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2015年6月15日 (月)

医療費抑制策としての病床削減始まる?

このところ医療費抑制と言うことが従来の財務省筋ばかりではなく、厚労省の側からも色々と出てくるようになってきていて、先日は厚労相の私的懇談会が予測よりも医療費が大きく伸びた場合、都道府県ごとに診療報酬を下げるなど積極的に医療費抑制を図れるようにすべきだと言った提言を行ったと言い、要するに都道府県が主体となってもっと医療費抑制を行うべきだと言うシナリオであるようです。
この背景にはすでに明らかになってきているように都道府県毎に医療費に最大2倍以上とかなり大きな差があると言う事実があって、その大きな要因として入院医療費の差が大きいと言った指摘もされていますけれども、先日この入院医療費抑制と言うことに関して国がこんなことを言い出したようです。

病床15万~20万削減へ 政府、25年の適正数推計 患者30万人、在宅医療に 41道府県過剰、都市不足(2015年6月12日共同通信)

 政府が2025年時点で適正だと考える全国の病院ベッド数の推計が11日、判明した。現在の約134万7千床(13年)から、10年後までに約15万~20万床削減して115万~119万床程度にすることを目指す内容だ。入院患者向け病床の適正化により、地域によってばらつきのある医療費支出を是正し、年約40兆円に上る国民医療費の抑制を図る。

 入院先が減るため、患者30万人程度が介護施設や自宅などで在宅医療を受けられるように対応を強化する。埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、沖縄の6都府県ではベッド不足のため今後は増床が必要だが、鹿児島や富山など41道府県では過剰とされ30%前後の削減を迫られる県も多い。大都市圏への人口集中や高齢者人口の変化が影響した。

 政府は近く、都道府県別の詳細な推計結果を公表し、都道府県が策定する「地域医療構想」に反映させる考え。各地域で病床を機能別に再編し、受け皿となる介護サービスとの連携を進める。
(略)
 ベッドが過剰だと不必要な入院や長期療養が増えて医療費がかさみやすい一方、病院が少ない地域は1人当たり医療費が低い傾向にある。サービス提供体制の違いが医療の費用や質の地域格差を生んでいるのが現状で、是正が求められている。

 日本の医療機関は民間経営が主体で、政府の削減方針に強制力はないが、補助金や診療報酬で誘導する。
(略)
 団塊の世代が75歳以上となる2025年には医療の需要がさらに高まると同時に、慢性的な疾患を抱える高齢者が増え、医療提供体制を見直す必要も出てくる。推計をてこに病床再編と在宅医療へのシフトを進め、医療費の無駄を省く考えだ。

 実現に向けた道標となる「地域医療構想」の策定は都道府県が担う。18年度から市町村に代わって国民健康保険を運営することも決まっており、果たすべき役割は格段と大きくなる。政府は今後、都道府県別の医療費支出の目標設定に向け検討を加速する。

 だが、今回の推計で病床数が過剰とされた道府県が置かれた状況は地域によってさまざまだ。気候や高齢化率、公共交通網などで患者の受診行動が左右される側面もある。地域の実情を無視して病床削減を機械的に進め、医療サービスの質が維持できなくなるような事態に陥らないよう、慎重な配慮が求められる。

まあ何をもって無駄だとか適正だとか言うべきなのかと言う議論はさておくとして、国民皆保険制度の建前として全国どこでも同一価格で同一内容の医療を提供していると言う(まあ実際にはともかく、ですが)ことになっているはずなのにこれだけ医療コストに差があると言う状況には、「ほぼ同じ条件なら、同じコストでできるはずだ(甘利内閣府特命大臣)」と言う声があるのも事実です。
北海道などは冬になって急増する社会的入院(春まで老人を病院で預かる)の分を見込んで予め過剰な病床数を確保しているなどと言う話もあって、やはり地域ごとの環境条件も違うのですから必ずしも同一価格でやれると言うものではないはずですが、そうは言っても実際には異なった医療を行っている理由が果たしてそうした環境要因だけなのか、何かしら他の要因もあるのかです。
医療の世界はかつては学閥によって治療法などもおおよそ系列立って行われていて、外科医などは違う大学の先生同士だと手術も一緒にやりにくいと言った話も聞きますけれども、それだけ医療の方法論に差があるのであればコストも異なっているはずですし、その差を生む理由として学閥による違い以外にも地域による保険の査定の違いなども関係しているのかも知れません。

新臨床研修制度の導入や大学医局の崩壊などで医師の流動化が進んできている時代ですから、いずれ全国どこでも学閥の流儀よりもガイドライン等による標準的な治療法の方が優先されるようになってくれば、医療費の都道府県格差もある程度縮小してくるのかも知れませんが、国の財政がそれまで待っていられないと言うのも確かなんでしょうね。
医療提供体制を強制的に平準化することが結果としての医療提供水準の平準化につながるものなのかどうかは今後の検討課題ですが、少なくとも全国統一料金でやっている以上支払いとサービス内容に地域格差がある方がおかしいと言うロジックは成立するだろうし、この場合結果の公平さを追及することに反対するのはなかなか難しそうには思えます。
ただその方法論がどのようなものが妥当なのかと言う議論は当然にあって、各都道府県に大きく権限を移管して好き勝手やらせるのだから医療費支出だけを指標にして、実際に何をどうするかは都道府県の自由に委ねると言う方法論もあると思いますが、都道府県単位では少しばかりパワー不足なのも事実でしょう。
その意味で本来的には道州制なりである程度の人口経済規模のある単位で考えていくべきことなのではないかと言う気もするのですが、今度は余計なお金を出すからもっといい医療をだとか、とにかく医療費負担を最小化しろだとか道州ごとに様々な立場が分立してしまうようなことになると、国としてコントロールがつけにくいかも知れませんね。

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コメント

平均より高い地域は診療報酬カットか
どっちにしても病院はたくさん潰れるんだろうな

投稿: | 2015年6月15日 (月) 07時44分

医療政策については、昔から国の言い出すことってホント小学生レベル。
まともな人たちが話し合っているとはとても思えないですよね。

ベッドが多いと入院しやすい。チョットしたことでも入院できる。
ベッドが不足していれば、本当に二次救急レベルでないとなかなか入院できない。
当然不足している地域のほうが医療費は使われない。当たり前なんだけどな。

ところがそれがどうして「サービス提供体制の違いが医療の費用や質の地域格差を生んでいる」
になるのか?

私が医療に関わりだして20年くらいになるが、本当に情けないほど頭が悪いのは
変わっていないですね。

投稿: hisa | 2015年6月15日 (月) 09時28分

>北海道などは冬になって急増する社会的入院(春まで老人を病院で預かる)の分を見込んで予め過剰な病床数を確保しているなどと言う話
こんなことは許さないということでしょう。私も今までは甘すぎたと思います。

投稿: 麻酔フリーター | 2015年6月15日 (月) 09時34分

推測ですが国としては空床率の高い小病院はなるべく淘汰して、今の基幹病院的な対応を標準にしたいのではないかと言う気がします。

投稿: 管理人nobu | 2015年6月15日 (月) 12時00分

ベット数 ≒ 医師数
と思っています

総理大臣を含め主要政治家を輩出する県は、ベット数が多いような気がしますが…気のせいでしょうか?

投稿: oyazu | 2015年6月15日 (月) 20時17分

あ、もう一つ…
「余剰ベッドに首都圏の高齢者を…」とき、「例えば福岡県」と解く
その心は

止めときます

経営も助かるもんなあ~どうせ交付税増やすんでしょ ww

投稿: oyazu | 2015年6月15日 (月) 20時25分

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