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2015年6月23日 (火)

5月生まれは一番お得?

そもそも個人のプロフィール欄に血液型を掲載するのがデフォであると言うのも世界で日本だけと言う声もあるようなんですが、世の中には血液型占いと言うものを非常に好む人がいて何かと「あなたは何型?」と訊ねたがる、そしてその結果何かしらひとり納得して頷いていたりと言うことは割合に経験することですけれども、基本的には週刊誌等が商売上の理由で広めている話の一つなんじゃないかと言う気もします。
これもある種の馬鹿発見器的に作働しているんじゃないかと言う声もあって、何かしら宗教などにはまりやすいタイプを見分ける簡単な識別法だと言われればなるほどそうかと頷いてしまいそうなんですが、先日読売新聞と言う一応は真っ当と言われているメディアまでもが血液型云々と言い出したと話題になっています。

血液型 ハラスメント…性格判断で不快な思い(2015年5月28日 読売新聞)

 「A型の人は○○」「B型の人は△△」。血液型性格判断を自分や友達、有名人などに当てはめて話題にした経験は多くの人があるはず。
 だが、血液型だけを根拠にステレオタイプで性格を決めつけられることに不愉快な思いをすることも少なくない。これを「ブラッドタイプ(血液型)ハラスメント」として問題視する声が上がっている。

 青山学院大3年の阿部啓祐さん(21)は「自分の部屋が汚いのは血液型とは関係ないだろう」と憤る。小学校時代から友人が自宅へ遊びに来るたび、「A型ならきれい好きなはずなのに……」と言われ続けているという。法政大3年の有賀壮吾さん(20)も「B型だけがだらしなかったり、忘れたりするとは限らない」と訴える。

 聖徳大心理学科講師の山岡重行さんが1999、2005、09の3年で首都圏の5私立大生計3587人を対象に行った調査によると、血液型性格判断で「不快な経験をしたことがある」と答えた学生は3割の1107人。このうち具体的な事例を記述した1003人の内訳は「別の血液型に見える」など不快な言葉を受けた人が最も多い34%で、「差別された・いじめられた」が23%、「性格を決めつけられた」が17%だった。
 山岡さんによると、血液型性格判断の源流は、20世紀初頭にドイツの研究者がヒトと動物の血液型を調べて提唱した説に遡る。その内容は「東洋人は白人よりもB型が多い。チンパンジー以外の動物にはB型が多い。東洋人は白人よりも動物に近い」という人種差別を主張するものだった。
 欧米では定着しなかったが、戦前の日本では、血液型で個人の性格や外国人と日本人の気質の違いをつかもうとする研究が進められた。当時の学術的な検証でこれを否定する意見が相次ぎ、沈静化したが、1970年代に入り、人の相性と血液型をテーマにした本が一躍ブームに。2000年代まで、書籍やテレビで取り上げられ続け、放送倫理・番組向上機構(BPO)は04年、「血液型で人を分類、価値付けするような番組は社会的差別に通じる危険がある」と各放送局に注意を呼びかけた。厚生労働省も「血液型と職務能力とは全く関係がない」として企業の採用選考時に血液型を聞かないよう求めている

 昨年6月には、血液型と性格の関連性に科学的根拠はないとする研究結果を九州大の講師がまとめた。この結果を受けて、インターネット検索サイト大手のヤフーが翌7月に意識調査したところ、血液型と性格は「関係あると思う」とする回答が54%で、「関係ないと思う」の40%を上回った。法政大3年の森一樹さん(20)は「血液型が会話のきっかけになるのはいいと思う」と話す。
 山岡さんは「血液型性格判断は、当てはまる事例だけ人の記憶に残り、当てはまらない事例は残らない。『遊び』だからと真面目に反論させない構造もある」としたうえで、「身体的特徴である血液型で他人と比較することは差別につながる。起源には人種差別があることを思い起こしてほしい」と指摘している。(原隆也)

現代につながる血液型信仰を編み出したのが故・能見正比古氏だと言いますが、彼自身は著名人の血液型を収集して血液型と性格とを関連づけようとしたと言うのですけれども、そもそも収集したデータに統計的に優位な差はなかっただとか、血液型により統計的に有意な差が生じているのは血液型診断の知識や信念を持つ被験者のみであっただとか、すでに様々な方面からの突っ込みは入っているところですよね。
星新一氏が「人間は、必ず差別を作ろうとする。肌の色や身長などで差別される時代が終わったら、血液型で差別する時代が来るだろう」と言ったとか言わないとかですが、今はまだブラハラと言う言葉を聞き慣れない人が大多数でも、いずれセクハラやパワハラのようにこれが裁判のネタになるかも知れないと感じる人、そうなるべきだと言う人も現にいらっしゃるようです。
一方で科学的な根拠の如何を問わずそれが会話のきっかけや人間関係構築の手助けになればいいんじゃないかと言う声も根強くあって、確かにプライベートの場で肯定的な用途に限って用いられると言うならまあ構わないのかも知れませんが、仕事等に関わりのある場で敢えて血液型を取り上げる意味はまずないものと考えておくべきではないかと言う気がします。
ましてや個人が生まれ持ったもので後天的に何とも出来ないことに関して、周囲がそれのみを理由にネガティブな対応をすると言うのであればこれは有害無益なことですけれども、この種の話は別に血液型だけに限ったことではないようで、先日は現代版占星術とも言うべきこんな話が出てきたと報じられています。

