« 期待権は便利使いされている? | トップページ | 人間が運転しない方が車は安全? »

2015年7月31日 (金)

既得権益維持には極めて熱心な日医という団体

高齢者に対する地域包括ケアと言うものが推進される中で何が必要かと言う議論が進む中で、薬局の位置づけも今までよりもずっと積極的・直接的に国民の健康管理に関わり合うべきだと言う方向で検討がなされているようで、例えば近年では薬局で血糖など簡単な血液検査もしてはどうか?と言う声もありますが、こうした薬局の新たに期待される機能として「健康情報拠点」と言う言葉が用いられています。
その健康情報拠点薬局と言うもののあり方について先日の厚労省検討会で大筋合意されたと言うニュースが出ていて、今までよりもかなり踏み込んで主体的に患者に関わっていくことになりそうだと言う総論がまとまったところなのですが、これに対して予想通り?日本医師会(日医)からは反対意見が出ています。

【厚労省検討会】拠点薬局の定義、大筋合意‐かかりつけに健康支援上乗せ(2015年6月22日薬事日報)

 厚生労働省の「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」は18日、地域の健康情報拠点にふさわしい薬局の基準作りの前提となる「拠点薬局の定義」について大筋で合意した。厚労省が示した定義では、かかりつけ薬局の基本的な機能を持った上で、一般薬の適正使用に関する助言や、健康に関する地域住民からの相談を幅広く受け付けて専門の職種や機関につなぐなど、健康サポート機能も併せ持つ薬局と位置づけている。次回以降、この定義に基づいて、拠点薬局の基準や、名称などについて議論を深めていく。

 拠点薬局の定義は、患者情報の一元化や、24時間対応・在宅対応など、かかりつけ薬局としての基本的な機能を備えた上で、▽要指導薬、一般薬等の適正な使用に関する助言を行う▽地域住民のファーストアクセスの場として健康に関する相談を幅広く受け付け、必要に応じ、かかりつけ医をはじめ適切な専門職種や関係機関に紹介する▽健康に関する情報提供を積極的に行う――ことなどを例示し、「地域包括ケアの一員として、国民の病気の予防や健康づくりに貢献している薬局」と位置づけた。

「かかりつけ医の本来の仕事まで浸食」薬局・薬剤師の「健康情報拠点」懸念(2015年7月1日医療維新)

 6月28日の日本医師会の定例代議員会で、政府の成長戦略で進められているセルフメディケーションについて、検体測定室などを例に薬剤師の業務拡大についてやりとりがあり、懸念出た。日医の中川俊男副会長は、「(薬剤師は)人数が増えて、新たな業務を探そうと必死。かかりつけ医の本来の仕事まで浸食しようとしている」との見解を示した。鈴木邦彦常任理事も答弁の中で、「本来推進すべきは、(セルフメディケーションでなく)セルフケア」との認識を示し、医師の診断プロセスの重要性を強調した。

かかりつけ薬局「健康への貢献に疑問」

 日本再興戦略においては、セルフメディケーションの推進を掲げていて、薬局や薬剤師を活用して地域の健康情報拠点とする方針を示している。関連法のグレーゾーンを解消して「自己採血による簡易血液検査」も可能とする方針。日本医師会と日本薬剤師は、昨年12月、自己採血について、「地域医師会・かかりつけ医の十分な理解と適切な指導の下」に行うこととされている。
(略)
 埼玉県の代議員の徳竹英一氏は、薬剤師が血液検査した場合、補助金が支給される制度の存在を指摘して、セルフメディケーションの推進で「医療の範囲が狭まるのが一番の懸念。(狭まる事態を避けるように)医療と(セルフメディケーション)の境界を定めた定義を明らかにしてもらうのが安心」と述べた。
 この答弁には、中川副会長が立った。検体測定室の日薬とガイドラインを決めた点について、「測定室を認めたのではなく、無法地帯だったから」と説明。ガイドラインについて、「完璧に守れば、やりきれないくらい厳しいもの」として、制限なく広がらないようにするための一定の足かせになるとの認識を示した。
 さらに、中川副会長は、薬剤師について、「人数が増えて、新たな業務を探そうと必死。特に、日本薬剤師会に加盟していない薬剤師が必死で行動している。かかりつけ医の本来の仕事まで浸食しようとしている」として、薬剤師業務の拡大に対峙していく姿勢を見せた。その上で、「日薬とは協調的な路線を守っていきたい」とも述べ、けん制対象は、独自に全国展開するような大手チェーンの調剤薬局であることをうかがわせた

