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2015年6月 3日 (水)

若者の文系離れが進む?

このところすっかりひと頃の期待感が喪失している法科大学院ですが、先日山梨学院大ではついに学生も集まらず募集停止を決めたと言うニュースが出ていました。

入学者6人、補助金4割減で募集停止(2015年6月2日読売新聞)

 山梨学院大(甲府市)は1日、記者会見を開き、2016年度から法科大学院の学生募集を停止することを決めたことについて、停止に至る経緯や理由を説明した。

 同大の法科大学院は2004年4月に発足。現行の司法試験で14年度までに80人の合格者を出し、累計の合格率は21・86%と、廃止や募集停止した法科大学院も含めた全国74校中23位の実績を持つ。

 しかし、全国の法科大学院の受験者数が減少する中、都内の一部の有名校に集中したことで同大の志願者数が減少し、15年度には定員15に対し、入学者6人にとどまった。

 文部科学省の補助金も、入学者数の定員に対する割合や合格率などに応じて算定されることになったため、同大の15年度の補助金はこれまでより4割削減された。

 同大で会見した荒牧重人・同大大学院法務研究科長は「入学者数が1けたでは学生同士が学び合うことができない。今後も状況が好転する見込みがなく、募集停止を決めた」と説明した。現在、在籍する28人が修了するまでは法科大学院を存続するという。

 同大法科大学院の1期生で、現在、甲府市内で弁護士として活動する落合圭子さんは「社会人や学生など様々な肩書の同級生と議論しながら法律をゼロから学べた。入学者が6人ではそれも難しく、募集停止はやむを得ないが、1人1人に行き届いた教育をしてくれたので残念だ」と話した。

注目頂きたいのはこの山梨学院大の法科大学院が高い学費を取りながら合格者の一人も出ず、学費詐欺ではないかと言われるような底辺と呼ばれるものではなく、中位クラスの実績を誇ってきたと言う点ではないかと思うのですが、それでも学生が集まらず補助金も減額されてしまうと言うのですから若者の法科大学院離れはかなり深刻な状況になってきていると言えそうですよね。
法学部と言うところはかつては文系学部の最高峰、知的エリートの集う場所で、ことにどちらかと言えば実際の職業と直接には関わり合いの乏しい文系学部の中では例外的に将来の進路に直結する職業訓練的な要素の色濃かったところでもあるのですが、昨今では日本一の東大においてすら就職等で法学部の地位低下が言われ、最難関の労力に見合わないと学生の文Ⅰ離れを危惧する声もあると聞きます。
昨今の学生優位の売り手市場でこのあたりも少しは改善しているのかも知れませんが、長期的に見ると人口減少と特に若年人口の不足と言っていい時代にあって若年労働者をどこにどう配分するかは国策としても重要なことであると言う認識があるのでしょうか、先日こんなニュースが出てきています。

国立大学の人文系学部・大学院、規模縮小へ転換 文科省が素案提示(2015年5月28日産経新聞)

 文部科学省は27日、全国の国立大学に対して人文社会科学や教員養成の学部・大学院の規模縮小や統廃合などを要請する通知素案を示した。理系強化に重点を置いた政府の成長戦略に沿った学部・大学院の再編を促し、国立大の機能強化を図るのが狙いで、6月上旬に文科相名で大学側へ通知する。

 素案は、同日開かれた国立大の評価手法などを審議する有識者会議で提示された。国立大は6年ごとに中期目標を文科省に提出しなければならず、各大学は通知を参考に6月末に中期目標を文科省へ提出する。

 通知素案では、少子化による18歳人口の減少などを背景として、教員養成や人文社会科学などの学部・大学院について「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むように努めることとする」と明記された。

 政府の試算では、平成3年に207万人だった18歳人口が42年に101万人まで半減する。文科省は少子化に伴う定員縮小の影響を指摘したほか、文系の学部・大学院の人材育成方針が明確でないなどの理由もあげた。

 組織再編の動きはすでに出ている。弘前大(青森県)は来年4月から人文学部(3課程)を人文社会科学部(2課程)に再編。教育学部でも、教員免許を取得せず芸術や体育を学ぶ1課程を廃止し、2学部で定員を計150人減らす。一方、理系の理工学部と農学生命科学部の定員は90人増やす。

