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2015年6月25日 (木)

ネット上の書き込みが実社会に及ぼす波紋

昔からマスコミなどは個人攻撃が大好きで、どこの誰とも知れない匿名の識者だの事情通だのを登場させては根拠不明の「噂」をさも事実であるかのように吹聴してきたものですが、書かれる相手も基本的には著名人であることから言ってみれば人気商売なところがあって、好き放題のデタラメを書かれても対外的イメージを考慮して泣き寝入りと言うケースも多かったことでしょう。
今の時代はマスコミに限らず無名の素人がネット上で何でも書き込める時代で、そのことに伴う責任というものを自覚していないといわゆる馬鹿発見器騒動にもつながるわけですが、逆に匿名書き込みによって被害を受ける側はしばしば感じるところもあるのでしょうか、以前から続いていた裁判がついに控訴審の高裁判決まで出たと言います。

「食べログ」書き込み、削除請求認めず 札幌高裁(2015年6月23日北海道新聞)

 インターネット上で飲食店の評判を投稿するサイト「食べログ」の否定的な書き込みで客が激減したとして、北広島市で飲食店を経営する札幌市の男性が、サイトを運営するカカクコム(東京)に書き込みの削除を求めた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁(岡本岳裁判長)は23日、男性の控訴を棄却した。

 判決理由で岡本裁判長は「社会的に相当性を有する口コミ投稿ならば、営業上の損失が生じたとしても甘受すべきだ」と述べた。

注意いただきたいのはこれはあくまでも運営元に記事を削除することを求めた訴訟の判決であって、例えば店主が書き込み主を名誉毀損なりで訴えただとか言うわけでもなければ、運営元に書き込みによる損害賠償を請求したわけでもないと言うことなんですが、一般論としてどのような商売であれ良い評価と悪い評価の双方があり得るのは当然であって、悪い評価であるから直ちに許容出来ないと言うわけではないはずです。
この種の投稿サイトにおいても一つだけぽつんと不当な評価をつける人間がいたとしても、閲覧者は他の書き込みも参照しながら総合的に判断するのが普通ですから、個人レベルでの書き込みを不都合だからとコントロールしようとするのは筋違いで、ただ集団として組織として恣意的な書き込みが続けられ、なおかつそれが明らかに事実に反していると言う場合に初めて問題視されるべきなんだろうと思いますね。
ではいわゆる誹謗中傷なども含め何らかの意図に基づいて組織だって恣意的な書き込みが継続され、しかも当事者がそれを事実ではないと考えている場合にはどうなのかですが、先日同じくネット上の評価書き込みに関してこんな話が持ち上がっているのをご存知でしょうか。

Amazonレビューで低評価を付けたら情報開示請求された? → 著者がブログで反論「(開示請求をしたのは)事実です」(2015年6月14日ねとらば)

 2ちゃんねるやまとめサイトなどを中心に、「Amazonレビューで低評価を付けたところ、発信者情報の開示を請求された」という書き込みが広がっており、著者の1人である片山晃さんがブログでこれに反論しています。

 問題となっているのは、5月に発売された「勝つ投資 負けない投資」という書籍のレビュー。6月13日の夜ごろ、「この本のレビューを書いたらAmazonから個人情報開示請求のメールが届いた」という人が2ちゃんねるに現れると、「こんなんで開示って」「言論弾圧かよ」など、片山氏やAmazonに対する批判が次々と書き込まれました(あくまで請求の段階で、まだ実際に開示が行われたわけではありません)。批判はすぐにAmazonのレビュー欄にも飛び火し、現在は「星ひとつつけたら開示請求とか、賠償責任とかされるらしい」「批判されるのが嫌なら出版しなきゃいいのに」といったレビューも投稿され、ちょっとした炎上状態となっています。

