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2015年6月24日 (水)

永続性のある高齢者の看取り方

このところ孤独死と言うことがときおり世間でも話題になる中で、先日高齢者を対象にした孤独死の調査が発表されていました。

<高齢社会白書>孤独死身近に感じる45% 感じない52%(2015年6月12日毎日新聞)

 1人暮らしの高齢者の45%が孤独死を身近に感じている--。内閣府が65歳以上の約1500人に聞いた意識調査で、こんな傾向が浮かんだ。12日に閣議決定された2015年版の高齢社会白書に盛り込まれた。
 調査は内閣府が昨年12月に面接で実施。対象とした1人暮らしの65歳以上2624人のうち1480人から回答を得た。

 「孤独死を身近に感じますか」と尋ねたところ、「感じる」は44・5%、「感じない」は52.1%だった。
 会話の頻度ごとに「感じる」割合をみると、「毎日話す」(818人)の中では38.2%だったが、「1週間に1~3回」(477人)では49.9%、「1カ月に1、2回」(93人)では63.4%を占めた。ただ「ほとんど話をしない」(91人)は下がって53.8%。
 子供の有無でみると、「いない人」(372人)の中で「感じる」は48.9%、「いる人」(1108人)では43.1%で、いない人の方の割合が比較的高かった。
 年齢層ごとで、最も高かったのが「65~69歳」の48.7%。年齢が高くなるにつれて「感じる」割合は低くなり、「80歳以上」は38.0%。男女や収入による差はあまりなかった。
 さらに、住宅の種類ごとの「感じる」割合は、最高が「賃貸の木造集合住宅」の54.2%で、最低は「持ち家の鉄筋集合住宅」の36.0%だった。

 1人暮らしの高齢者は近年増えており、現在は推計600万人に上る。白書は1人暮らしの高齢者の生活を支えるために「地域活動を活性化させ、コミュニティーの再構築を促すべきだ」と報告している。【山田泰蔵】

もちろん今現在孤独である高齢者の方が高いのだろうなと思って見ますと、以外にも高年齢になるにつれてむしろ孤独死を感じる比率は下がっていると言うことで、もちろん80歳以上になれば完全に孤独な生活をしている人も少ないのでしょうし、そろそろ家族も現役を退く時期で親の介護を真剣に考え始めている時期でもあるのでしょう。
ただ核家族化どころか生涯未婚率がかつてないほど高まってきている今の世相を考えるに、今後はそもそも家族と言える者が誰もいないと言う高齢者の方々が年を追うことに増えていくはずですし、例えばこうした方々が寝たきり認知症老人になってきた場合に高齢者の医療介護の現場がどうなっているだろうかと考えると、かなり現在とは状況が変わってきていそうには感じます。
先日は高齢者の介護コストが2013年度分で初めて9兆円を超えたと言うニュースが出ていて、もちろん団塊世代の高齢化が進む中で介護コストをどう捻出するかと言う点も非常に大きな課題である一方で、若年人口がどんどん減少していく中で介護スタッフをどう捻出するかと言うこともまた重大な問題で、諸外国から看護師を呼び集めようだとか都市部の高齢者を田舎に送り込もうだとか、様々な話が出てはいる状況です。
そんな中でそもそも介護などと言う非生産的な分野に生産年齢人口を多数縛り付けるのも国家成長戦略上如何なものか?と言う議論も以前からあって、ちょうど先日はこんな記事が出ていました。

介護の担い手増、経済にマイナス? 生産性に限界、指摘(2015年6月19日朝日新聞)

高齢者の介護は家族だけでなく、日本経済にも深刻な影響を与えそうだ。少子高齢化で働き手が減る一方、介護の担い手は増えていく。その結果、経済の実力が低下するとの指摘が相次いでいる。

