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2015年10月 3日 (土)

ピラミッド、崩壊

すでに各方面から報じられているところですが、先日大阪府八尾市でこんな事故があったそうです。

組み体操「ピラミッド」が崩れ、中学生が腕骨折 大阪(2015年10月1日朝日新聞)

 大阪府八尾市立の中学校で9月27日にあった運動会で、生徒が四つんばいになって重なる組み体操「ピラミッド」が崩れ、1年の男子生徒が右腕を骨折していたことが、市への取材でわかった。

 市教育委員会などによると、組み体操には1~3年生の男子生徒157人が参加。10段のピラミッドに挑戦し、最上段の生徒1人が立ち上がろうとしたところ一気に崩れ、6段目にいた生徒が右腕を骨折、5人が打撲や擦り傷を負った

 この中学校によると、10段のピラミッドは昨年から取り組み、これまで本番や練習で大きな事故はなかったという。校長は取材に対し、「補助員をつけるなど安全対策を考えて取り組んできたが、事故につながってしまった。来年以降、実施するかどうかも含め対応を検討する」と話した。

 小中学校の運動会で実施される組み体操をめぐっては、全国的に骨折などの事故が起きており、大阪市教委は9月1日、ピラミッドの高さを5段に制限することを決めている

中学校運動会で組み体操ピラミッド崩れる 6人負傷 大阪・八尾市(2015年10月2日FNN)

大阪・八尾市の中学校で行われた運動会で、組み体操のピラミッドが崩れる事故があった。

運動会の花形、組み体操のピラミッド。
高さおよそ6メートル、10段のピラミッドに挑戦する中学生たち。
最後の1人が、最上段で立ち上がろうとした時、ピラミッドは、真ん中から崩れ落ちた

これは、27日、大阪・八尾市の中学校で行われた運動会での事故をとらえた映像。
状況がのみ込めないのか、保護者たちから拍手が送られる中、腕を押さえながら、教師に支えられて、その場をあとにする生徒の姿も映し出されている。
この事故で、下から6段目にいた1年生の生徒が右腕を骨折、5人が軽いけがをした。

名古屋大学の内田准教授によると、10段ピラミッドの場合、土台になる生徒1人にかかる重みは、最大で3.9人分
中2男子の平均体重で計算すると、190kg。
中3男子の場合、211kgになる。
名古屋大学の内田准教授は、「巨大組み体操の場合は、内側に崩れるんですよね。その周りにね、何人配置したって、先生たくさん置いたところで、組み体操の重さって、1グラムも軽くならないわけですよ」と語った。

事故があった中学校の校長は、「けがをさせてしまった生徒さんについては、本当に申し訳なく思っています。(練習の時は成功した?)最後、10段までは登ったんですけども、最終までは、結局、いけてなかったんです。(結局、成功しないまま本番に?)まあ、そういうことになります。伝統の重みであるとか、挑戦をしていく気持ちの支援をしてあげたいなと」と語った。 (関西テレビ)

このピラミッド問題、つい先日も事故続発で大阪市ではついに高さ規制が導入されたと言うニュースをお伝えしたところなんですが、そのお隣の八尾市で早速こういう重大事故が発生したことに加えて、まさにその崩壊する瞬間の映像が撮影されていたことから各方面で大きく報じられていたわけですが、しかしこの組み方、崩れ方では一歩間違えば大変な事故になっていたと言うしかありませんよね。
この動画を最初に紹介したのは記事にもある名大の内田氏だったようですが、全国的に事故が多発している中で教育関係者の中には異常にこのピラミッド建設に情熱を燃やしている方々が一定数いらっしゃるようで、それも実質的には拒否権のない強制参加の行事であるにも関わらず、校長談話にもあるように「挑戦をしていく気持ちの支援をしてあげたい」等々、まるで学童達が自主的にやっているかのように言う先生が多いようです。
今の時代にこれだけ大きなリスクのある行動を他人に強いるに当たって説明や同意もないままであり、何ら当事者に選択権がないと言うことは世間一般ではちょっと考えがたいことですし、民事訴訟に発展する恐れも十分にありそうなことなのに、どうも教員の側に当事者意識や危機感に乏しいと言うのが気になりますね。
特に今回練習でも一度も成功しなかったことを本番で敢えて強行している点が気になるのですが、内田氏も指摘しているようにこのスタイルで行う以上周囲で何人見ていようが事故が起こる際にはほとんど意味がないことなので、そもそも安全確保の方法論に関して考え方がおかしいのではないかと言うことです。

組み体操問題に関しては必ずしも全面否定するつもりもないのですが、どうも釈然としない気持ちがあったことについて何故なのかと考えてみると、結局のところどうやって事故のリスクを下げるのか、その部分がぽっかり抜けていることに違和感があったのではないかと言う気がします。
個人的な経験の範囲内で考えてみても身体的な危険を伴う競技では初心者の安全確保に非常に注意するのは当然で、安全のために必要な筋力のトレーニングから始めるだとか技量の劣る者同士を組ませない、危なそうな局面ではいつでも介入できるようにしておくと言った様々な配慮が行われていたものですが、毎年初心者の学童が行うことなのに重量を支えるに十分な筋力を付けさせるだとか、崩れた際の安全確保のやり方を指導すると言うのはあまり見聞したことがありません。
こうした状況がどれほど異常なものであるのかを考えると、例えば学童全員に泳ぎ方も溺れた時の助けの呼び方も教えず1000mの遠泳を行わせる、そして教師達は遠い対岸でそれをただ見守っていると言うような状況に近いと言えそうなのですが、そもそも泳げない子はどうするのだとか、体力の尽きた子が溺れた時に救助に間に合わないと言う状況を放置している恐さは、冷静になって考えれば誰にでも判りそうに思います。
教育とは正しい方法論を教えることでもあって、特に危険な行為ほど間違ったやり方をしてはならないと言うことは無条件に叩き込んでおく必要があると思うのですが、何故この組み体操と言うものに限って理にかなっているとは思えないやり方が拡大再生産され続けているのかですし、やるなら正しいやり方で指導するのが指導者として当たり前のことのように感じます。

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コメント

こういうのはスポーツ振興センターでしたっけ?学校内の活動に伴う事故を補償する保険の担当者が
「危険な組み体操の事故は補償しない」
って言うだけで効果があると思うんですけどね。

投稿: クマ | 2015年10月 3日 (土) 07時53分

運動会で行う「組み体操」の事故防止として大阪市教委が
「ピラミッド」や「タワー」の段数に上限を設けたことを受けて、
奈良県教委は県内の組み体操の実施状況を調査。

その結果、昨年度は公立小中学校で計7人が骨折していたことが
わかったとして、1日、注意喚起を行った。

*+*+ YOMIURI ONLINE +*+*
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151002-OYT1T50004.html

投稿: | 2015年10月 3日 (土) 08時17分

これだけの大事故誰が責任とるの?

投稿: | 2015年10月 3日 (土) 10時18分

遊具で怪我したら即座に撤去するようなお国柄で、
これほどの怪我多発が放置されていたのはなぜなんだろう?

投稿: | 2015年10月 6日 (火) 17時53分

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