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2015年6月

2015年6月30日 (火)

少子化の時代における生殖医療の位置づけの難しさ

いわゆる人工受精、体外受精と言うテクニックは不妊症治療の中でもかなり基本的なものなのだそうで、身体的な理由で妊娠がしにくいと言う方々にとっては非常に有益だとも聞くのですが、先日その有効性をさらに高める工夫を示すデータが出たと報じられていました。

神戸の医院、受精卵検査で流産少なく 559組の夫婦で実施(2015年6月27日日本経済新聞)

 不妊治療専門の産婦人科医院「大谷(おおたに)レディスクリニック」(神戸市)は25日、受精卵の全ての染色体異常を調べ、正常な受精卵を選んで出産を試みる着床前スクリーニング(受精卵検査)を559組の夫婦に行った結果、流産率は約10%だったことを明らかにした。

 生殖補助医療を受けた妊婦の流産率30~40%と比べて大幅に低下したという。26日に千葉市で開かれる日本遺伝カウンセリング学会で発表する。

 同クリニックによると、受精卵検査を導入した2011年2月から14年7月まで、559人の妊婦が受検。このうち327人で正常な受精卵が得られ、246人が妊娠した。出産を確認したのは119人で、ほかに99人が調査時点で妊娠を継続していた。妊婦の平均年齢は40・4歳だった。

 流産は24人で、妊娠したうちの9・8%。日本産科婦人科学会のデータでは、人工授精や体外受精を実施した平均年齢39歳の妊婦の流産率は約30%、同41歳では約40%だった。

 大谷徹郎(おおたに・てつお)院長は「流産を繰り返すことは肉体的にも精神的にも大きな負担で、不妊に悩む妊婦にとっては福音になる。妊婦の利益を何より優先したい」と話した。

 受精卵の遺伝検査について、同学会は、筋ジストロフィーなどの重篤な遺伝子異常と、習慣流産の原因となる染色体異常に限定しているが、全ての染色体異常を調べる受精卵検査が流産率低下につながるかどうかを検証する臨床研究を本年度にも始めることにしている。

受精卵自体の異常によって妊娠が妨げられると言うことも当然あるのでしょうし、多胎妊娠を避けるために産婦人科学会では一度に身体に戻す受精卵は一個だけと言うガイドラインを設けているそうですから、それなりに高額なコストもかかり心身の負担も大きい中で少しでも妊娠の成功率を上げる手段と言えば、誰しも大歓迎となりそうなものですよね。
一方で出生前遺伝子診断と言うことが非常に簡便に出来るようになってきた結果、それが生まれてくる子供の選別につながるのではないかと言うことが議論になっていましたが、これもまた見方を変えれば受精卵の選別そのものであるのですから、果たして手放しで歓迎される行為なのかどうかと言う異論は出てくる可能性もあるでしょう。
人間とはどこから人間として認められるべきなのかと言うことは国や文化によっても違いがあるのでしょうが、受精する前の配偶子の段階で人間扱いすると言うことはまあどの文化圏でもないわけですので、例えば体外受精前の精子と卵子から何かしらのチェックが行えるようになればこの種の問題は減るんじゃないかと言う気がするのですが、いずれにせよ不妊に悩む当事者からすれば「少しでも妊娠確率を上げることの何が問題?」と言う話でしょう。
国にしてもこれだけ少子化対策が求められ、積極的に推進もしていくと言っている手前こうした話には表立って反対しにくいんじゃないかとも思うのですが、この点で法律的観点からも出生率引き上げにつながるようなこんな話も出ているようです。

卵子提供・代理出産「産んだ女性が母」 自民部会が了承(2015年6月26日朝日新聞)

 第三者の卵子や精子を使った生殖補助医療で親子関係が混乱するのを避けるため、自民党の法務部会・厚生労働部会などの合同会議は26日午前、親子関係を規定する民法の特例法案骨子を了承した。卵子提供や代理出産では産んだ女性を母親とし、精子提供では提供に同意した夫を父親と定めた

 生殖補助医療の法整備を検討している自民党プロジェクトチーム座長の古川俊治参院議員は「今国会に提出したい」と述べた。

 認められた民法特例法案の骨子では、自分以外の卵子を用いた生殖補助医療で出産したときは、出産した女性をその子の母親とすると規定した。ただ、代理出産では、依頼した夫婦と生まれた子で、親子関係が成立できるような制度を検討していくという。

 精子提供では、妻が夫の同意を得て夫以外の精子を使って妊娠した場合、夫が父親となるとした。

 民法は、第三者が関与した生殖補助医療による出産を想定しておらず、卵子の提供者と産んだ人のどちらが母親になるか明文化されていない。タレントの向井亜紀さんと高田延彦さん夫妻が米国の女性に代理出産を依頼して生まれた双子の男児について、2007年に最高裁が「自分の卵子を提供した場合でも、民法では母子関係の成立は認められない」とする判断を示している。今回の法案骨子は、最高裁の判断をふまえた形になっている。

 これまで海外で代理出産を依頼した夫婦は、子どもを特別養子縁組で引き取る例もあるとされる。

 また、生殖補助医療の法制化については、限定的に代理出産を認める案などを検討してきたが、意見がまとまっていない。出自を知る権利を認めるかどうかも検討課題となっている。しかし、海外で代理出産を選択するケースが後を絶たないため、親子関係の規定を先に進めることにした。(福宮智代)

今後は代理出産に関してもより現場の実情に即した法制度を検討していくと言うことで、要するに誰が親と認められるのかと言うことを現場のそうあって欲しいと求めている方向にしていく改正であると理解出来るものではあるのですが、一見すると精子提供では提供者が父親に認定されるのに、卵子提供では提供者ではなく生んだ者が母親に認定されるのはおかしい、男女差別ではないか?と言う解釈も出来そうですよね。
この法改正の大きな原動力となっているのが記事にもありますように、生殖医療の場合それと望んで技術を利用した二人こそが親であるべきなのに、実際にはそうなっていないと言う歪みがあるからだとも言えるのですが、配偶者の親兄弟などから精子や卵子を提供された場合に親子関係をどう解釈すべきなのか等々、様々な疑問点はかねて提出されてはいるところです。
最近では代理出産を頼んだはいいが、生まれた子供が障害者であると判った途端に引き取りを拒否した「親」のニュースが大いに話題になっていましたが、あれなどは聞くところによればそもそも代理出産契約が認められる方がいささかどうよ?と言う特異な背景事情もあったのだそうで、こうした場合にはむしろ親を親として認める方が子供の福祉に背くのではないか?と言う考え方もあるでしょう。
少子化対策が急がれる時代だけに現場でより使いやすいような制度にしてもらうのが一番いいのかも知れませんが、現代日本の妊娠行動にはどうも根本的なところで以前とは考え方が変わってきているんじゃないかと言う指摘もあって、近くそういった辺りもまた取り上げてみる予定にしています。

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2015年6月29日 (月)

医療費はふたたび抑制政策にさらされそうです

財政再建と言うことはその必要性が久しく言われながら一向に手が着く気配がありませんが、消費税増税に伴い久方ぶりの税収増が見込まれる一方で支出面での抑制に関して、先日からこんなやり取りが繰り広げられています。

自民、骨太素案を了承 社会保障費抑制は「目安」(2015年6月25日日本経済新聞)

 自民党は25日の政調全体会議で、2020年度に向けた財政健全化計画を含む政府の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)の素案を了承した。党総務会での了承を経て、政府は30日に閣議決定する方向だ。

 党内の厚生労働族に配慮し、社会保障費の抑制に関する素案の文言を修正した。13~15年度の社会保障費の伸びを実質で1.5兆円程度に抑えてきた実績をめぐり、当初は「その基調を18年度まで継続していく」としていた表現に「目安」との文字を書き加えた。社会保障費の具体的な抑制策の実施についても「予断を持たずに検討する」と記し、柔軟に対応する余地を残した。


日医「実質的に社会保障費にキャップ」- 骨太方針2015素案に見解(2015年6月25日CBニュース)

日本医師会(日医)の横倉義武会長は24日の記者会見で、政府が経済財政諮問会議に提示した「経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太方針2015)」の素案についての日医の見解を示した。素案の中で、社会保障費の伸びが過去3年で1.5兆円程度だった基調を18年度まで継続していくなどと明記されたことについて、「実質的に社会保障費にキャップをはめている。かつて小泉政権下で社会保障費が毎年2200億円機械的に削減され、医療崩壊に導く深刻な影響をもたらした反省が見られない」と述べた。【君塚靖】

横倉会長は、素案に盛り込まれている財政健全化への取り組みは「次世代へのわれわれの責任である」と一定の理解を示す一方、「医療は社会的共通資本であり、社会保障は税よりも貧富の差を縮める所得再分配機能が大きくなっている。医療政策は財政主導で行うのではなく、社会保障が社会の安定に寄与していることを念頭に置いて実行すべき」との考え方を改めて示した。

いわゆる医療崩壊と言う現象が社会保障費抑制とほとんど同時期に発生したことによって両者は当然に関係があるかのように語られていますけれども、医師の側から見ると医療訴訟の急増や医療バッシングなど医療に対する期待値が際限なく上がり続けていった一方で医療のリソースは増強されず激務化に対して見返りは乏しかっただとか、ネットの発達で医師が世間の常識にようやく目覚めたと言った複合的な要因がありそうには思います。
とは言え、医療供給体制を何も変えないまま単に診療報酬を切り下げるだけでは少なくとも病院経営は破綻するのが目に見えているわけで、医療費削減を追及するのであれば現場における医療の現状を変えると言うことが同時進行で行われなければならないはずですし、政府的にその中核的な原動力となる政策が地域医療計画による病院病床の再編と言うことなんだろうと思います。
高価な医療を行う急性期のベッドを物理的に制限すれば患者の取捨選択が自然と発生せざるを得ず、例えば寝たきり超高齢者が三次救急に運び込まれて毎月何百万もかかる濃厚医療が施されると言ったことも少しは減ると期待しているのかも知れませんが、ただ医療提供側の行動は政策誘導で変えられるにしても、それが患者側の行動までも変えるかどうかは未知数としか言えませんよね。
最悪の場合「今までは出来たことが何故出来ないんだ!」と現場のスタッフが患者に攻撃されることにもなりかねないだろうし、人件費が大きな比率を占める医療現場で収入が抑制されればマンパワーへの投資がおろそかになるだろうとは想像出来るところで、直接的な医療専門職はともかく例えば医師らの業務をサポートしてくれる医療秘書や事務補助員などいなくても何とかなるよね?と言った話にもなってくるのかも知れません。

かつて国が普段のかかりつけは診療所に、何かあったら病院にと言う病診機能分担を目指した際に、儲からなければ病院が患者を手放すだろう、儲けにつながるなら熱心に診るだろうと病院の診察費を引き下げ、診療所を引き上げたところ、思惑に反して患者が安くなった病院に殺到したと言う話は今も語りぐさですが、こうして見ると医療においてもやはり患者は価格にはそれなりに敏感に反応していると言えそうですよね。
医療の消費者である患者の受診行動を変えたいのであれば患者側に対して直接的働きかけをするのが筋だろうと思うのですが、救急医療崩壊対策やコンビニ受診抑制のためにその実現に根強い期待感のある救急車有料化も一向に実現しそうな気配がなく、高所得者には医療・介護コストをもっと負担してもらおうと言う多数派の世論が好みそうな話すら実施が見送られたと言います。
最近では外来での報酬も出来高制ではなく、患者ひとりあたり幾らと定額の包括制にしたらいいんじゃないかと言う話もあって、そんなことをすれば検査などで余計な出費のかかる重症者を誰も診なくなると反対しきりだと言いますが、萎縮診療と言えば聞こえは悪いが無駄を省いたと言えばどうなのかですし、患者側からすれば一定金額で何度でも診てくれると言うのであれば歓迎すべきニュースであるはずです。
この辺り実際のところは予想される各種デメリットと医療費削減なり患者負担軽減なりのメリットをきちんと比較しないと何とも言えないのですが、経営者目線の日医にとってはともかく給与労働者である勤務医の多くにとっては過労死しないほどほどの水準に仕事量が落ち着くのは悪い話ではないはずで、現場医師の立場に考慮した政策であれば案外多くの医師からの支持も得られる可能性はあるかもですね。

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2015年6月28日 (日)

今日のぐり:「大連香奥田店」

世に惜しまれつつも世を去ると言うのもそれはそれで難しいものがありますが、こちら世界中から惜しまれていると言う訃報をお伝えしましょう。

「たま駅長」逝く 世界的に愛された和歌山電鉄の三毛猫(2015年6月24日ハフィントンポスト)

和歌山電鉄の終着駅、貴志駅のマスコットとして人気を集めていたメスの三毛猫「たま駅長」が6月22日、急性心不全のため病院で死んだ。16歳。朝日新聞デジタルが伝えた。
葬儀は近親者で営んだという。28日に社葬を営む。

和歌山電鉄は、赤字を理由に2006年4月に南海電鉄から分離されたローカル線。「たま」は元々、無人駅の貴志駅の隣で、売店を委託されていた「小山商店」の小山利子さんが飼っていた。人なつっこい性格で、乗客ら訪れる人にかわいがられているのを、和歌山電鉄の小嶋光信社長が目をつけ、2007年1月5日に「駅長」に任命した。給料は長寿のお守りと1年分のキャットフードだった。
新聞やテレビで大きく取り上げられ、「たま」見たさに貴志駅を訪れる人が急増。減少を続けていた乗客数は上昇に転じ、DVDや写真集などのオリジナルグッズも人気となり、赤字経営の和歌山電鉄の経営改善に大きく貢献した。功績を認められ、2008年1月には「スーパー駅長」、2010年1月に執行役員、2013年1月に「社長代理」に就任。猫としては異例の出世を果たした。
2009年3月からは、車両にすべて猫をあしらった「たま電車」が運行開始。無人駅だった貴志駅は2010年8月、約1億円をかけて猫の顔をあしらった新駅舎に建て替えられ、「駅長室」も設けられた。2011年には大韓航空のCMにも登場し、2014年には和歌山市の外国人宿泊客が倍増するなど、世界的にも人気を集めていた。

4月29日に16歳の誕生日を祝うイベントが開かれたが、5月19日から鼻炎のため療養中だった。

元記事の動画も参照いただきたいと思いますが、しかし地方ローカル線の救世主とも言われ世界的知名度もあったとされるだけに、その逝去には惜しむ声が相次いでいるようですね。
今回は亡くなられたたま駅長の足跡に敬意を表して、世界中からネコに関わるニュースをお伝えしてみましょう。

活力高まり前向きに 猫ビデオの癒やし効果実証(2015年6月22日CNN)

(CNN) 「猫ビデオ」を見ると活力が高まり、前向きな姿勢になれる――。米インディアナ大学ブルーミントン校の研究者が行った調査でそんな癒やし効果が確認されたと発表した。

同校のジェシカ・マイリック准教授は約7000人を対象に、猫ビデオを見ることで気分がどのように変化するかを調べた。対象者のうち自称「猫好き」は36%を占めていた。
調査の結果、猫ビデオを見た後は前向きな気持ちが高まる一方、不安や否定的な感情は薄らぐ傾向があることが分かった。
自身は犬を飼っているというマイリック氏は、「なぜこんなに多くの人が猫ビデオを見るのか、それが私たちにどんな影響を与えるのかについては、ほとんど検証が行われていなかった」と指摘。「メディア研究に携わり、インターネットで猫ビデオを見ている立場から、このポップカルチャー現象についてデータを収集したいと思った」と話す。

仕事中や研究中に気晴らしとして猫ビデオを見るのは必ずしも悪いことではないかもしれないと同氏は結論付ける。
「やるべきことをやらずに、あるいは仕事中にユーチューブで猫ビデオを見ていたとしても、感情的なプラス効果はその後の大変な仕事に取り組む助けになるかもしれない」と解説している。

その実際の効果の程は元記事の動画の数々から体感していただきたいと思いますが、日本の猫カフェなるものが世界的にも広まりつつあると言う話を聞くと、その効果は相当なものなのでしょうか。
こちら普段から仏頂面で有名な(失礼)あのお方ですが、ネコのパワーには勝てなかったらしいと言う驚きのニュースが出ていました。

民主党・岡田克也代表 番組中ネコが長時間膝に乗る(2015年03月22日アメーバニュース)

 21日にオンエアされた『田勢康弘の週刊ニュース新書』(テレビ東京)が「神回」とネットで話題となっている。同番組は、番組に登場するネコ「にゃーにゃ」がオンエア中自由きままな行動をする。いかにマジメなテーマであろうが、にゃーにゃは自由に動き回り、場を和ませる。
 21日の回には民主党の岡田克也代表が出演したが、にゃーにゃが徹底的に岡田氏の膝の上に乗っかているのだ。岡田氏はネコ好きなのか、徹底的ににゃーにゃーをかわいがっている様子である。これに対しては以下のようなコメントがついた。

〈のっけからもふられとる!〉
〈もう確保されててワロタw 可愛いなぁ~〉
〈くっそリラックスしてるwwwwwwwwwwwwwww〉

 これにより、普段はネットでは叩かれがちな民主党だが「これで猫好き票が1000票はGETできたなw」と評され、民主党にとっても岡田代表にとっても今回の出演は局地的には好結果をもたらしたようだ。

これも動画を見る限り確かにその恐ろしいまでの効果を示すのにこれ以上ない相手だったとも言えますが、まあしかし珍しい光景ではありますよね。
これだけのすさまじいパワーを発揮するだけにその副作用も小さなものではないと言うことでしょうか、こちらのニュースは非常に恐ろしいものとなっています。

猫を飼うと統合失調症になる―3つの研究(2015年6月21日ねたりか)

猫好きな人や猫を飼っている人には、ショックな話題があがっています。ハフィントンポストによると、幼少時代に猫を飼い一緒に暮らしていて、大人になってから統合失調症や他の深刻な病であると診断される人が多いことが、3つの研究で報告されているようです。

統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。
研究者は、当時はまだ科学者には分析されていなかった、1982年に行われたアンケートに着眼しました。それは、精神障害国立研究所(NAMI)に所属する2,125世帯からのデータなのですが、なんと、統合失調症患者の50.6%が子どもの頃に猫を飼っていたことが判明したのです。
この結果は、1990年代にNAMIメンバーの間で行われた2つの調査と驚くほど酷似していたそうです。

猫から人間に感染する寄生虫であるトキソプラズマ原虫が統合失調症の発症に大きく関っていると考えられています。
スタンレー医学研究所のエドウィン・トーリー博士は、「Tゴンジが脳に入り、微視的嚢胞を形成します。おそらくその後、神経伝達物質に影響を与え、青年期後期に活性化され、疾患を引き起こすことになると、我々は考えています」と、ハフィントンポストに語っています。
研究者は、猫のトイレに普段から蓋をすることと、猫同士の寄生虫感染を防ぐために、猫の室内飼いを勧めています。

こういう感染症の恐怖と言うものは確かに失念しがちなんですが、一般論として動物と接する場合にはそれなりに注意が必要であるとは思いますね。
同じくネコ絡みでの調査研究結果なんですが、こちらブリだけにいささか眉唾も尽きかねない気もします。

実際のところ、猫はどこをなでられるのが好きなのだろうか?(2015年4月8日カラパイア)

 イギリスにあるリンカーン大学の主任研究員サラ・エリス教授が、猫に関する研究を発表した。それは、猫が、どの箇所をなでられるのが好きか?というものである。この研究結果によると、猫には確実に「なでスポット」があるという。
 動物たちは、動物本来の行為を人間にも求めているはずだと考えられてきた。では、猫へ愛情表現したい時は、猫がそうするように、猫をペロペロとなめないとけないのか?
 大丈夫、そんなことはない。だがネコ科の動物たちの友好的な行為には体のある特定の部分が関係している。それは、臭線と呼ばれる臭いを出す器官で、口周り(あご、頬)、目と耳の間、そして尻尾の付け根まわりの3か所にある。

■ 猫が撫でられて喜ぶ場所はアゴ・頬、目と耳の間
 この研究では生後6ヶ月から12歳までの34匹の猫を対象に行われた。実験を開始する前に、実験者は猫をなれる時間が与えられた。
 テストの対象は、先ほど述べた3箇所(口まわり・目と耳の間・尻尾の付け根)の臭腺部分と、その他の体の5箇所(頭の頂点、首の後ろ、背中の上部、背中の中部、胸と喉)の計8か所である。条件を一定にするため、体をなでる順番はランダム、なでるときは二本指で各部分を15秒間だけ、とルールを設定した。また、猫はいつでもその場を去ることができる。

■ 尻尾付近は禁断ゾーン
 実験者の手がしっぽに近づくにつれ、否定的な行動が目立った。つまり、しっぽの近くは人間に撫でられるのはあまり好きじゃないのだ。
 第二の実験では、20匹の猫が使われ、飼い主が決められた順番通りに猫をなでた。ひとつは頭から背中をへてしっぽへ、もうひとつは反対の順番だ。この実験に関しては、なで方は特定していない。二本指でも手のひらでも好きなようになでてもらった。そうすると、逃げた猫は3匹のみになった。この実験でも、なでる順番に関わらず、猫はしっぽの近くを触れられるのを嫌がった。
 これらの実験から、飼い主はしっぽの付け根周辺を触るべきではないということがわかった。その代わりに、顔や顎、目と耳の間をなでると猫はとても喜ぶようだ。

尻尾と言うのは非常に誘惑が強いもので残念な実験結果ではありますが、その一方で肉球はどうなのか?と言う疑問に答えていないのは研究成果としてやや片手落ちな印象ですよね。
最後に取り上げますのはたま駅長に負けず劣らずの知名度を持つあのネコに関する話題なのですが、まずはさらっとニュースを紹介してみましょう。

米動物愛護団体、子どもを犬から救った猫に「ヒーロー犬賞」(2015年6月21日AFP)

【6月21日 AFP】米ロサンゼルスの動物愛護団体spcaLA(Society for the Prevention of Cruelty to Animals Los Angeles)は19日、今年で33回目となる「年間全国ヒーロー犬賞(Annual National Hero Dog Award)」を発表したが、犬に襲われた子どもを救った7歳の雌猫「タラ(Tara)」に賞を授与する異例の措置を取った。

 タラはカリフォルニア(California)州ベーカーズフィールド(Bakersfield)に住むトリアンタフィロ(Triantafilo)家の飼い猫。昨年5月に一家の息子であるジェレミー・トリアンタフィロ(Jeremy Triantafilo)君が私道で隣家の飼い犬に脚をかまれた際、タラは直ちに突進してこの犬を追い払った。この様子を記録した映像は動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に「My Cat Saved My Son(私の猫が息子を救った)」というタイトルで投稿され、大きな注目を集めた。

 spcaLAはこれまでの慣例を破り、本来犬を対象とした賞を猫のタラに授与することを決めた。

この驚くべき勇気を示したネコの話題は当「ぐり研」でも以前に取り上げたことがありますが、イヌの賞を与えられたと言う時点でその驚くべき活躍の程が判りますよね。
このように実用から趣味に至るまで様々な用途を示すネコですが、惜しむらくはその効果発揮がもう一つ不安定で確実性に欠ける点でしょうか。

今日のぐり:「大連香奥田店」

岡山市内でも少し表通りから離れた裏道沿いに位置するこちらのお店、HPによれば「本場中国の料理人とスタッフで活気のあるお店」なのだそうで、開店以来一度寄ってみたいとは思っていたのですが、今回機会があって初めてお邪魔してみました。
リーズナブルな価格の中国家庭料理をうたうだけに大衆中華っぽい飾らない客層のようなのですが、メニューを見ても日本風の中華料理店の定番とはちょっと違っているようで楽しみですよね。

例によって同行者とシェアしながら適当につまんでみたのですが、味を比べやすい定番メニューでは鳥からがクリスピーと言うか衣が硬いと言うかですし、レバニラはあっさり味ですが肉の下味もあっさりなのがちょっと物足りない気もします。
水餃子は冷凍保存してあるのか完全に皮が崩壊してしまっているのがどうなのかですが、こちらの焼き餃子はいわゆる鉄鍋餃子などとは違う日本風の見た目で、中の餡はちゃんと肉の味がするのはいいんですがこの薄皮が中国の家庭でも一般的なのでしょうか?
エビチャーハンはまあ可もなく及第点と言うところですが、家庭料理の王道とも言うべきトマトと卵の炒めものは一般的な塩味ではなく非常に甘い味付けが印象的で、それでも料理として見ると素材にあった味の組み立てではあると感じました。
エビ団子はさっくりした衣とぷりぷりした食感はいい具合ですが、ソースは文字通り甘辛としか言いようのないもので、揚げ魚の甘酢ソースなどでも感じるのですが多くの料理ではっきり甘いなあと言う味付けが特徴なんでしょうかね。

定番にしろ珍しい一品にしろここではどんな料理が出てくるのかと結構面白いですしし、味も他店にはないオリジナリティーがあって甘口好きには悪くないかなとは感じたのですが、やはりリーズナブルな価格と言う制約もあるのでしょうか、全体的な味を支えるスープが弱いかなと言う印象を受けました。
接遇面ではこの種のネイティブを売りにした店にしばしば見られるようにちょっと意志疎通に困難を感じることもないではないのですが、設備面ではトイレは割合に小綺麗なんですが設備はもうひとつで特に洗面台が妙に物足りないのは、新しく出来たお店にしてはむしろ珍しいかなと言う気もします。

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2015年6月27日 (土)

マスコミによって取捨選択される事実の二つの側面

メディアに限らず何であれ言説を弄する者、あるいは単に事実を取り上げるだけであってもその取捨選択によって何らかの主張が込められているものだと言うのは常識だと思いますが、先日その興味深い一例としてまずはこんな記事から紹介してみましょう。

「NHKよ、なぜ安倍首相への帰れコールを隠すんだ」 海外メディアの記者が疑問視【沖縄・慰霊の日】( 2015年06月24日ハフィントンポスト)

6月23日の慰霊の日、沖縄全戦没者追悼式に登壇した安倍晋三首相が、会場で「帰れ!」などと多くのヤジを受けたことを海外メディアが大きく報じている。AFP通信とロイターは、以下のように報じた。

    沖縄の式典が最高潮に達したとき、安倍首相は「亜熱帯の島にはアメリカの存在が大きすぎる」と怒る地元の人々からヤジを受けた。彼が演台に立ったとき、数々の「帰れ!」という叫びが聞こえた。日本の首相は、公衆の場で嘲笑されることは、あまりない。

    (「沖縄戦70周年で緊張が表面化」AFP通信 2015/06/24 13:02)

    安倍首相は、黒い沖縄のシャツを着て、「鉄の暴風」作戦として知られているほぼ3ヶ月の戦いで命を失った人々を追悼する献花をした。数人が「帰れ!」と叫び、黒いベレー帽の老人は立ち上がって安倍首相を指さした

    (「日本の安倍首相、沖縄戦の式典でヤジを受ける」ロイター 2015/06/24 13:02)

しかし、NHKは「首相 引き続き沖縄の基地負担軽減に全力」などと報じたものの、現地での激しいヤジについて放送した様子はない。このことにAFP東京支局の副支局長であるヒュー・グリフィスさんが苦言を呈している。

へい、NHK。なんで安倍首相に「帰れ!」と叫んでいる人々を映さないんだ?

