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2015年8月11日 (火)

医療現場にも人工知能が導入される?

海外では近ごろ人工知能の社会的応用が進んでいて、ネット配信する記事を書いたりだとか訴訟資料の下調べをしたりなど様々な社会的方面での活用法が模索されている最中なのだそうで、日本でも先日は「人工知能で法律専門家の仕事は奪われるか」なるテーマでのディスカッションが行われるなど、最近では専門職と言われる領域に今後どれだけの影響が及んでくるかが注目されています。
その大前提として今や単純労働に関しては家の掃除から自動車の組み立てまで機械がやった方が早く確実だし、技術的には何ら人間に依存する必要がないレベルにまで機械が進歩している現実があって、いわば人間最後の砦として知的専門職の業務がどこまで「人間にしか出来ない」仕事であり続けるかが注目されているとも言えますが、将棋のような有限性のある分野ではすでに機械が人間を追い越した?とも言われていますよね。
そんな中で医療分野と言えば非常に個体差、症例毎のバリエーションが多く、しかも判断を一つ誤れば深刻な健康被害が及びかねないと言う点から未だに機械の進出を防いでいる領域の一つに挙げられると思いますが、その医療分野においてもまだまだ人工知能が活躍する余地がありそうだと言うのがこちらの話です。

悩ましい判断、人工知能が手助け 1分で賛否両論を披露(2015年8月9日朝日新聞)

 難しい判断を迫られた課題などを質問すると、賛成、反対、それぞれの立場から理由つきの意見を語ってくれる人工知能(AI)を、日立製作所が開発した。理論武装を助けるソフトとして、実用化をめざしている。

 日立が7月に公開したデモ。パソコンに「カジノは禁止すべきか」という質問を入力すると、1分ほどで英語の音声が流れ出した。禁止に賛成する理由としては「依存症の人が増える」「犯罪を促進する」、禁止に反対する理由として「雇用を促進する」「経済を活性化する」が挙げられた。

 AIが1分間ですませたのは、約970万本の英文記事の分析。まず質問の主題を解析し、関係がありそうな記事を抽出。さらに理由や根拠にあたる部分を探し出し、賛成、反対の意見を文章に組み立てて語ってくれる。年内には日本語版もつくるという。

 目的に応じてAIが分析するデータを変えれば、用途が広がるという。

 例えば、医療現場で手術に踏み切るべきかを迷った場合、電子カルテ、学術論文といったデータがあれば、網羅的に賛否の根拠を得られる。生産現場で部品を交換すべきかの判断に迷った場合は、部品のセンサーの情報、過去の修理記録などをもとに判断に役立つ意見を与えてくれそうだ。

 AIの機能は賛成、反対双方の意見を語るまでにとどめ、賛否の判断自体は人間にまかせるという。日立広報は「意思決定は人間がすること」と話している。(南日慶子)

もちろん形の上では意志決定は人間がすると言うことになっているのですが、全世界の論文の90%はその治療を支持しないなどと言われるとそれに反してやれる人間がどれだけいるのかで、昨今のガイドライン全盛の時代にあってガイドラインから外れた治療がなかなか行いにくくなってきたように、医療の世界においても「正解」は次第に一つに集約化していくのか?と言う考え方も出来そうな話だと思います。
逆にそこまでこだわりがないだとか、専門外でどうやったらいいか指針が欲しいと言う場合に、各種エビデンスを併記して示してくれるのは非常に便利な機能とも思えるところで、例えば論文の概略をエビデンスレベルと共に検索しやすい形で登録しておくと言った下準備をしておけば、かなり精度の高い意見を機械が提示してくれそうだと言う期待感はありそうですよね。
実のところ医療の分野と言えどむしろ大部分は実は単純な判断の累積の上に成り立っていて、それが逆説的に証明されるのがいわゆる医療事故の多くが「何故そんな単純ミスを?」と思うようなことから始まっていることからも判ると思いますが、例えば日常診療で使う薬の投与禁忌のチェックだとか、飲み合わせの確認などはほとんどが単純作業であり、薬剤師が手作業でやるよりは機械が自動的に確認した方がよほど早くて確実にも思えます。
また機械の提示した情報に従って何かトラブルが発生したとしても、少なくともエビデンスとしては揃っているわけですから紛争化した場合でも反論はしやすい理屈で、実際にこうした人工知能が活用出来るようになれば特に検察や裁判官など医療分野に必ずしも精通していない人々が、その行為は妥当なのかどうか?と言うチェックをするのにも非常に活用されそうには思いますね。

こうしたものが発達して現場にどんどん入ってくるのがいいのか悪いのか?と言う視点で考えると、今現在医師は多忙で大変だと言うことになっているのですから、少なくとも業務が楽になると言うものであれば積極的に導入していくべきなのだろうし、電子カルテのようにかえって仕事が大変になる、先生が画面ばかり見て患者を見ないと反対意見も多いようですとまた判断が難しくなってきそうですよね。
ただ社会的活用と言う観点で考えると、むしろ農業漁業や建設現場、あるいは長距離輸送業務など人間の求職者が少ない領域でこそ積極的に活用すべきものであるはずで、例えば出港から帰港まで全て全自動で魚を獲ってくる全自動のロボット漁船などは古来SFでもお約束のものであるし、畑を耕しタネをまくだとか雑草を抜くと言った部分ももっと機械化が進められそうには感じます。
ただもちろん、その分のコストについて元が取れるのか?と言うことが一番大きな導入のハードルになるわけですが、一般に機械的な生産物に関しては年々性能が向上するとともに値段は下がっていくものであり、他方で日本人はますます数が減って労働コストは高くなっていくとなれば、いずれどこかで機械にやらせた方が安上がりと言う日が必ず来る理屈です。
その点で案外医療のように何よりも成績が最優先、コストは二の次と言った風潮のある領域の方が先行的に導入はしやすいのかも知れずでしょうし、「医療現場で安全性が証明された!」と言われれば一般社会でも受け入れやすいと言う部分もあるでしょうから、どこかの病院なり先生なりが使ってみて具合がどうだったのか?と言うことをまずは聞いてみたいですよね。

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コメント

医者 看護師は肉体労働に近いのでまだまだ無理でしょう
ケンブリッジ大学の人が言うには
高度なコミュニュケーション 手先の器用さ 想像力
ここら辺はまだまだ人間のが優位らしいので
弁護士 会計士あたりは人工知能に奪われる部分が多いでしょうね。
多分今世紀中にホワイトカラーは結構人工知能に置き換わるかと

投稿: | 2015年8月11日 (火) 07時29分

患者さんの相手させるのにベッドサイドに人工無能配備をしようぜ

投稿: | 2015年8月11日 (火) 08時12分

お年寄りの長話にいつでも付き合ってくれるロボットってちょっと欲しいです。

投稿: ぽん太 | 2015年8月11日 (火) 09時01分

シーマン

投稿: | 2015年8月11日 (火) 09時04分

と言うよりも、患者同士のチャットシステムと言うのもありかなと言う気がします。

投稿: 管理人nobu | 2015年8月11日 (火) 11時35分

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