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2015年8月27日 (木)

国策としての少子化対策がうまく行きそうにない背景事情

先日は文科省が「妊娠しやすいのは何歳まで?」等と言う実に即物的と言いますか、またぞろ進歩的な方々から御意見をいただきそうな高校副教材を作ったと言うニュースが出ていて、もちろん「いろいろな選択肢がある高校生の段階から、科学的・医学的な現実を知ったうえで、本人が自らの選択をする、早い段階で現実をお伝えする(有村少子化担当相)」のは重要なことだとは思います。
ただ一方で少子化と言う問題に関して言えば単純に「子供なんて産みたいときにいつでも産めばいい」などと言う無知が積み重なって起きていると言うわけではなく、もう少し別な根本原因があるのではないか?と言う考え方もあって、その一つの根拠となりそうなこちら厚労省の調査結果が話題になっています。

子供希望しない独身男女が増加 既婚者は「3人」が多数派 厚労省調査(2015年8月23日産経新聞)

 21~30歳の独身の男女が、将来的に子供を希望しない割合が10年前に比べて増加していることが23日、厚生労働省の調査で分かった。自分の時間を優先し、子供に対する関心が薄れている傾向にあった。

 独身の男女に将来、子供を何人希望するか聞いたところ、平成25年の調査では「0人」と回答した男性は15・8%(15年調査8・6%)、女性は11・6%(同7・2%)でともに増えた。最も多い回答は「2人」で男性は43・0%(同55・1%)、女性は55・9%(同57・0%)だった。

 子供を希望しないと答えた人に子供観を尋ねたところ、「自由な時間が持てなくなる」が最多で「感じていることは特にない」「出費がかさむ」が続いた。厚労省は「結婚意欲の低下もあり、子供への関心が低くなっている」と分析する。

 一方、既婚の男女が希望する子供の数は、10年前は「2人」が最多だったが今回は「3人」が多数派となり、男性で46・2%、女性で47・4%を占めた。

結果については色々と解釈出来る部分もあるかと思うのですが、個人的に感じたこととして結婚や出産に関して無関心な層が一定程度いる一方で、子供を持つことに関して肯定的な層はより多くの子供を持ちたがっていると言うように、結婚や出産に対しての意識が二極化してきているように感じるのですがどうでしょうか?
少子化原因の一つとして結婚に結びつく出会いが少ないと言う指摘があり、各地で自治体等が働きかけて合コンをやっただとか様々な涙ぐましい対策が講じられつつあって、もちろん機会がなくて結婚出来ない人も少なからずいるのでしょうが、一方では結婚や出産など自分自身の生活を何かしら制約することに対して強い忌避感を持っている人々が増えていると言うことも、各種調査で明らかになってきているようです。
別に子供が欲しいわけでもないし性生活も自分なりに幾らでも対応出来る手段がある、そして結婚したからと言って相変わらず夫婦共働きを続けなければ暮らしていけないと言うのでは、確かに結婚と言う行為そのものが余計な束縛の増加などデメリットしか存在しないとも言え、人生全てをドライに計算に基づいて過ごす傾向があると言う今どきの若者が受け入れないのも当然と言えば当然かも知れません。
一方で社会的に見れば結婚と言う行為は家庭内相互扶養と言う可能性を生み出す行為でもあって、特に近年社会的対策が進められている生活保護受給者増加や高齢者の介護問題なども家族内での相互支援と言うことが強調されつつあるわけですが、当然ながらこうした「家族なんだから助け合うべき」と言う社会的圧力もまた結婚と言う行為に踏み切ることを躊躇うハードルとなっているようです。

恋人が家族の介護をしていたら… 「結婚をためらう」男性46%、女性68%(2015年8月22日キャリコネ)

トレンド総研は20~60代男女500人を対象に、介護に関する意識調査を行った。「自分の親」が要介護状態になったとき「自分」が中心になって介護を行うと答えた人は、男性では50%と半数にとどまったが、女性では63%を占めたという。
また、「義理の親」が要介護状態になったとき、女性では「自分」が中心になって介護を行うと答えた人が40%を占め、「自分の配偶者」は20%だった。これに対し男性では、「自分」が中心になると答えた人がわずか6%、「自分の配偶者」が60%を占めた。