まあしかし薬剤師も医薬分業に始まり「新たな業務を探そうと必死」なのも確かなのでしょうが、全国の臨床医が増え続ける業務に追われ過労死を心配しなければならない状況下で、一生懸命既得権益を維持し少しでも医師の仕事を増やそうと努力していらっしゃる日医の皆さんにも頭が下がる思いがしますでしょうか。
薬剤師に限らずコメディカルの方々が医師の関わってきた業務に進出してくると言う場合、必ず「適切な判断、対応が出来るのか?」「何か問題があったときに責任が取れるのか?」と言うことが話題になりますが、一方で医師でなければならない業務以外は医師以外にやらせようと言うのが近年の全般的な流れであり、基幹病院を中心に医療補助スタッフ導入など様々な業務負担軽減策が講じられているところですよね。
例えば人間ドックを行ったと言う場合、連日大勢やってくる受診者全員に医師が時間を取って結果説明をする必要があるのかと言えばほとんどの場合には必要がないのだろうし、むしろ生活指導などは栄養士などの方がよほど詳しく話が出来るのでしょうけれども、同様に考えるとほとんどの日常健康管理に関して最初の段階から医師が全て関わる必要はないんじゃないか?とも言えるかも知れません。
その意味で日常的なチェックはかかりつけ薬局で行い、何かあれば医師に相談と言うやり方もゲートキーパー的機能としてありかなと思いますが、まさにこの仕事の奪い合いと言う観点から日医的に薬剤師の業務拡大は断固阻止すべきだと考えているのでしょう、先日はこんな記事も出てきていました。

日医、リフィル処方せん反対明言 薬剤師による体調確認想定に「議論する状態にない」(2015年7月23日医療維新)

 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小員会(委員長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が7月22日に開かれ、残薬問題にからんで、6月末に閣議決定で検討を求められている分割調剤やリフィル処方せんについて話し合った(資料は、厚生労働省のホームページに掲載)。
 日本医師会副会長の中川俊男氏は、リフィル処方せんについて、薬剤師が患者の体調を確認することが想定されることから、「体調確認はかかりつけ医の業務」「議論する状態にない」と強く反対し、他の診療側委員が同調する場面もあった。今後、残薬解消や分割調剤の拡大とともに議論される見込み。

リフィル、保険者も「負担増なら反対」

 分割調剤については、現在は長期保存が困難な薬剤や、後発医薬品を初めて使用する場合に限って認められている。内服薬1種当たりの平均投薬日数は、無床診療所では18.1日なのに対して、病床規模が増加するにつれて増加して、500床以上の場合、37.7日となっている。さらに残薬経験の有無については、2013年度の厚労省の患者を対象とした調査では、「大量に余ったことがある」は4.7%、「余ったことがある」が50.9%となっている。さらに調剤薬局の応需処方せんの中で、残薬に伴う日数・投与回数の調整は0.23%にとどまっている。分割調剤については、6月末に閣議決定した「規制改革実施計画」において、「リフィル処方せんの導入や分割調剤の見直しに関する検討を加速し、結論を得る」となっている。
 リフィル処方せんについて、明確に反対を示したのは、日医の中川氏。分割調剤が、ほとんど進んでいない現状を認識するように求めた上で、「リフィル処方せんは数段次元が違う話」と指摘。「(リフィル処方せんが導入されると、薬剤師が)体調まで診ることになる。かかりつけ医のど真ん中の役割。議論する状態にない」と述べた。他の委員からメリット・デメリットを示すように求める声が出ても、中川氏は「そんなに関心を持つものではない。分割調剤の議論を深めてほしい」とした。
(略)
 鈴木氏は、長期処方についても、「一定程度上限を設ける必要がある」と言及し、かかりつけ医機能を推進して、大病院からの逆紹介の徹底を求めた。中川氏も「行き過ぎた長期処方がある。勤務医の疲弊を理由の長期処方も考え直すべき」との見解。ただ、万代氏は、長期投薬の制限や、処方のための工夫で病院の負担が増えないように求める場面もあった。
(略)

