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2015年8月13日 (木)

医療費抑制政策、再び強力に推進されそうな勢いに

財政改革に関する議論が進んでいる中で、特に固定的支出として近年その抑制が急務とも言われるのが社会保障費関連の支出ですけれども、先日は医療・介護領域においても数字目標の導入が行われることになりそうだと言うニュースが出ていました。

医・介の数値目標設定で改革評価を明確化- 諮問会議の専門調査会、12月に工程表策定(2015年8月10日CBニュース)

政府は10日、経済財政諮問会議の下に設けた「経済・財政一体改革推進委員会」(専門調査会、会長=新浪剛史・サントリーホールディングス代表取締役社長)の初会合を開き、医療・介護分野などの改革の取り組みを評価するための数値目標を設定することを決めた。専門調査会は数値目標の達成時期などを明示した改革工程表の策定に向けて検討し、12月に諮問会議で取りまとめる。

この日の会合では、専門調査会が検討する項目を確認。主要歳出分野のうち、社会保障では最も多い44の検討項目が挙げられた。国や自治体、保険者、国民などの取り組みを評価する数値目標を設定するとし、例えば医療・介護に関する地域差是正の目標として、療養病床の数や平均在院日数などを考慮する方向性が示された。生活習慣病予防のための保険者の取り組みや、国民の主体的な健康づくりの取り組みを評価する目標なども検討する。

専門調査会は、「骨太方針2015」に盛り込まれた経済・財政再生計画の進捗を管理するために設置した。専門調査会の下に、▽社会保障▽非社会保障▽制度・地方行財政-の3つのワーキング・グループ(WG)を設置し、今月中にそれぞれ初会合を開く。11月までに専門調査会の会合を6回、各WGの会合を数回程度開き、数値目標の設定や改革工程表の策定に向けて議論を重ねる。

まあこうした場合の数字目標と言うものは現状から遠くかけ離れた緩い目標であることはまずないので、現実的には現状よりも少し抑制的な目標を目指してみんな頑張ろうねと言う話にまとまるのだと思いますけれども、当然ながら目標を達成出来なかった場合のペナルティーなりがあるのかどうか?その方法として誰にどうやってペナルティーが科されるのか?と言う点は非常に興味深いところですよね。
特に医療に関しては全国統一の公定価格で行われているわけですが、保険の査定に関しては地域によってそれなりに甘い辛いの差はありますから、例えば目標達成が果たせなかった地域では国保患者の査定が急に厳しくなり各医療機関が泣きを見ることになると言うのであれば、場合によっては保険の種類によって収益性の高い患者、低い患者と言う区分が発生し医療行動にも影響を与える可能性があるかも知れません。
自治体などが保険者になる国保や生保患者はこの点で管理がしやすいとすれば、企業など健保患者なら安心か?と言えばそういうわけでもないらしいのは、先日出ていたいわゆる消費税損税問題に見られる支払い側の厳しい態度にも伺えるところなんですが、まずは記事から紹介してみましょう。

2014年改定の補填状況を調査、消費税分科会 支払側「2014年度改定の補填、必要額か」との声も(2015年8月8日医療維新)

 中央社会保険医療協議会の診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(分科会長:田中滋・慶応義塾大学名誉教授)が8月7日に開かれ、消費税率8%への引き上げ対応があった2014年度診療報酬改定の補填状況の調査実施が決定した。結果は11月めどに報告される予定。
(略)
 最初に厚生労働省の担当者が、現在までの対応を説明。医療機関が医療材料の購入や設備投資について払った消費税は、公的医療費が非課税のため、患者から消費税を徴収できず、医療機関の実質的な負担になっている点を改めて紹介した。また、消費税率が5%から8%に引き上げられたことを受けて、2014年度改定において、医科本体に対して、約2600億円を補填したことも説明した。
(略)
 消費税を巡っては、医療機関側としては、十分な対応がなされていないとの考え方が根強く、税率10%への引き上げも控える中で、さまざまな議論が出た。消費税率8%時点までの補填の認識を問い質したのは、日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏と日本歯科医師会常務理事の瀬古口精良氏。厚労省保険局医療課医療企画調査室長の込山愛郎氏は、「(消費税導入時と引き上げ時の計3回は)、必要額を確保して、上乗せしている」と回答。さらに、その他の改定率の引き下げで、補填分が削減されている可能性については、「改定率は全体の状態を踏まえて決めている。全体の中でコストとして反映されている」とした。ただ、「(現時点での実質的な補填分明らかにするのは)難しい」とも述べ、実質的な補填率が明らかにならない可能性を指摘した。伊藤氏は、医療界も含め、多くの医療機関が問題の理解が進んでない部分がある点を踏まえて、過去の経緯が分かる資料を示すように、厚労省に求めた。
 日本医師会副会長の今村聡氏が指摘したのは、保険償還されない医療材料の存在。薬価・特定保険医療材料については、消費増税時の改定時に補填されてきた。ただ、今村氏は、診療報酬に含まれる医療材料などを念頭に「病院などから『保険償還されない医療材料の影響が大きく、対応があれば助かる』との指摘がある」と紹介し、配慮するように求めた。