■介護離職も増加

 西山一郎さん(52)は静岡市の実家で89歳の母親を世話している。週1回の通所リハビリ以外は、ほとんどの時間を寄り添って過ごす
 働いていた東京の商社は約4年前に辞めた。2002年に父親が亡くなってから、一人暮らしの母親の面倒を見てきた。時折早退して実家に向かったが、同僚への引け目もあり、「潮時だ」と思ったという。
 だが、暮らしは厳しい。正社員に戻って介護と仕事を両立したいと思うが、面接にたどり着くことさえ難しい。「辞めなければ良かった」と悔やむ。

 介護で仕事を辞めざるを得ない人はたくさんいる。総務省の調べでは11年10月~12年9月に介護や看護で仕事を辞めた人は10万1千人。介護離職防止を呼びかけるワーク&ケアバランス研究所の和氣美枝さん(43)は「これまで介護をしてきた人たちの経験が情報として共有されていくことが、離職を減らしていく上で大事だ」と話す。
 企業にとっては介護と仕事を両立しやすい制度を作ったり、介護経験者のノウハウを蓄積したりすることが大切になりそうだ。経験豊富な40~50代の幹部社員の退職が目立ち、ひいては日本経済全体にも影を落とすからだ。年間10万人が辞める影響を内閣府が計算したところ、国内総生産(GDP)を0・1ポイント押し下げるという。
 経済の実力を示す潜在成長率が0%台前半にとどまるとされる日本経済にとっては痛手だ。しかし、経済成長が受ける影響はそれにとどまらない。

 内閣府の試算によると、13年に6577万人だった労働力人口は、今以上に女性や高齢者が働きに出ないと30年に5683万人まで減るおそれがあり、その後も減り続ける。野口悠紀雄・早大ファイナンス総合研究所顧問(日本経済論)の分析によると、介護・医療分野の従事者が労働力人口に占める割合はこの先増え続け、増え方が最も激しい場合、30年代半ばには約20%を突破し、50年には約25%を占めるようになる。実に4人に1人の割合だ。
 野口氏は「これから医療・介護分野で働く人が増えていくが、こうした分野は生産性が高くはない。労働力人口のうち生産性が低い分野が占める割合が増えれば、経済成長が停滞する」と語る。

生産性が高い低いと言うのもこの場合労働者数辺りの稼ぎが多いか少ないかで言っているように感じられるのですが、経済成長が沈滞化する中で医療介護領域は国が必至でブレーキをかけなければ天井知らずで大きくなってしまうような産業なのですから、ある意味では非常に将来有望な成長産業だとも言えるはずですが、その原資は何かと言うことを考えれば新たに何かを産み出すと言うより既存の資産を使い潰しているとも言えますよね。
これもある意味では高齢者が持っている金をどう若年者に再配分するかと言う問題で、別にその方法論が介護だろうが老人税だろうが構わないとは思うのですが、今の介護システムは非常に高齢者に優しく誰もあぶれたりはしないように出来ていると言うことは、裏を返せば高齢者がどんどん介護にお金を落として資産の再配分に貢献すると言う状況でもないと言えます。
そして仮に高齢者が最後の一円まで資産を使い果たして亡くなっていったとしても、次の世代、さらにその次の世代と縮小再生産を繰り返すうちに結局は世界に冠たる日本の貯蓄率も過去の栄光となってしまうだろうと誰しも考えるところで、現状のように他の全てを切り捨てて親の介護に専念すると言う態勢は決して永続的に続けていけるようなやり方ではないと言えそうですよね。

