« 言っていいこと、悪いことの微妙な境界線 | トップページ | 今や総合診療医が人気なんだそうです »

2015年6月17日 (水)

動物にも権利があると言う、一見もっともな考え方

先日はテロリスト団体シーシェパード(SS)に対して米裁判所から日本の鯨類研究所に3億円余の支払いを命じる判決が出たと話題になっていましたが、実はこれと関連して今アメリカで注目を集めているこんな裁判があります。

チンパンジーにも人権があるのか? 米NY裁判所で“不当拘束”訴え(2015年6月13日産経新聞)

チンパンジーは「ヒト」か、それとも「モノ」か?-。ニューヨークで米国史上初めての裁判が行われている。

訴えたのは研究機関の「所有物」として飼育されているチンパンジーの「ヘラクレス」と「レオ」。5月、マンハッタンの州地方裁判所で公判が開かれ、チンパンジーの代理人となった市民団体の代表が、人間の自由を保障した人身保護法を盾に、2匹は不当に拘束されているとして解放するよう訴えた。

動物愛護運動の盛んな米国では、知性の高い動物には人間と同等の権利を認めるべきとする市民団体が、積極的な活動を展開。賢いクジラやイルカも捕獲すべきではないとし、過激団体シー・シェパードなどの組織の動員力、資金を運動に寄付する気運の源にもなっている。(佐々木正明)

長年SS問題を追ってきた産経の佐々木記者が記事にしている通り、仮にこの裁判でチンパンジーに何かしら人権のようなものが認められた場合、次のターゲットとして当然ながら鯨類の名前も挙がってくるだろうと予想されているわけですが、実際に動物の人権(と言うのも妙な言い方ですが)に関しては近年次第に世界的にも厳密な対応が求められるようになってきています。
特に人間に近い高等動物を用いて行われる動物実験に関しては非常に批判が集まりやすいようで、そもそも動物実験など禁止すべきだと主張する団体も少なからずあるようですけれども、もちろん実験に使うと言ってもきちんとそれなりの環境での待遇を確保するのは当然だろうし、その必要がある場合には可能な限り苦痛を軽減するような方法で処分すると言うのが人の道と言うことなのだろうとは思います。
とは言えこうした考えが行きすぎると当然ながら実社会に対する各種の影響も無視出来ない話なのですが、特に反捕鯨を掲げるSSら過激派組織にとっては鯨に人権的なものが認められれば錦の御旗としても活用出来そうな話である一方で、それだけで果たして済むのか?とも思わされるこんな話まで出てきているようです。

IQテストによればブタはイヌやチンパンジー並みに知性がある(2015年6月11日ニュースディスカバリー)

ブタはチンパンジー並みに高い知能を持っている」とする研究報告を、米国エモニー大学の神経科学者ロリ・マリノ氏らが発表した。
論文は国際学術誌「比較心理学」に掲載された。食肉用動物であるブタの扱いに一石を投じる内容となっている。

マリノ氏と動物の権利団体「ノンヒューマン・ライツ・プロジェクト」の声明:
「我々の研究は、ブタの認知能力が、イヌ、チンパンジー、ゾウ、イルカ、そしてヒトなど、高い知能を持っている他の動物と並んでいることを示すものです。
人間とブタとの付き合い方を再考する必要があることを示唆する科学的根拠があるということです」

研究によると、ブタの知能の高さを示す能力として、以下のようなものがある。

・優れた長期記憶を持っている。
・迷路など、物体の位置把握が必要なテストが得意。
・簡単な象徴言語を理解できる。
・行動や物体に関係する記号の複雑な組み合わせを学習することができる。
・他の個体と遊んだり、イヌのように擬似的な喧嘩をすることを好む。
・複雑な社会生活を営み、集団の他の個体を識別し、お互いに学習し合う。
・他の個体との共同作業を行なう。
・ジョイスティックを操作して画面上のカーソルを動かすことができる(チンパンジーと共通の能力)。
・鏡を使用して、隠された食物を見つける。
・他の個体への共感を見せる。

まあブタが賢いと言うのは養豚家やペットとして飼育している方々にもとっくに知られている事実であり、そうであるのに一向にブタの権利を保護しようだとかブタを殺すことを禁止しようだとか言う声が上がらないのはその社会的価値が非常に高く、特に欧米圏において欠かすことの出来ない食材として活用されてきた経緯があるからだと考えるのが自然ですよね。
この点で同様に賢いとされるカラスなどもあまりその権利擁護の声が上がらないのは、文化的社会的に正直さほどに重視されていない(と言うよりも、忌避されることが多い)と言った背景事情があったからだとも想像出来るし、こうした「○○を保護せよ!」的な話と言うものは、やはりその生き物の社会における位置づけを抜きにしては語れないことなんだろうと思います。
しばしば言われるところですが世界人口の4人に1人はインド人で、民主主主義的な観点から見ると国際的な発言力は相当に確保されてしかるべきなんでしょうが、幸いにも15億人の人口を誇る彼らが「神聖な動物であるウシを食べるなどとんでもない!牛肉食は断固禁止されるべきだ!」などと言い出さないからこそ、我々は今も牛肉を安心して食べることが出来ているわけです。
どんなに賢くてもブタは食べられるために飼育されている動物だから食べていいんだ、と言うのであれば、世界の水族館等で繁殖されているイルカは食べ放題なのか?と言う理屈に反訴することは難しそうなんですが、結局この辺りはそれぞれの立場によって恣意的に行われる議論が入り込まずにはいられないからこそ、無闇に他人の立場を否定するばかりと言うのもどうなのかと言うことだろうと思いますね。

|

« 言っていいこと、悪いことの微妙な境界線 | トップページ | 今や総合診療医が人気なんだそうです »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

