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2015年7月14日 (火)

介護は必ずしも美談ではない

介護と言うことに関して昨今何かと話題になることが多いのですが、先日こんなニュースが出ていたのをご存知でしょうか。

高知東生“義父介護で引退”語る「高島礼子のファンだから」(2015年7月8日女性自身)

 7月1日、スポーツ報知が高知東生(50)の俳優引退を報じた翌日の7月2日、本誌は高知に直撃取材した。高島礼子(50)の実父・武さんは’04年にパーキンソン病と診断され、現在は横浜市の実家で1人暮らしをしている。なぜ婿である高知が俳優を引退してまで、介護に専念することにしたのか?
「もともと、自宅を(’04年に)建てたときは将来、お義父さんといっしょに生活するつもりでした。でも、大正生まれの男性ですからね。病気で倒れてからも、お義母さんと暮らしていた横浜の家のほうがいいと言っているんです。自宅もバリアフリーですが、あちらもバリアフリーに改装しています。以前、(義父が)家の中で転倒したことがありました。いくらヘルパーさんたちが気をつけてくださっていても、(介護には)思わぬことが起こります。支えて歩くのも大変ですし、男の力が必要になることもあるのではないかと考えています。ゆくゆくは横浜に通って、お義父さんの介護をしていければと考えています」

――この6月いっぱいで、所属事務所を辞めたそうですが?

「そうですね。実は、介護の勉強を始めたいと思っているんです。お義父さんは大正15年生まれで、人生の大先輩でもありますし、僕にとっても大事な人ですから……」
 高知が生まれたとき、両親は未入籍で、彼は母の女手ひとつで育てられた。
「その母も、僕が17歳のときに(交通事故で)他界したんです。僕にとって、いまや親といえるのはお義父さんだけですからね。これからはお義父さんといっしょにいられることを感謝して、お義父さんの人生に役立つことができればと考えています」

 高知の介護士転身は、妻・高島への深い愛ゆえでもあるようだ。
「僕は、高島礼子という女優の、一番のファンなんですよ。カミさんが少しでもいい芝居をしてくれることが、僕にとって何よりも大切で、それをサポートできればと。カミさんの力になるためには、どうすればいいのか?その答えが、彼女のお父さんの介護ということだったんですね」
 16年前の披露宴では「親も礼子も大事にする生き方をまっとうしたい」と語っていた高知だが、その誓いをいまも守り続けているようだ。

記事のコメントを読んでいますと何かかっこいいと言いますか、かなり男を上げた気がするのですけれども、もちろんこの一連の経緯に関しても批判ややっかみもあることなんですが、たとえ裕福であったり奥さんの稼ぎが大きかったりで経済的に問題がないと言う場合であったとしても、実際赤の他人である義父のために素人男性がここまで出来るかと言えば難しいだろうなとは思います。
高齢の親を子供が仕事を辞めてでも面倒を見ると言えば一般的には美談に近い扱いですが、実際にはそれによって親子共々食べていけない状況に陥ったり、労働者人口流出で産業も停滞してしまうなど様々な弊害も指摘されていて、「介護離職10万人時代」を前にして企業側もいかに戦力維持を図るべきか工夫が求められるようになってきています。
教科書的にはそうした時のために介護保険と言った公的サービスが存在するのであって、自分は働きながら介護はプロに任せればいいではないかと言われればもっともなんですが、時折報じられるように介護現場で発生する各種トラブルなどを見るにつけ、果たして自分の親を赤の他人に任せていいものかと不安に感じる部分もあるのでしょう。
介護業界の方でももちろん言い分は多々あって、優秀な人材が集まらず仕事を回すのも大変だと言うことは誰しも認識している現状の問題点なんだろうと思うのですが、先日見ていて気になったこんな記事があったので紹介しておきましょう。

「介護は重労働で低賃金」教科書記述に業界反発(2015年7月11日読売新聞)

 介護の仕事を「重労働で低賃金」と記述している2社の教科書について、介護業界6団体が今月上旬、「表現が不適切」として出版社に修正を求める要望書を提出した。

 人手不足への危機感から、業界挙げての異例の動きとなった。

 要望書を出したのは、特別養護老人ホームの運営法人でつくる全国老人福祉施設協議会や日本介護福祉士会など。「中学社会 公民 ともに生きる」(教育出版)と高校向けの「最新現代社会」(実教出版)に、不適切な表現があると指摘した。

 「公民」では、本文で「介護の仕事が重労働で低賃金」と記述。「現代社会」では、介護する男性職員の写真に「特別養護老人ホームで非正規社員としてはたらく若者 介護現場は重労働で賃金も高くない」という説明を添えている。

もちろん介護業界側がこうしたクレームを入れたくなる心情は十二分に理解は出来るのですけれども、それでも実際に介護業界が低賃金であると言うことは各種統計からも明らかであり、正規雇用者の半数、非正規雇用者の7割が3年以内に辞めてしまうほど離職率が高いこともまた事実なのですから、少なくとも地上の楽園だの夢の国だのと言った讚美の文言が並んだのでは正確な表現とは言えないでしょう。
もともと介護にしろ医療にしろ国による公定価格を強いられていることも問題で、特に付加価値を付けて高い料金を取ることが難しいケースが多い介護の場合どうしても前提条件が厳しいのですけれども、それは国に対して文句を付けていくべき話であって、まるで事実を公言して実態を知られては困るとでも言うような言論弾圧めいた行動は話の筋が違うと言う意見も少なからずあるようです。
それでも何とかして介護職に関して褒めるべき点を探してみたのですが、現場労働者に対して行った調査によれば介護職の仕事に対する満足度は意外にも平均を上回っていて低い点数ではなかったと言いますから、もちろん「今どき介護などに行きたがる人間はそもそも価値判断の基準が一般人とは違う」と言った話は抜きにして考えても、現場の方々は使命感にあふれ誇りも持って仕事をしているんだろうなと想像は出来ますよね。
それでもこれだけ離職してしまう理由は何かと言えば、やはり給料が低くて食っていけない、家族が養えないと言う理由も大きいようですし、若くて体力もあり夜勤等無理が利いて給料が安い職員は歓迎するものの、いたずらに勤務年数だけ延びて給料が高くなるベテランは正直辞めて欲しがっているかのような態度の施設もあるようで、この辺りはもう少し適正な淘汰の圧力が働いていく必要もあるのかなと言う気もします。

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コメント

高知さんって最近見ないなあって思ってたんですが、Wikiで見てみると
意外とドラマのワキで出ていたんですねえ。
でも今みたいな存在感の薄い役者としてフェードアウトしてくより
義父さんを送ってから橋幸夫みたいに「わが介護」的な講演で
地道に食っく方がって計算が彼の中で…これは下衆の勘ぐりでしょうか?
「今から介護の勉強」ってそんな泥縄発言を見ちゃうと つい ね。

投稿: | 2015年7月14日 (火) 08時14分

さすがに薬物違反で逮捕されてから突然「介護の勉強をしたい」と言い出した方とは違うと思いたいんですが。

投稿: たまちゃん | 2015年7月14日 (火) 09時12分

奥さんの稼ぎが明らかに多いですしね。
一家の主夫も全然オッケーじゃないですか。
高島さんの活躍ともども応援します。

投稿: ぽん太 | 2015年7月14日 (火) 10時26分

計算が出来るほどには生活に余裕があるからこその話だと言う意見もあるようですが、確かに共働きでようやく生活が成り立つような家庭では選択肢自体限定されがちだとは思います。

投稿: 管理人nobu | 2015年7月14日 (火) 12時08分

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