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2015年7月22日 (水)

人を殺す電気柵はニセモノの電気柵です

先日は静岡県で感電事故による死者が出たと大いに話題になっているところですが、まずはこちらのニュースから紹介してみましょう。

男児が電気柵に接触、断線か…電線が川につかり次々感電の可能性(2015年7月20日産経新聞)

 静岡県西伊豆町で動物よけの電気柵付近で7人が感電し、うち2人が死亡した事故で、川遊びをしていた男児が左手に大やけどを負い指を断裂する重傷を負っていたことが20日、県警下田署への取材で分かった。県警は、男児が電気柵に接触した際に電線の一部が断線して川につかり、助けに向かった人々が次々に感電したとみて調べている。

 また、電気柵の電源が、近くにある農機具小屋の家庭用コンセント(電圧100ボルト)だったことも判明。ぬれると皮膚の電気抵抗が大幅に下がるため、電気保安協会の関係者によると、100ボルトの電気に接した場合は、ショック死する可能性があるという。

 電気柵はアジサイの花壇を鹿から守るために近隣の男性が設置。静岡県によると、30ボルト以上の電源を使用する電気柵を人が簡単に立ち入る場所に設ける場合は漏電遮断器を設置するよう義務付けられている。事故後に現場に入った人が「水の中でピリピリした」と話しており、事故時も漏電していた可能性が高いことなどから、県警は安全対策に不備があったとみて業務上過失致死傷容疑での立件も視野に捜査を行う方針。
(略)

電気柵の感電事故 漏電防止など安全対策捜査(2015年7月20日NHK)

(略)
警察は20日朝から現場で事故の原因となった電気柵の状況などを調べました。これまでの調べで、岩村さんの長男が電気柵に触れたあと、電線の一部が川の中に垂れ下がったとみられていますが、この電線には対岸の納屋にある100ボルトの家庭用のコンセントから電気が流れていたことが分かりました。この方法で電気柵に電気を流す場合、法律では電源付近に漏電を防止する装置を設置するよう定めているということで、警察は、事故が起きた電気柵にそうした装置が備えつけられていたかどうかなど、安全対策に問題がなかったか、詳しく調べています。

電気柵 専用の電源装置が必要
警察によりますと、7人が感電した原因となった電気柵は、現場近くの住民がシカからあじさいを守るため、設置していました。
7人が感電した川には切れた電線がありました。この電線は電気柵の一部で、すぐ近くにある橋を伝って、およそ25メートほど離れた対岸にある納屋まで延びています。この納屋には家庭用の100ボルトのコンセントがあり、そこから電気柵に電気が流れていたということです。

電気柵のメーカーで作る「日本電気さく協議会」の宮脇豊会長は、今回の事故について、「正しく使用していれば、人体に影響が出るような事故が起きることは考えづらい。設置状況を詳しく調べる必要があると思う」と話しています。
宮脇会長によりますと、電気柵を設置する際、家庭用コンセントなどから直接、電気を流すことは法律で禁止されていて、断続的にしか電気が流れない専用の電源装置を使うよう定められています。協議会に加わっているメーカーでは、電源装置を製作する際の基準として、電気の流れる間隔を1秒以上開け、3000分の1秒ほどと瞬間的に電気が流れるようにしているということです。電気柵に流れているのは6000ボルトから1万ボルトと高圧ですが、瞬間的なため、動物が触れても死ぬことはなく、驚かして近づかないようするためのものだということです。さらに国は、人が簡単に立ち入ることができる場所に30ボルト以上の電源から電気を供給するときは、漏電時に電気を遮断する安全装置を設置するよう求めています。
(略)

風呂の中で感電事故が起こりやすいのと同じで、川の中に電流が流れると特に危険なのだそうですが、この種の電気柵はちょっとした田舎であればどこにでもありふれた装備であるだけに、こんな死者が出るような危険なものだとは知らなかったと言う人も多いのではないかと思います。
見たところ河原に生えている紫陽花なのに何故こんな電気柵など装備しているのか?と言う疑問も多くの人が感じたようですが、記事によれば一応は地元の方が花壇にしていたと言うことであるようで、そもそもこうした水辺かつ公共の場所に近い立地で使用するのが妥当なのか、そして通常昼間は通電しないと言いますが何故通電が続いていたのかなど疑問が残るところです。
それ以前にまさかコンセントに電線を直結していたわけでもないのでしょうが、法律で義務づけられている漏電遮断装置がなかったと言い明らかに安全管理上問題が大きいと言えますから、今後刑事で立件されると言うことがなかったとしても民事訴訟などになる可能性は十分ありそうに思いますね。