最近流れていた「日医がリフィルに賛成」と言う飛ばし記事?を否定した形なんですが、背景としてはまさに記事中にも示されている通り、クリニックがやたらと患者を短期間で来院させたがるのに対して大病院ほど患者をなるべく来院させたくないと考えていることが処方日数からもうかがわれると言う現状で、その理由としてもちろん大病院に患者が集中し業務過多から勤務医達が疲弊してしまっていると言う現実があるわけです。
これに対して日医としてクリニックにどんどん患者を逆紹介しろ、今以上に長期の投薬が可能になる制度改定などトンデモナイと主張するのはこれまた当然と言えば当然なのですが、まあ公平客観的な視点で考えてみると日本では患者がいつでも好きな医療機関にかかってもいいと言う自由を保障している以上、現時点でリフィル処方箋の必要性は乏しいと言うのはそれはそれで正論ではないかと言う気はします。
もちろん日医として本音では前述のような逆紹介への期待とともに、それまで毎週のようにやってきていた患者が薬局に奪われていくことへの危機感があることは言うまでもないことですが、この点で興味深いのは先日日医会長が全国での必要医師数調査結果を踏まえ、「医師絶対数は充足しつつある」として医学部新設に改めて反対したと、全国医学部長病院長会議の場で発言したことが報じられている点です。
某大先生のようになんでもいいからとにかく医師を増やせの一点張りもどうかと思いますが、これも穿って考えずとも日医としては商売敵が増えることは歓迎できないと言う話でもあって、今後日医としては数は足りている、問題は偏在だと言う主張を今まで以上に強調していく考えなんだろうと示唆されるところです。
もちろん日医の偉い先生方が若い医者にだけ僻地勤務を義務づける、などと言うことがあるはずがないとは思うのですが、やはり日医関係者には長年地域診療に従事してきたベテランの先生方も多いことですし、日医会員資格として何年間の僻地診療経験を求めるだとか、開業医は原則医療過疎地域以外での営業を認めないだとか、日医としていかに地域医療に貢献出来るかも検討していただきたいですよね。

|

« 期待権は便利使いされている? | トップページ | 人間が運転しない方が車は安全? »

心と体」カテゴリの記事

コメント

マジで日医は老害を象徴するような存在だな。
調剤権すら未だに保持したまま何様のつもりだっつーの。

病院内では下剤や下痢止めですらイチイチ主治医のお伺いを取らないと出せない。
その程度の事で毎回電話かけられる臨床医も可哀相になるよ。

投稿: | 2015年7月31日 (金) 08時25分

開業医の先生もけっして日医支持ってわけじゃないですし。
でも日弁連よりはまだましなのかなって思っちゃう自分がかなしい…

投稿: ぽん太 | 2015年7月31日 (金) 08時36分

私をはじめ、非開業医の多くは会員じゃないから、我々の意見と違うのは当然でしょう。問題は、日医を医師の代表として取り扱う、マスコミや役所でしょう。

投稿: 麻酔フリーター | 2015年7月31日 (金) 10時25分

日弁連は強制加入ですからね
なのに政治活動してるあたりがタチ悪いですが
チーム医療と最近よく言われてますが各団体の利害が対立して上手くいってないみたいですね。
2025年まであと10年
そんな争ってる余裕はないと思いますが

投稿: | 2015年7月31日 (金) 11時25分

>病院内では下剤や下痢止めですらイチイチ主治医のお伺いを取らないと出せない。

いやだってホントに下剤や下痢止めでいいのかどうかは医師にしか判断でけんでしょーがw?患者がStevens-Johnson型とかTEN型薬疹とかでおっ死んでも医師にまで累を及ぼさず看護師だか薬剤師だかで全面的に責任取ってくれるんなら別にいいけど現状法的に不可能だし…

>その程度の事で毎回電話かけられる臨床医も可哀相になるよ。

嫌なら辞めろw

>でも日弁連よりはまだまし

強制加入なのに勝手に政治的、というか売国的発言ばかりカマされちゃタマランですよまるで弁護士は全員中韓の手先のおフェラ豚みたいじゃないですかヤダーw
http://www.sankei.com/affairs/news/150701/afr1507010030-n1.html

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2015年7月31日 (金) 11時29分

まあ日弁連も日弁連なんですが、実は言ってることのアレさ加減では日医もそれほど大差ないかも知れないと言う気も時々はします(単に相手にされていないだけで)。

投稿: 管理人nobu | 2015年7月31日 (金) 12時13分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/61984584

この記事へのトラックバック一覧です: 既得権益維持には極めて熱心な日医という団体:

« 期待権は便利使いされている? | トップページ | 人間が運転しない方が車は安全? »