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2015年11月30日 (月)

Ⅰ型糖尿病の児童がインシュリンを止められ死亡

未だにいわゆる代替医療の類に手を出して健康被害を受ける方々は後を絶たないものですが、当事者が被害を被るのであればまだしも自己責任で納得出来るとしても、親が妙なものに染まった結果罪のない子供が被害を受けると言うのは何ともやりきれないですよね。
先日から大きく報じられているこちらの事件なども親の信仰絡みで子供が不幸な結果になったと言う点で同類と言えますが、まずは各社の報道から見てみましょう。

糖尿病7歳治療させず死亡=殺人容疑で60歳男逮捕―インスリン投与中断・栃木県警(2015年11月26日時事通信)

 宇都宮市の糖尿病の男児=当時(7)=に適切な治療を受けさせず、死亡させたとして、栃木県警捜査1課などは26日、殺人容疑で自称祈祷(きとう)師で会社役員近藤弘治容疑者(60)=栃木県下野市小金井=を逮捕した。
 県警によると、近藤容疑者は否認している。
 県警によると、死亡したのは小学2年今井駿君=宇都宮市東原町=。近藤容疑者は今井君の両親に「不治の病を治せる」「腹の中に死に神がいるからインスリンでは治らない」などと言い、両親は信じ込んでいたという。県警は両親を保護責任者遺棄致死の疑いで書類送検する方針。

 逮捕容疑は、今井君が糖尿病で医師が処方するインスリンを投与しなければならないことを知りながら、両親と共謀して今年4月上旬ごろから、インスリンの投与を中断。医師による治療など適切な措置を講じないまま放置し、同月27日に糖尿病による衰弱で死亡させた疑い。
 県警によると、今井君は膵臓(すいぞう)の細胞が破壊され、インスリンが分泌されない1型糖尿病で、インスリン投与が不可欠だった。
 母親が昨年12月ごろ、知り合いの近藤容疑者に病状を相談。近藤容疑者はインスリンの注射をやめさせ、「治療」と称して、今井君の回りにローソクを立て、体を触ったり、「死に神退散」などと唱えたりしていたという。報酬として両親から計数百万円を受け取っていた。 

「注射しないと死ぬ」医師が両親に厳重注意(2015年11月29日日本テレビ)

 栃木県で糖尿病の男児にインスリン注射をさせず死亡させたとして自称・祈とう師の男が逮捕された事件で、男児が一時入院した際、医師が両親に対し、「注射をしないと死んでしまう」などと厳重注意していたことが分かった。

 自称・祈とう師の近藤弘治容疑者(60)は、糖尿病の今井駿くん(当時7)に必要なインスリン注射をさせず、死亡させたとして逮捕された。

 駿くんは注射をやめた後、今年3月に緊急入院しているが、その際に医師が両親に対し、「注射をしないと死んでしまう」などと厳重注意していたことが、その後の警察への取材で分かった。

 しかし、両親は医師に従わず、退院後に再び注射をやめた結果、駿くんは死亡した。

 警察は、両親が医師ではなく近藤容疑者の指示に従い続けた経緯を捜査している。

糖尿病男児死亡 両親「わらにもすがる思いで」(2015年11月27日NHK)

体をさする行為などを「治療」と称して、重い糖尿病を患っている宇都宮市の7歳の男の子にインスリンの注射をやめさせて死亡させたとして、自称祈とう師の男が殺人の疑いで逮捕された事件で、男の子の両親が「嫌がっている注射を毎日打っているのがかわいそうで、わらにもすがる思いで治してくれるよう頼んだ」と話していることが警察への取材で分かりました。
(略)
警察によりますと、近藤容疑者はみずから祈とう師と称し、駿くんの両親に「インスリンではよくならない。自分は『龍神』で、あらゆる病気を治せる特殊な力がある」と話し、駿くんの体をさすったり呪文を唱えたりしていたということです。
一方で両親は、「息子は注射を嫌がっていて、毎日打っているのがかわいそうだった。わらにもすがる思いで治してくれるよう頼んだが、今は後悔している」と話していることが警察への取材で分かりました。
(略)

