治体や企業の健康保険組合などに働きかけ、2020年までに、40歳以上の人の健康診断の受診率を80%以上とし、メタボリックシンドロームの人口を2008年度と比較して25%減らすなどとしています。
有識者会議では、この計画案を7日の経済財政諮問会議に示し年内に決定したいとしていますが、社会保障費の国民負担の増加につながるだけに、政府・与党内で今後議論となることも予想されます。


診療報酬本体微増へ 高額療養費見直し担保に(2015年12月7日産経新聞)

 政府は6日、平成28年度診療報酬改定について、29年度に患者の自己負担を軽減する「高額療養費制度」を見直して財源確保することを担保に、診療報酬の医師らの技術料にあたる「本体部分」を微増させる方向で検討に入った。28年度は、景気回復により全国健康保険協会(協会けんぽ)への補助金が減額される分を一時的に充当する方向だ。

 高額療養費制度に関しては、政府の経済財政諮問会議の専門調査会が4日に公表した歳出抑制に向けた工程表案で「関係審議会で具体的内容を検討し、28年末までに結論を得て、その結果に基づいて速やかに必要な措置を講ずる」と明記。70歳以上の高齢者で優遇されている負担上限額を現役世代の基準に合わせることなどが想定されている。

 政府内で検討されている案では、高額療養費制度の具体的な見直し内容の決定は世論の反発を避けるため参院選後に先送りするが、年末の28年度予算案の編成過程で見直し実施を確約することにより、捻出される財源を29年度以降の「本体部分」に充てる方針を容認するとしている。

 28年度については、景気回復による保険料収入の増加などで協会けんぽの準備金に余裕が生じているため国庫補助金が減額されることになっており、減額分を「本体部分」の財源に充当する方向で調整する。

 政府は28年度に始まる財政健全化の計画で、社会保障費の伸びを3年間で計1兆5千億円程度を目安にすることを決定。28年度予算案では厚生労働省の概算要求から約1700億円の削減が必要だが、診療報酬の医薬品や医療材料の「薬価部分」の引き下げ分約1500億円しか確保できていない。来年度は診療報酬の「本体部分」の引き下げも想定していたが、来年夏の参院選を控え、大票田の日本医師会など医療関係団体に配慮。高額療養費の見直しで財源を確保し、「本体部分」への切り込みは見送ることにした。一方で、薬の過剰投与が指摘される大病院周辺の大型門前薬局が問題視されており、「本体部分」の中の調剤報酬に関しては引き下げられる方向だ。

また日医が悪者になりそうだとか諸々の点はこの際置くとして、ひとまずここで注目いただきたいのが高額療養費の見直しを言い始めていると言う点なのですが、具体的に何をどの程度と言うことが明らかでないだけに現状では議論も難しいところがありますけれども、財源として期待出来る程度にとなるとかなり大幅な斬り込みも予想されますよね。
この高額療養費制度と言うものは国民皆保険制度にとって大変重要な意味づけを持っていて、どんなに医療費がかさんでも患者の自己負担額は一定であると言うことが「出来ることは何でもやってください」式の際限のない医療支出増大を招いているのでは?と言う指摘は以前からあった一方で、逆に言えば収入による差別化なく万人に平等な医療をと言う制度の根幹を担保する最重要の制度であるとも言えるものです。
この点で例えば外来自己負担額の引き上げなど他の話と異なるのは、ある一定線以上に高額医療費の限度額が引き上げられてくると医療費を支払えない方が出てくるだろうと言う懸念なのですが、入院させる期間を可能な限り短縮すると言うことは今までも平均在院日数短縮のために病院側から働きかけられていたものが、今後は患者側からも言われるようになるかも知れませんね。
また何もせずとも一ヶ月間入院を続けるだけでも低収入の方々ですと通常この上限に引っかかってくるはずですから、例えば長期間ずっと入院している高齢者などは今まで以上に月々の支払いが増えてくると思われますが、食費などホテルコストは現状でも別枠で請求されているはずなので、場合によっては年金だけでは支払いきれないと言うケースが増加してきそうにも思われます。

