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2015年5月22日 (金)

するべき理由はないがするべきでない理由は多いことを人は普通しない

今日は一見どうでもいいような話とも、人類普遍の課題とも言える話とも取れるネタを取り上げてみたいと思いますが、まずは本題に先立って先日出ていたこちらの記事から紹介してみましょう。

なぜ女性は正論を主張したがるのか 論破したがる男性の行動は無意味(2015年5月9日産経ビズ)

「女の正論」に対抗手段はあるか

 世の中には、妥協するしかないときもある。ところがそういうときに限って正論を持ち出して反対する学級委員タイプがいるものだ。そしてそういうタイプはなぜか女性に多い
 たとえばせっかく会議で結論が固まりつつあったのに、女性が正論を主張し始めたばかりに、議論が振り出しに戻ることがある。こんなとき男は女の正論を聞きながら思う。
 「お説ごもっとも。でも今それを言ったからってどうなるの?」

 なぜ女性はこんなとき口を閉じていられないのだろうか。それは男女の脳の違いと、「脳は快感がないと行動を起こさない」という原則と関係がある。
 女性の脳は、言語をつかさどる左脳的思考を得意とする。だから女性は言葉を使って考えて、理屈で納得するのが快感なのだ。
 逆に言えば女性は自分が心底納得してからでないと行動を起こしたくない。だから腑に落ちないことをさせられそうになると、理屈で納得したくて正論を主張し始める。
 たとえそのせいで「場が読めない」と言われても、自分を納得させるという快感を優先させてしまうのである。一方、男性はおおざっぱで直感的な右脳思考。妥協すると決まれば何も考えず従える。
(略)
 というわけで、女性が正論を主張し始めたら、周囲の人間がとるべき態度はただ1つ。「気がすむまで主張させる」ことだ。面倒くさいが、どこかでエネルギーを吐き出させておかないと、いずれ憤懣が爆発してしまう。
 「なるほど、それはもっともだね」と同調してさえおけば、何も行動する必要はない。万が一、後から「あれはどうなっていますか」と追及されたらどうするかという問題はあるが、そんなときは、のらりくらりと逃げればいい
もっともそこまで女性が持論に固執する心配はまずない。自分の主張の正しさが認められればそれで満足だからだ。
 もっとはっきり言うと、女性は別に討論をしたいわけではなく、ただ言いたいだけ。自分が正しいと思う主張をすることが快感なのであって、主張が認められてそれが現実になることは別に快感ではない。大半の女性が「じゃあ、あなたに任せるから、責任もってやってみてよ」と言われたら、おそらく何もできないはずだ。
(略)

個人的には特に女性だから正論を主張したがるとか、場の空気を読まないと感じたことはないのですが、全文を通読するのはちょっと色々な意味で気が重くなるようなこの文章を書いた作家の米山公啓氏がもともとの本業が医師であったと言う点もまあ、人間の思索の方向性と職業的環境の影響と言うことに関して様々な思索をさせるものであるようにも感じます。
それはさておき、男と女の間に何かしら考え方なり行動パターンなりに差があると感じる人自体は決して少なくないのだろうと思うのですが、これも男女の置かれた状況が生物学的にも社会的にも異なっている以上個体差なのか性差なのかと言う疑問を抜きにしたとしても、環境要因の影響なのか本来的な生物学的差異に由来するものなのかはなかなか区別がつきにくい部分もありますよね。
ただ一つ確実なのは男と女はセットでくっつくことで生物学的再生産が行われるように出来上がっていると言う点で、そのためには考え方が似通っていた方がトラブルが少ないのか、あるいは全く違うからこそ長続きするのかとか様々な見解も成立する余地があると言うものですが、結婚と言うある意味再生産のために存在するようなシステムも昨今では子供を産むことを暗黙の前提にすべきではないだとか、様々な見解がありますよね。
最近各方面で話題になることも増えてきた同性婚なども様々な考え方や行動様式があっていいはずだし、制度的にも考え方の多様性を受け入れる余地くらいは用意しておいて損はないとも思うのですが、どうも昨今しばしば取り上げられる婚姻率の低下と言う現象の根本原因として存在するのは、そんな価値観の多様性などと言う生やさしいものではないんじゃないかとも思わされるこんな記事が話題になっていました。

<一極社会>結婚「コスパ悪い」 「恋愛の価値」低下(2015年5月7日毎日新聞)

 少子化が進む東京は、地方に比べて物価が高く、恋愛や結婚にも経済事情が影を落としている。特に、不況しか知らないバブル後の世代は、お金への不安を感じており、結婚を含め金銭見合いで行動を抑えることがある。恋愛や結婚もカネ次第ということなのか。
 「結婚にはメリットがないと思うんです。だって、コスパが悪いですよね」。都内在住の公務員、佐々木健一さん(26)=仮名=は、コストパフォーマンス(費用対効果)の略語を使って、結婚しない理由を冗舌に解説する。「きれいでかわいい人といられるのはプラス。ただ、きれいというのは年々下がるし、特定の相手に一生縛られ続けるのはマイナス。2人分の生活費もかかる
 大学進学で上京。1988年生まれで、バブル景気の記憶はない。「ぼくらは日本のいろんなものが崩れていくのを見てきた世代。不景気が当たり前だった」と話し、結婚でさえ、損得勘定で考えると明言する。
 手取りは月40万円弱。22平方メートルの手狭なワンルームマンションの家賃は約8万円で、最低限の自炊によって食費は3万円程度に抑える。光熱費も1万円ほど。友人とのカラオケ代は惜しまないが、服装は大手衣料チェーンでそろえ、貯金は200万円を超えた
 学生時代に1年ほど女性と交際した経験があり、異性に関心がないわけではない。「だけど、子どもができれば養育費や教育費もかかるし、やっぱり結婚したいとは思わない

