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2015年7月27日 (月)

政府、いよいよ医療費削減に本腰入れる

国会延長が為される中で2016年度予算についてようやく話が出始めているどころですが、近年久しくその抑制が課題に挙げられて久しい社会保障費について、先日こんな記事が出ていました。

人件費減に応じ要求上乗せ 予算概算基準の全容 社会保障6700億円増(2015年7月21日共同通信)

 政府が検討する2016年度予算の概算要求基準の全容が17日、分かった。人件費などの「義務的経費」の要求額を15年度予算に比べて削減できた場合、減らした実績に応じて、重点政策に充てる「特別枠」の要求額を上乗せできる措置を打ち出す。人件費などを歳出抑制の聖域としないことで、財政再建への姿勢をアピールする狙い。24日の閣議了解を目指す。

 年金や医療といった社会保障費(15年度は30兆2千億円)の要求は、高齢化に伴う6700億円分の増額を認めるものの、「合理化・効率化に最大限取り組む」ことを掲げる。地方自治体に配る地方交付税交付金(同15兆5千億円)は、財政再建に配慮して要求額を検討するよう求める。

 概算要求基準では政府の新たな成長戦略や、経済財政運営の指針「骨太方針」に沿った事業に充てる特別枠「新しい日本のための優先課題推進枠」(仮称)を用意し、総額4兆円程度の要求を認めるのが目玉だ。

 公共事業など政策判断で決まる「裁量的経費」に関しては、各省庁が15年度予算(総額14兆7千億円)から10%減らすよう要請し、削減後の額の30%分まで特別枠に要求できる仕組みとする。

 義務的経費は15年度の12兆5千億円と同水準までの要求を認めるが、カットできた場合は削減額の30%分を特別枠に上乗せできるようにして、各省庁の効率化の意欲を高める。

 義務的経費は人件費が中心で、通常は減らしにくい。ただ、政府の経済財政諮問会議では、公的サービスへの民間参入などで抑えられるとの指摘が出ていた。

10%減らされる代わりに最大30%分まで要求出来ると言うのでは減らした計算にならないはずですが、もちろんこの特別枠については厳しい審査がついてくると言うことなのだろうし、いわば均等割で削減した予算を各省庁らが競争して奪い合う形になると言う、なかなか興味深い未来絵図が想像出来ますよね。
人件費を機械的に抑えられるものなのか等様々な疑問は残るにせよ、固定的出費ですっかり硬直化している財政支出を何とか改めようと言う気概は買いたいと思うのですが、当然ながら特別枠等は一時的出費としては認められても今後どうなるかは全く先読み出来ないわけですから、要するに財政支出はどんどん減らしていくと言う大方針が打ち出されたのだと理解しておけばいいと思います。
一方で気になるのが社会保障費に関して自然増分の増額を認める前提条件として「合理化・効率化に最大限取り組む」ことが掲げられたと言う点ですが、文字通りに解釈すれば最大限取り組んでいない場合増額を認めないと言うことになるのですけれども、合理化・効率化とはどのような状況を示すのかと言うことを示唆するこんな記事が出ていました。

医療費削減、地域間で競争を…厚労省が比較データ提供(2015年7月22日読売新聞)

 厚生労働省は来年度、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用割合やメタボ健診(特定健診)の実施率など医療費関連のデータについて、地域間で比べられる形で都道府県に情報提供を始める。

 医療のデータをグラフ化して各都道府県の位置付けが一目で分かるようにし、地域間で競い合いながら医療費削減に取り組んでもらう

 人口あたりの病院のベッド数や、必要以上に病院を受診する患者が多いと医療費の増加につながる。一方、後発薬の使用や糖尿病の重症化予防への積極的な取り組みは医療費削減につながるとされる。

 厚労省は、都道府県別のメタボ健診受診率や1人あたりの医療費、病院ベッド数など既存のデータに加え、後発薬の使用割合や、医療機関の重複受診、薬の重複投与、生活習慣病の重症化予防の取り組み状況など、新たなデータを集め、グラフにまとめて都道府県に配る。グラフにはメタボ健診の実施率70%のように厚労省の目標も表示する。

 都道府県は2016年以降、医療費の抑制策を盛り込む6~7か年の「適正化計画」を作成する。計画には23年度の医療費やテーマ別の目標を掲げるが、グラフも一緒に載せて住民が他地域の状況を知ることができるようにする。厚労省は毎年、新たな情報を提供し、都道府県が医療費の低い他地域の取り組みを調べられるようにする。

この医療費の地域間格差と言うものも近年たびたび話題になっているところなんですが、基本的に保険診療でやっている以上全国共通の公定価格でしか行われていないんじゃないの?と言う考えが実はかなり甘かったようで、医療費に最大2倍以上もの大きな地域格差があると言うちょっと驚くような現実が示されてしまったわけです。
これだけ大きな地域差が発生した理由として地域毎の自然環境など患者側の違いもあるのだろうし、保険の査定水準の差が行われている医療内容を決めると考えると地方毎に統一基準で審査が行われていないからだとも言えるのでしょうが、そうした格差を抜きにしていきなり結果だけの平等を追及すると言うのはやはり現場に取っては厳しいんじゃないかと言う気がします。
この辺りは自治体に対してどの程度のアメとムチを用意し政策誘導していくのかにも関わってくるかと思いますが、基本的に自治体議員などは選挙のたびに医療など社会保障の充実を唱えて当選してきた方々ばかりなのですから、今さら抑制した方が国から褒められますと言われても即座に路線転換出来るものなのかどうかですよね。
むしろ将来道州制なりで自治体の自主的な裁量権が拡大してくる時代になれば、低負担低水準の医療や高負担高水準の医療など、地域ごとに医療のあり方も違ってくると言うのも面白いんだろうと思うのですが、医療がどこででも受けられる自由がある以上、よりより医療を求めての人口移動も起こってくるものなのかで、あるいはかつて田舎自治体が町立病院を整備して住民を呼び込もうとした話と似たようなことになるかも知れませんね。

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コメント

高まる医療崩壊への期待感にwktk

投稿: | 2015年7月27日 (月) 08時14分

医療の無駄を省くのは基本的にはいいことだと思います。
でもその無駄で経営が成り立ってる病院も多いんですよね。
国としちゃそんな病院潰れてしまえなんだろうけど。

投稿: ぽん太 | 2015年7月27日 (月) 09時30分

無駄で食ってるのは病院だけじゃないんだよね
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20091205

投稿: | 2015年7月27日 (月) 10時53分

救急搬送受け入れ困難例が続出して空床の必要性がようやく理解されたように、近い将来パンデミックなりが発生してようやく医療リソースの冗長性の必要性も理解されるのかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2015年7月27日 (月) 12時45分

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