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2015年11月 7日 (土)

ネットにおける私的制裁は社会的理解を得ているようですが

昨今の世相においてはさもありなんとも思うのですが、先日こんな調査結果が出ていました。

犯罪者に対する「ネット私刑」、6割以上が「理解」(2015年10月26日J-CASTニュース)

  インターネット上で事件加害者の名前を晒し、個人情報までも公開して私的に制裁する「ネット私刑」。最近では、家族や友人の情報までが真偽不明のまま拡散したり、犯罪行為を行ったわけではないのにターゲットにしたりと、過激化する一方だ。
   「犯罪者に対するインターネット上の私刑」について、ネットユーザーたちはどう考えているのだろうか。

「集団リンチ、するべきではない」は4割以下

   J-CASTニュースが2015年7月22日から10月7日にかけて実施したアンケート調査(全1602票)では「場合によるが、犯罪行為を行ったのだから仕方がないと思う」を選んだ人が41.9%で、最も投票率が高かった。
   より積極的に「犯罪抑止にもつながると思うので、支持する」も19.0%あった。「仕方がない」を「消極的に認めるもの」ととらえると、全体の60%以上がネット私刑に理解を示しているという結果になった。
   反対に、「ただの集団リンチにしか見えず、するべきではない」を選んだユーザーは35.7%だった。

事件起こしたら検索履歴に残るのは「当然の報い」?

   同時に行った「忘れられる権利」についてのアンケート調査の結果も合わせて紹介したい。
   「事件を起こした人物にも、個人情報や事件の詳細などがネットの検索履歴に表示されないようにする『忘れられる権利』が認められるべきだと思う?」という質問には、計1833票が集まった。そのうち約70%が「認められない方がいい」という見方を示した。
   内訳は「事件を起こしたのならば一生検索履歴に残るのが当然の報いだと思う」を選んだ人が最も多く41.0%。「事件の詳細なデータなどを求める人のために、一部は残し続ける必要があると思う」も28.7%だった。
   これに対して「本人が忘れられることを望んでいるなら、すぐにでも認められるべきだと思う」と「十分に罪を償いしばらくの年数を経たなら、認められるべきだと思う」を選んだユーザーはそれぞれ8.2%、20.2%にとどまった。

かくいう管理人のところにも時折記事削除依頼と言うものが来るのですが、やはりネット時代になってひとたびニュースが取り上げられると完全に消えてしまうと言うことがまずなくなってしまうと言う点で、その気になれば過去をいつまでも掘り返せると言うのもいいのか悪いのかです。
個人レベルで見れば社会的にも正当な罪の代償を支払った後であればいつまでも追及されるのはおかしいと言う考えもある一方で、企業や団体のレベルで考えるといつまでも記憶に留め忘れ去らないようにしなければならないと言う考え方もあるでしょうし、むしろ日本人の場合のど元過ぎれば忘れ去ってしまいがちな国民性に対する反省の意味も込めて意識して記憶に留めていくと言う側面もあるように感じます。
もちろんそもそもの情報が誤報であるとか、広めること自体が反社会的あるいは個人の人権侵害であるとしか受け取られないケースもあるわけで、そうした場合には積極的に情報を削除する方策を探っていかなければならないでしょうが、この個人あるいは集団による法に基づかない報復的・制裁的行為と言う点で最近非常に大きな事件が起こったことを紹介してみましょう。

ツイッターに400人以上の個人情報晒す 勤務先のセキュリティ会社が調査、謝罪(2015年11月5日J-CASTニュース)

   セキュリティソフト会社「エフセキュア」日本法人の社員とされる男性が、インターネット上で400人以上の個人情報を「晒した」として波紋を広げている。
   男性は、漫画家・はすみとしこさんのイラストを「もてはやした」人物を次々とリスト化。これがネット上で大きな批判を呼ぶこととなり、2015年11月4日にはエフセキュアが公式コメントを発表する事態に至った。

「レイシストをしばき隊」(現C.R.A.C.)の一員を名乗る

   問題視されたのは、「レイシストをしばき隊」(現C.R.A.C.)の一員を名乗る男性のツイッターアカウントだ。
   同アカウントは11月1日、はすみさんがFacebook上で公開したイラストに「いいね」やコメントを付けたとされるユーザーを「下衆な絵をもてはやしている下衆な連中」と批判し、400人以上の個人情報をリスト化して公開した。
   はすみさんは10月、難民を中傷するようなイラストをFacebookに投稿して国内外で物議を醸した。日頃から「プロパガンダ漫画家」を名乗っており、最近でも「帰化」「在日」「シーシェパード」などをテーマにしたイラストを発表していた。男性はこうしたイラストを支持する人々に「制裁」を加える意味で、今回の行動に出たとみられる。

   男性の行動は大きな注目を集めると同時に、批判の声も相次いだ。リストには氏名はもちろん、居住地、出身校、勤務先まで盛り込まれていたため「他人の個人情報をネットで拡散するのは問題では」という声も寄せられた。
   すると男性は「FacebookのTLで自分が公開している情報をまとめただけのもの」だとし、問題ないとのスタンスを示した。
   しかしその後、男性の身元特定が進められたことで事態が急展開する。ネット民の「捜査」により、男性がセキュリティソフト会社「エフセキュア」のマーケティングマネージャーである可能性が浮上したのだ。これが事実であれば、個人情報等を保護するセキュリティ会社の社員にあるまじき行為だとして、批判の機運はさらに高まった。