琉球新報がYouTubeで公開している動画でも48分25秒ごろ、登壇した安倍首相に対する激しいヤジを確認できる。

詳細は元記事のリンク先を確認いただきたいとして、先日国会の場におけるヤジが品がないと話題になっていたばかりであり、まあこれも同様に公共の場における品がない行為であると批判されるべきものではあるのでしょうが、興味深いのは記事の書き手であるフリージャーナリストの安藤健二氏がどうやらこのヤジを取り上げないNHKはケシカランと考えているらしいと言うことがうかがわれる点です。
安藤氏と言えば有名なところでは「封印作品の謎」と言う非常に興味深い書物を執筆されたことでも知られていて、これは続編も含めて一読するに値するものであると考えるのですが、そうした氏のスタンスから考えるとこれもヤジ自体の是非がどうこうと言うよりも、そうしたヤジが存在したことを隠蔽しようとする態度が問題であると考えていたのかも知れません。
もちろんNHKも世の中の事実関係全てを報じるわけにもいかないでしょうから、一定の独自基準に従って取捨選択をしながら報道内容を決めているのだろうと思うのですが、何故NHKがそうした判断をするに至ったのかと言う点と関係があるのかどうか、全く同じ現象を別の方面から取り上げたこちらの記事がこれまた話題になっています。

地上戦の災禍(上)慰霊の心どこへ…「あんたらウチナンチュじゃないだろ!」(2015年6月24日産経新聞)

 日米で20万人超の犠牲者を出した沖縄戦終結から70年を迎えた23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園はカラリと晴れ渡った。公園内の仮設テントで営まれた沖縄全戦没者追悼式に出席した首相の安倍晋三は神妙な面持ちで哀悼の意を表した。
 「先の大戦でここ沖縄の地は国内最大の地上戦の場となりました。平穏な暮らしは修羅の巷と変じ、豊かな海と緑は破壊され、20万人もの尊い命が失われました。全国民とともに、この地に倒れた人々の流した血や涙に思いを致し、胸に迫り来る悲痛の念とともに静かに頭を垂れたい」
 時折、「さっさと帰れ」「嘘を言うな」と罵声が飛んだが、あいさつを終えると大きな拍手がわいた

 これに先立ち、登壇した沖縄県知事の翁長(おなが)雄志(たけし)は弔意もそこそこにこう語った。
 「そもそも普天間飛行場の固定化は許されず『嫌なら代替案を出しなさい』との考えは到底県民に許容できるものではありません。普天間移設の中止を決断し、沖縄の基地負担を軽減する政策を再度見直されることを強く求めます」
 式次第には「平和宣言」とあるが、完全なる政治演説だった。会場の片隅から「そうだ」と合いの手が飛び、拍手がわいた。
 追悼式に参列した那覇市の男性(72)は「今日は沖縄で犠牲になった方々を慰霊する日。翁長さんの言いたい気持ちも分かるけど式典で政府批判はいかがなものか。慰霊の日なんだから」とため息をついた。

 だが、会場外はもっとひどかった
 「安倍首相来沖反対」「オスプレイ撤去」「不戦誓うこの地を再び軍靴で汚すな!」-。このような慰霊とはほど遠い文言が並ぶプラカードを手にした人たちが午前9時ごろから、公園の入り口付近に続々と集結し始めた。午前10時すぎには約50人となり、シュプレヒコールが始まった。
 「安倍は帰れ。慰霊祭に参加するな!」
 「辺野古の新基地建設許さないぞ!」
 「戦争法案やめろ!」
 午前11時10分ごろ、首相を乗せた車列が反対派の目前を通過し、公園に入った。「帰れ!」「おまえの来るところじゃない!」と怒号が飛んだ
 参列者の通行妨害とならぬよう警察官が歩道に設置した柵の内側への移動を促すと一団は叫んだ。
 「沖縄の表現の自由を守れ!」「慰霊の日に暴力ふるってよいのか?」

 シュプレヒコールをあげた30歳代の男性は東京都出身。「県民の心を踏みにじる安倍政権は許せない」と語った。地元の若者は「あんたらウチナンチュ(沖縄人)じゃないだろ? 政治的なものを持ち込むな」と食ってかかった
 式典会場まで約8・3キロを歩き、犠牲者を追悼する「平和祈願慰霊大行進」(県遺族連合会など主催)に参加した男性(76)はこう嘆いた。
 「毎年参加する度に涙が出る思いになる。今日はそういう日なんです。『安倍は来るな』などと叫んで慰霊を邪魔しないでほしい
(略)

沖縄と言う土地にもそれなりに思うところがあることは記事の後段部分でも理解出来るところですし、またそうした感情はそう簡単に整理出来るものでもないのでしょうが、いずれにしても慰霊のための式典であるはずのものが現地ではずいぶんと変質したものになっている気配がある、そしてその理由は必ずしも沖縄県民だけの責任に帰するものではないと言うことでしょうか。
この辺りは事実関係のどの側面を切り出すかによっていかようにも情報を操作出来るところで、有名なところではかつて自衛隊が海外に派遣されるたびに一部メディアでは岸壁が反対派で一杯になっているかのような映像が放送される、しかし実際にはそうした方々は見送りに集まった大勢の家族から離れて岸壁の片隅に固まって少人数が来ているだけで、しかもテレビの収録が終わるとさっさと撤退していくのだと言います。
今の時代は特にいわゆるプロ市民と呼ばれる方々はマスコミと持ちつ持たれつの関係で仕事をしているのだろうと思いますが、それを簡単手軽にネタを提供してくれるありがたい存在だと考えるマスコミの方々もいると言うことですから、後はそれを知った上でどうマスコミの選んだ事実の一断面を受け止め判断するのかが国民の側の問題なんだろうと思いますね。

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2015年6月26日 (金)

顧客目線を知ることの意味

先日こんなアンケート調査の結果が出ていたのですが、まあ確かに誰しも一度は悩んだことがある話ばかりと言う気はしますよね。

「こんな薬がほしい!」1位は?(2015年6月24日NEWSポストセブン)

医療の進歩はめざましい。かつては不治の病とされていた難病も、新たな薬や治療法で次々と克服されてきた。一方で、素人としては、こう思ってしまうことがある。「科学が進歩したんだから、そろそろこんな薬が出てきてくれてもいいのに…」と。なかば夢のような話かもしれないが、皆さんはどんな「薬」を待ち望んでいるだろうか? 20~30代の社会人男性200人に、アンケート調査した(協力/アイ・リサーチ)。

〈科学が進歩したんだから、そろそろ出てきてくれよと思う薬TOP10〉
(上位3位まで選択。1位3pt、2位2pt、3位1ptとして集計)

1位 視力が回復する薬 190pt
2位 花粉症が完治する薬 186pt
3位 寝なくても眠くならない薬 109pt
4位 毛生え薬 98pt
5位 認知症が治る薬 93pt
6位 老化を止める薬 80pt
7位 若返り薬 73pt
8位 身長が伸びる薬 71pt
9位 食品アレルギーが治る薬 64pt
10位 食べても太らない薬 61pt

各種調査によると、成人の約7割がメガネかコンタクトを使用しているといわれる日本。以下、花粉症や睡眠不足など、一種の「国民病」とも呼ばれる症状を解決してほしい…と待ち望む人が多数のようだ。それぞれに寄せられた期待の声を紹介しよう。
(略)

文字通り「夢のような話」もあるものの、すでに研究開発が進んでいる分野も。はたして最初に実現するのはどの薬なのか? 科学の力に期待して待ちましょう。

見ていますとなるほどなと納得するような効果効能を期待している薬が多いのですが、少なくともある程度はすでに同種効果がある薬も実用化されているように見えて、ここで期待されているのはやはり副作用が少なく安価で、なおかつ出来れば一度飲めばすっきりきれいに治ると言うキレの良さと言ったものなのでしょうね。
以前にネット界隈で花粉症シーズンのケ○コルト一発療法の是非と言うものがちょっとした議論になっていたことがあって、一方ではこんなによく効く薬はないしシーズン中に一回注射するだけでいいんだから楽だと言った絶讚の声もあれば、他に薬もあるのにそんなリスクを背負ってやることじゃないよねと言う否定的論調もありで、このあたりは患者の立場と医師の立場でも見解が分かれるようにも感じます。
昨今はかなり違ってきているようですが視力矯正手術を行う眼科医が眼鏡をかけて診療していたと言う話もあるように、医者の場合トラブルを起こした経験も豊富で用心深くなりがちな一方で患者としての不具合は過少評価しがちになるのかも知れませんが、この辺りの立場の違いによるものの捉え方の違いを示すこんな話も取り上げてみましょう。

「うまい歯医者」の見極め方9箇条(2015年6月21日webR25)

大人になっても、何かとお世話になる歯医者。できれば「うまい歯医者」を見つけたいが、残念ながら“素人”には見分けがつかない。自分は本当に適切な治療を受けているのか? もっと痛みの少ない治療はできないのか? …などなど、疑問を感じつつも、なんとなく近所の歯医者に通っている人も多いはず。
医療ジャーナリストの田辺功氏も、「未熟なまま親のクリニックを継いだり、経験の少ないまま開業医になったりと、歯医者一人ひとりの実力に差があるのは確かです」と指摘する。
そこで田辺氏に、「うまい歯医者」を見極める判断材料を挙げてもらった。

〈うまい歯医者を見極める9ポイント〉
(1)クリニックに歯科医が2人以上いる
(2)クリニックに歯科衛生士がいる
(3)大学病院や大きなクリニックでの勤務経験が数年ある
(4)学会・研究会で診療を休んだりすることがある
(5)セカンドオピニオンを希望したときに了承してくれる
(6)専門分野を明確に打ち出している
(7)歯をできるだけ抜かずに治療する
(8)地元(出身地)で開業している
(9)わからない部分は、もう一度ていねいに説明してくれる

もちろん、これに当てはまらない「うまい歯医者」もいる。ただ、このチェックリストに多数当てはま れば、「うまい歯医者」である可能性が高い

まずは(1)と(2)について、田辺氏は理由をこう説明する。
「クリニックの中には、歯科医が1人しかいないところが多い。歯科衛生士については、1人もいないケースもあります。ただ、そういう環境では、治療法などについて他のスタッフが歯科医に口を出すことがないため、歯科医が自分の見識を見直したり、技術を磨きあったりする機会が生まれにくいもの。歯科医が複数いるか、あるいは、同じく専門知識を持った歯科衛生士のいる環境の方が、より安心でしょうね」
(3)や(4)も同じ理由で、大きな組織で数年間働いたり、学会などに出ていたりすれば、そこでいろいろな人の技術を吸収できる。また、(5)のセカンドオピニオンの提案を嫌がる場合は、自分の技術や見識に自信がないとも考えられる。
(6)の理由については、「歯医者といってもその治療の幅は、虫歯治療から義歯、インプラントから審美歯科(歯を美しく見せるもの)まで様々。各分野で必要な技術は異なるので、専門分野をはっきり出していることが大切」と田辺氏。(7)は、「歯をできるだけ抜かないのが、現代の虫歯治療」とのことで、それに逆行するのは疑問符がつくようだ。
一見、技術とは関係ないように思える(8)については、「地元(出身地)で開業している歯医者は、そこにずっと居続ける可能性が高い。患者とは一生の付き合いになるので、きちんとした治療ができないとやっていけません」と田辺氏は指摘する。

なお、ここで挙げたリストのうち、治療行為に関する項目は(7)だけ。「たとえ治療がスムーズに終わっても、必要以上に歯を削られていたり、不用意に抜歯されていたりするケースもある。一般の人が治療行為から“うまい歯医者かどうか”を判断するのは困難」(田辺氏)とその意図を語る。
あくまで参考ではあるが、もし歯医者選びに迷ったら、このチェックリストをひとつの判断材料にしてみてはいかがだろうか。

このチェックリストの妥当性に関しては評価出来るほど歯科の内情は存じ上げませんし、自称医療ジャーナリストなるものがどういった水準の方々であるのかと言えば田辺氏を始め諸氏のホメオパシーに対する態度であるとか、有名な某大手新聞社の医療担当記者が骨折して…と言う件でもちょっとどうなのよ?と感じてしまうところなんですが、ここで興味深いのが医療行為のうまいまずいは問うところではないとわざわざ明記している点ですよね。
その理由としてどうせ素人にはうまいも下手も判るわけがないんだからと言われれば御説ごもっともなのかも知れませんが、例えば医師が信頼できる主治医の選び方などと言うチェックリストを挙げていくとして、恐らく医科と歯科の違いを抜きにしてもこういう評価基準にはならないんだろうと思いますがどうでしょうね?
いわゆる良い病院、良い医者ランキング本のようなものも結構出回っていると言う時代で、病院側としても厚労省の天下り機構にお布施を払ってわざわざ馬鹿げたことをやらされるよう御指導を仰ぐのがいいのか悪いのかですが、患者側がどういう目線で病院なり医者なりを評価しているかと言うことを理解しておくと、営業上の戦略として病院側が考えているような改善策がどの程度効果がありそうなのかも見えてくる気がします。
逆に言えばモンスターだ、クレーマーだと言った方々が何故そこに引っかかる?と言うところでクレームをつけてくる理由もまた見えてくるのかも知れませんが、そうした患者目線での評価軸を知っておけばもちろん実際の診療に余計な悪影響を及ぼさないで見た目イメージを大きく向上させられもするだろうし、一般患者に余計な迷惑をかけずに効率よくクレーマーを排除する道も見えてくるのかも知れませんよね。
まあそういう面倒なことを考えなくても、医療従事者も時々は見ず知らずの医療機関に名無しの一患者として受診してみると患者目線でのいいところも悪いところも少なからず見えてくるのだろうし、普段スタッフとして悪気もなく当たり前にやっていることが顧客の立場からすると結構カチンとくることもあるんだなと言うことが身をもって判るんじゃないかと思います。

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2015年6月25日 (木)

ネット上の書き込みが実社会に及ぼす波紋

昔からマスコミなどは個人攻撃が大好きで、どこの誰とも知れない匿名の識者だの事情通だのを登場させては根拠不明の「噂」をさも事実であるかのように吹聴してきたものですが、書かれる相手も基本的には著名人であることから言ってみれば人気商売なところがあって、好き放題のデタラメを書かれても対外的イメージを考慮して泣き寝入りと言うケースも多かったことでしょう。
今の時代はマスコミに限らず無名の素人がネット上で何でも書き込める時代で、そのことに伴う責任というものを自覚していないといわゆる馬鹿発見器騒動にもつながるわけですが、逆に匿名書き込みによって被害を受ける側はしばしば感じるところもあるのでしょうか、以前から続いていた裁判がついに控訴審の高裁判決まで出たと言います。

「食べログ」書き込み、削除請求認めず 札幌高裁(2015年6月23日北海道新聞)

 インターネット上で飲食店の評判を投稿するサイト「食べログ」の否定的な書き込みで客が激減したとして、北広島市で飲食店を経営する札幌市の男性が、サイトを運営するカカクコム(東京)に書き込みの削除を求めた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁(岡本岳裁判長)は23日、男性の控訴を棄却した。

 判決理由で岡本裁判長は「社会的に相当性を有する口コミ投稿ならば、営業上の損失が生じたとしても甘受すべきだ」と述べた。

注意いただきたいのはこれはあくまでも運営元に記事を削除することを求めた訴訟の判決であって、例えば店主が書き込み主を名誉毀損なりで訴えただとか言うわけでもなければ、運営元に書き込みによる損害賠償を請求したわけでもないと言うことなんですが、一般論としてどのような商売であれ良い評価と悪い評価の双方があり得るのは当然であって、悪い評価であるから直ちに許容出来ないと言うわけではないはずです。
この種の投稿サイトにおいても一つだけぽつんと不当な評価をつける人間がいたとしても、閲覧者は他の書き込みも参照しながら総合的に判断するのが普通ですから、個人レベルでの書き込みを不都合だからとコントロールしようとするのは筋違いで、ただ集団として組織として恣意的な書き込みが続けられ、なおかつそれが明らかに事実に反していると言う場合に初めて問題視されるべきなんだろうと思いますね。
ではいわゆる誹謗中傷なども含め何らかの意図に基づいて組織だって恣意的な書き込みが継続され、しかも当事者がそれを事実ではないと考えている場合にはどうなのかですが、先日同じくネット上の評価書き込みに関してこんな話が持ち上がっているのをご存知でしょうか。

Amazonレビューで低評価を付けたら情報開示請求された? → 著者がブログで反論「(開示請求をしたのは)事実です」(2015年6月14日ねとらば)

 2ちゃんねるやまとめサイトなどを中心に、「Amazonレビューで低評価を付けたところ、発信者情報の開示を請求された」という書き込みが広がっており、著者の1人である片山晃さんがブログでこれに反論しています。

 問題となっているのは、5月に発売された「勝つ投資 負けない投資」という書籍のレビュー。6月13日の夜ごろ、「この本のレビューを書いたらAmazonから個人情報開示請求のメールが届いた」という人が2ちゃんねるに現れると、「こんなんで開示って」「言論弾圧かよ」など、片山氏やAmazonに対する批判が次々と書き込まれました(あくまで請求の段階で、まだ実際に開示が行われたわけではありません)。批判はすぐにAmazonのレビュー欄にも飛び火し、現在は「星ひとつつけたら開示請求とか、賠償責任とかされるらしい」「批判されるのが嫌なら出版しなきゃいいのに」といったレビューも投稿され、ちょっとした炎上状態となっています。

 こうした動きを受け、片山さんはブログで「私が自著のレビューについてAmazonに開示請求を行ったことが話題になっていますが、これは事実です」と説明。しかし、単に批判的な低評価を付けられたから開示を請求したわけではなく、あくまで「本の内容とは無関係かつ、事実と異なる情報」を書き込み、「今後の活動に悪影響を与える可能性がある」と判断した2件についてのみ開示請求を行ったとしています。

 2ちゃんねるの一部スレッドでは以前から、片山さんに対する根拠のない批判が繰り返し書き込まれており、片山さんによると「まるでそれが事実であるかのようなコンセンサスが作られ」ていたそう。今回問題になったレビューにも、こうした根拠のない批判や言説が含まれていたため、やむを得ずこのような措置をとったとのことです。

 片山さんは今回の対応について「事実と異なるネガティブな書き込みをし、私が不正を働く投資家であるとも取れるような印象を与えることが正当なレビューとは到底思えませんし、これを放置することはこれから生涯をかけて投資家として活動していこうとしている私にとって無視できないリスクです」と説明。一方で、本に対するきちんとしたレビューを書いてくれた人に対しては、「それがどのような内容でも感謝しています」と、批判的なものであっても受け入れる覚悟があるとコメントしています。

ちなみにこの片山氏、一時は時の人としてずいぶんとマスコミなどにも取り上げられた方であるようで、特にそのユニークな前歴が注目されたのか各方面から様々な噂も乱れ飛んでいたようですけれども、ニート生活からアルバイトで貯めた資金を元手に投資家として成功したと言えば確かに投資家として云々以前に、そのキャリアの方に注目されるのも無理からぬことなのかなとは思います。
実際に通販サイトに行ってみますととんでもない数の評価書き込みが付けられていて、平均点数が示すようにその大部分は正直とても肯定的な内容とは思えないものではあるのですが、ざっと見た限りでは事実がどうこうと言うようなトラブルになりそうな内容の書き込みよりも、単純につまらない、役に立たない、価格相応の価値はないと言ったごく当たり前の低評価書き込みが大部分であるように思います。
その中でも敢えて2件に限って開示請求を行ったと言うのですから相当に抑制的だったとも言えるだろうし、100件以上の中に2件ほど妙な書き込みが入っていたところでどれだけ影響があるのかと考えると自意識過剰な人なのか?とも思ってしまいそうですが、実際にはそれ以前からネット上でのテンプレ的な書き込みが流布していて、その流れを汲んだ書き込みに対してこうした対応に出たと言うことのようです。
そのテンプレ的内容に関しては事実とも事実でないとも言いかねるのですけれども、正直ちょっとでも名前が知られるようになればネット上でそれなりのコピペ的レッテル貼りがつくのは当然ですし、むしろそうした有名税の一つ二つもないような人間が本を出したところで儲かるほど売れるとは思いがたいんですけれども、まあ気になるのも人情と言うものなんでしょうね。
しかしこれだけの数が付けられたレスを一つ一つ地道にチェックしながらこれはよく判ってる、こいつは全然駄目とかやっている光景はある意味微笑ましいと言うのでしょうか、投資家と言うのはそれだけ詳細な情報を集め分析しなければ務まらないものなのかも知れませんが、確実に言えることはこれでテンプレ書き込みにさらなる一章が追加されただろうと言うことでしょうかね。

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2015年6月24日 (水)

永続性のある高齢者の看取り方

このところ孤独死と言うことがときおり世間でも話題になる中で、先日高齢者を対象にした孤独死の調査が発表されていました。

<高齢社会白書>孤独死身近に感じる45% 感じない52%(2015年6月12日毎日新聞)

 1人暮らしの高齢者の45%が孤独死を身近に感じている--。内閣府が65歳以上の約1500人に聞いた意識調査で、こんな傾向が浮かんだ。12日に閣議決定された2015年版の高齢社会白書に盛り込まれた。
 調査は内閣府が昨年12月に面接で実施。対象とした1人暮らしの65歳以上2624人のうち1480人から回答を得た。

 「孤独死を身近に感じますか」と尋ねたところ、「感じる」は44・5%、「感じない」は52.1%だった。
 会話の頻度ごとに「感じる」割合をみると、「毎日話す」(818人)の中では38.2%だったが、「1週間に1~3回」(477人)では49.9%、「1カ月に1、2回」(93人)では63.4%を占めた。ただ「ほとんど話をしない」(91人)は下がって53.8%。
 子供の有無でみると、「いない人」(372人)の中で「感じる」は48.9%、「いる人」(1108人)では43.1%で、いない人の方の割合が比較的高かった。
 年齢層ごとで、最も高かったのが「65~69歳」の48.7%。年齢が高くなるにつれて「感じる」割合は低くなり、「80歳以上」は38.0%。男女や収入による差はあまりなかった。
 さらに、住宅の種類ごとの「感じる」割合は、最高が「賃貸の木造集合住宅」の54.2%で、最低は「持ち家の鉄筋集合住宅」の36.0%だった。

 1人暮らしの高齢者は近年増えており、現在は推計600万人に上る。白書は1人暮らしの高齢者の生活を支えるために「地域活動を活性化させ、コミュニティーの再構築を促すべきだ」と報告している。【山田泰蔵】

もちろん今現在孤独である高齢者の方が高いのだろうなと思って見ますと、以外にも高年齢になるにつれてむしろ孤独死を感じる比率は下がっていると言うことで、もちろん80歳以上になれば完全に孤独な生活をしている人も少ないのでしょうし、そろそろ家族も現役を退く時期で親の介護を真剣に考え始めている時期でもあるのでしょう。
ただ核家族化どころか生涯未婚率がかつてないほど高まってきている今の世相を考えるに、今後はそもそも家族と言える者が誰もいないと言う高齢者の方々が年を追うことに増えていくはずですし、例えばこうした方々が寝たきり認知症老人になってきた場合に高齢者の医療介護の現場がどうなっているだろうかと考えると、かなり現在とは状況が変わってきていそうには感じます。
先日は高齢者の介護コストが2013年度分で初めて9兆円を超えたと言うニュースが出ていて、もちろん団塊世代の高齢化が進む中で介護コストをどう捻出するかと言う点も非常に大きな課題である一方で、若年人口がどんどん減少していく中で介護スタッフをどう捻出するかと言うこともまた重大な問題で、諸外国から看護師を呼び集めようだとか都市部の高齢者を田舎に送り込もうだとか、様々な話が出てはいる状況です。
そんな中でそもそも介護などと言う非生産的な分野に生産年齢人口を多数縛り付けるのも国家成長戦略上如何なものか?と言う議論も以前からあって、ちょうど先日はこんな記事が出ていました。

介護の担い手増、経済にマイナス? 生産性に限界、指摘(2015年6月19日朝日新聞)

高齢者の介護は家族だけでなく、日本経済にも深刻な影響を与えそうだ。少子高齢化で働き手が減る一方、介護の担い手は増えていく。その結果、経済の実力が低下するとの指摘が相次いでいる。

■介護離職も増加

 西山一郎さん(52)は静岡市の実家で89歳の母親を世話している。週1回の通所リハビリ以外は、ほとんどの時間を寄り添って過ごす
 働いていた東京の商社は約4年前に辞めた。2002年に父親が亡くなってから、一人暮らしの母親の面倒を見てきた。時折早退して実家に向かったが、同僚への引け目もあり、「潮時だ」と思ったという。
 だが、暮らしは厳しい。正社員に戻って介護と仕事を両立したいと思うが、面接にたどり着くことさえ難しい。「辞めなければ良かった」と悔やむ。

 介護で仕事を辞めざるを得ない人はたくさんいる。総務省の調べでは11年10月~12年9月に介護や看護で仕事を辞めた人は10万1千人。介護離職防止を呼びかけるワーク&ケアバランス研究所の和氣美枝さん(43)は「これまで介護をしてきた人たちの経験が情報として共有されていくことが、離職を減らしていく上で大事だ」と話す。
 企業にとっては介護と仕事を両立しやすい制度を作ったり、介護経験者のノウハウを蓄積したりすることが大切になりそうだ。経験豊富な40~50代の幹部社員の退職が目立ち、ひいては日本経済全体にも影を落とすからだ。年間10万人が辞める影響を内閣府が計算したところ、国内総生産(GDP)を0・1ポイント押し下げるという。
 経済の実力を示す潜在成長率が0%台前半にとどまるとされる日本経済にとっては痛手だ。しかし、経済成長が受ける影響はそれにとどまらない。

 内閣府の試算によると、13年に6577万人だった労働力人口は、今以上に女性や高齢者が働きに出ないと30年に5683万人まで減るおそれがあり、その後も減り続ける。野口悠紀雄・早大ファイナンス総合研究所顧問(日本経済論)の分析によると、介護・医療分野の従事者が労働力人口に占める割合はこの先増え続け、増え方が最も激しい場合、30年代半ばには約20%を突破し、50年には約25%を占めるようになる。実に4人に1人の割合だ。
 野口氏は「これから医療・介護分野で働く人が増えていくが、こうした分野は生産性が高くはない。労働力人口のうち生産性が低い分野が占める割合が増えれば、経済成長が停滞する」と語る。

生産性が高い低いと言うのもこの場合労働者数辺りの稼ぎが多いか少ないかで言っているように感じられるのですが、経済成長が沈滞化する中で医療介護領域は国が必至でブレーキをかけなければ天井知らずで大きくなってしまうような産業なのですから、ある意味では非常に将来有望な成長産業だとも言えるはずですが、その原資は何かと言うことを考えれば新たに何かを産み出すと言うより既存の資産を使い潰しているとも言えますよね。
これもある意味では高齢者が持っている金をどう若年者に再配分するかと言う問題で、別にその方法論が介護だろうが老人税だろうが構わないとは思うのですが、今の介護システムは非常に高齢者に優しく誰もあぶれたりはしないように出来ていると言うことは、裏を返せば高齢者がどんどん介護にお金を落として資産の再配分に貢献すると言う状況でもないと言えます。
そして仮に高齢者が最後の一円まで資産を使い果たして亡くなっていったとしても、次の世代、さらにその次の世代と縮小再生産を繰り返すうちに結局は世界に冠たる日本の貯蓄率も過去の栄光となってしまうだろうと誰しも考えるところで、現状のように他の全てを切り捨てて親の介護に専念すると言う態勢は決して永続的に続けていけるようなやり方ではないと言えそうですよね。

この辺りは国民の介護と言うものに対する意識改革とも密接に絡んでくるところですが、生産性と言う観点から考えると大部屋に高齢者を並べて専従スタッフが順におしめを替えていくようなやり方が一番生産性が高いのは言うまでもない一方で、人生の終末期を迎えた親に対してそうした環境しか提供出来ないのでは子として申し訳ないと考えてしまうのも人情でしょう。
これがもう一世代、二世代ほど経過してくると親世代の資産や年金に頼って仕事をせずとも介護に専念出来るような状況でもなくなり、そもそも家族と言うもの自体が最初から存在していない孤独な老人ばかりの時代になってくるのでしょうが、嫌でも介護の生産性を追求せざるを得ないそんな時代になる前にもう少し早い段階で日常生活と介護とを両立させるような道を探っていくべきかと言う気がします。
以前に仕事もやめて親の介護に専念していた子が、結局どうにも立ちゆかなくなって老親と無理心中を図ると言う非常に悲しい事件がありましたけれども、普段の介護を赤の他人に預ければ自分の仕事と両立も出来ると言うのであればかえって親に対する責任も十分に果たせるだけでなく、自分の番になった時に次の世代に余計な面倒を押しつけなくてすみそうですが、それは社会にとって看取り文化と言うものの変化とも言えるように思います。

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2015年6月23日 (火)

5月生まれは一番お得?

そもそも個人のプロフィール欄に血液型を掲載するのがデフォであると言うのも世界で日本だけと言う声もあるようなんですが、世の中には血液型占いと言うものを非常に好む人がいて何かと「あなたは何型?」と訊ねたがる、そしてその結果何かしらひとり納得して頷いていたりと言うことは割合に経験することですけれども、基本的には週刊誌等が商売上の理由で広めている話の一つなんじゃないかと言う気もします。
これもある種の馬鹿発見器的に作働しているんじゃないかと言う声もあって、何かしら宗教などにはまりやすいタイプを見分ける簡単な識別法だと言われればなるほどそうかと頷いてしまいそうなんですが、先日読売新聞と言う一応は真っ当と言われているメディアまでもが血液型云々と言い出したと話題になっています。

血液型 ハラスメント…性格判断で不快な思い(2015年5月28日 読売新聞)

 「A型の人は○○」「B型の人は△△」。血液型性格判断を自分や友達、有名人などに当てはめて話題にした経験は多くの人があるはず。
 だが、血液型だけを根拠にステレオタイプで性格を決めつけられることに不愉快な思いをすることも少なくない。これを「ブラッドタイプ(血液型)ハラスメント」として問題視する声が上がっている。

 青山学院大3年の阿部啓祐さん(21)は「自分の部屋が汚いのは血液型とは関係ないだろう」と憤る。小学校時代から友人が自宅へ遊びに来るたび、「A型ならきれい好きなはずなのに……」と言われ続けているという。法政大3年の有賀壮吾さん(20)も「B型だけがだらしなかったり、忘れたりするとは限らない」と訴える。

 聖徳大心理学科講師の山岡重行さんが1999、2005、09の3年で首都圏の5私立大生計3587人を対象に行った調査によると、血液型性格判断で「不快な経験をしたことがある」と答えた学生は3割の1107人。このうち具体的な事例を記述した1003人の内訳は「別の血液型に見える」など不快な言葉を受けた人が最も多い34%で、「差別された・いじめられた」が23%、「性格を決めつけられた」が17%だった。
 山岡さんによると、血液型性格判断の源流は、20世紀初頭にドイツの研究者がヒトと動物の血液型を調べて提唱した説に遡る。その内容は「東洋人は白人よりもB型が多い。チンパンジー以外の動物にはB型が多い。東洋人は白人よりも動物に近い」という人種差別を主張するものだった。
 欧米では定着しなかったが、戦前の日本では、血液型で個人の性格や外国人と日本人の気質の違いをつかもうとする研究が進められた。当時の学術的な検証でこれを否定する意見が相次ぎ、沈静化したが、1970年代に入り、人の相性と血液型をテーマにした本が一躍ブームに。2000年代まで、書籍やテレビで取り上げられ続け、放送倫理・番組向上機構(BPO)は04年、「血液型で人を分類、価値付けするような番組は社会的差別に通じる危険がある」と各放送局に注意を呼びかけた。厚生労働省も「血液型と職務能力とは全く関係がない」として企業の採用選考時に血液型を聞かないよう求めている

 昨年6月には、血液型と性格の関連性に科学的根拠はないとする研究結果を九州大の講師がまとめた。この結果を受けて、インターネット検索サイト大手のヤフーが翌7月に意識調査したところ、血液型と性格は「関係あると思う」とする回答が54%で、「関係ないと思う」の40%を上回った。法政大3年の森一樹さん(20)は「血液型が会話のきっかけになるのはいいと思う」と話す。
 山岡さんは「血液型性格判断は、当てはまる事例だけ人の記憶に残り、当てはまらない事例は残らない。『遊び』だからと真面目に反論させない構造もある」としたうえで、「身体的特徴である血液型で他人と比較することは差別につながる。起源には人種差別があることを思い起こしてほしい」と指摘している。(原隆也)

現代につながる血液型信仰を編み出したのが故・能見正比古氏だと言いますが、彼自身は著名人の血液型を収集して血液型と性格とを関連づけようとしたと言うのですけれども、そもそも収集したデータに統計的に優位な差はなかっただとか、血液型により統計的に有意な差が生じているのは血液型診断の知識や信念を持つ被験者のみであっただとか、すでに様々な方面からの突っ込みは入っているところですよね。
星新一氏が「人間は、必ず差別を作ろうとする。肌の色や身長などで差別される時代が終わったら、血液型で差別する時代が来るだろう」と言ったとか言わないとかですが、今はまだブラハラと言う言葉を聞き慣れない人が大多数でも、いずれセクハラやパワハラのようにこれが裁判のネタになるかも知れないと感じる人、そうなるべきだと言う人も現にいらっしゃるようです。
一方で科学的な根拠の如何を問わずそれが会話のきっかけや人間関係構築の手助けになればいいんじゃないかと言う声も根強くあって、確かにプライベートの場で肯定的な用途に限って用いられると言うならまあ構わないのかも知れませんが、仕事等に関わりのある場で敢えて血液型を取り上げる意味はまずないものと考えておくべきではないかと言う気がします。
ましてや個人が生まれ持ったもので後天的に何とも出来ないことに関して、周囲がそれのみを理由にネガティブな対応をすると言うのであればこれは有害無益なことですけれども、この種の話は別に血液型だけに限ったことではないようで、先日は現代版占星術とも言うべきこんな話が出てきたと報じられています。

生まれた月によって、心臓病やウイルス感染、ADHDなどの病気にかかりやすくなる(2015年6月12日ハフィントンポスト)

生まれた月でその人の性格や人生を予言するのは、占い師だけの仕事ではないらしい。最近は、科学者も生まれ月で将来を予測するようだ。
コロンビア大学メディカル・センターの研究グループは6月3日、「生まれた月は、心臓病やウイルス感染、ADHD(注意欠陥・多動性障害)などの健康障害と関係がある」という研究結果を米国医療情報学会誌に発表した。
生まれた月が将来の病気を予言するなんて突拍子もない考えにも思えるが、科学者の間ではこの発見は好意的に受け止められているようだ。

この研究を主導したコロンビア大学生物医学情報学部の准教授、ニコラス・タトネッティ博士はハフポストUS版に「科学者たちの素晴らしいところは、色々な考えに対してとてもオープンなところです。彼らは主張を裏付けるデータがさえあれば、突拍子もない考えでも受け入れてくれます」と話した。
とても興味深い研究だが、単に特定の月に生まれたことで特定の病気にかかりやすくなる、という単純な話ではないようだ。
「この研究結果を説明する時には、生まれた月は私たちが環境からうけた影響を測る『代理変数(測定できないものを代わって測る変数)』だということを忘れずに伝えています。環境は幼児期の成長に大きな影響を与えます。ある特定の遺伝子の突然変異にも影響を与えているということはよく知られていることです」

今回の研究では、ニューヨーク市の医療データベースから170万人を選んで、1600以上の病気について調べた。その結果、55の病気が生まれ月に「大きく関係している」ことがわかった。なぜだろうか? 研究グループはその理由を「生まれた時期によって、成長初期段階の環境因子の多くが違うからだ」と、研究グループは説明する。
「生まれた季節によって環境因子は変わります。そして季節はその環境因子の「代理」として、私たちに色々な情報を伝えるのです」とタトネッティ博士は話す。
研究の結果、以下のような生まれ月と病気の関係が見られたという。

    ・ 全体的に見て、10月生まれが一番病気にかかるリスクが最も高く、5月生まれが最も低い。
    ・ ぜんそくのリスクは、7月生まれと10月生まれが最も高い。
    ・ ADHDを引き起こすリスクは、11月生まれが最も高い。
    ・ 心房細動・鬱血性心不全・僧帽弁疾患などの心臓障害のリスクは、3月生まれが最も高い
    ・ 冬生まれは、神経障害のリスクが高い。

注意して欲しいのは、このリスクは、予防措置を取らなければならないほど深刻ではないと研究グループが注意している点だ。
タトネッティ博士は「今回の研究の最も興味深い点は、特定の病気のリスクを高めるのはどんな環境かを調べる新しい研究の機会が開けるかもしれないことです」と語る。「このメカニズムが解明できれば、生活習慣や食生活を改善するためのアドバイスができるようになるかもしれません」

元記事の図表などを見るとまさしく占星術を意識しているのか?と言う感じなんですが、ちなみに月ごとにかかりやすい病気として以下のようなものが挙げられているようで、皆さんも幾つか当てはまるところがあったでしょうかね?

