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2015年9月 7日 (月)

精神科ばかりが問題と言うわけではない

これ自体は別に精神科に限った話ではないのだろうと思いますが、なかなか身体診療科から見るとその実態が明らかにならない部分もある精神科領域において、先日こんなニュースが出ていました。

精神科などの患者の2割 睡眠薬など過剰に処方(2015年9月4日NHK)

精神科や心療内科に通う患者の2割が、睡眠薬などを過剰に処方されているとする調査結果を医療経済研究機構がまとめ、専門家は「依存性のある薬で対策が必要だ」としています。

睡眠薬や不安を和らげる抗不安薬は精神科や心療内科の外来で広く処方されていますが、使い続けるとやめにくくなる危険があるため、製薬会社各社は薬の添付文書で1日当たりの最大の使用量を、代表的な薬に換算して15ミリグラムとしています。
これらの薬のうち、「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる薬について、専門家で作る医療経済研究機構が患者110万人分の薬局での処方箋のデータを調べたところ、最も新しい去年11月のデータでは1日に15ミリグラムを超えて薬を処方されていた人は全体の19.1%に上り、3倍以上処方されていた人も2.1%いました。
また、厚生労働省は昨年度、3種類以上の薬を病院が処方した場合、診療報酬を請求できないとする新たな制度を導入しましたが、薬の量に大きな変化は見られず、効果は限定的だとしています。

医療経済研究機構の奥村泰之主任研究員は「医師が患者から生活習慣などを聞き取り、薬の量を検討していく診療時間が十分確保できていないことが原因の一つだと思う。依存性のある薬なので国も診療時間の確保に向けた対策を行うことが必要だ」と話しています。

もちろん必要であることであれば保険診療の制限を超えて薬を使うと言うこともあるのだろうし、その場合医療機関側が赤字をかぶる形で出すのですからそうそう無駄な処方もされにくいのだと思いますが、検査所見がどうこうと言う客観的指標のある身体診療科に比べると、精神科領域の場合ややもすると主観に左右され客観性に乏しいと言うイメージがあります。
患者が「まだ効き目が足りない」と言った場合に言われるまま薬を追加すると言うわけでもないのでしょうが、近年ではこおの種の薬に関して転売目的で複数の医療機関から重複処方を受けていた、などと言うケースもしばしば話題になっているだけに、果たして本当に全てが医療上の必要性だけに従って処方されているものなのかどうか?と言う疑問は感じるところかも知れませんね。
この点は何科の診療であれ同じなのでしょうが、患者側の要求が医学的あるいは保険診療のルール上微妙な部分にかかってきた場合に、それは出来ませんと拒否するのか言われる通りやってしまうのかは施設の方針や個々の医師の考えにもよると思いますが、中にはよからぬ目的で意図的にグレーゾーンをついてくる患者もいないでもないだけに、どこまでと言う自分なりの一線は必要なのではないかと言う気がします。
ただそれもこれも医療従事者は基本的に悪いことをしないと言う前提に立っての話と言え、実際に大多数の場合では性善説的管理でそう大きな問題はなかったと言えますが、時には必ずしもそうとばかりも言い切れない場合も見られるのも確かで、特に様々な意味で問題があると近年注目を集めているのが生活保護受給者に関わる領域です。

生活保護受給者「囲い込む」精神科クリニックに、国が対策に動く(2015年9月4日FNN)

FNNの取材で明らかになった、精神科クリニックによる患者の囲い込み。国が対策に動き出した。

卓球にカードゲーム、そして居眠り。
これは、東京都内にある精神科「Bクリニック」で撮影された、ある日の映像。クリニックの患者は「内容は幼稚園みたいなもの」と話した。
仕切り板で仕切られた、わずか3畳ほどの部屋、トイレは共同、風呂はなし。患者たちは、病院から派遣された職員の指示で、この劣悪な環境に住むことを余儀なくされている。
クリニック患者は「声は筒抜けで、プライベートなんか何もない」と話した。
さらにコンビニでは、電子マネーで精算するのは、患者自身ではなく、クリニックの職員だった。

実は、Bクリニックに通っているのは、全員、生活保護受給者で、保護費は、Bクリニックが全額管理している。患者たちは、自由に買い物すらできない。
FNNの取材で判明した、特定のクリニックによる生活保護費の管理や通院の指示、劣悪な生活環境。
実は、Bクリニックを患者に紹介していたのは、大田区役所の職員だった。
大田区蒲田生活福祉課の根本勝司課長は「(相談員は、患者にクリニックを紹介?)Bクリニックが一番いいのではと提案するが、必ずそこに行きなさいという情報提供はしていない」と話した。
さらに、江戸川区のクリニックの元患者は「(江戸川区の相談員から)『Bクリニックに通ってくれ。それが、生活保護の条件だ』と言われた」と驚きの証言をした。

実は、患者が1日10時間デイケアを受けると、行政から医療機関に対し、1人につき1万円の診療報酬が支払われる。
Bクリニックは都内に4カ所あり、通院者は1日およそ700人。年間27億円もの収益を上げている。
支払われた診療報酬は、税金。

Bクリニックの会長を直撃すると「(生活保護の相談者に...)知りません、知りません。(生活保護の相談者が苦情を言っているが?)お断り! お断りします!」と話した。
この件を受けて、厚生労働省では、特定の医療機関に限定して通院を勧めたり、生活保護費を本人の意思に反して管理することがないよう、通達していたことがわかった。
いまだ不透明な問題に対し、国の対応が急がれる。

