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2015年10月20日 (火)

忍び寄る認知症の足音をもっと恐れるべきでは

ご存知のように先日2014年度の医療費が過去最高の40兆円に達したと言うニュースが出ていたのですが、これまた例によって75歳以上の後期高齢者の医療費が4割弱を占め、1人当たり医療費についても75歳未満と比べて4倍以上を使っていると言いますから、使いようによってはまたぞろ高齢者の看取りのあり方等々様々な応用が利きそうなデータではありますよね。
ただ医療費が高騰している、このままでは大変なことになると言われながらも諸外国比較で見ると日本の医療費は非常に安上がりで、OECD諸国の中では10番目に過ぎないのに対して平均寿命はトップなのですから未だにコスパはいいとも言えるのですが、ただこの医療費も介護コストとどこで分けるのかと言うことを考えると非常に恣意的な分類も可能は可能なのだろうと思います。
ところで生涯医療費のおよそ1~2割程度が人生最後の1年間に投じられているのですが、年代別で見ると実は若年齢層の方が医療費はたくさんかかっていると言うのは医療現場での実感覚的にも妥当なことなのでしょうが、高齢になるほど終末期医療費とは逆に介護コストがどんどん高くなると言う事実もあって、実のところ年代間でそれほど目立った差はないとも言えるようですね。
ともかくも高齢者の場合終末期医療費よりもむしろ終末期介護費の方が増えてくるとなれば、介護コストをどう抑制していくべきなのかに議論の主題がうつってくるのは当然で、昨今国を挙げて高齢者の介護必要度を何とか引き下げようと予防策を講じているところなんですが、国民意識という点で先日こんな話が出ていたのを紹介してみましょう。

認知症予防、40-60歳代の6割が前向き- 40代も4年以内に始めたい(2015年10月13日CBニュース)

10年後に患者数が700万人に達するとも言われている認知症について、40歳から69歳までの男女の約6割が「予防に取り組みたい」と考えていることが、日清オイリオグループ(東京都中央区)が行った意識調査で分かった。40歳代でも、「平均4年以内に始めたい」としており、認知症予防に対する意識の高さがうかがえる。【敦賀陽平

調査は7月、同社の「中鎖脂肪酸認知症リスク対策プロジェクト」がインターネット上で実施。40-69歳の男女1200人(男性712人、女性488人)から有効回答を得た。

認知症にどのくらい関心を持っているか調べたところ、全体の78.3%が「最近、認知症・認知症予防という言葉をよく見聞きする」と回答。また、「認知症や認知症予防という言葉が気になるようになったと思うか」との質問では、「とてもそう思う」と「まあそう思う」を合わせた「そう思う」が全体の約7割を占めた。

将来の認知症への不安については、「自身が認知症にならないか心配だ」が全体の65.8%に達し、「認知症予防に取り組みたいか」との質問では、「そう思う」が58.1%に上った

さらに、「これから予防に積極的に取り組みたい」と考えている460人を対象に、いつから認知症の予防を始めたいか尋ねた結果、60歳代では「すぐにでも」、50歳代では「ほぼ2年以内」だったほか、40歳代でも「平均4年以内」だった。

記事では認知症予防に対する意識の高さがうかがえるとしているものの、40~50歳代などはすでに衰えを自覚せざるを得ない世代だと思うのですが、予防に積極的に取り組みたいと言う人でさえ数年先には始めてみようか程度の認識だと言うのはどちらかと言えば危機感に乏しいのではないかと言う気もします。
この場合の予防と言うのは本来的には発症を防ぐための一次予防だと思いますが、こうした認識の元に始められるのであればせいぜい早期発見と早期治療の二次予防であり、場合によっては罹患後の社会復帰を目指す三次予防になってしまいそうで、そうなると国の意図する医療・介護コスト削減と言う点からはいささか心許ない結果ですよね
認知症などは誰しも訊ねれば不安だ、なりたくないと答えるのだろうし、何かしら知的活動性を向上なり維持するようなことは年配層では多くの人が日常的に試みているのだとは思うのですが、それよりもさらに開始のハードルが高そうな身体的活動性を保つための努力をしている人々がどれほどいるものなのか、恐らくやりたいとは考えていてもほとんどの人間は実際には行うには至っていないのではないかと言う気がします。

ただ現実的にそれがどれほど問題になるのかと考えてみると、最近認知症高齢者の徘徊が非常に問題になっていて、大阪府では認知症高齢者・行方不明者への対応に関してコンビニ大手各社と協力協定を結んだだとか、埼玉県ふじみ野市では徘徊の恐れのある認知症高齢者に番号札を貼ることにしただとか、各地で地域一帯となった対策が進められています。
その理由として認知症高齢者が起こした火災で延焼した燐家への損害賠償が命じられただとか、徘徊老人が電車に轢かれ死亡した事件で遺族に損害賠償判決が出ただとか、とかく事故でも起こせば管理責任が問われる時代であると言うこともあると思うのですが、介護の現場でも体はまだまだ元気でどこにでもさまよっていく認知症老人のお世話はなかなかに難渋するものですよね。
こうした点では体の弱っている寝たきり老人の方が下手に出歩かないだけ対応はしやすいとも言えますが、国の既定の方針通り施設から自宅へ帰す方向で考えるならば身体的介護度が高い寝たきり老人のお世話は難しく、見守りで対応できる認知症の方がマシと言う考えなのかも知れずで、ご家族に思わぬ迷惑をかけないためにもボケ対策はお早めに手をつけておくのがよさそうだと言うことでしょうか。
ちなみに運動など身体的な鍛錬は認知症予防にも効果が見込めると言う話があるそうで、おっくうがらずに週3回程度の運動を習慣づけていただければ何かとよさそうな気がしますが、何かと理由をつけて先延ばしにする怠惰ぶりも認知症予備軍と捉えておくべきなのでしょうか。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

でも具体的に効果のある予防策ってありますかね?

投稿: ぽん太 | 2015年10月20日 (火) 08時23分

>でも具体的に効果のある予防策ってありますかね?
ここに金もうけの種が!

ちなみに私としては、認知症の原因別になっていない予防策は似非認定です。

投稿: JSJ | 2015年10月20日 (火) 08時55分

記憶力改善に著効ある治療を一手御指南願いたく…m(_ _)m

投稿: たま殿下 | 2015年10月20日 (火) 09時05分

運動が続けられないのは単純に楽しくないからですよ。
だから最も大切なことは自分が楽しいと思えるスポーツを探すこと。

投稿: | 2015年10月20日 (火) 10時24分

競技性のあるスポーツはたいていの場合複数のメンバーが必要なので、技術的進歩で一人でも楽しめるスポーツが登場すればいいのかも知れませんね。

投稿: 管理人nobu | 2015年10月20日 (火) 17時01分

タイムを競うスポーツは競技性があっても1人で競えるし、競技としてではなく趣味として行うのであれば全く制限はなくなります。
趣味として楽しめるスポーツを探し出せば競争相手は不要だし、個人競技であれば別メンバーも不要です。

投稿: | 2015年10月21日 (水) 10時47分

それが楽しめる人はだまってジョギング続けられるんだろうなあ。。。

投稿: | 2015年10月21日 (水) 12時30分

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