コメント

馬鹿は殺してもいいって発想のほうが怖いわ

投稿: | 2015年6月17日 (水) 07時58分

 三重県が捕獲したツキノワグマを県境の滋賀県側に放した問題で、三重県知事が捕殺を許可したのは違法だとして、
住民グループが12日、捕殺にかかる公金支出の差し止めを求め、住民監査請求の書類を県に提出した。

 請求書によると、三重県ではツキノワグマの捕殺は鳥獣保護法に基づく県知事の許可が必要で、人身被害の恐れが
ある場合に限定されている。放したクマが滋賀県側で女性を襲ったか不明なのに捕殺を許可したのは裁量権を逸脱して
おり、関係する県の支出を差し止めるべきだとしている。

 住民グループの三浦美恵代表は「無実のクマを、銃を持った人間が追いかけ回すのはいじめと同じだ」と話した。

 三重県獣害対策課は「住民の不安感情を考慮して判断した」と説明。放獣の際に取り付けた発信器から人家に近づいた
形跡も確認したという。現在クマは三重、岐阜両県の県境付近にいるとみられ、三重県は捕殺を急いでいる。

http://www.sankei.com/west/news/150612/wst1506120101-n1.html

投稿: | 2015年6月17日 (水) 08時36分

>三浦美恵代表は「無実のクマを、銃を持った人間が追いかけ回すのはいじめと同じだ」と話した。
 ゆりくま?

投稿: | 2015年6月17日 (水) 08時40分

 SSも国際動物園水族館協会も、金があればやりたいことができる、他人の想いも踏みにじってもよいと思ってるのは一緒。
 できの悪い人間を理解して共存してゆくより、金かけて自分好みの陳腐育てて愛玩するのが好きなのだろう。 アルジャーノンに花束を

投稿: | 2015年6月17日 (水) 08時50分

>神聖な動物であるウシを食べるなどとんでもない!牛肉食は断固禁止されるべきだ!」などと言い出さない

現地では地元民が野良ウシに蹴り入れてるそうですし…。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2015年6月17日 (水) 09時21分

まあムスリムの方々も日本に来ると平気で豚骨ラーメンを食べていたりするようですし、本来的にはそちらの方が人間的な対応なのかと言う気がします。
ちなみに日本の公園で野放し状態になっているハトがたまに来日中国人のご馳走になったりすることがあるそうですが、インドにおいても非現地人によってウシが有効利用されたりするのでしょうか。

投稿: 管理人nobu | 2015年6月17日 (水) 13時14分

>インドにおいても非現地人によってウシが有効利用されたりするのでしょうか。

斃死した野良ウシから回収された胆石を漢方薬の牛黄の原料として日本の商社が買い漁っているそうです。死んじゃえばどうでもいいのかインド人…。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2015年6月17日 (水) 17時48分

昔から気になってるんだけど、インドって牛であふれかえって困らないもんなの?
日本全国奈良公園の鹿状態みたいなイメージなんだけど。

投稿: ぽっぽ | 2015年6月17日 (水) 21時56分

ロリ・マリノ・・・・・激ムカツク

投稿: オルタフォース | 2015年6月24日 (水) 00時01分

>10年前にドロッポしました。さま

間違って網にかかったクジラはどうしましょ。
自分は結局珍味だと思ってます。食べる人を非難しません。ただ気持ち悪いと思う。

ホヤは気持ち悪いけど人は食べるんでしょ。カイコやセミや蜂の子も食べる人間を非難しません。珍味でしょ。
なんでわざわざ食べるんだと 軽蔑はしますけどね。お好きにどうぞ。

投稿: Bugsy | 2015年11月 6日 (金) 23時31分

Bugsyさま、
>間違って網にかかったクジラはどうしましょ。

逃がしてやれれば一番いいんでしょうけどおそらく不可能でしょうから研究の為のサンプル採集&美味しく頂くべきかな?「混獲」と称して意図的に獲りまくってる某国はあかんけどw

>珍味でしょ。なんでわざわざ食べるんだと 

珍味だからかとw。まあ私も、セミは気が知れませんが。
*蜂の子はあり。美味しいからw
*カイコもあり。単なる養蚕の副産物だし。<オレは要らないケドwつかソレ餌にして鯉でも釣ろうww
*ホヤはそう言えば食べた事ないや。ふるさと納税で頼んでみようかなあでもアレ鮮度が落ちやすいんだよね確か。

>軽蔑はしますけどね。

食に対する探究心は戦争なみに人類の進歩に寄与してきた、と個人的には考えてますので私はむしろ尊敬します。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2015年11月 7日 (土) 11時50分

食習慣の違う人間は軽蔑します(キリッってw
差別意識丸出し発言できる勇気は尊敬に値するわw

投稿: | 2015年11月 7日 (土) 12時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/61750926

この記事へのトラックバック一覧です: 動物にも権利があると言う、一見もっともな考え方:

« 言っていいこと、悪いことの微妙な境界線 | トップページ | 今や総合診療医が人気なんだそうです »