    1月 高血圧、心筋症
    2月 悪性肺腫瘍
    3月 心房細動、うっ血性心不全、悪性前立腺腫瘍
    4月 狭心症、血管合併症、心筋虚血症
    5月 もっとも病気にかかりにくい
    6月 心筋梗塞前症候群
    7~8月 なし
    9月 嘔吐
    10月 急性上気道炎、虫さされ、性病
    11月 ウイルス感染症、急性細気管支炎
    12月 打撲傷

今のところは統計的に調べて見るとこうした結果が出たと言う段階であり、また敢えて生まれ月によって対策を取らなければならないほどのリスク増加ではないと言うことなんですが、実際にそうした傾向があると言うことであればその理由は何なのか、今後何かしらの研究の端緒となることもあり得るものなんでしょうか。
ただこれ自体はまあそういう結果が出たと言う話ではあるのですが、かねてから怪しげな代替療法などでも散々に目にしてきたように科学者はこう言った!と妙な方向に曲解しようとする方々は必ずいらっしゃるもので、個人的に想像するに次のステップとして歴史上の著名人の生まれ月と死因は何であったと言った調査を始める人が出てくるんじゃないかと言う気がします。
ただ占星術の伝統がある諸外国ではこうした研究も興味深く迎え入れられそうなんですが、こと日本では血液型占いほど熱心な支持者が出てくるものなのかどうかで、それは合コンの場で「君何月生まれ?え?3月?それじゃ将来は前立腺癌になりやすいんだよ」なんて言われたところで「んなわけあるかい!」と突っ込みを入れられて終わるくらいで、とうてい場が盛り上がる気がしてきませんよね。

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2015年6月22日 (月)

造影剤誤投与死亡事故に見る医療の危うさ

ご存知のようにいわゆる医療事故で刑事罰が問われると言うことは極めて珍しく、故意に犯罪的行為を行ったと言うような例外を除いて過失的なもので実際に処罰が下されたのは過去に数えるほどしかなかったし、捜査が始まったとしても起訴にまで至るのは年平均15件ほど、そしてその大多数は正式な裁判には至らず略式命令で罰金が科されて終わると言います。
この辺りは交通違反で実際に裁判になることがあまりないのと似たような事情なのだろうと思いますが、実際に裁判になっても非常に判断の難しいケースも多いため検察なども近ごろではあまり積極的に裁判に持ち込みたがらないと言う話もあって、実際に無罪判決が下された福島県・大野病院事件では「産婦人科医師としての基本的注意義務に著しく違反する過失を起こした」と自信満々だった福島地検が大いに面目を失ったと言います。
社会問題化したこの事件では判決前から警察庁長官がわざわざ「医療行為への捜査については判決を踏まえ、慎重かつ適切に対応していく必要がある」「刑事だけが突出してはおかしくなる。総合的に判断する必要がある」と異例のコメントを出すなど、一部からは検察の暴走だとも批判された経緯がありますが、ともあれ近く新たに医師への実刑判決があるかも知れないと注目されている裁判があります。

造影剤誤投与「過失は重大」、禁錮1年求刑(2015年6月8日医療維新)

 国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)の造影剤の誤投与事故で、業務上過失致死罪に問われた整形外科医の第3回公判が6月8日、東京地裁裁(大野勝則裁判長)で開かれ、検察は禁錮1年を求刑した。本裁判は第3回公判で結審し、7月14日に判決が言い渡される予定。

 本事故は、2014年4月16日に、腰部脊柱管狭窄症の再発疑いの78 歳女性に対し、脊髄造影検査には禁忌のウログラフイン60%注射液を誤投与し、患者が同日に急性呼吸不全で死亡した事故(『造影剤の誤投与、病院の安全管理にも問題』などを参照)。
 検察は論告で、添付文書を確認して薬の誤投与を防止することは、「医師としての責務。基本的かつ重大な注意義務」と指摘。その上で、整形外科医が造影剤について不勉強であり、国立国際医療研究センター病院の医薬品情報管理室に問い合わせなかったことなどを問題視し、造影剤の誤投与がなければ患者の生命の安全が脅かされる可能性はほぼ皆無であったとし、「被告の過失は重い」とした。同病院の医薬品の安全管理体制が十分であったか否かなどについては、今回の事故では、医師としての基本的な注意義務を怠った事案であるため、重視すべきでないとした。さらに量刑判断に当たっては、遺族が厳罰を求めている点を重要視するよう求めた。

 これに対し、弁護側は、誤投与の事実は認めたものの、斟酌すべき点があり、寛大な判決を求めた。医師が使用する薬は多数に上るなど、添付文書を確認する難しさがあるほか、整形外科医は真摯に反省、謝罪し、事故後は医療を一切行っておらず、事故直後の国立国際医療研究センター病院による発表やマスコミ報道以降、インターネット上で非難を受けるなど、社会的制裁を受けたことなどを斟酌すべき点として挙げた。さらに医療安全の観点からも弁明し、個人の責任追及よりも、原因究明と再発防止のシステム構築が重要であるとされる現状を踏まえて、量刑を決定するよう求めた。
 公判の最後に、整形外科医が意見を述べる機会があり、患者本人と遺族への謝罪の言葉を何度も繰り返し、添付文書を確認しなかったことなどについての後悔の念を述べた。遺族が医師を続けないよう求めることも当然と思うとした一方、周囲の医師らの支えに感謝しているとし、事故のことを一生忘れることなく、また謝罪の気持ちを持ち続け、「少しでも社会に貢献できるように生きていきたいと思う」と、心境を涙ながらに語った。

 過去にも、ウログラフインの誤投与事故は、複数回起き、刑事事件になった例がある。1990年代に略式命令で終わっている事案では、罰金50万円だった。公判に至った場合には、例えば、1992年4月に山梨県立中央病院で起きた事故では、1994年6月の甲府地裁判決で、禁錮10カ月執行猶予2年の有罪判決だった。本件の場合も、過去の裁判例から見れば、有罪が予想されるため、焦点は量刑になる。検察は、あくまで整形外科医個人の責任を追及しているのに対し、弁護側は医療安全は個人ではなく組織上の問題と捉える流れがあると主張しており、量刑にどう影響するかが注目される。

 添付文書確認、「基本的かつ重大な注意義務」

 6月8日の第3回公判は、約30分で、検察側の論告求刑、弁護側の最終弁論に続いて、整形外科医本人の意見陳述という流れで行われた。
 検察は、論告の最初に、「被告人の過失は重い」と言及したほか、「被害者の遺族が厳罰を求めていることは、量刑判断の際に重視すべき」と強調した。
 「過失が重い」としたのは、第一に、薬の使用に当たって、添付文書等で薬理作用を確認するのは、医師の責務であり、「基本的かつ重大な注意義務」であるという理由からだ。また整形外科医は5年目の医師であり、脊髄造影検査を過去に経験していたことから、使用すべき薬剤について正確な知識を持っているべきだが、その知識を欠いていたと主張。ただし、知識を欠いていた場合でも、国立国際医療研究センター病院の医薬品情報管理室に問い合わせることは容易だったが、それをしなかったとした。

 第2回公判で、弁護側は、病院の薬の安全管理体制にも問題があったとした。しかし、検察側は、「背景事情」にはなり得るが、前述の通り、「基本的かつ重大な注意義務」を怠っていたという理由から、病院の体制については、整形外科医の刑事責任を判断するに当たり、重視すべきでないと主張。
 さらに検察は、「医師の勉強不足、基本的な心構えの欠如により、高度な危険があるとは言えない検査において、生命を奪う恐れがあれば、医療者と患者の信頼関係は構築できない」と指摘。薬の正確な知識を持つことなどの重要性を医療者に再認識させ、今後、同様の事故を起こさないようにするためにも、厳罰が必要だとした。

 「量刑判断、斟酌を」と弁護側

 これに対し、弁護側は、検察の公訴事実は争わないとしたものの、斟酌すべき点があると主張した。その第一に挙げたのが、添付文書確認の問題。(1)添付文書には、製薬企業にとって防衛的な内容もあり、記載内容を基に、医師の責任を判断するのは問題がある場合もあり得る、(2)医師がよく使う薬は100を超え、それぞれの薬について多数の情報が記載されており、全てを把握するのは難しい――などの点を挙げ、確認を怠ったことについて、著しい注意義務違反があったと安易に判断すべきではないとした。
 そのほか、(1)脊髄造影検査に立ち会った2人の研修医も、警察の取り調べ時に、脊髄造影検査にウログラフインが禁忌であることを知らなかったと答えており、医学教育においてウログラフインの危険性に関する教育されていない、(2)現在の医療では情報量が膨大で、個人の努力で把握するのは限界、(3)事故後、整形外科医は反省、謝罪をしており、医療は一切行っていない、(4)国立国際医療研究センター病院による発表やマスコミ報道以降、インターネット上で非難を受け、社会的制裁を受けたほか、刑事処分後、行政処分を受け、それが公表されることで不利益を受ける、(5)同センター病院と整形外科医は、遺族と示談交渉を行っており、適正な損害賠償がなされる見通しである――などの点にも言及。
 さらに、弁護側は、横浜市立大学の「患者取り違え事件」や、東京都立広尾病院事件が起きた1999年頃以降における、医療界の医療安全への取り組みを説明。医療安全のためには、個人の責任追及ではなく、事故の原因究明と再発防止のシステム構築こそが重要であり、今年10月から始まる医療事故調査制度も、この考えに基づいているとした。第2回公判で、証言した国立国際医療研究センター病院の整形外科診療科長は、同院のマニュアルにウログラフインに関する注意事項が記載されていなかったなど、病院の医療安全体制は十分ではなかったと述べていることなどにも触れ、量刑判断において斟酌するよう求めた。
(略)

不幸にしてお亡くなりになった患者さんにはご冥福をお祈りするしかないのですけれども、ここでは検察側も言っているようにそもそもの起訴の背景事情として「被害者の遺族が厳罰を求めている」と言う事がある点は確かなのだろうと思いますし、いわゆる見せしめ的な厳罰の必要性を主張している点は留意いただきたいと思いますね。
記事から見る限り双方の主張にもそれなりに理があるとは思うのですが、個別の薬剤におけるリスクは別にしてもどこの医療現場でも非常に起こり得る事故ではなかったかと言う印象も受けるところであるし、この種のリスクを完全に排除するためには医療行為と言うものは非常に実施困難なものになってしまいかねないのではないかと言う気がします。
日本では一度刑事裁判にかけられれば有罪率は極めて高くほぼ100%であるとはよく言われるところで、この件も事実関係に争いがない以上は量刑の判断が分かれるくらいではないかと言う気がするのですが、過去にも医療従事者が知識の不足から有罪判決を受けた事例は幾つかあるものの、その多くは看護師など医師の指示に従って業務を行う側であったことは注目されます。
指示通りに行わなかった、あるいは手技においてやってはいけないことをしたと言った事故事例で個人の責任が追及されるのは話として理解しやすいのは確かなんですが、一方で本件のようにいわば指示を出す側の医師が間違った指示を出した場合にそれをチェックする体制がどれだけあるかと言うことを考えた場合に、特に救急などその場その場での判断が要求される現場では現実的には非常に困難だろうとは思いますね。

実際に夜間当直で寝起きでまだ頭が醒めきっていない医師がうっかり間違った指示を出すと言う場面が時折見られ、もちろん指示を受ける側がきちんと確認をして医師もミスに気付けばいいのですが、そもそも添付文書に記載されていない保険適応外の治療と言うものもしばしば行われている医療現場において、どこまでがやっていいことなのかと言う判断は同じ医師であっても難しいものがあるでしょう。
その意味で今回他の医師も立ち会っていながら誰ひとり「それは使っていいんですか?」と言い出せなかった、そして恐らく薬剤を払い出した薬局やそれを用意した看護師、技師などが誰ひとりチェックを入れられなかったと言うことがまさしくシステム的な問題点なんだろうと思うし、実際KCLなど過去に何度も事故を起こした薬品などは年々改良が進んでワンショットが不可能になるなど、物理的に事故を起こりにくくする対策が講じられてきていますよね。
今回の事件を個人の勉強不足や不注意に落とし込むことは非常に簡単なのだろうし、検察が確実に勝とうと思うのであればその戦略は全く正しい判断なのでしょうが、それが後々医療現場に何かしら有益な効果を及ぼすとすれば、せいぜいが一罰百戒効果で「私は全ての使用機材、薬剤に精通していないからこの検査・処置は出来ません」と言う防衛医療が広まる手助けをするくらいしかないようにも思います。
この事故ではそもそも警察に届け出る対象事例ではないにも関わらず届け出たことが捜査の発端になるなど様々な突っ込みどころもあるようなんですが、「有名病院でさえ、たった1カ所のエラーで、すぐ人の死に至ってしまうようなお寒い医療環境が実情(坂根みち子氏)」と看破されてしまうように、日々の診療で医療事故が起こらないですむ方が奇跡の連鎖の末に成り立っている危ういものであるかのようにも思えて来ないでしょうか。

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2015年6月21日 (日)

今日のぐり:「小魚阿も珍(あもちん)神辺店」

先日以来世間を賑わしている一頭のクマの話題をご存知でしょうか。

クマ放獣:三重県が滋賀県に謝罪 連絡なく放す(2015年05月28日毎日新聞)

 三重県は28日、同県いなべ市内で捕獲したツキノワグマを連絡なく隣接する滋賀県多賀町に放したとして、滋賀県に謝罪した。放獣場所から約6キロ離れた多賀町では27日未明、無職女性(88)がクマに襲われて重傷を負った。同一のクマかどうかは不明だが、多賀町内では最近10年間でクマの目撃が1例しかないことから、滋賀県は三重県の放ったクマの可能性が高いとみて厳重抗議した。

 三重県などによると、今月17日、いなべ市北勢町の山中でイノシシ捕獲用のおりに体長約1.4メートルのツキノワグマ(雄)がかかった。三重県職員らが同日午後6時半ごろ、発信器を付けて多賀町の山中で逃がした。いなべ市内に適切な場所が見つからなかったという。

 職員らは滋賀県内であることを認識していたが、県庁には「県境付近で放獣した」とだけ報告しており、滋賀県側に連絡されなかった。滋賀県自然環境保全課は「県外に放つことなど常識的にあり得ない」と憤る。

 28日午後、滋賀県庁を訪れた三重県の吉仲繁樹農林水産部長は、滋賀県の拾井泰彦琵琶湖環境部長に「おわびしても足りないほどだ」と謝罪した。襲われた女性の夫(90)は毎日新聞の取材に「あんな恐ろしい動物をなぜ放したのか」と不満を表した。

 逃がしたクマについて三重県は28日夜、発信器の電波から、多賀町から東に約19キロ離れた岐阜県海津市内の山中にいるのを確認したと発表した。滋賀県の担当者は「クマは行動範囲が広く、女性を襲ったクマが海津にいても矛盾はない」としている。三重県は29日朝から捜索し、関係自治体と協議の上、捕獲する方針。【北出昭、西村浩一、井口慎太郎】

その後のクマは近隣三県にまたがっての逃亡を続けているようで、捕殺すべきだとか殺すことはないだとか様々な副次的議論も招いているようですけれども、まあ一般論として害獣を他人様の土地に放すと言うのはちょっとどうなのかですよね。
今日はクマ騒動の今後の行方を占う意味で、世界各地から逃げ出した生き物たちと言うテーマでのニュースを取り上げてみることにしましょう。

女性宅から逃走の“1mイグアナ”を捕獲 平塚市(2015年6月15日テレ朝ニュース)

 神奈川県平塚市のアパートから逃げ出したグリーンイグアナが近くの住宅の木の上で見つかり、捕獲されました。

 13日午後6時ごろ、平塚市のアパートの1階に住む女性(41)が帰宅したところ、窓の網戸が開いていて、飼育していた2匹のグリーンイグアナのうち1匹が逃げ出していました。逃げたイグアナは体長約1mの雄で、警察が14日の朝、2時間にわたって周辺を捜索しましたが、見つかりませんでした。午後3時半ごろになって、近所の住民らがアパート近くの住宅で高さ約6mの木の枝にいたイグアナを見つけました。その後、連絡を受けた飼い主の女性らがイグアナを捕獲しました。けが人はいないということです。

事実かどうか不明ながらテレビ局スタッフが発見したと言う噂も流れているようですが、しかしふと上を見上げてこんなものが頭上にいたのでは誰でもびっくりしますよね。
何やら映画ばり逃亡劇だと話題なのがこちらですが、しかし7年間も逃げていたと言うのは大変なものだと大いに話題になったニュースです。

肉食魚の「エサ」から「奇跡の魚」に…浄化槽で7年も“潜伏”した「巨大金魚」のサバイバル術(2015年6月18日産経新聞)

 三重県志摩市の水族館「志摩マリンランド」の浄化槽で4月、体長25センチ、体重360グラムの巨大金魚が見つかった。関係者が経緯などを調べたところ、もともとはアマゾン川流域に生息する世界最大の肉食淡水魚「ピラルク」のエサだったが、水槽の排水口から“脱出”。地下の浄化槽まで逃げ延びて潜伏していたとみられる。その期間は、実に7年以上に及ぶという。暗闇の中で潜伏していたためか、赤い色素が抜けて“黄金色”に輝いているようにも見える。飼育員らも「奇跡」と驚いた。(川西健士郎)

「ピラルクのエサ」必死に“脱出”?

 「大きな魚がいる。なぜ…」
 4月5日、ピラルクを飼育している水槽の地下にある浄化槽(縦5メートル、横3メートル)を清掃していた飼育員が魚影を見つけ、思わず作業の手を止めた。網ですくい上げると、巨大な金魚が姿を見せた。
 いったい、どこから金魚が紛れ込んできたのか-。
 このミステリーを解くヒントは、里中知之館長の証言に隠れていた。
 「実は、7年ほど前までピラルクのエサは小さな金魚だったんです。現在では固形のエサを与えているんですけどね」
 「世界最大の淡水魚」ピラルクは「生きた化石」とも呼ばれ、古代魚の展示に力を入れている同水族館でも目玉展示の一つになっている。大きいものは全長3メートルを超え、水槽を悠然と泳ぐ姿とは裏腹に小魚を主食とする肉食魚としても知られる。
 飼育員らがピラルクの水槽を確認したところ、水面付近にある排水口に直径約1センチの穴が無数に空いていることがわかった。もともとは魚の侵入を防ぐためのものだが、どうやらこの穴をすり抜けてプラスチックの管を通り地下の浄化槽まで流れ落ちたとみられる。
 当時、ピラルクの水槽に放っていた金魚は体長3センチほどが多かったといい、「驚いて必死に逃げたのかもしれませんね」と里中館長は苦笑いを浮かべた。
(略)

地下水槽は餌は豊富だったと言いますが普段日も差さない暗黒の世界だったようで、この金魚がその後またピラルク水槽送りにならないかと心配する声も数多であると言う事です。
一般的にはかわいらしいと言われがちな生き物であっても、状況によってはやはりケモノとしての本領を発揮すると言うのがこちらの記事です。

小学校にヤギ乱入、校庭2周して逃げた 愛知・小牧(2015年6月17日朝日新聞)

 17日午後2時ごろ、愛知県小牧市城山3丁目の市立大城小学校から「角の生えたヤギが校庭を走り回っている」と110番通報があった。ヤギはその後、小学校の敷地内から逃げだし、3時間20分後に市内で捕獲された。けが人はいなかった。

 小牧署などによると、ヤギは体長約1メートル。正門から侵入したとみられ、同校に来ていた工事関係者が見つけ、職員室に連絡した。当時、校庭では6年生が図工の授業で写生をしていたため、教職員が校舎内に避難させ、すべての門を閉めた。ヤギは興奮した様子で校庭を2周し、約10分後にフェンスの隙間から校外に逃走したという。

 同校の佐藤孝之教頭は「子牛ほどの大きさで、立派な角もあり、かわいいというより恐怖感を覚えた。捕まえるのは無理だと思った」。

 ヤギは午後5時20分ごろ、小学校近くの住宅の庭で警察官に捕獲された。同署は「野生のヤギではない」とみており、「拾得物」として飼い主を探している。

元記事には写真も添付されているのですが、確かに「子牛ほどの大きさで、立派な角もあり」な状況であるようですから、これは仕方がないのかなと言う気がします。
こちら全世界でも最も意外性のある死に方をした人物ではないかと話題になっているのですが、まずはその驚きの経緯を紹介してみましょう。

散歩中の男性、ゾウに襲われ死亡=独(2015年6月14日時事通信)

 【ベルリンAFP=時事】ドイツ南西部ブーヒェンで13日早朝、65歳の男性がサーカスから逃げ出したゾウに襲われて死亡した。男性は日課の朝の散歩中だったといい、警察が詳しい状況を調べている。

 ゾウは3歳のメス「ベイビー」。男性を襲った後、サーカスの団員になだめられテントに戻った。動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」がDPA通信に語ったところでは、ベイビーはこれ以前にも、子供1人を含む3人にけがをさせているという。

まさか朝の散歩の最中にゾウに襲われるとは誰も思わないでしょうが、世の中にはとんでもないことが起こり得るものなんですね。
こちらさらに輪をかけてどんな世紀末絵図なんだと話題の事件ですが、これまた記事から紹介してみましょう。

動物園からトラが脱走、男性襲い殺害  ジョージア洪水(2015年6月18日CNN)

ジョージア・トビリシ(CNN) ジョージアの首都トビリシで17日、洪水のため動物園から逃げ出したホワイトタイガーに男性が襲われて死亡した。内務省が明らかにした。トビリシは13~14日にかけて洪水に見舞われ、動物園から数百匹の動物が逃げ出していた。
死亡したのは43歳の男性で、市中心部にある倉庫で作業中にトラに襲われた。喉に襲いかかられ、病院に搬送される前に死亡したという。男性を襲ったトラは殺処分された。
しかし動物園によれば、17日の時点でまだ見つかっていないトラがもう1頭いるという。このトラが生きているのか死んだのかも確認できていない。
ガリバシビリ首相は先に、脱走した動物による危険はなくなったと宣言していたが、今回の事態を受け、動物園からの情報に誤りがあったとして謝罪した。

同動物園では飼育していた約600匹の動物のうち、ライオンやトラ、クマ、オオカミなども含めて半数あまりが逃げ出した。警察などが出動して捜索を続け、捕獲したり処分したりしている。
ロシアのニュースサイトは17日、トビリシから60キロ離れたアゼルバイジャンとの国境に近い川の下流で、アフリカペンギン1匹が底引き網に引っかかっているのが見つかり、捕獲されたと伝えた。
トビリシの市内では大型のワニが捕獲される様子や、街頭にたたずむカバ、民家の窓によじ上ったクマ、残骸に埋まった動物の死骸なども目撃されていた。
非政府組織が運営するニュースサイトによれば、今回の洪水では16日までに少なくとも19人の死亡が確認され、6人が行方不明になっている。

もう何と言うのでしょう、この街頭にたたずむカバの写真のインパクトと言うものは近年そうそう見ないものがありますが、何百頭もの猛獣が逃げ出したと言うのでは穏やかではありませんね。
日本では猛獣と言えば北海道のヒグマくらいしかいませんが、それだけにいざこうした事件が起こったときにどう対処したらいいのかで、くれぐれも興味本位で近づかないようにしなければならないでしょう。

今日のぐり:「小魚阿も珍(あもちん)神辺店」

「阿も珍」と言えば福山市内で展開する和食店と言う印象なんですが、そもそもの発祥は観光地としても有名な鞆の浦の珍味屋なんだそうで、そう言えば店頭でのお土産販売コーナーが充実していますよね。
こちら福山市北部の最近繁華になってきている郊外の一角、幹線道路沿いに位置するお店なんですが、店内は小ぶりとは言え個室座敷席中心で割と気兼ねなく利用できそうな雰囲気ですね。

この日は神辺御膳なる比較的高い方のセットメニューを頼んで見たのですが、こちらは姉妹店と比べると定食系のメニューが充実しているのだそうで、やはり車移動必至の郊外だけに飲むより食べるが主体なのでしょうか。
メインである煮魚はこの日はカレイだったのですが、こちらの醤油の味もあるんでしょうが甘いなあ…と言う印象で、魚自体はまずまず及第と言うところなんですがほんの少し煮過ぎな気もしましたがどうでしょう。
刺身はそれなりにボリューム感もあって、全体的な内容はまあ可もなく不可もなくと言う感じなんですが、珍しく入っているタコの刺身はなかなか良かったですね。
目立たないところでは割合に小鉢のレンコンがうまかったんですが、味噌汁や茶碗蒸しも別にこれと言って悪くはないものの、どれもあまり印象に残る味と言う感じでもないようで、お店の中ではわりあいと高いメニューだけに期待値を上げすぎるとちょっとどうなのかですかね。
温泉旅館の夕食的に一見豪勢なんですが、今日はうまい魚料理をいただいたと言う満足感もあまりないので、これだったら以前からBグル的人気があった名物「ちーいか天丼」なり普通に日替わり定食なりの方がいいかと言う気もしてしまいます。

接遇の方は基本的にマニュアル通りと言う感じですが、店の雰囲気に見合ってまずまず丁寧なもので、別に高級なお店ではないんですが個室メインであることも含めて、ちょっとしたお客さんくらいなら呼べそうな感じではありますね。
この辺りは年々飲食店も増えてきているようで、阿も珍さんも昔のようにランチのお客が店の外まで並んでいると言うほどの大繁盛と言うわけにもいかないのでしょうが、かえってこれくらいの方が落ち着いて食事が出来るんじゃないかと言う気がします。

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2015年6月20日 (土)

自己責任の国アメリカで給食費を収めずにいるとどうなるか

日本でも学校給食費の未納と言うことが大きな問題と認識されるようになっていますが、幾ら親が給食費を支払わなくても子供を飢えさせるのはかわいそうだと言う意見が今のところ一般的だと思いますけれども、これが自己責任の国であるアメリカでは日本人にはちょっと想像出来ない結果になったと言う、非常に興味深い事例が報じられています。

小学校の食堂職員、貧窮の生徒に昼食与え解雇 米(2015年6月4日CNNニュース)

ニューヨーク(CNNMoney) 米コロラド州デンバー郊外の小学校で給食費を支払えないなどの境遇にある生徒に昼食を無料で与えた学校食堂の従業員が解雇され、生徒の両親らが処罰内容の再考を促している。

この女性従業員は地元テレビ局KCNCーTVに、学校の規則違反は認めながらも、空腹に苦しむ子どもたちの姿は見たくなかったと指摘した。

無料で給食を得た生徒数は伝えられていないが、いずれも連邦政府の無料昼食プログラムへの参加申請は行っていなかったという。

子どもを2人持つ母親でもある従業員は、無料もしくは減額された昼食制度への参加を申請していなくても、多くの生徒の家庭は子どもに昼食を与える経済的な余裕はないとの現状を指摘。単に給食費を忘れた事例や、自費で費用を負担し生徒に提供した例も示した。

一方、従業員を雇用する教育行政当局は当初、個人的な問題を理由に解雇などについてのコメントを拒否。しかし、同テレビ局が解雇などを最初に報じると、声明を出し「全ての生徒が昼食なしの事態になることは許されない」と主張。

給食費を忘れた場合、最初の3回分については無料で昼食が提供されると指摘。3回目以降でもチーズや時によってはターキーサンドイッチが与えられるとも主張した。昼食制度の経費は生徒に請求する給食費によって賄われていないとも述べた。

しかし、解雇された従業員はチーズなどだけでは生徒の空腹は満たされないと反論。その上で、教育委員会との会合を希望し、解雇の処罰や給食規定の変更などについて話し合いたいとしている。生徒の両親らの一部からは「解雇ではない別の手段があったはず。彼女は人助けを試みただけだ」との意見も聞かれる。

アメリカの場合本当に給食費を支払えない境遇にある家庭も一定程度いるどころか、ニューヨーク市の公立学校では生徒の75%が給食費減免措置の対象に該当すると言いますからむしろ多数派とも言えそうなんですが、給食と言っても単に粗悪なファーストフードのデリバリーであると言う場合がほとんどだそうで、まともな親ほど給食は拒否して自宅からランチを持たせるとも聞きます。
その意味で減免制度を知らなかったのなら広報などシステムの改善で対応可能ですが、制度を知りながら自己責任で利用しなかった可能性もあるのかも知れずで、この場合迷惑を被るのはその決断をした親ではなく子であり学校関係者であるわけですから、親の宗教的信条に基づいて子供が輸血を拒否され亡くなったと言った事件も思い出されるケースでしょうか。
一方報道によれば職員は時に自腹も切りながら親や教師とも相談しながら何とかしようと苦労していたようで、解雇はひどく厳しすぎるようにも思えるのですが、ただ視点を変えて見れば職員が学校の物品を勝手に横領していたとも言えるわけで、衣食にも事欠くホームレスがかわいそうだからと銀行員が勝手に金庫のお金を配って歩くのが許されるのか?と言う反論を聞けば、それはそれで確かに問題だと言う気にもなりますよね。

自己責任の国アメリカとは言ってもさすがに子供に関しては完全にそうとばかりも言っていられないようで、以前にも給食費未納の子供に現場判断で給食を食べさせなかった学校が大いに非難を受けたと言う事件があったそうですが、基本的には自前のランチ持ち込みとの選択制にした上で給食を希望する場合には支払いをして食べると言うスタイルであるようで、本質的に未納問題が発生しにくいのかも知れません。
他方で日本の場合本当に払えないから給食費未納になっているケースは少ないと言われますが、支払いがない場合どう対応しているかを調べると説得や各種の督促などは過半数の場合で行われているものの、給食を停めると言うことはまず行われていないようで、この理由としてやはり原則全員そろって同じものを食べる場において一人だけ食べさせない対応は取りづらいと言う理由もありそうですよね。
興味深いのは文科省からはどうしても支払わない親に対しては「説得し得ない保護者に対しては、やむを得ず、法的措置を講じた事例なども報告されており、これらの事例も参考としつつ対応することが望ましい」と言っているのですが、この場合子供に対するダメージは避けつつ根本原因である親には厳しく対処すべきと言う点では、それなりに理にかなったやり方ではあるかと思います。

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2015年6月19日 (金)