色々と批判されるべき余地はあるのだし、先日判決が出た「ずんずん運動」事件などと同様に誰が悪いかと言えばやはり馬鹿げたことをやっている人間が悪いのも確かなのですが、しかしこうした場合アメリカなどであれば児童虐待で親の責任も即座に問われるのではないかと思うし、事実両親も書類送検されると言うことです。
今回の場合ざっくり言えば子供が注射を嫌がっているから注射をしなくてすむ方法にしたという事になりますが、親としてはすでに専門家から注射を止めれば死ぬということを聞いて知っていたわけで、下手をするとこうした酷い結果になることを知らなかったかも知れない施術者よりも責任は重いと言われかねません。
実際に時折耳にすることですが、子供が嫌がるからシートベルトをせずに車に乗せていた、その結果事故にあたって子供は車外に放り出されたと言うケースがあるようで、7歳にもなっていれば事を分けて話をすれば大部分の我慢はつく年頃ではあるだろうし、それが出来ない子供であれば親が強権的にでも正しいことをさせるのが保護者の役割ではないか?と言う気がしますがどうでしょうか。
この点で脳内出血で緊急入院した親を息子が新興宗教の教祖に言われるまま病院から連れ出し死亡させた「ライフスペース事件」との類似性を指摘する声があって、この事件では当事者の1人として息子も保護責任者遺棄致死で起訴され、懲役2年6月、執行猶予3年の判決が確定しています(教祖は懲役7年)。

一方でこうした事件の場合多かれ少なかれ宗教あるいは宗教的側面の絡んだものであるとすれば、信仰によって人の心を縛り正常な判断力を失わせた結果を罪に問うのはどうなのかと言う意見もあって、いわゆる心神喪失状態での犯罪行為は罪に問わないと言ったことと同類ではないかと言う考え方もあるのでしょう。
今後は両親に関しても聞き取りや調査が行われていくのだと思いますが、信仰が絡んだ事件としてつい先日オウム事件で起訴された菊池被告が控訴審で無罪を言い渡されたと言うニュースがかなりの意外性を持って受け止められていて、判決がひっくり返された理由として自分が行っていることが犯罪行為に荷担するものだとは思っていなかったと言う点が重視されたと言います。
こうした司法判断から類推するところズンズン運動でまさか死ぬまで首をひねるとは普通の人は思わないかも知れませんが、インシュリンを止めれば死ぬぞと言われている状況でインシュリンを止める判断をすると言うのはかなりグレーゾーンに感じられるところで、どこまで正常な判断のもとに行われたことなのかと言うことが今後追及されていくことになるのでしょうか。

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コメント

子がどんどん衰弱していくのをどんな気持ちでみてたんだろね

投稿: | 2015年11月30日 (月) 07時48分

死ねば注射を打たずにすむ。つまり解放される。
・・・・・理解できないけど。

投稿: | 2015年11月30日 (月) 09時43分

奈良時代とか、病人を救えなかった祈祷師はどう扱われたんでしょうね。

投稿: | 2015年11月30日 (月) 10時47分

多額のお金も絡んでいるので施術者に関しては民事刑事ともに責任を問いやすそうに思いますが、親の責任については被害者であると言う側面も確かにあって、かなりな部分が相殺されそうには思います。

投稿: 管理人nobu | 2015年11月30日 (月) 13時25分

注射以外の方法ってないんですか
昔と比べて痛くない注射もあるってネットには書いてるけど

投稿: | 2015年11月30日 (月) 16時22分

>注射以外の方法ってないんですか

あったら、専門家である医者が真っ先に採用していると思いませんか?
普段患者さんから注射いやだ、いやだ、他の治療にしろって、文句言われているのは、糖尿病専門医なんですよ。

>昔と比べて痛くない注射もあるってネットには書いてるけど
ネットに書いてある程度のこと、医者が採用していないと思いますか?その情報源も医者ですけど。
あと、勘違いする方もいますが自己注射で「わざと痛くする方法」とかありませんから。あったとして、誰が何の得があるってんですか?

投稿: おちゃ | 2015年11月30日 (月) 18時03分

お医者さんもいろいろですから、
誰しもが勉強熱心な方ばかりじゃないんじゃないですか
採用しないわけないだろって、痛いのなんてがまんできるでしょうと説教する医者に現実に遭遇してますよ
おちゃ先生は立派な方でしょうがね

投稿: | 2015年11月30日 (月) 18時45分

これが無罪になる日本だから今回も無罪放免だよねw
http://www.sankei.com/west/news/151130/wst1511300047-n1.html

投稿: | 2015年11月30日 (月) 20時31分

そういやいい歳したおっさんおばさんが「粉薬はぜったい飲めない」って言うのいるよね

投稿: | 2015年12月 1日 (火) 07時54分

ま、飲みにくいものでも修行して飲めるようになるのが日本の美徳ですもんねw

投稿: | 2015年12月 1日 (火) 10時31分

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