この辺りは国民の介護と言うものに対する意識改革とも密接に絡んでくるところですが、生産性と言う観点から考えると大部屋に高齢者を並べて専従スタッフが順におしめを替えていくようなやり方が一番生産性が高いのは言うまでもない一方で、人生の終末期を迎えた親に対してそうした環境しか提供出来ないのでは子として申し訳ないと考えてしまうのも人情でしょう。
これがもう一世代、二世代ほど経過してくると親世代の資産や年金に頼って仕事をせずとも介護に専念出来るような状況でもなくなり、そもそも家族と言うもの自体が最初から存在していない孤独な老人ばかりの時代になってくるのでしょうが、嫌でも介護の生産性を追求せざるを得ないそんな時代になる前にもう少し早い段階で日常生活と介護とを両立させるような道を探っていくべきかと言う気がします。
以前に仕事もやめて親の介護に専念していた子が、結局どうにも立ちゆかなくなって老親と無理心中を図ると言う非常に悲しい事件がありましたけれども、普段の介護を赤の他人に預ければ自分の仕事と両立も出来ると言うのであればかえって親に対する責任も十分に果たせるだけでなく、自分の番になった時に次の世代に余計な面倒を押しつけなくてすみそうですが、それは社会にとって看取り文化と言うものの変化とも言えるように思います。

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コメント

高齢者白書には、もっとまともなことが書かれているとは思うので、記事は多分マスコミの
レベルを現しているのだろうけど。
一人暮らしの高齢者であれば、孤独死を身近に感じたとしても当然だろうし、感じない人は
まだまだ元気な老人っていうだけ。さらに、こどもがいないほうが割合が高いのも
当たり前じゃないですか?
あまりの低レベル記事にあきれますね。

介護の記事も、50歳前になんで仕事を辞めて母親の介護・・・?
定年間近あたりなら、早期退職とか考えるかもしれないけど、普通に考えたら施設に入れる
とか考えるでしょう?全く計画性がなさ過ぎ、同情する気もおきないし、朝日クオリティですね。

投稿: | 2015年6月24日 (水) 09時18分

大部屋に高齢者を並べて専従スタッフが順におしめを替えていくようなやり方が一番生産性が高いのは言うまでもない
のにそういう施設を充実させるのと真逆の方向に国策が進んでいるのが問題だな

施設を充実させてそれだけ税金を上げるのが
大量の働き盛りが介護退職に追い込まれるよりもベターなのに

投稿: | 2015年6月24日 (水) 11時03分

給与水準の高い中高年はどんどん退職してほしいんじゃない、企業は

投稿: | 2015年6月24日 (水) 11時58分

安楽死制度こそが救済になる。1人の老人をかかる費用年間1000万円を世界の難民100万人を救おう!

投稿: | 2015年6月24日 (水) 16時09分

国が在宅を推進しているのは要するに、家族の側からもうこれ以上はいいんじゃないかと言わせたいんだろうと言う気がします。

投稿: 管理人nobu | 2015年6月24日 (水) 16時25分

家族がいれば、これ以上はいいと言えるけれども
家族もいなけりゃ、誰もこれ以上はいいと言ってくれないわな

投稿: | 2015年6月25日 (木) 08時58分

寝たきり高齢者を…
・医療機関・介護施設で看る
  →社会保障費が増えて、国メシマズ。
・24時間365日、家族になすり付ける
  →社会保障費が増えないから、国メシウマ

寝たきり高齢者に関連する事故が…
・医療機関・介護施設で起きた
  →社会問題化して対策とか考えないといけないから、国メシマズ。
・自宅介護の現場で起きた
 →問題を個々の家庭の責任にすり替えて矮小化出来るから、国メシウマ。

…厚労はこんな事全く考えていないと思います(棒読み)

投稿: kawakawa | 2015年6月25日 (木) 09時36分

↑国の借金1000兆円の結果として
実質的に国民の貯蓄を取り上げているわけですね

投稿: | 2015年6月25日 (木) 13時36分

>大部屋に高齢者を並べて専従スタッフが順におしめを替えていくようなやり方が一番生産性が高いのは言うまでもない

トラブルが起こらなければそれが一番ですが、感染のリスクや入居者同士のトラブルのリスクを考慮したら個室の方が長い目でみたら生産性が高いと思われます。
精神病院も、個室の多い病棟の方が個室の少ない病棟よりも静かですし。

投稿: クマ | 2015年6月25日 (木) 15時38分

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