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2015年10月 8日 (木)

地域における迷惑被害のなるべく穏便な解消法は?

何を以て迷惑行為とするのかと言う判断は非常に難しいものがあって、それが故に現代社会においてはしばしば予想外のトラブルにまで発展するものですが、先日出たこちらの判決を巡っても賛否両論の意見があるようですね。

隣家の庭汚す、野良猫餌やりで55万支払い命令(2015年09月26日読売新聞)

 隣家の女性が野良猫への餌付けを続けたため、排せつ物で自宅の庭が汚されたなどとして、福岡県内の住民が約160万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が福岡地裁であり、溝口優ゆたか裁判官が女性に対し、慰謝料など55万円の支払いを命じていたことがわかった。

 溝口裁判官は、動物愛護の観点から女性の心情に一定の理解を示したが、被害防止の対策をとらなかったと判断した。

 17日付の判決によると、女性は2013年5月頃から少なくとも同年12月頃まで、自宅玄関前に餌を置くなどして複数の野良猫に餌やりを継続

 周辺に居着くようになり、原告住民の自宅の庭に入り込んで排せつするなどし、原告は庭の砂利を入れ替えた

 溝口裁判官は「野良猫を愛護する思いから餌やりをしているとみられ、直ちに非難されるべきものではない」と言及しつつも、「猫が居着いて、近隣に迷惑を及ぼすことは十分に認識できたはず」と指摘。女性が保健所から行政指導を受けるなどした13年6、7月以降について「餌やりの中止や屋内飼育を行うべきだった」とし、「近隣住民への配慮を怠り、生活環境を害した」と結論付けた。

もちろん野良猫に餌をやればなついて可愛いと言う感情は理解できるものの、こうした行為は言ってみれば動物飼育のよい面、好ましい面に接する権利だけをつまみ食いして義務を果たしていないとも言え、飼いイヌの散歩で糞尿を放置する行為をより大規模、大々的に行っているようなものとも言えるように思いますね。
猫が可愛いのであれば自分で飼育して動物のネガティブな部分にまで責任を負うと言う姿勢を示すべきだったと思いますし、実際に裁判所もそうした点に言及しているようですが、今回の場合その部分を金銭で代償する形となったことがいいのか悪いのか、この種の方々の場合時に「これでもう話はついた」とばかりにますます行為をエスカレートする傾向のある方もいらっしゃるように感じます。
ただ動物の糞尿被害と言うものは確かに好ましいものではありませんが、例えば庭先に出来た渡り鳥の巣を撤去せずに糞尿被害を我慢しながら見守っている方々も少なからずいるように、どこまでが許容範囲であるかと言うことは人それぞれに違うもので、先日はこんな厚労省の調査結果が出たことがちょっとした議論を呼んでいました。

保育園児の声は騒音?…35%が「同感」 厚労省調査(2015年9月26日朝日新聞)

 保育園児の声を「騒音」と思うことに35%の人が同感である――。厚生労働省の調査で、こんな結果が出た。待機児童解消へ都市部を中心に保育所の整備は急務だが、近隣住民の理解を得ることも一定の壁となりそうだ。近く閣議決定される2015年版の厚生労働白書に盛り込まれる。

 調査は人口減少に関する意識を探る目的で、3月にインターネットで実施。3千人から回答を得た。

 保育園児の声を騒音のように思い、保育所の立地に反対する住民の立場に同感できるか尋ねたところ、「ある程度」が29・7%、「とても」が5・4%で、計35・1%が同感だった。逆に「全く同感できない」は26・4%、「あまりできない」は38・5%で、同感できない人は64・9%だった。

 回答者を地域活動への参加機会から見ると、「参加していない」という人は38・9%が反対の立場に同感だとする一方、「月1日程度以上参加している」人は26・0%と低くなった。(久永隆一)

この保育園の騒音問題と言うものも近年ちょっとしたトピックになっていることは以前にも紹介した通りですが、せっかく待機児童解消を目指して自治体も建設を推進している時代であるのに、各地で騒音被害を理由とする反対運動が続出し思うに任せないと言う状況であるようです。
これも以前にも書いたことですが、興味深いのは騒音被害を訴えている方々の実態として高齢者が多いようだと言う話がある点で、昔から年寄りと言えば子守をしているもの的なイメージもあったのですけれども、昨今の少子化時代にあって年寄りの子ども離れも進んでいると言うことなのでしょうか。
もちろん2/3の多数派はそうした考え方を是としないわけですが、朝日を始めとする進歩的メディアの方々の長年の努力もあってか世の中少数意見は多数意見以上に大切にしましょうとでも言うような風潮もあるようですし、現実的に高校野球の試合がたったひとりのクレーマーによって潰されたと言った噂も聞きますから、1/3もの多数の方々が反対しているようなことをおいそれと推進するわけにもいきませんよね。