■親の介護は実質的に「長男の嫁」の負担が大きそう

自分の親の介護を「自分」が行うと答えた人に、きょうだいの中での位置を尋ねたところ、「長子」が62%で最多。次いで「末子」(20%)、「一人っ子」(11%)、「中間子」(7%)と続いている。
自分の親の介護を自分がやらないと答えた人の中には、「それは長男・長女のところでやるから」と考える人が少なからずいるのだろう。もっとも長男といっても、配偶者に期待する人が多いことを考えると、実質的にその妻(長男の嫁)に負担がかかる可能性が高い
この傾向は、結婚前から警戒されている。「交際中に恋人が家族の介護をしていたら、恋人との結婚をためらうと思いますか?」という質問に「そう思う」と答えた人は、男性では46%にすぎないが、女性では68%にのぼっている。「親の介護目当ての結婚」はお断りということだろう。

まあしかし非常に生々しいと言いますか、人間の本音が見え隠れする良い調査結果だと思うのですけれども、誰しも他の条件が同じなら余計な面倒は回避したいと思うのが当たり前で、その意味ではかつては資産等を期待する意味もあった「親付き」と言うのは今の時代、決して結婚においてプラス評価になるとばかりも言えないと言うことでしょうか。
現実的に結婚年齢がこれだけ上がって来ますと、結婚する世代の親はそろそろ介護も真剣に考えていくべき年代であると言うケースが少なくないと思うのですが、当然ながら家庭内での介護労働力確保を期待する気満々と言うのでは相手も腰が引けると言うものですし、昨今では義理の親ばかりでなく義兄弟が引きこもりやニートだったと言ったリスクも認識されているようで、高齢ニート問題などと言われているようですね。
かつて結婚先の家柄親族等々を興信所なりを使って調べると言うことは当たり前の時代もあって、結婚は個人同士の話であるのに家族を云々するのは問題だとして身元調査は行わないようにしようと言う運動が広まりましたが、逆に言えば親族間に何かトラブルがあっても親族内で何とか出来る程度には家庭の扶養力があったからこそ、結婚が個人同士の話に留めていられたのだとも言えるかも知れません。
今では親族と言えば子供が一人きりと言う老人世帯など珍しくも何ともないし、親戚づきあいなど全く絶えていると言うケースも稀ではないわけで、単純に高齢者の医療・介護において同意書一つ取ろうにも苦労すると言う現実があるわけですが、そんな時代に家族と言うものの再構成が必要だとこんな理由で推奨されても、多くの人間にとっては何ら有り難みは感じられない話ですよね。

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コメント

>交際中に恋人が家族の介護をしていたら

この質問にものすごーく違和感を感じるのは、私だけでしょうか?
ごく一部の方を除いて、交際相手は50前後?

投稿: | 2015年8月27日 (木) 09時33分

40過ぎて不妊治療でギリギリ一人っ子だけ確保した、なんてパターンは結婚時期に介護問題が浮上しそうで子供は気の毒

投稿: | 2015年8月27日 (木) 09時51分

50前後なら、「交際相手が要介護状態だったら結婚をためらうと思いますか?」という質問になりますな。

投稿: JSJ | 2015年8月27日 (木) 10時16分

いや昔は社会的入院により介護は医療が受け持っていたからですよ。
年齢とか無関係に恋人が家族の介護してるなんてレアケースだった。

投稿: | 2015年8月27日 (木) 11時22分

単に子供が多くて介護を押し付けられている人がいても比率的にレアになってただけじゃないの?

投稿: | 2015年8月27日 (木) 11時42分

単純計算で親二人に子供一人なら多子時代より扶養介護の負担は高くなるのでしょうし、お隣中国がまさに現在進行形でその問題に直面していますから、日本としても他山の石としたいところです。

投稿: 管理人nobu | 2015年8月27日 (木) 12時07分

ようするに悪循環なんじゃないの?
少子化スパイラルをなんとかしないとどうしようもないよ

投稿: | 2015年8月27日 (木) 12時25分

独身者の子供いらない比率の増加に加え、既婚の男女が希望する子供の数がいくら3人が多数といっても
あくまで希望であって現実は1人が多数だろうし。
(女性が30も過ぎてから結婚していては、3人の子供なんてなかなか無理じゃなかろうか?)
個人の権利を制限しない限り、少子化スパイラルを止めることは出来無いんじゃない?

投稿: | 2015年8月28日 (金) 08時45分

現在の少子化対策が、女性の権利拡大にのっかっているから逆に少子化が進むんですよ。
大義名分に囚われているうちは、改善は見込めないんじゃないかな。

投稿: | 2015年9月 3日 (木) 10時51分

そうそう、医者の人権などという大義名分に囚われていては、医者不足も改善しないしw

投稿: | 2015年9月 3日 (木) 13時03分

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