今回話題になっている囲い込み問題に関しては以前にも紹介した通りなんですが、方法論の差こそあれこの種の生保医療ビジネスとも言えるものは昔から各地で報じられていて、特に生保受給日本一とも言う大阪では近年ようやくこの領域での様々な対策の必要性が叫ばれる一方で、予想通り進歩的な方々を中心とする根強い抵抗に遭っているとも言います。
医療の面から見ると一般の保険診療に関しては保険者によるチェックが入っていて、特に企業などは支出の増加が保険料値上げに直結するだけにひどく厳しい査定を入れてくる場合もあるようですが、逆にほとんどザルとも言えるのが全額公費負担の生保受給者に対する医療扶助で、一部の医療機関ではこれを利用して目一杯稼いでいるとかいないとか言う噂は昔からあったことは否定出来ません。
ただ何故そうなるのか?と言うことを考えてみれば、中小自治体であれば特に生保受給者の医療費まで専門的なチェックが出来るほど知識もマンパワーもないのだろうし、どうせ生活費から何から全部役所の持ち出しになるのであれば、下手をすればこうした囲い込み施設に丸投げした方がトータルでの支出はかえって抑制できる可能性すらあるようです。
今回のケースに関しても行政側がむしろ積極的に施設利用を推奨していると言うのも、囲い込まれている限り上限幾らまでと経費の計算が立つ上に、月末になるごとに窓口に受給者がやってきて金を無心するようなこともなくなるとなれば確かに業務がずいぶん楽なんだろうなと想像出来ることで、その意味では持ちつ持たれつの関係にあったと言うことなのでしょうね。

少しばかり話がややこしいのがこの種の問題が発生すると自己決定権の侵害だとか言った批判が上がるのですが、他方で生保受給者の多くが金銭の出納を含めて生活を自己管理する能力に問題がある場合が多いと言うのは進歩的な方々も認めている点で、そうであるからこそ周囲のサポートが必要だと考えてみると、例えば認知症高齢者を施設管理しているのと似たような話じゃないか?と言う考え方も当然あり得るわけです。
生保受給者の場合、扶養など本人に対して支援出来る親族がいない(はず)と言う点で身寄りのない高齢者と共通点があり、生保受給者の金銭出納を第三者であるスタッフが管理し施設内での共同生活を強いるのが問題だと言うことになれば、同じ文脈で高齢者に対して同様の対応をしているのも問題だと言うことになりかねませんよね。
いやそんなことはない、認知症高齢者と違って生保受給者には自己判断能力があるじゃないかと言われるかも知れませんが、例えば各地の調査でもホームレスの1/3前後は知的障害者であったと言う結果が出ていて、それも彼らがこうした境遇に甘んじる一つの大きな要因だと経験的に認識されていたと言いますが、本来ならその部分に対してこそ日常的な支援態勢が必要であったのかも知れません。
自己判断の能力を十分に発揮出来ない身体的、精神的理由がある方々の自由意志ばかりを尊重することが本当に本人のためになるのかどうか、徘徊老人が外を歩いて事故にあったと言ったニュースが出るたびに話題になってきたところですけれども、自由を得た後でそれを維持するために要するサポートと言うものは、不自由から解放されるためのサポートより地味ではあっても、ずっと長期に渡って大変な労力を要するものではありますよね。
行政にとって見ればどちらが安上がりで簡単か…などと考えると今回の事件の背景の一端も見えてくるのかも知れませんが、社会的コストなどよりも個人の人権のために尊重すべきことがあると主張する方々ほど、こうした本当に必要とされる支援に目を向けていく必要があるんじゃないかと言う気がします。

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コメント

進歩的な方々って本当に困ったもんですよね。
大半が、反対はするが案は無い。
仮に出てきても目先の改善だけで、実はもっと将来悲惨とかコスト無視とか。
安保法案反対デモの連中もほとんど同じだし。
こういった一般人の理解できない講堂をする人たちって、隔離とかできないものだろうか。

投稿: | 2015年9月 7日 (月) 09時15分

実際には社会にとうてい出られない状態の人たちだったのかも。
別に弁護する気もないけどマスコミバイアスがかかったら必要悪も叩かれてそうで。

投稿: ぽん太 | 2015年9月 7日 (月) 09時26分

一番危険なのはこの件からルールの杓子定規な解釈が現場に強いられるようになり、本当に囲い込んでの世話が必要な人たちが放置されてしまうことだと思います。

投稿: 管理人nobu | 2015年9月 7日 (月) 12時29分

まともな判断ができる人間でこの環境がイヤなら逃げ出すんじゃない?
べつにカギかけて閉じ込めてたわけじゃないみたいだし。

投稿: | 2015年9月 7日 (月) 13時35分

>進歩的な方々って本当に困ったもんですよね。
こういうこと言うネトウヨは
>本当に必要とされる支援に目を向けていく必要
を消し去ることが目的ですり替えをする。
>べつにカギかけて閉じ込めてたわけじゃないみたいだし。
同一人物でしょ。

投稿: | 2015年9月 7日 (月) 14時32分

>まともな判断ができる人間でこの環境がイヤなら逃げ出すんじゃない?

本人の判断力の問題もあるかもしれませんが、この手の業者は本人が逃げられないような小細工をしていることが多いのではないかと思われます。

投稿: クマ | 2015年9月 7日 (月) 14時34分

これって例に挙がってるのはアル中の病院じゃないかなぁ・・・。

それはともかくとして、ベンゾジアゼピン系の薬剤の使用ハードルの低さは割とどうにかした方がいいとは思う。痙攣発作に使えるホリゾンとかの手軽さはともかく、ロヒプノールとかはもっとハードル上げてもいいんじゃないかと。

投稿: | 2015年9月 7日 (月) 22時20分

↓進歩的な人々が推奨する自由への逃走
http://www.sankei.com/life/news/150907/lif1509070025-n1.html

投稿: | 2015年9月 7日 (月) 23時08分

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