薬に関するびっくり事件

医療費削減が厳しく言われる中で、先日こんな事件が報じられていたのをご存知でしょうか。

処方薬を転売、利益1千万円か…国保で164病院受診(2015年6月17日 読売新聞)

 ぜんそく用の処方薬を無許可で販売したとして、大阪府警は16日、堺市堺区、無職赤松健二容疑者(44)を医薬品医療機器法違反容疑で逮捕した。

 府警によると、赤松容疑者は国民健康保険(国保)を使って近畿の164病院で受診。薬局で購入した約5700個の処方薬を転売し、約1000万円の利益を得ていたという。

 発表では、赤松容疑者は医薬品販売の許可がないのに、今年4月下旬、金沢市内の医薬品販売会社に処方薬24個を約10万円で販売した疑い。「自分で使い、余った分を引き取ってもらっていた。販売はしていない」と容疑を否認しているという。

 府警によると、赤松容疑者はぜんそくの持病があった。2013年7月~今年5月、大阪や京都などの病院で診察を受け、薬局で薬を購入。同じ販売会社に転売を繰り返していたとされる。処方された薬の合計は、通常の用法なら130年分に相当するという。赤松容疑者は、診察費と薬代のうち3割を自己負担分として支払っていたが、7割は国保から支出されていた

 国保は加入者の保険料や国の負担金などで運営されており、主に市町村が不正の有無などを審査している。赤松容疑者が保険料を納める大阪府松原市の担当者は読売新聞の取材に対し、「府警から連絡が入るまで多額の請求を把握できていなかった。医療機関からの請求には注意しているが、個人の不正は想定外で、チェック体制が不十分だった。再発防止策を検討する」と話した。

ぜんそく悪用、処方薬を大量転売の疑い 逮捕の男は否認(2015年6月17日朝日新聞)

 持病のぜんそくの処方薬を買い取り業者にまとめて無許可で転売したとして、大阪府警は16日、堺市堺区甲斐町東6丁、無職赤松健二容疑者(44)を医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕し、発表した。「余った分を引き取ってもらっただけだ」と容疑を否認しているという。

 生活環境課によると、赤松容疑者は4月28日、医薬品販売業の許可を得ずに、ぜんそくの吸引薬24個を金沢市の医薬品買い取り業者に販売した疑いがある。国民健康保険を使って1個1830円の負担で入手し、4100円で転売していたという。個人が余った処方薬を売るのは禁じられていないが、府警は、販売量などから赤松容疑者が職業として転売を行っていたとみている。

 府警は、赤松容疑者が2013年7月~今年5月、大阪、京都、兵庫、奈良4府県の164の医療機関で処方箋(せん)を受け、175の薬局で吸引薬約6500個を購入。約5700個を転売し、約1千万円の転売益を得たとみている。

この130年分と言う数字が非常にキャッチーだったせいでしょうか、結構多きな話題になっていたようですけれども、しかし今回たまたま規模も大きくこうして単独ニュースで取り上げられるまでになりましたけれども、この種の転売行為自体は幾らでもありふれていることでもあるだけに、今回こうして刑事事件として逮捕されたことで今後どこまでを犯罪行為として取り締まるべきか微妙になってきましたよね。
今回どういう経緯で発覚したのかは記事からは明らかになっておらず、府警の独自捜査によって発覚したかのようにも読み取れるのですが、しかし保険者がこうした異常な大量処方を全くノーチェックだったと言うのは問題で、普通電子レセプトになれば機械的にチェックが入るものだと思っていたのですが、どうも全くノーチェックだったと言うのですからおどろきです。
余った分を引き取ってもらっただけと言う弁解もなかなか扱いの難しいところなんですが、ちなみに調剤薬局では出した薬そのものに問題がない限りにおいて、法的には別に返品や交換には応じなくていいことになっているのだそうで、逆に言えば過剰に出された処方薬がどこの家庭でもそれなりに貯まって来がちであるとも言えますから、この種の行為の潜在的需要はそれなりに大きいのではないかと言う気もします。
いずれにしても府警GJであるし、今後この種のルール違反行為はもう少しシステム上からも早期発見出来るような仕組みを用意しておく必要がありそうなのですが、他方では医薬品の扱いに関していわばルールを決めている側である国の専門家会議の委員が、ルール違反によって一斉に辞任してしまったと言うびっくりニュースも先日出ていました。

医薬品承認の国委員 規定違反で全員辞任(2015年6月6日NHK)

医薬品などの承認を行う国の専門家会議の委員8人が、規定に違反し製薬企業などから定期的な報酬を得ていたことが分かり、8人は委員を辞任することになりました。
辞任するのは厚生労働省の「薬事・食品衛生審議会薬事分科会」の委員を務める医師や大学教授など合わせて8人です。
薬事分科会の委員は、医薬品や医療機器の承認を行うため、厚生労働省の規定では製薬企業などから定期的な報酬を得ることが認められていませんが、8人は昨年度、企業の嘱託医を務め定期的な報酬を受け取るなど規定に違反していたということです。
ことし3月、厚生労働省が委員の勤務状況を確認して発覚したということで、8人全員が辞任届けを提出したということです。厚生労働省によりますと、規定に違反して委員が辞任するのは異例だということです。
このほか、規定では、年間50万円を超える講演料などを受け取った場合は議決に参加できないと定めていますが、7人が違反していたということです。厚生労働省が議事録などを調べた結果、いずれの委員についても、講演料などを受け取った企業に有利になる発言はしていなかったということです。
厚生労働省は、「今後は委員に注意を呼びかけるとともに企業側への確認を徹底して再発防止に努めたい」としています。

まあしかし嘱託医などはどうなのかですが、こうした製薬会社との関係が全く今までなかったとも思えないだけに、今回初めてそれが行われたと言うよりは今までのチェック体制の不備の方がありそうな話に思えますよね。
この種の会議に出るような偉い先生方ですと当然あちらこちらに講演で引っ張り出されもするのでしょうし、そうなると講演料もそれなりの金額にはなるのでしょうから、理屈は判るにしても果たして現場の実情に合ったルールなのかどうかと言う疑問は残るでしょうかね。
そういう意味ではこれまた考えてみれば当たり前に起こることが予想されていてしかるべきであるし、それに対して事前にきちんとルール確認をしていなかったと言うシステム的な欠陥が騒動を大きくしたと言えますけれども、それではこのルールをさらに厳しく運用した場合に果たして誰が適格として後に残るものなのか、その方は委員としては適格と言えるのかどうかもなかなかに微妙なところだと思います。
製薬会社の方も診療指針作成などに関わる有力医師にはより多くの講演を依頼し多額の報酬を出している実態があるのはまあ当然なんですが、医師の側も講演会では特定会社の商品名を連呼してアピールに努める医師もいれば、そもそも製薬会社主催の講演会は引き受けないと言う医師もいて千差万別だと言いますが、報酬自体は激務の合間を縫って準備をしている以上仕方のないことだと言う意見も根強くあります。
製薬会社の方でも講演料支払い自体をしませんと言う会社もあれば、誰に支払ったか全部公開すると言う企業もありと対応が別れ試行錯誤しているところのようですが、これによって講演自体を控える動きも広がっていると言う指摘もあって、果たしてどのようなやり方が最も良いのかと言う点は未だはっきりとした結論が出ていない以上、最終的には何かしらの公的ルールが必要になるのかも知れません。

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2015年6月18日 (木)

今や総合診療医が人気なんだそうです

意外というべきなのか当然と言うべきなのか、先日こんな調査結果が出ていました。

「総合診療医」人気高く、医学生アンケート(2015年5月6日医療維新)

 日本医師会総合政策研究機構はこのほど、全国の医学部生を対象に実施した「医学生のキャリア意識に関する調査」の結果を発表した(資料は、日医総研のホームページに掲載)。将来、専門にしたい診療科を尋ねた設問では、19番目の基本領域の専門医資格に位置付けられることで注目を集める総合診療科が内科、小児科に続いて、3番目に選ばれた。また、6割強の医学生が自分の世界が狭いと感じており、日医総研は「世界観を広げる教育も必要」と指摘した。
 調査は「医学部での学習と将来のキャリア」「視野の広さ、世界観」「診療科の選択」「将来のキャリアについて」という4つのテーマについて、全国1309人の医学部生(1年生から6年生まで)に書面で実施した。調査期間は2014年6月10日から7月5日。回答者の属性は国公立が7割、私立が3割。性別は男性6割、女性4割だった。

総合診療医希望が14.6%

 将来、専門にしたい診療科・分野について、基本19領域から2つまで選択してもらったところ、最多が内科(33.8%)、次いで小児科(19.3%)、総合診療科(14.6%)、外科(14.4%)、救急科(10.0%)となった。一方、希望者が少ないのは、臨床検査科(0.0%)、病理診断科(0.2%)、リハビリテーション科(0.8%)、泌尿器科(1.3%)、放射線科(1.8%)だった。

初期研修では市中病院が人気

 初期研修病院を選ぶ際に重視することについて選択肢から3つまで選んでもらう形で尋ねたところ、「教育体制や研修プログラムの内容」(43.3%)、「多くの症例を経験できること」(42.9%)に続いて、「市中病院であること」(37.4%)が3番目に入った。
 卒後の勤務地について尋ねると、「そのつもり」、「まあ考えている」を合わせて、6割近くが母校のある都道府県、近隣地域では働くことについて肯定的な意見を示した。
 一方、所属大学の医局で働くことについては、「そのつもり」、「まあ考えている」を合わせて、4割以下にとどまった。
(略)

国が総合診療医と言うものの育成をいわば国策として進めているのは、様々な領域で専門分化が進んだ今の医療が必ずしも医師数の少ない地方ではうまく機能しなくなっていると言う現実があって、要するにどのような疾患であっても一通りの診療が出来る人材であれば各診療科ごとに専門医を揃えるよりもよほど医師数の節約にもなると言う事情があるのだと思います。
一方で新たな専門医資格として認定されることになった総合診療医と言うものも今ひとつイメージがつかみ切れていないところがあって、どんな病気でも一通り診れる医師ですと言われればそれは多くの学生がそうなりたいと言うかも知れませんが、実際には大きな病院でいわゆる総合診療を担当するのか、家庭医といった立場で地域診療に従事するものなのか等々、やるべき仕事内容は千差万別ですよね。
最大公約数的に考えるなら幅広い疾患に対して広範な診断能力を持ち、高度な専門的医療には手を出さないまでも初期診療や安定期のフォローアップなどは一通り出来る人材と言うことになるのでしょうが、今や専門分化が進んでどの診療科のスキルも最低限これくらいはと言う要求水準が上がった結果、おいそれと何でも屋が手を出すことが許されなくなってきている部分もあるでしょう。
この辺りはかつての内科外科なら胃カメラやエコーは出来て当たり前と言う時代から、今はカメラを握ったこともない内科医もいると言いますから教育内容の設定も難しいところなんでしょうが、もう一つ気になるデータとして先日アメリカから発表されたこんな調査結果があるようです。

家庭医の収入、他診療科との格差大【米国家庭医学会】(2015年5月29日臨床ニュース)

 米国家庭医学会(AAFP)は5月13日、家庭医の平均年収は増加しているものの、他の専門医と比較すると依然として低いという調査結果を報告した。

 同調査は2014年12月30日から2015年3月11日に実施され、約2万人の医師から回答を得た。回答者は家庭医と内科医が最も多く、それぞれ回答者の12%を占めた。家庭医を含むプライマリケア医の平均年収は19万5000ドルで、前年比で10%増加。増加率は調査対象の診療科の中で5番目に高かったが、他の専門医の平均年収は28万4000ドルと、その格差は大きかった

 今回の調査を受けて、AAFP会長は、「家庭医は医療システムにおいて依然として過小評価されている」と問題視しながらも、「MACRA法の可決により、量ではなく価値をベースとした報酬体系へ移行され、家庭医の収入や評価の向上が期待できる」と期待感を示した。また、医師の年収には診療科にかかわらず男女差があり、男性医師の方が女性医師よりも平均年収が5万5500ドル高かったことにも触れ、「同じ業務内容には同じ報酬が支払われるよう、格差是正に取り組んでいきたい」と述べている。

 今回の調査では給与の他にも、1回の診療および事務処理に費やす時間や、職業の満足度についても調査された。それによれば、「また医者になりたい」という回答の割合は各診療科の中で家庭医が最も高かったが、「同じ診療科を選ぶ」とした割合は最も低かった。これについて同学会次期会長Wanda Filer氏は、「家庭医の複雑な実務環境が原因」と分析し、「プライマリケアは医療の基盤。それを担う医師が事務処理の負担に忙殺されることなく、開業当初の情熱を保って診療に当たることが出来るようサポートしていきたい」と述べている。

家庭医の収入は低い一方で労働の満足度は高そうだと言う印象も受けるのですが、それでもやはり次回はもっと金になる仕事を選びたいと考えるのもまあ人情なのでしょうか。
ご存知のようにアメリカと言うところは専門医が非常に馬鹿高い料金を取るところで、儲ける医師は巨額の収入を手にする一方で診療科毎の収入格差が非常に大きいと言いますけれども、日本でそこまでの差が開いていなかったのは全国一律公定価格による統一料金であり、専門医制度なるものが何らの報酬上のメリットもない単なる名誉称号?に過ぎなかったからと言う理由もあるでしょう。
その専門医制度が今後いわば公的な制度として改組される、そして総合診療医も専門医の一つとして公的に認定されるとなれば当然何かしらのインセンティブとなるべき報酬上の見返りがあるのか?と言うことなんですが、一方で日本においてはこれまで家庭医と言えば基幹病院での激務からドロップアウトした方々による、いわば収入はそこそこでも人間らしいくらしが出来る仕事と言うポジションでもあったわけですね。
地域医療を頑張っている先生方が総合診療医として認定されなければ意味がない以上、基幹病院で症例数幾らが必要といった他の専門医とは違う認定のやり方が行われるのだろうと思いますが、その資格認定の難易度やインセンティブの付け方によっては「なんだ、楽をしようと逃げ出した連中が優遇されるとはおかしいじゃないか」と言う声も出てくるかも知れません。

この辺りは制度を決める側でも議論されてきたようで、実地臨床に従事してきた町医者への道を確保する必要性を考慮しつつも「安易に取得出来る専門医資格とはしない」と言う一方で、「誇りを持って診療に従事できる専門医資格にする」だとか「夢と希望を与える制度となることを目指す」などと何とも解釈の余地の大きい言い回しが出ているようですけれども、そもそも家庭医の能力が高い、低いとは何を以て評価するのかです。
基幹病院の勤務医の先生方にとって頼りになる開業医の先生の一例として勘が鋭いと言うのでしょうか、大した検査機器もなく大多数はありふれた病気ばかりの患者の中からこれはと言う患者を確実に拾い上げて専門医に送ってくれる先生の存在があると思いますけれども、こういうものは数字や検査結果と言った客観的な指標で議論できるものではないだけに評価も難しそうですよね。
さらに言えばそうした能力の高い先生方の方があれこれと回り道をせず最短コースで患者の振り分けが出来る分、診療報酬などの面ではむしろ低収入になりがちであると言う可能性すらありますが、この辺りは間違ったとは言わないまでも無駄な検査や治療ばかりをやたら延々とやっている迷医?の方が手にする報酬が高くなってしまうと言う、出来高制の持つ欠点であるとも言えます。
そう考えると国策として何でも屋がいれば便利だと言うスタート地点もあるのでしょうから、イギリスの家庭医的に人頭割の報酬として安上がりに診療を終えられればそれだけ利益が多くなると言うやり方の方が正しいのかも知れませんが、そんなことを言い出せば某医師会あたりからは確実に強烈な反発の声が出てきそうですよね。

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2015年6月17日 (水)

動物にも権利があると言う、一見もっともな考え方

先日はテロリスト団体シーシェパード(SS)に対して米裁判所から日本の鯨類研究所に3億円余の支払いを命じる判決が出たと話題になっていましたが、実はこれと関連して今アメリカで注目を集めているこんな裁判があります。

チンパンジーにも人権があるのか? 米NY裁判所で“不当拘束”訴え(2015年6月13日産経新聞)

チンパンジーは「ヒト」か、それとも「モノ」か?-。ニューヨークで米国史上初めての裁判が行われている。

訴えたのは研究機関の「所有物」として飼育されているチンパンジーの「ヘラクレス」と「レオ」。5月、マンハッタンの州地方裁判所で公判が開かれ、チンパンジーの代理人となった市民団体の代表が、人間の自由を保障した人身保護法を盾に、2匹は不当に拘束されているとして解放するよう訴えた。

動物愛護運動の盛んな米国では、知性の高い動物には人間と同等の権利を認めるべきとする市民団体が、積極的な活動を展開。賢いクジラやイルカも捕獲すべきではないとし、過激団体シー・シェパードなどの組織の動員力、資金を運動に寄付する気運の源にもなっている。(佐々木正明)

長年SS問題を追ってきた産経の佐々木記者が記事にしている通り、仮にこの裁判でチンパンジーに何かしら人権のようなものが認められた場合、次のターゲットとして当然ながら鯨類の名前も挙がってくるだろうと予想されているわけですが、実際に動物の人権(と言うのも妙な言い方ですが)に関しては近年次第に世界的にも厳密な対応が求められるようになってきています。
特に人間に近い高等動物を用いて行われる動物実験に関しては非常に批判が集まりやすいようで、そもそも動物実験など禁止すべきだと主張する団体も少なからずあるようですけれども、もちろん実験に使うと言ってもきちんとそれなりの環境での待遇を確保するのは当然だろうし、その必要がある場合には可能な限り苦痛を軽減するような方法で処分すると言うのが人の道と言うことなのだろうとは思います。
とは言えこうした考えが行きすぎると当然ながら実社会に対する各種の影響も無視出来ない話なのですが、特に反捕鯨を掲げるSSら過激派組織にとっては鯨に人権的なものが認められれば錦の御旗としても活用出来そうな話である一方で、それだけで果たして済むのか?とも思わされるこんな話まで出てきているようです。

IQテストによればブタはイヌやチンパンジー並みに知性がある(2015年6月11日ニュースディスカバリー)

ブタはチンパンジー並みに高い知能を持っている」とする研究報告を、米国エモニー大学の神経科学者ロリ・マリノ氏らが発表した。
論文は国際学術誌「比較心理学」に掲載された。食肉用動物であるブタの扱いに一石を投じる内容となっている。

マリノ氏と動物の権利団体「ノンヒューマン・ライツ・プロジェクト」の声明:
「我々の研究は、ブタの認知能力が、イヌ、チンパンジー、ゾウ、イルカ、そしてヒトなど、高い知能を持っている他の動物と並んでいることを示すものです。
人間とブタとの付き合い方を再考する必要があることを示唆する科学的根拠があるということです」

研究によると、ブタの知能の高さを示す能力として、以下のようなものがある。

・優れた長期記憶を持っている。
・迷路など、物体の位置把握が必要なテストが得意。
・簡単な象徴言語を理解できる。
・行動や物体に関係する記号の複雑な組み合わせを学習することができる。
・他の個体と遊んだり、イヌのように擬似的な喧嘩をすることを好む。
・複雑な社会生活を営み、集団の他の個体を識別し、お互いに学習し合う。
・他の個体との共同作業を行なう。
・ジョイスティックを操作して画面上のカーソルを動かすことができる(チンパンジーと共通の能力)。
・鏡を使用して、隠された食物を見つける。
・他の個体への共感を見せる。

まあブタが賢いと言うのは養豚家やペットとして飼育している方々にもとっくに知られている事実であり、そうであるのに一向にブタの権利を保護しようだとかブタを殺すことを禁止しようだとか言う声が上がらないのはその社会的価値が非常に高く、特に欧米圏において欠かすことの出来ない食材として活用されてきた経緯があるからだと考えるのが自然ですよね。
この点で同様に賢いとされるカラスなどもあまりその権利擁護の声が上がらないのは、文化的社会的に正直さほどに重視されていない(と言うよりも、忌避されることが多い)と言った背景事情があったからだとも想像出来るし、こうした「○○を保護せよ!」的な話と言うものは、やはりその生き物の社会における位置づけを抜きにしては語れないことなんだろうと思います。
しばしば言われるところですが世界人口の4人に1人はインド人で、民主主主義的な観点から見ると国際的な発言力は相当に確保されてしかるべきなんでしょうが、幸いにも15億人の人口を誇る彼らが「神聖な動物であるウシを食べるなどとんでもない!牛肉食は断固禁止されるべきだ!」などと言い出さないからこそ、我々は今も牛肉を安心して食べることが出来ているわけです。
どんなに賢くてもブタは食べられるために飼育されている動物だから食べていいんだ、と言うのであれば、世界の水族館等で繁殖されているイルカは食べ放題なのか?と言う理屈に反訴することは難しそうなんですが、結局この辺りはそれぞれの立場によって恣意的に行われる議論が入り込まずにはいられないからこそ、無闇に他人の立場を否定するばかりと言うのもどうなのかと言うことだろうと思いますね。

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2015年6月16日 (火)

言っていいこと、悪いことの微妙な境界線

かい昨今いわゆる馬鹿発見器騒動と言うものが盛んに言われていますけれども、本来的に被害者であったはずなのに容易に加害者にもなり得ると言うこうしたケースが報じられています。

女性が「こいつが痴漢です」と顔写真入り投稿 プライバシー権侵害などの恐れがあり物議醸す(2015年6月8日J-CASTニュース)

   「こいつが痴漢です」。痴漢にあったという女性が男性の顔を無断で撮影し、ツイッターに投稿した写真がネットで物議をかもしている。
   女性が本当に痴漢被害を受けたかどうか、確定したわけではないのに、一個人の顔写真をネット上にさらし上げる「私的制裁」とも言える行為であり、「警察とか駅員に言えよ」「冤罪だったら・・・」などとやり過ぎだと指摘する声は多い

モザイクなしで個人特定しうる顔写真

   女性はすでにアカウントを削除しているため正確な日時などは分からないが、男性の顔写真を投稿したのは2015年6月ごろだとみられる。「痴漢された」「糞男」などと書き込み、横顔など複数枚の画像をツイッターに投稿した。写真にはモザイクはかけられていないため、個人を特定できうるものだ。
   彼女の書き込みによると、電車の座席に横並びで座っている男性に「寝たふりしてお尻の下に手を入れ」られた。何度も触ってきたため怒鳴ったところ、男性は停車した駅で降りていったという。警察や駅員に連絡、相談をしたとは書かれていない
   撮影時にはシャッター音が出ないカメラアプリを使ったとし、「本当にありえないので写真さらすね」「こいつ拡散する」と書き込み、男性の顔写真が広まることを予想した上での投稿だったことが分かる。いわばネットでの「私的制裁」とも言える行為だ。また貼紙をばらまいて「家庭ぐちゃぐちゃにしてやりたい」と男性を脅すような文言もあった。
   彼女の対応についてネットでは、たとえ痴漢被害者だとしてもやり過ぎではないか、と指摘する意見は少なくない。

“「痴漢されたとかで他人の顔写真載せているのはツイッターじゃなくて駅員とか警察に言えよって思います」
「これはまずいだろ。もし冤罪だったら、相手に回復不能のダメージを与える

とネットでは彼女の対応を疑問視する意見がある。

この痴漢と言う行為ももちろん決して許容されるものではないのですが、同時にしばしば冤罪被害と言うことで話題になる行為でもあって、特に先日は女性客の割り込み乗車を制止しようとした男性客が相手から痴漢だと騒ぎ立てられた事件が話題になっていたように、犯罪行為の立証と言う点でもなかなか微妙な問題がありますよね。
例によってすでに投稿者の個人情報までが晒されているようなのですが、難しい理屈は抜きにしても日本では私刑は許されていない法治国家なのですから、個人特定が出来るような写真があるのであれば素直に被害届なり告発状なりに添えて出すのが筋と言う気がします。
ただこの種の写真晒しあげ行為は一定程度効果を期待する声があるのも事実で、以前にも希少な古い人形を盗まれた中古品店が出頭しなければ顔写真を晒すと言って大きな話題になったように、加害者の権利擁護と言う観点でも社会的にも議論になるところではありますが、こうした世間に向けて発言する権利と言うことに関連して最近こんな話題が出てきています。

神戸連続児童殺傷 加害男性が手記出版、事件の経緯つづる(2015年6月10日神戸新聞)

 神戸市須磨区で1997年に起きた連続児童殺傷事件で、加害男性(32)が「元少年A」の名で手記「絶歌」(太田出版)を出版したことが10日、分かった。事件を起こすまでの経緯や社会復帰後の生活、現在の心境などをつづっている。
 全294ページの2部構成で、太田出版の岡聡社長によると3月上旬、加害男性と直接会う機会があり、既に書き上げていた原稿を見せてもらったという。岡社長は「彼の心に何があったのか社会が知るべきだと思い、彼自身の詳細な記憶力や表現力も合わせて出版を決めた」としている。
 男性は14歳だった97年2~5月に小学生5人を襲い、小学4年の山下彩花ちゃん=当時(10)=と小学6年の土師淳君=同(11)=を殺害、2人にけがを負わせた。手記の中で、家族関係など生い立ちや事件前からの性衝動を告白。2004年に関東医療少年院を仮退院した後、溶接工や日雇いアルバイトで身元を隠して生計を立てたことなどを記している。

 彩花ちゃんの母京子さん(59)は、神戸新聞社に「私たち遺族や被害者が最初に知るべき重要な事柄が、間接的な形で知らされたことは非常に残念」とのコメントを寄せ、「自分の物語を自分の言葉で書きたかったのなら、日記のような形で記し手元に残せば済む話」「(出版の)動機が知りたい」とした。
 淳君の父守さん(59)は「遺族としては彼が(手記を)メディアに出すようなことはしてほしくないと伝えていたが、思いは完全に無視された。なぜさらに私たちを苦しめるようなことをするのか理解できない」とし、「今すぐ出版を中止し本を回収してほしい」とコメントした。

すでに遺族と代理人弁護士が出版社に出版中止を求める抗議の申し入れ書を送っていると言うのですが、記事から見る限りでは以前から遺族側は加害者は手記を出してはならないと主張してきたように見える点に留意ください。
ちなみに経緯としては加害者男性側が自ら間に人を挟んで出版社に話を持ちかけたものだと言い、出版元では「少年がどういう衝動の中で事件を起こしたかが第三者に伝わるように書かれている。批判はあるだろうが、事実を伝え、問題提起する意味はある」と判断し出版を決めたのだそうです。
出版元の方で何故出版を決めたのかや内容についてはこちらのインタビューが参考になりそうですが、見る限り不真面目な内容でもなく相応の社会的意義はありそうにも感じられるし、実際に手にとって読んだと言う人からは非常に貴重な当事者の声であり出版する意味は十分にあったと言う好意的な声もあるようなのですが、当然ながら圧倒的多数の声としては(控えめに言っても)遺族に無断で出すべきものではないと言う批判的な意見であるようです。
気になるのは何故今になってこうしたものを自分から出版しようとしているのかで、一部では本人の生活が今現在困窮しているからでは?と言った声もあるようなのですが、初版10万部と言えば印税収入だけでもそれなりの金額になりそうなものですし、本人が語っているようにこれまでほとんど支払えていなかった賠償金に充てると言うことになるのかどうか、今後の経過を見ていくことになるのでしょうか。

この話を聞いて感じることに、凶悪事件などが起こるたびにネットなどでは極悪人はさっさと死刑にしろと言った過激な言動が飛び交いがちな一方で、特にマスコミや識者と言われる方々からは十分な時間をかけて事件の真相や加害者の心の闇を明らかにすべきだと言った主張がなされてきたわけですが、その文脈で言えばこうした詳細な当事者による自伝の出版は後者の方々にとって批判どころか歓迎すべき話であるはずですよね。
そしてまた、自分の意に沿わぬ意見をどこまで封殺することが許容されるのかを考えさせる話でもあって、例えばこのところ一部の方々によって図書館から特定の本を排除すべきだと言った運動がなされていると言いますし、かつては公立図書館の司書が自らの思想信条に反するからと勝手に蔵書を破棄して裁判にまでなった事件もありましたが、目的の如何を問わずこれはさすがに誰しも引きますよね。
他方ではかつて医療訴訟でしばしば見られた構図として、患者や遺族の側がマスコミをも巻き込んで大々的に自分達の声を喧伝する一方で、医療側は守秘義務の制約もあって(仮にそれが事実に反することだったとしても)反論出来ないと言う問題が指摘されていましたが、仮に守秘義務がなかったとしてもこうした場合迂闊に反論でもしようものなら「被害者感情を逆撫でする」とマスコミから散々叩かれていそうに思います。
そうした諸問題と絡めて考えると今回の一連の騒動については言っていいこと、悪いことと言う一般的な社会通念を突き詰めていくとどこに線引きされるべきなのかと言う観点ももちろんですし、長年被害者側に近い立場から事件を報じてきたマスコミ各社が、手記出版にどのような態度を示すのかと言う観点からも見守っていくべきことであるように思いますね。

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2015年6月15日 (月)

医療費抑制策としての病床削減始まる?

