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2015年11月13日 (金)

柔整問題、またしても炎上

先日芸能人等多数が関与した柔道整復師関連の診療報酬不正請求事件が発覚したところですが、その背景事情としてこういう話があるようです。

療養費不正請求、9割が国保加入者 容疑者「審査甘い」(2015年11月8日朝日新聞)

 暴力団が絡んだ組織的な療養費不正請求事件で、摘発された接骨院が請求した療養費の9割近くが、国民健康保険加入者のものだったことが、捜査関係者への取材でわかった。容疑者の一人は取材に「審査の甘い国保を狙った」と証言。警視庁は、容疑者グループが国保加入者を選んで不正請求していたとみて調べる。

 捜査関係者によると、詐欺容疑で逮捕された指定暴力団住吉会系組長の三戸慶太郎容疑者(49)が実質的に経営していた「杉並すこやか接骨院」(廃業)は、2011年6月の開業から廃業までの約2年4カ月間で、施術を受けたとして療養費を申請した約350人のうち300人前後が国保加入者だった。支払われた療養費の総額は約2700万円で、警視庁は、一部は架空請求によるものだったとみている。

 グループは、報酬を払って「患者役」の協力者を集めていたほか、医療機関に一度かかった患者の情報を勝手に使っていたという。

 組長らとともに逮捕された接骨院関係者は、経理を担当していた別の接骨院で「患者が国保加入者かどうかを健康保険証を見て確認し、無断で水増し請求することもあった」と明かす。その理由を「サラリーマンが加入する健康保険組合は、施術回数が多いとチェックが入ると聞いたから」と話した。

 報酬をもらって知人の女性ら100人以上を紹介したという30代の男性も取材に「国保加入者以外は必要ない、と言われた」と話した。

 国民健康保険(国保)はサラリーマンが加入する健康保険組合などに入ることができない人向けの公的な医療保険だ。加入者は全国で約3500万人で、市区町村ごとに保険料を集めて運営している。

 かつては自営業や農業が多かったが、現在は年金暮らしの高齢者や非正社員が約7割を占める。国保の全国組織「国保中央会」の担当者は「健康保険組合だと、働いているはずの時間に治療や療養を受けていれば気付かれる可能性がある。国保の方が患者の囲い込みも不正もしやすかったのではないか」と話す。

 市区町村は、医療機関からの医療費の請求内容が正しいか点検することが法的に義務付けられており、都道府県ごとに設立された「国保連合会」に点検を委託している。ただ、請求内容が決められたルールの範囲内に収まっているかを点検するだけで「架空や水増しといった不正請求を見抜くことはまず無理」(国保中央会)なのが現状だ。

 不正が発覚するのは、市区町村から出される医療費通知を見た患者が不審に思って通報したケースがほとんどで、患者ぐるみで不正を行っている場合、不正に気付くのは極めて難しい

 厚生労働省によると、医療費の不正請求が認定され返還された金額は2009年度は約56億1千万円だったが、13年度には約146億1千万円と急増した。厚労省の担当者は「地方の厚生局では、担当者が医療費と療養費の監査を兼ねている場合が多く、療養費まで手が回らない。発覚したのは氷山の一角だ」と話している。

そもそも柔道整復師に医療保険を使わせることの是非についてはここでは敢えて議論しませんが、それでも近年柔整絡みの診療報酬不正請求事件が数多く報じられるようになったというのは一つにはこうした犯罪的故意犯もいるのでしょうが、もう一つは柔整問題に世間(あるいはマスコミ)の目線がようやく行き始めたと言う気がします。
かつて柔整に対して非常に審査等が甘かった背景には政治家を始め社会の支配的地位にいる高年齢者層には元柔道関係者が多かったから、という噂もありましたが、さすがに戦前のように成人男性の数人に一人が経験者という時代ではなくなったせいか、自治体や保険者も次第に対応を進めてきているようです。
ただそれでも医学的に必要な措置を行っても勝手に不正請求扱いされ、下手するとマスコミなどから袋叩きにされてきた医科に比べるとはるかにザルであるのは否めないところで、自治体など保険者側の人員不足、知識不足や柔整の査定に関するノウハウの不足があるようには思いますね。

柔整の不正請求問題が多発するようになったもう一つの背景事情として近年柔整の養成数が非常に増え過当競争化しているということを以前にも紹介しましたが、先行する歯科医などはコンビニ以上に過当競争で廃業が多発しているのに対して、柔整もそろそろコンビニ数を超え廃業多発時代に入りそうだと言う声もあるそうです。
その後押しをするかのように今回の事件を受けてか厚労省も一段と柔整の保険請求に対するチェックを厳しくすると言っているようですが、柔整に対する特権的な対応をやめて医科や歯科並みの対応にするだけでもおそらく数百億、下手すると千億単位の医療費削減効果が期待できるとなれば、むしろ財務省あたりが口出ししそうな問題ですよね。
乾いたぞうきんをさらに絞り上げるよりは濡れぞうきんを絞る方がよほどに簡単なのも当たり前ですから、あちらこちらで爪に火を点すような節約をして社会保障費削減に励むよりは、こうした大きな無駄の部分にばっさり切り込むことも必要なのかも知れません。

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コメント

確かに柔整の問題は大きいですね。
こんだけ医療費増が言われながら今まであまり取り上げられなかったのが不思議

投稿: | 2015年11月13日 (金) 07時25分

医科に対しては、むしろ国保のほうが審査が厳しい(同じような診療をして同じように保険請求しても、査定で切られる額は国保のほうが大きい)
という事実は一般の人々にも知ってほしいですね。

投稿: JSJ | 2015年11月13日 (金) 07時52分

これだけ金額が大きくなってもチェック甘いってのが不思議なんですが。
業者に成功報酬で依頼しても簡単に支出減らせそうなのに。

投稿: ぽん太 | 2015年11月13日 (金) 08時06分

医者が架空請求や水増し請求したらどれだけひどい目に合うか、想像すればするほど恐ろしいですが、
柔整の方々は怖くないのでしょうかね?

投稿: クマ | 2015年11月13日 (金) 10時38分

医師は研修を通じて組織内で保険診療のルールを学んでいくものですが、柔整の場合開業形態からは歯科がモデルとして妥当かも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2015年11月13日 (金) 11時09分

>医療費増が言われながら今まであまり取り上げられなかったのが不思議
不思議でもなんでもありません。
痛み治療についての潜在需要は一定ですから、単価の安い柔整を潰せば
単価の高い医科に患者が流れて 結局医療費のカサが増えるだけのことと
役人は解っているから必要悪として放置しているだけです。

>業者に成功報酬で依頼しても簡単に支出減らせそうなのに。
10年ほど前から車買取りのガリバー等が請け負っています

>柔整の方々は怖くないのでしょうかね?
「柔整師」全員が怖いもの知らずの無頼漢ではありません。
個人的な素養として 資質が低い数が多い為そう見えますが、
99%以上の真っ当な柔整師は 当然怖いですし
そんな危ない橋は 今も昔も渡っていませんよ。

投稿: | 2015年11月14日 (土) 09時55分

>単価の安い柔整を潰せば単価の高い医科に患者が流れて

近所の整形のリハビリ、内容は柔整がやってることとなんら変わりはないもんね
医者は患者が要望しない限り診察などせず、漫然と通わせ続けてる
そんで待合室に、柔整の不正請求を糾弾するポスターが
グルコサミン・コンドロイチンの広告とともに貼ってあるという

投稿: | 2015年11月16日 (月) 08時58分

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