支払側、補填額に疑問

 健保連の白川氏が指摘したのは、2014年度改定の影響。2014年度改定について、医科本体への消費税対応分とされた2600億円が、薬価の引き下げ財源と同額だった点について、「(不自然で)今でも気になっている。2600億円の手当てが必要だったのか」と指摘し、調査の中で、マクロでの補填額の妥当性を検証するように求めた。
 今村氏は、税率5%時点で、医療機関に実質的な負担があった点を踏まえて、「(5%と時点で)マクロの補填は十分でなかったために、大きく補填不足にならないように2600億円の対応になった」と反論した。石井公認会計士事務所所長の石井孝宣氏が、直近2年間で起きた円安やインフレ傾向を踏まえ「補填分については、(単純な額面では)簡単に議論できない」と述べる場面もあった。
(略)
 白川氏は、日医が、病院団体や財務省、厚労省の官僚を交えて実施している、消費税の“見える”化を検討している委員会の存在にも言及。委員会は、現在、消費税の影響を調べる医療機関の調査を実施している中、白川氏は「(中医協の場でなく)日医の検討会で議論して、案を固めて持ち出されても困る」と釘を刺した。日医の今村氏は、日医の委員会の議論の内容を9月以降に示す考えで、「結論めいたことを決める会ではない」と理解を求めた。

この医療現場における損税問題についてはそもそもの元凶が日医であることは知られている通りなんですが、医療費抑制政策が敷かれ医療機関の経営が悪化する中で無視出来ない因子としてクローズアップされてきた中で、表向きの立場としては診療報酬改定には消費税分も配慮されているのだからそれでいいじゃないか、と言うことだったわけです。
ただその補填分が正しく消費税相当になっているのか?と言う評価そのものがまともに行われていなかったと言う話で、何となくトータルでこれくらいの増減にしておけばまあよかろうと言うどんぶり勘定だったわけですから、今後さらに消費税増税が行われていくにつれ大きな損税が出てくるのかも知れずですし、逆に過剰に補填が行われていたと言う可能性もまあゼロではないのでしょう。
これに対して支払い側委員が払いすぎなんじゃないか?とクレームを入れてくると言うのも予想されるところではあるのですが、本来消費税に関係する機材費などは病院毎に異なっているはずで、それが正しく反映された負担になっているものなのか、それとも高い機材をバンバン使う基幹病院も聴診器一本で消費税も何もない町医者も同じような補填率になっていると言うこともあり得るのかですよね。
この辺りは日医辺りに話を任せておくと「公平に全ての医療機関が補填されるべきだ」等々の名目でどんぶり勘定に話を持っていこうとする可能性も無きにしも非ずだとも思うのですが、医療に限らず総額でいくらが多い少ないと言う議論から立場の違いを反映した各論的議論に転換していくとなると、医療が決して一枚岩などではなく内部での利害対立もあると言う現実もあからさまになるのかも知れませんね。

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コメント

医師側の防衛力も高まってるのでどうなるか見ものですね。
勝ち組負け組ではっきり別れそうな気が。

投稿: ぽん太 | 2015年8月13日 (木) 08時43分

診療科による差も出てきそうですね
新専門医制度も始まるし
専門医間の格差も出てきそう

投稿: | 2015年8月13日 (木) 08時59分

専門医取得に見返りを用意するかどうか、専門医に定数を定めるかなどが今後の注目点になりそうです。

投稿: 管理人nobu | 2015年8月13日 (木) 12時03分

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