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2015年10月27日 (火)

医療事故調、第一例報告出る

早くもと言うべきなのかようやくと言うべきなのか、先日10月1日より稼働している医療事故調に関して、ついにその第一号の報告事例があったと報じられています。

医療事故調センター報告、東京で第1号事例- 機構、支援団体研修開催へ(2015年10月26日CBニュース)

10月にスタートした医療事故調査制度(事故調)で、医療事故として医療機関から第三者機関である医療事故調査・支援センター(センター)に報告があった事例が、先週末までに東京で1件あったことがCBニュースの独自取材で分かった。この事例に関する詳細な情報は匿名化されており、医療機関名や診療科名などは明らかになっていない。【君塚靖】

事故調では、医療事故の起きた医療機関は、センターに報告した上で院内事故調査に着手することになっている。また、その医療機関は、医療機関に技術的支援をしたり、専門家の派遣などをしたりする医療事故調査等支援団体(支援団体)に、センターに対して報告すべき事例かどうかを相談することができるが、センターに報告するかどうかは最終的に管理者が判断する。

センターに報告する対象は、制度施行後に起きた医療事故であるため、今回、東京でセンターに報告された事例は、10月1日以降に起きた医療事故だ。センター業務を担う日本医療安全調査機構(理事長=高久史麿・日本医学会長)では、報告を受けた事例の情報は厳重に管理し、匿名化することで、医療機関名などが分からない仕組みにしている。

まずセンターに報告した上で院内調査に取りかかっている段階であるのか、あるいはすでに調査は終わっているのか記事からは何とも言えませんが、いずれにしても厳重な匿名で扱われていると言うことですから具体的に何が起こっているのかは最終的な結果を待つしかなく、それがいつ頃になるのかと言うスピード感にも注目したいですね。
こうした場合誰しも最初の一例目にはなりたくないと言う心理が働くもので、予想される届け出件数からすると約一ヶ月を経過した時点でようやく第一例目が出たと言うのもどこからが届け出症例になるのか顔色をうかがっている部分もあると思いますので、どういったケースで届け出が行われているのかと言うことも多くの医療関係者が知りたいところだと思います。
その一方で情報が開示されればどこの誰がと言う推測も働きやすくなる道理で、届け出た医療機関にマスコミが殺到すると言ったことは是非とも回避すべきだと思いますが、恐らく今後どこかの段階でこれはいつどこで起こったケースであると言うことは明らかになってくると思われ、その場合マスコミなどがどのように報じるかと言うことも留意すべきポイントかと思います。

医療事故調とはどのようなものであるべきかと言う点では諸説あると思いますが、厚労省の主張するように再発防止と言うことを目的とするのであれば責任追及を回避するためにも匿名性が保たれ、結果を司法や行政など処罰権限を持つ組織には届けでないと言うことが必要だと言う判断での制度設計に対して、当然ながら不満を抱く向きもあろうかと思います。
特に患者・遺族に対する説明の義務がないと言う点にひっかかりを感じるところではないかと思いますが、この点に関しては現行制度上例えばネットなどで患者側が一方的な主張を展開しても守秘義務と言う点で医療機関側に反論が許されないなどの片務性もあって、単に事故調に留まらず総合的に医療と患者との関係を議論しておく必要はあるように感じますね。
現行の事故調制度においてはとりあえず従来から各医療機関で行われてきたインシデント・アクシデントレポートと同じような感覚で運用出来るようになれば目的上有益なのだと思っていますが、このインシデントレポートも現場で定着するまでにはずいぶんと紆余曲折があったことを考えると、制度が出来たからと一朝一夕に定着するものではないように思います。

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コメント

制度が適正に運用されることを願います

投稿: 翠 | 2015年10月27日 (火) 08時28分

幼稚な人たちの考える適正運用は真平御免蒙りたく。

投稿: 感情的な医者 | 2015年10月27日 (火) 10時34分

事故調に関しては紛争化するとか司法が絡むようなケースだけ扱う方法と、ヒヤリハット的になんでも届け出るやり方とが考えられますが、マンパワー等との兼ね合いでどの辺りに落ち着くかですね。

投稿: 管理人nobu | 2015年10月27日 (火) 15時54分

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