このところ医療費抑制と言うことが従来の財務省筋ばかりではなく、厚労省の側からも色々と出てくるようになってきていて、先日は厚労相の私的懇談会が予測よりも医療費が大きく伸びた場合、都道府県ごとに診療報酬を下げるなど積極的に医療費抑制を図れるようにすべきだと言った提言を行ったと言い、要するに都道府県が主体となってもっと医療費抑制を行うべきだと言うシナリオであるようです。
この背景にはすでに明らかになってきているように都道府県毎に医療費に最大2倍以上とかなり大きな差があると言う事実があって、その大きな要因として入院医療費の差が大きいと言った指摘もされていますけれども、先日この入院医療費抑制と言うことに関して国がこんなことを言い出したようです。

病床15万~20万削減へ 政府、25年の適正数推計 患者30万人、在宅医療に 41道府県過剰、都市不足(2015年6月12日共同通信)

 政府が2025年時点で適正だと考える全国の病院ベッド数の推計が11日、判明した。現在の約134万7千床(13年)から、10年後までに約15万~20万床削減して115万~119万床程度にすることを目指す内容だ。入院患者向け病床の適正化により、地域によってばらつきのある医療費支出を是正し、年約40兆円に上る国民医療費の抑制を図る。

 入院先が減るため、患者30万人程度が介護施設や自宅などで在宅医療を受けられるように対応を強化する。埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、沖縄の6都府県ではベッド不足のため今後は増床が必要だが、鹿児島や富山など41道府県では過剰とされ30%前後の削減を迫られる県も多い。大都市圏への人口集中や高齢者人口の変化が影響した。

 政府は近く、都道府県別の詳細な推計結果を公表し、都道府県が策定する「地域医療構想」に反映させる考え。各地域で病床を機能別に再編し、受け皿となる介護サービスとの連携を進める。
(略)
 ベッドが過剰だと不必要な入院や長期療養が増えて医療費がかさみやすい一方、病院が少ない地域は1人当たり医療費が低い傾向にある。サービス提供体制の違いが医療の費用や質の地域格差を生んでいるのが現状で、是正が求められている。

 日本の医療機関は民間経営が主体で、政府の削減方針に強制力はないが、補助金や診療報酬で誘導する。
(略)
 団塊の世代が75歳以上となる2025年には医療の需要がさらに高まると同時に、慢性的な疾患を抱える高齢者が増え、医療提供体制を見直す必要も出てくる。推計をてこに病床再編と在宅医療へのシフトを進め、医療費の無駄を省く考えだ。

 実現に向けた道標となる「地域医療構想」の策定は都道府県が担う。18年度から市町村に代わって国民健康保険を運営することも決まっており、果たすべき役割は格段と大きくなる。政府は今後、都道府県別の医療費支出の目標設定に向け検討を加速する。

 だが、今回の推計で病床数が過剰とされた道府県が置かれた状況は地域によってさまざまだ。気候や高齢化率、公共交通網などで患者の受診行動が左右される側面もある。地域の実情を無視して病床削減を機械的に進め、医療サービスの質が維持できなくなるような事態に陥らないよう、慎重な配慮が求められる。

まあ何をもって無駄だとか適正だとか言うべきなのかと言う議論はさておくとして、国民皆保険制度の建前として全国どこでも同一価格で同一内容の医療を提供していると言う(まあ実際にはともかく、ですが)ことになっているはずなのにこれだけ医療コストに差があると言う状況には、「ほぼ同じ条件なら、同じコストでできるはずだ(甘利内閣府特命大臣)」と言う声があるのも事実です。
北海道などは冬になって急増する社会的入院(春まで老人を病院で預かる)の分を見込んで予め過剰な病床数を確保しているなどと言う話もあって、やはり地域ごとの環境条件も違うのですから必ずしも同一価格でやれると言うものではないはずですが、そうは言っても実際には異なった医療を行っている理由が果たしてそうした環境要因だけなのか、何かしら他の要因もあるのかです。
医療の世界はかつては学閥によって治療法などもおおよそ系列立って行われていて、外科医などは違う大学の先生同士だと手術も一緒にやりにくいと言った話も聞きますけれども、それだけ医療の方法論に差があるのであればコストも異なっているはずですし、その差を生む理由として学閥による違い以外にも地域による保険の査定の違いなども関係しているのかも知れません。

新臨床研修制度の導入や大学医局の崩壊などで医師の流動化が進んできている時代ですから、いずれ全国どこでも学閥の流儀よりもガイドライン等による標準的な治療法の方が優先されるようになってくれば、医療費の都道府県格差もある程度縮小してくるのかも知れませんが、国の財政がそれまで待っていられないと言うのも確かなんでしょうね。
医療提供体制を強制的に平準化することが結果としての医療提供水準の平準化につながるものなのかどうかは今後の検討課題ですが、少なくとも全国統一料金でやっている以上支払いとサービス内容に地域格差がある方がおかしいと言うロジックは成立するだろうし、この場合結果の公平さを追及することに反対するのはなかなか難しそうには思えます。
ただその方法論がどのようなものが妥当なのかと言う議論は当然にあって、各都道府県に大きく権限を移管して好き勝手やらせるのだから医療費支出だけを指標にして、実際に何をどうするかは都道府県の自由に委ねると言う方法論もあると思いますが、都道府県単位では少しばかりパワー不足なのも事実でしょう。
その意味で本来的には道州制なりである程度の人口経済規模のある単位で考えていくべきことなのではないかと言う気もするのですが、今度は余計なお金を出すからもっといい医療をだとか、とにかく医療費負担を最小化しろだとか道州ごとに様々な立場が分立してしまうようなことになると、国としてコントロールがつけにくいかも知れませんね。

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2015年6月14日 (日)

今日のぐり:「かっぱ寿司 倉敷店」

なんと170年にも及ぶ歴史と伝統が粉々に粉砕されてしまったと言うニュースが話題になっていました。

電動ドリル使い壁に穴! 開設から170年間脱獄者なしの米最強刑務所から殺人犯2人脱獄(2015年6月8日サンケイスポーツ)

 米ニューヨーク州で最も警備が厳しいことで知られる刑務所で、殺人で有罪判決を受けた受刑者の男2人が、房室の壁に穴を開け脱獄したことが7日、分かった。2人はベッドに衣服を盛り、見回りに来る警備員に寝ているように見せかけ、電動ドリルを使って壁などに穴を開け脱獄したという。警察は大規模な捜索活動を展開し、2人の行方を追っている。(サンケイスポーツ)

 現地メディアなどによると、事件が起きたのはニューヨーク州ダニモーラにあるクリントン刑務所で、脱獄したのはリチャード・マット受刑者(48)とデビッド・スウェット受刑者(34)。マット受刑者は殺人罪で禁錮25年以上の実刑判決を受け、スウェット受刑者は保安官代理を殺害したとして終身刑で服役中だった。

 2人は現地時間5日午後10時半の巡回の際には在室が確認されていたが、同6日午前5時半に巡回した際、2人のベッドにはトレーナーなどの衣類が盛られ、寝ているように見せる偽装工作がなされていた。

 クリントン刑務所は1845年に開設され、約3000人の受刑者がいる州内最大の刑務所。開設以来、厳重な警備体制が敷かれ、これまで脱獄した者はいないという。

 アンドルー・クオモ州知事は刑務所に駆けつけ、「2人は危険人物で、うち1人は保安官を殺害して収監された」と述べ、2人が壁に穴を開けたり、パイプを切断したりした写真をツイッターで公開。捜索活動に警官200人超を動員し、警察犬部隊や警察特殊部隊、ヘリコプターなどが2人の行方を追っている。

まあしかし今の時代ですからこういう大々的な捜査態勢にコストをかけるよりは、入獄中は電子タグなり埋め込むようにするなりの方が合理的かつ低コストなのかも知れませんが、やはり警察総動員態勢と言うのは一つのロマンではありますよね。
本日は170年にも及ぶ歴史を覆した脱獄犯の執念に敬意を表して、世の中にあってはならないことが実際にあってしまったと言うニュースを紹介してみましょう。

JR茅ケ崎駅で起きた“怪奇現象”に、中国ネット「鳥肌が立ってきた」「トイレに行けない」(2015年6月6日レコードチャイナ)

2015年6月5日、神奈川県のJR茅ケ崎駅の線路で起きた世にも不思議な現象が、中国のインターネット上で話題になっている。

2日、午後8時18分ごろ、JR茅ケ崎駅の線路上で子どもが1人で遊んでいる様子を、電車の運転士とホームにいた乗客が目撃した。電車は急停止し、運転士や駅員が探したものの、結局見つからなかった。また、監視カメラにも子どもの姿は映っていなかったという。この騒動で、東海道線、相模線に遅れが発生した。ネット上では2年前の同日、茅ケ崎駅で亡くなった子どもの霊ではないかといううわさも広まっている。

これについて、中国のネットユーザーからは、「急に鳥肌が立ってきた」「トイレに行けなくなる!」「もう先頭と最後尾の車両には乗らない」「こういう話は昼間にやってくれよ(※伝えられたのは夜)」「映画『GANTZ』を思い出した」「日本では不思議なことが起きるんだな」といったコメントが寄せられている。果たして本当に子どもはいたのだろうか。(翻訳・編集/北田)

いや確かにこれはあってはならない怪奇現象と言うものですが、それ以前になぜこんなローカルニュースが遠い中国で話題になっているのかも不思議ですよね。
かつては夢だった21世紀になっても労働環境の問題は解消されるどころかひどくなる一方だと言う、何とも悲惨極まる実例が報道されています。

鍋振り続け脚の骨損傷…餃子の王将と男性が和解(2015年6月5日読売新聞)

 中華料理店「餃子(ギョーザ)の王将」の大阪府内のフランチャイズ店で働いていた40歳代の男性が「重い中華鍋を立ったまま振らされ続け、脚の骨を損傷した」として府内の運営会社に約3600万円の損害賠償を求めた訴訟が大阪地裁(谷口安史裁判長)であり、運営会社が男性に400万円を支払う条件で和解した。5月15日付。

 訴状では、男性は2009年7月から調理場スタッフとして週6日、1日約12時間働き、1回に15~20人前の食材が入った中華鍋を振っていた。股関節に負担がかかり、痛みを訴えたが調理を続けさせられ、11年1月に退職したという。男性はその後、病院で、脚の付け根の骨の一部が壊死(えし)していると診断され、人工股関節を入れた。

 男性は「鍋の重さは食材を含め5キロ以上あり、過酷な業務で症状が悪化した。店には安全配慮義務違反があった」と主張。運営会社は「業務との因果関係はない」と反論していた。和解について運営会社は取材に応じず、フランチャイズ契約を結ぶ王将フードサービス(京都市)は「コメントできない」としている。

一日12時間労働と言うのも大変ですけれども、しかしさすがにこれだけ鍋を振り続けると言うのは大変な重労働なんでしょうね。
世の中には何であれ表と裏があるとはよく言われるところですが、何が表で何が裏かと言うことを見極めないと大変なことになると言うニュースです。

「裏口入学できた!」と信じ込み大学に4年間通い続けた「学生」たち、卒業直前に「だまされた…」と気付く―湖北省武漢市(2015年5月25日レコードチャイナ)

2015年5月24日、中国湖北省の武漢大学に裏口入学できたと信じ、4年間同大学に通い続けた若者20人余りが、4年後の卒業時になって初めて自分たちが詐欺に遭っていたことに気付いたというトラブルが起きていたことが分かった。中国紙・京華時報が伝えた。

被害者の1人、張さん(仮名)は11年の大学受験に失敗。すると父親の知人が「武漢大学にコネがある」という陳(同)と名乗る男を父親に紹介した。「15万元(約300万円)払えば、必ず武漢大学に入学できる」と自信たっぷりに話す陳に、張さん親子は15万元を支払い、武漢大学の入学通知書を受け取った。

入学初日、武漢大学では新入生の入学手続きが行われていた。陳は「すべての手続きは私に任せるように」と張さんに言い渡し、新入生を対象に実施される軍事訓練では、数人の若者とともに大学から遠く離れた場所に連れて行ってこれに参加させた。この訓練には二十数人が参加していたといい、その後、大学に戻った張さんらは「学生指導員」を名乗る男・王(仮名)に学費1万5000元(約30万円)と寮費3500元(約7万円)を渡した。張さんらは他の学生同様、授業に出て、きちんと試験を受け、大学内の宿舎に寝泊りしており、何か問題があれば王に相談していたという。「自分たちは武漢大学生」と信じ込んでいた張さんたちだが、卒業間近の今年4月になって、その王が突然彼らの前から姿を消した。

5月18日、不安になった張さんは全国大学生データをネット検索し、自分の名前がないことを確認。すぐに広東省深セン市の父親に連絡した。父親は警察に通報し、武漢洪山公安分局は詐欺容疑で陳を含んだ容疑者3人の身柄を拘束した。王の行方は不明のままだ。これまでの調べで、張さん同様の詐欺被害にあった若者は少なくとも24人、被害総額は400万元(約8000万円)以上であることが分かった。警察はさらに多くの余罪があるとみて3人を厳しく取り調べている。

張さんはこの4年間に「なぜ学生証や図書館利用カードが発行されない?」、「なぜ授業出席の点呼に名前が呼ばれない?」と何度も王にさまざまな疑問をぶつけたが、そのたびに王から「裏口入学だから仕方ない」と説明されたという。

この記事に多くのネットユーザーは「4年間も構内をうろうろしている王を大学は不審に思わなかったのか?」、「絶対に大学関係者が一枚かんでいる」と大学側を批判。その数は「裏口入学する金があるのなら留学すればよかったのに」、「学生証がない時点で詐欺と気付けよ」と若者を非難する声を上回っているともいわれている。(翻訳・編集/本郷)

どこから突っ込むべきか非常に悩ましい事件でもあるのですが、何しろ中国だけにこれもあり得る話なんですかね。
同じく中国からもう一つこんなびっくりニュースが出ていますけれども、これもあって欲しくないし普通はまあない話ですよね。

夜中に7階建て団地の壁にひび割れ、気付いた住民が全員避難させる・・30分後に全壊―中国メディア(2015年06月11日フォーカスアジア)

中国貴州省遵義市で9日早朝、7階建ての団地が倒壊する事故があったが、住民は全員無事だった。この直前に建物のひび割れに気付いた住民が全員を安全な場所に避難させていた。9日付で中国新聞網が伝えた。

7階建ての団地が倒壊したのは、全員が避難を終えたわずか30分後だった。6階の住民、駱さんが異変に気付いたのは、夜中の1時すぎ。駱さんは夫と共に1階で売店を営んでおり、閉店して明かりを消そうとした時、壁に亀裂が入っているのに気付いた。壁の石灰もパラパラと崩れ落ちて来ている。

駱さんは倒壊の危険があると判断し、住民全員に避難を呼びかけるため、ドアを1軒1軒叩いて回った。全員が安全な場所に避難したが、壁を確認しに行った複数の住民から「問題ない」との指摘があり、いったんは部屋に戻った。だが、駱さんが自宅に戻ると、壁の亀裂はどんどん広がり、「カチャカチャ」という音も聞こえてきた。

やはり危険だと判断した駱さんは再び、住民らに避難を呼び掛けた。全員が安全な場所に避難を終えたわずか30分後、建物は全壊した。

文字起こしすると何と言うことはない事件にも思えてしまうのですが、その状況は元記事の写真を参照いただければよくこれで犠牲者が出ずにすんだと感心しますよね。
ファーストフード店が顧客差別を?!などと言えばとんでもない話に聞こえますが、こちらそんなあり得ない事件が起きたと報じられています。

42歳息子に母乳を与える76歳老母、KFCから追い出される。(2015年5月25日テックインサイト)

ファストフードレストランの店内で母親が赤ちゃんに授乳する。母親が胸元をケープなどで隠すことができていれば何ら問題はないという国がほとんどである。だがこのほどアメリカのKFCで、そんな1組の親子が店舗から追放された。なぜなら…。

ミシシッピ州のとある「ケンタッキーフライドチキン(以下KFC)」でこのほど、ある親子が店舗から無理やり追い出される事件が起きた。リンダ・バレティさんという76歳の母親が客席でいきなり胸を出し、42歳の息子マイケルさんになんと“授乳”を行ったのだ。この一件は人々の大きな関心を集め、「女性に対する人権侵害だ」、「公共の場であり得ない行為」、「変態親子」などと物議を醸している。

注意した従業員に対し、「愛する息子に母乳を与える権利が私にはあります。授乳は母親としての素晴らしい務め、それにより私は息子をここまで大きく立派に育て上げたのです。それを侮辱するなんて、あなた方には大きな問題があります」と食い下がったリンダさん。しかし居合わせた人の中にはポルノ、あるいは近親相姦を見ているような気分にさせるといった意見もあり、ある種の性的嗜好を思わせる常識の範囲を超えた行為だとして店側はその主張を受け入れなかった。

これは大変な差別だとして、ついにKFCを相手取って訴訟を起こしたリンダさん。ある法律家は「1976年から公共の場での授乳が正式に認められており、その行為を邪魔した者には大変な罰金が科されます。裁判で勝つのは彼女でしょう」とコメントしている。確かに母乳を与えるのは何歳までといった規制はない。だがKFC側は周囲の客が感じ取ったという“不愉快な気分”を盾にとってくるであろう。裁判の行方に関心が高まっている。

状況は元記事の写真を参照いただきたいと思いますが、とりあえずは常識の範囲を超えた行為であると言うことは確かではないかと言う気はします。
最後に取り上げますのはご存知ブリからのニュースですが、まずは記事から紹介してみましょう。

英選挙で投票用紙に男性器の絵、有効票と見なされ候補者「感謝」(2015年 05月 11日ロイター)

[ロンドン 8日 ロイター] - 7日に投開票が行われた英国下院選挙で、投票する候補者名の横にバツ印をつけるところを、男性器の詳細な絵を描いた投票用紙が見つかるという「珍事」があった。投票用紙は結局、有効票と見なされたという。

この候補者は保守党から立候補したグリン・デービス氏。同氏はフェイスブック上で「ある有権者が、投票用紙の私のボックスにバツ印をつける代わりに、詳細な男性器を描いた。男性器はボックスの枠内にうまく描かれていたため、選管当局者は有効票だと認めた」と明かした。

デービス氏は5325票を獲得し当選。男性器による「投票」は当落を左右するものではなかったが、それでもデービス氏は「投票者が誰か分かったら、彼(または彼女に)個人的に礼を言いたい」と語った。

一般常識的に考えてこれまたあり得ないと言っていい事態なのでしょうが、それに対してこれまたあり得ない対処を行い全て滞りなくと言うのが何ともブリ的なんでしょうか。
しかしどのような考えからこのような振る舞いに及んだのかは謎ですけれども、まあアレも見る者の見ようによってはバツ印的に見えないこともないのでしょうかね…?

今日のぐり:「かっぱ寿司 倉敷店」

倉敷市街地中心部近くに位置するこちらの店舗、大抵はいつもかなりの客入りであるようなんですが、近隣に競合店も多いでしょうに地域の需要も大きいんでしょうかね。
見ていますとやはり子供連れが多いんですが、ご近所から来た風なお年寄りの集団もいてちょっと和むところがあります。

例によって適当につまんで見ましたが、季節ネタのサヨリは旬であるだけに結構いけたのですが、魚の竜田はロール寿司に仕立てられていて食べ応えこそあるんですが、シャリとネタのバランスが何とも悪いなあと感じてしまいます。
同じく旬と言っていいカツオのカルパッチョなるものはカツオの味は全くわからなくなっているのが気になりましたが、まあこれはこれでカツオの味を問わないあしらい方として有りかと思える刺激の強い味ですかね。
こちらの場合鮮魚ネタよりもサイドメニューの方が幸せになれそうなんですが、特にこちらのフライドポテトは特にこれと言うものではないんですが、デフォで余計な塩を振ってないのはいいと思います。
希少な野菜系メニューの数の子とオニオンの海鮮サラダは今ひとつ数の子の存在意義が不明な気がしますし、明石焼き風タコ吸いは明石焼きとしてもお吸い物としても残念なものですけれども、豚汁は素材の癖のある風味が十分残っていて、根菜類好きな人にはたまらない味なのかも知れませんね。

この値段で結構色々なものが揃っていますから顧客の間口は広いと言うことなんでしょうが、しかし回転寿司のフライドポテトが意外に侮れないと言う噂は案外本当だったようですね。
オペレーションはマニュアルばかりでなく相手によっては言葉遣いなども割にローカル色も色濃かったりするのが興味深いのですが、そんなこんなで繁忙店の割に全般にのんびりした感じなんですが、それでもちゃんと回ってるのは面白いなと感じました。
ちなみにここは専用レーンで配送されるのは助かるのですが、繁忙期でもレーン上のネタの回り方はまずまずのようですし、ネタもよく言えば万人向けと言えそうなんですが、もう少し特徴的な面白いメニューも欲しい気はしますでしょうか。

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2015年6月13日 (土)

アダルトサイトに釣られた方々には泣きっ面に蜂の仕打ちが待っている

世の中これだけネットが一般化してきますと、ついつい表立っては口にしにくい利用法も増えてくるものですが、このところいわゆるアダルトサイトに関するトラブルが急増してきていると言います。

高齢者のアダルトサイト相談が急増 ワンクリック請求に慌て 「被害解決する」業者も暗躍(2015年6月10日産経ニュース)

 兵庫県生活科学総合センターは、平成26年度の県内の消費生活相談状況をまとめた。県内48カ所の消費生活センターに寄せられた相談件数は計5万1093件で前年度比741件増。中でもアダルト情報サイトに関する相談が前年度から大幅に増えており、センターが注意を呼び掛けている。

 センターによると、全相談のうち、金銭の支払いなどを伴う苦情は過去5年で最多の4万2845件で、問い合わせは8248件だった。前年度と比較し、苦情は688件、問い合わせは53件それぞれ増えた。

 すべての相談のうち、インターネット情報サービスに関する相談が最も多い7761件で、前年度から25%増加した。インターネットの動画再生ボタンをクリックして料金を請求されるワンクリック請求などアダルト情報サイトに関する相談が半数以上を占めた。
(略)
 センターの担当者は「高齢者がアダルトサイトのワンクリック請求に慌て、サイトの連絡先に電話して被害にあうケースが増えている。一人で悩まず、まずは公的な消費生活センターに相談してほしい」と呼び掛けている。

もちろん自らの意志で契約してしまったと言う場合にはある程度仕方がない部分もあるのでしょうが、昨今多いのがいわゆる成人認証等に見せかけてクリックさせる、そして入室した途端に「あなたは会員となりました。つきましては利用料金を支払いを」と言ったスタイルのサイトで、ポイントになるのが解約したければ連絡を云々と言う記載が必ずセットで出てくることですよね。
要するにこれはまずはカモとなるユーザーに連絡を取らせるためのフィルターの役割を果たしているわけで、わざわざどこの誰々と自己申告してくるような相手は明らかにネット情弱であると判断して間違いなさそうですから、実際にサイトを構えているだけでそれなりに実入りが期待出来ると言うことなのでしょうか。
この記事ではまるで高齢者が被害の主体だと言う書き方をしていますけれども、このアダルトサイトのネット被害に関しては実は若い世代の方が(考えてみれば当然ながら)ずっと数としては多いようで、しかも最近はこの種の被害に便乗してこんな新手の商売も登場していると言います。

消費生活センターだと思って相談したら有料だった ~アダルトサイト利用料金請求の二次被害の相談が急増しています~(2015年5月1日埼玉県政ニュース)

「アダルトサイトの利用料金請求トラブル」は耳にした方も多いと思います。それだけではなく、この問題を相談しようとインターネットで「消費生活センター」を検索し上位に表示されたサイトを見て連絡を取ったところ、料金を請求されたという相談が急増しています。
 「アダルトサイトを閲覧していたところ、いきなり登録となって料金請求画面が出たため、あわてて相談したところ、解約の手伝いをするから契約書を送ると言われた。」「消費生活センターに相談していると思っていたのに、実は行政書士事務所や探偵事務所だった。」などの相談事例があります。
 インターネットの検索サイトで「消費生活センター」と検索すると、事業者の広告が表示されることがあります。「公式窓口」など、いかにも公的機関を装って記載されていたとしても、本当に消費生活センターのサイトなのか、自治体のホームページ内のリンクを使って電話番号を調べたりして、よく確認しましょう。

アダルトサイト等の不当請求の二次被害に関する相談受付状況
1 相談総数
 平成26年度 318件(平成27年4月30日現在)前年度の3.8倍に増加
 平成25年度 83件
 平成24年度 87件

2 契約者の年齢・性別
 平均年齢は42.9歳 (平成26年度、平成27年4月30日現在)
 40歳代及び30歳代が各81件となっており、次いで50歳代の44件、20歳代の42件となっている。
 男性 62.0% 女性 38.0%

3 契約者が請求された金額
 平均 約305,000円(最高額 1,867万円)(平成26年度、平成27年4月30日現在)

相談事例

    パソコンで検索中にアダルトサイトに入り、登録料として99,800円を請求され、支払わない場合は法的措置を取ると表示されていて怖くなった。あわてて消費生活センターと検索し、「無料相談」と記載されていたサイトの連絡先に電話したところ、「アダルトサイトの請求画面を削除する。作業に5万円がかかる。」と言われ支払った。だが、報告時に「ガードがかかっていて削除できなかった。今後予想される裁判に備えるのにさらに費用が掛かる。」と説明された。契約の相手は探偵事務所だった。
           (相談者:70歳代 男性)

    アダルトサイトから登録料として116,000円の請求を受けた。「消費生活センター」を検索して上位のサイトを見て電話を掛けたところ、行政書士事務所だった。「当方に委任してもらえれば、アダルトサイトとの契約を解約し、個人情報も削除する。速やかに相手方への書面発信をしたほうがいい。」と言われたので、FAXで書面をやり取りして委任契約を締結し、即日39,800円を振り込んだ。冷静になると、おかしいと思った。行政書士事務所に預けた個人情報も心配だ。
 (相談者:40歳代 男性)
(略)

この「ネット検索サイトで検索するとまず広告サイトが上位に出てくる」と言うのは昔から知らなければ引っかかりやすい問題として知られていますけれども、一般論としては検索サイトとしても広告収入なりで運営されている営利企業なのですから、スポンサーを優遇するのは仕方ないと言えば仕方ないですよね。
それが明らかに反社会的団体であるとか、詐欺団体であるとか言った場合にはもちろん犯罪行為の片棒を担いでいると非難されても仕方がないところですが、この場合一応はその方面の専門家のところにつながると言うことで、あとはきちんと契約条件を確認して話を進めなかった利用者側の落ち度であると言う言い方も出来るかも知れません。
ただそもそもそこまで冷静な行動が出来る人間であれば今どき詐欺紛いのアダルトサイトに引っかかるわけもないと言う考え方もあって、要するに他人の困った状況を利用して半ば誘導的に契約を結ばせるようなやり方が商道徳としてどうなのか、そうした営業方針でやっている事務所が本当に信頼に値するのかどうかも問われるところでしょう。
ちなみに手元のPCで「消費生活センター」と検索してみたところ、登録型のyahooではずらずらとそれらしい広告サイトが並びましたがロボット型のgoogleではとりあえず公的サイトばかりしか表示されないようで、このあたりも検索サイト毎の方針の違いなども垣間見られて興味深いですよね。

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2015年6月12日 (金)

テロリストに賠償金支払い命令下る

すでに各方面で報じられた通り、先日何とも当然とも言うべきこんな話が報じられていました。

シー・シェパード、捕鯨妨害賠償3億支払い合意(2015年06月10日読売新聞)

 反捕鯨団体「シー・シェパード」(米国)が日本の調査捕鯨を妨害していた問題で、日本鯨類研究所(東京都)は9日、シー・シェパード側が賠償金として255万ドル(約3億2000万円)を支払うことで合意が成立したと発表した。

 シー・シェパードに対しては2012年12月、南極海で日本の捕鯨船に対する攻撃などの妨害行為を差し止める仮処分命令が米裁判所から出され、公海上で捕鯨船団から500ヤード(約460メートル)以内に近づくことが禁じられた。だが、シー・シェパードは妨害行為を続けたため、裁判所は法廷侮辱罪に当たると判断。シー・シェパードは不服として米連邦最高裁に上訴したが、8日、訴えは棄却された。同研究所は賠償金の支払いを求めていた。

 同研究所は「今回の判断が理不尽な妨害の抑止につながることを期待する」とのコメントを発表。シー・シェパード側は上訴棄却について、「失望している」との声明を出した。

シー・シェパード、日本側に3億1000万円支払いへ 仮処分に違反(2015年06月09日ハフィントンポスト)

過激な反捕鯨活動で知られる環境保護団体「シー・シェパード」が、日本側に255万ドル(約3億1000万円)の賠償金を支払うことで合意した。南極海で調査捕鯨をする日本鯨類研究所が、6月9日に発表した。

日本鯨類研究所などは2011年、アメリカ・ワシントン州の裁判所に調査捕鯨の妨害をやめるよう求めて提訴した。2012年には、サンフランシスコ連邦高裁は「シー・シェパードは海賊だ」と指摘、妨害行為を禁じる仮処分命令を出した。

しかしシー・シェパードは調査捕鯨の妨害を続行。2014年2月には日本の捕鯨船2隻に対し南極海で、光や熱を出す信号ロケット弾を船に向けて計13回発射したほか、スクリューに絡ませる目的で船首付近に数十本のロープを投げ入れていた

連邦最高裁が2015年6月8日、シー・シェパードの上訴を却下して高裁判決が確定。シー・シェパードは仮処分違反を認める形で、最終的に合意書に署名した。過激な捕鯨妨害を繰り返してきたシー・シェパードが、日本側に賠償金を支払うのは初めて

今後、シー・シェパードが南極海で捕鯨の妨害行為を繰り返せば、さらに賠償金を支払う義務が生じるため、一定の歯止めになりそうだ。日本は調査捕鯨を2015年度内に再開する予定だ。


シーシェパード、日本の捕鯨団体に255万ドルの賠償金を支払いへ・米訴訟判決が確定(2015年6月11日ビジネスニュースライン)

反捕鯨活動団体のシーシェパード(Sea Shepherd Conservation Society)が長年に渡って妨害活動を行ってきた日本の捕鯨団体「日本鯨類研究所(The Institute of Cetacean Research)」に対して255万ドルの損害賠償金の支払いを命じた米裁判所の判決が8日、確定したことが判った。

この裁判は、シーシェパードによる妨害工作を受けて、日本鯨類研究所が妨害工作の差止めを求める仮処分を求めて2011年12月にワシントン州連邦地方裁判所に起こしていたものとなる。その後、第二審の第9巡回控訴裁判所は、日本鯨類研究所の主張を認め、シーシェパードの妨害工作の仮差止め命令を出したが、シーシェパードが裁判所命令に従わず、妨害工作を継続したため、第9巡回控訴裁判所は、法廷侮辱罪で、シーシェパードに対して損害賠償金の支払いを命じていた。

今回の255万ドルの賠償金支払いは、最高裁がシーシェパードの上告を棄却し、第二審判決が確定したことを受けて、日本鯨類研究所とシーシェパードの間で示談が成立したことを受けてのものとなる。

米国内世論は、日本の調査捕鯨という名目による事実上の商業捕鯨の継続については批判的な見方が優勢となっているものの、シーシェパードの過激な反捕鯨活動に関しても批判が集まっていた

ちなみにこの賠償金支払いは今回一回限りと言うことではなく、シーシェパード(SS)側の妨害が続けば今後も追加で支払い義務が生じると言うことなんですが、何しろ過去に一度として法的なルールに従っての活動に甘んじたことのないテロ集団の事ですから、妨害活動云々以前にそもそもきちんと賠償金を支払うのかどうかも疑問符がつきますよね。
仮に賠償金が幾ら支払われようと、その元手は全世界に散在する(らしい)SS信奉者達からの上納金によってまかなわれているのですからSS側にとっては痛くもかゆくもない話ですけれども、これによって多少なりともSSの活動スケジュールなりに影響が出るものなのかどうかは今後の注目点となるかと思います。
調査捕鯨の一時中断でSS側も最近ではその活動の中心をフェロー諸島に移してきているようで、こちらは穏健な日本と違ってそれなりの饗応を受けられる環境であるようですからどうなるものかですが、日本の調査捕鯨再開で再び南極海に矛先を転じるのか、それとも低コストで持続的活動が可能なフェロー諸島で引き続きやっていくのかどうかですね。

ちなみに先月末のことですが、SS側からも米連邦地裁に調査捕鯨中止を求める反訴が行われていて、当然ながらこちらも多額の裁判費用が必要となるはずなんですが、今年初めにオランダの団体がSSに実に11億円の寄付をするなど未だにその豊富な資金力には衰えがないだけに、不謹慎ながら近い将来再び彼らの勇姿が南極海で見られることを期待する向きもあるようです。
これにはもちろん懲罰的な損害賠償金を期待すると言う意味もあるのでしょうが、別な側面から考えますと一応鯨研の調査捕鯨のコストは鯨肉販売でまかなうと言うことになっていて、それが鯨肉流通価格の高騰と消費の低迷を招いている一因でもあると言う指摘もあるわけですから、そこに巨額の賠償金が加わると多少なりとも鯨肉の価格が安くなるのかどうかも気になるところですね。
最近では太地町のイルカ漁絡みで一騒動あるなど捕鯨と言うことに関連してあちこちで話題もあるわけですが、そうした意見の対立とは全く無関係にSSのテロ活動と言う方法論が問題になっているわけですから、長年テロとの戦いを標榜してきた米国としてもお膝元のテロ団体だけは特例視して「目的は手段を正当化する」などとは言えないのではないかとは期待しておきたいところです。

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2015年6月11日 (木)

キセルと言う言葉がまだ死語ではなかった件

昨今キセルなるものを見たことがある人の方が絶対的少数派だと思いますが、未だにキセルと言う言葉だけは生き残っているのでしょうか、先日こんな記事が出ていました。

教諭が“キセル”常習 通勤手当100万円不正受給 千葉県教委が懲戒免職(2015年6月10日千葉日報)

