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2015年8月 7日 (金)

武蔵村山市のBSL4施設がついに稼働(ただし、ひどく限定的)

先日WHOが「エボラ予防に100%の効果を持つワクチン」なるものを確認したと発表して話題になっていましたが、患者と接触後すぐにワクチンを投与された4000人からは一人も患者が出なかったと言うことで、実際に有効性や安全性が確認でき臨床応用可能と言うことになりますと、これは今後のエボラ対策をも大きく左右する話にもなりそうですよね。
とは言えエボラに限らずお隣韓国で話題のMERSであるとか、以前から何度も危機が叫ばれている新型インフルエンザ等々、世界的に感染症の大規模流行が問題となることがたびたびである中で、以前からその稼働が望まれていたあの施設がついに、と言うニュースが先日出ていました。

武蔵村山市長「稼働やむなしと判断」 レベル4施設、国と合意(2015年8月3日日本経済新聞)

 塩崎恭久厚生労働相は3日、国立感染症研究所・村山庁舎(東京都武蔵村山市)が立地する同市の藤野勝市長と会談し、同庁舎内にあり、エボラウイルスなど危険性の高い病原体を扱う「BSL(バイオ・セーフティー・レベル)―4」の能力を持つ施設を稼働することで合意した。稼働すれば日本で初めてで、治療法などの研究が可能になる。
 厚労省によると、先進7カ国(G7)でレベル4の施設が稼働していないのは日本だけだった。近く感染症法に基づく指定手続きを取る。実際にレベル4の病原体を扱う時期は未定。

 会談終了後、記者会見した藤野市長は「慎重に考慮した結果、稼働やむなしと判断した」と説明。塩崎厚労相は「(施設建設から)30年以上続いた問題が解決でき、感謝している。市民の懸念があるので万全の対策を進めていきたい」と述べた。
 同日の合意では、安全性を懸念する地元住民に配慮し、(1)レベル4施設の使用は感染者の生命を守るために必要な診断や治療などに関わる業務に特化する(2)積極的な情報開示や外部のチェック体制を確保する(3)将来的に同市以外の候補地も検討する――などの条件を確認した。

 レベル4施設はウイルスを扱う安全基準が最も高く、稼働すれば、エボラウイルスなど危険性の高い6種類の病原体を詳細に解析したり、治療法やワクチンを開発したりすることが可能になる。
 村山庁舎内には1981年にレベル4の能力を持つ施設が建設されたが、周辺住民らの反対などから稼働していない状況が続いていた。同施設はウイルスが外に漏れないよう密閉環境を整備。現在は、扱う病原体の危険性を1段階下げたレベル3施設として利用している。

 厚労省によると、世界にはレベル4施設は今年3月時点で19カ国に41施設あり、住宅地に隣接するケースもある。国内のレベル4施設は理化学研究所(茨城県つくば市)にもあるが稼働しておらず、長崎大が長崎市内での新設に向け検討を進めている。

ようやく稼働のBSL4施設 活用は限定的、さらなる住民理解が不可欠(2015年8月3日産経新聞)

 研究者が待ち望んでいた、危険度の高い感染症の病原体を扱える「バイオ・セーフティー・レベル(BSL)4」施設がようやく稼働する見込みとなった。先進7カ国(G7)でBSL4施設が稼働していないのは日本だけで、中国や韓国でも建設が進む。エボラ出血熱など危険度の高い感染症の患者の診断や治療には不可欠な施設だが、研究施設として軌道に乗せるには、住民への理解をさらに進める必要がある。

 武蔵村山市の藤野勝市長は3日、「当面は検査以外の業務を行う状況にないことが前提だ」と述べ、施設で行う業務を検査に限定するよう求めた。厚労省は感染者から分離したウイルスの型や量を調べて治療方法を決めたり、検査方法の開発や改良を行ったりすることを想定。製薬企業や大学などが利用するのは難しく「治療薬やワクチンの開発などがすぐ行えるわけではない」(厚労省)とする。

