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2015年9月24日 (木)

介護業界が破綻寸前、なおかつ事態打開へ全く光明は見えず

このところ何かと話題の多いのが介護業界で、先日は介護施設から相次いで3人が同じように転落死したと言う奇妙な事件が大いに騒がれていましたが、この春に名古屋で入所高齢者にスタッフが暴行を加えたのみならずその動画まで撮影していたと言う事件があり、この際に介護スタッフのレベル低下が著しいのではないか?と言う声が上がっていたのは記憶に新しいところですよね。
無論、どこの業界でも人手不足でとても人材を選んでいられないと言われる時代ですから、ましてや全業種中でも最も職業的魅力に乏しいと社会的に定評を得ていて、教科書にまで「重労働で低賃金」と書かれてしまう介護業界にそうそう人材も集まらないのは理解出来るのですが、最近さらにそうした面が深刻化し業界の存亡にまでつながりかねないと憂慮されているようです。

介護サービス事業者は増加も…人手不足が深刻化(2015年9月21日スポニチ)

 信用調査会社の帝国データバンクの調べによると、2014年に倒産、休廃業した介護サービス事業者は全国で175件と過去10年で最多になっている。所在地別では、倒産は東京都が9件で最多、次いで神奈川、愛知両県が6件だった。

 賃金水準が低い介護業界は景気回復に伴い、他業種に人材を奪われ、以前からの人手不足がさらに深刻化。介護施設関係者は「正直、しっかりと面接して雇用している余裕はない。基本的に来た人は誰でも雇用しているところが多いと思う」と話している。

介護事業者の倒産最多 今年1~8月、55件 報酬減や人手不足響く(2015年9月20日産経新聞)

 介護サービス事業者の倒産件数(負債額1千万円以上)が、今年1~8月の8カ月で前年1年間を上回る55件に達したことが、20日までに信用調査会社の東京商工リサーチの調べで分かった。平成12年の介護保険制度開始から年間倒産件数の最多記録。介護報酬が4月に2・27%引き下げられたことや景気回復で他業種に人材が流れたことによる人手不足が主な要因だ。

 高齢化が進み介護サービスは有望業種として新規参入が相次いでいるが、都市部では過当競争もみられるほか安易な投資や経営能力不足から行き詰まるケースが続出。同社の調査では25年と26年の倒産件数はいずれも過去最多の54件を記録したが、今年はさらに増え、年間で80件を上回る勢いだ。小規模事業者のケースが増えており、55件のうち従業員5人未満が37件と約7割。5年以内の設立が過半数で、新規参入組が目立つ

介護と言えば医療と介護が分離された当初は政策的にも新規参入が大いに推奨され、またとにかく需要は今後も当分減る気配がないと言う成長産業であると言う点からも他業界から大手資本の参入が報じられていたものですが、先日は介護の赤字で経営すら危ぶまれるようになったワタミが介護事業売却に踏み切るなど、経営的には決して恵まれているわけではありませんでした。
その理由として儲かりやすい都市部では当然ながら競争相手が多いこと、そして地方では移動や待ち時間、顧客数の少なさなどから経営効率が悪いこと等々様々な理由もあるのでしょうが、やはり基本的に公定価格で安売りされている点から一般業でよくある高付加価値による高収入が期待しがたい点に加えて、国も介護支出に関して医療同様絞りにかかってきていることが大きいと思いますね。
ただ記事には最近の介護報酬引き下げがこうした事態を招いたと言う風にも取れる書き方なんですが、およそ今の形で介護業界が成立して以来ずっとこの調子で社会的に冷遇されてきたのも事実なのであって、現在語られているような問題は10年前にも全く同様に語られていたわけであり、言ってみれば現場は未だにこうした状況を解決する術を持たないまま何とかその場しのぎでやりくりしてきたとも言えます。
その結果直接若手を指導するベテランも育たず進むべき道を示す優秀な経営幹部も不在とくれば現場スタッフの待遇改善も進むはずもありませんし、むしろこのところの人材不足で記事にもあるように「来た人は誰でも雇用している」と言う状況だそうですから、質的な面ではこれからも改善が進むどころかますます改悪が進んでいく可能性の方が高そうに思われます。

先日も訪問介護スタッフが利用者に介護の様子をブログで赤裸々に語っていて、実名を出してしまったことも大いに悪かったのでしょうがプライバシーの侵害や名誉毀損に当たるとして損害賠償を命じられる判決がありましたが、これなどは必ずしも悪意があっての行為ではなかったのかも知れずですが職業的訓練が行き届いていなかったとしか言い様がない行為ですし、そもそも利用者と信頼関係があれば裁判にまでなっていなかったかも知れませんね。
そうした点で現状では人手不足が新人教育の余力を奪い、また離職者の多さが職場内での教育水準向上を阻む結果、ますます職場内の環境が悪化し新規参入者の減少や離職者の増大を招くと言う、かなり悪循環と言える環境にあるようですが、一昔前の医療崩壊最盛期と言われた時期の医療現場においても似たような状況ではあったわけです。
ただ医療の場合中心に居座る医師と言う存在が高学歴で社会的適応力が低い専門馬鹿であり、言ってみれば他に食っていける道がないからこそ結局逃散だ、立ち去り型サポタージュだと言っても業界内部には留まり続けたことに対して、仕事が嫌になって介護現場を離れた人間が業界内の別などこかに再就職すると言うのはまず一般的には多いことではないのでしょうね。
低賃金で低待遇と言う点でかつて看護師なども非常に悲惨な状況にあると言われていましたが、白衣の天使等々社会的にそのイメージを改善するキーワードには事欠かなかったこともあって離職者も多くても参入希望者だけは多かったことを考えると、目先の介護報酬改定などよりも業界としてのイメージ改善を何とかしていかなければ抜本的な解決策には結びつかない気がします。

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コメント

「イケメン介護男子」写真集 初版売れ行き好調
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2015/09/22/kiji/K20150922011182960.html

もはや何でもあり

投稿: | 2015年9月24日 (木) 07時25分

職員の男女比を考えたら介護女子グラビアの方がクオリティ高そう。
でも女性を多く呼び込みたいんだからイケメンでいいのかな?

投稿: ぽん太 | 2015年9月24日 (木) 08時20分

消防士は例のマッチョ写真集でわりあいにイメージ向上したともききますね。

投稿: 管理人nobu | 2015年9月24日 (木) 17時43分

「介護離職ゼロ」目指し、特養増設・待機解消へ

読売新聞 9月24日(木)3時6分配信

 安倍首相は、先の自民党総裁選の公約で掲げた「介護離職ゼロ」の実現に向け、特別養護老人ホーム(特養)の大幅な整備に乗り出す方針を固めた。

 全面的に介護が必要な入所待機者を、2020年代初めまでに解消することを目標に掲げ、16年度当初予算から特養の整備費用を拡充する。24日の記者会見で、社会保障制度改革の最重要施策として表明する。

 首相の記者会見を踏まえ、政府は、少子高齢化や、労働力人口の減少を食い止める策の検討に向け、経済界や労働界などでつくる「国民会議」を創設する。

 特養の入所待機者は、13年度で全国に約52万人いる。このうち、身の回りの世話が一人ではできず、自宅で待機している「要介護3」以上の約15万人をゼロにすることを目標とする。

 特養を増やす具体策として、政府は、消費増税分を原資とする「地域医療介護総合確保基金」(15年度の介護分で724億円)を財源として活用する。社会保障の財源としては将来、家庭に眠っているタンス預金を掘り起こすことが期待される「無利子非課税国債」の発行が検討される可能性がある。

投稿: | 2015年9月24日 (木) 21時48分

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