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2015年8月 4日 (火)

少子化の時代に子どもを預けることの難しさ

このところ熱中症による死亡例などが盛んに報じられていて、あちらこちらで被害が続出しているのは非常に気になるところなんですが、その熱中症に絡んで「何故?」と多くの人が疑問に感じたというのが昨年夏に発生していたと言うこちらの事件です。

死亡の乳児 体重1キロ余減る(2015年7月29日NHKニュース)

去年7月、宇都宮市の託児施設で生後9か月の赤ちゃんが高熱を出して熱中症で死亡し、元施設長ら3人が逮捕された事件で、死亡した赤ちゃんの体重が宿泊保育に預けられる前に比べて1キロあまり減っていたことが警察への取材でわかり、警察は元施設長らが水分などを十分に与えていなかったとみて調べています。

去年7月、宇都宮市の「託児室といず」で、生後9か月の山口愛美利ちゃんが宿泊保育中に熱中症で死亡し、警察は施設を経営していた元施設長の木村久美子容疑者(58)ら3人を、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕しました。

警察によりますと、愛美利ちゃんは3泊4日の宿泊保育中に下痢の症状や38度以上の高熱を出し、4日目の未明に死亡したとみられています。さらに、死亡した愛美利ちゃんの体重は施設に預けられる数日前に母子手帳に記録されていた体重に比べて、1.4キロほど減っていたということです。

生後9か月の女の子の平均的な体重が8キロほどであることから体重の減り方は激しく、警察は気温の高い日が続いた中で木村元施設長らが愛美利ちゃんに水分などを十分に与えていなかったとみて詳しく調べています。

警察の調べに対して、3人は「医者に連れて行くような症状ではないと思った」などと供述しているということです。

生後9か月の赤ちゃんの体重が短期間に1キロあまり減っていたことについて、自治医科大学小児科学講座の小坂仁教授は「生後9か月の標準的なお子さんで1.4キロ減るということは、体内の水分の15%くらいを失っている状態で、命に危険が及ぶ状況です。それだけの脱水になると、普通に子どもを見ていれば危険が十分に分かるはずだ」と話していました。

まあ今の時代には何が普通かと言うことは非常に個人差もあるところで、現に毎年子どもが熱中症でこれだけ大変なことになっているのですから「普通に見ていれば」と言うのもあまり意味がないコメントなのかなと言う気がするのですが、やはり託児室として子どもを預かっている以上は一般家庭よりも注意深く見守っているだろうと言う期待感はあるのだろうし、いささかお粗末なケアであったと言う批判は出来るのかも知れません。
ただ多くの方々がこの記事を読んで疑問に感じたというのが「そもそも何故こんな小さな子どもを宿泊保育に?」と言う点で、もちろん各家庭それなりの事情があってのことなのでしょうけれども、やはり個体差の大きい小さな子どもの場合なるべくであるなら普段の状態を知っている家族がケアをするのが安心だろうと言う考えは理解出来ます。
こうしたケースの場合、例えば親が急に入院することになった等々様々なやむを得ない理由がある場合も多いと言うのですが、もちろん急にどうしてもと言う事情があった場合は仕方がないにせよ、親なら幼い子どもがいる間は育児最優先でやるべきだと言う世間の風当たりの強さを改めて感じられたようには思いますね。
もちろん育児のあり方も歴史的文化的背景と言うものもあって、いわゆる進歩的な考え方ばかりが万事優れていると言うものでもないのでしょうし、今後若年世代が親との同居率が再び上がることで家庭内介護力がどうなっていくかは興味深いテーマでもあるのですが、少しばかり気になるのは制度的な問題によって育児が親にとって大きな負担にもなりかねない状況があるらしいと言う点です。

「育休で退園」差し止め認めず(2015年7月28日NHKニュース)

育児休業の取得を理由に、保育園に通っている上の子どもを退園させる制度は違法だとして、子育て中の親が所沢市に退園の差し止めを求めた仮処分の申し立てについて、さいたま地方裁判所は、「市は、保育園の継続が必要と認めた親には、継続できる方針を示している」などとして訴えを退けました。

