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2015年6月19日 (金)

薬に関するびっくり事件

医療費削減が厳しく言われる中で、先日こんな事件が報じられていたのをご存知でしょうか。

処方薬を転売、利益1千万円か…国保で164病院受診(2015年6月17日 読売新聞)

 ぜんそく用の処方薬を無許可で販売したとして、大阪府警は16日、堺市堺区、無職赤松健二容疑者(44)を医薬品医療機器法違反容疑で逮捕した。

 府警によると、赤松容疑者は国民健康保険(国保)を使って近畿の164病院で受診。薬局で購入した約5700個の処方薬を転売し、約1000万円の利益を得ていたという。

 発表では、赤松容疑者は医薬品販売の許可がないのに、今年4月下旬、金沢市内の医薬品販売会社に処方薬24個を約10万円で販売した疑い。「自分で使い、余った分を引き取ってもらっていた。販売はしていない」と容疑を否認しているという。

 府警によると、赤松容疑者はぜんそくの持病があった。2013年7月~今年5月、大阪や京都などの病院で診察を受け、薬局で薬を購入。同じ販売会社に転売を繰り返していたとされる。処方された薬の合計は、通常の用法なら130年分に相当するという。赤松容疑者は、診察費と薬代のうち3割を自己負担分として支払っていたが、7割は国保から支出されていた

 国保は加入者の保険料や国の負担金などで運営されており、主に市町村が不正の有無などを審査している。赤松容疑者が保険料を納める大阪府松原市の担当者は読売新聞の取材に対し、「府警から連絡が入るまで多額の請求を把握できていなかった。医療機関からの請求には注意しているが、個人の不正は想定外で、チェック体制が不十分だった。再発防止策を検討する」と話した。

ぜんそく悪用、処方薬を大量転売の疑い 逮捕の男は否認(2015年6月17日朝日新聞)

 持病のぜんそくの処方薬を買い取り業者にまとめて無許可で転売したとして、大阪府警は16日、堺市堺区甲斐町東6丁、無職赤松健二容疑者(44)を医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕し、発表した。「余った分を引き取ってもらっただけだ」と容疑を否認しているという。

 生活環境課によると、赤松容疑者は4月28日、医薬品販売業の許可を得ずに、ぜんそくの吸引薬24個を金沢市の医薬品買い取り業者に販売した疑いがある。国民健康保険を使って1個1830円の負担で入手し、4100円で転売していたという。個人が余った処方薬を売るのは禁じられていないが、府警は、販売量などから赤松容疑者が職業として転売を行っていたとみている。

 府警は、赤松容疑者が2013年7月~今年5月、大阪、京都、兵庫、奈良4府県の164の医療機関で処方箋(せん)を受け、175の薬局で吸引薬約6500個を購入。約5700個を転売し、約1千万円の転売益を得たとみている。

この130年分と言う数字が非常にキャッチーだったせいでしょうか、結構多きな話題になっていたようですけれども、しかし今回たまたま規模も大きくこうして単独ニュースで取り上げられるまでになりましたけれども、この種の転売行為自体は幾らでもありふれていることでもあるだけに、今回こうして刑事事件として逮捕されたことで今後どこまでを犯罪行為として取り締まるべきか微妙になってきましたよね。
今回どういう経緯で発覚したのかは記事からは明らかになっておらず、府警の独自捜査によって発覚したかのようにも読み取れるのですが、しかし保険者がこうした異常な大量処方を全くノーチェックだったと言うのは問題で、普通電子レセプトになれば機械的にチェックが入るものだと思っていたのですが、どうも全くノーチェックだったと言うのですからおどろきです。
余った分を引き取ってもらっただけと言う弁解もなかなか扱いの難しいところなんですが、ちなみに調剤薬局では出した薬そのものに問題がない限りにおいて、法的には別に返品や交換には応じなくていいことになっているのだそうで、逆に言えば過剰に出された処方薬がどこの家庭でもそれなりに貯まって来がちであるとも言えますから、この種の行為の潜在的需要はそれなりに大きいのではないかと言う気もします。
いずれにしても府警GJであるし、今後この種のルール違反行為はもう少しシステム上からも早期発見出来るような仕組みを用意しておく必要がありそうなのですが、他方では医薬品の扱いに関していわばルールを決めている側である国の専門家会議の委員が、ルール違反によって一斉に辞任してしまったと言うびっくりニュースも先日出ていました。

医薬品承認の国委員 規定違反で全員辞任(2015年6月6日NHK)

医薬品などの承認を行う国の専門家会議の委員8人が、規定に違反し製薬企業などから定期的な報酬を得ていたことが分かり、8人は委員を辞任することになりました。
辞任するのは厚生労働省の「薬事・食品衛生審議会薬事分科会」の委員を務める医師や大学教授など合わせて8人です。
薬事分科会の委員は、医薬品や医療機器の承認を行うため、厚生労働省の規定では製薬企業などから定期的な報酬を得ることが認められていませんが、8人は昨年度、企業の嘱託医を務め定期的な報酬を受け取るなど規定に違反していたということです。
ことし3月、厚生労働省が委員の勤務状況を確認して発覚したということで、8人全員が辞任届けを提出したということです。厚生労働省によりますと、規定に違反して委員が辞任するのは異例だということです。
このほか、規定では、年間50万円を超える講演料などを受け取った場合は議決に参加できないと定めていますが、7人が違反していたということです。厚生労働省が議事録などを調べた結果、いずれの委員についても、講演料などを受け取った企業に有利になる発言はしていなかったということです。
厚生労働省は、「今後は委員に注意を呼びかけるとともに企業側への確認を徹底して再発防止に努めたい」としています。

まあしかし嘱託医などはどうなのかですが、こうした製薬会社との関係が全く今までなかったとも思えないだけに、今回初めてそれが行われたと言うよりは今までのチェック体制の不備の方がありそうな話に思えますよね。
この種の会議に出るような偉い先生方ですと当然あちらこちらに講演で引っ張り出されもするのでしょうし、そうなると講演料もそれなりの金額にはなるのでしょうから、理屈は判るにしても果たして現場の実情に合ったルールなのかどうかと言う疑問は残るでしょうかね。
そういう意味ではこれまた考えてみれば当たり前に起こることが予想されていてしかるべきであるし、それに対して事前にきちんとルール確認をしていなかったと言うシステム的な欠陥が騒動を大きくしたと言えますけれども、それではこのルールをさらに厳しく運用した場合に果たして誰が適格として後に残るものなのか、その方は委員としては適格と言えるのかどうかもなかなかに微妙なところだと思います。
製薬会社の方も診療指針作成などに関わる有力医師にはより多くの講演を依頼し多額の報酬を出している実態があるのはまあ当然なんですが、医師の側も講演会では特定会社の商品名を連呼してアピールに努める医師もいれば、そもそも製薬会社主催の講演会は引き受けないと言う医師もいて千差万別だと言いますが、報酬自体は激務の合間を縫って準備をしている以上仕方のないことだと言う意見も根強くあります。
製薬会社の方でも講演料支払い自体をしませんと言う会社もあれば、誰に支払ったか全部公開すると言う企業もありと対応が別れ試行錯誤しているところのようですが、これによって講演自体を控える動きも広がっていると言う指摘もあって、果たしてどのようなやり方が最も良いのかと言う点は未だはっきりとした結論が出ていない以上、最終的には何かしらの公的ルールが必要になるのかも知れません。

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コメント

機械的にチェックできそうだけどチェックしてなかったのね
ハッシーあたりがこういうの処罰する条例作らないかな

投稿: | 2015年6月19日 (金) 13時36分

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