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2015年10月17日 (土)

「さらなる医療提供体制の改善」≠医療供給の拡大

先日新型iPhoneが発売された際に、店頭での行列待ちがほとんど出来なかったことが報じられていましたが、過去の発売のたびに長い行列が出来たことから今回は原則予約販売に限ることにしたのだそうで、まあ逆に行列が出来ないことがニュースになると言うのも大変なものですよね。
近年では情報が即座に流通する時代になったせいか、マイナーなものまでも何かのきっかけであっと言う間に行列待ち、予約待ちになることが少なからずあるようで、先日ネットを眺めていましたら「コロッケ8年待ち」「パン10年待ち」「餃子2年待ち」等々様々に長期待ちのお店があるのだそうで、こうなると届いた頃には注文した事自体忘れてしまっているかも知れないと言う気もします。
世の中がそんな調子で待ち時間慣れ?してきている中で、先日厚労省の調査によればこんなところでも待ち時間が長期化してきていると言う話があったのですが、まずは記事から紹介してみましょう。

2割が入院まで1カ月以上 空き病床なし、予約取れず 厚労省の患者調査(2015年9月9日共同通信)

 救急搬送以外で入院が必要と診断された患者のほぼ5人に1人が、実際に入院するまでに1カ月以上かかっていたことが8日、厚生労働省が公表した2014年の受療行動調査で分かった。「ベッドが空いていない」や「手術や検査の予約が取れない」といった理由が目立っており、さらなる医療提供体制の改善が求められそうだ

 調査は3年に1回実施。今回は2014年10月に全国488病院を対象に行い、患者約15万3千人(うち入院患者約5万3千人)から有効回答を得た。

 入院までの期間に関しては今回初めて聞いた。その結果、緊急入院や救急搬送ではなく、予約をしてからの入院とされた患者で、入院までにかかった期間を「1カ月~6カ月未満」としたのは16・1%。「6カ月以上」は2・7%だった。一方、「1週間未満」は38・6%、「1週間~1カ月未満」は34・6%。

 病院の種類別に見ると、1カ月以上との回答が多かったのは、高度医療を提供する特定機能病院の患者(30・0%)。500床以上の「大病院」の患者(23・9%)が続いた

 これらの理由は、全体では「ベッドが空いていない」(26・7%)、「手術や検査の予約が取れない」(17・6%)などが目立った。病院別では、特定機能病院や大病院の患者で、予約が取れないとの回答が3割弱と多く、寝たきりの高齢者らが長期入院する「療養病床」を持つ病院の患者は44・2%がベッドの空きがないと答えた。

 ※受療行動調査

 病院での診療の状況や受けた医療の満足度などを患者に聞く調査で、1996年から3年ごとに実施し今回で7回目。全国の病院を利用する外来・入院患者に調査票を配り、無記名で答えてもらう。今回2014年の調査では、入院患者の66・7%が病院に対して全体的に満足と回答。外来患者では57・9%が満足とした。診察までの待ち時間を不満と感じている人が目立ち、14年は27%に上った。

調査結果についてはこちら厚労省のHPで公開されていますので参照頂ければと思いますが、留意すべきなのは入院患者の実に4割が救急搬送等のいわゆる急患患者になっていて、入院がすぐに出来ないと言っているのはどうやら半数を占める予定入院患者に関してのことのようですから、他の業界で考えても緊急性のない場合はそんなものでは?と言う気もするでしょうか。
むしろここで気になるのはこれだけ待ち時間が長くなっていることに対して「さらなる医療供給体制の改善が求められそうだ」とまとめられている点なのですが、患者自身には現状でさしたる不満はないと言うことであり、また医学的にみても緊急性の高い対応が必要な患者にはそれなりの対応が出来ているのだとすれば、さらにそこに医療リソースを追加投入する必要性があるのかどうかです。
急患ならすぐ診ますと言うことを強調しすぎると「早く診てもらいたいから救急車で来ました」系の不心得者が増えてくる可能性がありますし、病床稼働率を限りなく100%に近づけなければ経営が成り立たない診療報酬体系の中で、いつでも望んだ時にすぐ入院出来るほど余裕を持たせると言うことは常に空床を抱え込む必要があり、経営破綻のリスクを強いることでもあります。
そもそも医療とは供給の増加が需要を喚起する側面があると言う説も根強い理由としてそうした診療報酬体系の中、常に目一杯の稼働状況でなければ経営が成り立たない経営環境を強いられていることもあるわけですから、国が医療費削減にこれだけ力を注ぎ無駄を減らせと音頭を取っている中で、求められるのはあくまでも量的ではなく質的な意味での提供体制の改善と言うことなのでしょう。

この点で興味深いことにこれだけ待ち時間が長期化してきているにも関わらず先日も紹介しましたように医療への満足度は年々改善してきていて、以前のように「世界最高の日本の医療に世界一不満を抱く国民」と言う構図はいささか変化しつつある印象を受けるのですが、かつて医療崩壊と言われた頃の英国において意外に医療満足度が高かったと言うこととも何やら符合しているようにも思えます。
英国の場合何故満足度が高かったかと言えば、専門医療機関に受診するためにはまずゲートキーパーである家庭医から紹介を受けなければならない、そしてどうしても急ぎ受診を希望する人間にはお金を払えばプライベートの医療機関は自由に受診出来ると言う制度があって、国民それぞれが受診機会の公平感を持てていたと言うことがその理由であったようです。
日本もこのところ大病院受診は紹介状持参が原則で、飛び込み受診にはどんどん高いお金を取りましょうと言うシステムを目指してきているようですが、国と国民、そして医療現場それぞれにメリットがありデメリットの少ない医療のあり方とはどのようなものなのかと言うこともきちんと議論しておくべきことですよね。

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コメント

人や金をどこから出すかの知恵もないのにもっといい物をとねだるだけのクレクレ君はイラネ

投稿: | 2015年10月17日 (土) 10時50分

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