 千葉県教委は9日、通勤時に“キセル乗車”をしていたとして県立銚子商業高校の寺田健郎教諭(43)を懲戒免職処分にした。寺田教諭は通勤手当約100万円も不正に受給。県は不正受給の金額について精査しており、今後返還を求める。

 県教委によると、寺田教諭は2013年10月から今年5月20日、週に2~3回、自宅から学校に通勤する際、最寄りのJR西千葉駅で千葉駅までの回数券を使って乗車すると、求名駅が無人になる時間帯を狙って下車。千葉-求名駅間の運賃440円分を支払っていなかった。求名駅からは、近くの無料駐車場に止めた車で学校に向かっていた

 今年3月上旬ごろからは、帰宅時も朝の回数券を使って千葉駅で下車するなどして同駅区間の運賃を逃れていた。今年5月20日朝、県警鉄道警察隊員が寺田教諭を摘発して発覚。東金署が鉄道営業法違反(無賃乗車)の疑いで捜査を進めている。

 寺田教諭はさらに11年10月ごろから、実際は電車などで通勤していたのに高速道路を使って乗用車で通勤していると偽り、通勤手当を不正に申請。不正に受け取った金額は総額約100万円に上るとみられる。

 県教委の調べに「わずかな交通費を浮かせるためにやってはいけないことをした」などと話しているという。

ちなみに不正乗車の一種で俗にキセルと呼ばれる行為は本来出発駅から到着駅まで連続しての乗車券を買わなければならないところ、出発駅付近と到着駅付近の乗車券(あるいは入場券等)だけを買って中間部分の料金を払わない行為の意味ですが、昔の喫煙道具であるキセル(煙管)が両端だけ金属製で金をかけていると言うことに由来すると言います。
毎日の事ですからそれなりの金額にはなるのかも知れませんが、しかし方法論としてそれなりに込み入った手段を用いていたようで、この情熱をもっと有意義な方向に活かせば…と言う気にもなるところですし、ここまでやっても見つかるものは見つかるんだなと改めて感じますよね。
鉄道会社としても当然運賃収入で経営が成り立っているわけで、かつての国鉄時代のように「どうせ親方日の丸なんだろ」などと言う言い訳?は通用しませんけれども、このキセルと言うICカードの普及でほぼ死語になりかけているような古い言葉が特定方面では今も現役であるどころか、実は日常的に行われていたのか?と思わせる記事が出て話題になっています。

キセル通報逆恨み「撮り鉄」少年ら逮捕 強盗容疑(2015年6月5日日本経済新聞)

 キセル乗車を通報されたことに腹を立て、少年2人に暴行しカメラを脅し取るなどしたとして、警視庁少年事件課は4日までに、相模原市の高校3年の男子生徒(17)ら少年5人を強盗などの疑いで逮捕した。1人は容疑を一部否認している。

 逮捕容疑は2月21日、JR東京駅構内で少年2人からデジタルカメラなどを脅し取ったり、腹や顔を殴ったりした疑い。

 同課によると、逮捕された少年らは列車を撮影して楽しむ「撮り鉄」で、うち2人が2月11日、キセル乗車で東京駅から金沢駅へ向かった

 顔見知りだった被害者らが、新潟県内の駅で2人を見かけ、駅員に通報した。同課によると、逮捕された少年らは「キセルを通報するなんて撮り鉄界のタブーを犯した」などと動機を供述しているという。

まあどこから突っ込んでいいものやら判らないような事件で、これ自体は昨今ではあちらこちらで問題化してきている撮り鉄絡みのトラブルにつながる新たな事件であるのでしょうけれども、この記事を読んだ多くの人々が思わず突っ込んだ点として「撮り鉄業界ではキセル乗車が当たり前の常識なんですか?」と言うことがありますよね。
撮り鉄と言えば立ち入り禁止区間への侵入事件などはすでに日常茶飯事ですが、保守作業時の安全確保のため上り下りの線路の間に張ってあるロープを「撮影の邪魔だから」と勝手に引っこ抜いて撤去すると言った、列車の安全運行上も非常に大きなトラブルにつながりかねないトンデモナイ行為に及ぶ方々もいるようです。
もちろんこうした行為は一部の不心得者がやっているんだろうと思われるのですが、今回注目したいのは逮捕された少年達がキセル行為の通報を「撮り鉄界のタブーを犯した」と言っている点で、事実キセル行為がタブーなのではなくキセル行為をチクることの方がタブー視されているのだとすれば、これは撮り鉄と言うグループとして反社会的と受け取られても仕方がないですよね。
今回の件に関してはさすがに鉄道ファンからも「そんなタブーあるかい」と突っ込みも入っているそうですが、もともとこの種のマニアックな世界は世間が狭いだけに、不正行為を告発するような振る舞いは「仲間を売った」と捉えられがちであるだろうとは思われますから、撮り鉄はマナーが悪すぎる、仲間同士で自浄作用を発揮せよなどと世間が言うほど案外簡単ではないのかなと感じさせる事件ではありそうです。

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2015年6月10日 (水)

みんなで辞めたり、辞めさせられたり

先日からちょっとした話題になっているのがこちらのニュースですが、御覧になったでしょうか。

看護師6人一斉辞職 鳥取の養護学校 生徒10人通学できず(2015年6月8日産経新聞)

 鳥取県立鳥取養護学校(鳥取市)の看護師6人全員が、校内で行う医学的ケアに対し保護者から批判を受けたことを理由に5月末に一斉辞職し、一部児童・生徒が通学できなくなっていることが8日、県への取材で分かった。

 県によると、6人はいずれも非常勤。10人程度の子供が通学できておらず、県は近隣の病院に看護師派遣を依頼し、今週中にケアを再開する予定だ。8人程度が必要だとして確保を進める。同校では、全児童・生徒約70人のうち約30人に、たんの吸引や経管栄養法などのケアが必要。保護者からは、吸引時間の遅れや点滴の位置などに関し批判の声が寄せられていたという。

 通学できない子供には在宅学習や、福祉施設に預かってもらい対応。求めがあれば、教員を自宅に派遣している。

<鳥取養護学校>看護師全員が一斉に辞職(2015年6月8日毎日新聞)

 鳥取県立鳥取養護学校(鳥取市)で、医療的ケアを担う看護師が不在になり、ケアの必要な児童生徒9人が通学できなくなっていることが分かった。以前から要員不足の事情があり、ケアの一部が遅れたことを保護者から批判された看護師6人全員が、一斉に辞職を申し出た。県教委は看護師の配置や相談体制の不備を認め、後任の人材確保を急いでいる。

 県教委が8日の県議会で報告した。同校には小学部から高等部までの児童生徒76人が在籍、うち33人がたんの吸引などのケアを必要とする。看護師6人は非常勤で、5月22日の授業終了後に全員が辞職の意向を伝えた。看護師の1人は、ケアが数分遅れたことについて、ある保護者から威圧的な言動を繰り返し受けたと訴え、他の5人も不安を募らせていたという。

 医療的ケアの必要な児童・生徒は現在、保護者同伴で登校するか、校外のデイサービス施設で教員の訪問授業を受けている。施設を利用せず家庭訪問を希望しない児童生徒4、5人が授業を受けられない状態という。

 野坂尚史校長は「本来は8人の看護師が必要。一刻も早く人材をを見つけたい」と話した。県教委は「医療的ケアを必要とする児童生徒が増え、看護師の体制が苦しかったとも聞いている。組織としての受け止めなどが不十分だった」と釈明。県看護協会などに派遣を要請中で、近く学校でのケアを再開する方針という。【小野まなみ、真下信幸】

別ソースによれば当の看護師が挙げた退職理由として保護者の言動もさることながら、学校側がきちんと対応しないことにも不満を募らせていたようですが、そもそもの背景事情として医療的対応を要する患児が増えているにも関わらずスタッフの増員が行われず本来8人の看護師が6人(かつ、全員非常勤)しかいなかったようで、それがケアの遅れを招き家族のクレームへとつながっていたようです。
詳細な事情についてはこちらのソースが参考になるかと思いますが、聞く限りではクレーマー紛いの保護者からの要求などもさることながら、この問題に関する県議会での議論においては同県ではこの種のケアの先進県であると言う自負もあったようですが、実際には非常勤の看護師と常勤の教員との間では相当に温度差もあったようですから、やはり現場の状況把握がうまく行われていなかったとは言えそうですよね。
県側では当面県立中央病院から看護師派遣を受けてケアを再開させたいと言う意向のようですが、問題の保護者との関係も何ら具体的に改善されているわけでもなく、また教育委員会等から何かしら改善策が打ち出されてもいないと言う中で、現場にひたすら貧乏くじを引かせるだけのやり方がいつまで続くものなのかと感じてもしまいます。
今回の場合は当事者にとってはいわゆるブラック企業に近い認識であったのでしょうし、こうした場合当事者にとっては逃散が最善の対応策であると言う既存の定説を再認識させられることになる可能性もありそうですが、一般的にはブラック企業と言えば従業員の使い捨てと言う面でも問題視されることが多いわけで、別な施設ではこんな強制解雇の例も出ているようです。

「全員を一方的解雇」賠償提訴(2015年6月8日NHK)

新潟市の訪問型看護施設で、開業から2か月余りで従業員全員が一方的に解雇されたのは不当だとして、看護師2人が合わせて550万円余りの損害賠償などを求める訴えを新潟地方裁判所に起こしました。

訴えを起こしたのは、新潟市中央区網川原の訪問型看護施設、「ケアーズ訪問看護ステーションおうみ」に勤めていた看護師の男女2人です。
訴えによりますと、この施設はことし2月に開業しましたが、開業から2か月余りたったことし4月、経営の悪化を理由に、5人の従業員全員を解雇することを一方的に通知してきたということです。
5人のうち看護師の男女2人は、解雇は無効だとして施設を運営する会社や役員に、合わせて550万円余りの損害賠償などを求める訴えを8日、新潟地方裁判所に起こしました。
記者会見した原告の代理人の齋藤裕弁護士は、「この業種では近年、異業種からの安易な参入が相次いでいるので、参入の要件を厳しくするなど制度を改めるべきだ」と話しています。
一方、施設の運営会社「ひかり」は、「従業員には営業面での活躍も期待していたが成果が現れず、事業が立ち行かなくなった。経営が難しいため、この業種で事業を再開することは考えていない」と話しています。

しかし従業員に営業面での活躍とは、まさか身内を何人呼び込め等々のノルマでも設定されていたとでも言うのでしょうかね?
2月に開業したばかりで今春に経営不振とはどんな零細経営なのか?と疑問に感じるところなのですが、ちょいと調べて見た限りではこのケアーズ訪問看護ステーションなる組織、この5月時点で全国300拠点近い施設を抱える大きなネットワークであるようですから、素人がいきなり参入して予想通り失敗したと言う話でもなさそうなんですが、さて何が起こったのかです。
どうも話を聞く限りでは中央が経営ノウハウなどを提供し、地元の運営会社がそれに従って運営すると言う方式でやっているグループであるようで、グループ社長さんは「異業種参入の方でも成功できる訪問看護のノウハウを提供しているのは我が社だけ」と自信満々に断言しているようですが、おそらく実際には経営がどうであれグループ側は儲かるような仕組みにはなっているのでしょう。
大手飲食店チェーンなどがやたらと新規開店したりあっさり店をたたんだりするのと同様に、経営的にメリットが少ないと判断すればあっさり切り捨てると言う判断も損害の最小化と言う点では仕方ないのでしょうが、業界が狭くマンパワーの要素が大きい医療・介護の世界でこう言うスタッフの使い方をしているのでは、同県内だけでも未だ複数のグループ施設が営業中であるのに今後困らないのか?と言う気もします。

この辺りは記事にもあるように安易に参入するばかりではなくきちんと勝算の見込める商売を始めないと結局利用者にも迷惑をかけることになりますが、先日日経ビジネスが全国1798病院の経営力ランキングなるものを報じていて、全国7割の病院が赤字経営であると言う現状を見るにつけ、基本的に医療介護の領域は需要こそ多いものの、異業種から儲けを期待して参入するには少し厳しい市場なのかとも感じるところでしょうか。
その理由としてはやはり基本的には全国一律の公定価格であり、個性を出してその分余計な対価を得ると言うやり方がなかなか難しいと言う自由度の乏しさであるとか、なんだかんだ言っても需給バランスがほぼ均衡した状態で長年続いていて新規参入は難しい業界の閉鎖性だとか要因は様々なのでしょうが、それもあって人材面でも基本的に業界内外での出入りが少ない方ですよね。
国の資格職であるスタッフ達が多くは近隣地域内の施設を転々としながら仕事をしている狭い業界で、少しでも生産性を高めるためにはスタッフの士気を高く保ち、より優秀な人材が集まるよう口コミでの評判を高めると言う事が有効であるように感じるのですが、その辺りのノウハウは「嫌なら辞めろ。代わりは幾らでもいる」他の業界とは少しばかり勝手が違うと言うことなのでしょうか。

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2015年6月 9日 (火)

子供の突発的行動を防ぐ手軽な手段が賛否両論

先日四国は松山で、こんな悲しむべき事故があったのをご存知でしょうか。

転落:ホテル12階から 1歳男児が死亡 松山(2015年05月31日毎日新聞)

 31日午前8時ごろ、松山市千舟町2のホテル南側の歩道(市道)で、男児(1)が血を流してうつぶせで倒れているのをタクシーの運転手が見つけた。男児はホテル12階に宿泊中の夫婦の長男で、部屋の窓から転落したとみられる。市内の病院に運ばれたが間もなく死亡した。

 愛媛県警松山東署によると、男児は大阪市住吉区南住吉4の会社員、泉谷(いずたに)英俊さん(36)の長男真(しん)ちゃん。窓は幅106センチ、高さ129センチで、床から86センチの高さにある。回転式で、全開した際には最大55センチの隙間(すきま)ができる。

泉谷さんが直前に部屋で真ちゃんを確認した際には窓は閉まっており、窓と同じ高さの出っ張り部分(奥行き29センチ)に立って遊んでいたという。同署は真ちゃんが誤って窓を開け、約35メートル下に転落したとみて調べている。

泉谷さんと妻(37)、真ちゃんの3人は25日から滞在中だった。妻と真ちゃんは泉谷さんの出張に合わせて、観光のため松山市を訪れていた。【松倉展人、橘建吾】

写真で見る限りではよく見かける中央を軸にして回転するタイプの窓であったようで、大人であればそこから出入りするのは難しいだろうとは思いますが、子供の場合サイズ的にはちょうど通り抜けるに手頃な感じになるのでしょうか、たまたま窓に体重をかけた際にきちんと鍵がかかっていなければ真っ逆さまと言うこともあり得そうではありますよね。
この種の大人目線では想定していない事故が子供目線では起こり得ると言うのはしばしばあることで、立ち入り禁止の場所を示す柵なども大人を対象に作ってあると、ちょうど下に子供が通り抜けるのにちょうどいい空きが出来ていたりもするものだし、そもそも子供と言うものは多少のハードルを克服することに楽しみを見いだしがちなものではあると思います。
少子化の時代に子供がこうして思いがけない行動から重大事故に遭遇すると言うのは社会的損失としても無視出来ないものがありますが、それに対して世の親の方々も様々に対策の必要性を感じているだろう中で、最近こんな小道具がちょっとした流行になりつつあると報じられ、別な面からも話題を呼んでいます。

幼児用リード、じわり浸透 安心?それとも違和感?(2015年6月4日朝日新聞)

 歩き始めた子どもを事故から守るため、リード(ひも)を使う親が増えています。そばに引き留めておける安心感から重宝される一方、「まるで犬みたい」と、とがめる声もあります。実際に使った親たちに話を聞きました。

 「お買い物行くよー」

 東京都世田谷区の37歳の女性は、リュックサックを背負った2歳の次男とスーパーへ歩いて出かけた。

 次男の背丈は母親の腰の高さほど。リュックの上にリードがつながり、その端の持ち手を女性が握っていた。ベビーカーに乗せない時は使うことが多いという。リードの長さは調整可能で、約85センチにしている。「このくらいだと突然走り出してもすぐ止められる」。リュックの肩ひもはクッション素材で、リードを引いても痛くなさそうだ。

 使い始めたきっかけは、別の親子連れが事故に遭いそうになるのを目撃したこと。母親がベビーカーの赤ちゃんをあやすすきに、上の子が母親の手を振り払って車道に飛び出した。叫ぶ母親。車は急ブレーキをかけ、子どもの目前で止まった。「使えるものは全部使って事故の可能性を減らしたい。自分の子を守るのが親の役割なので

 スーパーまでは、車の通行量が多い国道沿いの歩道を通る。次男は地面のアリをのぞいたり、遠くに電車を見つけて跳びはねたり。「一瞬先の行動が予測できない。ガードレールによじ登って車道に出ようとしたこともあります

 次男のすぐ脇を、自転車が何台も走り抜けていった。女性はリードを短めに持った。

この子供用リードと言うもの、非常に簡単かつ低コストで安全性を高める良いアイデアに思えるし、実際そうした期待感から愛用者がじわじわ増えてきていると言うのですが、これに対して「イヌの散歩じゃあるまいし」と批判的な声もまた少なからずあるようです。
記事の写真を見る限りではリュックに結びつけられていることもあって別にイヌのようには見えないかなとも思うのですが、実際には上半身にベルトを装着させて固定するタイプが一般的なのだそうで、そう言われますとイヌなども同様のスタイルのものを使用しているのを見かけることはあるでしょうかね。
この子供用リード問題、各方面でも大いに話題になっているようで、「手をつなげばいいじゃないか」と言う声もあれば「あれはリードではなく命綱だ」と言う声もありでまさに賛否両論なんだそうですが、当事者にとっては少しでも我が子の安全を高めようと工夫していることではありますし、例えば車に乗せた子供にシートベルトを装着しているのを見て「子供を縛り付けるなんて!」と騒ぐ人と言うのもまあいないですよね。
地域によってイヌではなくネコをヒモにつないで散歩させていたりだとか、イヌを散歩させるのではなくイヌを抱いて散歩している地域と言うものがあって、地元民に聞くとその地域ではそれが当たり前で誰も疑問に感じたりはしないんだそうですが、そうした習慣がない外部の人間にとっては初めて見た時には何とも奇妙に見えるんじゃないかと言う気がします(個人的には今でも若干の違和感がありますが)
ただそれに対して「自由奔放なネコをヒモでつなぐなんてかわいそう!」などとクレームをつけてくる人はそれほど多くはないようではあり、また車にひかれそうで危ないからと部屋に閉じ込めっぱなしであるよりは外に出してやった方がより人道的な扱いだと言えるだろうしで、この辺りは単純に見た目の印象だけではなく総合的に損得を判断すべきことなのだろうし、そもそもは単純に慣れの問題が大部分であると思いますね。

特に記事にもあるように子供の場合、きちんと手をつないでいてもその手を振り払ってかけ出すようなことがしばしばあって、特に複数の子供を連れていたり荷物を持っていたりすると物理的に抑制が不十分になりがちなことは理解できることだし、その状況を認識しながら放置して事故に遭うよりはリード一つで安全を確保する方がよほどマシであるとは言えそうです。
ネット上でも「リードをつけなければならないような子供を持ったことがない人は気楽でいい」と言う声ありますが、昨今じっとしていられない子供と言うものが学校教育の現場でも色々と問題になっていて、もっと幼少期からのしつけをきちんとしなければならないと言った声も上がっているのですから、物心つくことから世の中何でも好き勝手に出来るものではないと言うことを知るにはむしろいい機会とも言えるかも知れませんね。
ただ見た目の印象的にやはりイヌなどのものに似ていると言うのはちょっと商売としてもマイナスポイントになりかねないわけで、販売する業者の方々にはもっと目立たず不自然にならないデザインの品を開発してもらう努力が期待されるのだろうし、社会の側としてもリードをつけている子供に対しては予想外の動きをする可能性があるんだなと判断した上で、それなりの配慮をしていくことが望まれるように思います。

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2015年6月 8日 (月)

棄民政策、世界各地で推進される?

先日オーストラリアから出たこんなニュースがちょっとした話題になっています。

豪 難民を受け入れ先のカンボジアに移送(2015年6月4日NHK)

オーストラリア政府は、難民認定を求めて不法に入国した人たちを代わりに受け入れてもらうカンボジア政府との協定に基づき、4日、初めて4人をカンボジアに移送しましたが、国際機関などからは「難民の問題を他国に転嫁すべきではない」として批判が再び高まりそうです。

オーストラリアには、アフガニスタンや中東などから難民認定を求めて船で不法に入国しようとする人たちが後を絶たず、政府は去年9月、こうした人たちを代わりに受け入れてもらう協定をカンボジア政府との間で結びました。
この協定に基づき、オーストラリア政府は4日、初めてイラン人3人とミャンマーの少数民族ロヒンギャの1人の合わせて4人を民間機でカンボジアに移送しました。

協定を巡ってはオーストラリア政府が難民認定を求める人たちを受け入れてもらう見返りに、カンボジア政府に日本円でおよそ40億円を支援するとしており、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は、「難民の問題を他国に転嫁すべきではない」などと批判していました。
オーストラリアとしては不法入国を許さない立場をアピールするねらいがあるとみられますが、経済支援と引き換えに途上国を受け入れ先にする手法に、再び批判が高まりそうです。

このところ地中海での難民船が問題になっていたり、日本近海でも北朝鮮からの難民船?がひと頃話題になっていたりしましたけれども、東南アジアの難民船なるものも実は大変な状況にあるのだそうで、いわゆる難民と言うものだけではなく国際的な人身売買なども関わっていると言い、一体いつの時代の奴隷貿易船かと言う状況にあるようなんですね。
もちろん宗教や民族などの対立に起因して国外脱出を計る、いわゆる難民と言うものも10万人単位で海上を漂流しているのだと言いますが、これだけの数の難民を容易に引き受けることなど出来ないと周辺各国はどこも受け入れを拒否していると言い、船内で多数の死者が出ながら放置されている状況から「漂う棺桶」などと言うありがたくないあだ名までついているそうです。
日本でもひと頃北朝鮮から大量の難民が漁船で押し寄せてきた場合にどうするのか?と言った議論が盛んになり、特に難民に紛れ込んで工作員やら反社会的分子やらが侵入を計る可能性も高いことから、何とはなしに追い返すべきじゃないかと言う暗黙の合意が形成されてきた感がありますが、追い返された側がどこにも行く当てがなく長期間漂流している現状もまた問題ではありますよね。
そうした命に関わるリスクも承知の上で違法な入国ルートを辿ろうとしたと考えれば、当然のリスクを負ったのだから超法規的に救済されるべきだと単純に考えてもいられないのかも知れないですが、やはり目の前で人間がどんどん死んでいくのに黙って見ていると言うのは、野良猫に餌をやるべきかどうかと言った問題以上になかなか判断が難しいところがあるようには思います。

いささか話が脱線しましたけれども、今回のオーストラリア方式はそうした「見て見ぬフリをして他人が目の前で死んでいくのを放置する」やり方と比べるとずいぶんと人道的かつ良心的と言う考え方も可能ではあって、まずは行く当てがない難民をきちんと自国で引き受けた上で、ちゃんと行く先の世話までしてあげていると言えば非常によい話のようにも聞こえますよね。
ただ何とはなしにそうは思えないのがやはりお金を出して厄介者を押しつけているようにも見えると言う点だと思いますが、これまた「自分で最後まで面倒を見るつもりもないくせに野良猫に勝手に餌をやるな」と言う立場と、「野良猫を勝手に去勢したり保健所に引き渡したりするのはひどい」と言う立場との対立と相通じるものがあって、おそらくはどちらの側が絶対的に正しいと言うものではないようには思います。
そうは言ってもやはり釈然としない気持ちは残るのだろうし、特に力や権力を持っている側がそうではない側に一方的に不利益な取引を要求しているかのように見えるのではよろしくないと言うものですが、先日全国的に報道されたこちらのニュースも、受け取りようによっては同じような問題を抱えている話にも見えてくるでしょうか。

東京圏の高齢者、地方移住を 創成会議が41地域提言(2015年6月4日日本経済新聞)

 民間有識者でつくる日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)は4日、東京など1都3県で高齢化が進行し、介護施設が2025年に13万人分不足するとの推計結果をまとめた。施設や人材面で医療や介護の受け入れ機能が整っている全国41地域を移住先の候補地として示した

 創成会議は「東京圏高齢化危機回避戦略」と題する提言をまとめた。全国896の市区町村が人口減少によって出産年齢人口の女性が激減する「消滅可能性都市」であるとした昨年のリポートに次ぐ第2弾。

 東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県では、今後10年間で75歳以上の後期高齢者が175万人増える。この結果、医療や介護に対応できなくなり、高齢者が病院や施設を奪い合う構図になると予測した。解決策として移住のほか、外国人介護士の受け入れ、大規模団地の再生、空き家の活用などを提案した。

 移住候補地は函館、青森、富山、福井、岡山、松山、北九州など一定以上の生活機能を満たした都市部が中心。過疎地域は生活の利便性を考え、移住先候補から除いたという。観光地としても有名な別府や宮古島なども入っている。
(略)

<東京圏高齢者>移住促進を 25年、介護人材90万人不足(2015年6月4日毎日新聞)

 ◇創成会議が提言

 産業界や研究者らでつくる有識者団体「日本創成会議・首都圏問題検討分科会」(座長・増田寛也元総務相)は4日、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県(東京圏)の2025年の介護需要が現在(15年)に比べ45%増え、172万人に上るとの試算を公表した。全国平均(32%増)を大きく上回り、他地域に比べ突出している。入院需要も21.8%増加する。
 一方で、東京圏は医療・介護の受け入れ能力が全国平均よりも低く、「患者のたらい回し」や「介護施設の奪い合い」が起きる可能性が高いと警鐘を鳴らし、地方移住を促す施策の推進などを提言している。

 25年には団塊の世代が75歳以上となる。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、同年の東京圏の75歳以上人口は現在より約175万人増え、全国の増加数の3分の1を占める。
 創成会議の試算によると、在宅と入所の介護需要は25年には埼玉が現在の51.5%増、千葉は49.8%増、神奈川で47.7%増、東京は37.9%増。埼玉、千葉、神奈川の増加幅が際立つ。入院需要も全国平均の14.1%増に対し、埼玉24.6%増▽神奈川22.5%増▽千葉21.9%増▽東京19.8%増となる。この結果、東京圏では医療や介護の人材が25年に約80万~90万人不足するという。

 試算を踏まえ、創成会議は、今後の医療や介護の需要・供給見通しを東京圏全体で共有する必要があると指摘。さらに、40年には医療や介護を支える体制が崩壊しかねないとして、高齢者の移住を促すため、移住費用の支援や「お試し移住」の導入などを提案している。
 ただし、国が進める在宅医療・介護分については「データ整備が進んでいない」として考慮していない。
 日本創成会議は昨年5月に「消滅可能性都市」の一覧を公表している。【阿部亮介】

この都市部の高齢者を地方に移住させようと言う話、さかのぼればちょうど2年前に厚労省も言っていたことではなかったかと記憶するのですが、厚労省のみならず総務省筋も巻き込んで話が進んでいるとなれば、これは国としてはかなり本格的に検討していると言う解釈でよいのでしょうか。
都市部と地方との需給バランスなど細かいことは置いておいて、やはりこの話で気になるのは東京など大都市と言えば働く若い世代が全国から集まってくる地域でもあると言うことで、仮にこの計画が成立すると小児や高齢者など社会的支援を必要とし自治体から見て持ち出しばかりが多い世代が地方に残り、バリバリ働いてどんどん税金を納めてくれる現役世代ばかりが大都市圏に集まると言う話になりはしないかと言うことです。
特に必ず親とセットで生活しているはずの小児世代とは違って、高齢者はその後の人生で各種社会保障サービスや医療・介護リソースを消費するばかりの立場とも言えますから、よほどにきちんとした受け入れ側への見返りが用意されない限り、大都市圏側にばかりメリットがある老人押しつけ政策にしかならないのではないか?と言う懸念はあるでしょう。

この点では受け入れ高齢者に関わる社会保障コストを都市部が負担すべきだとか、看取りを行った自治体には相続税なりから一定程度を還元するだとか様々なアイデアはありそうなんですが、そもそも国内での人口移動は国民の自由である以上、ある年齢層にだけ特別な制限なりルールを設けると言うのも妙な話だと言うことにもなりかねません。
より実際的な方法論としては経済の原則に従って、介護コストなども供給が不足している地域ではより高くなるように設定しておけば、自然とコストの安い地域に自主的な人口移動が起きる可能性がありますし、実際欧州などでは国境を越えて介護費用が高い国から安い国へ老人の移動が起こっているとも言います(これも当然ながら歓迎する声もある一方で、問題視する声もあるようですが)。
いずれにせよ高齢者受け入れは介護のみならず連携する医療リソースも欠かせないはずですが、地方では都心部並みの医療は望めないのもまた事実で、田舎に老人を輸出するならその地域なりの医療で構わないと言う同意を取り付けてからでないとトラブルの元になるかも知れませんね。

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2015年6月 7日 (日)

今日のぐり:「ラーメンハウス喜楽園(きらくえん)」

以前にイヌが出演する自動車メーカーのCMがあまりに泣けると話題になったことがありましたが、こちら同じくイヌの登場するCMがまたしても涙腺に刺激が強すぎると話題になっています。

病気で倒れたおじいさんを待ち続ける忠犬!意外な結末に思わず涙する(2015年5月26日ペットファン)

家でも外でも、どこへ行くにもいつも飼い主のおじいさんと一緒の愛犬。
ある日、自宅で頭痛をうったえおじいさんは病院へと運ばれてしまいます。おじいさんのあとを追う犬。しかし、病院の中へと入れてもらうことは出来ずに外でおじいさんの帰りを待ちます。
晴れの日も、雨の日も。
心配そうに…

そしてついにおじいさんが帰ってきます!
しかし、思わぬ結末に涙が込み上げてきます。
ぜひ動画でご覧になってみてください。
FUNDACION ARGENTINA DE TRASPLANTE HEPATICO “The Man and the Dog”
(略)

いったいこれが何のCMかと言うことに気付かないと最後の意味が分かりにくいかも知れませんが、念のために申し添えておきますとCMを制作したのはアルゼンチンの肝移植財団なのだそうです。
本日は忠犬ハチ公ばりにただひたすら待ち続けたイヌに敬意を表して、世界中からあまりにもドラマチック過ぎる奇跡的な瞬間を捉えたニュースを紹介してみますが、まずは誰が考えてもこちらの話題でしょう。

東大5年ぶりに勝った 連敗「94」でストップ(2015年5月23日日刊スポーツ)

<東京6大学野球:東大6-4法大>◇第7週第1日◇23日◇神宮

 東大がついに連敗を止めた。法大に延長戦の末6-4で勝ち、ワースト記録を更新していた連敗は「94」で止まった。

 2回に1点を先制されたが、5回1死二、三塁から暴投で2者生還し逆転。その後7回に3点を奪われ2-4。勝負あったかに思われたが8回に犠飛と三塁打で同点。4-4で延長戦に入り、10回表1死二、三塁から内野ゴロが連続して野選となり2点を勝ち越した。

 9シーズン、5年ぶりの白星だ。

 東大が前回勝ったのは10年秋、10月2日の早大1回戦。4-2で勝ち、早大先発・斎藤佑樹(現日本ハム)に黒星を付けた。しかし直後から大型連敗がスタート。13年春には元巨人エースの桑田真澄氏を特別コーチに招き指導をうけた。14年春には150キロ速球を投げる最新マシンを導入して打撃強化。しかしその14年春にワースト記録を更新する71連敗を喫し、その後も連敗が続き、今年3月に卒業した4年生は入学後1度も勝利を味わうことなく赤門を去った。