 今後、こうした形で他の大学でも、地域性や得意分野に重点を置いた文系学部の廃止や統合を進めることになる見通しだ。

 素案は、実績にばらつきがある法科大学院について、定員規模の適正化や組織の廃止も含めた検討も求めた。

ちなみに学生全体で見ると文系と理系はおおよそ2対1の比率で文系がずっと多いのだそうで、このあたりは何をどう分類するかによって多少数字も変わってくるようですけれども、学生全体が減ってくる中で特定分野の専門職として需要がある理系に比べると、文系と言うと全体的には総合職的な特定の色がないイメージはあるでしょうかね。
逆に専門の色に染まらず何にでも応用出来るのが文系の強みと言う言い方も出来るのでしょうか、文系よりも理系の方が収入面で有利と言う話もある一方で出世や社長の数では文系が圧倒的に有利とも言い、要するにどちらが得とも損とも言い切れるほどの明確な有利不利はなさそうだと言うのが正直なところでしょう。
ただ高収入専門職の代表格として文系では弁護士、理系では医師と言うものがいわば二大巨頭として君臨してきたわけですが、そのうち弁護士に関しては法科大学院による供給過剰で年収が一気に半分以下に下落したと言う声もあるくらいで、30年来横ばいが続いてきた年収が医療崩壊だ何だと言われる中でようやく少し上向いてきたとも言う医師とはやや差がついてきた印象もあります。
そもそも文系だ、理系だと言っても入試の試験科目の違いくらいで、それも昨今では個性重視の入試導入で区分けも怪しくなってきているわけですが、すでに優秀な学生は文系理系の区別もなく医学部を目指すと言う傾向が出てきているとも言いますから、いずれ文系理系比率も逆転してくるようなことになるのかも知れないですね。

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コメント

日本の場合はメンバーシップ型の雇用なので工学部など一部を除き大学の専攻ってそこまで関係ないんですよね。

また医師というか医療福祉系も手堅いので特に不景気の時は人気ですが
現状の国の財政事情を鑑みると将来的には暗い気がします。

投稿: | 2015年6月 3日 (水) 07時20分

ところで昔から謎なんだけど
文学部なんかの学部ってどこに就職先あんの?
出版業界?

投稿: | 2015年6月 3日 (水) 07時53分

法学部は法学を、工学部は工学を極めるところですが、
文学部は別に文学科以外に学科も多いです。
学科によって就職先が左右されることもそうでないこともあるでしょう。

医学部医学科が時々専門学校扱いされことの裏返しですね。

投稿: 嫌われくん | 2015年6月 3日 (水) 08時25分

技術系の会社では圧倒的に文系就職が有利なんだけどなぁ。
理系はTOPクラスが集まるが、文系は人気企業(金融商社等)に行けないクラス以下。
募集人員の割合は1割だが、将来の役職ポストの割合は3割。
残業が少ない分、かわいそうだからと早く出世させる。(人事は技術系事務系は別なので)

つくづく現実を知ってイヤになり、息子は絶対文系に行かそうとしたが、
血は争えなかった・・・・。

投稿: hisa | 2015年6月 3日 (水) 08時54分

理系でも文系就職はできる
文系で理系就職は・・センスがあればそういう事例もあるがかなり無理

投稿: | 2015年6月 3日 (水) 09時08分

国立大学全体の学部定員は理系7割、文系3割。大学院は理系8割以上。
私立大学はその反対に文系が大多数。
今回の文部科学省の案は、国立大学は理系学部のみに特化、文系学部を廃止・しゅくしょうして、お金を理系に回すということでしょう。
理系に特化した国立大学群も統廃合で集約化を国として考えているのかな。
流れとしては。

投稿: physician | 2015年6月 3日 (水) 11時19分

国策としては高等教育を受けた者≒何らかの専門家的な状況に持っていきたいのかも知れませんが、現状の日本の大学教育で学士レベルにそこまでの専門性が期待出来るものなのかどうかです。
ただ専門性の高くない教養的な高等教育に関しては国としての補助をあまり出さないと言う方向には進むのかも知れずで、スポンサーたる親としては学費面でも少し検討が必要になるかも知れませんね。

投稿: 管理人nobu | 2015年6月 3日 (水) 12時03分

かと思えば、昨今、理系学部卒業者の就職先として商社等が人気なのだとか。
え〜と、笛吹けども踊らず?

投稿: JSJ | 2015年6月 3日 (水) 13時52分

こっちのほう、もっと深刻。 
文一の凋落、法曹の値崩れ 
 → ガバナンスの技術力低下。もうハチャメチャ。

投稿: | 2015年6月 7日 (日) 11時23分

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