 こうした動きを受け、片山さんはブログで「私が自著のレビューについてAmazonに開示請求を行ったことが話題になっていますが、これは事実です」と説明。しかし、単に批判的な低評価を付けられたから開示を請求したわけではなく、あくまで「本の内容とは無関係かつ、事実と異なる情報」を書き込み、「今後の活動に悪影響を与える可能性がある」と判断した2件についてのみ開示請求を行ったとしています。

 2ちゃんねるの一部スレッドでは以前から、片山さんに対する根拠のない批判が繰り返し書き込まれており、片山さんによると「まるでそれが事実であるかのようなコンセンサスが作られ」ていたそう。今回問題になったレビューにも、こうした根拠のない批判や言説が含まれていたため、やむを得ずこのような措置をとったとのことです。

 片山さんは今回の対応について「事実と異なるネガティブな書き込みをし、私が不正を働く投資家であるとも取れるような印象を与えることが正当なレビューとは到底思えませんし、これを放置することはこれから生涯をかけて投資家として活動していこうとしている私にとって無視できないリスクです」と説明。一方で、本に対するきちんとしたレビューを書いてくれた人に対しては、「それがどのような内容でも感謝しています」と、批判的なものであっても受け入れる覚悟があるとコメントしています。

ちなみにこの片山氏、一時は時の人としてずいぶんとマスコミなどにも取り上げられた方であるようで、特にそのユニークな前歴が注目されたのか各方面から様々な噂も乱れ飛んでいたようですけれども、ニート生活からアルバイトで貯めた資金を元手に投資家として成功したと言えば確かに投資家として云々以前に、そのキャリアの方に注目されるのも無理からぬことなのかなとは思います。
実際に通販サイトに行ってみますととんでもない数の評価書き込みが付けられていて、平均点数が示すようにその大部分は正直とても肯定的な内容とは思えないものではあるのですが、ざっと見た限りでは事実がどうこうと言うようなトラブルになりそうな内容の書き込みよりも、単純につまらない、役に立たない、価格相応の価値はないと言ったごく当たり前の低評価書き込みが大部分であるように思います。
その中でも敢えて2件に限って開示請求を行ったと言うのですから相当に抑制的だったとも言えるだろうし、100件以上の中に2件ほど妙な書き込みが入っていたところでどれだけ影響があるのかと考えると自意識過剰な人なのか?とも思ってしまいそうですが、実際にはそれ以前からネット上でのテンプレ的な書き込みが流布していて、その流れを汲んだ書き込みに対してこうした対応に出たと言うことのようです。
そのテンプレ的内容に関しては事実とも事実でないとも言いかねるのですけれども、正直ちょっとでも名前が知られるようになればネット上でそれなりのコピペ的レッテル貼りがつくのは当然ですし、むしろそうした有名税の一つ二つもないような人間が本を出したところで儲かるほど売れるとは思いがたいんですけれども、まあ気になるのも人情と言うものなんでしょうね。
しかしこれだけの数が付けられたレスを一つ一つ地道にチェックしながらこれはよく判ってる、こいつは全然駄目とかやっている光景はある意味微笑ましいと言うのでしょうか、投資家と言うのはそれだけ詳細な情報を集め分析しなければ務まらないものなのかも知れませんが、確実に言えることはこれでテンプレ書き込みにさらなる一章が追加されただろうと言うことでしょうかね。

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コメント

ほんとに事実無根なら裁判にしたら勝てるんじゃ?
そのくらいのお金は持ってる人だろうに迂遠なやり方って気がしますが。

投稿: ぽん太 | 2015年6月25日 (木) 08時43分

口コミサイトで増えた客なんてバブルみたいなもんで、減った今の状態が本来なんだとなぜ考えられない?

投稿: | 2015年6月25日 (木) 11時48分

一罰百戒的に予防的効果を期待するなら、これくらいがちょうど適当な強度の対応と言うことなのかも知れませんが、まあテキサス親父のコメントを考えてしまいますね。
https://m.youtube.com/watch?v=6qX4MXLaDqs

投稿: 管理人nobu | 2015年6月25日 (木) 12時44分

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