 ただ、今春はここまで2桁失点がなく、先の立大1回戦は4-5で惜敗。1点差惜敗は13年秋慶大戦以来で浜田監督は「いけると思った。投手がダメな時に野手が助ける。チームらしくなってきた」と手応えを感じ取っていた。

何とも待ち望んだ勝利と言うものですが、京大野球部もプロ選手が登場したりと活躍しているわけですから、東大もやってやれないことはない理屈なんでしょうけれどもね。
こちらの場合あまりあって欲しくはない類のものではあるのですが、レアであることにかけては勝るとも劣らないと言うニュースです。

住職の車 参列者に突っ込み9人けが 千葉(2015年6月1日NHK)

1日昼前、千葉県松戸市の葬儀場で、葬儀を執り行った寺の住職が運転する乗用車が参列者に突っ込んで男女9人が重軽傷を負いました。
1日午前11時すぎ、松戸市日暮の葬儀場、「セレモ八柱駅北口ホール」で、霊きゅう車を見送ろうと玄関付近に集まっていた葬儀の参列者に、乗用車が突っ込みました。車はそのまま建物の中に入り、壁に衝突して止まったということです。
この事故で、男女9人がけがをして病院に運ばれ、このうち、79歳と75歳の女性、それに74歳の男性の合わせて3人がいずれも足の骨を折る重傷です。
警察によりますと、乗用車を運転していたのは葬儀を執り行った74歳の寺の住職で、火葬場に向かう霊きゅう車に続こうと、車に乗り込んだということです。
警察の調べに対して住職は、「霊きゅう車の後ろに車をつけようとして、アクセルとブレーキを踏み間違えた」などと話しているということです。
警察が、事故の詳しい状況や原因を調べています。

これでさらに新たな葬儀の必要性でも発生していれば何たるマッチポンプと言われかねないところなんですが、間一髪そこまでの事態に至らず幸いだったと言うべきでしょうか。
同じく自動車事故絡みのニュースなんですが、こちらも滅多にない経験をしたと言うべきなんでしょうか。

英軍戦車、ドイツで車両押しつぶす=けが人なし(2015年6月3日NNA.EU)

ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州アウグストドルフ(Augustdorf)で1日午前9時(現地時間)ごろ、運転練習中の女性(18)の乗用車と英軍の戦車が衝突した。戦車は乗用車のボンネットに乗り上げた状態で停止。女性にけがはなかった。

地元警察によると、女性はハンドル操作を誤って戦車のキャタピラ前に飛び出した。気付いた戦車が急ブレーキを踏んだが間に合わず、重さ62トンの「チャレンジャー2」がトヨタ製ハッチバック車を押しつぶした。被害額は1万2,000ユーロに上る見込みだが、警察は戦車を運転していた兵士(24)に過失はなかったとみている。

アウグストドルフは英軍などが使用する軍事演習場を擁し、事故が発生した道路は戦車の往来が多いことから「タンク・リングロード」と呼ばれている。英軍の戦車が絡む事故は今年に入って2例目で、2月には同州パーダーボルン(Paderborn)で制御不能となった戦車がドイツ人老夫婦の庭に突っ込む事故が起きている。

元記事の画像を参照頂ければ状況は一目瞭然なんですが、日本でも千歳界隈ではこんなことが起こり得るとか起こり得ないとか言う話ですよね。
銃で胸を撃たれたと言えばまず確実に死を覚悟する状況ですが、こちらそこから奇跡の生還を果たした人のニュースです。

iPhone5cで命拾い!銃で撃たれた男性が生還(2015年5月23日iPhoneマニア)

自宅近くで銃で撃たれた男性が、iPhone5cのおかげで奇跡的に一命を取り留めました。英ITVが現地時間22日、報じました。

事件は英北西部のチェシャー州で起きました。被害者の男性(25)が、自分が住むアパート一帯への送水栓をふざけて切っていたティーンエイジャーの集団に近づき注意したところ、口論となり、そのうちのひとりライアン・ダガン被告(19)が突如ショットガンを抜き、男性めがけて発射したのです。

チェシャー警察によれば、まともに当たっていれば、男性は間違いなく絶命していたそうです。幸いにも銃弾は、ポケットに入っていたiPhone5cに命中。被害者は腹部に重傷を負ったものの、何とか自力で自宅まで戻り、救急車を呼ぶことができました。

男性は現在も治療を受けていますが、命に別状はないとのことです。

そもそも自分が悪いことをしておきながら、それを注意されて相手を銃で撃つなんて信じられません。被害者の男性の1日も早い快復を祈ります。

元記事には弾を受けたiphone5cの写真があってこうなるものかと感じさせるのですが、しかし5cの筐体と言えば樹脂製だったと思うのですが案外丈夫なものなのですね。
野生動物の中でもクマと言えば日本でもたびたび悲惨な事件を起こす凶暴な生き物と言うイメージですが、そのクマが人間に助けられると言う珍しい事件があったそうです。

180キロのクマ、水に溺れていたところを生物学者に助けられる(2015年5月18日秒刊サンデー)

クマといえば、泳いでいるサーモンを豪快に捕獲してというイメージで、溺れるなんて想像がつかないですよね。もし、あの大きなクマが目の前で溺れていたら・・・。アメリカ・フロリダ州からのニュースによると、海で溺れていた体重180キロを超えるクマを勇敢に助け出した一人の男性がいるというのです。果たして彼の正体は?

ー溺れていたのは体重180kgのクマ!
さて、どうしてこのクマは溺れていたのでしょうか?アメリカ・フロリダ州の住宅街に迷い込んでしまったクマを森へ帰してあげようという計画の途中に事件は起きたのです。野生のクマをそのまま運んで行くのは危険ということで、麻酔銃で眠らせてから森へ連れて行くことにしたのですが、大きすぎるクマには麻酔が足りなかったらしく、麻酔が効き出す前に、逃げ出してしまったのです。クマが向かった先はなんと海。このまま麻酔が効き始めたら溺れてしまうことは間違いありません。すると1人の男性が服を脱ぎ始め、安全策も取らないまま、体ひとつで海へと飛び込んで行ったというのです。

ークマを助け出したのは生物学者のアダム・ワーウィックさん
画像を見てもわかるように、なかなかの体格の男性です。この方の職業は生物学者。麻酔銃を打たれていたとは言え、相手は180kgを超える大きなクマ。しかも住宅街に迷い込み、ゴミをあさっていたのだから、お腹も空いていたはずです。麻酔銃で打たれてビックリして、海に逃げていったわけですから、よく考えればかなり怖い状況です。生物学者とは言え、体ひとつで飛び込んでいくというのは、かなり危険なはずです。しかし、幸いにもクマは暴れだすことはなく、むしろ、溺れて大量の水を飲んでしまい、グッタリしていたようで、アダムさんに抱えられるように救出されたのでした。

ー助け出されたクマは無事に森へ
大量に飲んでしまった水を吐き出したクマは、陸まで連れてこられると、重機を使ってすくい上げられ、そして、トラックの荷台へと戻されました。画像を見る限り、麻酔の影響なのか、助けられた安心感からなのか、暴れる様子はなかったようです。トラックの荷台に乗せられたクマを優しくなでるアダムさん。危険だとは思ったけれど、溺れている姿を見たら、思わず助けなきゃと思って体が先に動いていたとコメントしています。勇敢な人ですよね。助けられたクマは、無事に森へと帰っていったそうです。今ではすっかり元気になり、ケガ人も出なかったということでめでたし、めでたしといったところです。

これまた元記事の画像を参照いただきたいと思いますが、しかし溺れたクマの場合も背後から仰向けにして引っ張っていくものなのですね。
最後に取り上げますのはこれまたブリからのニュースなのですが、事実だとすれば大変貴重な映像となるのは間違いありません。

ティンカーベルか? 英国で妖精の写真が撮られる(2015年5月3日オカルトニュース)

これはティンカーベルなのでしょうか? 英国で「妖精」の写真が撮影されました。撮影したのは、ノーサンプトンシャー州トウスター在住、二児の母リサ・ワイルドグースさん(42歳)です。

ワイルドグースさんは近所の森の近くできれいな花の写真を撮っていました。そして家に戻り、撮影した写真をパソコンに取り込んでいたとき、羽の生えた小さな人型のものが写り込んでいることに気づいたということです。

妖精はブルーベルの花のそばでホバリングしているようです。髪の色はブロンドで、小さなズボンと靴をはいているようにも見えます。

ティンカーベルキタ~(AA略)と言うところなんですが、さて皆さんはどのようにお考えになったでしょうかね?
まあしかし一般論として見えないものがみえてくるというのは大変な問題ですが、何しろブリと言えばティンカーベルの本家ですからもしかすると…でしょうか。


今日のぐり:「ラーメンハウス喜楽園(きらくえん)」

倉敷市南部の水島地区の中心部付近に位置するこちらのお店、昔ながらの町のラーメン中華の店と言うところですかね。
地元では安くて量が多いと人気の老舗有名店ですが、ちょうど食事時とあって店内は満席の混雑ぶりでした。

日替わりの定食を頼んでみましたが、飯にラーメン、その日のおかずと言う盛りだくさんの内容で、カロリーもかなりなもののようです。
見ていて面白いのはそのおかずなんですが、メニュー的にラーメンハウスと言うよりも定食屋っぽいと言うのでしょうか、この辺りは長年地域で愛用されているゆえんなのでしょう。
この日のメインの鶏の南蛮漬けは熱々の揚げたてで、チキン南蛮と言うよりまさしく南蛮漬けと言った体ですが、揚げ物ながら後口もさっぱりで悪くはないですし、副菜のほうれん草おひたしも普通のお惣菜と言うところです。
見た目もごくオーソドックスなラーメンは昔ながらの…と言う感じのあっさり醤油ですが、意外にトッピングは豊富でいわゆるラーメンライス的に食べる分にも不自由しなさそうな感じですかね。

こちらは一昔前に一度来たことがあって、そのころよりはさすがに値上げしてるようなんですがいまだに大衆的な価格で、何しろこれで600円ちょっとですから安く腹を膨らませたい分には効果満点ですよね。
設備は見た目通り昔ながらの…感いっぱいなのは仕方ないとして、接遇の方はさすがに手慣れたもので要領よくお客をさばいていますから繁忙期にもさほど待たされることはなさそうです。
しかしこの定食もボリューム的にはかなりのものだと思うのですが、見ていますと大盛り焼き飯が一番人気っぽい様子で、ここではラーメン+焼き飯が鉄板だと聞くのですが、さすがによほど空腹状態でなければ厳しそうなんですけれどもね。

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2015年6月 6日 (土)

年金機構の流出事件に見えた巨大なセキュリティーホールの存在

先日はウィルス感染によって日本年金機構から大量の個人情報が流出したことが大きな話題になりましたが、その実態が明らかになってくるにつれてあまりにお粗末な同機構のセキュリティー対策の実態の方に批判の矛先が移ってきています。

「あれほど、差出人不明メールは開封するな、と警告があったのに、、、」 職員も自ら認める、日本年金機構のお粗末すぎ(2015年6月2日J-CASTニュース)

   日本年金機構が125万件の個人情報を流出させた問題で、同機構の管理のずさんさが明らかになってきた。
(略)
   同機構によると、ウイルスメールによる感染が最初に確認されたのは2015年5月8日。職員の1人が、件名に「厚生年金基金制度の見直し(試案)」などと書かれ、業務に関連することを装ったメールの添付ファイルを開いたため、ウイルスに感染した。
   職員が使用していたパソコンは、個人情報を管理するサーバーに接続しているものだったため、ただちにネットワークから切り離した。さらに全職員に注意喚起を行った。
   しかし18日までに、ほかの職員にもウイルスメールが届き、感染はさらに拡大。同機構は19日になってようやく警視庁に相談。28日に個人情報の流出があったと連絡を受け、さらに4日がたった6月1日にようやく公表した。

   一連の経緯から透けて見えるのは、同機構の管理の甘さや危機感のなさだ。
   流出した125万件のうち、55万件の個人情報にはパスワードが設定されていなかった。担当職員であれば誰でも簡単にアクセスができ、内規違反にあたる状態が放置されていたことになる。そもそも個人情報を管理するサーバーに接続するパソコンを、メール処理に使うなど外部ネットワークにつなげていることは、ほかの官公庁では考えられない状況だ。
   また対応の遅さも目に付く。最初に感染が確認されたのは8日であるにもかかわらず、機構内の全パソコンを外部から遮断したのは29日になってからだ。感染が拡大していた20日間、外部ネットワークとつながっていた状況をずっと放置していたことになる。
(略)

メール件名は「給付研究委員会」(2015年6月3日デイリー)

 日本年金機構がサイバー攻撃され、個人情報約125万件が流出した問題で、送り付けられた複数のウイルスメールのうち一つは「給付研究委員会オープンセミナーのご案内」という件名で、ファイルが添付されていたことが3日、関係者への取材で分かった。送信元は複数のフリーメールアドレスだった。

 機構の業務を装った内容で、警視庁公安部は、年金関連の情報を盗み取る意図があったとみて送信元の特定を進める。フリーメールアドレスは無料で誰でも取得でき、攻撃者が送信元を隠す狙いがあった可能性が高い。

 ウイルスには中国語の書体(フォント)を使用した形跡があることも判明した。

[続報]日本年金機構、ファイル共有サーバーを5年以上前から運用(2015年6月2日日経コンピューター)

 日本年金機構から125万件の年金情報が漏洩した問題で、同機構は漏洩データを保管していたファイル共有サーバーを社会保険庁時代から恒常的に利用していたことが明らかになった。年金記録などを格納する基幹システム(社会保険オンラインシステム)から個人情報をファイル共有サーバーに移していたところ、標的型ウイルスに感染したパソコン経由で情報が漏れた(関連記事:日本年金機構にサイバー攻撃、ファイル共有サーバーから125万件の年金情報が流出)。サーバー上に個人情報を置くことは原則禁止していたという。

 同機構のシステム統括部によれば、少なくとも2010年1月の機構発足時には、基幹システムから抽出した個人情報をファイル共有サーバー内のフォルダに格納して、職員間や事務所間で共有していた。フォルダは階層構造であり、上位から、全国、ブロック、県、拠点といった順だった。今回、「あるフォルダとその配下のサブフォルダとファイルが盗まれた」(システム統括部)。サーバーには「エクセル」や「アクセス」のファイルが格納されていた。
 ルール上、個人情報をファイル共有サーバーに格納することは原則禁止という。格納する際は、アクセス制限をかけたりファイルに「人に推測されにくいパスワード」(同)を設定。さらにどんなファイルを格納したかを一覧にして総務部に報告することを課していたという。ただしパスワードの設定は職員に任せており、格納のたびに第三者が確認することはなかったようだ。今回漏れた125万件のうち、約55万件はパスワードが設定されていなかった。

 基幹システムから個人情報を抽出するには、権限のある職員による申請が必要だった。抽出データは暗号化された上でCD-ROMに格納されて職員に渡されていたという。同機構は回答を控えたが、職員がパソコンでCD-ROMの内容を復号し、ファイル共有サーバーに移していたと見られる。
 ファイル共有サーバーをどういった業務で使っていたのか。機構は具体的な業務名の回答を控えたものの、一例として、「全国レベルではなく、拠点レベルでお客様に電話したり通知したりするためのリストを作る業務に使っていた」と話す。

 一般に基幹システムのデータを現場が簡単に編集する目的で、エクセルやCSVで現場向けデータを作成・提供することは決して珍しくない。ただ、パスワードの設定を職員任せにしてチェックが行き届かない運用であったことと、ネットがつながるパソコンで個人情報のサーバーにもアクセスできるネットワーク設計だったことが重なり、今回の流出を招いた。

どこからどう突っ込んで良いものやら、とりあえずセキュリティー対策上これはやってはいけないと言うことのオンパレードと言う形で、今回の検証結果をきちんと社会全体で共有し反面教師とすべきではないかと思うのですが、おかげで近く導入予定のマイナンバー制度についても同じようなザル運用がされるのではないか?との懸念がにわかに高まっているのもまあ、仕方がないところではありますよね。
昨今では医療機関でも情報の電子化が当たり前になっていて、その分何かあれば大量に個人情報が流出してしまう危険性があるわけですが、特に医療情報と言うものは個人では何ともしようがない身体的な事情や寿命の予測等にも直結しかねないだけに、金融資産などの情報よりもよほどに流出対策を厳重にすべきであると言う意見があります。
この点で少なくとも院内ネットワークを外部ネットワークと切り離し、原則的に外からアクセスしたり情報を(少なくとも個人を特定できる形では)持ち出すことを禁止すると言った対策が取られているはずですが、それでも時折大量の個人情報を詰め込んだUSBメモリーを紛失した、などと新聞沙汰になっているのを見るにつけ、原則的に「スタッフは個人情報を流出させようとするもの」と言う性悪説で対応すべきなのかも知れません。
もちろん悪意ある個人なり組織なりはそうした対策を何とかかいくぐって個人情報を抜き取ろうとしてくるわけで、専門知識のない個人がそれに対して防衛を徹底するには相当な不便を忍んでも厳しい対策が必要なのだと言う認識が徹底されることが重要なのですが、どうも世間の大多数における情報セキュリティーの認識はそんなレベルのはるか以前に留まっているのではないか?と危惧されるこんなニュースが出ていました。

藤沢市 標的型メールの抜き打ち訓練(2015年6月2日NHK)

標的型メールによるサイバー攻撃を防ぐため、神奈川県藤沢市は、職員にテスト用の標的型メールを送る抜き打ち訓練を行っています。しかし、メールを開封してしまう職員も多いということで、市は職員用のパソコンがウイルスに感染することを前提とした対策を進めています。

藤沢市は去年1月、市の各課のIT担当職員160人に対し、抜き打ちでテスト用の標的型メールを送って訓練を行いました。メールには情報セキュリティー研修会への参加のお礼というタイトルが付けられ、研修会で配布した資料をダウンロードできるとするアドレスが記されていますが、研修会も、差出人の「情報推進課」も実在しないものでした。
しかし、対象者の4割近い60人余りがメールを開いてリンクをクリックしてしまったということで、訓練を行ったIT推進課の大高利夫課長は「啓発を行っても、実際に送られてくるメールは実在したり、実在しそうな組織名や内容が記されて送られてくるので完全に防ぐのは困難だと実感した」と話しています。

実際にリンクをクリックしてしまった職員は、「多少怪しいとは思ったが、研修会についてのメールはよく来るので開けてしまった」と話していました。
このため、藤沢市は、標的型メールによる攻撃を受け、仮に、職員のパソコンがウイルスに感染しても、被害が広がらないようにする対策を進めています。職員がメールやインターネットを使用する端末と、税や住民票などの個人情報にアクセスできる端末とを完全に分け、万が一の情報流出を防いでいます。
また、庁舎内のすべての端末で、ウイルスや不審な通信を検知する装置を導入していて、警報装置が作動した場合は、直ちにその端末の回線を引き抜く措置を取っているということです。

今回の問題を受けて、藤沢市は2日朝、職員3300人に対して改めて情報セキュリティ対策を強化するよう周知しました。大高課長は、「新しいマイナンバー制度では、日本年金機構とも情報をやり取りせねばならず、市民の不安を取り除くためにも機構には、安全対策を早急に取ってもらいたい」と話していました。

まあしかし、一応はそれなりの研修なりも受けているでしょうにこれだけ不用意に開封してしまう人が多いと言うのはどうなのかですが、日常業務の中で似たようなものが次から次へと送りつけられてくる、しかも中には本当のものもあると言うことになりますとこれはどう対処すべきなのかだし、いずれどこかでうっかり引っかかってしまうのは避けられそうにないですよね(今回はさすがにちょっとひっかかり過ぎですが)。
このウイルスメール対策と言うことは各方面で以前から啓蒙が進められていますけれども、個人レベルで見ますと感染してもさしたる症状もなければ特に不具合がないと言う場合も非情に多く、感染した自分のPCがさらに別のPCへの感染源になっていることにも気づかないままであると言う場合も少なくないようです。
それでもやはり基本中の基本として怪しい添付ファイルは開かない、特に実行ファイル形式のものは要注意などと色々に言われていますけれども、そもそも本当に業務上必要なものなども添付ファイルで送られてくる以上開くなと言うのも無理な話で、社会全体の自主的ルールとして送る側にもそれなりの配慮が望まれるような気がしますでしょうか。
そしてその上で一定確率でウイルスに感染してしまうリスクはもちろんあるわけで、それを前提としてのシステム設計が求められるのはもちろんなんですが、先の年金機構の場合を見ても結局システム的な防壁は人間の手によって形骸化されセキュリティーホールにされてしまうのだし、オレオレ詐欺などが未だにはびこっていることを見ても人間への対策が一番難しいはずですよね。

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2015年6月 5日 (金)

保険診療の縮小はまず薬局から

先日は財務省の財政制度等審議会が麻生大臣に診療報酬のマイナス改定など医療費抑制策をまとめた建議を提出したのだそうで、財政再建の視点からはまたぞろ医療費抑制時代に入りそうな勢いなんですが、この中に高齢者の医療費自己負担率軽減の特例廃止などと並んで、ジェネリック利用率目標を60%から80%に引き上げるべきだと言う話があります。
その方法論として先発品に対する保険給付額を後発品のそれと同等にすると言う制度改定を求めていて、そうなりますと一気に保険給付が外れ価格が高騰する先発品から後発品を希望する患者が激増するのかも知れませんが、一方で調剤薬局としては単純に売上金額は安くなるわけですから、経営的にはいささかのデメリットもありそうな話ですよね。
この種の政策誘導に対して自分で何とか対策が出来てしまうのが医療の采配を振るう立場にある医師(病院)の強みだとすれば、対応の自由度が少なく政策任せなところが大きいのが薬剤師(薬局)の弱みだと思うのですが、先日は塩崎厚労相がこんなコメントを出していたそうです。

塩崎大臣、薬局減少容認の考え、経済財政諮問会議(2015年5月27日医療維新)

 政府の経済財政諮問会議が5月26日に開かれた(資料は、内閣府のホームページに掲載)。この日は、民間議員が前回提示した医療制度改革について、厚生労働大臣の塩崎恭久氏が、対応を説明した(『「適正化進まない地域、報酬下げ」案も、経済財政諮問会議』を参照)。
(略)
 前回会議で、民間議員は、「医療費適正化の改革が進まない地域における診療報酬引き下げの活用」「標準外来医療費の設定」「後発医薬品の利用率目標の引き上げ」などを求めていた。塩崎厚労相は、この日、「経済再生と財政健全化を両立させる新たな社会保障政策」の方向性を提示。

 各論としては、主に以下の点を挙げた。
(1)2015年度中に「患者のための薬局ビジョンの策定」
(2)2016年度診療報酬改定時に、かかりつけ医に関する評価のさらなる検討
(3)後発医薬品使用率を2020年度末に80%以上
(4)2018年度予定の医療費適正化計画の前倒し加速化
(5)保険者やなどへのインセンティブ改革の前倒し実施

 (1)については、医薬分業の原則に伴い、「5万7000の薬局全てを患者本位のかかりつけ薬局」とする方針を示し、「24時間対応」「服薬指導、処方提案」「残約解消、重複投薬防止」などといった機能を強化する方針で、塩崎氏は「全ての薬局を残すのではない」として、薬局数の削減にも踏み込んだ。塩崎厚労相の示した資料では、門前薬局に対する評価の見直しも掲げ、「調剤報酬を抜本的に見直す」としている。ただ、民間議員からは、「薬局再編して、薬局数を半減させるなどの目標を検討してほしい」と述べるなど、調剤関連への削減圧力が強いことを伺わせた。
(略)

要するに財務省を中心とした財政再建視点での医療費削減の要望が一方にあり、その中で調剤薬局の扱いと言うものに関して強い要請が来ている、これに対して厚労相としても薬局側に対していわば厳しいものとなるだろう改革案に対して前向きな反応が出ている、そしてその結果起こるだろう薬局の経営悪化に関しても「全ての薬局を残すのではない」とまで言い切っていると言うことです。
薬局側とすれば以前に医薬分業だ、院外薬局化だと厚労相の旗振りによってわざわざ大きな初期投資をして薬局を建ててきたものを、ここに来ていわば裏切られるかのような形ですから大変な騒ぎになるだろうと予想されますけれども、もともと医薬分業推進でかなり薬局有利な診療報酬が設定されてきたこともあって、病院における医療そのものが強力に抑制されてきたのに対して薬剤費は青天井ではないかと批判もあったようです。
こうした現状を称して日医幹部が「母屋(病院・診療所)ではおかゆをすすっているのに、離れ(調剤薬局)ではすき焼きを食べている」と言ったと言う話もありましたが、財務省のみならず厚労省側からもさらに調剤薬局の経営を悪化させそうなこんな話も出ているようです。

処方薬から市販薬へ 厚労省が転用促進の新制度導入へ(2015年5月30日朝日新聞)

 医師の処方箋(せん)が必要な処方薬から、薬局などで自分で選んで買える市販薬への転用を進めようと、厚生労働省は29日、新たな制度の導入を決めた。企業に転用を促す薬の成分について、学会に提案してもらう現在の方法を改め、すべての人から要望を受け付ける仕組みにする。

 新制度は、同日開かれた厚労省の審議会で了承された。市販薬への転用促進は昨年公表された政府の成長戦略に盛り込まれていた。軽い不調は自己管理することを進めると同時に、医療機関への受診を減らして公的医療保険の支出を抑える狙いもある。

 転用を求める要望は、専門家だけでなく、消費者を含めてすべての人から受け付ける。今後立ち上げる有識者会議で、要望のあった成分について、医師の指導のない市販薬にも適しているか議論する。処方薬での使用実績や副作用の発生状況をふまえ、関係学会の意見を聞くなどして、転用の候補となる成分を公表する。転用された薬は、薬剤師との対面販売が必要な「要指導医薬品」に分類される。

この処方薬から市販薬への転用と言う話自体は近年のOTC薬普及促進と言う形で言われてきたことで、各方面から「万一何かトラブルでもあったときに誰が責任を取るんだ!」などと文句を付けられながらも今やかなり多くの処方薬が無処方でも変えるようになってきたわけですが、さらに大々的にこれを推進し健康管理は自己責任で、なるべく病院にはかからないようにと言うことを厚労相としても推進しようと言う話です。
その方針自体の是非はまた議論が大いに別れそうなところですのでここでは敢えて触れませんけれども、医薬分業推進によって各地に乱立したいわゆる門前薬局などにとって見れば今までは病院からの処方薬を袋詰めしていれば食えていたものを、市販薬を多種多様に取りそろえたドラッグストアに顧客を奪われかねない話ではありますし、その結果調剤薬局側の売り上げが減り経営的に厳しくなるのではないかとも思えます。
調剤薬局にも市販薬を揃えておけばいいじゃないかと言う話なんですが、この種の薬局はカウンターの外側は待合スペースくらいで商品を並べる場所自体存在しない場合も多いですし、そもそも病院の外来時間にあわせて朝から夕方までしか開いていない調剤薬局と、深夜どころか下手をすれば24時間営業をしている市中のドラッグストアのどちらが利便性が高いかを考えるとやはり利用者としては後者を選びたいところでしょう。

日本のように風邪をひいた、肩が痛いとすぐに病院にかかる人が多いと言うのは諸外国では必ずしも一般的ではないし、そうした初期需要にも対応している英国式の家庭医制度でも「風邪だから大人しく休んでいなさい」で終わりでろくに薬も出してくれませんが、なぜ日本ではこうまで気楽に患者が病院に受診するかと言えば、風邪薬一つ湿布一枚にしても病院で処方薬として出してもらったほうがずっと安いと言う事情があります。
医者の方でも自分の懐が痛むわけでもないので気楽に言われるまま薬を出して来たところがありますが、例えば風邪薬や湿布薬のようなものは保険診療の対象から外して全部市販薬にすべきだと言った意見も根強くあるように、何でもかんでも保険診療に抱え込んでいくやり方では医療費がかさむ一方だと言う危機感は多くの人々が共有するところですよね。
手順としてもまずは忙しくて病院になど行っていられないと言う人々にいつでも市中で多少の薬が手に入るようになれば便利だろうし、それによって症例経験を積み重ねておけばいざ保険から外すとなった場合にも「別に今まで大した問題もなかったでしょ?」と言えるだけのデータも蓄積されている計算で、要するに国としては順次手順を踏んで保険診療の縮小を図っていくつもりであると言うことのようです。
この方面では実質的な混合診療が順次拡大されていっているなど、いずれにせよ国策として何でもかんでも安く保険で診てもらえると言う時代は近い将来終わりを告げそうですが、永続的な制度の維持と言う観点からいずれにしても保険診療の縮小が避けられないのであれば、何を残して何を外すすべきなのかと言う部分を予めしっかり議論しておかないと後々大変なことになるかも知れませんよね。

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2015年6月 4日 (木)

年金問題が世代間対立を招いているそうです

先日は年金情報の大々的な流出事件が発生したと大いに話題になっていましたが、何しろ流出した125万件のうち55万件では内規を無視してパスワードすら設定されておらず、誰にでも自由に閲覧できる状態であったと言いますから、やはりセキュリティー対策の基本認識がなっていなかったと言えるかも知れませんね。
折から導入の準備が進むマイナンバー制度に向けて個人情報を扱う諸施設は一段と気を引き締めてもらいたいものですけれども、その年金に絡んだニュースとして先日こんな異色の?裁判が始まったと報じられています。

「年寄りは死ねというのか」年金減額は憲法違反ーー全国の「年金受給者」が提訴(2015年5月29日弁護士ドットコム)

老齢年金・厚生年金を受給している東京都内の526人が5月29日、国を相手取って「年金支給を減らした決定を取り消せ」と求める訴訟を、東京地裁に起こした。原告たちと弁護団は、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、「年金削減は憲法違反だ」と訴えた。裁判の原告は全日本年金者組合のメンバーが中心で、この日は全国13都府県の年金受給者約1500人が、同様の訴えを各地で一斉に起こしたという。
訴状などによると、原告側は、2012年11月に改正された年金を減額する年金関連法が、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法25条などに違反していると主張。それに基づいて2013年12月4日付けで決定された「老齢基礎・厚生年金の減額」が違法だとして、減額の決定を取り消すよう国に求めている。今後、全国45都道府県で順次訴訟を起こすという。
年金支給額は、物価や賃金の上昇・下落にともなって、増えたり減ったりするルールになっている。ただ、過去には物価が下落したにも関わらず、「特例措置」として支給額を減らさなかった時期があったため、年金の支給額は「仮に特例措置がなかった場合」と比べて多くなっていた。そこで政府は2012年の法改正で、2013年~2015年の3年間で2.5%、計画的に支給額を減額することにした。