ただ逆に言えば特に高齢者などの場合、今までの自宅や施設で面倒を見るよりも入院させておくのが一番安上がりで安心だと言う話の方がおかしいわけですから、今回高齢者の自己負担額上限を現役世代並みにと言う話とセットで語られている点を考えても、これは昨今の病院から施設へ、そして在宅へと言う国策を反映した話であるとも言えそうです。
仮に長期の入院医療費を支払えないとなればいわゆる延命処置などは今まで以上に短く切り詰められていくのだろうとも予想されますが、その結果医療費支出全体が下がるとなれば国民負担も減るはずなので、自己負担増加とどの程度相殺されるのかも注目されるべきところでしょうか。
この場合年金以外に収入がないと言う方々はどうしたらいいのかと不安に駆られるでしょうが、一般的に支払い能力がないと言う場合に備えて民間保険と言うものがあるわけですから、支払い能力に不安があるなら早くから自分で保険くらい用意しておくべきだと言えば言えるのですが、それを言うなら年金が足りないなら早くから個人年金保険くらい入っておけと言うのも同じことで、まあ現実的には難しいところだと思います。
もちろん現役のころからある程度経済的余力のある方々はこうした個人防衛策を採っておくべきなのでしょうが、支払い能力のない低所得層には今後自宅を担保にした老後資金の貸し付けだとか、各種医療費減免措置が今まで以上に重要となってくるはずで、特に高齢者やそのご家族はどのような制度が利用可能なのか予め調べておきいざという時に備えるべきだろうなと思いますね。

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コメント

混合診療も一層推進すべき

投稿: | 2015年12月 9日 (水) 08時01分

年金生活者の入院が長期化するとどんどん貯金が増えていきますからね。
高額療養費制度を長期入院すると年金ではわずかに足りないぐらいのレベルまで落とした方が良いのではないかと、個人的には考えます。

投稿: クマ | 2015年12月 9日 (水) 10時01分

高額療養費は公平な制度だからまだ許せる。
生保の医療費無料は不公平過ぎて許せない。タクシーも乗り放題だし。

投稿: ふぉれすと | 2015年12月 9日 (水) 10時34分

今回の診療報酬改定では医療費削減の是非と言った視点からのみ議論される傾向がありますが、これを機に長年の課題が一気に改善されると言う話であるなら決して悪い話ばかりでもないとは思います。

投稿: 管理人nobu | 2015年12月 9日 (水) 11時53分

高額療養費制度を知らなくて民間の医療保険に入らされてるしな
老人でなくても入院すると貯金ができるよ

投稿: | 2015年12月 9日 (水) 12時11分

>支払い能力のない低所得層には今後自宅を担保にした老後資金の貸し付けだとか

この層のほとんどが、自宅といっても賃貸とか公営住宅でしょ?

投稿: | 2015年12月10日 (木) 09時24分

>どんなに医療費がかさんでも患者の自己負担額は一定であると言うことが「出来ることは何でもやってください」式の際限のない医療支出増大を招いているのでは
おっしゃる通りだと思います。厚生年金の高齢者はチューブだらけでも点滴だらけでも生きている間、ずっと年金貰えます。病院代・施設代なんてしれています。高額療養で差額は本人の通帳に預金されていき最終的には(家族)のものに。年金額によって医療費の増減があってしかるべしだとずっと以前から思ってました。延命と救急は一番医療報酬が高いですからね。どこまでもどこまでも延命しても高額療養の支払いだから怖くない、ある意味、息だけしてくれれば家族は助かるのです。そういう事例沢山見てきました。今もなお(-_-;)

>ふぉれすとさん
>生保の医療費無料は不公平過ぎて許せない。タクシーも乗り放題だし
ついつい国民は生保に目を向けがちですけど、障がい者さんの中にもすごい所得(資産含む)の方、みえます。
差別的な発言かもしれませんが、障がい者こそ、医療費無料(入院・外来・検査すべて無料)
タクシーも年に3万円近く無料券ありますよ。
確かに障がいを持っているから、その分、大変だけど、年金収入と合わせすごい資産のある方もすべて無料ですから、
将来に何の不安もありません。

自分たちは将来に不安ですよ、若者はもっと不安でしょうね。
国が守るべき者は若者の存在です。
高額医療費用が高くなるとか苦情を言う高齢者の方にお願いしたいです、
医療報酬と薬価報酬、介護保険の点数の勉強をしてください。

投稿: | 2015年12月27日 (日) 20時05分

>障がい者こそ、医療費無料(入院・外来・検査すべて無料)タクシーも年に3万円近く無料券ありますよ。

障がい者は誰でもなれるのだから、うらやましければ自分も障がい者になったらよろし

投稿: | 2015年12月28日 (月) 08時51分

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