生まれた月によって、心臓病やウイルス感染、ADHDなどの病気にかかりやすくなる(2015年6月12日ハフィントンポスト)

生まれた月でその人の性格や人生を予言するのは、占い師だけの仕事ではないらしい。最近は、科学者も生まれ月で将来を予測するようだ。
コロンビア大学メディカル・センターの研究グループは6月3日、「生まれた月は、心臓病やウイルス感染、ADHD(注意欠陥・多動性障害)などの健康障害と関係がある」という研究結果を米国医療情報学会誌に発表した。
生まれた月が将来の病気を予言するなんて突拍子もない考えにも思えるが、科学者の間ではこの発見は好意的に受け止められているようだ。

この研究を主導したコロンビア大学生物医学情報学部の准教授、ニコラス・タトネッティ博士はハフポストUS版に「科学者たちの素晴らしいところは、色々な考えに対してとてもオープンなところです。彼らは主張を裏付けるデータがさえあれば、突拍子もない考えでも受け入れてくれます」と話した。
とても興味深い研究だが、単に特定の月に生まれたことで特定の病気にかかりやすくなる、という単純な話ではないようだ。
「この研究結果を説明する時には、生まれた月は私たちが環境からうけた影響を測る『代理変数(測定できないものを代わって測る変数)』だということを忘れずに伝えています。環境は幼児期の成長に大きな影響を与えます。ある特定の遺伝子の突然変異にも影響を与えているということはよく知られていることです」

今回の研究では、ニューヨーク市の医療データベースから170万人を選んで、1600以上の病気について調べた。その結果、55の病気が生まれ月に「大きく関係している」ことがわかった。なぜだろうか? 研究グループはその理由を「生まれた時期によって、成長初期段階の環境因子の多くが違うからだ」と、研究グループは説明する。
「生まれた季節によって環境因子は変わります。そして季節はその環境因子の「代理」として、私たちに色々な情報を伝えるのです」とタトネッティ博士は話す。
研究の結果、以下のような生まれ月と病気の関係が見られたという。

    ・ 全体的に見て、10月生まれが一番病気にかかるリスクが最も高く、5月生まれが最も低い。
    ・ ぜんそくのリスクは、7月生まれと10月生まれが最も高い。
    ・ ADHDを引き起こすリスクは、11月生まれが最も高い。
    ・ 心房細動・鬱血性心不全・僧帽弁疾患などの心臓障害のリスクは、3月生まれが最も高い
    ・ 冬生まれは、神経障害のリスクが高い。

注意して欲しいのは、このリスクは、予防措置を取らなければならないほど深刻ではないと研究グループが注意している点だ。
タトネッティ博士は「今回の研究の最も興味深い点は、特定の病気のリスクを高めるのはどんな環境かを調べる新しい研究の機会が開けるかもしれないことです」と語る。「このメカニズムが解明できれば、生活習慣や食生活を改善するためのアドバイスができるようになるかもしれません」

元記事の図表などを見るとまさしく占星術を意識しているのか?と言う感じなんですが、ちなみに月ごとにかかりやすい病気として以下のようなものが挙げられているようで、皆さんも幾つか当てはまるところがあったでしょうかね?

    1月 高血圧、心筋症
    2月 悪性肺腫瘍
    3月 心房細動、うっ血性心不全、悪性前立腺腫瘍
    4月 狭心症、血管合併症、心筋虚血症
    5月 もっとも病気にかかりにくい
    6月 心筋梗塞前症候群
    7~8月 なし
    9月 嘔吐
    10月 急性上気道炎、虫さされ、性病
    11月 ウイルス感染症、急性細気管支炎
    12月 打撲傷

今のところは統計的に調べて見るとこうした結果が出たと言う段階であり、また敢えて生まれ月によって対策を取らなければならないほどのリスク増加ではないと言うことなんですが、実際にそうした傾向があると言うことであればその理由は何なのか、今後何かしらの研究の端緒となることもあり得るものなんでしょうか。
ただこれ自体はまあそういう結果が出たと言う話ではあるのですが、かねてから怪しげな代替療法などでも散々に目にしてきたように科学者はこう言った!と妙な方向に曲解しようとする方々は必ずいらっしゃるもので、個人的に想像するに次のステップとして歴史上の著名人の生まれ月と死因は何であったと言った調査を始める人が出てくるんじゃないかと言う気がします。
ただ占星術の伝統がある諸外国ではこうした研究も興味深く迎え入れられそうなんですが、こと日本では血液型占いほど熱心な支持者が出てくるものなのかどうかで、それは合コンの場で「君何月生まれ?え?3月?それじゃ将来は前立腺癌になりやすいんだよ」なんて言われたところで「んなわけあるかい!」と突っ込みを入れられて終わるくらいで、とうてい場が盛り上がる気がしてきませんよね。

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コメント

>首都圏の5私立大生

調査対象のレベルが低すぎるんじゃない?

投稿: | 2015年6月23日 (火) 08時56分

アホな情報に踊らされるのもアホ

投稿: | 2015年6月23日 (火) 12時06分

一般論として言えば大学生ならまずは全国民平均の知的水準はあるんじゃないかと思うのですが、仮に平均より若干アレだとしても一般国民の代表としてこの場合そうおかしなものではない気がします。

投稿: 管理人nobu | 2015年6月23日 (火) 13時35分

平均というよりはモードじゃないですか?>首都圏の私立大生

投稿: JSJ | 2015年6月23日 (火) 15時30分

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