「当該社員による重要データ等へのアクセスは行われていない」

   加えて、個人情報の入手手段についての「疑惑」も持ち上がった。リストに掲載された1人が「私が現在非公開にしている情報が、このリストにおいて公開されているので削除をお願いします」とコメントしたことがきっかけだ。エフセキュアはFacebookと提携していることから、ネット上では「会社のシステムを不正使用して個人情報を集めたのでは」として大騒ぎになったのだ。
   もっともこの文面を見る限りでは、削除依頼している情報がもともと非公開設定だったのか、リスト公開後に非公開設定にしたのかは分からないが、ネット上では前者だと受け取られたようだ。
   炎上状態が続く中、男性は突然アカウントを削除した。11月3日、カントリーマネージャーが本件を把握したとのツイートを投稿してから間もなくのことだった。
   そして翌4日には同社が公式サイト上で

    「エフセキュアは、社員の行動規範には厳しい基準を設けており、本件を非常に重く受け止めており、現在この件について社内調査を進めております」「今回の件により、皆様に多大なご心配をお掛けし、心よりお詫び申し上げます」

とのコメントを発表。
(略)
   なお、この男性は取引先の担当者が「反原発」「選挙で共産党に投票した」ことなどが分かった際に「今後優先的に発注出します」「多めに発注したるわ」といったツイートを投稿していたことも分かっており、同じく問題視されている。
   騒動は今しばらく続きそうだ。

同社からの公式コメントはこちらを参照いただきたいですけれども、そもそもネットのセキュリティー関連の企業ですから幹部がこんなことをやっていていいのか?と言う批判は当然だと思いますし、ましてや職業上知り得た個人情報を垂れ流したと言うのであればこれは明らかにアウトですよね。
事情を知らない方には少しばかり状況が判りにくいかと思いますけれども、このはすみとしこ氏のイラストを巡る一連の騒動に関してはご存知テキサス親父のこちらの動画が参考になるかと思いますが、まあ賛否両論あるのは予想出来るものであるとしても、一部方面からは少しでも賛意のようなものを示した個人に対するバッシングも相当にあるようですね。
さらにその背景事情として存在するのが、かねてリアル社会で個人や集団の価値観に基づく私的制裁を行う団体として知られてきた「レイシストしばき隊」を巡る一連の騒動なのですが、個人的思想信条に基づいて行動するなら反社会的行動も許されると言うのは、少しばかり社会では通用しがたい発想であるように思われますがどうでしょうね?

この点で興味深いのはしばき隊の創設者である野間易通氏は「氏名や勤務先は住所や電話番号みたいな保護されるべきプライバシー情報ではない」「別に違法ではない。俺らだって匿名レイシストをソーシャル・ハッキングして実名公開することある」等々の援護発言を繰り返していることなのですが、もちろん同氏の思想信条に共感する人々が集まって「しばき隊」なる組織として形成されたと言うことは言えるわけです。
他方では今回の当事者がこうしてネット上で身元を捜索され開示された結果、職場は退職を強いられ会社からは警察に通報されと散々な目に遭っていると言いますから、すでに相応の社会的制裁を受けていると言う見方も出来ると思いますが、もともとの感情的思想的な対立が背後にあるとなれば情報を後悔された側もこれで気が済んだとは言えないのかも知れません。
ネット上では直接顔が見えないだけについつい過激な表現に走ったり、ちょっとした言葉尻を捉えての誤解があったりしがちなもので、それがさらに売り言葉に買い言葉となることは決して少なくありませんが、しかし改めて第三者的立場でこうした騒動を見ると馬鹿げていると言うしかないですよね。
いずれにしても個人がネットを利用して私的制裁に走るならば自らにもそれは帰ってくるのだし、制裁が制裁を呼ぶような社会のあり方が21世紀にもなって健全だとはとても思えないものなので、これが対立する集団の全面的な報復合戦などに発展せず収束してくれることを願うしかありません。

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コメント

おバカさん同士で潰しあってくれたらもうけものだよねw

投稿: | 2015年11月 7日 (土) 11時19分

こんにちは.

「インターネットにおける『個人情報保護』『セキュリティー』ってのは所詮このレベルである」
と,みんなで納得するしかないのではないでしょうか?
そんなことよりも「迅速性」「利便性」を重視しなければならない事柄に限ってインターネットを使うなど,利用者も気をつけたいものです.

投稿: 耳鼻科医 | 2015年11月 8日 (日) 08時29分

実際は死後10年も経てばネット検索でも引っ掛かりにくくなりますよ。
ネットに流出したら永久に消えないというのはイメージだけの話で実際は消える。

投稿: | 2015年11月 9日 (月) 11時31分

個人的な経験の範囲で言えば、興味を持って検索を続ける人がいる限り情報は残りますし、当「ぐり研」のように引用をされた場合さらに残りやすくなるようですね。

投稿: 管理人nobu | 2015年11月 9日 (月) 12時09分

なんかすげえわw

http://tanteiwatch.com/28310

投稿: | 2015年11月 9日 (月) 23時05分

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