 以前では考えられない論理だが、こういう考え方の若者が増えているのだろうか。広告代理店「アサツーディ・ケイ(ADK)」の若者プロジェクトリーダーで、若者の消費行動に詳しい藤本耕平さん(35)は、こう分析する。
 「今の若者は個性重視の教育の影響もあって、理想は一つじゃないと教えられて育ってきた。不況もあり、将来の希望を抱いていないというのも特徴の一つだ。結婚が一番正しいという価値観は相対的に低くなり、損得で恋愛や結婚を考えるようになっている。特に東京は地方と違って、多様なライフスタイルができるため、この傾向が強い」
 国立社会保障・人口問題研究所の調査(2010年)によると、全国の生涯未婚率は90年代から急速に上がり始め、男性は20・14%、女性は10・61%に達した。中でも東京の比率は高く、男性は4人に1人の25・25%、女性は6人に1人の17・37%が結婚していない。いずれも全国平均を大きく上回っている。
 このうち、いわゆる適齢期とされる30~34歳の男性を見ると、半数以上の54・3%、25~29歳の女性では69・5%が未婚だ。いずれも全国最高で、晩婚化が進んでいる。未婚率の上昇や晩婚化が進めば、おのずと子どもの出生は減っていく。
(略)

予想通りにと言うべきなのか見事に釣られたと言うべきなのか、特にこの冒頭に登場する佐々木さんのコメントが大変な反響を呼んでいて、特に見ている限りでは誰も正面切ってこの主張を論破出来た人がいない一方で、何となく皆もやもやしたものを感じているようですね。
注目すべきは今の時代に社会的勝ち組と言うべき公務員であり、実際に20代半ばで手取り40万と言えば決して悪い条件ではないどころか、安定性なども考えてみれば相当なハイスペックと言ってもいいくらい経済的には恵まれ、将来不安など感じなくてすむ立場であるわけです。
その恵まれた収入環境でありながら特に何かにお金をつぎ込むでもなく、まして家庭を構えるではなく当たり前に節約をし貯金に回していると言うのですから「いったい人生の目標をどこに置いているの?」と問いかけたくなるのでしょうけれども、ともかくも今の時代お金のストックさえそれなりにあれば独り身でも支障なく生きていけるのだろうし、若い人でさえそんな「計算」が先に立って人生設計をしていると言うのであればすごい時代ですよね。
こうした考え方が出てくるようですと確かに結婚だ、出産だと言えば大金は出ていくわ固定経費支出は増えるわでコスパが悪いと言う計算にもなるのでしょうが、結婚適齢期ですら過半数が未婚であり、生涯未婚であり続ける人も全く珍しくなくなっている理由がそのコスパの悪さにあるのだとすれば、国もよほどに本腰を入れて少子化対策なりに取り組まなければ大変なことになりそうです。

記事を見ていてもう一つ考えた点として、今の時代高学歴かつ高収入のハイスペックな人がしばしば結婚が遠ざかり子供を残さず亡くなっていくパターンが多いと言うのも、単純に教育期間が長いだとか適齢期に仕事に忙殺されているだとか言った消極的要因だけではなく、こうしたコスパ計算などが先に立ってしまった結果結婚する必然性がなくなったからだと言えるのかどうかです。
人生に何を求めるのかと言う点は様々な多様性があるのだろうし、その求める手段として別に結婚が唯一限られた手段でもなければコスパがいいわけでもないとなればわざわざ選ぶ理由もなくなる理屈ですが、結婚して子供を持つのは当たり前といった社会的通念も失われ、冷静になって比較検討してもそうした生き方にメリットがないと言われる時代に、それでも何故結婚するのか?と言う動機付けをどこかに見いだせるものなのかですよね。
割合にこうした根本的な観点は国が進める少子化対策でもあまり注目されていなかった点であるようで、あくまでも皆さん基本的に結婚したいと言う気持ちを持っているが前提で話が進んでいるように見えますから、それでは何をもってモチベーションとして用意すべきなのか?と言うことを考えてみますと、案外その理由付けは難しいようにも思えます。

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コメント

結婚した方が良いとは思いませんが
人生なんて所詮死ぬまでの暇つぶしなんですからあんま損得ばっかり考えて
楽しめないのもつまんない人生だなとは思います

投稿: | 2015年5月22日 (金) 11時03分

こういう貯金ある人は良いけど
貯金は無い家族もいない単身者の扱いは難しい
現状の社会保障はハッキリ言って持続は無理で
ほっておくと野たれ死に増えそう
それかそういう人たち同士で固まって住むようになるかも

投稿: | 2015年5月22日 (金) 11時10分

結婚する派にしてもしない派にしても、
自分の生き方を肯定させたくて必死なのかな

投稿: | 2015年5月22日 (金) 12時03分

大抵の個人的主義主張は当の本人の立場を考慮すればそれなりに説得力を持って聞こえるので、社会がどうしても主義主張を変えさせたければ立場を変えさせるしかないのかなという気もします。
昔は社会的成功を収めた人は親族一同に加え妾も囲って、それなりに多くの人々を扶養して当然、みたいな時代もあったようですけどね。

投稿: 管理人nobu | 2015年5月22日 (金) 12時21分

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