 感染症に詳しい川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「検査をするのは一瞬だが、そのためには日ごろから知識や経験を重ねることが重要だ」と指摘する。BSL4施設で扱える病原体は国内になく、研究にはウイルス入手も必要となる。

 西アフリカのエボラ流行など国際的な感染症の脅威を前に、市は施設の重要性に理解を示したが、今後の運営に当たっては情報開示や地域とのコミュニケーション強化を求めた。塩崎恭久厚労相は「住民の懸念を払拭するようコミュニケーションを積極的に行う」と明言。外部有識者を活用したチェック体制の確保なども約束した。                           

記事にもありますように非常に限定的な稼働状況になると言うことで、もちろん何もないよりはあった方がいいのは間違いないのでしょうが、以前にも書きましたように日本では感染症に対する法的な強制力の担保など未だ課題山積と言う状況であって、実際に患者が出てくる状況にでもなれば早速困ることになるんじゃないかと言う懸念の声は以前から根強いものがありました。
実際にお隣韓国でも先日のMERS騒動に際して患者や感染疑いに対する隔離が全く機能せず、自宅隔離されているべき人が外国に旅行に出かけてそこで診断が確定されたと国際問題にまで発展しかけた経緯がありますが、社会全体としての利益と個人や集団の利益とのバランスは常に非常に難しい問題があるところです。
今回の施設もハードウェアとしては揃っていながら地域住民の根強い反対から稼働できない状況が続いていたと言うことで、米軍基地問題や原発再稼働問題などと同様の観点からも論じることが可能かと思いますけれども、いずれも施設が存在することのリスクもある一方で施設があることのメリットも当然ながらあるわけで、その一方だけを取り上げて論じるのは公平ではないと言う気はしますね。

こうした話は地域エゴ的な側面も否定出来ないところで、単純な話東京で患者が出た、武蔵村山市で発症者が見つかったと言うことが起こる可能性もあるわけで、その場合自分達のところで検査なり治療なりを行うのはマカリナランが、他府県の施設に患者や検体を送り込むのは何ら良心の呵責を感じないと言うのはやはり少し釈然としないものがあるでしょう。
その意味で原発などが問題になったのは電力の大消費地から遠く離れた僻地に建設していたからだとも言え、東京電力がそんなに電気が必要なら東京に原発を作れよと言う声は以前から根強くありますし、実際に津波災害にも強いとして浮体方式の原発と言うのも海外では開発が進められていると言いますから、将来的には原発も電気が必要な場所に設備を持ってきて発電すると言うスタイルになるのかも知れません。
こういう施設も特定地域に偏っているから「なぜオラが町だけ」と反対も根強いのだとも言えそうですが、あちらに一つ、こちらに一つと集約化するよりもいっそ都道府県毎に一つずつ用意しておいた方が「まあ自分達で使うものなんだから仕方ないか」と言うことで、現状におけるゴミ処理場建設問題程度には住民の反発も落ち着いてくるのかも知れませんね。

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コメント

現実的に東京に一つきりでは不便ではないかと。
旧帝大に一つずつ作ってみちゃどうでしょうね?

投稿: ぽん太 | 2015年8月 7日 (金) 08時14分

反対派住民は自分たちは絶対使わないんだよな?

投稿: | 2015年8月 7日 (金) 10時54分

こういうものも周辺住民問題で立地困難と言うのであれば、それこそ船上実験室のようなものであってもいいのかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2015年8月 7日 (金) 13時40分

船だと火事や沈没でヤバいでしょ
こういうのこそ月面基地でも作って

投稿: | 2015年8月 7日 (金) 14時32分

宇宙線の影響で未知の新ウイルスが誕生するのですね!

投稿: | 2015年8月 7日 (金) 15時31分

>こういうのこそ月面基地でも作って
月までの道中で チャレンジャーみたいに空中分解したら
世界中にウィルスがバラ撒かれることに…

投稿: | 2015年8月 7日 (金) 17時39分

サンダーバード3号と5号を思い出した。

投稿: | 2015年8月 9日 (日) 14時32分

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