●年金制度は「不安だらけ」と原告たち

原告代理人の加藤健次弁護士は記者会見で、次のように訴えた。
「医療・介護制度の変化や、消費税増税などによって、高齢者の暮らしは厳しくなっています。そんな中、さらに年金支給額を引き下げて、最低限の文化的な生活が保障されていると言えるのでしょうか。これでは現役世代、若い世代からみても、老後の展望が持てません。社会保障制度全体をどうするのかを、この裁判を通じて議論していきたいと思っています」
原告団長で、全日本年金者組合・東京都本部執行委員長の金子民夫さん(77)のもとには「もう節約なんてギリギリだ。本当にもやしばかり食べなければいけないのでしょうか」「収入は年金だけだ、支出は増える一方だ。なぜ年金を下げる。年寄りは死ねというのか」といった声が届いているという。金子さんは「年金引き下げの流れにストップをかけたい」と強調していた。
ひとこと言いたいと会見に臨んだ原告の斎藤美恵子さん(68)は「年金生活者としては、物価が上がっちゃ困るんです。現役世代は良いかもしれないが、なんでも十把一絡げに制度を決める政府には怒りを感じます」「年金手取りは月額6万円ちょっと。幸いなことにお家賃を払わなくていい状況に住んでいますが、それでも6万は大変な額だと思います」と話していた。
同じく原告の小林静子さん(73)は「年金は下がる一方、物価は上がる一方。消費税が8%になったときも、これまで余っていた2万円が食費で消えていっちゃった。高齢者は、食費の他に切り詰めるところはありませんよね? お付き合いも、大事な方とのお付き合いは、切り詰めるわけにはいきません。年金制度は不安だらけです。若い人たちに『年寄りは年金で食べていけるからいい』なんて、安直なことを言われたとき、すっごく腹がたちましたね。若い人だってこれから先、自分たちの年金生活をよく考えてもらいたいと思います」と訴えていた。
原告代理人の黒岩哲彦弁護士は「憲法25条2項には、『国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない』と書いてあります。あいつぐ年金支給額の引き下げは、憲法に違反します。裁判では、このことを真っ正面から問うていきたい」と意気込みを語った。

まあ余っていた2万円の年金はどうしていたんだとか、家賃負担もなく月6万円まるまる使える環境で、医療費などもタダ同然での6万円の手取りが多いのか少ないのか、今の現役世代からは色々と意見もありそうですけれども、ともかくも世の中お金の不満は幾つになっても尽きないと言うことでしょうね。
もともと制度として決まっているルールを特例で緩和してきたわけですから、ただでさえ年金財政が逼迫してきた折に特例の是正措置を決めるのは仕方がないことなのかなとも思うのですが、この健康で文化的な最低限度の生活と言うフレーズは昨今生活保護関連でもたびたび話題になっているように、果たしてどのレベルがそれに相当するものなのか?としばしば議論になりますよね。
お年寄りが食べるものも済むところもなく橋の下で日々残飯をあさりながら暮らしている、となれば誰にとっても寝覚めは悪いでしょうが、実際にはいやしくも年金受給資格のある方々でそういう生活をしている人もまずいないはずで、とりあえず飢えずに食べていけるのであればそれ以上の贅沢は自分の財布から金を出してやれば?と言う考え方ももっともだと思います。
特に日本の年金システムは自分達が積み上げたお金を受け取るのではなく、現在の高齢者を現役の若い世代が養うと言う制度になっているわけですから、当然ながらワープア化著しくギリギリの生活を強いられながら一生懸命社会保障のコストを負担している現役世代からは快く受け取られる話ではないのでしょう、こんな声が上がっていると言います。

「では若者に死ねと言うのか」 高齢者の「年金減額取り消し訴訟」に現役世代が猛反発(2015年6月1日J-CASTニュース)

   2.5%引き下げられた年金減額の措置を違憲だとして、全国の年金受給者が国の決定取り消しを求めた訴訟に波紋が広がっている
   原告によると、生活の苦しい受給者から「年寄りは死ねと言うのか」という声が届いているというが、今の高齢者よりも負担率がはるかに高い現役世代からは「若者に死ねっていうんだな」と反発は大きい

「なぜ年金を下げる。年寄りは死ねというのか」

   2015年5月29日、全国の年金受給者約1500人が国を相手取り、2013年10月から15年4月にかけて段階的に2.5%行われた減額措置は違憲だとして決定を取り消すよう訴訟を起こした。
   公的年金は物価の変動によって給付額が変わる仕組みだ。今回減額が行われたのは、00年~02年度に物価が下落したが、景気対策のために給付額が据え置かれて水準より2.5%高くなっていた分を調整するためだ。
   訴状などによると原告は、この減額措置を「合理性を欠くもの」とし、「健康で文化的な最低限の生活」を保障する憲法25条に違反すると主張している。
(略)
   しかし、こうした年金受給者の訴えに対し、年金制度を支える現役世代からの反発は大きい。背景には、現役世代は今の高齢者に比べて、負担した分の割に支給額が少なくなることへの不平感があるようだ。
   厚労相の諮問機関、社会保障審議会が12年に発表した資料によると、20~60歳に厚生年金に加入したモデルケースの場合、1940年生まれは保険料の負担額が900万円で、年金給付額は4300万円(65歳以降分のみ)。しかし1980年生まれは負担額が4500万円で、給付額は1億400万円。負担と給付の割合を見ると、40年生まれが約4.8倍の給付を受け取るのに対し、80年生まれは2.3倍ほどしか受け取れない

高齢者を支える現役世代の負担はどんどん大きくなる

   これは日本の年金が、現役世代が収めた保険料をその時の受給者への支払いにあてる賦課方式を取っているからだ。
   少子高齢化が止まらない限り、高齢者を支える現役世代の負担はどんどん大きくなる。2000年ごろは現役世代4人で高齢者1人を支えていたが、08年ごろから3人で、22年には2人で支えなければならない計算だ。
   全日本年金者組合など原告側は「若い人も高齢者も安心できる年金制度を!」と書かれた横断幕を掲げたり、会見で「若い人たちだってこれから先、自分たちの年金生活をよく考えてもらいたいと思います」と述べたりするなど、あくまで世代を超えて協力することを訴えている
   しかし、訴訟に対し現役世代の反応は冷たい。ツイッターなどネットでは、
    「今まで散々若者から色々な富を搾取してきたジジババ共が『もっと金よこせ搾取しろ』だってよ」
    「払った金額よりも多額を受け取っておきながらこの厚顔無恥ぶり
という不満が目立った。また会見で出たフレーズ「年寄りは死ねというのか」をやゆして、
    「えっ?若者に死ねって言ってるの?
    「『では若者に死ねと言うのか』と返したくなる
という声もあった。

もちろん世代間対立など不毛としか言いようがない話なんですが、生活に困窮し日々休む暇もなく働いても将来に希望も何も望めない現役世代にとって見れば、一日中暇そうにしているくせにそのうえ現役世代の空っぽの財布まで当てにして贅沢な暮らしをしたい老人達がどのように見えているか、多少の想像力を果たせるまでもなく判りそうな気はするでしょうか。
好景気の時代に生きてきた御老人方には自分で貯蓄をする余裕もあったのだろうし、老後に備えて計画的にやってこなかったツケを他人に依存されても困ると言う意見ももっともだとも感じるのですが、一方で彼ら高齢者の若い時代は未だ世代間での家族内助け合いが当たり前と言う時代でもあったわけで、日々の生活コストは若い者の財布に任せておけば年金はまるまる「文化的な生活」に使えると言う見込みもあったのでしょう。
もちろん高齢者で生活のための収入を得る手段がない、そして事実資産もなければ年金も足りないと言うことになればこれは各種社会保障による支援の対象になりますけれども、逆に言えば全国何千万の高齢者の中でこれでは生きていけないと言うほど年金だけに頼り切った方々はそこまで多くはないと言うことなのだろうし、そうした方々を基準に年金支給額全体を左右させるのが妥当なのかどうかです。

今の高齢者世代と言いますと未だ勤労は美徳と言う考え方が一般的だった世代だと思われますが、当時よく言われていた言葉として「働かざる者食うべからず」と言う言葉があったのだそうで、そうした価値観の中で生きてきたはずの彼らが自らの現状をどう感じているのかです。
現実的に現役世代のこれ以上の負担増は不可能である以上、仮に給付増加を目指すとなればどこかからお金をかき集めてくるしかありませんが、その場合今さら輸出産業を奨励して世界を相手にお金を稼ぐと言う時代ではなくなっている以上、国内で眠っているお金を掘り起こしてくるということも必要になってきそうではありますね。
その点で今の高齢者は全世代を通じ最大の資産を抱え込んでいる上に、時間や暇も有り余っていて他人のために何かをしたり出来るだけの余裕があるのですから、わざわざ多忙な現役世代の助けを借りずとも高齢者同士で相互支援すると言うシステムを構築するやり方もあるだろうし、そのための協力の訴えであれば現役世代の理解も共感もずっと容易く得られていたかも知れません。

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2015年6月 3日 (水)

若者の文系離れが進む?

このところすっかりひと頃の期待感が喪失している法科大学院ですが、先日山梨学院大ではついに学生も集まらず募集停止を決めたと言うニュースが出ていました。

入学者6人、補助金4割減で募集停止(2015年6月2日読売新聞)

 山梨学院大(甲府市)は1日、記者会見を開き、2016年度から法科大学院の学生募集を停止することを決めたことについて、停止に至る経緯や理由を説明した。

 同大の法科大学院は2004年4月に発足。現行の司法試験で14年度までに80人の合格者を出し、累計の合格率は21・86%と、廃止や募集停止した法科大学院も含めた全国74校中23位の実績を持つ。

 しかし、全国の法科大学院の受験者数が減少する中、都内の一部の有名校に集中したことで同大の志願者数が減少し、15年度には定員15に対し、入学者6人にとどまった。

 文部科学省の補助金も、入学者数の定員に対する割合や合格率などに応じて算定されることになったため、同大の15年度の補助金はこれまでより4割削減された。

 同大で会見した荒牧重人・同大大学院法務研究科長は「入学者数が1けたでは学生同士が学び合うことができない。今後も状況が好転する見込みがなく、募集停止を決めた」と説明した。現在、在籍する28人が修了するまでは法科大学院を存続するという。

 同大法科大学院の1期生で、現在、甲府市内で弁護士として活動する落合圭子さんは「社会人や学生など様々な肩書の同級生と議論しながら法律をゼロから学べた。入学者が6人ではそれも難しく、募集停止はやむを得ないが、1人1人に行き届いた教育をしてくれたので残念だ」と話した。

注目頂きたいのはこの山梨学院大の法科大学院が高い学費を取りながら合格者の一人も出ず、学費詐欺ではないかと言われるような底辺と呼ばれるものではなく、中位クラスの実績を誇ってきたと言う点ではないかと思うのですが、それでも学生が集まらず補助金も減額されてしまうと言うのですから若者の法科大学院離れはかなり深刻な状況になってきていると言えそうですよね。
法学部と言うところはかつては文系学部の最高峰、知的エリートの集う場所で、ことにどちらかと言えば実際の職業と直接には関わり合いの乏しい文系学部の中では例外的に将来の進路に直結する職業訓練的な要素の色濃かったところでもあるのですが、昨今では日本一の東大においてすら就職等で法学部の地位低下が言われ、最難関の労力に見合わないと学生の文Ⅰ離れを危惧する声もあると聞きます。
昨今の学生優位の売り手市場でこのあたりも少しは改善しているのかも知れませんが、長期的に見ると人口減少と特に若年人口の不足と言っていい時代にあって若年労働者をどこにどう配分するかは国策としても重要なことであると言う認識があるのでしょうか、先日こんなニュースが出てきています。

国立大学の人文系学部・大学院、規模縮小へ転換 文科省が素案提示(2015年5月28日産経新聞)

 文部科学省は27日、全国の国立大学に対して人文社会科学や教員養成の学部・大学院の規模縮小や統廃合などを要請する通知素案を示した。理系強化に重点を置いた政府の成長戦略に沿った学部・大学院の再編を促し、国立大の機能強化を図るのが狙いで、6月上旬に文科相名で大学側へ通知する。

 素案は、同日開かれた国立大の評価手法などを審議する有識者会議で提示された。国立大は6年ごとに中期目標を文科省に提出しなければならず、各大学は通知を参考に6月末に中期目標を文科省へ提出する。

 通知素案では、少子化による18歳人口の減少などを背景として、教員養成や人文社会科学などの学部・大学院について「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むように努めることとする」と明記された。

 政府の試算では、平成3年に207万人だった18歳人口が42年に101万人まで半減する。文科省は少子化に伴う定員縮小の影響を指摘したほか、文系の学部・大学院の人材育成方針が明確でないなどの理由もあげた。

 組織再編の動きはすでに出ている。弘前大(青森県)は来年4月から人文学部(3課程)を人文社会科学部(2課程)に再編。教育学部でも、教員免許を取得せず芸術や体育を学ぶ1課程を廃止し、2学部で定員を計150人減らす。一方、理系の理工学部と農学生命科学部の定員は90人増やす。

 今後、こうした形で他の大学でも、地域性や得意分野に重点を置いた文系学部の廃止や統合を進めることになる見通しだ。

 素案は、実績にばらつきがある法科大学院について、定員規模の適正化や組織の廃止も含めた検討も求めた。

ちなみに学生全体で見ると文系と理系はおおよそ2対1の比率で文系がずっと多いのだそうで、このあたりは何をどう分類するかによって多少数字も変わってくるようですけれども、学生全体が減ってくる中で特定分野の専門職として需要がある理系に比べると、文系と言うと全体的には総合職的な特定の色がないイメージはあるでしょうかね。
逆に専門の色に染まらず何にでも応用出来るのが文系の強みと言う言い方も出来るのでしょうか、文系よりも理系の方が収入面で有利と言う話もある一方で出世や社長の数では文系が圧倒的に有利とも言い、要するにどちらが得とも損とも言い切れるほどの明確な有利不利はなさそうだと言うのが正直なところでしょう。
ただ高収入専門職の代表格として文系では弁護士、理系では医師と言うものがいわば二大巨頭として君臨してきたわけですが、そのうち弁護士に関しては法科大学院による供給過剰で年収が一気に半分以下に下落したと言う声もあるくらいで、30年来横ばいが続いてきた年収が医療崩壊だ何だと言われる中でようやく少し上向いてきたとも言う医師とはやや差がついてきた印象もあります。
そもそも文系だ、理系だと言っても入試の試験科目の違いくらいで、それも昨今では個性重視の入試導入で区分けも怪しくなってきているわけですが、すでに優秀な学生は文系理系の区別もなく医学部を目指すと言う傾向が出てきているとも言いますから、いずれ文系理系比率も逆転してくるようなことになるのかも知れないですね。

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2015年6月 2日 (火)

未だ遅々として進まない医療現場の労働環境改善

表題の通り医療現場の労働環境改善と言うことに関連して、先日こんな記事が出ていましたけれども、日医などよりよほどこの方面で熱心な活動を続けている日看協の自画自賛を抜きにして考えれば、残念ながら未だに画期的な成果を挙げているとまでは言えないように見えるのは自分だけでしょうか。

看護師の勤務体制、「見直し進む」- ガイドラインの基準と比較、日看協が調査(2015年5月29日CBニュース)

 日本看護協会(日看協)は、2013年に公表した「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を受け、医療機関がどの程度、勤務環境の改善を進めているかを調査した結果を公表した。調査は今回で2回目。日看協では、「実施状況には病院の勤務体制(3交代制、2交代制)による特徴があることや、医療現場においてガイドラインに沿った勤務体制見直しの取り組みが進んでいることなどが明らかになった」としている。【坂本朝子】

 調査は昨年11月28日から12月26日まで、全国の8563病院を対象に郵送で実施。回答を得たのは3213病院で、勤務体制の内訳は、「3交代制(変則含む)」21.7%、「2交代制(変則含む)」57.4%、「3交代制と2交代制のミックス」19.2%などだった。ガイドラインでは、勤務編成の考え方として、「勤務間隔を11時間以上空ける」「勤務の拘束時間は13時間以内」など11項目で基準が示されている。日看協では、各施設で優先順位を決定し、可能な範囲で進めるように呼び掛けている。

 3交代制勤務の病院では、11項目中10項目で前年度より実施割合が増加。「勤務の拘束時間は13時間以内」「夜勤の連続回数は2連続まで」「夜勤・交代制勤務者の早出の始業時刻は7時より前を避ける」の3項目では8割を超える病院で実施していた。一方で、「夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定」は17.2%(前年度比9.2ポイント減)で最も実施率が低かった。また、「正循環の交代周期(3交代で「日勤」→「準夜勤」→「深夜勤」のように勤務開始時刻を遅くしていく方法)」も23.3%(前年度比4.5ポイント増)と、増加はしていたが依然として実施困難な様子がうかがえた。

 2交代制勤務の病院では、前年度より全項目で増加。ほとんどの項目で実施割合が6割を超え、「勤務間隔を11時間以上空ける」「1回の夜勤後にはおおむね24時間以上の休息を確保」などでは9割を超えていた。しかし、「勤務の拘束時間は13時間以内」の項目では19.6%の病院しか実施しておらず、47.1%の病院で「取り組む予定はない」と回答。2交代制の病院では多くが16-17時間の夜勤を実施していることから、日看協では「看護体制だけでなく労務管理全般にかかわる制度変更を伴う夜勤時間短縮には容易に着手できない実情がうかがえる」としている。

 日看協は27日、厚生労働省に16年度の診療報酬改定に関する要望書を提出した。その中でも、看護職員の夜勤・交代制勤務の負担を軽減する必要性を訴え、「正循環の交代周期」や「勤務間隔を11時間以上空ける」など勤務体制の改善に取り組む病院を評価するよう求めている。

看護の場合交替勤務制の導入が進んでいて、しかも昨今では休み時間が長くなる二交代制が次第に増えてきていると言いますが、どのようなシステムがいいのかと言う議論はさておき、やはり確実な休憩時間を確保した交代勤務を実施するにはある程度のマンパワー集約が必要になるのでしょうし、この点では大病院の方が小病院よりも有利になるのでは?と言う気もします。
ひるがえって医師の場合には多くの場合大病院の方が労働環境が厳しいと言う傾向があると思いますが、その理由として患者がより多く集中し高度で手間暇がかかる医療を担当しているにも関わらず、交替勤務制ではなく主治医制を維持していることで一人の医師が長時間勤務で現場を支えなければならないからだと言えそうですよね。
ただもともとの人数の多い看護師と違って、医師が交替勤務制を導入するとなれば今よりもさらに多くの人材を集中しなければやっていられない計算ですが、例えば病院での夜勤、当直に地域の開業医が参加したりと言った方法論を採っているところもあるようですし、救急や麻酔科と言った診療科では比較的交替勤務制が導入されたケースも増えてきてはいるようです。
いずれにしてもこれらは医師だけの都合で実施できるものではなく、医師の派遣を行っている大学医局の意向や病院側の意志も複合的に関係している問題ですが、興味深いのは昨今いわゆるブラック企業問題が世間的な注目を集め国もようやく是正に乗り出すと言われる中で、歴史的伝統的にほぼ全部がブラックと言ってもいい労働環境を誇ってきた病院の扱いがどうなっていくのかです。

「ブラック病院」も公表対象、指導段階、厚労省見解「対象とならない医療機関はないのでは」(2015年5月28日医療維新)

 厚生労働省は5月中旬から、違法な長時間労働の問題のある、いわゆる「ブラック企業」について、書類送検前の是正指導段階から公表する措置を始めた。厚労省労働基準局労働基準監督課は、m3.comの取材に対して、大学病院や国立病院機構の病院も含めて「病院や診療所も対象」「対象とならない医療機関はないとみられる」との見解。ただ、「複数の都道府県に事業所を有している」「中小企業に該当しない」「概ね1年程度の期間に3カ所以上の以上での事実がある」などの条件が付いているため、実際に公表に至るかは未知数だ。

 指導段階での公表に至る場合、以下の5つの条件を全て満たす必要がある。
(1)複数の都道府県に事業場を有していて、資本金5000万円超で、かつ常時雇用人数(非常勤なども含む)が101人以上であること
(2)労働時間(労働基準法32条)、休日(同35条)、割増賃金(同37条)に係る労働基準法違反が認められること
(3)1カ月当たりの時間外・休日労働時間が100時間を超えていること
(4)1カ所の事業場で、10人以上、もしくは4分の1以上の労働者に、(2)と(3)が認められること
(5)概ね1年程度の期間に3カ所以上の事業場で、(2)と(3)が認められること

 実質的には、(1)の条件で、小規模な医療機関は対象外となるほか、施設の立地範囲が限られる市町村立や都道府県立は対象外となるとみられる。また、(5)のため、3つ以上の経営施設がなければ、指導段階での公表はされないこととなる。ただ、書類送検された場合は、公表される可能性が残る。
 「公表に至るハードルが高い」との指摘があることについて、労働基準監督課は、「目的はあくまで指導によってトップの意識を変えること。公表は経営などに影響を与える可能性があり、慎重であるべき」との見解。また、「(公表に至るかとは別に)違法な実態があれば、事実が大事。労基署に相談してほしい」としている。

条件的に考えると公表の対象になりそうなのは国立病院機構などが該当してくるのか?などと様々に想像出来るのですが、複数の都道府県云々の条件を抜きにして個別の病院で考えてみれば違法な長時間労働が行われていない病院などまず存在しないだろうし、別に公表されなくとも指導や書類送検などは行われるはずですから、どの程度現場に影響が及ぶのかは今後の経過を見ていくしかないところですよね。
ただ医療現場に関して言えばひと頃から労働環境の悪い病院には医師が集まらない、あるいは集団で逃散していくと言う現象が目立つようになってきた、その背景には医局人事制度が崩壊し医師が自分で勤務先を選ぶ時代になったからだとか、ネットの普及で医療現場の異常性に医師自身が気付いてしまったからだとか色々に言われますが、ともかくも国の指導云々に先立って意識改革が進んできている現状もあるわけです。
医師の場合は国全体で総数が決まっている国家資格職であり、需要に対して供給が常に過少気味と言う売り手市場であることから、結局制度をどうこうするより逃散が一番勤務環境改善に有効であると言う意見も根強くありますが、雑多な書類仕事を引き受けてくれる医療事務員の導入などで少しでも医師の負担感を軽減するなど、まだまだ現場レベルでやれることはたくさんあるようには感じますね。

この労働環境改善と言う点に関連して、全国各地に医師を大事にしないどころか背後から撃つような行為を平気でするとされる「聖地」と呼ばれる土地が少なからずあって、心ある医師はそうした地域に決して近づいてはならないなどと言われていたりもするのですが、実際にそうしたネット上での風評がどれくらい現実の医師分布に反映されているのかも興味があるところですね。
先日面白いと思った話として1994年から2012年までの18年間で医師の流出、流入を都道府県毎に調べたところ、必ずしも聖地と呼ばれる地域から医師が流出していると言ったわけでもないようで、流出流入に影響がありそうだと見なされた因子としては「医師の養成数が多い地域から少ない地域へと移動する傾向がある」「女性医師は移動しにくい傾向がある」の二つだけだったと言う結果が出たそうです。
もちろん小松先生が「立ち去り型サポタージュ」と言う言葉を2004年に初めて用い、大野病院事件が2004年、大淀病院事件が2006年と言うように、医療崩壊と言う現象が顕在化してきたのはおおむね2000年代に入ってからだと言うことを考えるともう少し最近のデータではどうなのか?ですが、供給過多の地域から需要方の地域への移動だとか、女性は地元志向が強いだとか言った話だけ聞けば案外普通には思えますよね。
低賃金で粗悪な待遇の環境に進んで飛び込むマゾ奴隷的な人間が多いなどと言われてきた医師も結局は人の子で、長期的統計的に見れば当たり前の考え方に従って働く環境を選んでいるのだとすれば、一部の医療系団体などが盛んに主張するような医療現場の特殊性をやたらに強調するようなやり方よりも、世間で当たり前に望まれているような対策を地道に講じていく方が有効性は高いのかも知れませんね。

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2015年6月 1日 (月)

21世紀日本で労働力搾取が多発?!

先日こんな悲惨極まる事件が発生していたらしいと報じられ大いに話題になっていたのですが、まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

「すき家」店員が「もう無理です」と倒れていた・・・病院に搬送されたときの状況は?(2015年4月21日弁護士ドットコム)

牛丼チェーン「すき家」の店員が「もう無理です」と悲鳴をあげて倒れていた――。このような目撃談が4月19日、ツイッターに投稿されて注目を集めた。すき家を運営するゼンショーホールディングスに、弁護士ドットコムニュースが取材したところ、東京都内のすき家の店員が同日、病院に救急搬送されていたことがわかった。

●店員は「ずっと忙しくて限界」と話した?

ツイートによれば、投稿主が東京・高円寺の「すき家」に入店すると、客が食べ終わったあとの食器が席に放置されたままだった。そこに、厨房から「もう無理です…!うう」と悲鳴のような声が聞こえた。何事かと思って、厨房の中をのぞくと、一人の店員が倒れていた。店員は「ずっと忙しくて限界」と話したのだという。
はたして、本当にこのような出来事はあったのだろうか。ゼンショーホールディングスの広報担当者は、弁護士ドットコムニュースの電話取材に対して「店員が倒れて、緊急搬送されていた」と説明した。
搬送されたのは、すき家の高円寺駅南口店で働く男性アルバイト。日曜の昼下がりである4月19日の午後2時40分ごろ、東京すき家の本部に「体調が悪くなった」「呼吸が苦しい」「目がクラクラする」と電話で連絡があったという。
本部がすぐに救急車を手配し、店員は病院に搬送された。幸いにも、救急車が到着するころにはある程度回復しており、病院の検査でも「異常なし」という結果だったという。店員は持病もなく、「初めての経験だった」と話しているそうだ。

●シフト上は「2人体制」だったが・・・「ワンオペ」が起きていた

すき家は、深夜にアルバイトが一人で店をまかされる「ワンオペ」が過酷すぎるなどと批判されたことを受け、現在、全社をあげて労働環境の改善に取り組んでいる。その中心的な施策として、「深夜のワンオペ」は廃止された。だが、昼間は、一部店舗でワンオペが生じているという。今回の事態は、どんな状況で起きたのだろうか。
ゼンショーホールディングスの広報担当者は「この店員は、平均8時間勤務を続けており、超過労働があったわけではない」と説明する。また、この店の当日のシフトは本来「1人体制(ワンオペ)」ではなく、「2人体制」となるはずだったが、どうしてもシフトが埋まらなかったため、店員が「ワンオペ」で店を回していたのだという。
さらに、このシフト状況は、店舗から「エリア担当マネジャー」まで報告があったが、その上層の「ブロック担当マネジャー」までは伝わっていなかった。広報担当者は「本来ならば、緊急のヘルプが入る仕組みになっていたが、伝達がうまくいかず、スタッフとお客さまに迷惑をかけてしまった」と話す。
特に問題がおきた4月19日は日曜日だったため、店舗マネジャーが休んでいたことも響いたようだ。このような事態は恒常的だったのではないのか聞いたところ、広報担当者は「この日だけです。その前の週も、2人体制になっていた」と否定した。
今後については、広報担当者は「現在、『すき家』には人員を多めに投入するようつとめている。パソコンでアルバイトのシフトを管理するシステムをこの店に導入して、もっと早く気づけるように改善していきたい」と話していた。

まあ何しろスタッフの労働環境と言う点では非常によく名前が知られているゼンショーさんのことですから、この事件もずいぶんと興味本位の視線にもさらされているようなんですが、なんでもこのチェーンでは売上高がノルマに届かなければペナルティとしてアルバイトの労働時間を後から勝手に少なく書き直されてしまうのだそうで、事実だとすればそれは店員も集まらず営業が成り立たないのも納得ですよね。
この類の労働力搾取問題は昨今非常に注目されるようになっていて、特にワープア化で労働者の側に搾取されるだけの余力がなくなってきている一方で、全国的な労働力不足が言われるようになり特に飲食店従業員などは引く手数多で単価も上昇していると言いますから、当事者もきちんと情報を集めたり怪しいと思えば第三者に相談するなどの自己防衛策を講じる必要がありそうです。
厚労省も最近では違法労働取り締まりにも乗り出してきていると言い、全国チェーン店で違反が見つかった場合に管轄を超えて取り締まりを行う等の対策を講じると言うのですが、その一方で最近あちらこちらで話題になっているのが外国人労働者に対する搾取の問題です。

日本の外国人技能実習生受け入れ機関の不正行為、4年連続で増加=賃金不払いが最多―華字メディア(2015年4月16日レコードチャイナ)

2015年4月15日、華字メディア・日本新華僑報網によると、日本で外国人技能実習生を受け入れた企業や団体による不正行為の確認件数は、技能実習制度が始まった2010年から4年連続で増加した。不正行為の内訳は賃金不払いが最も多かった

法務省は14日、外国人技能実習生を受け入れた企業や団体のうち、昨年1年間で賃金不払いなどの不正行為が確認されたのは241機関だったと発表した。技能実習制度が始まった2010年の163機関からほぼ1.5倍となり、不正行為の確認件数は4年連続で増加した。

不正行為の内訳は、賃金の不払い142件、講習期間中の労働74件、技能実習計画の不履行32件が上位を占めた。

「まるで奴隷!」 フィリピン人が大阪の介護施設を集団提訴へ (2015年5月27日TBSニュース)

 フィリピン人女性9人が大阪府東大阪市の介護施設で『奴隷のように働かされた』などとして、施設の運営会社に対し、損害賠償を求めて27日に集団提訴することがJNNの取材でわかりました。

 訴えを起こすのは、フィリピン人の川村シンチアさん(45)ら9人です。代理人などによりますと、川村さんらは、日本人男性との間に生まれた子どもについて、『日本国籍を取れるようにする』などと勧誘されて来日し、東大阪市の介護施設「寿寿」で介護士として働いていました。

 しかし、実際に国籍取得の手続きはされず、事前に説明されていたより低い給料だった上、渡航費用などの借金を天引きされたということです。

 「借金が終わらなかったら、仕事を辞めることはできない。子どもが病気の時に(私が)連日、勤務だから(誰も)めんどうをみてくれない。同じ人間として見てほしい」(提訴するフィリピン人女性)

 また、『自分が死んでも会社は責任を問わない』とする権利放棄書にも署名させられ、人格権を侵害されたなどとしてあわせて数千万円の損害賠償を求めています。

 この介護施設を巡っては既に元従業員の女性1人も提訴しています。施設側は『担当者が分からないため答えられない』と話しています。

今も公的には日本は外国人労働者を受け入れないと言うことになっていて様々な例外的措置によって働いているわけですが、それがためにごく普通の労働者としての権利がきちんと守られていない側面も少なからずあるのでしょう、日本人相手にこんなことをやっていたりすれば大問題の大騒ぎと言うものですけれども、案外と大きなニュースにならないまま放置されてきた背景には天下り団体の暗躍があるなどと真偽不明の噂もあるようですね。
先日は河野太郎衆議院議員が「外国人実習生、トレーニングといっていますけれど、海で牡蛎を取ったり、キャベツを収穫するのにどんなトレーニングがいるんだと言いたい」と発言したそうですが、もちろんどんな作業にもそれなりのトレーニングを積まなければ一人前になれないと言うのも事実である一方で、実際問題としては実習生の名の下に日本人ではあり得ない低待遇で労働者を得ているとも言えます。
また日本一のレタス栽培で平均年収2500万円とも言い「奇跡の村」などと称揚されてきた某県某村が、外国人実習生をとんでもない待遇で使い潰していた?!と言う記事が出て話題になっていましたが、これなどは研修扱いだった実習生を労働者扱いするように法改正がなされた結果、それまで農家負担だった食費などが給料から天引きされるようになったと言う事情もあったようです。
ちょうどその村ではつい先日外国人実習生の殺人未遂事件まで発生して新たに全国区のニュースになっていましたが、一連の騒動の背景には村内での勢力争いが関係しているだとか言う噂もあるとかないとかで、いずれにしろこうした労働者搾取は現在進行形で発生している人権侵害とも言えるわけですから、国としてもいつまでも放置しているようですと後代に思わぬ禍根を残すことにもなりかねないでしょうね。

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