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2015年12月16日 (水)

常総市議が職員に無給労働を要求と毎日新聞が報じた件

昨今ブラック企業と言うものが非常に取り上げられる機会が多くなっていて、労働に対する正当な報酬を支払わない企業などには非常に厳しい目線が注がれるようになっていますが、そんな中で先日毎日新聞にこんな記事が出ていたと話題になっています。

市職員、9月分給与100万円超も 水害対応で、残業最高342時間 /茨城(2015年12月5日毎日新聞)

 常総市は4日、関東・東北豪雨への対応で残業し、9月分の給与が100万円を超えた職員が十数人いたことを明らかにした。水害が発生した9月10〜30日までの残業時間は最高で342時間だった。市議会で遠藤章江氏の一般質問に答え、傍聴席の市民から大きなため息が出た

 市側の答弁によると、勤務可能な全492人の同期間の平均残業時間は139時間だった。給与100万円以上は主に係長で、部長らには管理職特別勤務手当を平均で11万9000円支給。残業代と手当を合計すると1億3000万円に達するという。

 遠藤氏は「もらう権利はあるが、全国から来たボランティアが無償で働いている中、市職員が多額の給与をもらうことに市民から疑問の声が上がっている」と指摘。給与が高額にならないよう、災害時の特別給与体系の創設を求めた。岡田健二・市総務部長は「全国の自治体の例を調べ、国とも協議したい」と検討する考えを明からにした。【去石信一】

しかしボランティアがタダで働いているのだから市職員だけ高い給料をもらうのはおかしいと言われるとボランティアは奉仕活動だが職員のそれは業務だと言うしかないのですが、災害に限らず多くの局面でボランティア=タダで働いてくれる人と言う認識が世間で流布しているのは否定出来ないですよね。
それはともかく、大規模災害で長時間の残業を強いられた職員に対して高額な残業代を支払うとは何事か、市民感情に従いもっと給与を引き下げるべきだと主張しているようにしか見えない記事ですから、公務員に対する諸感情はひとまず置いて遠藤議員に対する批判が各方面から殺到したのも当然なのですが、実はこの記事に対して当の遠藤議員から「そんな質問はしていない」と言う反論が出ています。
実際の当日の動画や文字起こしした質問内容から果たしてどちらの言い分が正しいのかを検討してみるべきでしょうが、当初議員のブログにも抗議が殺到していたものの現在は毎日の記事は(控えめに言っても)実際の発言内容とかなり違うようだと言う声が優勢になってきているようで、極めて好意的に解釈するならこれは議員さんによくある言語明瞭意味不明瞭の罠に毎日がはまったと捉えておくべきなのでしょうか。
ただこの一連の発言に関してはどうやら毎日新聞しか報じていないらしいと言う点、そして毎日の記事自体は残業時間の多さも市議の発言内容も特に批判的に取り上げていない点に留意いただきたいと思うのですが、毎日新聞としては過労死ライン超えの残業を強いられた市職員の労働量は全く問題視しないが、それに対して正規の残業代が支払われたことには批判的なスタンスであると言うことなのでしょうね。

常総市の一件はともかく、先日「24時間、死ぬまで働け」のキャッチフレーズで有名になった某大手飲食チェーン店の従業員過労死事件が裁判になった結果、その過酷極まると言うしかない勤務実態が世間的にも大きく報じられていて、ここでもボランティアと言う名目で休日に研修参加が求められていたと言いますから、どうも奉仕活動の意味がもう少し(意図的に?)誤解されているような気配がありますよね。
問題となった大手チェーンは最近畑違いの介護に手を出して本業も傾くほどの大損害を被っていると言いますが、そのせいかどうか長年こだわりをもって使用してきたはずの屋号を今後は使わないと言い出しているようで、まあこれだけ大々的に世間に報じられてしまった以上は名前をかえて出直すしかないのも確かだろうとは思います。
世界的に見ると日本のブラック企業などたかが知れていると言う気もしてくるトンデモ企業は幾らでもあるそうですが、興味深いのはいずれも世界的にも名の知れた有名企業であると言うことで、黙っていても次から次へと奴隷労働者の補充には事欠かないからこその仕打ちだと考えると、何やらどこかの業界における昔ながらの労働事情にも通じるものが感じられます。
ちなみに毎日新聞と言えばかつて三重県尾鷲市で産科医が「破格な報酬」で雇われ市民が困惑していると言う記事をすっぱ抜いて、今に伝わる聖地尾鷲問題の発端を作り出したことでも知られていますけれども、労働者に労働の対価を支払うという事に対してよほどに思うところがあるのでしょうかね?

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コメント

今どき残業手当青天井ってさすが公務員w

投稿: | 2015年12月16日 (水) 08時00分

災害時の時間外手当はどうしようもない部分もあるのでしょうが、職員の健康管理をおろそかにしたら後々困ることになりそうです。
そういえば東日本大震災の時、どこかの自治体で3月までに取得しなければ消える休暇を消化した職員が懲戒処分を受けた事例がありましたねえ。

投稿: クマ | 2015年12月16日 (水) 08時52分

地方公務員の場合、年次有給休暇は基本絶対に取得しないといけないものという、訳の分からない縛りがあります。
民間発想じゃ、年休って冠婚葬祭や病気、どうしてもといった用事があるとか理由が必要とされますがね。

いい悪いは別として、神戸大震災の時は数ヶ月、週一船で帰る以外ずっと泊まり込みで夜中まで仕事していたけど、
誰も出張扱いとか、残業をつけるとかの発想すらなかったなぁ。非常時にそんな事どうでもいいと言う感覚。
公務員ってやっぱりちょっと違うんでしょうね。

投稿: | 2015年12月16日 (水) 09時39分

つーか、普通は職長が勤怠管理するでしょ。
お前は**時間働いたから、ここから**時間休暇とれ、とか。
やりたい奴がやりたい様に働く、それボランティアでしょ?

やってしまったものは仕方がない。
ただし、上司は管理能力なしと表明したようなものだから、降格か減給などの懲罰にするべき。
あと、災害時は裁量労働にスイッチする条例を定めるべきでしょうね。

投稿: | 2015年12月16日 (水) 10時42分

>災害時は裁量労働にスイッチする条例

裁量労働にすると、シフトを組んで働かせることが出来なくなるんじゃないかと思われますが。
24時間市庁舎に詰めろなんて指示も論外ですし。

投稿: クマ | 2015年12月16日 (水) 13時50分

おっしゃる通りで金銭が云々よりも、労働管理を責任をもって行えていない点が問題だと思います。

投稿: 管理人nobu | 2015年12月16日 (水) 14時17分

>問題となった大手チェーンは最近畑違いの介護に手を出して本業も傾くほどの大損害を被っていると言いますが、
これは事実誤認です。

介護部門は黒字で、もともとの飲食業はこのブラックさが嫌われた結果大赤字。
債務超過になりそうだったため当面の資金繰り目的で(?)介護部門を他者に譲渡したのがつい最近です。
でっ、投資家の間ではこれからどうやって稼いでいくのかが注目されています。
確か介護事業はもともとコムスンから譲渡された部分が大きかったと記憶してます。

投稿: 嫌われくん | 2015年12月19日 (土) 08時43分

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