この問題は、所沢市が今年度から親が育児休業を取得した際、すでに保育園に通っている2歳児以下の上の子を原則として退園させる制度を新たに設けたのに対し、子育て中の17人の親が、「保育を受ける権利を侵害し、違法だ」などとして裁判所に退園の差し止めを求める仮処分を申し立てていたものです。

これについてさいたま地方裁判所の志田原信三裁判長は、「市は、保育園の継続が必要と認めた親には継続させる方針を示しており、これを適正に適用すれば法の趣旨に反する事態は生じない」などとして28日までに仮処分の申し立てを退けました。

これに対して訴えた親と弁護士が記者会見し、「継続させる判断基準が不明確なうえ、公平に審査されているかも疑問で、決定は不当といわざるを得ない」などと批判し、仮処分とは別に、退園の差し止めを求めている裁判で改めて争っていく考えを示しました。

一方、所沢市の藤本正人市長は、「市の主張が認められたものと考えます。今後も適正な運用に努めて参ります」とコメントしています。

記事にもあるように所沢市は今年度からこうした制度を設けた結果非難と批判が殺到しているのだそうで、特に市長が「子供は保育園に行くよりも、お母さんと一緒にいたいはず」と釈明?したことが火に油を注いだとも言うのですが、まあしかし育児休業が終わればまた保育所で預かりますと言うくらいなら、最初から継続して預かっとけよと思ってしまいそうですかね。
しかし所沢市ばかりが叩かれていますが類似のルールと言うのは他地域でも以前からあるのだそうで、一つには保育所の数が足りないための待機児童問題と言う物理的制約ももちろんあるのでしょうが、もともと国の通達では保護者が育児休業中は原則的に保育所入所を認めないと言う不思議なルールになっていたと言い、さすがに問題だとされたのか平成14年頃から段階的に柔軟な運用を求める通達が出てきていたようです。
ただ状況を考慮し柔軟に対応をと言われても、入所の可否を判断する市側が駄目だと言えば入所できないわけですから、自治体の財政状況や保育所の空き状況などによってその都度判断されるとなれば親としても長期計画が立ちませんし、そもそも今の時代共働きが基本である上に、これだけ国を挙げて少子化対策を言っている時代に行政の対応がこれではおちおち子どもも生んでいられないと考える親も多そうです。
一方で行政側としては現実的に限られた予算と施設容量、マンパワーで最大限多くの住民の利益になるよう努力してきたと言う自負もあるのだろうし、実際に以前から同様の運用がされてきた他地域では所沢市のような大騒ぎになっていないわけですから、行政サービスの不利益変更に関してはとかく住民の反発を招きがちだと言うことも出来るだろうし、いささか制度改変を急ぎすぎたと言う批判は実際にも少なからずあるようです。

ちなみに産休、育休を取得しても継続的に子どもを預かってもらうためには保育継続入所申請書と言うものを書いて提出しなければならないのだそうですが、この審査はまずは保育所側がその子を引き続き引き受けるべきか、それとも新規に待機児童を引き受けるべきかを判断し、しかるのちに自治体側が地域性なども考慮し判断すると言う二段階の審査になっていると言います。
申請書には継続理由と言うものを書く欄があって、如何に保育継続が必要であるかを丁寧に詳細に書き連ねることが審査に通るコツだと言う噂もあるようですが、もちろん保育を継続されなければ生活が成り立たないし、祖父母等親族による代替手段もないと言った事情があれば書いておくのはいいとして、実際のところ保育所にしても自治体にしてもどこまで真面目に書類を審査し、裏取りの確認作業を行っているのかです。
今回の裁判でも問題になっているように判断基準や審査の実際は明らかにされていないわけで、何しろ各家庭内の事情などは仮に個人情報保護の壁を突破出来ても真面目に調査するなら膨大な作業量になるはずですから、単純に何かしらの数字基準に従って機械的に作業が進められている可能性も大いにありそうですが、こういう時代だけに「実は親と保育所との関係が一番重要」と言う噂には何やら頷けるものがあるようにも感じます。

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コメント

てか、こんな制度があったってこと知らなかった。国はどういって正当化してたんだろ?

投稿: | 2015年8月 4日 (火) 12時31分

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