ゴミ処理施設の必要性は誰しも知っていても、その建設となるとついつい反対運動を展開したくなる方も多いように、権利と義務を過不足泣く果たしていくと言うことはなかなか難しいものですし、ましてや幾ら社会的に必要だと言っても自分の子や孫の騒音まで甘受する気はないと言うのは、他人が餌ヤリしている野良猫からの被害まで受け入れられないと言うことと同じくらいにもっともらしい話だとは思います。
こうした点で今回の調査で面白いのは地域活動への参加率を合わせて調査していて、地域活動に参加している人の方が騒音問題に寛容であるらしいと言うことなのですが、やはり地域と関わりがあれば子どもにも関わりを持つ機会が増えるのだろうし、他人の子どもであれ顔や名前を覚えるような関係にでもなれば少々の歓声など気にならなくなるものなのかも知れません。
そう考えると騒音反対を唱える方々にももっと子ども達と接する機会を与えるべきなんじゃないかと言う考え方も出来ると思うのですが、いっそ月に一日くらいは地域の家庭に子どもを預けるようなイベントもやってみれば面白いのかも知れずですし、住民にも保育園内に入ってもらうと言った機会も増やしていいのかも知れませんね。

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コメント

幼稚園は我慢できても、保育所はイヤかもしれない。

投稿: | 2015年10月 8日 (木) 08時55分

子供の声を受忍できないのは、そもそも生物としておかしい。
そんな欠陥生物は、どんどん個体数が減って絶滅するのが自然の理でしょう。

投稿: | 2015年10月 8日 (木) 10時33分

眠い時に近所の悪ガキが騒いでるのはちょっと怒鳴りつけたくなるかな…
保育施設内のことならたいていのことは我慢はするけど…

投稿: たま | 2015年10月 8日 (木) 10時55分

こうした話題で意外とハトなどの餌やりが問題視されないのが興味深いと思います。

投稿: 管理人nobu | 2015年10月 8日 (木) 12時39分

「各地で騒音被害を理由とする反対運動が続出」というのは事実でしょうか。
「騒音被害を訴えている方々の実態として高齢者が多いようだ」という話を裏付けるようなデータも見たことがありません。
仮に高齢者が多いというのが統計的な事実だとしてもその抗議に正当性があるならば、さしてその抗議者の属性がなんであるかということにないか問題であるとも思いません。
世代間対立という単純なストーリーで悪者を作る話でもないと思います。

投稿: st | 2015年10月 8日 (木) 16時43分

>「各地で騒音被害を理由とする反対運動が続出」というのは事実でしょうか。
京都では梵鐘の響きに「やかましい!」とクレームが付いて絶賛自主規制中ですね
>「騒音被害を訴えている方々の実態として高齢者が多いようだ」という話を裏付けるようなデータも見たことがありません。
梵鐘はともかく 子供の声についてはそれが騒音足りえる時間帯に自宅なり何なりの
問題発生エリアに要られる属性自体が 老人と主婦ぐらいですからねえ
>仮に高齢者が多いというのが統計的な事実だとしてもその抗議に正当性があるならば
正当性はないでしょう「あんただってガキの頃はあっただろ?」って話です 持ち回りですよ
>世代間対立という単純なストーリーで悪者を作る話でもないと思います。
わざわざ「つくる」のではなくって 単なる指摘にしか思えないのですが??

投稿: | 2015年10月 9日 (金) 07時06分

クレーマーって要するに言うこと聞かせる俺様スゲーって連中だから
勘違い老人に多いのは当然っちゃ当然なんだよね

投稿: | 2015年10月 9日 (金) 07時20分

>京都では梵鐘の響きに「やかましい!」とクレームが付いて絶賛自主規制中ですね
京都の保育園では梵鐘を鳴らすのですか?あとそれは反対運動の例ではないですよね。
>問題発生エリアに要られる属性自体が 老人と主婦ぐらいですからねえ
結局データはないわけです。可能性の話でいえば、夜間労働者や平日休み、病気などによる自宅療養者、在宅ワーク、失業者、小さな赤ん坊から受験を控えた浪人生のような方々など多様な生活スタイルがあると思いますよ。
>正当性はないでしょう
私はそうは思わないです。騒音問題にあっては、デシベルというのがその抗議に正当性があるかどうかの客観的なひとつの基準になります。はなから正当性がない、ではちょっと話にならないかと。つまり正当性があるかどうかの線引きをどうやってどこに引くかというのがポイントです。
>わざわざ「つくる」のではなくって 単なる指摘にしか思えないのですが??
もうちょっと複雑な問題に見えます。

投稿: st | 2015年10月 9日 (金) 11時39分

 「以前は皆が我慢していたことを、我慢できない俺様クレーマーが増えているようです。」というお話でしたが、さっそく釣られた実例様が現れていますね?さすがは管理人様、鮮やかなあぶり出しテク、感服しております。

投稿: 愛読者 | 2015年10月 9日 (金) 20時45分

 警視庁丸の内署は28日までに、駅の通路でベビーカーに乗った1歳の男児を殴ったとして、暴行
の疑いで東京都荒川区の無職の男(64)を現行犯逮捕した。同署によると、「ベビーカーが進路を
ふさぎ邪魔だったので腹が立った」と容疑を認めているという。男児にけがはなかった。

 逮捕容疑は26日午後1時ごろ、東京メトロ有楽町駅の地下通路で、擦れ違いざまに男児のおでこ
を右手で1回殴った疑い。

 男児は30代の両親や兄(5)と一緒だった。男児の父親が、殴った後に立ち去ろうとした容疑者
を取り押さえた。

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2015/09/28/kiji/K20150928011221490.html

投稿: | 2015年10月10日 (土) 19時35分

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