しかしちょっと田舎に行けば身近にどこにでも見かけるこの種の装置、まさか人が事故に遭うようなこともないよう何かしら安全対策はしてあるのだろうと思っていたところ、どうやら必ずしもそうではなく単純に電気を流しているだけと言う場合もあるようだと言う事実に対する恐怖感はありますよね。
今回の事故も含めて過去にも電気柵による死亡事故は起こっているのですが、どうも電気柵と言う言葉のイメージに釣られてか単純に電源に電線をつないだだけのニセモノを設置していた場合が多いようで、本来的には動物等が接触したときに短時間だけパルス上に電流を流す仕掛けであるにも関わらず、案外広く誤解されているのではないかと言う懸念があります。
今どき電線などそこらのホームセンターで幾らでも手に入るだろうし、今回のように近所の電源から電線を引いてくるだけと言うことをやっている人が全国にどれほどいるのか知りませんが、まさか「電気柵に触る人間はいないだろう」「ここなら誰も通らないだろう」と言った思い込みで危険な仕掛けをしているのだとすれば、これは安全に直結する大変な問題ですよね。
興味深いことにこの種のニセモノ電気柵の自作方法と言うものがネット上などでも広く公開されているのだそうで、今の時代ですからこうしたサイトの情報を参照に手製の仕掛けを作り上げる人もそれなりにいるのだと思いますけれども、法律違反であるのみならず何かあれば刑事、民事双方で大きな責任を負う可能性があることは承知しておくべきだと思います。

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コメント

なんで河原のアジサイ勝手に囲んでんだろ?

投稿: | 2015年7月22日 (水) 08時13分

言われてみればコンセントにつなぐだけじゃ危ないですもんね。
こんなのがどれだけ全国にあるんだろ?

投稿: ぽん太 | 2015年7月22日 (水) 09時31分

漏電防止の装置がなかった上に、夜間だけ通電するはずが電気を切り忘れたのだそうで、普通に考えて業務上過失致死くらいは問われそうな状況に思います。
ただやっていたのが被害者の親族であったとかなかったとか言う情報もあるようなので、事実だとすると民事等での賠償請求はいろいろと難しそうですよね。

投稿: 管理人nobu | 2015年7月22日 (水) 12時52分

 石川県でも電気柵に触れて感電する被害が出ました。

 17日午後2時ごろ、石川県津幡町の畑で作業をしていた95歳の女性が隣の水田に設
置された電気柵に誤って触りました。女性は、感電したショックで一時、動けなくな
り、病院に搬送されましたが、けがはありませんでした。

 電気柵に触れた女性:「大変なことやったわ。命拾いさせてもらいました」

 この地区では、水田に合わせて4kmの電気柵を設置し、5000ボルト以上の電圧で電
流を流していたということです。

http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000055158.html

投稿: | 2015年7月22日 (水) 18時03分

合法電気柵からスタンガンやゴム弾はては麻酔銃もそうですが、非致死性とされているものでも完全に死亡率ゼロは達成できませんよね。
確率は低くても、運悪く死ぬ人間は出てきます。

投稿: | 2015年7月23日 (木) 10時57分

<西伊豆感電死>電気柵、設置者が自作 安全対策考慮せず
毎日新聞 7月22日(水)21時9分配信

 静岡県西伊豆町の川岸で19日に7人が感電して2人が死亡した事故で、付近に電気柵を設置した男性(79)が柵を自作していたことが、捜査関係者への取材で分かった。市販品は通常、感電事故を防ぐため漏電時に自動的に電流を止める「漏電遮断装置」や、連続して電気が流れないようにする「パルス発生装置」がセットになっている。男性は県警に「部品を買い、自分で作った」と話しているといい、県警は安全対策を考慮していなかったとみている。

 捜査関係者によると、電気柵の電源は川岸から約25メートル離れた男性宅の納屋の家庭用電源(100ボルト)から取っており、コンセント近くにあった変圧器から直接、コードで柵につなげられていた。変圧器は電圧を最大400ボルト程度にすることが可能だった。男性は県警に「夜間だけ電気を流し、昼間は切っていた」と話しているが、事故があった19日午後4時半ごろは、電源が入っていたとみられる。

 県警が21日の現場検証で実際に電気を流すと、柵に通電し続け、漏電しても電気は止まらなかった。

 業界団体「日本電気さく協議会」によると、電気柵と家庭用コンセントを直結することは電気事業法で禁止され、コンセントと柵の間に「パルス発生装置」の設置が義務付けられている。この装置によって電気が3000分の1秒流れた後、1秒以上止まる状態が繰り返され、触れても一瞬刺激を受けるだけで済むという。

 また、30ボルト以上の電源を使用する場合は「漏電遮断装置」の設置も義務付けられている。設置していれば、電線が水の中に入っても電気が流れ続けることはなかったという。

 電気柵メーカーによると、2009年に兵庫県南あわじ市で農家の男性が、家庭用100ボルト電源に直結されていた電気柵に触れて死亡した事故以降、同協議会加盟社は「漏電遮断装置」を標準装備にした。同協議会は「直結すると電気が流れ続け、感電した人間は筋肉が硬直し、柵から離れなくなってしまい、死に至る可能性がある」と指摘する。【松岡大地、荒木涼子、井上知大】

 ◇「自分のミス」設置男性

 電気柵を設置した男性の親族は22日、報道陣の取材に応じ、男性が「漏電防止装置を付けなかったのは自分のミスだった」と話していることを明らかにした。

投稿: | 2015年7月23日 (木) 12時38分

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